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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】スピーカー装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20220125BHJP
   H04R 1/28 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
H04R1/02 101Z
H04R1/28 310Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018177590
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2019103124
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2017235488
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509233655
【氏名又は名称】河邉 倉司
(74)【代理人】
【識別番号】100181582
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 直斗
(72)【発明者】
【氏名】河邉 倉司
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3158614(JP,U)
【文献】実開平04-126488(JP,U)
【文献】特開2008-187464(JP,A)
【文献】特開平11-150782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
H04R 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された筐体と、
前記筐体に設けられた少なくとも1つのスピーカーユニットと、
前記筐体内を区画するように設けられた少なくとも1つの区画部と、を備え、
前記区画部は、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状の本体部を有し、
前記本体部の頂部には、少なくとも1つの貫通孔が設けられている、スピーカー装置。
【請求項2】
前記筐体内を2つの空間に区画するように設けられた1つの前記区画部を備えている、請求項1に記載のスピーカー装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のスピーカー装置が知られている。スピーカー装置は、全ての音域を1つのスピーカーユニットでまかなうフルレンジスピーカー装置が理想的であるが、全ての音域の音、特に重低音を精度良く再生することは容易ではない。
【0003】
例えば、広い音域の音を再生するために、音域を分割して複数のスピーカーユニット(ウーハー、ツイーター等)を備えた、2WAYや3WAYタイプのスピーカー装置が知られている。しかしながら、2WAYや3WAYタイプのスピーカー装置は、スピーカーユニット同士の音が干渉しあって音が歪み、音像がぼやけてしまう。
【0004】
一方で、重低音を再生する方法として、開口部を有するエンクロージャー(筐体)に筒状のダクトを設け、ヘルムホルツ共鳴原理に基づいてスピーカーユニットの背面から発せられた低音を共振・増強する、バスレフ型のスピーカー装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-183341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バスレフ型のスピーカー装置は、低音域が少し強調されるものの、共振周波数よりもさらに低い低音はほとんど出なくなってしまう。そのため、バスレフ型のスピーカー装置では、全音域を再生することが困難である。
【0007】
本発明は、簡易な構造で、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるスピーカー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様であるスピーカー装置は、開口部を有する筐体と、筐体に設けられたスピーカーユニットと、筐体に設けられたダクトと、を備えている。ダクトは、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状のダクト本体部を有する。ダクト本体部の頂部には、貫通孔が設けられている。
【0009】
上記スピーカー装置(バスレフ型のスピーカー装置)において、ダクトは、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状のダクト本体部を有する。ダクト本体部の頂部には、貫通孔が設けられている。このような形状のダクトを備えているため、簡易な構造でありながら、従来の筒状のダクトを用いた場合に比べて、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できる。
【0010】
これにより、例えば、1つのスピーカーユニットで、音域の広い音を再生できる。すなわち、全ての音域を1つのスピーカーユニットでまかなうフルレンジスピーカー装置を実現できる。よって、従来のように、広い音域の音を再生するために複数のスピーカーユニット(ウーハー、ツイーター等)を備える必要がなくなる。
【0011】
本発明の他の態様であるスピーカー装置用ダクトは、開口部を有する筐体と、筐体に設けられたスピーカーユニットと、を備えるスピーカー装置に用いられ、筐体に設けられるダクトである。ダクトは、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状のダクト本体部を有する。ダクト本体部の頂部には、貫通孔が設けられている。
【0012】
上記スピーカー装置用ダクトは、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状のダクト本体部を有する。ダクト本体部の頂部には、貫通孔が設けられている。このような形状のダクトを上記スピーカー装置(バスレフ型のスピーカー装置)に用いることにより、簡易な構造でありながら、従来の筒状のダクトを用いた場合に比べて、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できる。
【0013】
上記本発明の態様において、ダクトは、筐体内を区画するように設けられてもよいし、筐体の開口部に設けられてもよい。この場合には、簡易な構造で、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0014】
また、ダクト本体部は、内部が中空の半球状であってもよい。この場合には、簡易な構造で、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0015】
本発明のさらに他の態様であるスピーカー装置は、密閉された筐体と、筐体に設けられた少なくとも1つのスピーカーユニットと、筐体内を区画するように設けられた少なくとも1つの区画部と、を備えている。区画部には、少なくとも1つの貫通孔が設けられている。
【0016】
上記スピーカー装置は、密閉された筐体を備えた密閉型のスピーカー装置であり、筐体内を区画する区画部が設けられている。区画部には、貫通孔が設けられている。このような構成とすることにより、簡易な構造でありながら、従来のスピーカー装置に比べて、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できる。また、区画部に設けられた貫通孔により、再生される音の解像度を上げることができる。
【0017】
これにより、1つのスピーカーユニットで、音域の広い音を再生できる。すなわち、全ての音域を1つのスピーカーユニットでまかなうフルレンジスピーカー装置を実現できる。よって、従来のように、広い音域の音を再生するために複数のスピーカーユニット(ウーハー、スコーカー、ツイーター等)を備えたマルチウェイ方式を採用する必要がなくなる。
【0018】
上記スピーカー装置において、筐体内を2つの空間に区画するように設けられた1つの区画部を備えていてもよい。この場合には、簡易な構造で音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるという上述の効果をより十分に発揮できる。また、区画部の位置を変えることで筐体内の2つの空間の内容積を調整することができ、重低音の音圧の調整が可能となる。
【0019】
また、区画部は、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状の本体部を有していてもよい。この場合には、本体部の形状によって、簡易な構造で音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるという上述の効果をより十分に発揮できる。
【0020】
また、本体部の頂部には、貫通孔が設けられていてもよい。この場合には、再生される音の解像度をより確実に上げることができる。これにより、簡易な構造で音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0021】
また、区画部は、板状であってもよい。この場合には、簡易な構造で音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるという上述の効果をより十分に発揮できる。
【0022】
また、区画部の厚みは、2mm以上であってもよい。この場合には、区画部の共振を抑制することができる。これにより、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0023】
また、貫通孔の内径は、7~13mmであってもよい。この場合には、再生される音の解像度をより確実に上げることができる。これにより、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態のスピーカー装置を示す斜視図である。
図2】第1実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図3】第1実施形態のスピーカー装置のダクトを示す斜視図である。
図4】第1実施形態のスピーカー装置のダクトを示す断面図である。
図5】第2実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図6】第2実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図7】第2実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図8】第2実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図9】(A)及び(B)は第3実施形態のスピーカー装置のダクトの別例を示す断面図である。
図10】第4実施形態のスピーカー装置を示す斜視図である。
図11】第4実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図12】第4実施形態のスピーカー装置の区画部を示す斜視図である。
図13】第4実施形態のスピーカー装置の区画部を示す断面図である。
図14】第5実施形態のスピーカー装置を示す断面拡大説明図である。
図15】第6実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図16】第6実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図17】第7実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図18】第7実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図19】第8実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図20】第8実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図21】第9実施形態のスピーカー装置を示す斜視図である。
図22】第9実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
図23】第10実施形態のスピーカー装置を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
図1図2に示すように、本実施形態のバスレフ型のスピーカー装置1は、エンクロージャー(筐体)2と、スピーカーユニット3と、ダクト4とを備えている。なお、以下の説明では、上下等の方向を用いて説明するが、あくまでも説明の便宜上の表現であり、特に限定されるものではない。
【0026】
エンクロージャー2は、略円筒状を呈している。エンクロージャー2は、円筒状の本体部21を有する。エンクロージャー2の上端部には、本体部21の上端部を覆うよう上端側カバー部22が設けられている。エンクロージャー2の下端部には、本体部22の下端部側面を覆うように円筒状の下端側カバー部23が設けられている。
【0027】
上端側カバー部22は、本体部21の上端を覆う円形板状の上面部221と、本体部21の上端部側面を覆う円筒状の側面部222とを有する。上面部221の中央には、円形状の開口223が設けられている。開口223には、スピーカーユニット3が取り付けられている。下端側カバー部23の下端部には、本体部22の下端面を支持するための円筒状のストッパー231が設けられている。
【0028】
また、エンクロージャー2は、下端を開口する開口部(ポート)24を有する。エンクロージャー2の下端側カバー部23の下面には、周方向において等間隔に4つのスパイク25が取り付けられている。スパイク25は、円錐状を呈している。バスレフ型のスピーカー装置1の設置面Aとエンクロージャー2との間には、スパイク25の高さ分だけ隙間が形成されている。また、隣り合うスパイク25同志の間にも隙間が形成されている。エンクロージャー2の下端側は、開放された構成となっている。
【0029】
本実施形態において、エンクロージャー2の材質は、硬質のポリ塩化ビニル(PVC)である。エンクロージャー2の材質は、これに限定されるものではなく、例えば、木材、樹脂、金属等の各種材質のものを用いることができる。エンクロージャー2の内容積は、約12Lである。エンクロージャー2の内容積は適宜変更することができる。エンクロージャーの内容積を小さくすれば、エンクロージャー2、さらにはバスレフ型のスピーカー装置1全体の小型化を図ることができる。
【0030】
スピーカーユニット3は、エンクロージャー2の上端側カバー部22の開口223を閉塞するように上向きに配置されている。スピーカーユニット3の口径は、約80mmである。スピーカーユニット3は、ケーブル等を介して、アンプやプレーヤーに接続されている。スピーカーユニット3としては、従来公知の各種スピーカーユニットを用いることができる。
【0031】
図3図4に示すように、ダクト4は、ダクト本体部40を有する。本実施形態では、ダクト4は、ダクト本体部40により構成されている。ダクト本体部40は、内部が中空である。ダクト本体部40の形状は、球欠状である。ここで、球欠とは、球を一つの平面で切り取った形状をいう。本実施形態では、ダクト本体部40は、内部が中空の球体をちょうど半分に切り分けた半球状(半球ドーム形状)である。
【0032】
ダクト本体部40の外表面401は、凸状の球面により形成されている。ダクト本体部40の内表面402は、凹状の球面により形成されている。ダクト本体部40の直径R1は130mmであり、高さHは直径R1の半分(半径)である65mmである。ダクト本体部40の直径R1や高さHは適宜変更することができる。
【0033】
ダクト本体部40の頂部41には、1つの貫通孔42が設けられている。貫通孔42の内径R2は9mmである。貫通孔42の内径R2は、例えば、8~10mmの範囲内とすることができ、8.5~9.5mmの範囲内であることが好ましい。貫通孔42の内径R2は適宜変更することができる。
【0034】
本実施形態において、ダクト本体部40の材質は、ポリプロピレン(PP)である。ダクト本体部40の材質は、これに限定されるものではなく、例えば、木材、樹脂、金属等の各種材質のものを用いることができる。ダクト本体部40の厚みは一定で、2mmである。ダクト本体部40の厚みは適宜変更することができる。ダクト本体部40の厚みは一定である必要はなく、適宜部分的に厚みを変更してもよい。
【0035】
図2に示すように、ダクト4は、エンクロージャー2内に設けられている。本実施形態において、エンクロージャー2内には、2つのダクト4が配置されている。2つのダクト4は、エンクロージャー2内に形成された内部空間20を3つに区画するように、上下方向に間隔を設けて配置されている。
【0036】
2つのダクト4は、エンクロージャー2の内部空間20におけるスピーカーユニット3と開口部24との間に配置されている。2つのダクト4は、いずれもダクト本体部40の頂部41側(凸側)を上に(スピーカーユニット3の方向に)向けた状態、すなわちエンクロージャー2の開口部24とは反対側に向けた状態で配置されている。
【0037】
ダクト4の下端縁部には、ダクト4をエンクロージャー2の内壁面201に固定するための円環板状の固定片部43が取り付けられている。上側のダクト4は、固定片部43をエンクロージャー2の内壁面201に設けられた上下2つの円筒状の固定部材26で挟持するようにして固定されている。下側のダクト4は、固定片部43をエンクロージャー2の内壁面201に設けられた円筒状の固定部材26に取り付けて固定されている。
【0038】
次に、本実施形態のスピーカー装置1における作用効果について説明する。
本実施形態のバスレフ型のスピーカー装置1によれば、ダクト4は、内部が中空の球欠状(本実施形態では半球状)のダクト本体部40を有する。ダクト本体部40の頂部41には、貫通孔42が設けられている。このような形状のダクト4を備えているため、簡易な構造でありながら、従来の筒状のダクトを用いた場合に比べて、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できる。
【0039】
これにより、例えば、本実施形態のように1つのスピーカーユニット3で、音域の広い音を再生できる。すなわち、本実施形態のバスレフ型のスピーカー装置1は、全ての音域を1つのスピーカーユニット3でまかなうフルレンジスピーカー装置を実現できる。よって、従来のように、広い音域の音を再生するために複数のスピーカーユニットを備える必要がなくなる。すなわち、ウーハー、ツイーター等が必要なくなる。また、スピーカーユニット3が1つで、その口径も80mmと非常に小さいため、バスレフ型のスピーカー装置1全体の小型化を図ることができる。
【0040】
また、ダクト4は、エンクロージャー2内を区画するように設けられている。そのため、簡易な構造で、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
また、ダクト本体部40は、内部が中空の半球状である。そのため、簡易な構造で、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0041】
また、スピーカーユニット3は、エンクロージャー2の上端側カバー部22の開口223を閉塞するように上向きに配置されている。すなわち、スピーカーユニット3は、上向きに音が出るように配置されている。そのため、室内で音を再生した場合に、間接音を聴くような環境を容易に作り出すことができる。
【0042】
(第2実施形態)
本実施形態は、図5図8に示すように、バスレフ型のスピーカー装置1において、エンクロージャー2の形状、ダクト4の数や配置を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0043】
図5のバスレフ型のスピーカー装置1は、略直方体状のエンクロージャー2を備えている。エンクロージャー2は、前面部271、後面部272、左側面部(図示省略)、右側面部(図示省略)及び上面部273を有する。スピーカーユニット3は、エンクロージャー2の前面部271に設けられた開口274を閉塞するように前向きに配置されている。
【0044】
2つのダクト4は、エンクロージャー2の内部空間20を3つに区画するように、上下方向に間隔を設けて配置されている。2つのダクト4は、エンクロージャー2の内部空間20におけるスピーカーユニット3と開口部24との間に配置されている。
【0045】
2つのダクト4は、いずれもダクト本体部40の頂部41側(凸側)を上に向けた状態、すなわちエンクロージャー2の開口部24とは反対側に向けた状態で配置されている。2つのダクト4は、いずれも固定片部43を介してエンクロージャー2の内壁面201の固定部材26に固定されている。
【0046】
図6のバスレフ型のスピーカー装置1は、図5と同様のエンクロージャー2を備えている。エンクロージャー2内には、1つのダクト4が配置されている。ダクト4は、エンクロージャー2の開口部24に設けられている。
【0047】
ダクト4は、ダクト本体部40の頂部41側(凸側)を上に向けた状態、すなわちエンクロージャー2の開口部24とは反対側に向けた状態で配置されている。ダクト4は、固定片部43を介してエンクロージャー2の内壁面201の固定部材26に固定されている。
【0048】
図7のバスレフ型のスピーカー装置1は、図5と同様のエンクロージャー2を備えている。エンクロージャー2内には、2つのダクト4が配置されている。2つのダクト4は、上下方向に間隔を設けて配置されている。
【0049】
上側のダクト4は、エンクロージャー2の内部空間20を2つに区画するように配置されている。上側のダクト4は、エンクロージャー2の内部空間20におけるスピーカーユニット3と開口部24との間に配置されている。下側のダクト4は、エンクロージャー2の開口部24に設けられている。
【0050】
2つのダクト4は、いずれもダクト本体部40の頂部41側(凸側)を上に向けた状態、すなわちエンクロージャー2の開口部24とは反対側に向けた状態で配置されている。2つのダクト4は、いずれも固定片部43を介してエンクロージャー2の内壁面201の固定部材26に固定されている。
【0051】
図8のバスレフ型のスピーカー装置1は、略直方体状のエンクロージャー2を備えている。エンクロージャー2は、前面部271、後面部272、左側面部(図示省略)、右側面部(図示省略)、上面部273及び下面部275を有する。エンクロージャー2の後面部272には、開口部24が設けられている。
【0052】
エンクロージャー2内には、1つのダクト4が配置されている。ダクト4は、エンクロージャー2の開口部24に設けられている。ダクト4は、ダクト本体部40の頂部41側(凸側)を前に向けた状態で、すなわちエンクロージャー2の開口部24とは反対側に向けた状態で配置されている。
【0053】
(第3実施形態)
本実施形態は、図9(A)、(B)に示すように、バスレフ型のスピーカー装置1において、ダクト4(ダクト本体部40)の形状を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0054】
図9(A)、(B)に示すように、ダクト4のダクト本体部40は、内部が中空である。ダクト本体部40の形状は、楕円体球欠状である。ここで、楕円体球欠状とは、楕円体を一つの平面で切り取った形状をいう。本実施形態では、ダクト本体部40は、内部が中空の回転楕円体をちょうど半分に切り分けた半楕円体状(半楕円体ドーム形状)である。
【0055】
ダクト本体部40の外表面401は、凸状の楕円面により形成されている。ダクト本体部40の内表面402は、凹状の楕円面により形成されている。ダクト本体部40の頂部41には、1つの貫通孔42が設けられている。
【0056】
図9(A)のダクト本体部40は、回転楕円体をその長軸に垂直な平面で半分に切り取った形状である。ダクト本体部40の高さは長軸の半分(長軸半径)である。図9(B)のダクト本体部40は、回転楕円体をその短軸に垂直な平面で切り取った形状である。ダクト本体部40の高さは短軸の半分(短軸半径)である。
【0057】
(第4実施形態)
図10図11に示すように、本実施形態の密閉型のスピーカー装置5は、エンクロージャー(筐体)6と、1つのスピーカーユニット7と、1つの区画部8とを備えている。なお、以下の説明では、前後左右上下等の方向を用いて説明するが、あくまでも説明の便宜上の表現であり、特に限定されるものではない。
【0058】
エンクロージャー6は、略立方体形状である。エンクロージャー6は、正方形状の前面部61、後面部62、左面部63、右面部64、上面部65、及び下面部66を有する。前面部61の中央部には、円形状の開口部611が設けられている。前面部61の開口部611には、スピーカーユニット7が取り付けられている。エンクロージャー6は、密閉された(閉じられた)内部空間60を有する。
【0059】
本実施形態において、エンクロージャー6の材質は、比較的堅い木材のブビンガである。エンクロージャー6に用いられる材料は、これに限定されるものではなく、例えば、木材、中密度繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)、樹脂、金属等の各種材料を用いることができる。
【0060】
また、エンクロージャー6の内容積は、約2Lである。エンクロージャー6の内容積は適宜変更することができる。エンクロージャー6の内容積を小さくすれば、エンクロージャー6、さらには密閉型のスピーカー装置5全体の小型化を図ることができる。
【0061】
スピーカーユニット7は、前面部61の開口部611を閉塞するように前向きに配置されている。スピーカーユニット7は、電気信号を振動に変換して音を出す方式の従来公知のスピーカーユニットであり、振動板等を備えている。スピーカーユニット7は、ケーブル等を介して、アンプやプレーヤーに接続されている。
【0062】
本実施形態において、スピーカーユニット7は、口径が80mmのコーン型スピーカーである。スピーカーユニット7としては、コーン型スピーカー以外にも、例えばドーム型スピーカー、ホーン型スピーカー等の各種スピーカーユニットを用いることができる。また、スピーカーユニット7の口径は適宜変更することができる。
【0063】
スピーカーユニット7は、円環板状のリング71によって前面部61に固定されている。具体的には、スピーカーユニット7のフランジ部72は、前面部61とリング71との間に挟持されている。リング71は、前面部61に対して、ネジ等の締結部材(図示略)を用いて複数箇所で固定されている。スピーカーユニット7をリング71によって抑えることにより、スピーカーユニット7のねじれ等を抑制し、振動板の安定した作動を確保することができる。
【0064】
区画部8は、エンクロージャー6内に設けられている。本実施形態において、エンクロージャー6内には、1つの区画部8が配置されている。区画部8は、1つの部材で構成されている。区画部8は、複数の部材で構成されていてもよい。
【0065】
図12図13に示すように、区画部8は、平板状に形成されている。区画部8の厚みは一定であり、2mmである。区画部8の厚みは適宜変更することができるが、共振を抑制するために2mm以上であることが好ましい。区画部8の厚みは一定である必要はなく、適宜部分的に厚みを変更してもよい。
【0066】
区画部8の中央部には、1つの貫通孔82が設けられている。貫通孔82は、区画部8を厚み方向に貫通して形成されている。貫通孔82の内径R3は、区画部8の厚み方向に一定であり、9mmである。貫通孔82の内径は、例えば、7~13mmの範囲内とすることができ、8.5~9.5mmの範囲内であることが好ましい。貫通孔82の内径は適宜変更することができる。
【0067】
本実施形態において、区画部8の材質は、ステンレスである。区画部8に用いられる材料は、これに限定されるものではなく、例えば、木材、樹脂、金属等の各種材料を用いることができる。また、制振作用の高い材料を用いてもよい。
【0068】
図11に示すように、区画部8は、エンクロージャー6内に形成された内部空間60を2つの空間に区画するように配置されている。エンクロージャー6内には、スピーカーユニット7が設けられている側(前方側)の第1内部空間91と、スピーカーユニット7が設けられていない側(後方側)の第2内部空間92とが形成されている。第1内部空間91と第2内部空間92とは、区画部8の貫通孔82を介して連通している。
【0069】
区画部8は、前面部61及び後面部62に対して平行となる向きに配置されている。区画部8は、前後方向において、前面部61及び後面部62と対向している。区画部8は、前後方向において、スピーカーユニット7と対向している。なお、区画部8は、前面部61及び後面部62に対して斜めに傾斜した向きに配置されていてもよい。
【0070】
区画部8は、エンクロージャー6内における前後方向の中間位置よりも少し後方側に配置されている。第1内部空間91の内容積は、第2内部空間92の内容積よりも大きい。なお、区画部8は、エンクロージャー6内における前後方向の位置を適宜変更してもよい。例えば、第1内部空間91の内容積と第2内部空間92の内容積とが同じとなる位置や、第1内部空間91の内容積が第2内部空間92の内容積よりも小さくなる位置としてもよい。
【0071】
本実施形態において、第1内部空間91には、スピーカーユニット7の一部が設けられているが、それ以外の部材は設けられていない。第1内部空間91は、そのほとんどが空隙で構成されている。また、第2内部空間92には、何も部材が設けられていない。第2内部空間92は、そのすべてが空隙で構成されている。また、エンクロージャー6の内壁面に吸音材等も設けられていない。
【0072】
次に、本実施形態のスピーカー装置5における作用効果について説明する。
本実施形態のスピーカー装置5は、密閉されたエンクロージャー6を備えた密閉型のスピーカー装置であり、エンクロージャー6内を区画する区画部8が設けられている。区画部8には、貫通孔82が設けられている。このような構成とすることにより、簡易な構造でありながら、従来のスピーカー装置に比べて、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できる。また、区画部8に設けられた貫通孔82により、再生される音の解像度を上げることができる。
【0073】
これにより、スピーカー装置5は、本実施形態のように、1つのスピーカーユニット7で、音域の広い音を再生できる。すなわち、全ての音域を1つのスピーカーユニット7でまかなうフルレンジスピーカー装置を実現できる。よって、従来のように、広い音域の音を再生するために複数のスピーカーユニット(ウーハー、スコーカー、ツイーター等)を備えたマルチウェイ方式を採用する必要がなくなる。
【0074】
また、スピーカー装置5において、エンクロージャー6内を2つの空間(第1内部空間91、第2内部空間92)に区画するように設けられた1つの区画部8を備えている。そのため、簡易な構造で音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるという上述の効果をより十分に発揮できる。また、区画部8の位置を変えることでエンクロージャー6内の2つの空間(第1内部空間91、第2内部空間92)の内容積を調整することができ、重低音の音圧の調整が可能となる。例えば、第1内部空間91の内容積を第2内部空間91の内容積よりも小さくすれば、重低音の音圧を上げることができる。逆に第2内部空間92の内容積を第1内部空間91の内容積よりも小さくすれば、重低音の音圧を下げることができる。これは重低音の好みによって調整すればよい。
【0075】
また、区画部8は、板状である。これにより、簡易な構造で音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるという上述の効果をより十分に発揮できる。
【0076】
また、区画部8の厚みは、2mm以上である。そのため、区画部8の共振を抑制することができる。これにより、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0077】
また、貫通孔82の内径は、7~13mmである。そのため、再生される音の解像度をより確実に上げることができる。これにより、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0078】
なお、本実施形態のスピーカー装置5によって得られる効果については、推測の域を出ないが、次のように考えられる。エンクロージャー6内の閉じられた2つの空間を隔てる区画部8に設けた貫通孔82により、スピーカーユニット7によって第1内部空間91で圧縮された空気が区画部8の貫通孔82から第2内部空間92の空気を圧縮する。次にその逆のことが起こり、2つの空間は圧縮減圧を繰り返しながら、ヘルムホルツ共鳴を作動させる。これにより、簡易な構造で音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるという効果を発揮できる。一般的に、ヘルムホルツ共鳴器の共振周波数(固有振動数)は、容器の内容積と開口部の面積等によって決まるため、容積が小さいほどヘルムホルツ共鳴の効果が増大する。これは、低音域の音圧の拡大という効果を生む。
【0079】
(第5実施形態)
本実施形態は、図14に示すように、密閉型のスピーカー装置5において、区画部8の貫通孔82の形状を変更した例である。なお、第4実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0080】
図14に示すように、区画部8の貫通孔82の内径は、第1内部空間91側から第2内部空間92側に向かって徐々に小さくなっている。すなわち、貫通孔82の内面は、貫通孔82の内径が第1内部空間91側から第2内部空間92側に向かって徐々に小さくなるように傾斜している。
【0081】
本実施形態の密閉型のスピーカー装置5によれば、貫通孔82を介した第1内部空間91から第2内部空間92への空気の流れが円滑となり、空気の脈流を抑制できる。そのため、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生するという効果をより一層発揮することができる。
【0082】
(第6実施形態)
本実施形態は、図15図16に示すように、密閉型のスピーカー装置5において、区画部8の形状を変更した例である。なお、第4実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0083】
図15に示すように、区画部8は、湾曲した形状である。区画部8は、第1内部空間91側に凸状に湾曲している。区画部8の一方の面801は、凸状の曲面により形成されている。区画部8の他方の面802は、凹状の曲面により形成されている。
【0084】
図16に示すように、区画部8は、湾曲した形状である。区画部8は、第2内部空間92側に凸状に湾曲している。区画部8の一方の面801は、凹状の曲面により形成されている。区画部8の他方の面802は、凸状の曲面により形成されている。
【0085】
(第7実施形態)
本実施形態は、図17図18に示すように、密閉型のスピーカー装置5において、区画部8の形状を変更した例である。なお、第4実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0086】
図17図18に示すように、区画部8は、本体部80を有する。本実施形態では、区画部8は、本体部80により構成されている。本体部80は、内部が中空である。本体部80の形状は、球欠状である。本実施形態では、本体部80は、内部が中空の球体をちょうど半分に切り分けた半球状(半球ドーム形状)である。区画部8(本体部80)は、図3図4に示したダクト4(本体部40)と同様の形状である。
【0087】
本体部80の外表面803は、凸状の球面により形成されている。本体部80の内表面804は、凹状の球面により形成されている。本体部80の頂部81には、1つの貫通孔82が設けられている。本体部80の直径(図4の直径R1参照)は100mmであり、高さ(図4の高さH参照)は直径の半分(半径)である50mmである。貫通孔82の内径(図4の内径R2参照)は9mmである。本体部80の直径や高さ、貫通孔82の内径は適宜変更することができる。
【0088】
図17においては、区画部8は、後面部62に設けられている。区画部8は、本体部80の頂部81(凸側)を前面部61側(スピーカーユニット7側)に向けた状態で配置されている。区画部8は、後面部62との間に第2内部空間92が形成されるように配置されている。すなわち、後面部62と区画部8とにより、第2内部空間92が形成されている。
【0089】
図18においては、区画部8は、前面部61に設けられている。区画部8は、本体部80の頂部81(凸側)を後面部62側(スピーカーユニット7とは反対側)に向けた状態で配置されている。区画部8は、前面部61との間に第1内部空間91が形成されるように配置されている。すなわち、前面部61と区画部8とにより、第1内部空間91が形成されている。区画部8は、スピーカーユニット7の裏側(背面側)を覆うように配置されている。
【0090】
本実施形態のスピーカー装置5において、区画部8は、内部が中空の球欠状の本体部80を有する。このような形状の区画部8を備えているため、簡易な構造で音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるという上述の効果をより十分に発揮できる。
【0091】
また、区画部8の本体部80の頂部81には、貫通孔82が設けられている。そのため、再生される音の解像度をより確実に上げることができる。これにより、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0092】
また、図18に示すように、球欠状の本体部80を有する区画部8を、スピーカーユニット7の裏側(背面側)を覆うように配置することにより、エンクロージャー6内における第2内部空間92の内容積を第1内部空間91の内容積よりも大きく設定することが容易となり、重低音の音圧を上げることができる。これにより、簡易な構造でありながら、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0093】
なお、区画部8の本体部80の形状は、図9(A)、(B)に示したダクト4(本体部40)と同様に、内部が中空の楕円体球欠状であってもよい。この場合においても、簡易な構造で音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるという上述の効果をより十分に発揮できる。
【0094】
(第8実施形態)
本実施形態は、図19図20に示すように、密閉型のスピーカー装置5において、エンクロージャー6の形状、スピーカーユニット7と区画部8との位置関係を変更した例である。なお、第4実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0095】
図19図20に示すように、エンクロージャー6は、略直方体形状である。エンクロージャー6は、長方形状の前面部61、後面部62、左面部63及び右面部64、正方形状の上面部65及び下面部66を有する。前面部61の上側には、円形状の開口部611が設けられている。前面部61の開口部611には、スピーカーユニット7が取り付けられている。
【0096】
スピーカーユニット7は、前面部61の開口部611を閉塞するように前向きに配置されている。区画部8は、エンクロージャー6内に形成された内部空間60を上下に2つの空間(第1内部空間91、第2内部空間92)に区画するように配置されている。
【0097】
図19においては、区画部8は、上面部65及び下面部66に対して平行となる向きに配置されている。区画部8は、上下方向において、上面部65及び下面部66と対向している。区画部8は、エンクロージャー6における上下方向の中間位置よりも少し下方側に配置されている。
【0098】
図20においては、区画部8は、上面部65及び下面部66に対して斜めに傾斜した向きに配置されている。区画部8は、エンクロージャー6における上下方向の中間位置よりも少し上方側に配置されている。
【0099】
(第9実施形態)
本実施形態は、図21図22に示すように、密閉型のスピーカー装置5において、エンクロージャー6の形状を変更した例である。なお、第4実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0100】
図21図22に示すように、エンクロージャー6は、略円筒形状である。エンクロージャー6は、円筒状の側面部67、円形状の上面部68及び下面部69を有する。上面部68は、側面部67の上端を閉塞するように配置されている。下面部69は、側面部67の下端を閉塞するように配置されている。
【0101】
上面部68の中央部には、円形状の開口部681が設けられている。上面部68の開口部681には、スピーカーユニット7が取り付けられている。スピーカーユニット7は、上面部68の開口部681を閉塞するように上向きに配置されている。
【0102】
区画部8は、平板状であり、エンクロージャー6内に形成された内部空間60を上下に2つの空間(第1内部空間91、第2内部空間92)に区画するように配置されている。区画部8は、上面部68及び下面部69に対して平行となる向きに配置されている。区画部8は、上下方向において、上面部68及び下面部69と対向している。区画部8は、上下方向において、スピーカーユニット7と対向している。区画部8は、エンクロージャー6における上下方向の中間位置よりも少し下方側に配置されている。
【0103】
本実施形態のスピーカー装置によれば、スピーカーユニット7は上向きに配置されている。すなわち、スピーカーユニット7は、上向きに音が出るように配置されている。そのため、室内で音を再生した場合に、間接音を聴くような環境を容易に作り出すことができる。
【0104】
(第10実施形態)
本実施形態は、図23に示すように、密閉型のスピーカー装置5において、区画部8の形状を変更した例である。なお、第4~第9実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0105】
図23に示すように、本実施形態の密閉型のスピーカー装置5は、密閉された内部空間60を有するエンクロージャー(筐体)6と、スピーカーユニット7と、区画部8とを備えている。なお、以下の説明では、上下等の方向を用いて説明するが、あくまでも説明の便宜上の表現であり、特に限定されるものではない。
【0106】
エンクロージャー6は、略円筒状を呈している。エンクロージャー6は、円筒状の側面部602を有する。側面部602の上端は、2つの上端側カバー603、604とスピーカーユニット7とにより閉塞されている。側面部602の下端は、円形板状の下端側カバー605により閉塞されている。
【0107】
2つの上端側カバー603、604は、それぞれ中央に開口606、607を有して円環板状に形成されている。2つの上端側カバー603、604の開口606、607には、スピーカーユニット7が配置されている。スピーカーユニット7は、2つの上端側カバー603、604により上下に挟持された状態で、上向きに配置されている。
【0108】
本実施形態において、エンクロージャー6の材質は、硬質のポリ塩化ビニル(PVC)である。エンクロージャー6の材質は、これに限定されるものではなく、例えば、木材、樹脂、金属等の各種材質のものを用いることができる。エンクロージャー6の内容積は適宜変更することができる。エンクロージャーの内容積を小さくすれば、エンクロージャー6、さらには密閉型のスピーカー装置5全体の小型化を図ることができる。
【0109】
区画部8は、エンクロージャー6内に設けられている。区画部8は、第7実施形態の図17図18に示した区画部8と同様の形状である。区画部8は、エンクロージャー6内に形成された内部空間60を2つの空間(第1内部空間91、第2内部空間92)に区画するように配置されている。区画部8は、本体部80の頂部81側(凸側)を上に(スピーカーユニット7の方向に)向けた状態で配置されている。
【0110】
区画部8の下端縁部には、区画部8をエンクロージャー6の内壁面601に固定するための円環板状の固定片部83が取り付けられている。区画部8は、固定片部83を介してエンクロージャー6の側面部602の内壁面601に固定されている。
【0111】
次に、本実施形態の密閉型のスピーカー装置5における作用効果について説明する。
本実施形態の密閉型のスピーカー装置5によれば、区画部8は、内部が中空の球欠状(本実施形態では半球状)の本体部80を有する。本体部80の頂部81には、貫通孔82が設けられている。このような形状の区画部8を備えているため、簡易な構造でありながら、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できる。
【0112】
これにより、例えば、本実施形態のように1つのスピーカーユニット7で、音域の広い音を再生できる。すなわち、本実施形態の密閉型のスピーカー装置5は、全ての音域を1つのスピーカーユニット7でまかなうフルレンジスピーカー装置を実現できる。よって、従来のように、広い音域の音を再生するために複数のスピーカーユニットを備える必要がなくなる。すなわち、ウーハー、ツイーター等が必要なくなる。また、スピーカーユニット7が1つであることから、密閉型のスピーカー装置5全体の小型化を図ることができる。
【0113】
また、区画部8は、エンクロージャー6内を区画するように設けられている。そのため、簡易な構造で、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
また、本体部80は、内部が中空の半球状である。そのため、簡易な構造で、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0114】
また、スピーカーユニット7は、エンクロージャー6の2つの上端側カバー部603、604により上向きに配置されている。すなわち、スピーカーユニット7は、上向きに音が出るように配置されている。そのため、室内で音を再生した場合に、間接音を聴くような環境を容易に作り出すことができる。
【0115】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0116】
(1)上記第1実施形態において、エンクロージャー2内には、2つのダクト4がエンクロージャー2内に形成された内部空間20を3つに区画するように、上下方向に間隔を設けて配置されているが、ダクト4の数や位置は適宜変更することができる。
【0117】
例えば、上記第2実施形態における図6のように、1つのダクトをエンクロージャー2の開口部24に設ける構成としてもよい。また、図7のように、上側のダクト4をエンクロージャー2の内部空間20を区画するように配置し、下側のダクト4をエンクロージャー2の開口部24に設ける構成としてもよい。
【0118】
(2)上記第1~第3実施形態において、エンクロージャー(筐体)2の形状は、略円筒状や略直方体状としたが、これらに限定されるものではなく、内部空間20を有する各種形状を採用することができる。
【0119】
(3)上記第1~第3実施形態において、エンクロージャー(筐体)2の開口部24をエンクロージャー2の下端や後面部272に設けたが、開口部24の位置はこれらに限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0120】
(4)上記第1~第3実施形態において、ダクト4は、筐体2内を区画するように設けられている又は筐体2の開口部24に設けられている。ダクト4が複数の場合には、各ダクト4が、筐体2内を区画するように設けられている又は筐体2の開口部24に設けられている。
【0121】
(5)上記第4~第9実施形態において、エンクロージャー(筐体)6の形状は、略立方体形状、略直方体形状、略円筒形状としたが、これに限定されるものではなく、密閉された内部空間60を有する各種形状を採用することができる。
【0122】
(6)上記第1~第9実施形態において、スピーカーユニット3(7)の数は1つであるが、これに限定されるものではない。なお、上述したように、全ての音域を1つのスピーカーユニットでまかなうフルレンジスピーカー装置を実現しようとすれば、スピーカーユニット3(7)の数は1つであることが好ましい。
【0123】
(7)上記第1~第3実施形態において、ダクト4の数は1つ又は2つであるが、これに限定されるものではなく、例えば、ダクト4の数を3つ以上としてもよい。ただし、ダクト4の数が増えるとそれだけ構造が複雑となるため、なるべく少ない数で構成することが好ましい。
【0124】
(8)上記第1~第3実施形態において、ダクト4は、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状のダクト本体部40を有する。ダクト4が複数の場合には、各ダクト4が、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状のダクト本体部40を有する。例えば、ダクト4が2つの場合には、一方のダクト4が、内部が中空の球欠状のダクト本体部40を有し、他方のダクト4が、楕円体球欠状のダクト本体部40を有する構成としてもよい。
【0125】
(9)上記第1~第3実施形態において、ダクト本体部40の形状は、内部が中空の半球状(半球ドーム形状)や半楕円体状(半楕円体ドーム形状)であるが、球欠状又は楕円体球欠状であればこれらに限定されるものではない。例えば、ダクト本体部40の高さがダクト本体部40の半径よりも長い又は短い球欠状であってもよい。また、ダクト本体部40の高さがダクト本体部40の高さ方向の軸の半分(半軸)よりも長い又は短い楕円体球欠状であってもよい。
【0126】
(10)上記第4~第9実施形態において、区画部8の数は1つであるが、これに限定されるものではなく、例えば、区画部8の数を2つ以上としてもよい。ただし、区画部8の数が増えるとそれだけ構造が複雑となるため、なるべく少ない数で構成することが好ましい。
【0127】
(11)上記第4~第10実施形態において、区画部8は、平板状、曲面を有する板状、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状の本体部80を有する形状である。区画部8の形状は、エンクロージャー(筐体)6内を区画することができれば、他の形状であってもよい。
【0128】
(12)上記第7、第10実施形態において、区画部8は、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状の本体部80を有する。区画部8が複数の場合には、各区画部8が、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状の本体部80を有する。例えば、区画部8が2つの場合には、一方の区画部8が、内部が中空の球欠状の本体部80を有し、他方の区画部8が、楕円体球欠状の本体部80を有する構成としてもよい。
【0129】
(13)上記第7、第10実施形態において、本体部80の形状は、内部が中空の半球状(半球ドーム形状)や半楕円体状(半楕円体ドーム形状)であるが、球欠状又は楕円体球欠状であればこれらに限定されるものではない。例えば、本体部80の高さが本体部80の半径よりも長い又は短い球欠状であってもよい。また、本体部80の高さが本体部80の高さ方向の軸の半分(半軸)よりも長い又は短い楕円体球欠状であってもよい。
【0130】
(14)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【符号の説明】
【0131】
1…スピーカー装置、2…エンクロージャー(筐体)、3…スピーカーユニット、4…ダクト、5…スピーカー装置、6…エンクロージャー(筐体)、7…スピーカーユニット、8…区画部、24…開口部、40…ダクト本体部、41…頂部、42…貫通孔、80…本体部、81…頂部、82…貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23