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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】車輪径計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/10 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
G01B11/10 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019104451
(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2020197473
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】劉 涛
(72)【発明者】
【氏名】森川 靖志
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-118435(JP,A)
【文献】特表2016-526158(JP,A)
【文献】特開平07-222958(JP,A)
【文献】実開平05-064711(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0206606(US,A1)
【文献】特開平05-052536(JP,A)
【文献】特開2000-203429(JP,A)
【文献】特開2001-264042(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108839674(CN,A)
【文献】特開2018-132332(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105292178(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108506711(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの走行面上を転動する車輪の径を計測する車輪径計測装置であって、
投光部と受光部とを有する光センサと、前記車輪の径方向の寸法である車輪径を計測する計測部と、を備え、
前記投光部と前記受光部とは、前記車輪の走行軌跡を挟んで上下方向に分かれて設置され、
前記投光部は、前記レールの延在方向に沿う幅を有する帯状の検出光を投光するように構成され、
前記検出光の前記延在方向の範囲が、前記延在方向に前記車輪の直径分離れた2個所を含むように設定され、
前記計測部は、前記受光部が受光した前記検出光に基づいて前記車輪径を計測する、車輪径計測装置。
【請求項2】
前記車輪の径方向の寸法を車輪径とし、
計測対象の前記車輪の中で最も小さい前記車輪径を最小車輪径として、
前記検出光は、前記延在方向に前記最小車輪径より狭い隙間を開けて離間した2本の帯状光部を備えている、請求項1に記載の車輪径計測装置。
【請求項3】
計測対象の前記車輪の中で最も大きい前記車輪径を最大車輪径とし、
前記車輪を設定位置に停止させる場合における前記車輪の停止位置の前記設定位置に対する誤差の最大値を停止最大誤差として、
前記検出光の前記延在方向の両端間の距離が、前記最大車輪径に前記停止最大誤差を加えた長さより大きくなるように設定されている、請求項1又は2に記載の車輪径計測装置。
【請求項4】
前記上下方向に沿う上下方向視で前記延在方向に対して直交する方向を幅方向として、
前記レールに、前記上下方向に貫通する貫通孔が備えられ、
前記貫通孔の前記幅方向の大きさは、前記車輪の前記幅方向の大きさより小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の車輪径計測装置。
【請求項5】
前記投光部は、前記延在方向に対して直交する方向に沿って前記検出光を投光するように設置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の車輪径計測装置。
【請求項6】
前記計測部は、前記車輪の前記延在方向の両端部が前記検出光の前記延在方向の範囲に含まれている状態で、前記車輪径を複数回計測する、請求項1から5のいずれか一項に記載の車輪径計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールの走行面上を転動する車輪の径を計測する車輪径計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車輪径計測装置として、例えば、特開2005-351713号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。以下、背景技術の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。この特許文献1に記載の車輪径計測装置は、車輪(2)を備えた車両に装備されており、車輪(2)に対して位置が固定された摩耗検出センサー10を備えている。この車輪径計測装置は、摩耗検出センサー10によって当該摩耗検出センサー10から車輪(2)の外周走行面3まで距離を計測し、この計測結果に基づいて、車輪(2)の摩耗量を把握できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-351713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した車輪径計測装置は、車輪(2)に対して位置が固定された状態で摩耗検出センサー10が備えられているため、計測対象の車輪(2)が複数あれば、その複数の車輪(2)の夫々に対して摩耗検出センサー10を備える必要がある。そのため、計測対象の車輪の数が多くなるに伴って摩耗検出センサー10の設置数が多くなり、車輪径計測装置の設置コストが高くなる。複数の車輪(2)のそれぞれについての車輪径の計測の頻度が高くない場合には、このような構成は望ましくない。
【0005】
そこで、設置コストを低く抑えることができる車輪径計測装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、車輪径計測装置の特徴構成は、レールの走行面上を転動する車輪の径を計測する車輪径計測装置において、投光部と受光部とを有する光センサと、前記車輪の径方向の寸法である車輪径を計測する計測部と、を備え、前記投光部と前記受光部とは、前記車輪の走行軌跡を挟んで上下方向に分かれて設置され、前記投光部は、前記レールの延在方向に沿う幅を有する帯状の検出光を投光するように構成され、前記検出光の前記延在方向の範囲が、前記延在方向に前記車輪の直径分離れた2個所を含むように設定され、前記計測部は、前記受光部が受光した前記検出光に基づいて前記車輪径を計測する点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、投光部と受光部とが車輪の走行軌跡を挟んで上下方向に分かれて設置されているため、投光部及び受光部に対して車輪が延在方向に移動したとしても、車輪が投光部又は受光部に干渉することを回避できる。そして、検出光の延在方向の範囲内に車輪が位置した状態で、計測部によってその車輪の車輪径を計測できるため、車輪に対して固定された位置に光センサを配置する必要がない。また、検出光は延在方向に幅を有する帯状とされており、延在方向に広がりを有する範囲で車輪径を計測できるため、車輪径を計測することが可能な車輪の位置の制約が少ない。従って、車輪径を計測する場合における、車輪の動作状態の制約を少なくすることができる。
【0008】
このように、本構成によれば、検出光の延在方向の範囲内に複数の車輪を順次位置させることで、計測部によって複数の車輪のそれぞれの車輪径を計測することができる。従って、計測対象の車輪が複数ある場合に、それら複数の車輪の夫々に対して計測装置を配置する必要がないため、車輪径計測装置の設置コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】物品搬送設備の側面図
図2】物品搬送車の正面図
図3】車輪径計測装置の正面図
図4】車輪径計測装置の側面図
図5】第1レール部の平面図
図6】制御ブロック図
図7】計測表示制御のフローチャート
図8】別の実施形態における車輪径計測装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
車輪径計測装置を備えた物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品搬送設備には、レール1と、レール1の走行面F上を転動する車輪2を備えた物品搬送車3と、車輪2の径を計測する車輪径計測装置4と、を備えている。物品搬送車3は、レール1に沿って走行して物品Wを搬送する。尚、本実施形態では、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を物品Wとしている。
【0011】
以下、レール1が延在する延在方向Xの一方側を延在方向第1側X1と称し、その反対側を延在方向第2側X2と称する。また、上下方向Zに沿う上下方向視で延在方向Xに対して直交する方向を幅方向Yと称し、幅方向Yの一方側を幅方向第1側Y1と称し、その反対側を幅方向第2側Y2と称する。尚、図1にハッチングを施した太い矢印で示すように、物品搬送車3は、延在方向第2側X2から延在方向第1側X1に向けて一方向に走行する。また、本実施形態では、レール1が水平方向に沿って設置されている場合を例として説明する。
【0012】
図2に示すように、レール1は、第1レール部1Aと第2レール部1Bとを備えている。これら第1レール部1Aと第2レール部1Bとは、上下方向視で幅方向Yに一定間隔で互いに平行に配置されている。第1レール部1Aは、第2レール部1Bに対して幅方向第1側Y1に位置している。
【0013】
図1及び図2に示すように、物品搬送車3は、レール1上をそのレール1に沿って走行する走行部6と、レール1の下方に位置して走行部6に吊り下げ支持された物品支持部7と、を備えている。物品支持部7は、物品Wを吊り下げ状態で支持する支持装置8と、支持装置8を上下方向Zに移動させる昇降装置(図示せず)とを備えている。
【0014】
図1に示すように、走行部6は、第1走行ユニット6Aと、この第1走行ユニット6Aに対して延在方向第2側X2に位置する第2走行ユニット6Bと、を備えている。図2に示すように、第1走行ユニット6Aは、第1車輪2A及び第2車輪2Bからなる一対の車輪2と、一対の車輪2を幅方向Yに沿う回転軸心周りに回転させる走行用モータ11(図1参照)と、を備えている。一対の車輪2の夫々は、レール1の走行面Fを転動する。説明を加えると、第1車輪2Aと第2車輪2Bとは、第1車輪2Aが第2車輪2Bに対して幅方向第1側Y1に位置するように、幅方向Yに並んでいる。そして、第1車輪2Aは、第1レール部1Aの走行面Fを転動し、第2車輪2Bは、第2レール部1Bの走行面Fを転動する。
【0015】
また、図2に示すように、第1走行ユニット6Aは、上下方向Zに沿う上下軸心周りで回転自在な複数の案内輪12を備えている。本実施形態では、複数の案内輪12として、第1レール部1Aに接触する一対の第1案内輪12Aと、第2レール部1Bに接触する一対の第2案内輪12Bと、がある。一対の第1案内輪12Aは、延在方向Xに並ぶ状態で第1走行ユニット6Aに備えられており、これら一対の第1案内輪12Aの夫々が、第1レール部1Aにおける幅方向第2側Y2を向く側面(内側面)に幅方向第2側Y2から接触する。また、一対の第2案内輪12Bは、延在方向Xに並ぶ状態で第1走行ユニット6Aに備えられており、これら一対の第2案内輪12Bの夫々が、第2レール部1Bにおける幅方向第1側Y1を向く側面(内側面)に幅方向第1側Y1から接触する。
【0016】
第2走行ユニット6Bは、第1走行ユニット6Aと同様に、一対の車輪2、走行用モータ11、及び複数の案内輪12を備えている。
【0017】
物品搬送車3は、第1走行ユニット6A及び第2走行ユニット6Bの夫々において、走行用モータ11により一対の車輪2を回転させ、複数の案内輪12がレール1により案内されることによって、レール1に沿って走行する。
【0018】
次に、車輪径計測装置4について説明する。本実施形態では、物品搬送設備は、複数の物品搬送車3を備えており、複数の物品搬送車3が備えている車輪2として、何れも同じ車輪径Rの車輪2を用いている。しかし、物品搬送車3の走行によって車輪2が摩耗して車輪径Rが小さくなった場合には、車輪2の交換が必要となるため、各車輪2の車輪径Rを計測するために、物品搬送設備は、車輪径計測装置4を備えている。
【0019】
本実施形態では、図3に示すように、物品搬送設備は、第1車輪2Aの車輪径Rを計測する第1車輪径計測装置4Aと、第2車輪2Bの車輪径Rを計測する第2車輪径計測装置4Bと、を備えている。これらはそれぞれが車輪径計測装置4である。これらの車輪径計測装置4は、幅方向Yに反転させた状態で構成されている以外は同様に構成されているため、第1車輪径計測装置4Aについて説明し、第2車輪径計測装置4Bについての説明は省略する。
【0020】
図4及び図6に示すように、第1車輪径計測装置4Aは、投光部16と受光部17とを有する光センサ18と、車輪2の径方向の寸法である車輪径Rを計測する計測部19と、計測部19による計測結果を表示する表示部20と、を備えている。計測部19と表示部20とは、第1車輪径計測装置4Aの本体部24に備えられている。尚、図3に示す例では、延在方向Xに向けて計測結果を表示するように表示部20を設置したが、表示部20の向きは適宜変更してもよく、例えば、幅方向Yに向けて計測結果を表示するように表示部20を設置してもよい。
【0021】
投光部16と受光部17とは、車輪2の走行軌跡Tを挟んで上下方向Zに分かれて設置されている。ここで、車輪2の走行軌跡Tとは、車輪2がレール1に走行面F上を転動しつつ延在方向Xに移動した場合の車輪2の軌跡を指す。投光部16は、延在方向Xに対して直交する方向に沿って検出光21を投光するように設置されている。受光部17は、その検出光21を受光するように設置されている。本実施形態では、投光部16は、車輪2の走行軌跡Tに対して上方側Z1に設置されており、受光部17は、走行軌跡Tに対して下方側Z2に設置されている。そして、投光部16は、鉛直下方(下方側Z2)に向けて検出光21を投光するように設置されている。
【0022】
投光部16は、延在方向Xに沿う幅を有する帯状の検出光21を投光するように構成されている。また、検出光21の延在方向Xの範囲が、延在方向Xに車輪2の直径分離れた2個所を含むように設定されている。尚、この場合における車輪2の直径は、基準となる車輪2である基準車輪の車輪径Rである基準車輪径R1としている。本実施形態では、未使用の車輪2(摩耗していない車輪2)を基準車輪として、この基準車輪の車輪径R(基準車輪径R1)を、ここでの車輪2の直径としている。
【0023】
また、本実施形態では、未使用の車輪2の直径を、計測対象の車輪2の中で最も大きい車輪径Rである最大車輪径R2としている。つまり、基準車輪径R1と最大車輪径R2とが同じとなっている。また、本実施形態では、想定される範囲で最も摩耗が進んで小さくなった車輪2の直径を、計測対象の車輪2の中で最も小さい車輪径Rである最小車輪径R3としている。ここでは、最小車輪径R3の車輪2とは、交換が必要な程度に摩耗が進んだ車輪2である。
【0024】
投光部16は、第1投光体16Aと、この第1投光体16Aに対して延在方向第2側X2に設置された第2投光体16Bとを備えている。これら第1投光体16A及び第2投光体16Bは、車輪2より上方側Z1に位置するように支持体22に支持されている。また、第1投光体16A及び第2投光体16Bは、延在方向Xに並ぶ状態で同じ高さに設置されている。尚、本実施形態では、支持体22は、第1レール部1Aの幅方向第1側Y1を向く側面に固定されている。
【0025】
第1投光体16Aの投光により、延在方向Xに沿う幅を有する帯状の第1帯状光部21Aが形成される。また、第2投光体16Bの投光により、延在方向Xに沿う幅を有する帯状の第2帯状光部21Bが形成される。本実施形態では、第1帯状光部21A及び第2帯状光部21Bの延在方向Xの大きさは、最大車輪径R2の1/3から1/20の間の値としている。例えば、最大車輪径R2が125mmに対して、第1帯状光部21A及び第2帯状光部21Bの延在方向Xの大きさを10mmとすることができる。第1投光体16A及び第2投光体16Bは、第1帯状光部21Aと第2帯状光部21Bとを延在方向Xに最小車輪径R3より狭い隙間L1を開けた状態で投光するように設置されている。本実施形態では、検出光21は、第1帯状光部21Aと第2帯状光部21Bとで構成されており、第1帯状光部21A及び第2帯状光部21Bは、隙間L1を開けて離間した2本の帯状光部に相当する。
【0026】
そして、このような第1帯状光部21A及び第2帯状光部21Bを含む検出光21の延在方向Xの範囲が、延在方向Xに基準車輪径R1分離れた2個所を含むように設定されている。説明を加えると、図4に示すように、車輪2(基準車輪)が設定位置(図4に示す位置)にある状態において、第1帯状光部21Aの延在方向Xの範囲内に、車輪2の延在方向第1側X1の端部が含まれ、第2帯状光部21Bの延在方向Xの範囲内に、車輪2の延在方向第2側X2の端部が含まれるように、これらの帯状光部が設定されている。好ましくは、車輪2(基準車輪)が設定位置に位置している状態において、第1帯状光部21Aの延在方向Xの中央部に、車輪2の延在方向第1側X1の端部が位置し、第2帯状光部21Bの延在方向Xの中央部に、車輪2の延在方向第2側X2の端部が位置するように、第1投光体16Aや第2投光体16Bが設置されているとよい。
【0027】
また、本実施形態では、車輪2を設定位置に停止させた状態で、計測部19による計測を行う。このような場合において、車輪2の停止位置が設定位置に対して延在方向にずれる場合がある。そこで、検出光21の延在方向Xの両端間の距離L2が、最大車輪径R2に停止最大誤差L3を加えた長さより大きくなるように設定されている。本実施形態では、第1帯状光部21Aの延在方向第1側X1の端部から第2帯状光部21Bの延在方向第2側X2の端部までの距離が、検出光21の延在方向Xの両端間の距離L2となっている。また、車輪2を設定位置に停止させる場合における車輪2の停止位置の設定位置に対する誤差の最大値を停止最大誤差L3としている。
【0028】
受光部17は、第1受光体17Aと、この第1受光体17Aに対して延在方向第2側X2に設置された第2受光体17Bとを備えている。第1受光体17Aは、第1投光体16Aが投光した光(ここでは第1帯状光部21A)を受光し、第2受光体17Bは、第2投光体16Bが投光した光(ここでは第2帯状光部21B)を受光する。これら第1受光体17A及び第2受光体17Bは、車輪2より下方側Z2に位置するように第1レール部1Aに支持されている。また、第1受光体17A及び第2受光体17Bは、延在方向Xに並ぶ状態で同じ高さに設置されている。
【0029】
第1レール部1Aにおける設定位置に対応する部分には、第1受光体17A及び第2受光体17Bを設置するための設置空間Sが第1レール部1Aの内部に形成されている。そして、第1受光体17A及び第2受光体17Bは、走行面Fより下方に位置するように、設置空間Sに設置されている。
【0030】
図4及び図5に示すように、第1レール部1Aは、上下方向Zに貫通する貫通孔23を備えている。本実施形態では、第1レール部1Aは、貫通孔23として、第1帯状光部21Aに対応する位置に形成されている第1貫通部23Aと、第2帯状光部21Bに対応する位置に形成されている第2貫通部23Bと、を備えている。これら第1貫通部23A及び第2貫通部23Bは、走行面Fから設置空間Sに連通するように、上下方向Zに貫通している。第1投光体16Aが投光した第1帯状光部21Aは、第1貫通部23Aを通して第1受光体17Aに到達する。第2投光体16Bが投光した第2帯状光部21Bは、第2貫通部23Bを通して第2受光体17Bに到達する。
【0031】
第1貫通部23Aの延在方向Xの大きさは、第1帯状光部21Aの延在方向Xの大きさより大きく、且つ、第1車輪2Aの延在方向Xの大きさより小さい。そして、第1貫通部23Aの幅方向Yの大きさは、第1帯状光部21Aの幅方向Yの大きさより大きく、且つ、第1車輪2Aの幅方向Yの大きさより小さい。また、第2貫通部23Bの延在方向Xの大きさは、第2帯状光部21Bの延在方向Xの大きさより大きく、且つ、第1車輪2Aの延在方向Xの大きさより小さい。また、第2貫通部23Bの幅方向Yの大きさは、第2帯状光部21Bの幅方向Yの大きさより大きく、且つ、第1車輪2Aの幅方向Yの大きさより小さい。尚、本実施形態では、第2帯状光部21Bは、第1帯状光部21Aと幅方向Yの大きさ及び延在方向Xの大きさが同じとなっており、第2貫通部23Bは、第1貫通部23Aと幅方向Yの大きさ及び延在方向Xの大きさが同じとなっている。
【0032】
計測部19は、第1受光体17Aが受光した第1帯状光部21Aの延在方向Xの大きさを計測する第1計測ユニット19Aと、第2受光体17Bが受光した第2帯状光部21Bの延在方向Xの大きさを計測する第2計測ユニット19Bと、を備えている。また、表示部20は、第1計測ユニット19Aが計測した計測情報に基づいた情報を表示する第1表示ユニット20Aと、第2計測ユニット19Bが計測した計測情報に基づいた情報を表示する第2表示ユニット20Bと、を備えている。本実施形態では、第1表示ユニット20Aは、第1帯状光部21Aの延在方向Xの全体の大きさから第1受光体17Aが受光した第1帯状光部21Aの延在方向Xの大きさを引いた大きさ、すなわち、第1帯状光部21Aのうち第1車輪2Aによって遮光された大きさを第1数値として表示する。また、第2表示ユニット20Bは、第2帯状光部21Bの延在方向Xの全体の大きさから第2受光体17Bが受光した第2帯状光部21Bの延在方向Xの大きさを引いた大きさ、すなわち、第2帯状光部21Bのうち第1車輪2Aによって遮光された大きさを第2数値として表示する。
【0033】
本実施形態では、第1計測ユニット19Aと第1表示ユニット20Aとを備えた第1本体部24Aと、第2計測ユニット19Bと第2表示ユニット20Bとを備えた第2本体部24Bとは、計測情報等の各種情報を送受信可能に接続されている。第1表示ユニット20Aは、第1数値を表示する状態と、第1数値に第2数値を加えた第3数値を表示する状態と、に切り換え可能に構成されている。尚、第1計測ユニット19Aと第1表示ユニット20Aとは、第1本体部24Aに備えられており、第2計測ユニット19Bと第2表示ユニット20Bとは、第2本体部24Bに備えられている。
【0034】
計測部19は、車輪2の車輪径Rを計測してその計測結果を示す情報を表示部20に表示する計測表示制御を実行する。次に、計測部19が実行する計測表示制御について図7に示すフローチャートに基づいて説明を加える。
【0035】
計測部19は、制御装置Hから準備完了信号を受信したこと(S1)に伴って設定位置にある車輪2の車輪径Rを計測する計測制御(S1)を実行する。計測制御では、受光部17が受光した検出光21に基づいて車輪径Rを計測する。本実施形態では、計測制御により車輪径Rの一部を計測する。具体的には、図4に示すように、計測制御により、車輪径Rのうちの隙間L1を除く部分の大きさである非検出長さ(基準車輪径R1-隙間L1であり、上述した第3数値に相当する長さ)を計測する。尚、制御装置Hは、物品搬送車3を制御するための装置であり、制御装置Hは、物品搬送車3の車輪2が設定位置に移動させるように物品搬送車3を制御し、車輪2が設定位置に到達したことに伴って計測部19に向けて準備完了信号を送信する。
【0036】
計測部19は、計測制御によって計測した計測情報を表示部20に表示する表示制御を実行する(S3)。この表示制御では、計測した車輪径Rの情報を表示部20に表示させるように表示部20を制御する。本実施形態では、第1表示ユニット20Aに第1数値又は第3数値を表示し、第2表示ユニット20Bに第2数値を表示するように、第1表示ユニット20A及び第2表示ユニット20Bを制御する。
【0037】
計測部19は、計測制御及び表示制御が完了するに伴って計測完了信号を制御装置Hに送信すると共に計測制御によって計測された計測情報を表示装置26に送信する送信制御を実行する(S4)。表示装置26としてパーソナルコンピュータを用いている。制御装置Hは、計測部19からの計測完了信号に基づいて、車輪2を設定位置から移動させるように物品搬送車3を制御し、必要に応じて次の車輪2を設定位置に移動させる。
【0038】
制御装置Hは、設定位置にある車輪2を備えている物品搬送車3の識別情報を表示装置26に送信している。表示装置26は、制御装置Hから送信された識別情報と、計測部19から送信された計測情報と、に基づいて、物品搬送車3の識別情報と、当該物品搬送車3が備えている4つの車輪2の車輪径Rと、を関連付けて表示する。また、制御装置Hは、物品搬送車3の識別情報と、計測部19から送信された計測情報に基づく物品搬送車3の4つの車輪2の車輪径Rと、を関連付けて記憶部25記憶する。これらの場合において、制御装置Hは、車輪径Rの計測結果に基づいて、車輪2の交換が必要な物品搬送車3を判定するように構成されていると好適である。また制御装置Hが、車輪2の交換が必要と判定した物品搬送車3を規定のメンテナンスステーションへ移動させる制御を行うように構成されていても好適である。
【0039】
2.その他の実施形態
次に、車輪径計測装置のその他の実施形態について説明する。
【0040】
(1)上記の実施形態では、車輪2の延在方向Xの両端部が検出光21の延在方向Xの範囲に含まれている状態で、車輪径Rを1回計測する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、車輪2の延在方向Xの両端部が検出光21の延在方向Xの範囲に含まれている状態で、車輪径Rを複数回計測する構成としてもよい。
【0041】
具体的には、次のように構成してもよい。例えば、図8に示すように、投光部16が、第1投光体16Aと第2投光体16Bとに加えて、第3投光体16Cと第4投光体16Dと第5投光体16Eとを備え、受光部17が、第1受光体17Aと第2受光体17Bとに加えて、第3受光体17Cと第4受光体17Dと第5受光体17Eとを備える。第3投光体16Cは、第3帯状光部21Cを投光し、第3受光体17Cは、第3帯状光部21Cを受光する。第4投光体16Dは、第4帯状光部21Dを投光し、第4受光体17Dは、第4帯状光部21Dを受光する。第5投光体16Eは、第5帯状光部21Eを投光し、第5受光体17Eは、第5帯状光部21Eを受光する。尚、第2投光体16B、第4投光体16D、第1投光体16A、第3投光体16C、及び第5投光体16Eは、延在方向第2側X2から延在方向第1側X1に向けて記載順に等間隔を開けて設置されている。また、第2受光体17B、第4受光体17D、第1受光体17A、第3受光体17C、及び第5受光体17Eは、延在方向第2側X2から延在方向第1側X1に向けて記載順に等間隔を開けて設置されている。
【0042】
そして、車輪2の延在方向Xの両端部が第1帯状光部21A及び第2帯状光部21Bの延在方向Xの範囲に含まれている状態と、車輪2の延在方向Xの両端部が第3帯状光部21C及び第4帯状光部21Dの延在方向Xの範囲に含まれている状態と、車輪2の延在方向Xの両端部が第1帯状光部21A及び第5帯状光部21Eの延在方向Xの範囲に含まれている状態と、のそれぞれにおいて1回ずつ、合計3回、車輪径Rを計測する構成とすることができる。或いは、車輪2の延在方向Xの両端部が第1帯状光部21A及び第2帯状光部21Bの延在方向Xの範囲に含まれている状態において、複数回、車輪径Rを計測する構成としてもよい。
【0043】
(2)上記の実施形態では、未使用の状態で車輪径Rが同じとなる1種類の車輪2を用いる構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、未使用の状態であっても車輪径Rが異なる複数種類の車輪2を用いてもよい。このような場合、車輪径計測装置の計測情報に基づいて車輪2の種類を判別するように構成してもよい。
【0044】
(3)上記の実施形態では、検出光21が、2つの帯状光部を備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、検出光21が、1つの帯状光部で構成されてもよく、3つ以上の帯状光部を備える構成とされてもよい。これらの構成においても、検出光21の延在方向Xの範囲が、延在方向Xに車輪2の直径分離れた2個所を含むように設定されていればよい。
【0045】
(4)上記の実施形態では、検出光21の延在方向Xの両端部の距離L2を、最大車輪径R2に停止最大誤差L3を加えた長さより大きくなるように設定する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、設定位置に車輪2を停止させた場合の誤差が停止最大誤差L3となる頻度が小さい場合等では、検出光21の延在方向Xの両端部の距離L2を、最大車輪径R2に停止最大誤差L3を加えた長さより小さくなるように設定してもよい。
【0046】
(5)上記の実施形態では、レール1に上下方向Zに貫通する貫通孔23を備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、検出光21がレール1に干渉しない場合は、レール1に貫通孔23を備えなくてもよい。
【0047】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0048】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した車輪径計測装置の概要について説明する。
【0049】
車輪径計測装置は、レールの走行面上を転動する車輪の径を計測する車輪径計測装置において、投光部と受光部とを有する光センサと、前記車輪の径方向の寸法である車輪径を計測する計測部と、を備え、前記投光部と前記受光部とは、前記車輪の走行軌跡を挟んで上下方向に分かれて設置され、前記投光部は、前記レールの延在方向に沿う幅を有する帯状の検出光を投光するように構成され、前記検出光の前記延在方向の範囲が、前記延在方向に前記車輪の直径分離れた2個所を含むように設定され、前記計測部は、前記受光部が受光した前記検出光に基づいて前記車輪径を計測する。
【0050】
本構成によれば、投光部と受光部とが車輪の走行軌跡を挟んで上下方向に分かれて設置されているため、投光部及び受光部に対して車輪が延在方向に移動したとしても、車輪が投光部又は受光部に干渉することを回避できる。そして、検出光の延在方向の範囲内に車輪が位置した状態で、計測部によってその車輪の車輪径を計測できるため、車輪に対して固定された位置に光センサを配置する必要がない。また、検出光は延在方向に幅を有する帯状とされており、延在方向に広がりを有する範囲で車輪径を計測できるため、車輪径を計測することが可能な車輪の位置の制約が少ない。従って、車輪径を計測する場合における、車輪の動作状態の制約を少なくすることができる。
【0051】
このように、本構成によれば、検出光の延在方向の範囲内に複数の車輪を順次位置させることで、計測部によって複数の車輪のそれぞれの車輪径を計測することができる。従って、計測対象の車輪が複数ある場合に、それら複数の車輪の夫々に対して計測装置を配置する必要がないため、車輪径計測装置の設置コストを低く抑えることができる。
【0052】
ここで、前記車輪の径方向の寸法を車輪径とし、計測対象の前記車輪の中で最も小さい前記車輪径を最小車輪径として、前記検出光は、前記延在方向に前記最小車輪径より狭い隙間を開けて離間した2本の帯状光部を備えていると好適である。
【0053】
本構成によれば、検出光を2本の帯状光部として延在方向に離間させることになるため、検出光を1本の幅広の帯状光とする場合に比べて、投光部や受光部の延在方向の幅を小さくすることができ、光センサの小型化を図ることができる。また、2本の帯状光部の離間距離は最小車輪径より狭いため、計測対象の車輪の車輪径が最小車輪径であったとしても当該車輪の車輪径も計測部によって適切に計測することができる。
【0054】
また、計測対象の前記車輪の中で最も大きい前記車輪径を最大車輪径とし、前記車輪を設定位置に停止させる場合における前記車輪の停止位置の前記設定位置に対する誤差の最大値を停止最大誤差として、前記検出光の前記延在方向の両端間の距離が、前記最大車輪径に前記停止最大誤差を加えた長さより大きくなるように設定されていると好適である。
【0055】
車輪を設定位置に停止させて計測部による計測を行う場合において、車輪の停止位置が設定位置に対して延在方向にずれる場合がある。本構成によれば、検出光の延在方向の両端間の距離が、最大車輪径に停止最大誤差を加えた長さより大きい。そのため、上述の如く車輪の停止位置が設定位置に対して延在方向にずれた場合でも、車輪における延在方向の両端部が検出光の延在方向の範囲に含まれるようにでき、計測部によって車輪の車輪径を計測することができる。
【0056】
また、前記上下方向に沿う上下方向視で前記延在方向に対して直交する方向を幅方向として、前記レールに、前記上下方向に貫通する貫通孔が備えられ、前記貫通孔の前記幅方向の大きさは、前記車輪の前記幅方向の大きさより小さいと好適である。
【0057】
本構成によれば、レールに貫通孔を備えることで、投光部又は受光部の一方をレールの走行面より下方に設置したとしても、貫通孔を通して車輪に対して上方に設置した投光部又は受光部の他方との間で検出光を投受光することが可能となる。そのため、投光部や受光部を、車輪やその周辺に備えられている部材に干渉し難いように設置し易い。また、貫通孔の幅方向の大きさは、車輪の幅方向の大きさより小さいため、貫通孔の存在が車輪の転動に与える影響を小さく抑えることができる。
【0058】
また、前記投光部は、前記延在方向に対して直交する方向に沿って前記検出光を投光するように設置されていると好適である。
【0059】
本構成によれば、投光部と受光部とを延在方向において同じ位置に設置することができるため、投光部と受光部とを延在方向にずらした状態で設置する場合に比べて、延在方向における光センサの設置範囲を小さく抑えることができる。従って、本構成によれば、車輪径計測装置の小型化を図り易い。
【0060】
また、前記計測部は、前記車輪の前記延在方向の両端部が前記検出光の前記延在方向の範囲に含まれている状態で、前記車輪径を複数回計測すると好適である。
【0061】
本構成によれば、車輪が検出光の延在方向の範囲内を一度通過する間に、計測部によって車輪径の情報を複数回取得することができる。このように車輪径の情報を複数回取得することで、複数の車輪径の情報から平均値や中央値を演算する等により、より高い精度の車輪径の情報を取得し易くなる。またこの際、車輪を転動させながら車輪径を複数回計測した場合には、車輪に偏摩耗が生じている場合等にも車輪の平均的な車輪径を取得することが可能となるため、偏摩耗等の影響が小さい高精度な車輪径を取得することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示に係る技術は、レールの走行面上を転動する車輪の径を計測する車輪径計測装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:レール
2:車輪
4:車輪径計測装置
16:投光部
17:受光部
18:光センサ
19:計測部
21:検出光
21A:第1帯状光部(帯状光部)
21B:第2帯状光部(帯状光部)
21C:第3帯状光部(帯状光部)
21D:第4帯状光部(帯状光部)
21E:第5帯状光部(帯状光部)
23:貫通孔
F:走行面
L1:隙間
L2:両端間の距離
L3:停止最大誤差
R:車輪径
R2:最大車輪径
R3:最小車輪径
T:走行軌跡
X:延在方向
Y:幅方向
Z:上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8