(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】音響メタマテリアルおよびこれを用いた振動減衰装置
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20220125BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G10K11/16 140
F16F15/02 Q
G10K11/16 160
(21)【出願番号】P 2020165369
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】519321683
【氏名又は名称】株式会社3D Printing Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水上 孝一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 洋一郎
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-020362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62- 1/99
F16F 7/00- 7/14
F16F 9/00- 9/58
F16F 11/00-13/30
F16F 15/00-15/36
G10K 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側に空洞を有する筒状に形成されている強化部と、
前記強化部と一体に接続し、前記強化部よりも強度が低い低強度部と、を備える音響メタマテリアルであって、
前記強化部と前記低強度部とは、樹脂で一体に形成され、
前記強化部は、前記樹脂に充填され前記強化部を周方向へ周回する長繊維の炭素繊維によって強度が高められている音響メタマテリアル。
【請求項2】
前記強化部は、多角形の筒状であり、
前記炭素繊維は、前記強化部を周方向へ連続して周回している請求項1記載の音響メタマテリアル。
【請求項3】
前記低強度部は、振動が入力または減衰した振動を出力する端部を有する請求項1または2記載の音響メタマテリアル。
【請求項4】
前記強化部は、前記端部に近い側ほど軽量である請求項3記載の音響メタマテリアル。
【請求項5】
前記強化部は、前記端部に近い側ほど前記空洞が縮小している請求項4記載の音響メタマテリアル。
【請求項6】
前記強化部は、前記空洞において前記端部と反対側に設けられている錘部を有する請求項3から5のいずれか一項記載の音響メタマテリアル。
【請求項7】
2つ以上の連結された請求項1から6のいずれか一項記載の音響メタマテリアルを備え、
隣り合う前記強化部の間に前記低強度部を有する振動減衰装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響メタマテリアルおよびこれを用いた振動減衰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自然界に存在し得ない性質を有する材料はメタマテリアルとして研究が進められている。音響メタマテリアルは、このようなメタマテリアルのうち、伝搬する音波や振動を制御するものである。音響メタマテリアルは、その特性を制御することによって、特定の周波数を吸収したり、伝搬する音波や振動を減衰したりすることができる。特に、音波や振動の減衰は、例えばばねを用いるダンパなどの減衰機構、あるいはゴムなどの減衰材料を用いて行われている。
【0003】
しかしながら、減衰機構を追加すると質量の増加を招くという問題があるとともに、減衰材料を用いると材料の不連続性からその部分における強度の低下を招くという問題がある。すなわち、振動を減衰する機能を持たせつつ、軽量化と高い強度とを両立するのは困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平07-284198号公報
【文献】特開2017-120410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、軽量で強度が高く、音波または振動の周波数の制御が容易な音響メタマテリアルおよびこれを用いた振動減衰装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために一実施形態による音響メタマテリアルは、強化部および低強度部を備える。強化部は、内周側に空洞を有する筒状に形成されている。低強度部は、強化部と一体に接続し、強化部よりも強度が低い。強化部と低強度部とは、樹脂で一体に形成されている。強化部は、樹脂に充填され強化部を周方向へ周回する長繊維の炭素繊維によって強度が高められている。
【0007】
これにより、一体となった強化部と低強度部とは、慣性増幅によって振動の減衰を達成する。この慣性増幅は、反共振現象によって特定の周波数帯域において、振動の透過を顕著に低下させる。強化部は、長繊維の炭素繊維が周方向へ周回して設けられている。そのため、強化部は、剛性を含む強度が高い。これに対し、低強度部は、この強化部と一体に樹脂で形成されているものの、長繊維の炭素繊維を含んでおらず、強化部に比較して強度が低く設定されている。強化部と低強度部とは樹脂で一体に形成されていることから、強化部に長繊維の炭素繊維を含ませても密度の差が小さい。そして、一体なった強化部と低強度部によって、強化部における強度が維持されつつ慣性増幅が達成される。したがって、軽量で強度が高く、減衰する音波または振動の周波数を容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態による音響メタマテリアルを示す概略図
【
図2】一実施形態による音響メタマテリアルを構成する構造体を示す概略図
【
図3】一実施形態による音響メタマテリアルを適用した振動減衰装置を示す概略図
【
図4】音響メタマテリアルの強化部の幅bとバンドギャップとの関係を示す概略図
【
図5】一実施形態による音響メタマテリアルを適用した振動減衰装置において、周波数と振動の伝達度との関係を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、音響メタマテリアルの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および
図2に示すように音響メタマテリアル10は、強化部11、低強度部12および低強度部13を備える。
図2は、音響メタマテリアル10を構成する最小単位の構造体14を示している。音響メタマテリアル10は、
図1に示すようにこの構造体14を複数組み合わせて構成されている。強化部11は、内周側に空洞15を有する筒状に形成されている。本実施形態の場合、強化部11は、多角形の筒状に形成されている。低強度部12および低強度部13は、強化部11と一体に接続している。低強度部12および低強度部13は、強化部11に比較して強度が低く設定されている。このように、本実施形態の音響メタマテリアル10は、強度の高い強化部11と、強化部11に比較して強度の低い低強度部12および低強度部13とが一体に形成されている。
【0010】
本実施形態の場合、強化部11は、5角形の筒状に形成されている。具体的には、強化部11は、
図2に示すように一端から他端にかけて空洞15が縮小するように形成されている。このうち、
図2の左端である端部16は、音響メタマテリアル10として構成したとき、振動が入力、または減衰した振動を出力する。筒状の強化部11が形成する空洞15は、
図1および
図2に示すX方向において、端部16に近い側ほどY方向の全長が小さくなっている。
【0011】
強化部11は、空洞15において端部16から遠い側、つまり端部16と反対側に、錘部17を有している。錘部17は、強化部11、低強度部12および低強度部13とともに一体に形成してもよく、例えば金属や樹脂などによってこれらとは別体に形成してもよい。このように、強化部11は、端部16に近い側ほど空洞15を狭くするとともに、端部16と反対側に錘部17が設けられている。これにより、強化部11は、端部16に近い側ほど軽量になっている。つまり、強化部11は、X方向において、端部16側よりも端部16とは反対側における質量が大きく設定されている。音響メタマテリアル10を構成する強化部11、低強度部12および低強度部13の厚さ、すなわちX方向およびY方向に垂直な方向の全長は、特に規定がない。
【0012】
強化部11、低強度部12および低強度部13は、樹脂で継ぎ目なく一体に形成されている。端部16は、これら強化部11、低強度部12および低強度部13とともに樹脂で継ぎ目なく一体に形成されている。また、強化部11に錘部17を設ける場合、錘部17は、強化部11、低強度部12、低強度部13および端部16とともに継ぎ目なく一体に樹脂で形成してもよい。音響メタマテリアル10を構成する強化部11、低強度部12、低強度部13、端部16および錘部17は、例えばポリアミドなどの樹脂で形成されている。これらを構成する樹脂は、樹脂単独であってもよく、数mm以下の短繊維からなる炭素繊維などの添加材料を含んでいてもよい。
【0013】
本実施形態の場合、低強度部12は、強化部11と端部16との間に設けられている。この場合、低強度部12は、端部16よりも強度を低く設定することが好ましい。例えば、低強度部12では樹脂に含まれる短繊維の炭素繊維は概ね一方向へ揃った状態で形成されるのに対し、端部16では樹脂に含まれる短繊維の炭素繊維は直交する状態で形成される。これにより、低強度部12は、端部16と比較してより強度が低くなる。
【0014】
強化部11は、炭素繊維18を含んでいる。具体的には、強化部11は、これを形成するポリアミドなどの樹脂に、連続する長繊維の炭素繊維18が充填されている。炭素繊維18は、長繊維であり、筒状の強化部11を周方向へ周回している。すなわち、強化部11は、周方向へ連続して1重以上に周回する長繊維の炭素繊維18とともにポリアミドなどの樹脂によって一体的に成形されている。これにより、強化部11は、周回する長繊維の炭素繊維18によって強度が高められている。一方、低強度部12は、強化部11と一体に樹脂で形成されているものの、長繊維の炭素繊維18を含んでいない。そのため、低強度部12は、炭素繊維18によって強度が向上した強化部11に比較して、強度が低くなっている。炭素繊維18は、強化部11および低強度部12を樹脂で形成する際に、強化部11にのみ充填される。炭素繊維18は、連続する1本の長繊維によって強化部11を複数回連続して周回するように設ける構成としてもよく、強化部11を周回する環状の長繊維を1本以上設ける構成としてもよい。いずれにしても、炭素繊維18は、強化部11を周方向へ周回するように設けられている。
【0015】
音響メタマテリアル10は、隣り合う他の構造体14と接続するための接続構造部19を備えている。接続構造部19は、強化部11、低強度部12、低強度部13、端部16および錘部17などとともに樹脂で一体に形成されている。この場合、強化部11と接続構造部19との間には、低強度部13が設けられている。接続構造部19は、端部16と同様にポリアミドなどの樹脂に含まれる短繊維の炭素繊維が直交する状態で形成され、炭素繊維が揃った状態で形成される低強度部13よりも強度が高められている。
【0016】
図1に示す音響メタマテリアル10は、
図2に示す構造体14を4つ組み合わせて構成されている。これにより、音響メタマテリアル10は、端部16と強化部11との間に低強度部12を備えるとともに、隣り合う他の構造体14の強化部11との間に低強度部13を備えている。すなわち、接続構造部19を挟んで隣り合う構造体14の強化部11の間には、低強度部13が設けられている。
【0017】
図1に示す音響メタマテリアル10は、さらに複数を組み合わせることにより、
図3に示す振動減衰装置20を構成する。すなわち、振動減衰装置20は、
図2に示す複数の構造体14で構成される
図1に示す音響メタマテリアル10を、さらに複数組み合わせて構成されている。振動減衰装置20は、
図3に示すX方向において一端が入力端21であり、他端が出力端22である。音波などの振動は、入力端21から入力され、出力端22から出力される。入力端21から入力された振動は、振動減衰装置20を構成する音響メタマテリアル10で減衰し、出力端22から出力される。なお、
図3に示す入力端21および出力端22は、例示である。すなわち、
図3に示すX方向における振動減衰装置20の端部のうち、振動が入力される側は入力端21であり、その反対側は出力端22である。振動は、振動減衰装置20のX方向のいずれの側から入力してもよい。
【0018】
音響メタマテリアル10は、上述のように強化部11と低強度部12および低強度部13とが樹脂で一体に形成されている。そのため、音響メタマテリアル10は、慣性増幅によって振動の減衰を達成する。この慣性増幅は、反共振現象によって特定の周波数帯域において、振動の透過を顕著に低下させる。すなわち、本実施形態の場合、音響メタマテリアル10は、強度の高い強化部11と強度の低い低強度部12および低強度部13とを有することにより、慣性増幅にともなう反共振現象を生じる。特に、本実施形態の音響メタマテリアル10は、入力端21または出力端22となる端部16に近い側が狭く軽量に設定され、入力端21または出力端22から遠い側が広くかつ錘部17を設けることにより大きな質量に設定されている。そのため、本実施形態の音響メタマテリアル10は、慣性増幅を促進し、振動の減衰性能を向上する。さらに、本実施形態の音響メタマテリアル10は、強化部11と低強度部12および低強度部13とが樹脂で一体に形成されている。そのため、強化部11の強度を高めるために、強化部11に長繊維の炭素繊維18を含ませても、強化部11と低強度部12および低強度部13との間の密度の差は小さい。その結果、本実施形態の音響メタマテリアル10は、質量の増加を招くことなく慣性増幅を促進し、振動の減衰性能を向上する。そして、一体なった強化部11と低強度部12および低強度部13によって、強化部11における強度を維持しながら慣性増幅が達成される。
【0019】
上記の構成による音響メタマテリアル10は、図示しない3Dプリンタによる印刷によって形成されている。3Dプリンタを用いることにより、内側に空洞15を有する筒状の強化部11は、低強度部12、低強度部13、端部16、錘部17および接続構造部19とともに樹脂で継ぎ目なく一体に形成される。また、3Dプリンタを用いることにより、長繊維の炭素繊維18は、各部を樹脂で一体に形成している音響メタマテリアル10のうち強化部11に選択的に充填される。すなわち、強化部11、低強度部12、低強度部13、端部16、錘部17および接続構造部19を有する構造体14を複数組み合わせて音響メタマテリアル10を形成するとき、構造体14の強化部11には選択的に長繊維の炭素繊維18が充填される。そして、3Dプリンタを用いることにより、音響メタマテリアル10は、構造体14の各部を含む全体が樹脂によって継ぎ目なく一体に形成される。そして、この音響メタマテリアル10を複数組み合わせて構成される振動減衰装置20も、3Dプリンタを用いることにより、強度に差が設定された各部が継ぎ目なく一体に形成される。
【0020】
上記の構造による音響メタマテリアル10は、
図2に示すように筒状の強化部11の幅bによって減衰する周波数の範囲、いわゆるバンドギャップが変化する。強化部11の幅bは、
図2に示すように筒状の強化部11の厚さに相当する。
図4に示すように強化部11に長繊維の炭素繊維18を含む本実施形態の音響メタマテリアル10は、幅bが小さくても、強化部11に長繊維の炭素繊維18を含まない比較例と比較してバンドギャップが向上する。すなわち、本実施形態の音響メタマテリアル10は、強化部11の幅bを低減しつつ、バンドギャップの向上が図られる。この強化部11の幅bは、音響メタマテリアル10の質量に相関する。そのため、音響メタマテリアル10は、強化部11の幅bを低減するほど軽量化される。これにより、本実施形態の音響メタマテリアル10は、幅bの低減にともなう軽量化を達成しつつ、バンドギャップの向上を図ることができる。なお、音響メタマテリアル10の強化部11における高さ、つまりX方向およびY方向に垂直な方向の寸法は、本実施形態の場合、幅bの数倍程度に設定している。この強化部11の高さは、振動の減衰性能およびバンドギャップに大きな影響を与えない。したがって、強化部11を含む音響メタマテリアル10の高さは、音響メタマテリアル10および振動減衰装置20の構造的な強度が維持できる程度に確保すれば十分である。
【0021】
図3に示す振動減衰装置20の作用について説明する。
上述のように本実施形態の音響メタマテリアル10は、慣性増幅による反共振現象を用いて振動を減衰する。この音響メタマテリアル10を複数組み合わせて構成した振動減衰装置20は、特定の周波数帯域において振動の減衰性能が向上する。具体的には、
図5に示すように振動減衰装置20は、500Hzから800Hzの範囲、特に600Hz付近の周波数において伝達度が低下し、顕著な減衰効果を生じる。この減衰特性は、強化部11の幅bによって変化する。このことから、音響メタマテリアル10は、一体の強化部11と低強度部12および低強度部13という構成を維持しながら、強化部11の幅bを含めた各部の寸法を調整することにより、減衰する周波数の制御が可能となる。
【0022】
以上説明した一実施形態による音響メタマテリアル10は、一体となった強化部11と低強度部12および低強度部13とが慣性増幅によって振動の減衰を達成する。強化部11では、長繊維の炭素繊維18が周方向へ周回して設けられている。そのため、強化部11は、剛性を含む強度が高い。これに対し、低強度部12および低強度部13は、この強化部11と一体に樹脂で形成されているものの、長繊維の炭素繊維18を含んでおらず、強化部11に比較して強度が低く設定されている。強化部11と低強度部12および低強度部13とは樹脂で一体に形成されていることから、強化部11に長繊維の炭素繊維18を含ませても両者の密度の差は小さい。そして、一体なった強化部11と低強度部12および低強度部13とによって、強化部11における強度が維持されつつ慣性増幅が達成される。したがって、軽量で強度が高く、減衰する音波または振動の周波数を容易に制御することができる。
【0023】
また、一実施形態による音響メタマテリアル10は、長繊維の炭素繊維18が多角形の筒状の強化部11を周方向へ連続して周回している。そのため、強化部11は、長繊維の炭素繊維18によって他の部分と比較して強度が高く設定されている。これにより、強化部11と低強度部12および低強度部13との構造による慣性増幅は促進される。したがって、軽量で強度が高く、減衰する振動の周波数を容易に制御することができる。
【0024】
一実施形態による音響メタマテリアル10は、強化部11は端部16に近い側ほど軽量である。特に音響メタマテリアル10は、強化部11における空洞15が端部16に近い側ほど縮小している。そのため、強化部11は、端部16とその反対側との間に質量の傾斜が形成される。また、強化部11の空洞15において端部16と反対側には錘部17が設けられている。そのため、強化部11は、端部16とその反対側との間により大きな質量の傾斜が形成される。これにより、強化部11と低強度部12および低強度部13とによる慣性増幅は促進される。したがって、軽量で強度が高く、減衰する振動の周波数を容易に制御することができる。
【0025】
一実施形態による振動減衰装置20は、音響メタマテリアル10を複数組み合わせて構成されている。そして、振動減衰装置20は、隣り合う音響メタマテリアル10の強化部11の間に低強度部13を挟んでいる。これにより、強化部11と低強度部12および低強度部13との接続が複数存在し、強化部11と低強度部12および低強度部13とによる慣性増幅が全体として促進される。したがって、軽量で強度が高く、振動の減衰性能の向上を図ることができる。
【0026】
一実施形態による音響メタマテリアル10、およびこれを用いた振動減衰装置20は、3Dプリンタによる印刷によって形成される。そのため、強化部11と低強度部12および低強度部13とは、長繊維の炭素繊維18の有無による強度の差を設けつつ、全体として継ぎ目なく一体に形成される。したがって、振動の減衰に適切な複雑な形状、および端部16から他端にかけての適切な質量配分が必要な場合でも、対象とする振動の周波数や減衰の強度にあわせて任意の形状の音響メタマテリアル10および振動減衰装置20を容易に形成することができる。
【0027】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
図面中、10は音響メタマテリアル、11は強化部、12、13は低強度部、15は空洞、16は端部、17は錘部、18は炭素繊維、20は振動減衰装置を示す。
【要約】
【課題】軽量で強度が高く、音波または振動の周波数の制御が容易な音響メタマテリアルおよびこれを用いた振動減衰装置を提供する。
【解決手段】音響メタマテリアル10は、強化部11および低強度部12、13を備える。強化部11は、内周側に空洞15を有する筒状に形成されている。低強度部12、13は、強化部11と一体に接続し、強化部11よりも強度が低い。強化部11と低強度部12、13とは、樹脂で一体に形成されている。強化部11は、樹脂に充填され強化部11を周方向へ周回する長繊維の炭素繊維18によって強度が高められている。
【選択図】
図1