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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/124 20060101AFI20220125BHJP
   A47G 29/122 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A47G29/124
A47G29/122 A
A47G29/122 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017208502
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019080626
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000170347
【氏名又は名称】株式会社オリエンタル
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】城田 孝典
(72)【発明者】
【氏名】田島 専司
(72)【発明者】
【氏名】能澤 孝博
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-232012(JP,A)
【文献】特開平08-299152(JP,A)
【文献】特開2003-120098(JP,A)
【文献】特開2007-252896(JP,A)
【文献】特開平06-064914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00~29/30
E05B 1/00~85/28
B41K 1/00~99/00
B65F 1/00~ 1/16
G07C 1/00~15/00
B65B 15/00~17/02
B65B 29/00~29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収容しうる箱体と、前記箱体に開閉自在に支持された扉体と、前記扉体の内側に設置され印鑑部材が手動で押印方向にスライドせしめられることで、前記扉体を開けた状態で受領印を押印するための印鑑機構と、
前記扉体の内側の印鑑部材が押印方向に押されることにより受領印が伝票に押印されるように前記伝票を入れるための伝票受けと、
前記扉体に取り付けられ前記扉体を施錠する錠前機構と、
前記扉体の外側に取り付けられ、前記扉体を開けるための解除把手レバーと、
を有し、
前記扉体が閉まっている状態で、前記解除把手レバーを引いて前記扉体を開け、
前記荷物を前記箱体内部に収容し、
前記印鑑部材押印方向にスライドせしめることで前記解除把手レバーが不動状態となり、
前記扉体を閉めることで施錠されるように前記印鑑機構と前記錠前機構とが連動せしめられてなる、宅配ボックス。
【請求項2】
前記扉体の外側に、前記扉体の施錠状態又は解錠状態のいずれかを表示する表示部が設けられてなり、前記扉体が施錠されると施錠状態を表示し、前記扉体が解錠されると解錠状態を表示してなる、請求項1記載の宅配ボックス。
【請求項3】
戸建て住宅の玄関先に載置されてなる、請求項1又は2記載の宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不在時等においても宅配荷物の受け取りが可能であり且つ施錠を忘れることがない宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不在時等においても宅配荷物の受け取りを可能とする荷物の受け取りボックスとして、宅配ボックスが知られており、集合住宅や戸建て住宅など、宅配荷物が宅配される場所に宅配ボックスが置かれている。
【0003】
かかる宅配ボックスは、配達業者が家主の不在を確認した後、荷物を宅配ボックスに収納し、前記荷物の盗難を防止するため、前記配達業者が前記宅配ボックスを施錠する必要がある。
【0004】
一方で、配達業者は配達したことの証明として受領印が必要なため、受領印を押印する機構も宅配ボックスは備えている必要がある。この点、例えば、特許文献1に示すような受領印を押印する機構などがある。
【0005】
しかしながら、市場には様々な種類の宅配ボックスが販売されており、その構造も様々であるため、配達業者が宅配荷物を宅配ボックス内に預ける際に、扉の開閉作業や施錠や押印をどのようにして行えばよいか戸惑うことも多く、場合によっては施錠を忘れてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-252896
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたもので、荷受け時の施錠動作を押印動作に連動させることで宅配荷物の配達業者による施錠忘れの懸念を排除し、確実に施錠できるようにした宅配ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の宅配ボックスは、荷物を収容しうる箱体と、前記箱体に開閉自在に支持された扉体と、前記扉体の内側に設置され印鑑部材が押印方向にスライドせしめられることで受領印を押印するための印鑑機構と、前記扉体に取り付けられ前記扉体を施錠する錠前機構と、を有し、前記印鑑部材が押印方向にスライドせしめられると前記扉体が施錠されるように前記印鑑機構と前記錠前機構とが連動せしめられてなる、宅配ボックスである。
【0009】
また、前記扉体の外側に、前記扉体の施錠状態又は解錠状態のいずれかを表示する表示部が設けられてなり、前記扉体が施錠されると施錠状態を表示し、前記扉体が解錠されると解錠状態を表示してなるのが好適である。
【0010】
戸建て住宅の玄関先に載置されてなるのが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の宅配ボックスは、荷受け時の施錠動作を押印動作に連動させることで宅配荷物の配達業者による施錠忘れの懸念を排除し、確実に施錠できるようにした宅配ボックスを提供することができるという著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の宅配ボックスの一つの実施の形態を示す外観斜視図である。
図2図1の宅配ボックスの扉体を開いた状態を示す斜視図である。
図3図2の状態からカバーを開けて押印機構と錠前機構とを示す一部分解斜視図である。
図4図3の状態から錠前機構を外した一部分解斜視図である。
図5】押印機構と錠前機構の要部拡大図である。
図6】受領印の押印動作により、ロックプレートが自重で下がった状態を示す要部拡大図である。
図7】施錠状態を示す要部拡大図である。
図8】解錠動作を示す要部拡大図である。
図9図3のI-I線断面図である。
図10図9の状態から、表示板がスライドして表示部が「荷受済」となった状態を示す断面図である。
図11】本発明の宅配ボックスの別の実施の形態を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。図示において、同一部材は同一符号であらわされる。
【0014】
本発明の宅配ボックスの一つの実施の形態を図1~10に示す。図1~10において、符号10Aは、本発明の宅配ボックスの一つの実施の形態を示す。
【0015】
本発明の宅配ボックス10Aは、図1~4によく示されるように、荷物を収容しうる箱体12と、前記箱体12に開閉自在に支持された扉体14と、前記扉体14の内側に設置され印鑑部材16が押印方向Qにスライドせしめられることで受領印を押印するための印鑑機構18と、前記扉体14に取り付けられ前記扉体14を施錠する錠前機構20と、を有し、前記印鑑部材16が押印方向Qにスライドせしめられると前記扉体14が施錠されるように前記印鑑機構18と前記錠前機構20とが連動せしめられてなる構成とされている。
【0016】
前記扉体14の外側には、図1に示すように、前記扉体14の施錠状態又は解錠状態のいずれかを表示する表示部22が設けられている。施錠状態又は解錠状態の表示は、色分けしたり、文字による記載で表示したりすればよい。前記表示部22は、前記扉体14が施錠されると施錠状態を表示し、前記扉体14が解錠されると解錠状態を表示する構成となっている。
【0017】
また、図示例では、図5に示すように、前記印鑑部材16の押印方向Qは鉛直下向き方向である。図示例以外にも、押印方向を鉛直上向き方向としたり、或いは押印方向が水平方向となるように構成することもできる。例えば、押印方向が水平右向き方向(印鑑部材16から遠ざかる方向)となるように構成してもよい。さらに、本発明の宅配ボックス10Aは、集合住宅や戸建て住宅など、宅配荷物が配達される場所に載置して使用することができるが、戸建て住宅の玄関先に載置されて使用するのが特に好適である。
【0018】
前記扉体14には、孔部24が形成されており、解除把手レバー26が孔部24内に設けられている。解除把手レバー26は解除把手レバーシャフト27に取り付けられて回転可能とされており、解除把手レバーシャフト27の上端部には解除把手レバーシャフト突出部37が形成されている。前記印鑑機構18及び錠前機構20はカバー28で覆われており、施錠するためのラッチ30が突出せしめられている。また、解除把手レバー26は解除把手カバー32で覆われている。
【0019】
ラッチ30はラッチベース34に取り付けられており、連結シャフト36で連結されている。カバー28には、切込みが形成されており、受領印を押印するための伝票受け38とされている。
【0020】
また、扉体14には鍵穴40が設けられており、鍵を差し込んで回すことで解錠が可能とされている。図5に示すように、扉体14の内側には、鍵穴40にフック部材42が設けられており、回転可能とされている。
【0021】
符号44は、表示板であり、表示板44が水平方向にスライドすることで、表示部22の施錠状態及び解錠状態の表示が切り替わる。そして、図示例では、表示部22には孔が形成されており、表示板44の表示が透過して表示される構成となっている。表示板44には、元の位置に戻るためのバネ部材45も取り付けられている。
【0022】
錠前機構20は図5によく示される。表示板44には、ロックプレート46が長孔48に昇降可能に取り付けられており、表示板44が図5の矢印の方向にスライドすると、表示板44の下側フランジ部に形成された切り欠き部50に自重で落下する。
【0023】
印鑑機構18も図5によく示される。印鑑部材16は長孔52に取り付けられており、さらに、表示板44と連動するようにリンクバー56で連結されている。リンクバー56は、L字状長孔58に取り付けられている。また、元の位置に戻るためのバネ部材54も取り付けられている。リンクバー56によって印鑑機構18と錠前機構20とが連動せしめられる。
【0024】
受領印を押印するにあたっては、図6に示すように、配達業者が手で印鑑機構18の上部を押すと印鑑部材16が押印方向Qに押し下がることで伝票に押印される。リンクバー56で図5の矢印方向にスライドされた表示板44によって、表示部22には「荷受済」と表示される。ロックプレート46は切り欠き部50に自重で落下し、図6のロック状態となる。
【0025】
図7に施錠状態を示す。図7に示すように、印鑑部材16は、バネ部材54によって定位置へと復帰するが、表示板44はロックプレート46がロック状態となっているため、スライドした状態を維持する。また、表示板44の下部には、回転規制板60が形成されており、図7に示すように、表示板44がスライドすると解除把手レバーシャフト突出部37に回転規制板60が覆い被さり、解除把手レバーシャフト27の回転が規制され、解除把手レバー26が動かなくなる。また、図7の状態で再度押印をしようとするとリンクバー56はL字状長孔58の溝に落ち込んだ状態となってしまうため、印鑑部材16による再度の押印は不可能となる。
【0026】
図8に解錠状態を示す。鍵穴40に鍵を入れて鍵を回すと、図8に示すように、フック部材42が回転してロックプレート46を持ち上げる。すると、バネ部材45によって表示板44が元の位置に復帰し、表示板44によって、表示部22には「荷受可」と表示される。解除把手レバーシャフト27の回転及び解除把手レバー26の規制も解除されて、解除把手レバー26を引いて扉体14を開けることが可能となる。
【0027】
図9に、解除把手レバー26とラッチ30の構成図を示す。表示板44によって表示部22に「荷受可」と表示されている状態では、図9に示すように、解除把手レバーシャフト27の回転は規制されておらず、解除把手レバー26はフリーの状態となっている。そして、解除把手レバー26を引くと、ラッチ30に取り付けられた連結シャフト36が押し込まれて、ラッチ30がスライドせしめられ、扉体14を開けることが可能となる。なお、ラッチ30はバネ部材61によって弾性的に支持されている。
【0028】
一方、表示板44によって表示部22に「荷受済」と表示されている状態では、図10に示すように、表示板44がスライドして解除把手レバーシャフト突出部37に回転規制板60が覆い被さり、解除把手レバーシャフト27の回転が規制され、解除把手レバー26が動かなくなる。この状態では、解除把手レバー26によるラッチ動作は不可能であり、扉体14を開けることはできない。但し、外部の圧力によってラッチ30を引っ込める動作は可能であるため、図10の状態(「荷受済」の状態)で扉体14を閉めることが可能である。扉体14を閉めて施錠状態となる。
【0029】
次に、宅配ボックス10Aの作用を説明する。
【0030】
宅配荷物を配達しに来た配達業者は、家主の不在を確認した後、宅配ボックス10Aの表示部22に「荷受可」と表示されている状態で、解除把手レバー26を引いて扉体14を開ける。なお、表示部22が「荷受済」の状態では扉体14を開けることはできない。
【0031】
扉体14を開けたら、荷物を箱体12内部に収容し、扉体14を開けたまま、伝票受け38に伝票を通し、扉体14の内側にある印鑑部材16を押印方向Qに押すことで受領印を押印する。すると、表示部22が「荷受済」となるので、そのまま扉体14を閉める。これで、施錠状態となるので、配達業者の作業は完了する。
【0032】
一方、帰宅した家主は、宅配ボックス10Aの表示部22が「荷受済」となっていることを確認したら、鍵穴40に鍵を差し込んで回してフック部材42を回転させる。ロックプレート46のロック状態が解除されて解錠状態となり、配達されてきた荷物を受け取ることができる。
【0033】
本発明の宅配ボックスの別の実施の形態を図11に示す。
【0034】
本発明の宅配ボックス10Bは、荷物を収容しうる箱体62と、前記箱体62に開閉自在に支持された扉体64と、前記扉体64の内側に設置され印鑑部材が押印方向にスライドせしめられることで受領印を押印するための印鑑機構と、前記扉体64に取り付けられ前記扉体64を施錠する錠前機構と、を有し、前記印鑑部材が押印方向にスライドせしめられると前記扉体64が施錠されるように前記印鑑機構と前記錠前機構とが連動せしめられてなる構成とされている。
【0035】
宅配ボックス10Bの印鑑機構や錠前機構については上記した宅配ボックス10Aの機構と同様である。宅配ボックス10Aと異なるのは、扉体64の外側から伝票が入れられるように伝票受け72が形成され、また、扉体64の外側から印鑑部材を押印方向にスライドできるように受領印押し窓76が形成されている点である。これにより、配達業者が、外側から伝票74を入れて受領印押し窓76から手で印鑑機構の上部を押すと、印鑑部材が、上記した宅配ボックス10Aの押印方向Qと同様に押し下がり、受領印が押される構成とされている。
【0036】
符号66は鍵穴であり、68は表示部、70は解除把持レバー、78は孔部である。これら構成は上記した宅配ボックス10Aと同様である。
【0037】
宅配ボックス10Bの作用を説明する。
【0038】
宅配荷物を配達しに来た配達業者は、家主の不在を確認した後、宅配ボックス10Bの表示部68に「荷受可」と表示されている状態で、解除把手レバー70を引いて扉体64を開ける。なお、表示部68が「荷受済」の状態では扉体64を開けることはできない。
【0039】
扉体64を開けたら、荷物を箱体62内部に収容し、扉体64を閉める。そして、配達業者が、外側から伝票受け72に伝票74を通し、受領印押し窓76から手で印鑑機構の上部を押すと、扉体64の内側にある印鑑部材が押印方向に押し下がり、伝票74に受領印が押印される。すると、表示部68が「荷受済」となる。そして、これで、施錠状態となるので、配達業者の作業は完了する。
【0040】
一方、帰宅した家主は、宅配ボックス10Bの表示部68が「荷受済」となっていることを確認したら、鍵穴66に鍵を差し込んで回して、上記した宅配ボックス10Aの機構と同様に、フック部材を回転させる。ロックプレートのロック状態が解除されて解錠状態となり、配達されてきた荷物を受け取ることができる。本発明の宅配ボックス10Bも、集合住宅や戸建て住宅など、宅配荷物が配達される場所に載置して使用することができるが、戸建て住宅の玄関先に載置されて使用するのが特に好適である。
【0041】
上記のように宅配ボックス10A,10Bでは押印動作と施錠動作が連動しているため、宅配荷物の配達業者が施錠をし忘れることなく、確実に施錠することができる宅配ボックスである。
【符号の説明】
【0042】
10A,10B:本発明の宅配ボックス、12,62:箱体、14,64:扉体、16:印鑑部材、18:印鑑機構、20:錠前機構、22,68:表示部、24,78:孔部、26,70:解除把手レバー、27:解除把手レバーシャフト、28:カバー、30:ラッチ、32:解除把手カバー、34:ラッチベース、36:連結シャフト、37:解除把手レバーシャフト突出部、38,72:伝票受け、40,66:鍵穴、42:フック部材、44:表示板、45,54,61:バネ部材、46:ロックプレート、48,52:長孔、50:切り欠き部、56:リンクバー、58:L字状長孔、60:回転規制板、74:伝票、76:受領印押し窓、Q:押印方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11