(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】床プレート具及びマンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 23/00 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
B66B23/00 C
(21)【出願番号】P 2019042484
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江▲崎▼ 昌彦
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-188268(JP,A)
【文献】特開2004-352383(JP,A)
【文献】特開2005-219867(JP,A)
【文献】特開2006-347641(JP,A)
【文献】登録実用新案第3037375(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に設置される構造体と、
乗降部の床を構成するために、機械室を上方から覆うように前記構造体の上に設置される床プレート具と、
人が乗る複数のステップと、を備
える、マンコンベヤであって、
前記床プレート具は、平板状に形成されるプレート体を備え、
前記プレート体は、前記構造体の上に設置される際に開放され且つ前記機械室の内部と外部とを連通する通気孔を備え、
前記構造体は、液体を受けることが可能な液受け部を備え、
前記通気孔は、上下方向視で、前記液受け部と重な
り、
全ての前記通気孔は、幅方向において、前記ステップが位置する領域よりも、外側に配置される、マンコンベヤ。
【請求項2】
躯体に設置される構造体と、
乗降部の床を構成するために、前記構造体の上に設置される床プレート具と、
人が乗る複数のステップと、を備
える、マンコンベヤであって、
前記床プレート具は、平板状に形成されるプレート体を備え、
前記プレート体は、前記構造体の上に設置される際に開放される通気孔を備え、
前記構造体は、液体を受けることが可能な液受け部を備え、
全ての前記通気孔は、上下方向視で、前記液受け部と重な
り、
全ての前記通気孔は、幅方向において、前記ステップが位置する領域よりも、外側に配置される、マンコンベヤ。
【請求項3】
躯体に設置される構造体と、
乗降部の床を構成するために、前記構造体の上に設置される床プレート具と、
人が乗る複数のステップと、を備え、
前記床プレート具は、平板状に形成されるプレート体を備え、
前記プレート体は、前記構造体の上に設置される際に開放される通気孔を備え、
全ての前記通気孔は、幅方向において、前記ステップが位置する領域よりも、外側に配置される
、マンコンベヤ。
【請求項4】
前記構造体に支持される欄干部を備え、
前記欄干部の端部は、前記床プレート具から上方に離れて配置され、
前記通気孔は、上下方向視で、前記欄干部の端部と重なる、請求項1~3の何れか1項に記載のマンコンベヤ。
【請求項5】
全ての前記通気孔は、上下方向視で、前記欄干部の端部と重なる、請求項4に記載のマンコンベヤ。
【請求項6】
乗降部の床を構成するために、機械室を上方から覆うように構造体の上に設置されるマンコンベヤ用の床プレート具であって、
平板状に形成されるプレート体を備え、
前記プレート体は、前記構造体の上に設置される際に開放され且つ前記機械室の内部と外部とを連通する通気孔を備え、
前記プレート体は、上面に、凸部を備え、
前記凸部の外縁形状
及び外縁の大きさは、前記通気孔の前記プレート体の上面における外縁形状
及び外縁の大きさと、同じである、床プレート具。
【請求項7】
所定の前記通気孔が最も近い別の前記通気孔との距離は、前記所定の通気孔が最も近い前記凸部との距離よりも、大きい、請求項6に記載の床プレート具。
【請求項8】
乗降部の床を構成するために、構造体の上に設置されるマンコンベヤ用の床プレート具であって、
平板状に形成されるプレート体を備え、
前記プレート体は、前記構造体の上に設置される際に開放される通気孔を備え、
前記プレート体は、前記通気孔を構成する開口部を有する少なくとも一つの板部と、前記開口部を覆うカバー部と、を備え、
前記カバー部は、前記開口部よりも小さい孔部を複数備え、
前記板部は、少なくとも二つ備えられ、
前記カバー部は、二つの前記板部の間に挟まれる、床プレート具。
【請求項9】
前記プレート体の上面からカバー部までの距離は、前記プレート体の下面から前記カバー部までの距離よりも、小さい、請求項8に記載の床プレート具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床プレート具及びマンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、躯体に設置される構造体と、乗降部の床を構成するために、構造体の上に設置される床プレート具とを備えている(例えば、特許文献1)。ところで、特許文献1に係る床プレート具は、構造体に固定されている。これにより、風などによって、構造体の内部に大気が入り込んだ際に、床プレート具が構造体から外れない一方で、構造体(例えば、機械室)の内圧が上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、構造体の内圧が上昇することを抑制することができる床プレート具及びマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
床プレート具は、乗降部の床を構成するために、構造体の上に設置されるマンコンベヤ用の床プレート具であって、平板状に形成されるプレート体を備え、前記プレート体は、前記構造体の上に設置される際に開放される通気孔を備える。
【0006】
また、床プレート具においては、前記プレート体は、前記通気孔を構成する開口部を有する少なくとも一つの板部と、前記開口部を覆うカバー部と、を備え、前記カバー部は、前記開口部よりも小さい孔部を複数備える、という構成でもよい。
【0007】
また、床プレート具においては、前記板部は、少なくとも二つ備えられ、前記カバー部は、二つの前記板部の間に挟まれる、という構成でもよい。
【0008】
また、床プレート具においては、前記プレート体の上面からカバー部までの距離は、前記プレート体の下面から前記カバー部までの距離よりも、小さい、という構成でもよい。
【0009】
また、床プレート具においては、前記プレート体は、上面に、凸部を備え、前記凸部の外縁形状は、前記通気孔の前記プレート体の上面における外縁形状と、同じである、という構成でもよい。
【0010】
また、床プレート具においては、所定の前記通気孔が最も近い別の前記通気孔との距離は、前記所定の通気孔が最も近い前記凸部との距離よりも、大きい、という構成でもよい。
【0011】
また、マンコンベヤは、躯体に設置される構造体と、乗降部の床を構成するために、前記構造体の上に設置される前記の床プレート具と、人が乗る複数のステップと、を備え、前記通気孔は、幅方向において、前記ステップが位置する領域よりも、外側に配置される。
【0012】
また、マンコンベヤにおいては、前記構造体は、液体を受けることが可能な液受け部を備え、前記通気孔は、上下方向視で、前記液受け部と重なる。
【0013】
また、マンコンベヤは、前記構造体に支持される欄干部を備え、前記欄干部の端部は、前記床プレート具から上方に離れて配置され、前記通気孔は、上下方向視で、前記欄干部の端部と重なる、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るマンコンベヤの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るマンコンベヤの乗降部の平面図である。
【
図4】
図4は、
図3の第1床プレート具のみを示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、マンコンベヤにおける一実施形態について、
図1~
図6を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、躯体(例えば、梁)に設置される構造体2と、人を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対の欄干部4,4(
図1においては、一つのみを図示している)とを備えている。また、マンコンベヤ1は、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5を備えている。
【0017】
図1において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向であって、幅方向D1といい、第2方向D2は、水平方向と平行な方向で且つ幅方向D1と直交する方向であって、前後方向D2という。第3方向D3は、鉛直方向と平行な方向であって、上下方向D3という。
【0018】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0019】
搬送部3は、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の走行部(例えば、チェーン)3aと、走行部3aに対して回転可能に接続され、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えている。走行部3aは、幅方向D1に離れて一対設けられている(
図1においては、一つのみ図示している)。そして、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置され、それぞれの走行部3aに対して回転可能に接続されている。
【0020】
欄干部4は、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持するベルト支持部4bとを備えている。また、欄干部4は、ベルト支持部4bの下部を覆うパネル部4cを備えている。
【0021】
駆動部5は、ステップ3bが反転するように、走行部3aが巻き掛けられる一対の回転部(例えば、スプロケット)5a,5aと、回転部5aを回転させる駆動源(例えば、モータ)5bとを備えている。なお、回転部5aは、構造体2に回転可能に接続されている。
【0022】
構造体2は、各構成3~5を支持している。また、構造体2は、前後方向D2のそれぞれの端部に、機械室2a,2aを備えている。具体的には、構造体2は、マンコンベヤ1の各乗降部1aの下方に、機械室2a,2aを備えている。
【0023】
また、マンコンベヤ1は、各乗降部1aの床を構成する乗降床部1bを備えている。乗降床部1bは、各機械室2a,2aを上方から覆うように、構造体2の上に設置されている。なお、欄干部4の前後方向D2の端部4dは、乗降床部1bから上方に離れて配置されている。
【0024】
乗降床部1bは、乗降部1aの床を構成するために、
図2に示すように、構造体2の上に設置される複数の床プレート具6~8を備えている。なお、床プレート具6~8の個数は、特に限定されないが、本実施形態においては、三つとしている。また、乗降床部1bは、前後方向D2の内側の端部に配置されるコムプレート具9を備えている。
【0025】
コムプレート具9は、平板状に形成されるプレート部9aと、プレート部9aの端部に固定される櫛板部9bとを備えている。櫛板部9bは、ステップ3bの踏面の凹凸と、非接触状態で噛み合う櫛歯を備えている。そして、コムプレート具9は、ボルト及びナットのような固定具によって、構造体2に不動に固定されている。
【0026】
複数の床プレート具6~8は、コムプレート具9に隣接される第1床プレート具6と、第1床プレート具6に隣接される第2床プレート具7と、第2床プレート具7に隣接される第3床プレート具8とを備えている。第1床プレート具6は、コムプレート具9と第2床プレート具7との間に配置され、第2床プレート具7は、第1床プレート具6と第3床プレート具8との間に配置されている。
【0027】
そして、各床プレート具6~8は、欄干部4が設置されている状態において、構造体2に対して着脱可能である一方で、コムプレート具9は、欄干部4が設置されている状態において、構造体2に対して着脱不能である。したがって、マンコンベヤ1を保守及び点検する際に、床プレート具6~8は、構造体2から取り外され、コムプレート具9は、構造体2から取り外されない。
【0028】
また、各床プレート具6~8は、例えば、ボルト及びナットのような固定具によって、構造体2に固定されていない。即ち、各床プレート具6~8は、単に、構造体2の上に載せられているだけであって、自重によって、構造体2の上に設置されている。なお、各床プレート具6~8は、固定具によって、構造体2に不動に固定されていてもよい。
【0029】
図3~
図5に示すように、第1床プレート具6は、平板状に形成されるプレート体6aと、プレート体6aを補強するために、プレート体6aの下面に連結される長尺な補強部6b,6cとを備えている。なお、第1補強部6bは、幅方向D1に沿って延びており、第2補強部6cは、前後方向D2に沿って延びている。
【0030】
プレート体6aは、第1床プレート具6が構造体2の上に設置される際に、開放される複数の通気孔6dを備えている。通気孔6dは、構造体2の機械室2a(
図1参照)の内部と外部とを連通させている。
【0031】
これにより、例えば、構造体2の内部に気体が入り込んで、機械室2aの内圧が上昇した際に、機械室2aの内部の気体は、通気孔6dを経由して、機械室2aの外部に流出する(
図5の上向き矢印参照)。したがって、機械室2aの内圧が上昇することを抑制することができる。その結果、例えば、各床プレート具6~8が固定具によって構造体2に固定されていなくても、各床プレート具6~8を構造体2の上に安定して設置することができる。
【0032】
ここで、プレート体6aの上面の構成について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0033】
プレート体6aは、上面に、複数の凸部6eを備えている。これにより、プレート体6aの上面が凹凸形状となるため、プレート体6aの上面で滑ることを抑制することができる。即ち、凸部6eは、滑り止め機能を有している。なお、通気孔6dの個数及び凸部6eの個数は、特に限定されない。また、
図3は、通気孔6dを図示している一方で、凸部6eを図示しておらず、
図4において、通気孔6dは、網掛けハッチングによって図示されている。
【0034】
そして、通気孔6d及び凸部6eは、整列するように、配置されている。具体的には、通気孔6d及び凸部6eは、幅方向D1及び前後方向D2に沿って、並列されている。なお、通気孔6d及び凸部6eの配置は、特に限定されないが、本実施形態においては、通気孔6d,6d間に、凸部6eが配置されている。
【0035】
これにより、所定の通気孔6dが最も近い別の通気孔6dとの距離は、当該所定の通気孔6dが最も近い凸部6eとの距離よりも、大きくなっている。したがって、通気孔6d,6d同士が近くに配置されることを抑制することができるため、例えば、凸部6eの滑り止め機能が発揮され、その結果、プレート体6aの上面で滑ることを抑制することができる。
【0036】
また、通気孔6dのプレート体6aの上面における外縁形状は、凸部6eの外縁形状と、同じである。しかも、通気孔6dのプレート体6aの上面における外縁の大きさは、凸部6eの外縁の大きさと、同じである。なお、通気孔6d及び凸部6eの外縁形状は、特に限定されないが、本実施形態においては、円形状である。例えば、通気孔6dは、直径5mm~10mmの円形状としてもよい。
【0037】
これにより、同じ外縁形状である通気孔6dと凸部6eが混在するため、通気孔6dが目立つことを抑制することができる。したがって、例えば、通気孔6dの存在によって、プレート体6aの意匠性が損なわれることを抑制することができる。
【0038】
次に、通気孔6dの配置について、
図3~
図5を参照しながら説明する。
【0039】
まず、人は、ステップ3b(
図2参照)に向けて歩いたり、ステップ3bから出て歩いたりする。したがって、人は、プレート体6aの幅方向D1の中央部に載ることが多い。そこで、
図3~
図5に示すように、通気孔6dは、幅方向D1において、ステップ3b(
図2参照)が位置する領域よりも、外側に配置されている。これにより、人が通気孔6dの上に載ることを抑制することができる。
【0040】
しかも、通気孔6dは、第1床プレート具6から上方に離れて配置される欄干部4の端部4dと、上下方向D3視で、重なっている。これにより、欄干部4の端部4dと第1床プレート具6との間を、人が殆ど通行しないため、人が通気孔6dの上に載ることを効果的に抑制することができる。
【0041】
また、
図5に示すように、構造体2は、例えばトラス構造又はケタ構造を構成する上枠部2bと、上枠部2bに連結され、液体(例えば、雨水等)を受けることが可能な液受け部2cとを備えている。なお、上枠部2bと液受け部2cとは、図示していない締結手段(ボルト及びナット)又は溶接等によって、固定されている。
【0042】
そして、通気孔6dは、上下方向D3視で、液受け部2cと重なっている。これにより、通気孔6dから落ちた液体は、液受け部2cで受けられる(
図5の下向き矢印参照)。例えば、液受け部2cで受けられた液体は、液受け部2cの勾配等によって、液受け部2cの所定位置まで流れ、図示していないホース又は配管等によって、構造体2の外部へ排水される。したがって、通気孔6dから落ちた液体が機械室2aの内部で散乱することを抑制することができる。
【0043】
なお、第1床プレート具6は、構造体2に対するプレート体6aの上下方向D3の位置を変更可能な位置変更部6fを備えている。位置変更部6fの構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、位置変更部6fは、補強部6b,6cに固定されるナットと、ナットと螺合し、構造体2の上に載るボルトとを備えている。そして、補強部6b,6cから下方に突出するボルトの長さが変更することによって、構造体2に対するプレート体6aの上下方向D3の位置が変更される。
【0044】
次に、プレート体6aの構成について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
【0045】
図5及び
図6に示すように、プレート体6aは、開口部6gを有する上板部6hと、開口部6gを有する下板部6iと、各開口部6gを覆うカバー部6jとを備えている。カバー部6jは、開口部6gよりも小さい複数の孔部(図示していない)を備えており、通気孔6dは、各板部6h,6iの開口部6g,6gとカバー部6jの孔部とによって、形成されている。
【0046】
なお、各板部6h,6i及びカバー部6jの材質は、特に限定されない。例えば、各板部6h,6iは、剛性を有するように、金属板で形成されてもよい。また、例えば、カバー部6jは、網目状の金属(例えば、金網)又樹脂(例えば、サランネット)で形成されてもよい。
【0047】
そして、カバー部6jは、上板部6hと下板部6iとに挟まれている。例えば、上板部6hと下板部6iとは、図示していない締結手段(ボルト及びナット)又は溶接等によって、固定されている。これにより、カバー部6jは、上板部6hと下板部6iとによって確実に保持されている。
【0048】
また、上板部6hの厚みは、下板部6iの厚みよりも、薄くなっている。これにより、プレート体6aの上面からカバー部6jまでの距離W1は、プレート体6aの下面からカバー部6jまでの距離W2よりも、小さくなっている。当該距離W1,W2は、特に限定されないが、例えば、プレート体6aの上面からカバー部6jまでの距離W1は、1mm~2mmとしてもよい。
【0049】
これにより、物が通気孔6dに落ちた際に、物がカバー部6jよりも下方に落ちることを抑制することができ、しかも、その落下距離を小さくすることができる。特に、ピンヒールのヒール部が通気孔6dに落ちた際に、通気孔6dの浅い位置でカバー部6jがヒール部を受けるため、ヒール部が通気孔6dに深く嵌まり込んで抜け難くなることを抑制することができる。
【0050】
また、下板部6iの開口部6gは、上板部6hの開口部6gよりも、大きくなっている。これにより、下板部6iが上板部6hに対して少し位置ずれして固定された場合でも、所定の通気孔6dの大きさを確保することができる。また、下板部6iの重量を減少させることができるため、第1床プレート具6の重量が増高することを抑制することができる。なお、下板部6iの開口部6gは、例えば、上板部6hの開口部6gと同じ大きさであったり、小さくなっていたりしてもよい。
【0051】
なお、上方側の乗降部1aの床プレート具6について、説明したが、通気孔6dは、下方側の乗降部1aの床プレート具6にも、備えられている、という構成でもよい。即ち、一対の乗降部1aの床プレート具6のうち、少なくとも一方が、通気孔6dを備えている、という構成であればよい。
【0052】
以上より、本実施形態に係る床プレート具6は、乗降部1aの床を構成するために、構造体2の上に設置されるマンコンベヤ1用の床プレート具6であって、平板状に形成されるプレート体6aを備え、前記プレート体6aは、前記構造体2の上に設置される際に開放される通気孔6dを備える。
【0053】
斯かる構成によれば、構造体2の内圧が上昇した際に、構造体2の内部の気体を、プレート体6aの通気孔6dを経由して、構造体2の外部へ流出させることができる。これにより、構造体2の内圧が上昇することを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る床プレート具6においては、前記プレート体6aは、前記通気孔6dを構成する開口部6gを有する少なくとも一つ(本実施形態においては、二つ)の板部6h,6iと、前記開口部6gを覆うカバー部6jと、を備え、前記カバー部6jは、前記開口部6gよりも小さい孔部を複数備える、という構成である。
【0055】
斯かる構成によれば、カバー部6jが開口部6gを覆っているため、物がカバー部6jよりも下方に落ちることを抑制することができる。そして、カバー部6jが、開口部6gよりも小さい孔部を複数備えているため、通気孔6dは、板部6h,6iの開口部6g及びカバー部6jの孔部によって形成されている。
【0056】
また、本実施形態に係る床プレート具6においては、前記板部6h,6iは、少なくとも二つ(本実施形態においては、二つ)備えられ、前記カバー部6jは、二つの前記板部6h,6iの間に挟まれる、という構成である。
【0057】
斯かる構成によれば、二つの板部6h,6iがカバー部6jを挟んでいるため、カバー部6jを確実に保持することができる。しかも、プレート体6aの上面からカバー部6jまでの距離W1を小さくすることができる。これにより、物が通気孔6dに落ちた際に、落下距離を小さくすることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る床プレート具6においては、前記プレート体6aの上面からカバー部6jまでの距離W1は、前記プレート体6aの下面から前記カバー部6jまでの距離W2よりも、小さい、という構成である。
【0059】
斯かる構成によれば、プレート体6aの上面からカバー部6jまでの距離W1をさらに小さくすることができる。これにより、物が通気孔6dに落ちた際に、落下距離をさらに小さくすることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る床プレート具6においては、前記プレート体6aは、上面に、凸部6eを備え、前記凸部6eの外縁形状は、前記通気孔6dの前記プレート体6aの上面における外縁形状と、同じである、という構成である。
【0061】
斯かる構成によれば、凸部6eがプレート体6aの上面に設けられている。そして、凸部6eの外縁形状が、通気孔6dのプレート体6aにおける外縁形状と同じであるため、凸部6eと通気孔6dとを、混在させることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る床プレート具6においては、所定の通気孔6dが最も近い別の前記通気孔6dとの距離は、前記所定の通気孔6dが最も近い前記凸部6eとの距離よりも、大きい、という構成である。
【0063】
斯かる構成によれば、所定の通気孔6dに対して、別の通気孔6dよりも近い位置に、凸部6eが配置されている。これにより、通気孔6d,6d同士が近くに配置されることを抑制することができる。
【0064】
また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1は、躯体に設置される構造体2と、乗降部1aの床を構成するために、前記構造体2の上に設置される前記の床プレート具6と、人が乗る複数のステップ3bと、を備え、前記通気孔6dは、幅方向D1において、前記ステップ3bが位置する領域よりも、外側に配置される。
【0065】
斯かる構成によれば、通気孔6dは、幅方向D1において、ステップ3bが位置する領域よりも、外側に配置されている。これにより、人が床プレート具6の通気孔6dの上に載ることを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ1においては、前記構造体2は、液体を受けることが可能な液受け部2cを備え、前記通気孔6dは、上下方向D3視で、前記液受け部2cと重なる、という構成である。
【0067】
斯かる構成によれば、通気孔6dが上下方向D3視で液受け部2cと重なっているため、通気孔6dを通過した液体は、液受け部2cに向けて落ちることになる。これにより、通気孔6dから落ちた液体を液受け部2cで受けることができる。
【0068】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、前記構造体2に支持される欄干部4を備え、前記欄干部4の端部4dは、前記床プレート具6から上方に離れて配置され、前記通気孔6dは、上下方向D3視で、前記欄干部4の端部4dと重なる、という構成である。
【0069】
斯かる構成によれば、欄干部4の端部4dは、床プレート具6から上方に離れて配置されている。そして、通気孔6dは、上下方向D3視で、欄干部4の端部4dと重なっている。これにより、人が床プレート具6の通気孔6dの上に載ることを効果的に抑制することができる。
【0070】
なお、マンコンベヤ1及び床プレート具6は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1及び床プレート具6は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0071】
(1)上記実施形態に係る床プレート具6においては、プレート体6aは、板部6h,6iの開口部6gを覆うカバー部6jを備えている、という構成である。しかしながら、床プレート具6は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、プレート体6aは、板部6h,6iの開口部6gを覆うカバー部6jを備えていない、という構成でもよい。
【0072】
(2)また、上記実施形態に係る床プレート具6においては、カバー部6jは、二つの板部6h,6iの間に挟まれている、という構成である。しかしながら、床プレート具6は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、カバー部6jは、最も上に配置される板部6hの上面に固定されている、という構成でもよく、また、最も下に配置される板部6iの下面に固定されている、という構成でもよい。また、例えば、プレート体6aは、板部6h,6iを一つ又は三つ以上備えている、という構成でもよい。
【0073】
(3)また、上記実施形態に係る床プレート具6においては、プレート体6aの上面からカバー部6jまでの距離W1は、プレート体6aの下面からカバー部6jまでの距離W2よりも、小さい、という構成である。しかしながら、床プレート具6は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、プレート体6aの上面からカバー部6jまでの距離W1は、プレート体6aの下面からカバー部6jまでの距離W2以上である、という構成でもよい。
【0074】
(4)また、上記実施形態に係る床プレート具6においては、プレート体6aは、上面に、凸部6eを備えている、という構成である。しかしながら、床プレート具6は、斯かる構成に限られない。例えば、プレート体6aは、上面に、凸部6eを備えていない、という構成でもよい。
【0075】
(5)また、上記実施形態に係る床プレート具6においては、凸部6eの外縁形状は、通気孔6dのプレート体6aの上面における外縁形状と、同じである、という構成である。しかしながら、床プレート具6は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、凸部6eの外縁形状は、通気孔6dのプレート体6aの上面における外縁形状と、異なる、という構成でもよい。
【0076】
(6)また、上記実施形態に係る床プレート具6においては、所定の通気孔6dが最も近い別の通気孔6dとの距離は、当該所定の通気孔6dが最も近い凸部6eとの距離よりも、大きい、という構成である。しかしながら、床プレート具6は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、所定の通気孔6dが最も近い別の通気孔6dとの距離は、当該所定の通気孔6dが最も近い凸部6eとの距離以下である、という構成でもよい。
【0077】
(7)また、上記実施形態に係る床プレート具6においては、通気孔6dの形状は、円形状である、という構成である。しかしながら、床プレート具6は、斯かる構成に限られない。例えば、通気孔6dの形状は、長尺(スリット状)に形成されている、という構成でもよく、また、多角形状に形成されている、という構成でもよい。
【0078】
(8)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、全ての通気孔6dは、幅方向D1において、ステップ3bが位置する領域よりも、外側に配置されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、通気孔6dの少なくとも一つは、幅方向D1において、ステップ3bが位置する領域に配置されている、という構成でもよい。
【0079】
(9)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、全ての通気孔6dは、上下方向D3視で、液受け部2cと重なると共に、欄干部4の端部4dと重なる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、通気孔6dの少なくとも一つは、上下方向D3視で、液受け部2cと重なっていない、という構成でもよい。また、例えば、通気孔6dの少なくとも一つは、上下方向D3視で、欄干部4の端部4dと重なっていない、という構成でもよい。
【0080】
(10)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、通気孔6dは、第1床プレート具6のみに設けられている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、通気孔6dは、第2床プレート具7及び第3床プレート具8にも設けられている、という構成でもよい。即ち、通気孔6dは、少なくとも一つの床プレート具6~8に設けられている、という構成であればよい。
【符号の説明】
【0081】
1…マンコンベヤ、1a…乗降部、1b…乗降床部、2…構造体、2a…機械室、2b…上枠部、2c…液受け部、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…ベルト支持部、4c…パネル部、4d…端部、5…駆動部、5a…回転部、5b…駆動源、6…第1床プレート具、6a…プレート体、6b…第1補強部、6c…第2補強部、6d…通気孔、6e…凸部、6f…位置変更部、6g…開口部、6h…上板部、6i…下板部、6j…カバー部、7…第2床プレート具、8…第3床プレート具、9…コムプレート具、9a…プレート部、9b…櫛板部、D1…幅方向、D2…前後方向、D3…上下方向