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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】握力鍛錬装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/16 20060101AFI20220125BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A63B23/16
A63B69/00 C
A61H1/02 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017229117
(22)【出願日】2017-11-29
(65)【公開番号】P2019097668
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504109539
【氏名又は名称】株式会社テクノメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】小泉 隆男
(72)【発明者】
【氏名】芦田 春幸
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/115415(WO,A1)
【文献】特開昭62-179481(JP,A)
【文献】特開2011-104107(JP,A)
【文献】特開2017-127406(JP,A)
【文献】特開2003-52770(JP,A)
【文献】特開2007-185325(JP,A)
【文献】特開2012-232079(JP,A)
【文献】特開2005-501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 23/12-23/16
A63B 69/00
A61B 5/22
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親指と他の指との間で把持する筒状本体部と、
前記筒状本体部の前記親指又は前記他の指が当接する位置に設けた指当接部と、
前記指当接部に加わる前記親指又は前記他の指による圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段で検出された圧力値が所定値を超えた場合それを表示する表示手段とを備え、
前記筒状本体部の底部は該筒状本体部を前記親指と他の指との間で把持して前記底部を平坦面に摺接させて安定して摺接移動できる構成となっており、
前記筒状本体部を前記平坦面に形成された所定経路に沿って移動させた場合、前記筒状本体部の底部の中心部が前記所定経路に沿って移動しているか否を検出する移動経路検出手段を設けていることを特徴とする握力鍛錬装置。
【請求項2】
親指と他の指との間で把持する筒状本体部と、
前記筒状本体部の前記親指又は前記他の指が当接する位置に設けた指当接部と、
前記指当接部に加わる前記親指又は前記他の指による圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段で検出された圧力値が所定値を超えた場合それを表示する表示手段とを備え、
前記筒状本体部の底部を平坦面に摺接させて安定して摺接移動できる構成は、前記筒状本体部の下端に取り付けた環状体を備え、該環状体の下方表面が下方に突出する半円弧状であることを特徴とする握力鍛錬装置。
【請求項3】
請求項2に記載の握力鍛錬装置において、
前記筒状本体部の下端に取り付けた環状体の内部に移動自在に複数の金属球を挿入したことを特徴とする握力鍛錬装置。
【請求項4】
親指と他の指との間で把持する筒状本体部と、
前記筒状本体部の前記親指又は前記他の指が当接する位置に設けた指当接部と、
前記指当接部に加わる前記親指又は前記他の指による圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段で検出された圧力値が所定値を超えた場合それを表示する表示手段とを備え、
前記表示手段の表示回数、前記圧力検出手段の検出圧力値、前記表示手段の表示日や時刻や時間、前記圧力検出手段の検出日や時刻や時間、移動経路検出手段の検出結果や検出日や時刻や時間のいずれか又は複数又は全部をデータとして記録するデータ記録部を設け、
データ記録部に記録されたデータをデータラインを経由してコンピュータで読み出すことができるように構成されていることを特徴とする握力鍛錬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、握力、即ち指で物を把持する力を鍛錬する握力鍛錬装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に人間は、老いてくると指で物を把持する力、即ち握力が衰えてくる。また、病気や事故等により握力が弱くなる場合もある。このように握力が衰え、又は弱くなった場合、手の親指と他の指の間に弾性を有する物を把持し、該把持を繰り返すことにより、握力の衰えの防止又は回復を図るための握力鍛錬具が多く開発され、市販されてもいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-29508号公報
【文献】特開2005-13679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された「握力トレーニング器」や特許文献2に開示された「人体関連圧力測定装置」は、いずれもその構成が複雑で、一個の握力鍛錬装置を簡単に手で把持するだけで、各種データを測定できるように構成したものではなかった。そのため操作者が手軽に手で把持するだけで、握力を含む各種データを測定し、該データを長期間に亘って記録部に記録し、そのデータを次の握力鍛錬や握力回復のリハビリに活用することはできなかった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、一個の握力鍛錬装置を手の大きい人(手の指の長い人)でも手の小さい人(手の指の短い人)でも、操作者に合った把持状態で適正な握力で操作することができ、且つ操作している状態を確認でき、操作した各種データを長期間に亘って記録しておき、握力鍛錬やリハビリの効果確認、次の握力鍛錬やリハビリの計画に利用できる握力鍛錬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明は、親指と他の指との間で把持する筒状本体部と、筒状本体部の親指又は他の指が当接する位置に設けた指当接部と、指当接部に加わる親指又は他の指による圧力を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段で検出された圧力値が所定値を超えた場合それを表示する表示手段とを備え、筒状本体部の底部は該筒状本体部を親指と他の指との間で把持して底部を平坦面に摺接させて安定して摺接移動できる構成となっており、筒状本体部を平坦面に形成された所定経路に沿って移動させた場合、筒状本体部の底部の中心部が所定経路に沿って移動しているか否を検出する移動経路検出手段を設けていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、親指と他の指との間で把持する筒状本体部と、筒状本体部の親指又は他の指が当接する位置に設けた指当接部と、指当接部に加わる親指又は他の指による圧力を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段で検出された圧力値が所定値を超えた場合それを表示する表示手段とを備え、筒状本体部の底部を平坦面に摺接させて安定して摺接移動できる構成は、筒状本体部の下端に取り付けた環状体を備え、該環状体の下方表面が下方に突出する半円弧状であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は上記握力鍛錬装置において、筒状本体部の下端に取り付けた環状体の内部に移動自在に複数の金属球を挿入したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、親指と他の指との間で把持する筒状本体部と、筒状本体部の親指又は他の指が当接する位置に設けた指当接部と、指当接部に加わる親指又は他の指による圧力を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段で検出された圧力値が所定値を超えた場合それを表示する表示手段とを備え、表示手段の表示回数、圧力検出手段の検出圧力値、表示手段の表示日や時刻や時間、圧力検出手段の検出日や時刻や時間、移動経路検出手段の検出結果や検出日や時刻や時間のいずれか又は複数又は全部をデータとして記録するデータ記録部を設け、データ記録部に記録されたデータをデータラインを経由してコンピュータで読み出すことができるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、指当接部に加わる親指又は他の指による圧力を検出する圧力検出手段で検出された圧力値が所定値を超えた場合、それを表示する表示手段を備えているので、該所定値を適正に設定しておけば、表示手段の表示を確認するだけで、指当接部を適正圧力、即ち適正握力で筒状本体部を把持していることを確認できるから、該把持を適正回数、適正時間続けることにより、適正な握力鍛錬ができる。
【0017】
また、本発明によれば、筒状本体部を平坦面に形成された所定経路に沿って移動させた場合、筒状本体部の底部の中心部が所定経路に沿って移動しているか否かを検出する移動経路検出手段を設けているので、筒状本体部を親指と他の指との間で把持して底部を平坦面に形成された所定経路に沿って移動させるリハビリ等の鍛錬に優れた効果を発揮する。
【0018】
また、本発明によれば、筒状本体部の底部を平坦面に摺接させて安定して摺接移動できる構成は、筒状本体部の下端内周に密接して取り付けた環状体を備え、該環状体の環状方向に直交する断面は下方表面が下方に突出する半円弧状であるので、簡単な構成で筒状本体部を平坦面に沿って安定して摺接移動できる。
【0019】
また、本発明によれば、上記握力鍛錬装置において、筒状本体部の下端内周に密接して取り付けた環状体の内部に移動自在に複数の金属球を挿入したので、筒状本体部を移動させた場合、複数の金属球の衝突音で、筒状本体部が移動していることを操作者に知らせることができる。
【0020】
また、本発明は、上記握力鍛錬装置において、表示手段の表示回数、圧力検出手段の検出圧力値、表示手段の表示日や時刻や時間、圧力検出手段の検出日や時刻や時間、移動経路検出手段の検出結果や検出日や時刻や時間のいずれか又は複数又は全部をデータとして記録するデータ記録部を設けている。この記録データを解説することにより、握力鍛錬やリハビリの効果確認や、この握力鍛錬やリハビリの今後の計画において、極めて有効に利用できる。
【0021】
また、データ記録部に記録されたデータをデータラインを経由してコンピュータで読み出すことができるように構成されているので、例えば定期的にコンピュータで読み出し、それを解析することにより、上記と同様、握力鍛錬やリハビリの効果確認、リハビリの今後の計画において、極めて有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る握力鍛錬装置の外観構成を示す正面図である。
図2】本発明に係る握力鍛錬装置の右側面図である。
図3】本発明に係る握力鍛錬装置の平面図である。
図4】本発明に係る握力鍛錬装置の中央縦断面図(図1のC-C矢視断面図)である。
図5】本発明に係る握力鍛錬装置の水平断面図(図1のA-A矢視断面図)である。
図6】本発明に係る握力鍛錬装置の水平断面図(図1のB-B矢視断面図)である。
図7】本発明に係る握力鍛錬装置を手で握ったときの外観例を示す図である。
図8】本発明に係る握力鍛錬装置の底面を示す図である。
図9】本発明に係る握力鍛錬装置のデータ記憶部の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1乃至図3は本発明に係る握力鍛錬装置の外観構成例を示す図であり、図1は正面図、図2は右側面図、図3は平面図である。図に示すように、本握力鍛錬装置1は筒状の本体部11を具備している。該本体部11は弾力性を有する樹脂材からなり、内部が空洞の円錐状の筒体であり、上端は後に詳述する内部が空洞の半球状の表示用グローブ(光を透過する材料からなる内部が空洞の半球体)12で覆われている。また、下端は後に詳述する環状部を有する底部材13で覆われている。本体部11の正面略中央部の上下方向には、後に詳述するように長尺の指当接部14が配設され、その左右両面の上下方向の略中央部には半球状の突起部15,16が固定されている。
【0024】
図4乃至図6は上記握力鍛錬装置1の内部構成を示す図で、図4は中央縦断面図(図1のC-C矢視断面図)、図5は水平断面図(図1のA-A矢視断面図)、図6は水平断面図(図1のB-B矢視断面図)である。図4に示すように、本体部11の上端には、内側に水平に延びる鍔部11aが形成され、該鍔部11aの上面外周には表示用グローブ12の下端が当接し、固定されている。表示用グローブ12の下端中心部には、後に詳述する支持収納部材25の上端に取り付けたLED22が配置されている。鍔部11aの上面外周部と表示用グローブ12の下端面とが接する外周には凹状溝が形成され、該凹状溝内にOリング等のパッキン23を介在させることにより、表示用グローブ12と鍔部11aの間に形成される隙間をシールし、該隙間を通って本体部11内部に湿気等の異物が侵入しないようにしている。
【0025】
本体部11の正面の中央部上下方向には、指当接部14を取り付けるための穴11cが形成され(図1参照)、下端は内側に水平に延びる鍔部11bが形成されている。指当接部14の外周には本体部11に形成された穴11cの内周縁部が係合する溝14aが形成されており、該溝14a内に穴11cの内周縁部を嵌入固着させることにより、指当接部14は本体部11に一体的に取り付けられる。指当接部14をシリコーン等の柔軟性を有する樹脂材で構成している場合は、本体部11を手で把持し、指当接部14を指で押すと、その外周部が押圧力に応じて撓み、指を離すと復元する。また、本体部11を弾力性(柔軟性)を有する樹脂材で構成する場合は、指当接部14を指で押すと、特に指当接部14の外周近傍の本体部11がその押圧力に応じて撓み、指を離すと復元する。これにより、指当接部14は本体部11に突出没自在に取り付けられることになる。
【0026】
本体部11の内部には、バッテリー26や握力鍛錬装置1を構成する各種部品等を搭載した基板27等を収納支持する支持収納部材25が配置されている。該支持収納部材25は樹脂等から構成され剛性を有する。支持収納部材25の下端には円板状の取付部25aが支持収納部材25と一体に形成されている。取付部25aは、直径の寸法が筒状の本体部11の下端の鍔部11bの内周で形成された穴の直径より小さくなっている。従って、支持収納部材25は鍔部11bの内周側に形成された穴を通して、取付部25aを含む支持収納部材25全体を本体部11の内部に容易に収容できる。支持収納部材25の詳細な形状構成の説明は省略するが、上端が平坦な閉塞部で閉塞され、閉塞部の上面中心部には上記のようにLED22が配置されている。また、支持収納部材25の指当接部14と対向する部分は、圧力センサとなる複数の圧電素子30,30が配設できるように垂直平坦部25bとなっている。
【0027】
また、支持収納部材25の上記指当接部14と対向する垂直平坦部の両側部も、該指当接部14とは反対側に延びる垂直平坦部となっており、指当接部14の反対側は開放されている。この支持収納部材25の上端の閉塞部と、指当接部14と対向する垂直平坦部25bと、その両側の垂直平坦部と、取付部25aで囲まれた空間は、バッテリー26や電子部品等が塔載された基板27が配置する空間となっている。なお、支持収納部材25の構成は上記例に限定されるものではなく、バッテリー26や基板27が無理なく収容できる構成であればよい。
【0028】
指当接部14は、シリコーン等の剛性を有する樹脂材で構成されている。また、指当接部14は本体部11に取り付けた状態で、支持収納部材25の圧力センサとなる複数の圧電素子30,30を取り付けた垂直平坦部25bに対向する面が該垂直平坦部25bに対して平行になるように、その厚さ寸法は下方が大きく上方向に向かうに従って徐々に小さくなるように構成された傾斜面となっている。
【0029】
図7は本握力鍛錬装置1の本体部11を右手の親指101と、その他の指(人差指102、中指103、薬指104及び小指105)の間で把持した状態を示す外観斜視図である。図示するように、本体部11を親指とその他の指の間で把持すると、突起部16に親指101が当接し、指当接部14に他の指(人差指102、中指103、薬指104及び小指105)が当接することになる。それぞれの指に力を入れると、指当接部14が主に人差指102、中指103及び薬指104に押圧され、本体部11の内部方向に後退する。図7は本握力鍛錬装置1の本体部11を右手で把持した状態を示しているが、左手で把持した場合も親指101が当接する突起部が15に変わるだけで、他は略同様となる。
【0030】
指当接部14は上記のように、本体部11に取り付けた状態で、支持収納部材25の圧電素子30,30を取り付けた垂直平坦部25bと指当接部14の傾斜を設けた面14bが平行になるので、指当接部14が主に人差指102、中指103及び薬指104で押圧されると、指当接部14の面14bと垂直平坦部25bとは平行を保ったまま接近し、当接することになり、複数の圧電素子30,30を略平等の力で押圧することになる。なお、ここでは支持収納部材25の垂直平坦部25bに2個の圧電素子30,30を配置した例を示すが、垂直平坦部25bに配置する圧電素子30の数はこれに限定されるものではなく、1個又は3個以上の複数個でもよいことは当然である。
【0031】
本体部11の下端の内側に水平に延びる鍔部11bの下面には、底部材13が取り付けられている。該底部材13は、その外周部に下方表面が下方に突出する断面が半円弧状の環状部13aが一体に形成されている。そして底部材13は、図4の本握力鍛錬装置1の断面図、及び図8の底面図に示すように、ビス36,36で鍔部11bの下面に締め付けることにより、取り付けることができる。このように本体部11の下端部に底部材13を取り付けることにより、後に詳述するように、本握力鍛錬装置1の本体部11を親指と他の指の間で把持し、テーブル等の平坦面に載置して摺接移動させる場合、本握力鍛錬装置1をスムーズに移動させることが可能になる。
【0032】
また、底部材13をビス36,36で鍔部11bの下面に取り付けることにより、鍔部11bと底部材13の環状部13aとの間には、断面が半円状の空間31が形成される。この空間31に、例えば複数の金属球37を挿入することにより、本握力鍛錬装置1を動かすと、金属球37が互いに衝突し、その衝突音を聞けば本握力鍛錬装置1が動いていることが判るから、例えば視力に障害のある操作者にとって効果的である。なお、支持収納部材25の取付部25aを底部材13の上面に取り付けるには、取付部25aを底部材13の上面に載置した後、図示しないビスを底部材13の上面から底部材13の内部に達するか貫通するまで捩じ込むことにより行う。
【0033】
また、本握力鍛錬装置1には、各種データを記録するデータ記録部を備えることにより、外部コンピュータとの間でデータの送受が可能になる。このように外部コンピュータとの間でデータの送受ができるようにすると、データ記録部に記録しているデータを定期的に呼び出して、処理することにより、例えば障害等で握力が衰え、その回復に本握力鍛錬装置1を用いる人の鍛錬効果の確認や今後の握力鍛錬方法に有効に利用することができる。
【0034】
図9は、上記の握力鍛錬装置のデータ記憶部の回路構成例を示すブロック図である。図示するように、データ記憶部は、分圧抵抗器41、マイクロUSB小基板42、CPUボード43、Li-Poバッテリー(ここでは電圧3.7V)44、バッテリー充放電管理回路45、昇圧型DC/DCコンバータ46、スイッチ付きボリューム47、データ記録回路50、圧電ブザー54、マイコン内蔵フルカラーLED56を具備する。また、データ記録回路50は時刻制御回路51、SDカード回路52、マイクロSDカード53を備えている。
【0035】
バッテリー充放電管理回路45はLi-Poバッテリー44の充電制御、過電流阻止及びバッテリー保護機能を有している。昇圧型DC/DCコンバータ46はLi-Poバッテリー44からの電圧(ここでは3.7V)を所定電圧(ここでは5V)に昇圧して、CPUボード43に供給している。時刻制御回路51にはLi-Poバッテリー44から所定電圧(ここでは3.7V)の電圧が供給されている。また、マイクロUSB小基板42とCPUボード43、CPUボード43と圧電ブザー54、CPUボード43とマイコン内蔵フルカラーLED56、CPUボード43と時刻制御回路51、CPUボード43とSDカード回路52とはそれぞれデジタル系ラインで接続されている。更に 圧電素子30,30,30と分圧抵抗器41,41,41はそれぞれアナログ系ラインで接続され、各分圧抵抗器41,41,41とCPUボード43とはアナログ系ラインで接続されている。
【0036】
圧電素子30,30,30は圧力センサであり、図4に示すように(ここでは圧電素子30は2個示している)、指当接部14の面14bに対向して支持収納部材25の垂直平坦部25bに配設されている。指当接部14を主に人差指102、中指103及び薬指104で押圧することにより、指当接部14の面14bにより複数の圧電素子30は均等に押圧され、その出力は分圧抵抗器41を通って、CPUボード43に出力されている。CPUボード43は分圧抵抗器41を通って圧電素子30,30,30からの出力を処理し、該出力値(手の握力値)が所定値を超えている場合は、マイコン内蔵フルカラーLED56にその旨を通知する信号を送る。マイコン内蔵フルカラーLED56は図4のLED22を点灯する。これにより、本握力鍛錬装置1の操作者は自分の握力が所定値を超えていること、即ち適正な握力で本体部11を把持していることを確認できる。
【0037】
握力鍛錬装置1は本体部11を図7に示すように、手の親指101と他の指(人差指102、中指103、薬指104及び小指105)の間で把持し、テーブル上面等の平坦面に描いた移動経路に沿って該握力鍛錬装置1を移動させることにより、手や腕等の人体の一部分を移動させる機能を回復させるリハビリにも使用できるようになっている。この場合は、握力鍛錬装置1の底部材13の中心部が、テーブル上面等の平坦面に描いた移動経路を検出することにより、握力鍛錬装置1が該軌道上を正しく移動しているか否かを検出することができる。
【0038】
そのため図示は省略するが、握力鍛錬装置1の本体部11の下部に光学的に移動経路を検出する移動経路検出手段を設けている。この移動経路検出手段は、該移動経路検出手段から光を図8に示す握力鍛錬装置1の底部材13の中心部に設けた穴38を通して上記移動経路を描いている平坦面に照射し、その反射光の強弱等から握力鍛錬装置1が移動経路検出手段上を適正に移動しているかを判定できるように構成されている。
【0039】
データ記録回路50のSDカード回路52のマイクロSDカード53には、LED22の表示回数、圧電素子30の検出圧力値、LED22の点灯日(表示日)や時刻や時間、圧電素子30の検出日や時刻や時間、移動経路検出手段の検出結果や検出日や時刻や時間として記録されている。そしてマイクロSDカード53に記録された各種データをデータラインを経由してコンピュータ(PC)で読み出すことができるようになっている。
【0040】
なお、握力鍛錬装置1は、人差指102、中指103、薬指104及び小指105で指当接部14を押圧する力で握力を検出するようにしているが、例えば右手で本体部11を把持かる場合は親指101が当接する突起部16、左手で本体部11を把持かる場合は親指101が当接する突起部15を押圧する力を検出する圧電素子を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る握力鍛錬装置は、親指と他の指との間で把持する筒状本体部と、筒状本体部の親指又は前記他の指が当接する位置に設けた指当接部と、指当接部に加わる親指又は前記他の指による圧力を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段で検出された圧力値が所定値を超えた場合それを表示する表示手段とを備え、表示手段の表示部はその頂部に配置されているので、表示手段が表示することを確認するだけで、適正握力で筒状本体部を把持していることを確認できる共に、検出した各種データを保存することにより、鍛錬やリハビリの効果を確認できると共に、これから鍛錬やリハビリの有効に活用できる握力鍛錬装置として利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 握力鍛錬装置
11 本体部
11a 鍔部
11b 鍔部
11c 穴
12 表示用グローブ
13 底部材
14 指当接部
14a 溝
14b 面
15 突起部
16 突起部
22 LED
23 パッキン
25 支持収納部材
25a 取付部
25b 垂直平坦部
26 バッテリー
27 基板
30 圧電素子
31 空間
32 USB接続器
33 ON-OFFスイッチ
36 ビス
37 金属球
41 分圧抵抗器
42 マイクロUSB小基板
43 CPUボード
44 Li-Poバッテリー
45 バッテリー充放電管理回路
46 昇圧型DC/DCコンバータ
47 スイッチ付きボリューム
50 データ記録回路
51 時刻制御回路
52 SDカード回路
53 マイクロSDカード
54 圧電ブザー
56 マイコン内蔵フルカラーLED
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9