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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】車両の車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/08 20060101AFI20220125BHJP
   B62D 27/02 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B62D21/08
B62D27/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018086848
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019189162
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】河之口 敦史
(72)【発明者】
【氏名】四柳 泰希
(72)【発明者】
【氏名】矢壁 正太郎
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-238658(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0151793(US,A1)
【文献】特開2003-146251(JP,A)
【文献】特開2013-193732(JP,A)
【文献】特開2007-269052(JP,A)
【文献】特開2011-131735(JP,A)
【文献】特開2003-095141(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0122570(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08,
B62D 25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントサスペンションを支持する左右一対のサスペンション支持部材と、
車両の車室内をフロアトンネルに沿って車両前後方向に延びる左右一対のトンネルフレームとを備えた車両の車体構造であって、
前記サスペンション支持部材よりも車両後方で、前記車室の車両前方の空間と前記車室内とを隔てる前壁をなすダッシュパネルと、
平面視において、前記サスペンション支持部材に連結された前端から、車幅方向内側、かつ前記フロアトンネルよりも車幅方向外側へ向けて車両後方へ延びる左右一対の車体骨格フレームと、
該車体骨格フレームの後端、及び前記トンネルフレームの前端がそれぞれ嵌合可能に形成されるとともに、前記ダッシュパネルに一体的に設けられた前部フレーム連結部材とを備え、
前記トンネルフレームが、
平面視において、前記車体骨格フレームの後端に前記前部フレーム連結部材を介して連結された前端から車幅方向内側、かつ前記フロアトンネルの上面へ向けて車両後方へ延びるフレーム前部と、
平面視において、前記フレーム前部の後端から前記フロアトンネルの上面に沿って車両後方に延びるとともに、他方のトンネルフレームに連結されたフレーム後部とで一体形成された
車両の車体構造。
【請求項2】
前記前部フレーム連結部材が、
前記車体骨格フレームの後端が嵌合する前側嵌合部と、前記トンネルフレームの前端が嵌合する後側嵌合部とを備え、
前記前側嵌合部と前記後側嵌合部とが、車両前後方向に対向して一体形成された
請求項1に記載の車両の車体構造。
【請求項3】
左右の前記車体骨格フレームが、
平面視において、前記サスペンション支持部材と前記フロアトンネルの上面における所定位置とを結ぶ仮想直線に沿って略直線状に延びる形状に形成され、
前記トンネルフレームの前記フレーム前部が、
平面視において、前記仮想直線に沿って略直線状に延びる形状に形成され、
前記所定位置が、
平面視において、車両前後方向におけるステアリングホイールの位置と略同じ車両前後方向の位置である
請求項1または請求項2に記載の車両の車体構造。
【請求項4】
前記トンネルフレームが、
押出成形で形成された内部中空の押出部材で構成された
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の車両の車体構造。
【請求項5】
前記トンネルフレームのフレーム後部が、
前記他方のトンネルフレームにおける前記フレーム後部に接合された
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車両の車体構造。
【請求項6】
前記トンネルフレームにおける前記フレーム前部の後端近傍を、互いに連結補強する補強部材を備えた
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の車両の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両の車室内に、フロアトンネルに沿って車両前後方向に延びるフレーム部材を備えたような車両の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両において、乗員がステアリングを操作した際、車体全体を捩じるような荷重が、サスペンションを介して車体に作用することが知られている。そして、このような荷重は、車体全体が捩れるような違和感を乗員に与えるだけでなく、ステアリング操作に対する車両挙動の応答性が低いと乗員が感じる要因となっていた。
【0003】
このため、一般的に、自動車などの車両は、サスペンションを介して車体に作用する荷重に対する車体剛性を向上することで、ステアリング操作に対する応答性を向上して、操縦安定性を確保している。
さらに、スポーツカーのような車両では、一般的な車両に比べて、より高い操縦安定性が要求されることが多いため、車体剛性をより向上させる技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、車室内を車両前後方向に延びるフロアトンネル(トンネル部)の上面に、車幅方向に離間して配設されるとともに、車両前後方向に延びる左右一対の第1トンネルフレームと、三方に分岐した後部を有するフロントフレームとを備え、フロントフレームの分岐した後部の1つである第1分岐部がフロアパネルに連結され、分岐した後部の1つである第2分岐部がダッシュパネルを介して第1トンネルフレームに連結され、分岐した後部の1つである第3分岐部がヒンジピラーに連結された車体構造が開示されている。これにより、特許文献1では、車両の車体剛性の向上を図ることができるとされている。
【0005】
ところで、車室内において、乗員の着座位置が車幅方向外側に位置するほど、車両が右旋回する際に乗員が感じる車両の挙動と、車両が左旋回する際に乗員が感じる車両の挙動との差が大きくなる傾向がある。さらに、スポーツカーのような車両の場合、乗員の着座位置は、乗員が車両の挙動を感じとり易い車体の重心位置に近いほうが好ましいとされている。このため、乗員が着座する運転席を、できるだけ車幅方向内側に配置させたいというニーズがある。
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、フロアトンネルの上面における車幅方向両端にトンネルフレームを備えた車両の場合、運転席の座面部よりも車両上方の空間が、トンネルフレームによって圧迫されるため、運転席を所望される位置、すなわち車幅方向のより内側に配置できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-101815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、車両の車体剛性を向上できるともに、運転席を所望位置に配設できる車両の車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、車両のフロントサスペンションを支持する左右一対のサスペンション支持部材と、車両の車室内をフロアトンネルに沿って車両前後方向に延びる左右一対のトンネルフレームとを備えた車両の車体構造であって、前記サスペンション支持部材よりも車両後方で、前記車室の車両前方の空間と前記車室内とを隔てる前壁をなすダッシュパネルと、平面視において、前記サスペンション支持部材に連結された前端から、車幅方向内側、かつ前記フロアトンネルよりも車幅方向外側へ向けて車両後方へ延びる左右一対の車体骨格フレームと、該車体骨格フレームの後端、及び前記トンネルフレームの前端がそれぞれ嵌合可能に形成されるとともに、前記ダッシュパネルに一体的に設けられた前部フレーム連結部材とを備え、前記トンネルフレームが、平面視において、前記車体骨格フレームの後端に前記前部フレーム連結部材を介して連結された前端から車幅方向内側、かつ前記フロアトンネルの上面へ向けて車両後方へ延びるフレーム前部と、平面視において、前記フレーム前部の後端から前記フロアトンネルの上面に沿って車両後方に延びるとともに、他方のトンネルフレームに連結されたフレーム後部とで一体形成されたことを特徴とする。
【0010】
上記左右一対のトンネルフレームは、連結させた状態における左右のフレーム後部を合わせた車幅方向の長さが、フロアトンネルの上面における車幅方向の長さよりも短い方が好ましい。
【0011】
この発明により、車両の車体剛性を向上できるともに、運転席を所望位置に配設することができる。
具体的には、車体骨格フレームとトンネルフレームとが連結されているため、車両の車体構造は、フロントサスペンションの支持剛性と、車体剛性の向上を図ることができる。
【0012】
さらに、車室内において、トンネルフレームのフレーム後部が他方のトンネルフレームに連結されているため、車両の車体構造は、平面視において、左右のフレーム後部を合わせた車幅方向の長さを短く抑えることができる。
【0013】
これにより、車両の車体構造は、運転席の座面部よりも車両上方の空間が、トンネルフレームによって圧迫されることを抑えることができる。このため、車両の車体構造は、車室内において、乗員が着座する運転席を車幅方向のより内側に配設することができる。
従って、車両の車体構造は、車両の車体剛性を向上できるともに、運転席を所望位置に配設することができる。
【0014】
この発明の態様として、前記前部フレーム連結部材が、前記車体骨格フレームの後端が嵌合する前側嵌合部と、前記トンネルフレームの前端が嵌合する後側嵌合部とを備え、前記前側嵌合部と前記後側嵌合部とが、車両前後方向に対向して一体形成されてもよい。
【0015】
この発明の態様として、左右の前記車体骨格フレームが、平面視において、前記サスペンション支持部材と前記フロアトンネルの上面における所定位置とを結ぶ仮想直線に沿って略直線状に延びる形状に形成され、前記トンネルフレームの前記フレーム前部が、平面視において、前記仮想直線に沿って略直線状に延びる形状に形成され、前記所定位置が、平面視において、車両前後方向におけるステアリングホイールの位置と略同じ車両前後方向の位置であってもよい。
この発明により、車両の車体構造は、運転席を所望位置に配設できるとともに、荷重伝達効率を損なうことなく、車両の車体剛性を安定して向上することができる。
【0016】
具体的には、車両前後方向におけるステアリングホイールの位置と略同じ車両前後方向の位置のフロアトンネルの上面に向けて延びる形状にトンネルフレームのフレーム前部が形成されたことにより、車両の車体構造は、ステアリングホイールよりも車両後方に位置する乗員の腕部、及びステアリングホイール近傍に位置する乗員の膝周辺が、後端に対して前端が車幅方向外側に位置するフレーム前部に接触することを防止できる。このため、車両の車体構造は、運転席を車幅方向のより内側に配設することができる。
【0017】
さらに、トンネルフレームのフレーム前部が、平面視において、車体骨格フレームから連続するように略直線的に延設されるため、車両の車体構造は、平面視におけるトンネルフレームのフレーム前部と車体骨格フレームとの相対角度を限りなく小さくすることができる。
【0018】
加えて、車両の車体構造は、例えば、ステアリングホイールよりも車両前方の位置を所定位置とした場合に比べて、所定位置をより車両後方に位置させることができるため、フレーム前部とフレーム後部との相対角度をより小さくすることができる。
【0019】
これにより、車両の車体構造は、車体骨格フレームからトンネルフレームのフレーム後部に至る範囲における荷重伝達効率の低下を抑えるとともに、平面視におけるトンネルフレームの屈曲部分であるフレーム前部とフレーム後部との境界近傍が応力集中部位となることを防止できる。
従って、車両の車体構造は、運転席を所望位置に配設できるとともに、荷重伝達効率を損なうことなく、車両の車体剛性を安定して向上することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記トンネルフレームが、押出成形で形成された内部中空の押出部材で構成されてもよい。
この発明により、車両の車体構造は、フレーム前部とフレーム後部とを別体で構成した場合に比べて、部品点数の増加を抑えることができるとともに、フレーム前部とフレーム後部との間における荷重伝達効率の低下を抑えることができる。
従って、車両の車体構造は、押出部材で構成された左右のトンネルフレームにより、荷重伝達効率をより損なうことなく、車両の車体剛性をより向上することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記トンネルフレームのフレーム後部が、前記他方のトンネルフレームにおける前記フレーム後部に接合されてもよい。
この発明により、車両の車体構造は、トンネルフレームのフレーム前部から伝達された荷重を、フレーム前部から連続するフレーム後部と、他方のトンネルフレームにおけるフレーム後部とに分散伝達することができる。
【0022】
これにより、車両の車体構造は、フレーム前部とフレーム後部との境界近傍が、応力集中部位となることをより確実に防止できるとともに、左右一対のトンネルフレームにおける荷重伝達効率をより確実に向上することができる。
従って、車両の車体構造は、互いに接合されたフレーム後部により、荷重伝達効率を向上できるとともに、車両の車体剛性をより確実に向上することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記トンネルフレームにおける前記フレーム前部の後端近傍を、互いに連結補強する補強部材を備えてもよい。
この発明により、車両の車体構造は、平面視において、車幅方向に離間しているフレーム前部の後端近傍を、補強部材によって補強することができる。つまり、車両の車体構造は、フレーム前部の後端近傍における剛性を向上することができる。
【0024】
このため、例えば、フレーム後部同士が接合されている場合、車両の車体構造は、フレーム前部からフレーム後部にかけて剛性が急激に変化することを抑えるとともに、フレーム前部とフレーム後部との境界近傍が応力集中部位となることをより確実に防止できる。
【0025】
さらに、例えば、左右のフレーム前部に異なるタイミングで荷重が入力された際、車両の車体構造は、左右のフレーム前部における後端が互いに異なる方向へ変位することを補強部材によって抑えることができる。
この際、フレーム後部同士が接合されていない場合であっても、車両の車体構造は、一方のトンネルフレームに作用する荷重を他方のトンネルフレームに補強部材を介して伝達することができる。
【0026】
これにより、車両の車体構造は、左右一対のトンネルフレームの捩れ変形を抑えるとともに、異なるタイミングで入力された荷重をフレーム後部へ効率よく伝達することができる。
従って、車両の車体構造は、フレーム前部の後端近傍を連結補強する補強部材により、荷重伝達効率をより向上できるとともに、車両の車体剛性をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、車両の車体剛性を向上できるともに、運転席を所望位置に配設できる車両の車体構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】車両左側から見た前部車体、及び車室部を示す側面図。
図2】平面視における前部車体、及び車室部を示す平面図。
図3】底面視における前部車体、及び車室部を示す底面図。
図4図2中のA-A矢視断面図。
図5】車両前後方向に沿った縦断面における前部フレーム連結部材を示す断面図。
図6】車両前方上方視におけるフロアトンネルの外観を示す外観斜視図。
図7図2中のB-B矢視断面図。
図8図2中のC-C矢視断面図。
図9】車両前方上方視におけるトンネルアッパフレームの外観を示す外観斜視図。
図10図2中のD-D矢視断面図。
図11】車両前後方向に沿った縦断面における補強部材を示す断面図。
図12】別の補強部材を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の車両1の車体構造は、押出成形されたアルミ合金製の複数のフレームを連結して車体骨格をなす、所謂、スペースフレーム構造である。このような車両1の車体構造について、図1から図11を用いて説明する。
【0030】
なお、図1は車両左側から見た前部車体3、及び車室部7の側面図を示し、図2は平面視における前部車体3、及び車室部7の平面図を示し、図3は底面視における前部車体3、及び車室部7の底面図を示し、図4図2中のA-A矢視断面図を示している。
【0031】
さらに、図5は車両前後方向に沿った縦断面における前部フレーム連結部材94の断面図を示し、図6は車両前方上方視におけるフロアトンネル82の外観斜視図を示し、図7図2中のB-B矢視断面図を示し、図8図2中のC-C矢視断面図を示し、図9は車両前方上方視におけるトンネルアッパフレーム89の外観斜視図を示し、図10図2中のD-D矢視断面図を示し、図11は車両前後方向に沿った縦断面における補強部材96の断面図を示している。
【0032】
また、図示を明確にするため、図1及び図2中において、左右一対の車室上方側方フレーム、フロントヘッダ、ルーフレインフォースメント、及びリヤヘッダの図示を省略し、図4図7、及び図8において、フロアパネル86の図示を省略している
また、図中において、矢印Fr及びRrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示し、矢印Rh及びLhは幅方向を示しており、矢印Rhは右方向を示し、矢印Lhは左方向を示している。
【0033】
本実施形態における車両1の車体構造は、図1に示すように、車両1のフロントサスペンション2を支持する前部車体3と、車両1のリヤサスペンション4を支持する後部車体5(図3参照)と、乗員が乗り込む車室部7とを連結して構成されている。
なお、本実施形態では、車両1の前部車体3、及び車室部7について詳述し、後部車体5の説明を省略する。
【0034】
まず、フロントサスペンション2は、図1に示すように、ダブルウィッシュボーン式サスペンション構造であって、車両1の前輪を回転自在に支持するナックル(図示省略)と、車幅方向外側を頂部とする平面視略三角形状のロアアーム21と、車幅方向外側を頂部とする平面視略三角形状のアッパアーム22と、下端がロアアーム21に連結されたサスダンパ23とで構成されている。
【0035】
このようなフロントサスペンション2を支持する前部車体3は、図1から図3に示すように、車室部7よりも車両前方の所望位置に配置された左右のフロントサスペンション2を支持する左右一対のフロントサス支持部材31と、フロントサス支持部材31と車室部7とを連結する左右一対のアッパサイドフレーム32と、左右一対の第1ロアサイドフレーム33と、左右一対の第2ロアサイドフレーム34と、左右一対のアッパセンターフレーム35と、左右一対のロアセンターフレーム36とを備えている。
【0036】
一方、車両1の車室部7は、図1から図3に示すように、車幅方向に所定間隔を隔てた位置で車両上下方向に延びる左右一対のヒンジピラー71、及び左右一対のセンターピラー72と、車幅方向に所定間隔を隔てた位置で車両前後方向に延びる左右一対のサイドシル73、及び左右一対の車室上方側方フレーム(図示省略)と、左右の車室上方側方フレームを車幅方向に連結するフロントヘッダ(図示省略)、ルーフレインフォースメント(図示省略)、及びリヤヘッダ(図示省略)と、車室部7の前壁をなすダッシュパネル78、及びカウルボックス79と、車室部7の後壁をなす後壁部80、及び車室第1クロスメンバ81とを備えている。
【0037】
さらに、車室部7は、図2及び図3に示すように、車室部7の内部において、車両前後方向に延びるフロアトンネル82と、フロアトンネル82を挟んで左右のサイドシル73を連結する左右一対の車室第2クロスメンバ83、左右一対の車室第3クロスメンバ84、及び左右一対の車室第4クロスメンバ85と、車室部7の床面をなすフロアパネル86と、乗員が着座する運転席87と、フロアトンネル82に沿って車両前後方向に延びるトンネルサイドフレーム88、及びトンネルアッパフレーム89とを備えている。
【0038】
引き続き、上述した車両1における前部車体3、及び車室部7の各構成要素について、さらに詳述する。
まず、前部車体3は、上述したように、左右一対のフロントサス支持部材31と、左右一対のアッパサイドフレーム32と、左右一対の第1ロアサイドフレーム33と、左右一対の第2ロアサイドフレーム34と、左右一対のアッパセンターフレーム35と、左右一対のロアセンターフレーム36とを備えている。
【0039】
左右一対のフロントサス支持部材31は、車両1における前部車体3を構成する車体骨格部材としての機能と、フロントサスペンション2を揺動可能に支持する機能とを有するアルミダイキャスト製の部材である。
【0040】
このフロントサス支持部材31は、図1に示すように、ロアアーム21の車幅方向内側が揺動自在に連結されるロアアーム支持部311と、ロアアーム支持部311に対して車両上方に所定間隔を隔てて配設されるとともに、アッパアーム22の車幅方向内側が揺動自在に連結されるアッパアーム支持部312と、ロアアーム支持部311、及びアッパアーム支持部312を連結する前側連結部313、及び後側連結部314とで、側面視略ロ字形状に一体形成されている。
【0041】
なお、アッパアーム支持部312には、図1に示すように、サスダンパ23の上端が揺動自在にされている。より詳しくは、アッパアーム支持部312は、アッパアーム22の前側端部、及び後側端部が連結される部分の間で、かつアッパアーム22よりも車両上方の位置で、サスダンパ23の上端を揺動自在に支持している。
【0042】
この左右のフロントサス支持部材31は、図2及び図3に示すように、ロアアーム支持部311がアルミダイキャスト製のフロントサスクロス37、及び押出し成形されたアルミ合金製の押出部材である前部第1クロスメンバ38を介して連結され、アッパアーム支持部312が押出し成形されたアルミ合金製の押出部材である前部第2クロスメンバ39を介して連結されている。
【0043】
また、左右一対のアッパサイドフレーム32は、図1及び図2に示すように、フロントサス支持部材31のアッパアーム支持部312と、車室部7のヒンジピラー71とを連結している。
具体的には、アッパサイドフレーム32は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、略矩形の閉断面を所定方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0044】
このアッパサイドフレーム32は、図1及び図2に示すように、所定方向の一端を前端として、前端がアッパアーム支持部312の上面に接合され、前端に対して車幅方向外側、かつ車両上方に位置する後端が、ヒンジピラー71の上端に設けたアルミ合金製の連結部材11の前面に接合されることで、フロントサス支持部材31のアッパアーム支持部312と、ヒンジピラー71の上端とを連結している。
【0045】
なお、アッパサイドフレーム32における車両前後方向略中央の下面には、図1に示すように、ヒンジピラー71の下部に連結される左右一対の補強フレーム40が接合されている。
この左右一対の補強フレーム40は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、略矩形の閉断面を緩やかに湾曲させながら所定方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0046】
そして、補強フレーム40は、アッパサイドフレーム32における車両前後方向略中央の下面に上端が接合され、後述するヒンジピラー71の下部に設けた衝突荷重吸収ボックス上部90の前面に下端が接合されることで、アッパサイドフレーム32とヒンジピラー71の下部とを連結している。
【0047】
また、左右一対の第1ロアサイドフレーム33は、図1及び図2に示すように、アッパサイドフレーム32よりも車両下方において、フロントサス支持部材31のアッパアーム支持部312と、車室部7のヒンジピラー71とを連結している。
具体的には、第1ロアサイドフレーム33は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、略矩形の閉断面を所定方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0048】
この第1ロアサイドフレーム33は、図1及び図2に示すように、所定方向の一端を前端として、前端がアッパアーム支持部312の後面に接合され、前端に対して車幅方向外側、かつ車両下方に位置する後端が、後述するトルクボックス部材93を介して、衝突荷重吸収ボックス上部90における車幅方向内側の側面に接合されることで、フロントサス支持部材31のアッパアーム支持部312と、ヒンジピラー71の下部とを連結している。
【0049】
また、左右一対の第2ロアサイドフレーム34は、図1及び図2に示すように、第1ロアサイドフレーム33よりも車両下方において、フロントサス支持部材31のロアアーム支持部311と、車室部7のサイドシル73とを連結している。
具体的には、第2ロアサイドフレーム34は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、略矩形の閉断面を所定方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0050】
この第2ロアサイドフレーム34は、図1から図3に示すように、所定方向の一端を前端として、前端がロアアーム支持部311の後面に接合され、前端に対して車幅方向外側に位置する後端が、後述するサイドシル73の側面に連結されたトルクボックス部材93に接合されることで、フロントサス支持部材31のロアアーム支持部311と、車室部7のサイドシル73の前端とを連結している。
【0051】
また、左右一対のアッパセンターフレーム35は、図1及び図2に示すように、アッパサイドフレーム32と第1ロアサイドフレーム33との間において、フロントサス支持部材31のアッパアーム支持部312と、車室部7のダッシュパネル78とを連結している。
具体的には、アッパセンターフレーム35は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、内部空間を車両上下方向に隔てる隔壁部分を有する閉断面を、所定方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0052】
このアッパセンターフレーム35は、図1及び図2に示すように、所定方向の一端を前端として、前端に対して後端が車幅方向内側、かつ車両上方に位置するように、車両1の前部車体3に配置されている。
【0053】
ここで、図2に示すように、平面視において、車室部7に配設されたステアリングホイールSと略同じ車両前後方向の位置におけるフロアトンネル82の上面(後述する上面部822c)の位置、換言すると、ステアリングホイールSの車両下方に配設された後述する車室第3クロスメンバ84と略同じ車両前後方向の位置におけるフロアトンネル82の上面(後述する上面部822c)の位置を、第1の所定位置P1として、アッパアーム支持部312の後面と第1の所定位置P1とを結ぶ仮想直線を平面視仮想直線L1とする。
【0054】
これに対して、アッパセンターフレーム35は、図2に示すように、平面視において、平面視仮想直線L1とダッシュパネル78とが交差する位置近傍に、後端が位置するように、車両1の前部車体3に配置されている。
【0055】
さらに、アッパセンターフレーム35の後端は、図1に示すように、側面視において、車室部7におけるダッシュパネル78の上端近傍に位置するように配設されている。
このように配設されたアッパセンターフレーム35は、図1及び図2に示すように、前端がアッパアーム支持部312の後面に接合され、後端がダッシュパネル78に一体的に設けた前部フレーム連結部材94に接合されることで、フロントサス支持部材31のアッパアーム支持部312と、ダッシュパネル78とを連結している。なお、前部フレーム連結部材94については、後ほど詳述する。
【0056】
また、左右一対のロアセンターフレーム36は、図1から図3に示すように、フロントサス支持部材31のロアアーム支持部311と、車室部7のトンネルサイドフレーム88を連結している。
具体的には、ロアセンターフレーム36は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、略矩形の閉断面を所定方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0057】
このロアセンターフレーム36は、図1及び図3に示すように、所定方向の一端を前端として、前端に対して後端が車幅方向内側に位置するように、車両1の前部車体3に配置されている。
より詳しくは、ロアセンターフレーム36は、ロアアーム支持部311と、後述する車室部7のフロアトンネル82における車両前後方向略中央とを結ぶ仮想直線(図示省略)に沿うように配置されている。
【0058】
そして、ロアセンターフレーム36は、図1及び図3に示すように、前端がロアアーム支持部311近傍のフロントサスクロス37に締結固定され、後端がトンネルサイドフレーム88の前端に連結されたアルミダイキャスト製の連結部材12に締結固定されることで、フロントサス支持部材31のロアアーム支持部311と、トンネルサイドフレーム88を連結している。
【0059】
一方、車室部7は、上述したように、左右一対のヒンジピラー71と、左右一対のセンターピラー72と、左右一対のサイドシル73と、左右一対の車室上方側方フレームと、フロントヘッダと、ルーフレインフォースメントと、リヤヘッダと、ダッシュパネル78と、カウルボックス79と、後壁部80と、車室第1クロスメンバ81と、フロアトンネル82と、左右一対の車室第2クロスメンバ83と、左右一対の車室第3クロスメンバ84と、左右一対の車室第4クロスメンバ85と、フロアパネル86と、運転席87と、トンネルサイドフレーム88と、トンネルアッパフレーム89とを備えている。
【0060】
左右一対のヒンジピラー71は、図2に示すように、平面視において、フロントサス支持部材31に対して、車幅方向外側、かつ車両後方の位置に配設されている。このヒンジピラー71は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、略矩形の閉断面を所定方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0061】
そして、ヒンジピラー71は、図1に示すように、所定方向の一端を下端として、下端に対して上端が車両前方に位置するように、車両1の車室部7に配設されている。
なお、ヒンジピラー71には、図1及び図2に示すように、アッパサイドフレーム32の後端、及び車室上方側方フレームの前端が接合されるアルミ合金製の連結部材11が上端に接合され、車両前方からの衝突荷重を吸収する略ボックス形状の衝突荷重吸収ボックス上部90が下部前面に接合されている。
【0062】
この衝突荷重吸収ボックス上部90は、図3に示すように、後述するサイドシル73を車両前方へ延設して形成した衝突荷重吸収ボックス下部91とで、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が閉断面をなす略ボックス状に形成されている。
【0063】
また、左右一対のセンターピラー72は、図1に示すように、ヒンジピラー71に対して車両後方に所定間隔を隔てた位置に配設されるとともに、車両1のサイドドア(図示省略)の開口における後端縁をなしている。このセンターピラー72は、下端がサイドシル73の後端に接合され、上端がサイドシル73の後端よりも僅かに車両後方の位置で、車室上方側方フレームに連結されている。
【0064】
具体的には、センターピラー72は、サイドシル73の後端に接合された下端から車両上方、かつ僅かに車両後方へ向けて延設されたピラー下部と、後述する車室第1クロスメンバ81よりも僅かに車両上方の位置から車両上方へ延設され、車室上方側方フレームに連結されたピラー上部とで構成されている。
【0065】
センターピラー72は、詳細な図示を省略するが、アルミ合金製のピラーアウタパネルと、アルミ合金製のピラーインナパネル72a(図1参照)とを車幅方向で接合して、車両前後方向に沿った水平断面における断面形状が、車両後方が開口した開断面形状に形成されている。
【0066】
また、左右一対のサイドシル73は、図1から図3に示すように、ヒンジピラー71の下端とセンターピラー72の下端とを車両前後方向に連結している。
具体的には、サイドシル73は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、複数の区画に区切られた閉断面を車両前後方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0067】
そして、サイドシル73は、図1に示すように、前端近傍の上面にヒンジピラー71の下端が接合され、後端にセンターピラー72の下端が接合されている。
なお、サイドシル73の前端には、サイドシル73をさらに所定長さ車両前方へ延設するとともに、前端開口を閉塞して、車両前方からの衝突荷重を吸収する衝突荷重吸収ボックス下部91が構成されている。
【0068】
また、左右一対の車室上方側方フレームは、詳細な図示を省略するが、ヒンジピラー71の上端と、後部車体5のリヤピラー(図示省略)とを、車室部7の上部をとおって連結している。
具体的には、車室上方側方フレームは、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、車両1におけるフロントピラーに相当する部分と、車両1におけるルーフサイドレールに相当する部分とを一体形成した形状に形成されている。
【0069】
また、フロントヘッダは、詳細な図示を省略するが、車室上方側方フレームにおけるルーフサイドレールに相当する部分の前端同士を車幅方向に連結している。このフロントヘッダは、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、断面略ハット状のアッパパネルと、断面略ハット状のロアパネルとを車両上下方向で接合して閉断面をなすよう構成されている。
【0070】
また、ルーフレインフォースメントは、詳細な図示を省略するが、車室上方側方フレームにおけるルーフサイドレールに相当する部分において、車両前後方向略中央を車幅方向に連結している。このルーフレインフォースメントは、アルミ合金製のアッパパネルと、アルミ合金製のロアパネルとを車両上下方向で接合して、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、断面略矩形の閉断面をなすよう構成されている。
【0071】
また、リヤヘッダは、詳細な図示を省略するが、リヤピラーと車室上方側方フレームとの境界近傍を車幅方向に連結している。このリヤヘッダは、アルミ合金製のアッパパネルと、アルミ合金製のロアパネルとを車両上下方向で接合して、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、断面略菱形の閉断面をなすよう構成されている。
【0072】
また、ダッシュパネル78は、図4に示すように、車室部7の空間と、車室部7よりも車両前方の空間を隔てる前壁をなすアルミ合金製の隔壁部材であって、ヒンジピラー71の上端からサイドシル73の下端に至る車両上下方向の範囲を車幅方向に連結する形状に形成されている。
さらに、ダッシュパネル78は、車幅方向略中央近傍の下端が、後述するフロアトンネル82と連続するように、車両下方が開口した正面視略門型形状に形成されている。
【0073】
このダッシュパネル78の前面には、図2から図4に示すように、衝突荷重吸収ボックス上部90とこれに隣接するダッシュパネル78の前面とで閉断面をなす左右一対のガセット部材92と、衝突荷重吸収ボックス下部91とこれに隣接するダッシュパネル78の前面とで閉断面をなす左右一対のトルクボックス部材93とが接合されている。
【0074】
ガセット部材92には、詳細な図示を省略するが、衝突荷重吸収ボックス上部90の側面に接合される第1ロアサイドフレーム33が貫通する開口部が開口形成されている。そして、ガセット部材92の開口部は、開口部に挿通された第1ロアサイドフレーム33に接合されている。
トルクボックス部材93の前面には、図4に示すように、第2ロアサイドフレーム34の後端が接合されている。
【0075】
また、カウルボックス79は、図2及び図4に示すように、ダッシュパネル78の上端に接合されるとともに、左右の連結部材11を車幅方向に連結している。
具体的には、カウルボックス79は、図2、及び図4に示すように、下端がダッシュパネル78に接合されるとともに、図示を省略したフロントウインドウガラスの下端を支持するアルミ合金製のカウルインナパネル791と、カウルインナパネル791の前端に接合されたアルミ合金製のカウルアウタパネル792とで、車両上方が開口した略ボックス状に形成されている。
【0076】
このカウルボックス79は、図2及び図4に示すように、左右のアッパセンターフレーム35の後端と略同じ車幅方向の位置において、前部フレーム連結部材94に対応する大きさで切り欠いた切欠き部分が、カウルアウタパネル792に設けられている。そして、カウルボックス79の切欠き部分には、左右一対の前部フレーム連結部材94が接合されている。
【0077】
左右一対の前部フレーム連結部材94は、アルミダイキャスト製であって、図5に示すように、ダッシュパネル78の上部、及びカウルボックス79に接合され、ダッシュパネル78、及びカウルボックス79とともに、車室部7の前壁の一部をなす形状に形成されている。
【0078】
この前部フレーム連結部材94は、図5に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、ダッシュパネル78に沿った断面形状に形成された下部94aと、カウルアウタパネル792の前面に沿うように、下部94aの上端から車両上方へ延設された上部94bと、カウルボックス79の底部をなすように、上部94bの下端から車両後方へ延設された底部形成部分94cと、アッパセンターフレーム35の後端が嵌合可能に、下部94aの前面から車両前方へ延設した前側嵌合部94dと、後述するトンネルアッパフレーム89の前端が嵌合可能に下部94aの後面から車両後方へ延設した後側嵌合部94eとで一体形成されている。
【0079】
なお、前部フレーム連結部材94の前側嵌合部94dと、後側嵌合部94eとは、車両前後方向で対向するように形成されている。
さらに、前部フレーム連結部材94における上部94bの前面には、前部フレーム連結部材94とアッパセンターフレーム35の後端上面とを連結するアルミダイキャスト製の連結部材13が接合されている。
【0080】
また、後壁部80は、図4に示すように、左右のセンターピラー72を連結するとともに、後述する車室第1クロスメンバ81と後述する車室第4クロスメンバ85とを連結するアルミ合金製のパネル部材であって、車室部7における車両後方の隔壁をなしている。
なお、後壁部80には、ダッシュパネル78と同様に、車幅方向略中央近傍の下端が、後述するフロアトンネル82と連続するように、車両下方が開口した正面視略門型形状に形成されている。
【0081】
また、車室第1クロスメンバ81は、図2及び図4に示すように、センターピラー72における車両上下方向略中央よりも車両下方の位置において、左右のセンターピラー72を車幅方向に連結している。
【0082】
具体的には、車室第1クロスメンバ81は、図4に示すように、車室第1クロスメンバ81の前面、及び上面をなすアルミ合金製のアッパパネル811と、アッパパネル811に対して車両下方に位置するとともに、車室第1クロスメンバ81の下面及び後面をなすアルミ合金製のロアパネル812とを接合して、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が閉断面をなすよう構成されている。
【0083】
また、フロアトンネル82は、図1及び図2に示すように、車室部7における車幅方向略中央において、ダッシュパネル78と後壁部80とを車両前後方向に連結している。
具体的には、フロアトンネル82は、図6及び図7に示すように、車幅方向の側壁をなす左右一対の側壁パネル821と、フロアトンネル82の上面をなす上面パネル822とで、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面略門型形状になる構成されている。なお、フロアトンネル82における左右一対の側壁パネル821、及び上面パネル822は、アルミ合金製のパネル部材で形成されている。
【0084】
側壁パネル821は、図7及び図8に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が、車幅方向に厚みを有する略平板状であって、下端が後述するトンネルサイドフレーム88の接合されている。この側壁パネル821は、上面パネル822の上面(後述する上面部822c)よりも車両上方に突出する車両上下方向の長さで形成されている。
【0085】
そして、側壁パネル821における上面パネル822よりも車両上方に突出した部分は、後述するトンネルアッパフレーム89(後述するフレーム前部891の後端近傍、及びフレーム後部892)を挟持するように、トンネルアッパフレーム89の外方側面部89dに接合されている。
【0086】
上面パネル822は、図6から図8に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が、車両下方が開口した断面略門型形状であって、側壁パネル821における車幅方向内側の面に接合される左右の接合面部822aと、接合面部822aの上端から車幅方向内側、かつ車両後方へ傾斜した左右の傾斜面部822b(図8参照)と、傾斜面部822bの上端を車幅方向に連結して、フロアトンネル82における上面となる上面部822cとで一体形成されている。
【0087】
傾斜面部822bは、図6から図8に示すように、車両前方から車両後方に向うほど幅広になるよう形成されている。
上面部822cにおける車幅方向略中央には、図6から図8に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、車両前方から車両後方に向うほど車両下方へ凹状に突設された凹溝状の溝部分822dが、車両前後方向に沿って形成されている。
【0088】
さらに、フロアトンネル82の下端には、図2及び図6に示すように、後述する車室第3クロスメンバ84と車室第4クロスメンバ85との間に配置されるとともに、シートレール(図示省略)が連結されるシートレール取付け部材95が接合されている。
【0089】
また、左右一対の車室第2クロスメンバ83は、図2から図4に示すように、サイドシル73の前端近傍と、フロアトンネル82の前端近傍とを車幅方向に連結している。この車室第2クロスメンバ83は、アルミ合金製のアッパパネルと、アルミ合金製のロアパネルとを接合して、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が断面略矩形の閉断面をなすよう形成されている。
なお、車室第2クロスメンバ83における車幅方向内側の下面には、ロアセンターフレーム36、及びトンネルサイドフレーム88が連結される連結部材12が接合されている。
【0090】
また、左右一対の車室第3クロスメンバ84は、図2から図4に示すように、車室部7における車両前後方向略中央において、サイドシル73とフロアトンネル82とを車幅方向に連結している。
具体的には、車室第3クロスメンバ84は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、略台形の閉断面を車幅方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0091】
さらに、車室第3クロスメンバ84における車幅方向内側の下面には、トンネルサイドフレーム88のサイドフレーム前部881と、サイドフレーム後部883とが連結されるサイドフレーム連結部材882が接合されている。
なお、車室第3クロスメンバ84の車両上方には、乗員によって操作されるステアリングホイールSが配設されている。このステアリングホイールSの周辺には、運転席87に着座した乗員の脚部、特に膝周辺が位置している。
【0092】
また、左右一対の車室第4クロスメンバ85は、図2から図4に示すように、サイドシル73の後端近傍と、フロアトンネル82の後端近傍とを車幅方向に連結している。この車室第4クロスメンバ85は、アルミ合金製のアッパパネルと、アルミ合金製のロアパネルとを接合して、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が断面略矩形の閉断面をなすよう形成されている。
【0093】
また、フロアパネル86は、図2に示すように、サイドシル73とフロアトンネル82との間において、車室第2クロスメンバ83と車室第3クロスメンバ84との間の開口、並びに車室第3クロスメンバ84と車室第4クロスメンバ85との間の開口を閉塞するとともに、車室部7の床面をなすよう形成されている。
また、運転席87は、図2に示すように、車室第3クロスメンバ84と車室第4クロスメンバ85との間に、車両前後方向にスライド移動可能に載置されている。
【0094】
また、左右一対のトンネルサイドフレーム88は、図3に示すように、底面視において、フロアトンネル82における車幅方向の両端に沿って配設されている。
具体的には、トンネルサイドフレーム88は、図3に示すように、底面視において、フロアトンネル82の前端から車室第3クロスメンバ84に至る範囲を車両前後方向に延びるサイドフレーム前部881と、車室第3クロスメンバ84における車幅方向内側の端部近傍に接合されたアルミダイキャスト製のサイドフレーム連結部材882と、車室第3クロスメンバ84からフロアトンネル82の後端に至る範囲を車両前後方向に延びるサイドフレーム後部883とで構成されている。
【0095】
サイドフレーム前部881は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、略矩形の閉断面を所定方向に延設した略筒状体に形成されている。このサイドフレーム前部881は、図3に示すように、所定方向の一端を前端として、ロアセンターフレーム36の後端から連続するように、前端に対して後端が車幅方向内側に位置する状態で、車両1の車室部7に配設されている。
そして、サイドフレーム前部881は、図3に示すように、前端がロアセンターフレーム36の後端に設けた連結部材12に接合され、後端がサイドフレーム連結部材882に接合されている。
【0096】
サイドフレーム後部883は、図8に示すように、アルミ合金製のアッパパネル883aと、アルミ合金製のロアパネル883bとを接合して、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が、断面略矩形の閉断面をなすよう形成されている。このサイドフレーム後部883は、図3に示すように、前端がサイドフレーム連結部材882に接合され、後端が車室第4クロスメンバ85に接合されている。
【0097】
また、左右一対のトンネルアッパフレーム89は、図1に示すように、側面視において、前部フレーム連結部材94に接合された前端から車両後方下方へ延設されたのち、車両後方へ向けて延設されている。
さらに、左右一対のトンネルアッパフレーム89は、図2に示すように、平面視において、前部フレーム連結部材94に接合された前端から車幅方向内側、かつ車両後方へ延設されたのち、フロアトンネル82の車両上方で車両後方へ向けて延設された形状に形成されている。
【0098】
そして、左右のトンネルアッパフレーム89は、図1及び図2に示すように、車室部7における車幅方向略中央において、前部車体3のアッパセンターフレーム35と、車室第1クロスメンバ81とを車両前後方向に連結している。
具体的には、トンネルアッパフレーム89は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、車幅方向外側、かつ車両上方の隅部が面取りされた断面略矩形の閉断面を所定方向に延設した略筒状体に形成されている。
【0099】
より詳しくは、トンネルアッパフレーム89は、図7及び図8に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、トンネルアッパフレーム89の下面、及び上面をなす下面部89a、及び上面部89bと、トンネルアッパフレーム89の側面をなす内方側面部89c、外方側面部89d、及び面取り部89eとで、車幅方向外側、かつ車両上方の隅部が面取りされた断面略矩形の閉断面形状に形成されている。
【0100】
下面部89aは、図7及び図8に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、車両上下方向に厚みを有する略平板状の断面形状に形成されている。
上面部89bは、図7及び図8に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、車両上下方向に厚みを有するとともに、下面部89aよりも幅狭な略平板状の断面形状に形成されている。
【0101】
内方側面部89cは、図7及び図8に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、下面部89aにおける車幅方向内側の端部と、上面部89bにおける車幅方向内側の端部とを略鉛直に連結する略平板状の断面形状に形成されている。
外方側面部89dは、図7及び図8に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、下面部89aにおける車幅方向外側の端部から車両上方、かつ僅かに車幅方向内側へ向けて延設された略平板状の断面形状に形成されている。
【0102】
面取り部89eは、図7及び図8に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、外方側面部89dの上端から車両上方、かつ車幅方向内側へ向けて延設されるとともに、その先端が上面部89bにおける車幅方向外側の端部に連結された略平板状の断面形状に形成されている。
なお、左右のトンネルアッパフレーム89は、それぞれ車幅方向に沿った縦断面における断面形状の車幅方向長さが、フロアトンネル82の上部近傍における車幅方向長さの半分以下となるよう形成されている。
【0103】
上述した断面形状のトンネルアッパフレーム89について、さらに詳述すると、トンネルアッパフレーム89は、図1図2、及び図9に示すように、前部フレーム連結部材94を介してアッパセンターフレーム35に前端が連結されたフレーム前部891と、フロアトンネル82の上面部822cに載置固定されるとともに、フロアトンネル82の上面部822cに沿って車両後方へ延びるフレーム後部892とで一体形成されている。
【0104】
フレーム前部891は、図2に示すように、平面視において、アッパセンターフレーム35から連続するように、前端から上述した平面視仮想直線L1に沿って車両後方、かつ車幅方向内側へ向けて延設されるとともに、第1の所定位置P1で、他方のトンネルアッパフレーム89に近接する形状に形成されている(図7参照)。
【0105】
なお、フレーム前部891の後部は、図2に示すように、平面視において、第1の所定位置P1よりも僅かに車両前方の位置から、フロアトンネル82の上面部822cへ向けて、車両後方へ向けて緩やかに屈曲している。
このフレーム前部891は、図1及び図4に示すように、側面視において、第1の所定位置P1よりも車両後方の位置へ向けて延設されている。
【0106】
具体的には、図1及び図4に示すように、運転席87が最も車両後方のスライド位置に位置する状態において、運転席87の座面部87aにおける車両前後方向略中央の位置を座席中央とし、座席中央と略同じ車両前後方向の位置におけるフロアトンネル82の上面部822cの位置を第2の所定位置P2とする。
【0107】
この第2の所定位置P2は、図1及び図4に示すように、車両前後方向において、運転席87に着座した乗員の腕部、特に肘部の位置と略同じ位置に位置している。なお、第2の所定位置P2は、上面部822cよりも僅かに車両上方の位置に設定されている。
【0108】
そして、側面視において、前部フレーム連結部材94の後側嵌合部94eと第2の所定位置P2とを結ぶ仮想直線を側面視仮想直線L2とする。
これに対して、フレーム前部891は、図1及ぶ図4に示すように、側面視において、側面視仮想直線L2に沿うように前端から車両後方下方へ向けて延設されている。
【0109】
一方、フレーム後部892は、図2に示すように、平面視において、フレーム前部891の後端から、フロアトンネル82の上面部822cに沿うように車両後方へ向けて略直線状に延設した形状に形成されている。なお、フレーム後部892は、図2及び図8に示すように、内方側面部89cが、他方のフレーム後部892における内方側面部89cに接合されている。
【0110】
さらに、フレーム後部892は、図1及び図4に示すように、側面視において、フレーム前部891から連続するように側面視仮想直線L2に沿って車両後方下方へ延設されたのち、第2の所定位置P2近傍で車両後方へ向けて延設されている。
【0111】
つまり、フレーム後部892は、図8に示すように、第2の所定位置P2よりも車両前方の部分が、フロアトンネル82の上面部822cに対して車両上方に離間し、第2の所定位置P2よりも車両後方の部分が、フロアトンネル82の上面部822cに載置されている。
そして、フレーム後部892における第2の所定位置P2よりも車両後方の部分が、図10に示すように、フロアトンネル82の上面部822cに接合されている。
【0112】
このような左右一対のトンネルアッパフレーム89には、図6及び図7に示すように、車幅方向に離間しているフレーム前部891の後部を、車幅方向に連結補強するアルミ合金製の補強部材96が接合されている。
【0113】
この補強部材96は、図6及び図7に示すように、車幅方向に沿った断面において、車両上方が開口した断面略逆門型形状の補強本体部96aと、補強本体部96aの上端から車方向外側へ延設したフランジ部96bとで一体形成されている。
【0114】
補強本体部96aは、図6及び図11に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、車両前方側がフロアトンネル82の上面部822cに接合され、車両後方へ向かうほど上面部822cから離間する、すなわち車両後方へ向かうほど浅くなる形状に形成されている。
【0115】
なお、補強本体部96aは、図6に示すように、平面視において、左右のフレーム前部891の間隔に対応して、車幅方向の長さが、車両前方から車両後方へ向かうほど短くなるよう形成されている。
フランジ部96bは、図6に示すように、補強本体部96aの上端縁に沿って形成されている。このフランジ部96bは、図7及び図11に示すように、左右のフレーム前部891における下面に接合されている。
【0116】
以上のように、車両1のフロントサスペンション2を支持する左右一対のフロントサス支持部材31と、車両1の車室内をフロアトンネル82に沿って車両前後方向に延びる左右一対のトンネルアッパフレーム89とを備えた車両1の車体構造は、平面視において、フロントサス支持部材31に連結された前端から、車幅方向内側、かつフロアトンネル82よりも車幅方向外側へ向けて車両後方へ延びる左右一対のアッパセンターフレーム35を備え、トンネルアッパフレーム89が、平面視において、アッパセンターフレーム35の後端に連結された前端から車幅方向内側、かつフロアトンネル82の上面部822cへ向けて車両後方へ延びるフレーム前部891と、平面視において、フレーム前部891の後端からフロアトンネル82の上面部822cに沿って車両後方に延びるとともに、他方のトンネルアッパフレーム89に近接または連結されたフレーム後部892とで一体形成されたことにより、車両1の車体剛性を向上できるともに、運転席87を所望位置に配設することができる。
【0117】
具体的には、アッパセンターフレーム35とトンネルアッパフレーム89とが連結されているため、車両1の車体構造は、フロントサスペンション2の支持剛性と、車体剛性の向上を図ることができる。
【0118】
さらに、車室内において、トンネルアッパフレーム89のフレーム後部892が他方のトンネルアッパフレーム89に近接または連結されているため、車両1の車体構造は、平面視において、左右のフレーム後部892を合わせた車幅方向の長さを短く抑えることができる。
【0119】
これにより、車両1の車体構造は、運転席87の座面部87aよりも車両上方の空間が、トンネルアッパフレーム89によって圧迫されることを抑えることができる。このため、車両1の車体構造は、車室内において、乗員が着座する運転席87を車幅方向のより内側に配設することができる。
従って、車両1の車体構造は、車両1の車体剛性を向上できるともに、運転席87を所望位置に配設することができる。
【0120】
また、左右のアッパセンターフレーム35が、平面視において、フロントサス支持部材31とフロアトンネル82の上面部822cにおける第1の所定位置P1とを結ぶ平面視仮想直線L1に沿って略直線状に延びる形状に形成され、トンネルアッパフレーム89のフレーム前部891が、平面視において、平面視仮想直線L1に沿って略直線状に延びる形状に形成され、第1の所定位置P1が、平面視において、車両前後方向におけるステアリングホイールSの位置と略同じ車両前後方向の位置としたことにより、車両1の車体構造は、運転席87を所望位置に配設できるとともに、荷重伝達効率を損なうことなく、車両1の車体剛性を安定して向上することができる。
【0121】
具体的には、車両前後方向におけるステアリングホイールSの位置と略同じ車両前後方向の位置のフロアトンネル82の上面部822cに向けて延びる形状にトンネルアッパフレーム89のフレーム前部891が形成されたことにより、車両1の車体構造は、ステアリングホイールSよりも車両後方に位置する乗員の腕部、及びステアリングホイールS近傍に位置する乗員の膝周辺が、後端に対して前端が車幅方向外側に位置するフレーム前部891に接触することを防止できる。このため、車両1の車体構造は、運転席87を車幅方向のより内側に配設することができる。
【0122】
さらに、トンネルアッパフレーム89のフレーム前部891が、平面視において、アッパセンターフレーム35から連続するように略直線的に延設されるため、車両1の車体構造は、平面視におけるトンネルアッパフレーム89のフレーム前部891とアッパセンターフレーム35との相対角度を限りなく小さくすることができる。
【0123】
加えて、車両1の車体構造は、例えば、ステアリングホイールSよりも車両前方の位置を第1の所定位置P1とした場合に比べて、第1の所定位置P1をより車両後方に位置させることができるため、フレーム前部891とフレーム後部892との相対角度をより小さくすることができる。
【0124】
これにより、車両1の車体構造は、アッパセンターフレーム35からトンネルアッパフレーム89のフレーム後部892に至る範囲における荷重伝達効率の低下を抑えるとともに、平面視におけるトンネルアッパフレーム89の屈曲部分であるフレーム前部891とフレーム後部892との境界近傍が応力集中部位となることを防止できる。
従って、車両1の車体構造は、運転席87を所望位置に配設できるとともに、荷重伝達効率を損なうことなく、車両1の車体剛性を安定して向上することができる。
【0125】
また、トンネルアッパフレーム89が、押出成形で形成された内部中空の押出部材で構成されたことにより、車両1の車体構造は、フレーム前部891とフレーム後部892とを別体で構成した場合に比べて、部品点数の増加を抑えることができるとともに、フレーム前部891とフレーム後部892との間における荷重伝達効率の低下を抑えることができる。
従って、車両1の車体構造は、押出部材で構成された左右のトンネルアッパフレーム89により、荷重伝達効率をより損なうことなく、車両1の車体剛性をより向上することができる。
【0126】
また、トンネルアッパフレーム89のフレーム後部892が、他方のトンネルアッパフレーム89におけるフレーム後部892に接合されたことにより、車両1の車体構造は、トンネルアッパフレーム89のフレーム前部891から伝達された荷重を、フレーム前部891から連続するフレーム後部892と、他方のトンネルアッパフレーム89におけるフレーム後部892とに分散伝達することができる。
【0127】
これにより、車両1の車体構造は、フレーム前部891とフレーム後部892との境界近傍が、応力集中部位となることをより確実に防止できるとともに、左右一対のトンネルアッパフレーム89における荷重伝達効率をより確実に向上することができる。
従って、車両1の車体構造は、互いに接合されたフレーム後部892により、荷重伝達効率を向上できるとともに、車両1の車体剛性をより確実に向上することができる。
【0128】
また、トンネルアッパフレーム89におけるフレーム前部891の後端近傍を、互いに連結補強する補強部材96を備えたことにより、車両1の車体構造は、平面視において、車幅方向に離間しているフレーム前部891の後端近傍を、補強部材96によって補強することができる。つまり、車両1の車体構造は、フレーム前部891の後端近傍における剛性を向上することができる。
【0129】
このため、車両1の車体構造は、フレーム前部891からフレーム後部892にかけて剛性が急激に変化することを抑えるとともに、フレーム前部891とフレーム後部892との境界近傍が応力集中部位となることをより確実に防止できる。
【0130】
さらに、例えば、左右のフレーム前部891に異なるタイミングで荷重が入力された際、車両1の車体構造は、左右のフレーム前部891における後端が互いに異なる方向へ変位することを補強部材96によって抑えることができる。
この際、フレーム後部892同士が接合されていない場合であっても、車両1の車体構造は、一方のトンネルアッパフレーム89に作用する荷重を他方のトンネルアッパフレーム89に補強部材96を介して伝達することができる。
【0131】
これにより、車両1の車体構造は、左右一対のトンネルアッパフレーム89の捩れ変形を抑えるとともに、異なるタイミングで入力された荷重をフレーム後部892へ効率よく伝達することができる。
従って、車両1の車体構造は、フレーム前部891の後端近傍を連結補強する補強部材96により、荷重伝達効率をより向上できるとともに、車両1の車体剛性をさらに向上することができる。
【0132】
また、アッパセンターフレーム35の後端上面と、前部フレーム連結部材94の上部94bとを連結するアルミダイキャスト製の連結部材13を備えたことにより、車両1の車体構造は、車両前方からの荷重が作用した際、アッパセンターフレーム35の後端が車両上方へ変位することを、連結部材13によって抑えることができる。これにより、車両1の車体構造は、アッパセンターフレーム35からトンネルアッパフレーム89へ効率よく荷重を伝達することができる。
【0133】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のサスペンション支持部材は、実施形態のフロントサス支持部材31に対応し、
以下同様に、
トンネルフレームは、トンネルアッパフレーム89に対応し、
車体骨格フレームは、アッパセンターフレーム35に対応し、
所定位置は、第1の所定位置P1に対応し、
仮想直線は、平面視仮想直線L1に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0134】
例えば、上述した実施形態において、左右のトンネルアッパフレーム89におけるフレーム後部892を互いに接合した構成としたが、これに限定せず、フレーム後部892を車幅方向に連結する連結部材で連結した構成としてもよい。
あるいは、例えば、車幅方向に僅かに成形ばらつきを加味した隙間を設けて隣接させたフレーム後部892を、フロアトンネル82の上面部822cに接合した構成としてもよい。
【0135】
また、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面略逆門型形状の補強部材96で、トンネルアッパフレーム89のフレーム前部891を連結補強したが、これに限定せず、例えば、別の補強部材の断面図を示す図12のように、車幅方向に離間したフレーム前部891の上面部89b、及び下面部89aをそれぞれ連結する上下一対の平板部材で構成された補強部材97としてもよい。
【0136】
あるいは、上述した断面略逆門型形状の補強部材と、フレーム前部891の上面部89bを連結する略平板状の平板部材とで、車幅方向に離間したフレーム前部891の後部を連結補強する補強部材を構成してもよい。
【符号の説明】
【0137】
1…車両
2…フロントサスペンション
31…フロントサス支持部材
35…アッパセンターフレーム
82…フロアトンネル
89…トンネルアッパフレーム
96…補強部材
97…補強部材
822c…上面部
891…フレーム前部
892…フレーム後部
L1…平面視仮想直線
P1…第1の所定位置
S…ステアリングホイール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12