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  • 特許-籾摺り選別装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】籾摺り選別装置
(51)【国際特許分類】
   B02B 5/02 20060101AFI20220125BHJP
   B02B 3/04 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B02B5/02 104
B02B3/04 103
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018072925
(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公開番号】P2019181341
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 陽介
(72)【発明者】
【氏名】玉乃井 和利
(72)【発明者】
【氏名】福永 大三公
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-202434(JP,A)
【文献】実開平01-163584(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 5/02
B02B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺部(16)の下部に風選装置(17)を設けた籾摺り選別装置において、
籾摺ケース(60)の籾摺ロール(61,62)下部に前記風選装置(17)への摺出米通路を遮断する送出しシャッタ(64)を設け、
前記籾摺ロール(61,62)の軸端側に前記籾摺ケース(60)を開くロール室扉(63)を設け、
前記送出しシャッタ(64)の開閉駆動手段(65)を設け、
該開閉駆動手段(65)を前記ロール室扉(63)の開動作に連動して閉作動させることを特徴とする籾摺り選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺部で籾を摺り選別部で籾殻を取り除いて玄米を収穫する籾摺り選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
籾摺り選別装置は、例えば、特許文献1(特許第6036607号公報)に記載の籾摺プラントで説明されているように、原籾ホッパに供給した籾を籾摺部で摺って籾殻を分離し、下部の風選装置で籾殻を取り除いて玄米を取り出す装置である。
【0003】
そして、籾摺部では一対のゴム製の籾摺ロールの間に籾を供給して籾摺りを行なっているが、籾摺ロールの長時間の使用によって外周が摩耗して、ロール間隔を調整しているが、やがて新品と交換しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6036607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
籾摺部の籾摺ロールは、籾摺ケース内の一対の駆動軸に取り付けているので、籾摺ロールの交換作業は籾摺ケース内で駆動軸に取り付けているゴム製のロール筒をボルトやナットを緩めて取り外し新品と交換する作業になるが、狭い籾摺ケース内での作業になるために、外したボルトやナットを籾摺ケース内に落とすことがある。すると、籾摺ケースの下部に風選装置があるために、その落としたボルトやナットが風選装置内に落下して取り出す作業が面倒になる。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みて、籾摺装置の籾摺部に設ける籾摺ロールの交換作業において、ゴム製のロール筒を駆動軸に取り付けているボルトやナットを籾摺ケース内に落すことがあってもそのボルトやナットが風選装置に侵入しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
本発明は、
籾摺部(16)の下部に風選装置(17)を設けた籾摺り選別装置において、
籾摺ケース(60)の籾摺ロール(61,62)下部に前記風選装置(17)への摺出米通路を遮断する送出しシャッタ(64)を設け、
前記籾摺ロール(61,62)の軸端側に前記籾摺ケース(60)を開くロール室扉(63)を設け、
前記送出しシャッタ(64)の開閉駆動手段(65)を設け、
該開閉駆動手段(65)を前記ロール室扉(63)の開動作に連動して閉作動させることを特徴とする籾摺り選別装置である。
本発明に関連する第1の発明は、籾摺部16の下部に風選装置17を設けた籾摺り選別装置において、
籾摺ケース60の籾摺ロール61,62下部に前記風選装置17への摺出米通路を遮断する送出しシャッタ64を設けたことを特徴とする籾摺り選別装置とする。
【0009】
本発明に関連する第2の発明は、摺出米通路を下方に向かって下り傾斜した排出シュート66,67とし、その最小径部に送出しシャッタ64を設けたことを特徴とする本発明に関連する第1の発明の籾摺り選別装置とする。
【0010】
本発明に関連する第3の発明は、籾摺ロール61,62の軸端側に籾摺ケース60を開くロール室扉63を設け、籾摺ロール61,62の周側から籾摺ケース60に送出しシャッタ64を差し込んでスライド開閉可能に設けたことを特徴とする本発明に関連する第1又は2の発明の籾摺り選別装置とする。
【0011】
本発明に関連する第4の発明は、前記籾摺ロール61,62の軸端側に前記籾摺ケース60を開くロール室扉63を設け、送出しシャッタ64の開閉駆動手段65を設け、該開閉駆動手段65をロール室扉63の開動作に連動して閉作動させることを特徴とする本発明に関連する第1から3のいずれかの発明の籾摺り選別装置とする。
【0012】
本発明に関連する第5の発明は、籾摺ロール61,62の軸端側から籾摺ケース60内に侵入して塵埃を吸引する吸引ノズル78を設け、適宜に吸引作用させることを特徴とする本発明に関連する第1から4の発明の籾摺り選別装置とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって、例えボルトやナットを落下することがあっても、送出しシャッタ64が風選装置17へ落下混入することを防いで、ボルトやナットの取り出しが容易に行える。さらに、ロール室扉63を開くと開閉駆動手段65で送出しシャッタ64が摺出米通路を閉じるので、閉じ忘れてボルトやナットが風選装置17に落下することが無い。
また、本発明に関連する第1の発明で、籾摺ロール61,62の交換作業時に籾摺ケース60の摺出米通路に設ける送出しシャッタ64を閉じることで、例えボルトやナットを落下することがあっても、送出しシャッタ64が風選装置17へ落下混入することを防いで、ボルトやナットの取り出しが容易に行える。
【0014】
本発明に関連する第2の発明で、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、摺出米通路の最小径部に送出しシャッタ64を設けたので、摺出米通路を閉じる送出しシャッタ64を小さく出来ると共に、落下するボルトやナットが排出シュート66,67で送出しシャッタ64上に誘導されるので、見つけ易く迅速に取り出せる。
【0015】
本発明に関連する第3の発明で、本発明に関連する第1又は2の発明の効果に加えて、籾摺ロール61,62の軸端側のロール室扉63を開いて籾摺ロール61,62の交換作業を行うが、送出しシャッタ64を籾摺ロール61,62の周側から籾摺ケース60に差し込むので、籾摺ロール61,62の交換作業で送出しシャッタ64を差し込む作業が容易である。
【0016】
本発明に関連する第4の発明で、本発明に関連する第1から3のいずれかの発明の効果に加えて、ロール室扉63を開くと開閉駆動手段65で送出しシャッタ64が摺出米通路を閉じるので、閉じ忘れてボルトやナットが風選装置17に落下することが無い。
【0017】
本発明に関連する第5の発明で、本発明に関連する第1から4のいずれかの発明の効果に加えて、吸引ノズル78から籾摺ケース60内の塵埃を吸引して籾摺ロール61,62に堆積する塵埃を除去して快適な籾摺りを継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】籾摺プラントの正面図である。
図2】(A)その風選装置の平面図と、(B)その一部の拡大平面図である。
図3】籾摺り部と風選装置の正断面図である。
図4】籾摺りケースの側断面図である。
図5】籾摺ロールの駆動軸への取付実施例を示す側断面分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0020】
籾摺プラントは、二階建て形態として、一階の床8面上には、籾を供給する原籾ホッパ9や、籾揚穀機10、混合米揚穀機11、玄米揚穀機12、揺動選別部13、及び玄米ホッパ14等を配置し、二階の床15面上には、籾摺部16、及び風選装置17、更には玄米選別装置18等を配置する。
【0021】
前記原籾ホッパ9に投入された籾を、籾揚穀機10で揚穀して、籾摺部16上の籾ホッパ19へ供給し、この籾ホッパ19から繰出供給される籾を籾摺部16の籾摺ロール間に供給案内させて籾摺作用を行わせる。この籾摺ロール間から摺出された摺出(混合)米は、下側の風選装置17に供給されて、吸引排風ファン20の回転による選別風を受けて、摺出米から籾殻や塵埃等が風選除去されて、この摺出米は、玄米と籾米との混合する混合米と、比重の軽い未熟米等に風選別されて、この風選装置17の摺出米受樋21、未熟米受樋22等から機外へ取出される。
【0022】
前記摺出米受樋21に取出された摺出(混合)米は、シュート70を経て混合米揚穀機11へ流下案内されて、この混合米揚穀機11によって混合米ホッパ24へ揚穀供給される。この混合米ホッパ24の下側に分配供給口25から、多段選別部13の各揺動選別板1毎の上側面に均等量に分配供給される。
【0023】
前記揺動選別部13の各揺動選別板1からは、この選別排出辺部2の一側端部の玄米口26から玄米が選別排出され、他側端部の籾米口29からは籾米が選別排出され、これら中間部の混合米口28からは玄米と籾米との混合した混合米として選別排出される。そして、これら玄米口26から取出された玄米は、玄米揚穀機12で揚穀されて、玄米選別装置18へ供給されて選別処理される。又、混合米口28に取出された混合米は、混合米揚穀機11へ供給されて、前記シュート70から流入する摺出混合米と合流して前記混合米ホッパ24へ還元供給される。又、籾米口29に取出された籾米は、籾揚穀機10へ供給されて、籾ホッパ9から供給される原籾と共に合流状態で籾ホッパ19へ還元供給される。前記選別排出辺部2の落口には、玄米仕切板30と籾仕切板31が配置されて、この玄米仕切板30をギヤドモータ32の駆動によって回転する制御軸33に螺合させて、この制御軸33の正、逆回転によって、玄米仕切板30を選別排出辺部2を左右方向へ移動させて、玄米と混合米との選別仕切位置を適正に調節することができる。又、この仕切板30の調節制御は、選別板1の摺出、混合米層の流れる状態を検出する仕切位置センサを設けて、この仕切位置センサの検出によって、ギヤドモータ32を出力して玄米層の選別仕切位置を制御移動する形態とすることもできる。
【0024】
図3は、籾摺部16と風選装置17の正断面図を示している。
【0025】
籾摺部16は、籾摺ケース60内の左右に一対の籾摺ロール61,62を籾摺モータ79で駆動するように軸支し、籾摺ケース60の上部に設ける籾ホッパ19からの籾を籾摺ロール61,62の間に受け入れて摺って下方の拡散板76上に摺出米を供給して、風選装置17内に拡散させて風選別し、摺出米受樋21からシュート70から混合米を、未熟米受樋22から第二シュート71を経て粃を、排塵口73から排塵と籾殻を排出する。拡散板76は樹脂製で構成され、拡散板支持体38に着脱可能に取り付けている構成である。籾摺ケース60の上部受入口には、籾送りロール74と供給調節シャッタ75を設け、下部送出し口には、下方に向けて狭めた排出シュート66,67を設け、籾摺ロール61,62の前面に設けたロール室扉63を開けて籾摺ロール61,62の交換をするようにしている。
【0026】
排出シュート66,67の下端小径部には、駆動手段であるエアシリンダ65でスライド開閉する送出しシャッタ64を籾摺ケース60の側部に設けている。この送出しシャッタ64は前記のロール室扉62を開くとエアシリンダ65を駆動して閉じ動作して、籾摺ロール61,62の交換作業中にボルトやナットを落としても送出しシャッタ64で受けて風選装置17内に侵入しないようにする。
【0027】
なお、送出しシャッタ64は手動でスライドできる構成にしてもよい。その際、送出しシャッタ64の開操作及び閉操作側は籾摺ケース60の正面視で左外側が望ましい。
【0028】
送出しシャッタ64が移動する場所は籾摺ロール61,62の下方と籾摺ロール61,62で籾摺りされて落下した摺出米が衝突して風選装置17に拡散させる拡散板76の間の空間である摺出米通路を利用して移動させる。これにより、円滑に送出シャッタ64をスライドすることができる。また、拡散板76は摩耗するためメンテナンスで拡散板76を交換する必要がある。この場合に拡散板76の正面側に設ける点検窓90を開けて交換するが、このときに、送出しシャッタ64を閉じた状態で交換を行うことで籾摺ロール61,62側が不意に駆動すること等による安全上の不具合を防止できる。
【0029】
図4は、籾摺ケース60の側断面図を示し、籾摺ロール61,62の駆動軸59に固着したロール支持アーム58の外周に固着した円筒ロール57の筒内にロール室扉62から吸引ノズル78を伸ばし、吸入管68からバキュームフロー77を通って排出管69に流れるエアーで吸引ノズル78の先端から円筒ロール57内の空気を吸引して、円筒ロール57内に溜まる塵埃を排出管69から風選装置17内に吸引排出する。この吸引排出のタイミングは、メンテナンス時或いは所定時間間隔で行うようにする。
【0030】
図5は、籾摺ロール61,62の駆動軸59への取付構成を示し、駆動軸59の六角軸部に外嵌したロール押し80を駆動軸59に螺合した調整ナット81で軸方向スライドするように設け、ロール押し80のフランジ80aに突設したボルト80bを籾摺ロール61,62のロール支持アーム58のボルト穴に差し込んで締付ナット82を締めて取り付けている。
【0031】
従って、籾摺ケース60の側部に設ける調整窓からスパナを差し込んで調整ナット81を回すと籾摺ロール61,62が軸方向にスライドして位置調整が可能になり、締付ナット82を外すと籾摺ロール61,62がロール押し80から外れて交換可能になる。
【符号の説明】
【0032】
13 揺動選別部
16 籾摺部
17 風選装置
60 籾摺ケース
61 籾摺ロール
62 籾摺ロール
63 ロール室扉
64 送出しシャッタ
65 開閉駆動手段(エアシリンダ)
66 排出シュート
67 排出シュート
78 吸引ノズル
図1
図2
図3
図4
図5