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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】折畳式担架
(51)【国際特許分類】
   A61G 1/00 20060101AFI20220125BHJP
   A61G 1/017 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61G1/00 702
A61G1/017
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021149857
(22)【出願日】2021-09-15
【審査請求日】2021-09-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516362908
【氏名又は名称】第一金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】樹下 雅彦
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-049817(JP,U)
【文献】登録実用新案第3069591(JP,U)
【文献】特開平10-118121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 1/00
A61G 1/017
A61G 1/013
A61G 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担架長さ方向に折り畳み可能な折畳式担架であって、布状の担架本体に複数枚の芯板を担架長さ方向に並設してなり、該芯板は、担架本体の両側部を支持しつつ荷重を負荷した際、担架長さ方向の撓みに対して補剛するよう、担架幅方向に前記荷重による撓みを生じる剛性に設定されたことを特徴とする折畳式担架。
【請求項2】
前記担架本体のうちの隣接する芯板の間を曲げ伸ばしして座姿勢及び寝姿勢を切り替え可能とされ、座姿勢における座面が、複数枚の芯板を重ね合わせるよう折り畳んで形成されることを特徴とする請求項1に記載の折畳式担架。
【請求項3】
前記担架本体のうちの隣接する芯板の間を曲げ伸ばしして座姿勢及び寝姿勢を切り替え可能とされ、前記担架本体のうちの座姿勢における座面と背もたれとの間に位置する部位にプリーツが形成されると共に、該プリーツを着脱自在に覆う補強板が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の折畳式担架。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担架長さ方向に折り畳み可能な折畳式担架に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、患者を移動させるための担架は、棒材や板材を用いた構造とされると共に、人が横になることのできる大きさに構成されることが多く、広い収納スペースを要すると共に、患者を移動させる際に狭い場所や階段を通過するのが難しくなることがある。
【0003】
これに対して、例えば特許文献1は、矩形のシーツの幅方向の一端部及び他端部にそれぞれ複数の貫通穴を形成し、これを担架として利用して、横になった患者を移動させたり、座った姿勢のまま患者を移動させたりする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案公報第3187952号(段落0020、0021、0024、0029、図6、10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の技術は、剛性のない極めて柔軟なシーツを担架として利用するものであり、患者がその体重によって沈み込みやすく、身体を折り曲げたり締め付けたりして、患者に負担をかけるおそれがある。
【0006】
本発明は、小さなスペースに収納すると共に、狭い場所や階段を通って患者を移動させることができ、しかも、患者の沈み込みによる負担を抑えることのできる折畳式担架の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る折畳式担架は、担架長さ方向に折り畳み可能なものであり、布状の担架本体に複数枚の芯板を担架長さ方向に並設してなり、その芯板を、担架本体の両側部を支持しつつ荷重を負荷した際、担架長さ方向の撓みに対して補剛するよう、担架幅方向に荷重による撓みを生じる剛性に設定したものである。
【0008】
上記構成によれば、布状の担架本体に複数枚の芯板を担架長さ方向に並設して担架を構成するので、その芯板で沈み込みを抑えるよう補剛しつつ、芯板の間を折り曲げて折り畳むことができる。これにより、患者の沈み込みによる負担を抑えつつ、小さなスペースに担架を収納することができると共に、患者を移動させる際に、適宜、担架を折り曲げて狭い場所や階段を通ることができる。
【0009】
しかも、芯板を担架幅方向に撓みを生じる程度の剛性に設定するので、担架本体の両側部を支持して患者を運ぶ際、その芯板及び担架本体が担架長さ方向の撓みに対する剛性の大きい断面円弧形状となる。これにより、担架をその担架長さ方向に折り畳み可能としつつ、担架長さ方向の撓みに対しても補剛することができ、体重で沈み込むことによる患者の負担を抑えることができる。
【0010】
また、担架本体のうちの隣接する芯板の間を曲げ伸ばしして座姿勢及び寝姿勢を切り替え可能とし、座姿勢における座面を、複数枚の芯板を重ね合わせるよう折り畳んで形成するようにしてもよい。
【0011】
この構成によると、芯板の間を曲げ伸ばしして座姿勢や寝姿勢に構成することにより、患者を椅子に座らせたような状態にして狭い場所や階段を運んだり、患者を横に寝かした楽な状態で運んだりすることができる。しかも、座姿勢においては、複数枚の芯板を重ね合わせて座面を形成するので、患者の体重が集中的に負荷される座面の剛性を特に高めることができる。
【0012】
また、担架本体のうちの隣接する芯板の間を曲げ伸ばしして座姿勢及び寝姿勢を切り替え可能とし、担架本体のうちの座姿勢における座面と背もたれとの間に位置する部位にプリーツを形成すると共に、このプリーツを着脱自在に覆う補強板を設けるようにしてもよい。
【0013】
この構成によると、芯板の間を曲げ伸ばしして座姿勢や寝姿勢に構成することにより、患者を椅子に座らせたような状態にして狭い場所や階段を運んだり、患者を横に寝かした楽な状態で運んだりすることができる。しかも、座姿勢における座面と背もたれとの間にプリーツを形成するので、補強板を外すことにより、その両側の芯板の間隔の変化を吸収することができ、座姿勢においては、担架幅方向に沿って芯板の間隔を変化させながら、患者の身体に合わせて座面及び背もたれの両者を外方に撓ませることができる。一方、寝姿勢においては、補強板でプリーツを覆って伸縮を阻止することにより、患者の沈み込みを抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、本発明によると、布状の担架本体に複数枚の芯板を担架長さ方向に並設して担架を構成し、芯板を担架幅方向に撓みを生じる程度の剛性に設定するようにしている。
【0015】
これにより、芯板の間を折り曲げて折り畳み、小さなスペースに担架を収納することができると共に、患者を移動させる際に、適宜、担架を折り曲げて狭い場所や階段を通ることができる。しかも、芯板を担架幅方向に沿って円弧形状に適度に撓ませて、担架長さ方向の撓みに対する芯板及び担架本体の剛性を大きくすることができ、担架幅方向や担架長さ方向に大きく撓むことによる沈み込みを阻止して患者の負担を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る折畳式担架の寝姿勢を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の要部拡大図
図2】折畳式担架の寝姿勢を示し、(a)は底面図、(b)は(a)の要部拡大図で、補強板の一部を捲って内部を示す図
図3】折畳式担架の寝姿勢で患者を運ぶ状態を示す斜視図
図4】折畳式担架の座姿勢に構成する途中の状態を上方から見た斜視図
図5】折畳式担架の座姿勢を下方から見た斜視図
図6】折畳式担架の座姿勢で患者を運ぶ状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る折畳式担架を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
図1図3に示すように、折畳式担架1は、布状の担架本体2に複数枚の芯板3を担架長さ方向に間隔をあけつつ並設した構造とされ、隣接する芯板3の間の折曲部4、5、6を折り曲げて担架長さ方向に折り畳み可能とすると共に、例えば折曲部4、5、6を伸ばした寝姿勢で、担架本体2の両側部を持ち上げて患者7を運ぶ際、芯板3が担架幅方向に適度に撓んで、担架長さ方向の撓みに対して補剛するようにしたものである。
【0019】
担架本体2は、層間に芯板3を介在させるよう複数層に構成された長方形の布状体とされ、各芯板3の位置に対応して、担架本体2の両側部が補強片8で補強され、各補強片8に、担架本体2の両側部を持ち上げるための持ち手9が取り付けられている。
【0020】
芯板3は、適度の剛性を有する例えば合成樹脂板とされ、患者7を載せて持ち手9を持ち上げることにより、担架幅方向に沿って円弧状に撓むようになっている(図3参照)。芯板3が担架幅方向に適度に撓むことにより、担架本体2及び芯板3の担架長さ方向の撓みに対する剛性が大きくなり、寝姿勢における患者7の沈み込みが抑えられ、患者7の負担を軽くすることができる。
【0021】
担架本体2の折曲部4、5、6のうちの中央の折曲部5には、担架本体2を構成する布を伸縮可能に折り返してなるプリーツ10が形成され、折曲部5を折り曲げて折畳式担架1を座姿勢に構成するのを容易にする。折畳式担架1を寝姿勢に構成する際には、プリーツ10がその伸縮を規制するよう補強板11で補強され、プリーツ10の位置で撓むことによる患者7の沈み込みが抑えられる。
【0022】
補強板11は、芯板3と同程度の剛性を有する板状とされ、担架幅方向と平行で折り曲げ自在な2条の折目12が形成されて、担架長さ方向の一端が担架本体2に固定されると共に、他端が面ファスナー13a、13bを介して担架本体2に止着可能とされ、折曲部5のプリーツ10を着脱自在に覆うようになっている。
【0023】
中央の折曲部5を挟んで両側の補強片8には、寝姿勢の折曲部5を伸ばした状態、又は座姿勢の折曲部5を略直角に折り曲げた状態に維持するよう、留め具14及び留め穴15が形成されると共に、一方の補強片8に補強ベルト16が固定されている。
【0024】
寝姿勢の折曲部5を伸ばした状態においては、留め具14及び留め穴15の留着を解除し、担架長さ方向に伸ばした補強ベルト16の先端を他方の補強片8に面ファスナー17を介して止着すると共に、補強ベルト16の留め穴18に留め具14を留着することにより、補強板11と共同してプリーツ10の伸縮を規制するようになっている。
【0025】
図4に示すように、折畳式担架1を寝姿勢から座姿勢に切り替えるには、補強板11を捲ってプリーツ10を伸縮可能として、折曲部5を略直角に折り曲げ、留め具14及び留め穴15を留着して、折曲部6を反対向きに折り返す。
【0026】
図5に示すように、補強ベルト16を挟み込みつつ2枚の芯板3を重ね合わせるよう折曲部6を折り畳むことにより、剛性を高めた座面19が形成されて、折畳式担架1が座姿勢に構成される。
【0027】
図6に示すように、患者7を座面19に座らせて背もたれ20にもたれさせ、持ち手9を持ち上げることにより、座面9が下方に撓むと共に、背もたれ20が背面側に撓むようになっている。このとき、補強板11を捲って、座面19と背もたれ20との間に位置するプリーツ10を伸縮可能としているので、座面9及び背もたれ20の外方への撓みを阻害することがない。
【0028】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、必ずしも、折畳式担架1を寝姿勢から座姿勢に切り替える必要はなく、プリーツ10及び補強板11を省略することができ、座面11を構成するのに、芯板3を重ね合わせるよう折り畳む必要はない。
【符号の説明】
【0029】
1 折畳式担架
2 担架本体
3 芯板
4、5、6 折曲部
7 患者
8 補強片
9 持ち手
10 プリーツ
11 補強板
12 折目
13a、13b 面ファスナー
14 留め具
15 留め穴
16 補強ベルト
17 面ファスナー
18 留め穴
19 座面
20 背もたれ
【要約】
【課題】小さなスペースに収納すると共に、狭い場所や階段を通って患者を移動させることができ、しかも、患者の沈み込みによる負担を抑えることのできる折畳式担架の提供。
【解決手段】布状の担架本体2に複数枚の芯板3を担架長さ方向に並設する。適宜、担架長さ方向に折り曲げたり折り畳んだりすることができる。患者7を載せて持ち手9を持ち上げた際、担架幅方向に撓みを生じるように、芯板3の剛性を設定する。担架幅方向に撓むことにより、担架長さ方向の撓みに対して補剛される。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6