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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】基板構造体
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20220125BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
H05K1/14 F
H05K1/18 H
H05K1/18 S
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018135251
(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2020013897
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】平谷 俊悟
(72)【発明者】
【氏名】奥見 慎祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 有延
(72)【発明者】
【氏名】原口 章
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220277(JP,A)
【文献】特開2017-139303(JP,A)
【文献】特開2017-132355(JP,A)
【文献】特開2006-033994(JP,A)
【文献】特開2002-095138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
H05K 1/18
H05K 7/06
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の導電片を有する第1回路基板と、該第1回路基板から離隔配置された第2回路基板とを備え、前記導電片に複数の半導体素子が配置され、前記複数の半導体素子の端子が前記導電片と接続する基板構造体であって、
前記複数の半導体素子は、前記導電片の隣り合う2つの辺縁部に配列されており、
前記導電片の前記2つの辺縁部に沿って設けられ、各半導体素子の特定端子と前記第2回路基板とを通電させる複数の通電線が設けられている通電線群シートを備え、
各半導体素子は、前記特定端子が前記導電片の外側を向くように設けられている基板構造体。
【請求項2】
前記通電線群シートは前記導電片と前記通電線とを絶縁させる絶縁フィルムを含み、
前記通電線群シートの一部は前記導電片の上に貼り付けられ、
前記通電線群シートの一部上に配置された回路素子を備える請求項1に記載の基板構造体。
【請求項3】
前記通電線群シートはFPC(Flexible Printed Circuits)である請求項1又は2に記載の基板構造体。
【請求項4】
前記第1回路基板及び前記第2回路基板は対向配置されており、
前記通電線群シートは、前記第1回路基板において、前記第2回路基板との対向面に貼り付けられている請求項3に記載の基板構造体。
【請求項5】
前記半導体素子は電界効果トランジスタであり、
前記特定端子はゲートである請求項1から4の何れか一つに記載の基板構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的小さな電流を導通させる回路を構成する導電パターンが形成された基板に対して、比較的大きな電流を導通させるための回路を構成する導電片(バスバー等とも称される)が設けられた基板構造体が一般的に知られている。
【0003】
特許文献1には、一対のバスバーと、斯かる一対のバスバー上に実装されたパワー半導体と、該パワー半導体を制御する制御部を実装した制御基板と、前記一対のバスバーの上面に設けられて前記パワー半導体の制御端子と前記制御基板とを電気的に接続するFPCとを有する電気接続箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-220277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の電気接続箱においては、FPCが一対のバスバーの略全面を覆うように設けられているので、FPCが大きくなり、電気接続箱のコンパクト化が困難である。
【0006】
また、FPCが一対のバスバーの略全面を覆っているので、パワー半導体と一対のバスバーとの電気的接続のため、パワー半導体の各端子の位置に応じてFPCに切り欠きを設ける必要がある。従って、FPCの形状が複雑になる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より簡単な構造で、コンパクトな基板構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る基板構造体は、導電片を有する第1回路基板と、該第1回路基板から離隔配置された第2回路基板とを備え、前記導電片に複数の半導体素子が配置され、前記複数の半導体素子の端子が前記導電片と接続する基板構造体であって、前記導電片の一部を覆い、各半導体素子の特定端子と前記第2回路基板とを通電させる複数の通電線が設けられている通電線群シートを備え、並設される半導体素子同士は、並設方向に対して同一方向に前記特定端子が配置するように設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、より簡単な構造で、コンパクトな基板構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る電気装置の正面図である。
図2】本実施形態に係る電気装置の分解図である。
図3】本実施形態に係る電気装置の基板構造体を上方から見た平面図である。
図4】本実施形態に係る基板構造体において、並設されたFETの付近を拡大して示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の一態様に係る基板構造体は、導電片を有する第1回路基板と、該第1回路基板から離隔配置された第2回路基板とを備え、前記導電片に複数の半導体素子が配置され、前記複数の半導体素子の端子が前記導電片と接続する基板構造体であって、前記導電片の一部を覆い、各半導体素子の特定端子と前記第2回路基板とを通電させる複数の通電線が設けられている通電線群シートを備え、並設される半導体素子は、並設方向に対して同一方向に前記特定端子が配置するように設けられている。
【0013】
本態様にあっては、第1回路基板の複数の半導体素子の特定端子が、斯かる第1回路基板から離隔配置された第2回路基板に、通電線群シートを介してまとめて接続されている。かつ、並設された複数の半導体素子は、並設方向に対して同一方向に前記特定端子が配置されている。
従って、通電線群シートを、並設された複数の半導体素子の前記特定端子付近にのみ設ければ良く、通電線群シートを小型化し、かつ簡単な構造にすることができる。日を入れるいては、基板構造体をコンパクト化できる。
【0014】
(2)本開示の一態様に係る基板構造体は、前記通電線群シートは前記導電片と前記通電線とを絶縁させる絶縁フィルムを含み、前記通電線群シートの一部は前記導電片の上に貼り付けられ、前記通電線群シートの一部上に配置された上側半導体素子を備える。
【0015】
本態様にあっては、導電片の上側であって、通電線群シートの上に上側半導体素子が配置されている。従って、導電片の上側にも他の半導体素子を実装でき、基板構造体をコンパクト化できる。
【0016】
(3)本開示の一態様に係る基板構造体は、前記通電線群シートはFPC(Flexible Printed Circuits)である。
【0017】
本態様にあっては、通電線群シートとしてFPCを用いる。従って、回路基板の製造工程を簡素化できる。
【0018】
(4)本開示の一態様に係る基板構造体は、前記第1回路基板及び前記第2回路基板は対向配置されており、前記通電線群シートは、前記第1回路基板において、前記第2回路基板との対向面に貼り付けられている。
【0019】
本態様にあっては、通電線群シートが、第1回路基板において、第2回路基板との対向面に貼り付けられているので、第2回路基板までの通電線群シートの長さを短縮させることが出来る。
【0020】
(5)本開示の一態様に係る基板構造体は、前記半導体素子は電界効果トランジスタであり、前記特定端子はゲートである。
【0021】
本態様にあっては、第1回路基板の複数の電界効果トランジスタのゲート端子が、斯かる第1回路基板から離隔配置された第2回路基板に、通電線群シートを介してまとめて接続されている。かつ、並設された複数の電界効果トランジスタは、並設方向に対して同一方向にゲート端子が配置されている。
従って、通電線群シートを、並設された複数の電界効果トランジスタのゲート端子付近にのみ設ければ良く、通電線群シートを小型化し、かつ簡単な構造にすることができる。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明をその実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る基板構造体を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
以下においては、本実施形態に係る基板構造体を備えた電気装置を例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態に係る電気装置1の正面図である。
電気装置1は、車両が備えるバッテリなどの電源と、ランプ、ワイパ等の車載電装品又はモータなどからなる負荷との間の電力供給経路に配される電気接続箱を構成する。電気装置1は、例えばDC-DCコンバータ、インバータなどの半導体素子として用いられる。
【0024】
電気装置1は、基板構造体10と、基板構造体10を支持する支持部材20とを備える。図2は、本実施形態に係る電気装置1の分解図である。
本実施形態では、便宜上、図1及び図2に示す前後、左右、上下の各方向により、電気装置1の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」を定義する。以下では、このように定義される前後、左右、上下の各方向を用いて説明する。
【0025】
基板構造体10は、電力回路を構成するバスバー及びバスバーに実装される半導体素子13等を有する電力回路基板30(第1回路基板)と、電力回路基板30のオン/オフ等を制御する制御回路基板12(第2回路基板)とを備える。半導体素子は、電気装置1の用途に応じて適宜実装され、例えばFET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子、抵抗、コイル、コンデンサ等を含む。
【0026】
支持部材20は、上面に基板構造体10を支持する支持面211を有する基部21と、支持面211とは反対側の面(下面212)に設けられた放熱部22と、放熱部22を挟んで基部21の左右両端に設けられた複数の脚部(図示せず)とを備える。支持部材20が備える基部21、放熱部22、及び前記脚部は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料を用いたダイキャストにより一体的に成形される。
【0027】
基部21は、適宜の厚みを有する矩形状の平板部材である。基部21の支持面211には、接着、ネジ止め、ハンダ付け等の公知の方法にて、基板構造体10が固定される。
【0028】
放熱部22は、基部21の下面212から下方に向けて突出した複数の放熱フィン221を備え、基板構造体10から発せられる熱を外部へ放熱する。複数の放熱フィン221は、左右方向に延びると共に、前後方向に所定間隔を隔てて並設されている。
【0029】
図3は、本実施形態に係る電気装置1の基板構造体10を上方から見た平面図である。図3においては、説明の便宜上、制御回路基板12を除去した状態での基板構造体10を示している。
【0030】
基板構造体10は、電力回路基板30と、電力回路基板30にオン/オフ信号を与える制御回路が実装された制御回路基板12と、電力回路基板30及び制御回路基板12を収容する収容部11とを備える。制御回路基板12及び電力回路基板30は夫々分離して設けられている。
【0031】
電力回路基板30は、制御回路基板12と対向する対向面に、バスバー111,112(導電片)と、制御回路基板12からの制御信号が入力され、入力された制御信号に基づき通電/非通電を切り替える複数の半導体スイッチング素子13(半導体素子)とを設けてある。
【0032】
電力回路基板30は、バスバー111,112が同一平面に設けられている。バスバー111及びバスバー112の間には絶縁領域114が介在している。絶縁領域114は後述する通電線群シート16によって隠れている。図3においては、絶縁領域114を一点鎖線で表す。
【0033】
バスバー111は矩形の板状をなしており、バスバー111の隣り合う2つの辺付近に、絶縁領域114を挟んでバスバー112が設けられている。バスバー111と同様、バスバー112も板状をなしている。バスバー111及びバスバー112は、銅又は銅合金等の金属材料により形成された導電性板部材である。
【0034】
絶縁領域114は、例えばフェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂材料を用いたインサート成形により製造される。絶縁領域114は、例えば、収容部11と一体形成されても良い。
【0035】
半導体スイッチング素子13は、例えば電界効果トランジスタ(FET)であり、より具体的には面実装タイプのパワーMOSFETである。半導体スイッチング素子13(以下、FET13と称する)はバスバー111又はバスバー112の上に配置される。本実施形態においては、7つのFET13がバスバー111上に配置された場合を例に説明する。
【0036】
即ち、図3の例では、前記7つのうち、4つのFET13が矩形のバスバー111の一長辺に沿って並設されており、残り3つのFET13が前記一長辺と隣り合う一短辺に沿って並設されている。換言すれば、バスバー111の前記一長辺に沿って並設された4つのFET13と、バスバー111の前記一短辺に沿って並設された3つのFET13とは互いに異なる方向に並設されている。
【0037】
バスバー111はFET13のドレイン端子と接続するバスバーであり、バスバー112はFET13のソース端子と接続するバスバーである。以下、バスバー111及びバスバー112を夫々ドレインバスバー111及びソースバスバー112とも言う。
また、バスバー111,112の上側にはFET13の他に、ツェナーダイオード等の半導体素子が実装されてもよい。
【0038】
なお、図3の例では、説明の便宜上、前記4つのFET13がドレインバスバー111の一長辺側に並設され、前記3つのFET13がドレインバスバー111の一短辺側に並設された構成について示したが、これに限定されるものではない。4つ以上のFET13がドレインバスバー111の前記一長辺側に並設され、3つ以上のFET13がドレインバスバー111の前記一短辺側に並設されても良い。
【0039】
図4は、本実施形態に係る基板構造体10において、並設されたFET13の付近を拡大して示す拡大図である。即ち、図4は、図3における破線の楕円部分を拡大した図である。
【0040】
ソースバスバー112上には、通電線群シート16が設けられている。通電線群シート16は、ソースバスバー112の一部を覆い、各FET13のゲート端子135(特定端子)と制御回路基板12とを通電させる。通電線群シート16はL字形状をなす。通電線群シート16は、ドレインバスバー111の前記一長辺及び前記一短辺に沿って、絶縁領域114を覆うように設けられている。
【0041】
通電線群シート16は、各FET13のゲート端子135と制御回路基板12とを電気的に接続させる通電線161と、ドレインバスバー111及びソースバスバー112から通電線161を絶縁させる絶縁フィルム162とを有する。
【0042】
即ち、各FET13のゲート端子135は夫々の通電線161を介して制御回路基板12と電気的に接続しており、通電線群シート16はこれら複数の通電線161をまとめて有する。
例えば、通電線161は銅箔からなり、絶縁フィルム162は樹脂からなっており、絶縁フィルム162の内部に複数の通電線161が埋設されている。通電線群シート16は、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)であっても良い。
また、これに限るものではなく、複数の通電線161が絶縁フィルム162上に貼り付けられても良い。
【0043】
また、通電線群シート16は一端部に、拡張部163を有し、拡張部163が電力回路基板30と対向配置された制御回路基板12まで延びて、制御回路基板12と電気的に接続している。図2においては、便宜上、通電線群シート16が切れているように表しているが、実際にはつながっている。
【0044】
以下、FET13と、ドレインバスバー111、ソースバスバー112及び通電線群シート16との接続関係を詳しく説明する。斯かる説明は、図4に示す、前記4つのFET13を例に行う。また、前記3つのFET13については説明を省略する。
【0045】
ドレインバスバー111の前記一長辺側には、FET13A、FET13B、FET13C、FET13Dの4つのFET13が、この順に、並設されている。以下、FET13A~13DをまとめてFET13とも言う。
【0046】
FET13A~13Dは、ドレインバスバー111に固定されている。この際、FET13A~13Dは、その並設方向に対して同一方向にゲート端子135が配置するように設けられている。図3及び図4においては、FET13A~13Dのゲート端子135が全て後方向、即ちドレインバスバー111の外側を向くように配置されている。
【0047】
FET13Aは、素子本体134Aと、素子本体134Aを挟んで相互反対側にドレイン端子131A及び3つのソース端子132Aを有する。例えば、素子本体134Aに対して前方側にドレイン端子131Aが設けられ、後方側にソース端子132Aが設けられている。また、FET13Aはゲート端子135Aを有し、例えばゲート端子135Aはソース端子132Aの付近に設けられている。しかし、ゲート端子135Aの位置はこれに限定されるものではない。
【0048】
FET13Aは半田付けによってドレインバスバー111に固定されている。更に、FET13Aのドレイン端子131Aは半田接続によってドレインバスバー111と電気的に接続している。
【0049】
一方、FET13Aは、ソース端子132Aが後方を向くように、換言すれば、ソース端子132Aがソースバスバー112を向くように、絶縁領域114に沿って配置されている。
また、ソース端子132Aは、接続シート14Aを介して、絶縁領域114を挟んで隔てられたソースバスバー112と電気的に接続されている。即ち、接続シート14Aは、絶縁領域114を跨るように、バスバー111,112上に設けられている。
【0050】
接続シート14Aはソース端子132Aとソースバスバー112とを電気的に接続させる、線状の通電部141A(図4中、破線にて表示)と、通電部141Aをドレインバスバー111から絶縁させる絶縁部142Aとを有する。通電部141Aの一端はソース端子132Aに半田接続されており、通電部141Aの他端はソースバスバー112に半田接続されている。即ち、接続シート14Aの他端は半田接続部15Aを介してソースバスバー112と接続している。接続シート14Aは、例えばFPCであっても良い。
【0051】
FET13Aのゲート端子135Aは、通電線群シート16の通電線161Aの一端と電気的に接続している。通電線161Aは拡張部163を通って制御回路基板12まで延び、通電線161Aの他端は制御回路基板12に電気的に接続している。
【0052】
FET13Bはドレイン端子131B、ソース端子132B及びゲート端子135Bを有しており、接続シート14Bを介して、ソース端子132Bがソースバスバー112と接続している。接続シート14Bは半田接続部15Bにてソースバスバー112に半田接続されている。また、ゲート端子135Bは通電線161Bの一端と電気的に接続している。
【0053】
FET13Cはドレイン端子131C、ソース端子132C及びゲート端子135Cを有しており、接続シート14Cを介して、ソース端子132Cがソースバスバー112と接続している。接続シート14Cは半田接続部15Cにてソースバスバー112に半田接続されている。また、ゲート端子135Cは通電線161Cの一端と電気的に接続している。
【0054】
FET13Dはドレイン端子131D、ソース端子132D及びゲート端子135Dを有しており、接続シート14Dを介して、ソース端子132Dがソースバスバー112と接続している。接続シート14Dは半田接続部15Dにてソースバスバー112に半田接続されている。また、ゲート端子135Dは通電線161Dの一端と電気的に接続している。
【0055】
FET13B、FET13C、FET13Dの夫々とドレインバスバー111、ソースバスバー112及び通電線群シート16との接続関係は、FET13Aと同様であり、詳しい説明を省略する。
【0056】
通電線群シート16は、絶縁領域114及びソースバスバー112の一部を覆うように、絶縁領域114に沿って設けられている。
また、通電線群シート16においては、半田接続部15A~15Dに対応する位置に、切り欠き(図示せず)が夫々形成されている。半田接続部15A~15Dは斯かる切り欠きを介して、通電線群シート16の下に隠れたソースバスバー112と接続する。
【0057】
通電線群シート16は、FET13A~13Dのゲート端子135A~135Dと、制御回路基板12とを通電させる通電線161A~161Dをまとめて有する。具体的には、通電線群シート16においては、フレキシブルな絶縁フィルム162に通電線161A~161Dが形成されている。
【0058】
即ち、FET13A~13Dのゲート端子135A~135Dは、フレキシブルで可変である、通電線群シート16を介して制御回路基板12と電気的に接続している。
【0059】
一方、金属材のバスバー等(以下、ゲートバスバーと言う)を用いてゲート端子135A~135Dと制御回路基板12とを接続する場合、前記ゲートバスバーは制御回路基板12及び電力回路基板30の間に配置される。従って、前記ゲートバスバーの寸法は制御回路基板12及び電力回路基板30の間の間隔によって定められ、正確さが要求される。更に、前記ゲートバスバーの数が多い場合は、基板構造体10の重量が増える。
【0060】
これに対して、本実施形態に係る基板構造体10においては、通電線群シート16が全てのFET13に係る通電線(図3及び図4においては、通電線161A~161D)をまとめて有し、全てFET13のゲート端子135が変形自由な通電線群シート16を介して制御回路基板12と電気的に接続する。
【0061】
従って、前記ゲートバスバーを用いる場合に比べ、設計の自由度が高まり、設計誤差に対応でき、かつ基板構造体10の軽量化を図ることができる。また、制御回路基板12及び電力回路基板30の間の空間において、前記ゲートバスバーが存在せず、構造が簡単になり、斯かる空間を有効活用できる。
【0062】
また、本実施形態に係る基板構造体10においては、FET13A~13Dのゲート端子135A~135Dが全て後方向に配置されるように、FET13A~13Dが設けられている。即ち、全てのFET13におけるゲート端子135が絶縁領域114側に配置されており、全てのゲート端子135が通電線群シート16に向けている。この状態にて、全てのゲート端子135が、通電線群シート16の通電線161と夫々接続している。
【0063】
従って、ドレインバスバー111を除くソースバスバー112上の一部にのみ通電線群シート16を設ければよく、通電線群シート16を簡略化できる。かつ、ドレインバスバー111が覆われていないので、各FET13のドレイン端子131をドレインバスバー111と接続させるための切り欠きを形成する必要がなくなり、構造が簡単になる。
更に、通電線161の長さを極力短縮でき、通電線群シート16を小型化することができる。よって、基板構造体10をコンパクト化できる。
【0064】
本実施形態に係る基板構造体10では、電力回路基板30における制御回路基板12との対向面に、バスバー111,112と、7つのFET13とが設けられており、バスバー112上に、通電線群シート16が貼り付けられている。
従って、通電線群シート16における拡張部163を短縮させることができ、基板構造体10を更にコンパクト化できる。
【0065】
また、通電線群シート16においては、ソースバスバー112に貼り付けられた部分の上に、他の半導体素子18(以下、上側半導体素子18と言う。)が更に実装されている。上側半導体素子18は、絶縁フィルム162によって、バスバー111,112と絶縁される。上側半導体素子18は、例えば、絶縁フィルム162に形成された回路パターン(図示せず)に電気的に接続され、又は、絶縁フィルム162に形成された所定の通電線を介して制御回路基板12に接続されても良い。
【0066】
このようにして、本実施形態に係る基板構造体10においては、構成を複雑にすることなく、バスバー111,112上にも半導体素子を配置させることができるので、バスバー111,112の上側を有効に活用できる。従って、一層、基板構造体10のコンパクト化を図ることができる。
【0067】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
10 基板構造体
12 制御回路基板
13 FET
16 通電線群シート
18 上側半導体素子
30 電力回路基板
111 ドレインバスバー
112 ソースバスバー
114 絶縁領域
131 ドレイン端子
132 ソース端子
135 ゲート端子
161 通電線
162 絶縁フィルム
図1
図2
図3
図4