(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】情報処理装置及び画面切り替え方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B5/00 102E
A61B5/00 102B
(21)【出願番号】P 2018085975
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀田 正信
(72)【発明者】
【氏名】田島 英明
【審査官】樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086664(JP,A)
【文献】特開2007-097816(JP,A)
【文献】特開2005-270317(JP,A)
【文献】特開2000-005174(JP,A)
【文献】特開2017-018378(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0147385(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32
A61B5/00-5/398
A61B8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記取得された生体情報を表示する画面を含む複数の画面を切り替え表示可能な表示手段と、
所定のイベントに対して、当該所定のイベントの後に前記表示手段に表示される
複数の表示画面
とその優先順位が対応付けられて記憶されている記憶手段と、
前記所定のイベントを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記所定のイベントが検出された場合に、当該所定のイベントに対応付けられている
複数の表示画面のうち最も優先順位が高い表示画面を前記記憶手段から読み出し、当該読み出された表示画面を前記表示手段に表示させるよう画面を切り替える表示制御手段と、
前記所定のイベントに対して、所定の期間内に行われたユーザー操作に基づく前記表示手段における画面遷移を示す画面遷移履歴情報を保存する履歴情報保存手段と、
前記履歴情報保存手段に保存されている前記所定のイベントに対する画面遷移履歴情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新する更新手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の期間は、前記検出手段により前記所定のイベントが検出されてから一定時間が経過するまでの期間である請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定のイベントは、前記生体情報における異常の発生であり、
前記所定の期間は、前記検出手段により前記生体情報における異常の発生が検出されている期間である請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定のイベントは、前記生体情報における異常の発生であり、
前記所定の期間は、前記検出手段により前記生体情報における異常の発生が検出されてから、前記生体情報における異常が解消された後一定時間が経過するまでの期間である請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定のイベントに関する補足情報を入力するための入力手段を備え、
前記履歴情報保存手段は、前記入力された補足情報を前記所定のイベントと対応付けて保存する請求項
1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
当該情報処理装置との間でデータ通信可能な表示装置に対して、前記表示手段に表示される表示画面と同じ画面を表示するための情報を送信する送信制御手段と、
前記所定のイベントに対して、前記所定の期間内に行われたユーザー操作に基づく前記表示装置における画面遷移を示す第2の画面遷移履歴情報を前記表示装置から取得する履歴情報取得手段と、
を備え、
前記更新手段は、さらに、前記所定のイベントに対する第2の画面遷移履歴情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新する請求項
1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
患者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記取得された生体情報を表示する画面を含む複数の画面を切り替え表示可能な表示手段と、所定のイベントに対して、当該所定のイベントの後に前記表示手段に表示される
複数の表示画面
とその優先順位が対応付けられて記憶されている記憶手段と、
前記所定のイベントに対して、所定の期間内に行われたユーザー操作に基づく前記表示手段における画面遷移を示す画面遷移履歴情報を保存する履歴情報保存手段と、を備える情報処理装置における画面切り替え方法であって、
前記所定のイベントを検出する工程と、
前記所定のイベントが検出された場合に、当該所定のイベントに対応付けられている
複数の表示画面のうち最も優先順位が高い表示画面を前記記憶手段から読み出す工程と、
前記読み出された表示画面を前記表示手段に表示させるよう画面を切り替える工程と、
前記履歴情報保存手段に保存されている前記所定のイベントに対する画面遷移履歴情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新する工程と、
を含む画面切り替え方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び画面切り替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院内で患者から動脈血酸素飽和度(SpO2)や脈拍数等の生体情報を継続的に測定し、異常の有無を監視するモニタリングシステムが使用されている。看護師等の医療従事者は、ベッドサイドに設けられたベッドサイド端末やナースステーションのモニタリング装置に表示される生体情報の測定データを確認する。
【0003】
例えば、患者の生体信号を基に複数の生体パラメーターの測定を行う携帯型医療機器において、複数の生体パラメーターの少なくとも一部の情報を表示する第1画面と、第1画面と少なくとも一部が異なる第2画面と、をユーザー操作に基づいて切り替えるものが提案されている(特許文献1参照)。この携帯型医療機器では、生体パラメーターの異常判定に応じて、表示する生体パラメーターの優先順位を変更している。
【0004】
また、患者から測定された生体情報、患者の容体に関連するイベント、所定の時刻からの経過時間を表示する生体情報モニター装置において、実施が完了したイベントを表示領域から削除したり、実施予定時刻を経過しても実施が完了していないイベントがある場合に、警告を報知したりするものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-202422号公報
【文献】特開2015-84876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、看護師等の医療従事者が容体が悪化した患者のもとに駆け付けた際には、患者への対応が忙しく、ベッドサイド端末に必要な情報を表示させるために操作を行い、画面を切り替える時間がない。
【0007】
特許文献1では、測定値から容体悪化を検出して、生体パラメーターの表示の優先順位を切り替えることが可能であるが、必要な情報にアクセスするためには、ユーザーが手動で画面切り替え操作を行わなければならない。患者への迅速な対応が求められる状況において、画面を切り替えるための操作を行うことは、操作者にとって負担が大きかった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術は、単に実施が完了したイベントを表示領域から削除したり、イベントの実施予定時刻に応じて当該イベントの表示領域を点滅表示させたりするものであり、ユーザーが確認したい画面に切り替えるものではなかった。
【0009】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、手動による画面切り替え操作を必要とすることなく、状況に応じた情報を自動的に表示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、患者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記取得された生体情報を表示する画面を含む複数の画面を切り替え表示可能な表示手段と、所定のイベントに対して、当該所定のイベントの後に前記表示手段に表示される複数の表示画面とその優先順位が対応付けられて記憶されている記憶手段と、前記所定のイベントを検出する検出手段と、前記検出手段により前記所定のイベントが検出された場合に、当該所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面のうち最も優先順位が高い表示画面を前記記憶手段から読み出し、当該読み出された表示画面を前記表示手段に表示させるよう画面を切り替える表示制御手段と、前記所定のイベントに対して、所定の期間内に行われたユーザー操作に基づく前記表示手段における画面遷移を示す画面遷移履歴情報を保存する履歴情報保存手段と、前記履歴情報保存手段に保存されている前記所定のイベントに対する画面遷移履歴情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新する更新手段と、を備える情報処理装置である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記所定の期間は、前記検出手段により前記所定のイベントが検出されてから一定時間が経過するまでの期間である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記所定のイベントは、前記生体情報における異常の発生であり、前記所定の期間は、前記検出手段により前記生体情報における異常の発生が検出されている期間である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記所定のイベントは、前記生体情報における異常の発生であり、前記所定の期間は、前記検出手段により前記生体情報における異常の発生が検出されてから、前記生体情報における異常が解消された後一定時間が経過するまでの期間である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記所定のイベントに関する補足情報を入力するための入力手段を備え、前記履歴情報保存手段は、前記入力された補足情報を前記所定のイベントと対応付けて保存する。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、当該情報処理装置との間でデータ通信可能な表示装置に対して、前記表示手段に表示される表示画面と同じ画面を表示するための情報を送信する送信制御手段と、前記所定のイベントに対して、前記所定の期間内に行われたユーザー操作に基づく前記表示装置における画面遷移を示す第2の画面遷移履歴情報を前記表示装置から取得する履歴情報取得手段と、を備え、前記更新手段は、さらに、前記所定のイベントに対する第2の画面遷移履歴情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新する。
【0018】
請求項7に記載の発明は、患者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記取得された生体情報を表示する画面を含む複数の画面を切り替え表示可能な表示手段と、所定のイベントに対して、当該所定のイベントの後に前記表示手段に表示される複数の表示画面とその優先順位が対応付けられて記憶されている記憶手段と、前記所定のイベントに対して、所定の期間内に行われたユーザー操作に基づく前記表示手段における画面遷移を示す画面遷移履歴情報を保存する履歴情報保存手段と、を備える情報処理装置における画面切り替え方法であって、前記所定のイベントを検出する工程と、前記所定のイベントが検出された場合に、当該所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面のうち最も優先順位が高い表示画面を前記記憶手段から読み出す工程と、前記読み出された表示画面を前記表示手段に表示させるよう画面を切り替える工程と、前記履歴情報保存手段に保存されている前記所定のイベントに対する画面遷移履歴情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、手動による画面切り替え操作を必要とすることなく、状況に応じた情報を自動的に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】モニタリングシステムのシステム構成図である。
【
図2】ベッドサイド端末の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】履歴テーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図4】表示画面対応テーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図5】ベッドサイド端末により実行される処理を示すフローチャートである。
【
図6】(a)は、正常状態のSpO
2の測定値の例である。(b)は、異常発生時のSpO
2の測定値の例である。(c)は、気道閉塞の予兆検出時のSpO
2の測定値の例である。
【
図7】(a)は、通常画面の例である。(b)~(d)は、イベント検出時の表示画面の例である。
【
図8】表示画面の優先順位の決め方を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0022】
〔モニタリングシステムの構成〕
図1に、本実施の形態におけるモニタリングシステム100のシステム構成を示す。
図1に示すように、モニタリングシステム100は、病室内の各ベッドに設けられた情報処理装置としてのベッドサイド端末10と、ナースステーションに設けられたモニタリング装置40と、看護師等の医療従事者が携帯する移動用分散端末50と、を備えて構成されている。ベッドサイド端末10とモニタリング装置40とは、無線通信により相互にデータ通信可能となっている。また、モニタリング装置40と移動用分散端末50とは、無線通信により相互にデータ通信可能となっている。なお、ベッドサイド端末10、移動用分散端末50の台数は、特に限定されない。
【0023】
ベッドサイド端末10は、各患者のベッドサイドに設置され、パルスオキシメータ20や呼吸センサ30から患者の生体情報を取得し、測定結果を表示する。また、ベッドサイド端末10は、生体情報の測定結果をモニタリング装置40に送信する。また、ベッドサイド端末10は、医療従事者が患者に処置を行う際に必要な情報を表示したり、どのような処置を施したかを入力したりする時に用いられる。
【0024】
パルスオキシメータ20は、患者の指先等の生体部位に装着され、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)や脈拍数等の生体情報を測定する機器である。
呼吸センサ30は、呼吸波形や1分当たりの呼吸数等の生体情報を測定する機器である。
【0025】
モニタリング装置40は、制御部、操作部、表示部、計時部、通信部、記憶部等を備えるコンピューター装置であり、ベッドサイド端末10により収集された各患者の測定データ(生体情報)を一元管理する。モニタリング装置40の表示部は、複数のベッドサイド端末10の生体情報を含む基本画面を表示する。例えば、モニタリング装置40の基本画面には、各ベッドサイド端末10の表示画面(測定データの数値のみが表示された画面)が複数並べられて表示される。ナースステーションでは、モニタリング装置40で各患者の容体の変化を把握することができる。また、モニタリング装置40は、移動用分散端末50に各患者の測定データを送信する。
【0026】
移動用分散端末50は、制御部、操作部、表示部、計時部、通信部、記憶部等を備える携帯型端末であり、モニタリング装置40から送信された各患者の測定データ(生体情報)を表示する。移動用分散端末50の表示部は、表示領域が小さいため、例えば、移動用分散端末50の表示部には、基本画面として患者名又は患者IDの一覧が表示されており、一覧から患者名又は患者IDが選択されると、選択された患者名又は患者IDの生体情報が表示される。これにより、医療従事者は、ナースステーション以外からも、各患者の容体の変化を確認することができる。なお、ベッドサイド端末10から移動用分散端末50に、直接各患者の測定データを送信可能としてもよい。
【0027】
〔ベッドサイド端末の構成〕
図2に、ベッドサイド端末10の機能的構成を示す。
図2に示すように、ベッドサイド端末10は、制御部11、操作部12、表示部13、計時部14、測定データI/F(インターフェース)部15、ネットワークI/F部16、記憶部17等を備えて構成されており、各部はバス18により接続されている。
【0028】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、ベッドサイド端末10の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部17に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0029】
操作部12は、各種スイッチ、各種機能ボタン等を備えており、これらの操作信号を制御部11に出力する。各種機能ボタンには、各種処置内容(痰吸引、体温測定等)、離床(トイレ、入浴等)等を行ったことを入力するためのボタンが含まれている。また、操作部12は、所定のイベントに関する補足情報を入力するための入力手段として機能する。
【0030】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成されており、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。表示部13は、パルスオキシメータ20や呼吸センサ30から取得された生体情報(測定値、測定波形等)を表示する画面を含む複数の画面を切り替え表示可能となっている。
【0031】
計時部14は、計時回路(RTC:Real Time Clock)を有し、この計時回路により現在日時を計時して制御部11に出力する。また、計時部14は、所定のタイミングから一定時間を計測し、制御部11に出力する。
【0032】
測定データI/F部15は、ケーブルを介して接続されたパルスオキシメータ20、呼吸センサ30との間で、測定データのリアルタイム転送を含む有線通信を行う。測定データI/F部15は、患者の生体情報を取得する生体情報取得手段である。
【0033】
ネットワークI/F部16は、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信により、モニタリング装置40とデータの送受信を行うための無線インターフェースである。
【0034】
記憶部17は、不揮発性の半導体メモリー等で構成されており、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。例えば、記憶部17には、履歴テーブル171、表示画面対応テーブル172が記憶されている。
【0035】
履歴テーブル171には、所定のイベントに対して、所定の期間(以下、所定期間という。)内に行われたユーザー操作に基づく表示部13における画面遷移を示す画面遷移履歴情報が対応付けられている。すなわち、履歴テーブル171を記憶する記憶部17は、履歴情報保存手段として機能する。所定期間として、所定のイベントが検出されてから一定時間が経過するまでの期間を用いる。所定期間は、イベント種類(イベント内容)ごとに別途設定できることとしてもよい。
【0036】
図3に、履歴テーブル171のデータ構成例を示す。履歴テーブル171には、イベント情報、画面遷移履歴情報、補足情報が対応付けられている。なお、履歴テーブル171は一例であり、
図3に示した全ての情報を保存する必要はない。
イベント情報には、イベント内容、イベント発生日時が含まれる。
イベント内容は、検出されたイベントの内容である。例えば、イベント内容として、パルスオキシメータ20により測定されたSpO
2の低下等の生体情報における異常の発生、患者に対して行われた処置等が挙げられる。
イベント発生日時は、イベントが発生した日時である。
【0037】
画面遷移履歴情報には、表示画面、画面表示順、画面表示時間、画面表示回数、作業者ID、患者IDが含まれる。
表示画面は、イベントが発生した後に表示部13に表示された表示画面を示す情報である。表示画面として、例えば、デフォルト画面(呼吸数、SpO2、脈拍数等の測定値を含む画面)、SpO2トレンドグラフ画面、患者情報画面、イベント履歴画面等がある。
画面表示順は、表示画面が表示部13に表示された順序である。
画面表示時間は、表示画面が表示部13に表示され続けた時間(秒)である。
画面表示回数は、表示画面が表示部13に表示された回数である。同じ内容の表示画面が再度表示された場合には、当該表示画面に対応する「画面表示回数」が1ずつ増えていく。
作業者IDは、イベントの発生に伴い、患者に対して作業(処置等)を行った医療従事者を示す識別情報である。
患者IDは、イベントの発生に係る患者を示す識別情報である。
【0038】
補足情報には、原因、処置内容が含まれる。
原因は、イベントが発生した原因を示す情報である。
処置内容は、イベントが発生した後に患者に対して行われた処置を示す情報である。
【0039】
表示画面対応テーブル172には、所定のイベントに対して、当該所定のイベントの後に表示部13に表示される表示画面が対応付けられている。
【0040】
図4に、表示画面対応テーブル172のデータ構成例を示す。表示画面対応テーブル172には、イベント内容、表示画面、優先順位、作業者ID、患者IDが対応付けられている。
イベント内容は、自動画面切り替えの契機となるイベントの内容である。
表示画面は、イベントが発生した後に表示部13に表示される表示画面を示す情報である。
優先順位は、表示画面に対して設定された優先順位である。
表示画面対応テーブル172では、一つのイベント内容に対して、複数の表示画面とその優先順位を対応付けることができる。
【0041】
作業者IDは、イベント内容に対する複数の表示画面とその優先順位の対応関係を用いる対象となる医療従事者の作業者IDである。
患者IDは、イベント内容に対する複数の表示画面とその優先順位の対応関係を用いる対象となる患者の患者IDである。
【0042】
また、記憶部17には、ベッドサイド端末10に対応する患者の患者情報が記憶されている。患者情報には、患者識別情報(患者名、患者ID)、患者の病歴、注意事項、申し送り事項等が含まれる。患者情報は、事前に入力するか、電子カルテの情報を外部機器から取得することによって、記憶部17に予め記憶させておく。
【0043】
制御部11は、測定データI/F部15によりパルスオキシメータ20や呼吸センサ30から取得された患者の生体情報を表示する画面を含む複数の画面を表示部13に切り替えて表示させる。画面の切り替えには、ポップアップ画面の表示により追加情報を別画面として表示させることも含まれる。
【0044】
制御部11は、所定のイベントを検出する。すなわち、制御部11は、検出手段として機能する。例えば、制御部11は、測定データI/F部15により取得された患者の生体情報の測定データに基づいて、所定のイベントとして、生体情報における異常の発生を検出する。具体的には、制御部11は、取得された患者の生体情報の測定データと、記憶部17に予め記憶されている閾値とを比較して、測定データが閾値を超えた場合に、容体悪化を検出する。制御部11は、一つの生体情報だけでなく、複数の生体情報の測定データを組み合わせて異常を検出してもよい。また、制御部11は、操作部12から或る処置が行われたことが入力された場合に、所定のイベントとして、患者に対する処置を検出する。
【0045】
制御部11は、所定のイベントが検出された場合に、当該所定のイベントに対応付けられている表示画面を記憶部17の表示画面対応テーブル172から読み出す。具体的には、制御部11は、所定のイベントが検出された場合に、当該所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面のうち最も優先順位が高い表示画面を表示画面対応テーブル172から読み出す。そして、制御部11は、読み出された表示画面を表示部13に表示させるよう画面を切り替える。すなわち、制御部11は、表示制御手段として機能する。
【0046】
制御部11は、所定のイベントに対して、所定期間内に行われたユーザー操作に基づく表示部13における画面遷移を示す画面遷移履歴情報を、記憶部17の履歴テーブル171に保存する。制御部11は、イベントが検出されてから一定時間内に行われた画面操作に対応する画面遷移履歴情報をイベント情報と対応付けて蓄積する。このように、制御部11は、イベント種類(イベント内容)ごとに、画面遷移履歴情報を蓄積していく。
【0047】
制御部11は、記憶部17の履歴テーブル171に保存されている所定のイベントに対する画面遷移履歴情報に基づいて、記憶部17(表示画面対応テーブル172)に記憶されている所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新する。すなわち、制御部11は、更新手段として機能する。例えば、制御部11は、履歴テーブル171の画面遷移履歴情報の中で画面表示回数が多い表示画面の優先順位を高くする。
【0048】
制御部11は、操作部12から所定のイベントに関する補足情報が入力された場合に、当該補足情報を所定のイベントと対応付けて、記憶部17の履歴テーブル171に保存する。
具体的には、制御部11は、過去に発生したイベントの一覧を表示部13に表示させる。ユーザーは、操作部12からの操作により、イベント一覧から対象とするイベントを指定して、このイベントに関する補足情報を入力する。例えば、操作部12に設けられたボタンの押下により、イベントの原因や処置内容等の補足情報を入力してもよいし、操作部12から文字入力することで補足情報を入力してもよい。なお、音声入力手段により補足情報を入力し、音声をテキストデータに変換することとしてもよい。
【0049】
〔ベッドサイド端末の動作〕
次に、ベッドサイド端末10における動作について説明する。
図5は、ベッドサイド端末10により実行される処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部11のCPUと記憶部17に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0050】
制御部11は、測定データI/F部15を介して、パルスオキシメータ20及び呼吸センサ30から患者の生体情報の測定データを継続的に取得している。具体的には、制御部11は、パルスオキシメータ20からSpO2、脈拍数等の測定データを取得し、呼吸センサ30から呼吸波形や呼吸数等の測定データを取得する。
【0051】
制御部11は、イベントを検出したか否かを判断する(ステップS1)。例えば、制御部11は、パルスオキシメータ20又は呼吸センサ30から取得した生体情報の測定データにおいて異常が発生したか否かを判断する。また、制御部11は、操作部12からの入力により、所定のイベント(痰吸引、体温測定等)が実施されたことを検出することとしてもよい。また、制御部11は、ベッドサイドに設置されている離床センサー(図示せず)の出力信号に基づいて、患者の離床というイベントを検出することとしてもよい。
【0052】
生体情報の測定データにおける異常の検出方法について、SpO
2を例にして説明する。
図6(a)~(c)において、横軸は時間、縦軸はSpO
2の測定値である。
図6(a)は、正常状態の例である。SpO
2の測定値がほぼ一定である場合には、正常状態であると判断する。
【0053】
図6(b)は、異常発生時の例である。SpO
2の測定値が急激に低下した場合には、異常が発生したと判断する。SpO
2のグラフの傾きについて、測定値が急激に低下したと判断する範囲を予め定めておく。
【0054】
なお、或る期間の測定値の変化の傾向を捉えることで、異常発生の予兆を検出することとしてもよい。
図6(c)は、気道閉塞の予兆検出時の例である。痰が詰まるとSpO
2の測定値が徐々に低下していくので、痰詰まりによる気道閉塞が予測される。SpO
2低下時の傾き及び期間について、測定値が徐々に低下していくと判断する範囲を予め定めておく。
【0055】
ステップS1において、イベントが検出されない場合には(ステップS1;NO)、ステップS1に戻る。
ステップS1において、イベントが検出された場合には(ステップS1;YES)、制御部11は、検出されたイベントに対応付けられている表示画面を、記憶部17の表示画面対応テーブル172から読み出す(ステップS2)。具体的には、制御部11は、表示画面対応テーブル172において、検出されたイベントに対応付けられている複数の表示画面のうち最も優先順位が高い表示画面を読み出す。
【0056】
より詳細には、制御部11は、表示画面対応テーブル172において、検出されたイベント、ベッドサイド端末10の近くにいる医療従事者の作業者ID、ベッドサイド端末10に対応する患者の患者IDの組み合わせに対応付けられている複数の表示画面のうち最も優先順位が高い表示画面を読み出す。
【0057】
ここで、作業者IDは、予めベッドサイド端末10に登録されていてもよいし、作業時に操作部12から入力されることとしてもよい。あるいは、医療従事者が携帯するカードに付されたバーコードからバーコードリーダーにより作業者IDを読み取ることとしてもよいし、医療従事者が携帯するカードや電子機器に記憶されている作業者IDをNFC(Near Field Communication)規格の通信により取得することとしてもよい。
また、患者IDは、予めベッドサイド端末10に登録されていてもよいし、作業者IDと同様の方法で取得することとしてもよい。
【0058】
次に、制御部11は、読み出された表示画面を表示部13に表示させるよう画面を切り替える(ステップS3)。
【0059】
図7(a)は、表示部13に表示される通常画面131の例であり、
図7(b)~(d)は、表示部13に表示されるイベント検出時の表示画面132~134の例である。
図7(a)に示す通常画面131には、呼吸数、SpO
2、脈拍数の現在の値61~63、呼吸波形64、脈波波形65が表示されている。
【0060】
イベント検出時には、例えば、
図7(b)に示す表示画面132のように、SpO
2のトレンドグラフ(時系列データ)66を表示するように画面を切り替える。トレンドグラフ66を表示することで、過去データの推移を提示することができ、容体変化の傾向が分かりやすくなる。なお、
図7(b)では、SpO
2のトレンドグラフのみを表示しているが、呼吸数や脈拍数のトレンドグラフを同時に表示してもよい。
【0061】
また、制御部11は、
図7(c)に示す表示画面133のように、イベント検出時に患者情報67を表示させることとしてもよい。患者によっては、合併症等の可能性があるため、患者の病歴、申し送り事項等の情報を表示する。患者情報の表示の有無は、ユーザー(医療従事者)ごとに選択できてもよい。
【0062】
また、制御部11は、
図7(d)に示す表示画面134のように、イベント検出時にイベント履歴68を表示させることとしてもよい。イベント履歴68として、例えば、過去のイベント情報(食事、トイレ、痰吸引等)、イベントからの経過時間、次回のイベントの予定(予定時刻等)を表示させる。前回の痰吸引実施からの経過時間を表示することで、次回吸引タイミングの参考とすることができる。
【0063】
また、表示画面対応テーブル172に、生体情報の異常等のイベントに対応する病状や処置を表示する表示画面が予め登録されていることとしてもよい。例えば、「SpO2の低下」というイベントに対しては、痰が詰まっている可能性が高いため、「痰の吸引」という処置を促す表示を行う。また、「高脈拍数」というイベントに対しては、「心房細動の可能性が高い」等、可能性のある原因を表示することとしてもよい。
【0064】
さらに、制御部11は、生体情報において異常が発生した場合、異常が発生した生体情報を強調表示させることとしてもよい。例えば、制御部11は、表示画面内の異常が発生した生体情報の色を変えたり、異常が発生した生体情報を点滅させたり、異常値を拡大させたりする。
【0065】
なお、イベント検出時に、イベントとは直接関係がなくても、病状に関連する生体情報を強調表示することとしてもよい。例えば、肺に疾患がある患者には、呼吸器の状態を表すSpO2を常に強調表示する。
【0066】
ステップS3の後、制御部11は、所定期間内に、操作部12から画面切り替え操作があったか否かを判断する(ステップS4)。本実施の形態では、制御部11は、計時部14にイベントが検出されてから一定時間を計測させ、イベントが検出されてから一定時間が経過するまでの期間内に、画面切り替え操作があったか否かを判断する。
【0067】
所定期間内に、操作部12から画面切り替え操作があった場合には(ステップS4;YES)、制御部11は、所定期間内に行われたユーザー操作に基づく表示部13における画面遷移を示す画面遷移履歴情報を、イベントと対応付けて記憶部17の履歴テーブル171に保存する(ステップS5)。具体的には、制御部11は、イベント内容、イベント発生日時、表示画面、画面表示順、画面表示時間、画面表示回数、作業者ID、患者IDを対応付けて履歴テーブル171に保存する。
【0068】
制御部11は、「イベント内容」として、ステップS1で検出されたイベントの内容を履歴テーブル171に格納する。
制御部11は、「イベント発生日時」として、イベントが検出された際に、計時部14から取得した現在日時を履歴テーブル171に格納する。
制御部11は、画面切り替え操作に応じて表示部13に表示された各表示画面について、「表示画面」、「画面表示順」、「画面表示時間」、「画面表示回数」を履歴テーブル171に格納する。ステップS3で自動的に切り替えられた表示画面については、今回の画面遷移履歴情報として残してもよいし、今回の画面遷移履歴情報から除外してもよい。
【0069】
制御部11は、「作業者ID」として、患者に対する処置を行う医療従事者の作業者IDを履歴テーブル171に格納する。
制御部11は、「患者ID」として、ベッドサイド端末10が設けられたベッドを使用する患者の患者IDを履歴テーブル171に格納する。
履歴を残す際に作業者ID及び患者IDと対応付けておくことで、医療従事者(ユーザー)ごと、又は、患者ごとの表示画面の傾向を解析することができる。
【0070】
次に、制御部11は、記憶部17の履歴テーブル171に保存されている、今回検出されたイベントと同じイベントに対する画面遷移履歴情報に基づいて、記憶部17の表示画面対応テーブル172の、今回検出されたイベントと同じイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新する(ステップS6)。具体的には、制御部11は、ステップS1で検出されたイベントと同じイベント、ベッドサイド端末10の近くにいる医療従事者の作業者ID、ベッドサイド端末10に対応する患者の患者IDの組み合わせ(以下、対象組み合わせという。)を含むレコードを履歴テーブル171から抽出し、表示画面対応テーブル172の対象組み合わせ(イベント、作業者ID、患者ID)に対応する表示画面とその優先順位に反映させる。
【0071】
より詳細には、制御部11は、記憶部17の履歴テーブル171から抽出されたレコードの画面遷移履歴情報の画面表示順、画面表示時間、画面表示回数から、表示画面対応テーブル172において対象組み合わせに対応付けられている表示画面の優先順位を決める。
例えば、制御部11は、履歴テーブル171から抽出されたレコードについて、各表示画面の画面表示順の平均を求め、この平均画面表示順の早さで、各表示画面の優先順位を決める。具体的には、平均画面表示順がより早い表示画面の優先順位を高くする。
また、制御部11は、履歴テーブル171から抽出されたレコードについて、各表示画面の画面表示時間の平均を求め、この平均画面表示時間の長さで、各表示画面の優先順位を決めることとしてもよい。具体的には、平均画面表示時間がより長い表示画面の優先順位を高くする。
また、制御部11は、履歴テーブル171から抽出されたレコードについて、各表示画面の画面表示回数の平均を求め、この平均画面表示回数の多さで、各表示画面の優先順位を決めることとしてもよい。具体的には、平均画面表示回数がより多い表示画面の優先順位を高くする。
【0072】
また、制御部11は、画面表示順の早さ及び画面表示時間の長さの組み合わせに基づいて、各表示画面の優先順位を決めることとしてもよい。例えば、
図8(a)に示すように、画面表示順の早い順に高いウェイトを与え、このウェイトと画面表示時間とを掛け合わせた値の大きさ(
図8(a)における面積71,72の大きさ)で優先順位を決める。
図8(a)では、一つの画面表示順に対してはウェイトを一定としたが、
図8(b)に示すように、イベント発生からの経過時間に応じてウェイトを徐々に低くしていき、このウェイトを関数として、各表示画面が表示されていた時間幅で積分した値(
図8(b)における面積81,82の大きさ)で優先順位を決めることとしてもよい。
【0073】
ステップS6の後、又は、ステップS4において、所定期間内に、操作部12から画面切り替え操作がなかった場合には(ステップS4;NO)、制御部11は、操作部12からイベントに関する補足情報の入力があったか否かを判断する(ステップS7)。具体的には、操作部12に設けられたボタンが押下されることで、補足情報として、イベントが発生した原因、イベント発生に対して行われた処置等が入力される。
【0074】
操作部12からイベントに関する補足情報の入力があった場合には(ステップS7;YES)、制御部11は、入力された補足情報をイベントと対応付けて、記憶部17の履歴テーブル171に保存する(ステップS8)。具体的には、制御部11は、イベントの原因や処置内容等の補足情報を、ステップS1で検出されたイベントと対応付けて、履歴テーブル171に格納する。
【0075】
なお、ステップS1で検出されたイベント以外のイベントに対して補足情報を入力する場合には、ユーザーがイベント一覧から目的のイベントを指定して、このイベントに関する補足情報を入力すればよい。
【0076】
ステップS8の後、又は、ステップS7において、操作部12からイベントに関する補足情報の入力がなかった場合には(ステップS7;NO)、ベッドサイド端末10における処理が終了する。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態によれば、生体情報の測定データにおいて異常が検出された場合等、イベントが発生した場合に、当該イベントに対応付けられている表示画面に切り替えるので、手動による画面切り替え操作を必要とすることなく、状況に応じた情報を自動的に表示することができる。これにより、ユーザーの手間が軽減され、患者への対応に集中することができる。
【0078】
また、イベントに対応付けられている複数の表示画面のうち最も優先順位が高い表示画面を自動的に表示することができる。なお、ステップS3において、イベントに対応付けられている複数の表示画面を、その優先順位に従って、順に切り替えて表示することとしてもよい。この場合、画面を切り替える時間間隔は、予め定められていてもよいし、履歴テーブル171において、表示対象の表示画面に対応する画面表示時間に基づいて決定されてもよい。
【0079】
また、イベント検出から一定時間内に行われたユーザー操作に基づく画面遷移を示す画面遷移履歴情報をイベント情報と対応付けて履歴テーブル171に保存しておき、表示画面対応テーブル172においてイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新するので、実際に操作された画面遷移に基づいて、ユーザーが望む表示画面を学習していくことができる。
【0080】
例えば、患者ごとに生体情報の傾向や病状が異なるため、患者ごとに画面遷移履歴情報のデータを蓄積することで、患者ごとに最適な画面を表示することが可能となる。
また、医療従事者(例えば、ベテラン、新人等)ごとに見たい情報が異なるため、医療従事者ごとに画面遷移履歴情報のデータを蓄積することで、医療従事者ごとに最適な画面を表示することが可能となる。
【0081】
また、イベントの原因(痰詰まりによる気道閉塞等)、医療従事者が行った処置内容(痰吸引等)等も、イベントに関する補足情報として、画面遷移履歴情報とともに保存することができる。
【0082】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る情報処理装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0083】
例えば、上記実施の形態では、所定のイベントと対応付ける表示画面に係る画面切り替え操作が行われる「所定期間」として、所定のイベントが検出されてから一定時間が経過するまでの期間を用いる場合について説明したが、所定のイベントが生体情報における異常の発生である場合に、「所定期間」を、生体情報における異常の発生が検出されている期間とすることとしてもよい。この場合、生体情報が異常値を示している間に行われた画面切り替え操作に基づく画面遷移履歴情報を、所定のイベントに関連するものとして保存することができる。
【0084】
また、所定のイベントが生体情報における異常の発生である場合に、「所定期間」を、生体情報における異常の発生が検出されてから、生体情報における異常が解消された後一定時間が経過するまでの期間とすることとしてもよい。異常が解消されるまでは、看護処置を優先し、患者の容体が安定してから画面切り替え操作を行う可能性があるため、異常が解消された後一定時間が経過するまでは、所定のイベントに関連する画面切り替え操作として扱うことが望ましい。
【0085】
また、上記実施の形態では、履歴テーブル171において、イベントに対して画面遷移履歴情報を保存する際に、作業者ID及び患者IDと対応付けておき、表示画面対応テーブル172においても、作業者IDごと、患者IDごとに分けて、イベントと表示画面との対応関係を管理する場合について説明したが、特に必要がない場合には、履歴テーブル171及び表示画面対応テーブル172から作業者ID及び患者IDの区分をなくしてもよい。例えば、作業者IDの区分をなくすことで、各医療従事者の操作に基づく画面遷移履歴情報を共通の経験として、表示画面対応テーブル172に反映させることができる。また、患者IDの区分をなくすことで、各患者を対象とした医療従事者の操作に基づく画面遷移履歴情報を、表示画面対応テーブル172に反映させることができる。
【0086】
また、上記実施の形態では、イベントが検出された場合に、当該イベントに対応付けられている表示画面に切り替える場合について説明したが、或るイベントが発生した時からの経過時間に基づいて、次回のイベントの発生時期を予測することとしてもよい。例えば、或るイベントが発生した日時に基づいて、次回のイベント予定日時を算出し、この次回のイベント予定日時となった場合に、表示画面を切り替えることとしてもよい。
【0087】
また、生体情報の測定データから患者の異常状態だけでなく、パルスオキシメータ20や呼吸センサ30等の装置の異常を検出し、装置の異常に対応する表示画面を表示することとしてもよい。
【0088】
また、ベッドサイド端末10が測定機器、治療機器と何らかの方法で接続されており、機器側の動作に連動して、測定、処置等が行われたというイベントを自動的に検出することとしてもよい。例えば、ベッドサイド端末10が痰吸引の装置と接続されている場合には、患者に対して痰の吸引が実施された際に、痰吸引の装置から吸引動作を示す情報を取得することで、痰吸引のイベントを検出することができる。
【0089】
また、上記実施の形態では、ベッドサイド端末10における操作に基づく画面遷移履歴情報を表示画面対応テーブル172に反映させることとしたが、元々学習済みのモデルを使用して表示画面対応テーブル172を作成することとしてもよい。つまり、表示画面対応テーブル172の作成に当たり、リアルタイムに取得した画面遷移履歴情報のデータで常に学習し続けてもよいし、過去に取得したデータを用いて学習させることとしてもよい。
【0090】
また、ベッドサイド端末10の表示部13において、一画面のみではなく、複数の画面を同時に表示できるようにしてもよい。
また、ベッドサイド端末10の表示部13に、処置手順や処置結果の入力画面を表示させ、処置内容を入力しやすくしておいてもよい。
【0091】
また、モニタリング装置40からの操作により、ベッドサイド端末10に表示させる表示画面(画面名のみでも可)を選択し、選択された表示画面を示す情報をモニタリング装置40からベッドサイド端末10に無線で送信することとしてもよい。あるいは、移動用分散端末50からの操作により、ベッドサイド端末10に表示させる表示画面(画面名のみでも可)を選択し、選択された表示画面を示す情報を移動用分散端末50からモニタリング装置40に無線で送信し、さらに、モニタリング装置40からベッドサイド端末10に無線で送信することとしてもよい。このようにして、看護師が該当患者の病室に行く前に、ベッドサイド端末10の画面表示を予め設定しておくことも可能とする。
【0092】
また、ベッドサイド端末10において、患者に対して必要な処置内容を推定できる場合には、ベッドサイド端末10からモニタリング装置40にその処置内容を通知し、これから実施する処置に必要な準備物の一覧をモニタリング装置40に表示してもよい。
【0093】
また、イベント発生の条件として用いる閾値(容体悪化を検出するために生体情報の測定データと比較する閾値)を、患者の状態の変化等に基づいて、更新することとしてもよい。例えば、ベッドサイド端末10の制御部11は、患者の処置を行った前後の生体情報の測定データから、処置による効果指標を取得する。効果指標とは、患者に対して行われた処置によって効果が出ているかどうかを示す指標となるものである。そして、制御部11は、処置後の測定データ及び効果指標に基づいて、記憶部17に記憶されている閾値を更新する。これにより、患者の状態に合わせて閾値を更新することができ、患者の状態に合った処置を行うことが可能となる。
【0094】
〔変形例〕
次に、上記実施の形態の変形例について説明する。
変形例におけるモニタリングシステムは、上記実施の形態に示したモニタリングシステム100と同様の構成であるため、上記実施の形態と同一の符号を用い、共通する部分の説明を省略する。以下、変形例に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0095】
変形例では、モニタリング装置40及び移動用分散端末50においても、患者の容体が変化した場合やイベントが発生した際に、手動で切り替えることで、ベッドサイド端末10と同様の詳細情報(トレンドグラフ、患者情報、イベント履歴等)を表示可能とする。
【0096】
ベッドサイド端末10の制御部11は、ベッドサイド端末10との間でデータ通信可能な表示装置としてのモニタリング装置40に対して、表示部13に表示される表示画面と同じ画面を表示するための情報を、ネットワークI/F部16を介して送信する。すなわち、制御部11は、送信制御手段として機能する。表示部13に表示される表示画面と同じ画面を表示するための情報としては、表示部13に表示される表示画面の画像データでもよいし、表示部13に表示される表示画面を特定可能な情報であってもよい。
モニタリング装置40の制御部は、所定のイベントに対して、所定期間内に行われたユーザー操作に基づくモニタリング装置40の表示部における画面遷移を示す第2の画面遷移履歴情報(表示画面、画面表示順、画面表示時間、画面表示回数、作業者ID、患者ID等)を、モニタリング装置40の記憶部に保存する。モニタリング装置40は、
図3に示した履歴テーブル171の内容に加え、装置情報(モニタリング装置40の識別情報)を対応付けて保存する。
【0097】
ベッドサイド端末10の制御部11は、所定のイベントに対して、所定期間内に行われたユーザー操作に基づくモニタリング装置40における画面遷移を示す第2の画面遷移履歴情報を、ネットワークI/F部16を介してモニタリング装置40から取得する。すなわち、制御部11は、履歴情報取得手段として機能する。具体的には、制御部11は、所定のイベントに対する第2の画面遷移履歴情報に加え、モニタリング装置40の装置情報を取得する。
制御部11は、モニタリング装置40から取得した所定のイベントに対する第2の画面遷移履歴情報及びモニタリング装置40の装置情報を記憶部17に記憶させる。具体的には、制御部11は、履歴テーブル171と同様の内容に加え、モニタリング装置40の装置情報を対応付けて、外部装置履歴テーブルに保存する。
【0098】
また、ベッドサイド端末10の制御部11は、ベッドサイド端末10との間でモニタリング装置40を介してデータ通信可能な表示装置としての移動用分散端末50に対して、表示部13に表示される表示画面と同じ画面を表示するための情報を、ネットワークI/F部16及びモニタリング装置40を介して送信する。なお、ベッドサイド端末10から移動用分散端末50に直接情報を送信可能としてもよい。
移動用分散端末50の制御部は、所定のイベントに対して、所定期間内に行われたユーザー操作に基づく移動用分散端末50の表示部における画面遷移を示す第2の画面遷移履歴情報(表示画面、画面表示順、画面表示時間、画面表示回数、作業者ID、患者ID等)を、移動用分散端末50の記憶部に保存する。移動用分散端末50は、
図3に示した履歴テーブル171の内容に加え、装置情報(移動用分散端末50の識別情報)を対応付けて保存する。
【0099】
ベッドサイド端末10の制御部11は、所定のイベントに対して、所定期間内に行われたユーザー操作に基づく移動用分散端末50における画面遷移を示す第2の画面遷移履歴情報を、ネットワークI/F部16及びモニタリング装置40を介して移動用分散端末50から取得する。具体的には、制御部11は、所定のイベントに対する第2の画面遷移履歴情報に加え、移動用分散端末50の装置情報を取得する。なお、ベッドサイド端末10は、移動用分散端末50から直接情報を取得可能としてもよい。
制御部11は、移動用分散端末50から取得した所定のイベントに対する第2の画面遷移履歴情報及び移動用分散端末50の装置情報を記憶部17に記憶させる。具体的には、制御部11は、履歴テーブル171と同様の内容に加え、移動用分散端末50の装置情報を対応付けて、外部装置履歴テーブルに保存する。
【0100】
ベッドサイド端末10の制御部11は、記憶部17の履歴テーブル171に保存されている所定のイベントに対するベッドサイド端末10自身の画面遷移履歴情報に加え、さらに、記憶部17の外部装置履歴テーブルに保存されている所定のイベントに対する第2の画面遷移履歴情報(モニタリング装置40、移動用分散端末50から取得した履歴情報)に基づいて、記憶部17(表示画面対応テーブル172)に記憶されている所定のイベントに対応付けられている複数の表示画面とその優先順位を更新する。第2の画面遷移履歴情報に含まれる画面表示順、画面表示時間、画面表示回数に基づいて、各表示画面の優先順位をどのように変更するかは、上記実施の形態と同様である。ここで、優先順位の変更に、どの装置の履歴情報を使用するかを選択可能としてもよい。
【0101】
変形例によれば、表示画面対応テーブル172に、モニタリング装置40及び移動用分散端末50における画面切り替えにより得られた情報も反映されるので、ベッドサイド端末10以外の装置における画面遷移に関する情報を利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
10 ベッドサイド端末
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 計時部
15 測定データI/F部
17 記憶部
20 パルスオキシメータ
30 呼吸センサ
40 モニタリング装置
50 移動用分散端末
100 モニタリングシステム
171 履歴テーブル
172 表示画面対応テーブル