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7014400測位装置、測位方法、測位プログラム、測位プログラム記憶媒体、アプリケーション装置、および、測位システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】測位装置、測位方法、測位プログラム、測位プログラム記憶媒体、アプリケーション装置、および、測位システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/33 20100101AFI20220125BHJP
   G01S 19/43 20100101ALI20220125BHJP
   G01S 19/07 20100101ALI20220125BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20220125BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G01S19/33
G01S19/43
G01S19/07
G01C21/28
G08G1/0969
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017195171
(22)【出願日】2017-10-05
(65)【公開番号】P2019066441
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504011612
【氏名又は名称】杉本 末雄
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 末雄
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-186032(JP,A)
【文献】特開2010-127715(JP,A)
【文献】特開2007-187597(JP,A)
【文献】特開2015-169505(JP,A)
【文献】特表2011-521258(JP,A)
【文献】特開2009-025233(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0039321(US,A1)
【文献】興梠正克 蔵田武志,組み込み型GPS・自蔵式センサシステムによる屋内外歩行者ナビ,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2006年05月19日,第106巻 第75号,Pages 75-80,ISSN 0913-5685
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
19/00 - 19/55
G01C 21/00 - 21/36
23/00 - 25/00
G05D 1/00 - 1/12
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位システムの測位信号の擬似距離または搬送波位相積算値を検出する受信部と、
前記擬似距離または前記搬送波位相積算値を用いてカルマンフィルタ処理を実行することによって、測位を行う測位演算部と、
を備え、
前記測位演算部は、
前記複数の測位システムの第1の測位システムによる測位から第2の測位システムによる測位に変更するとき、
前記第1の測位システムに対するカルマンフィルタによって推定された位置および誤差共分散を、前記第2の測位システムに対するカルマンフィルタの事前推定値に設定して、前記第2の測位システムに対するカルマンフィルタ処理を実行する
位装置。
【請求項2】
前記測位演算部は、
前記第1の測位システムによる測位で利用できる測位信号数が測位を事項可能な個数に満たない場合、
または、前記第1の測位システムでの誤差共分散が変更用の閾値を超える場合に、
前記第1の測位システムから前記第2の測位システムに変更する、
請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の測位装置の各構成と、
前記測位演算部で算出された位置を用いたアプリケーション情報を生成するアプリケーション処理部と、
を備える、アプリケーション装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の測位装置の各構成、および、前記測位の結果を用いて衛星軌道情報の補正情報を生成する補正情報生成部を備える基地局と、
前記補正情報生成部からの補正情報を前記測位信号とともに送信する測位衛星と、
を備える、測位システム。
【請求項5】
複数の測位システムの測位信号の擬似距離または搬送波位相積算値を検出する工程と、
前記擬似距離または前記搬送波位相積算値を用いてカルマンフィルタ処理を実行することによって、測位を行う工程と、
を備え、
前記測位を行う工程は、
前記複数の測位システムの第1の測位システムによる測位から第2の測位システムによる測位に変更するとき、
前記第1の測位システムに対するカルマンフィルタによって推定された位置および統合誤差共分散を、前記第2の測位システムに対するカルマンフィルタの事前推定値に設定して、前記第2の測位システムに対するカルマンフィルタ処理を実行する
位方法。
【請求項6】
複数の測位システムの測位信号の擬似距離または搬送波位相積算値を検出する処理と、
前記擬似距離または前記搬送波位相積算値を用いてカルマンフィルタ処理を実行することによって、測位を行う処理と、
を演算処理装置に実行させ、
前記測位を行う処理は、
前記複数の測位システムの第1の測位システムによる測位から第2の測位システムによる測位に変更するとき、
前記第1の測位システムに対するカルマンフィルタによって推定された位置および統合誤差共分散を、前記第2の測位システムに対するカルマンフィルタの事前推定値に設定して、前記第2の測位システムに対するカルマンフィルタ処理を実行する処理を含む、
位プログラム。
【請求項7】
複数の測位システムの測位信号の擬似距離または搬送波位相積算値を検出する処理と、
前記擬似距離または前記搬送波位相積算値を用いてカルマンフィルタ処理を実行することによって、測位を行う処理と、
を演算処理装置に実行させるプログラムが記憶され、
前記測位を行う処理は、
前記複数の測位システムの第1の測位システムによる測位から第2の測位システムによる測位に変更するとき、
前記第1の測位システムに対するカルマンフィルタによって推定された位置および統合誤差共分散を、前記第2の測位システムに対するカルマンフィルタの事前推定値に設定して、前記第2の測位システムに対するカルマンフィルタ処理を実行する処理を含む、
位プログラム記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GNSSの測位信号を用いて単独測位を行う測位技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、単独測位を行う測位装置が各種考案されている。例えば、特許文献1に示すように、測位装置は、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Grobal Navigation Satellite Systems)の測位信号を受信し、擬似距離や搬送波位相積算値を用いて、位置の推定演算を行う。
【0003】
この際、測位装置は、特許文献1に示すようなカルマンフィルタを用いて、位置の推定演算を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-130399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、測位衛星からの測位信号を用いた測位システムは、米国のGPSのみでなく、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileo等、複数の国や機構によって実現されている。そして、各測位システムでは、それぞれに固有の測位衛星を用い、それぞれに固有の測位信号を採用している。
【0006】
従来、これら複数の測位システムを用いる場合、それぞれの測位信号から個別に位置を推定していた。
【0007】
しかしながら、各測位システムでは、受信可能な領域が異なり、特定の測位システムのみを採用すると、受信できない領域、すなわち、測位できない領域が存在する。
【0008】
一方で、複数の測位システムを採用する場合、このような受信できない領域、測位できない領域の発生確率は低下するが、複数の測位システム毎に推定した位置を用いて、出力用の位置を更に算出することになり、測位のための処理が煩雑になってしまう。
【0009】
したがって、本発明の目的は、複数の測位システムの測位信号を用いて、容易な処理で高精度な測位を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の測位装置は、受信部、および、測位演算部を備える。受信部は、複数の測位システムの測位信号の擬似距離または搬送波位相積算値を検出する。測位演算部は、複数の測位システムの各位置の統計的演算値を統合位置とし、各誤差共分散の統計的演算値を統合誤差共分散として、カルマンフィルタ処理を実行することによって、測位を行う。
【0011】
この構成では、複数の測位システムの測位信号を用いた統合値によってカルマンフィルタが実行される。これにより、処理が容易になり、且つ、カルマンフィルタに用いる測位信号数が稼げることによって、精度の向上が可能になる。
【0012】
また、この発明の測位装置は、受信部、および、測位演算部を備える。受信部は、複数の測位システムの測位信号の擬似距離または搬送波位相積算値を検出する。測位演算部は、複数の測位システムの第1の測位システムに対するカルマンフィルタによって推定された位置および誤差共分散を、複数の測位システムの第2の測位システムに対するカルマンフィルタの事前推定値に設定して、第2の測位システムに対するカルマンフィルタ処理を実行することによって、測位を行う。
【0013】
この構成では、位置および誤差共分散が複数の測位システムで引き継がれるので、処理の容易化とともに精度の向上が可能になる。
【0014】
また、この発明のアプリケーション装置は、上述のいずれかに記載の測位装置の各構成と、アプリケーション処理部と、を備える。アプリケーション処理部は、測位演算部で算出された位置を用いたアプリケーション情報を生成する。
【0015】
この構成では、高精度な測位結果が得られることよって、より適切なアプリケーション情報が生成される。
【0016】
また、この発明の測位システムは、基地局と測位衛星とを備える。基地局は、上述のいずれかに記載の測位装置の各構成、および、測位結果を用いて衛星軌道情報の補正情報を生成する補正情報生成部を備える。測位衛星は、補正情報生成部からの補正情報を測位信号とともに送信する。
【0017】
この構成では、高精度な補正情報が得られることによって、より高精度な測位が可能になる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、複数の測位システムの測位信号を用いて、容易な処理で高精度な測位を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る測位装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る第1の測位方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係る第2の測位方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
図5】(A)は、本発明の実施形態に係る補正システムの構成を示す図であり、(B)は、基地局の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る測位装置および測位方法について、図を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る測位装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、測位装置10は、受信部30、受信部31、受信部32、および、測位演算部40を備える。受信部30、受信部31、受信部32、および、測位演算部40は、それぞれに、1または複数の半導体素子やICによって実現されている。なお、受信部30、受信部31、受信部32、および、測位演算部40は、情報処理装置と該情報処理装置によって実行されるプログラムによって実現できる。
【0022】
受信部30、受信部31、受信部32、は、アンテナ20に接続されている。なお、アンテナ20を測位装置10に含めてもよい。
【0023】
アンテナ20は、複数の測位システムの測位衛星SATi、測位衛星SATj、測位衛星SATk(図1では3つの測位衛星のみを図示しており、他の測位衛星の図示は省略している。)からの測位信号SSi、SSj、SSkをそれぞれ受信し、受信部31、受信部32、受信部33に出力する。
【0024】
複数の測位システムは、例えば、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileo、中国のBeiDou、日本の準天頂衛星システム(QZSS)等である。測位信号SSiは、測位衛星SATiから送信され、測位信号SSjは、測位衛星SATjから送信され、測位信号SSkは、測位衛星SATkから送信される。
【0025】
受信部31は、測位信号SSiを捕捉、追尾して、測位信号SSiの擬似距離ρiおよび搬送波位相積算値Φiを検出する。受信部31は、複数の時刻において、測位信号SSiの擬似距離ρiおよび搬送波位相積算値Φiを検出する。受信部31は、各時刻での擬似距離ρiおよび搬送波位相積算値Φiを、測位演算部40に出力する。
【0026】
受信部32は、測位信号SSjを捕捉、追尾して、測位信号SSjの擬似距離ρjおよび搬送波位相積算値Φjを検出する。受信部32は、複数の時刻において、測位信号SSjの擬似距離ρjおよび搬送波位相積算値Φjを検出する。受信部32は、各時刻での擬似距離ρjおよび搬送波位相積算値Φjを、測位演算部40に出力する。
【0027】
受信部33は、測位信号SSkを捕捉、追尾して、測位信号SSkの擬似距離ρkおよび搬送波位相積算値Φkを検出する。受信部33は、複数の時刻において、測位信号SSkの擬似距離ρkおよび搬送波位相積算値Φkを検出する。受信部33は、各時刻での擬似距離ρkおよび搬送波位相積算値Φkを、測位演算部40に出力する。
【0028】
測位演算部40は、複数の測位システムの擬似距離ρおよび搬送波位相積算値Φを観測値として、カルマンフィルタ処理を実行する。すなわち、測位演算部40は、測位信号SSiの擬似距離ρiおよび搬送波位相積算値Φiと、測位信号SSjの擬似距離ρjおよび搬送波位相積算値Φjと、測位信号SSkの擬似距離ρkおよび搬送波位相積算値Φkとを観測値として、カルマンフィルタ処理を実行する。
【0029】
この際、測位演算部40は、複数の測位システムの各位置の統計的演算値を統合位置とし、各誤差共分散の統計的演算値を統合誤差共分散として、カルマンフィルタ処理を実行する。統計的演算値とは、例えば、最小二乗値、平均値の平滑化値等を用いる。
【0030】
すなわち、測位演算部40は、カルマンフィルタ処理に対して、次の状態方程式を設定する。
【0031】
時刻tの推定位置をu(t)とし、システムノイズをW(t)とし、状態遷移行列をFとすると、状態方程式は、次式で表される。
【0032】
u(t+1)=F・u(t)+W(t)
測位演算部40は、この位置u(t)に統合位置を設定する。また、測位演算部40は、この状態遷移行列に統合誤差共分散を用いる。
【0033】
また、測位演算部40は、カルマンフィルタ処理に対して、次の観測方程式を設定する。
【0034】
時刻tの推定位置をu(t)とし、観測値をy(t)とし、観測ノイズをV(t)とし、観測行列をHとすると、観測方程式は、次式で表される。
【0035】
y(t)=H・u(t)+V(t)
測位演算部40は、観測値y(t)に上述の擬似距離ρi、ρj、ρk、または、搬送波位相積算値Φi、Φj、Φkを用いる。
【0036】
このような処理を行うことによって、複数の測位システム毎にカルマンフィルタ処理を実行して推定された位置を更に統合するよりも簡素な処理で、測位を行うことができる。
【0037】
また、このように複数の測位システムの擬似距離や搬送波位相積算値を、カルマンフィルタ処理の観測値に設定できるので、観測値数が多くなり、測位精度は向上する。
【0038】
上述の説明では、各処理をそれぞれの機能部で分担して実行する態様を示した。しかしながら、上述の各処理をプログラム化して記憶媒体に記憶しておき、CPU等の演算処理装置で実行してもよい。この場合、図2に示す処理を実行すればよい。図2は、本発明の実施形態に係る第1の測位方法を示すフローチャートである。
【0039】
演算処理装置は、複数の測位システムの擬似距離ρi、ρj、ρkと、搬送波位相積算値Φi、Φj、Φkとを検出する(S101)。
【0040】
演算処理装置は、複数の測位システムにおける各位置、各誤差共分散の統計的演算値から統合位置、統合誤差共分散を設定する(S102)。
【0041】
演算処理装置は、カルマンフィルタ処理を用いて統合位置、統合誤差共分散を算出する(S103)。
【0042】
なお、上述の説明では、測位演算部40は、複数の測位システムに対して統合された位置および誤差共分散を用いてカルマンフィルタ処理を実行したが、複数の測位システムのそれぞれで個別にカルマンフィルタ処理を実行して、測位システム間で推定値を引き継いでもよい。この場合、測位演算部40は、次に示す処理を実行する。
【0043】
概略的には、測位演算部40は、複数の測位システムに含まれる第1の測位システムの推定位置(事後推定位置)および推定誤差共分散(事後推定誤差共分散)を、引継ぎ対象である第2の測位システムの事前推定位置および事前推定誤差共分散に設定する。
【0044】
図3は、本発明の実施形態に係る第2の測位方法を示すフローチャートである。なお、図3では、測位衛星SATiを含む測位システムSysiと、測位衛星SATjを含む測位システムSysjとの間で引継ぎを実行する場合を示している。しかしながら、測位衛星SATiを含む測位システムSysiと、測位衛星SATjを含む測位システムSysjと、測位衛星SATkを含む測位システムSyskとで引継ぎをおこなってもよく、それ以上の複数の測位システムで引継ぎを行ってもよい。
【0045】
受信部31、32または演算処理装置は、測位システムの擬似距離と搬送波位相積算値を検出する(S201)。
【0046】
測位演算部40または演算処理装置は、測位システムSysiについてカルマンフィルタ処理を用いて位置、誤差共分散を推定算出する(S202)。
【0047】
測位演算部40または演算処理装置は、演算対象の測位システムを変更するか否かを検出する。測位システムの変更は、例えば、測位システムSysiを用いて測位を実行するのに必要な測位信号の数を満たさない場合、誤差共分散の値が閾値を超える場合等によって検出できる。
【0048】
測位演算部40または演算処理装置は、測位システムを変更しなければ(S203:NO)、ステップS202に戻り、測位システムSysiによるカルマンフィルタ処理を継続する。
【0049】
測位演算部40または演算処理装置は、測位システムSysiから測位システムSysjに変更すると(S203:YES)、測位システムSysjによるカルマンフィルタ処理の事前推定値として、システム変更の直前の測位システムSysiに対するカルマンフィルタ処理での推定位置および推定誤差共分散を採用する(S204)。
【0050】
以降は、測位演算部40または演算処理装置は、測位システムSysjによるカルマンフィルタ処理を用いて、位置および誤差共分散を逐次更新しながら推定する。そして、同じように、測位システムの変更を行う場合には、図3の処理を適用して実行すればよい。
【0051】
このような構成および処理を行うことによって、収束に向かう、精度が向上した位置および誤差共分散を複数の測位システムで引き継いで利用できるので、処理が簡素化され、精度が向上する。
【0052】
上述の測位装置は、自装置の位置を用いた各種のアプリケーション装置に適用できる。例えば、図4は、本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【0053】
図4に示すように、ナビゲーション装置1は、測位装置10、アンテナ20、および、ナビゲーション処理部61を備える。ナビゲーション装置1が、本発明の「アプリケーション装置」に対応し、ナビゲーション処理部61が、本発明の「アプリケーション処理部」に対応する。
【0054】
測位装置10およびアンテナ20は、上述の構成を備える。測位演算部40は、測位結果を、ナビゲーション処理部61に出力する。
【0055】
ナビゲーション処理部61は、測位結果を適用した既知の方法から、自装置が搭載される移動体の目的位置までのルート照会、ルート案内、または、現在位置の周辺情報等のナビゲーション情報を生成する。ナビゲーション処理部61は、ナビゲーション情報を、図示しない表示部等に表示する。ここで、本実施形態の測位装置10を用いることによって、自装置位置を高精度に得られるので、ナビゲーション装置1は、高精度なルート照会、ルート案内や、より適切な周辺情報を提供できる。
【0056】
上述の説明では、測位装置の位置を算出する態様を示したが、測位装置を基地局に備えて、上記の推定演算を用いて、測位衛星の位置を高精度に算出することも可能である。そして、この算出結果を用いることによって、衛星軌道情報に対する補正情報を算出することもできる。図5(A)は、本発明の実施形態に係る補正システムの構成を示す図であり、図5(B)は、基地局の構成を示すブロック図である。
【0057】
図5(A)、図5(B)に示すように、基地局2は、測位装置10、アンテナ20、送信用アンテナ20T、補正情報生成部71、および、送信部72を備える。アンテナ20および測位装置10は、上述の構成を備える。測位演算部40は、測位結果を、補正情報生成部71に出力する。
【0058】
補正情報生成部71は、基地局2の位置(補正用の基準位置)を予め記憶している。補正情報生成部71は、補正用の基準位置と測位位置とを比較する。補正情報生成部71は、補正用の基準位置と測位位置との比較結果から、既知の方法を用いて、衛星位置の誤差を算出する。補正情報生成部71は、この衛星位置の誤差から衛星軌道情報の補正情報を生成する。補正情報生成部71は、補正情報を送信部72に出力する。
【0059】
送信部72は、送信用アンテナ20Tを介して、補正情報を測位衛星SATに送信する。測位衛星SATは、受信した補正情報によって、補正情報の更新を行う。
【0060】
このようなシステムの構成を用いることによって、補正情報を高精度に更新でき、測位精度が向上する。
【符号の説明】
【0061】
1:ナビゲーション装置
2:基地局
10:測位装置
20:アンテナ
20T:送信用アンテナ
30、31、32、33:受信部
40:測位演算部
61:ナビゲーション処理部
71:補正情報生成部
72:送信部
SATi、SATj、SATk:測位衛星
SSi、SSj、SSk:測位信号
Sysi、Sysj、Sysk:測位システム
図1
図2
図3
図4
図5