(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220125BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220125BHJP
G06Q 50/00 20120101ALI20220125BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20220125BHJP
【FI】
G01C21/34
G06Q30/02 354
G06Q50/00
G07B15/00
(21)【出願番号】P 2017235648
(22)【出願日】2017-12-08
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 和也
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-018172(JP,A)
【文献】特開2016-128782(JP,A)
【文献】特開2002-216187(JP,A)
【文献】特開2007-078464(JP,A)
【文献】特開2006-172507(JP,A)
【文献】特開2002-324151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G06Q 30/02
G06Q 50/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能を備えた電子装置であって、
有料道路を走行したときに支払金額に応じたポイントを付与し、当該ポイントを通行料金に還元できるマイレージサービスを提供する事業者のサーバから、マイレージサービスのポイント残高と有効期限に関するマイレージ情報を取得する取得手段と、
道路地図データに基づき経路を探索する経路探索手段と、
探索された経路に関する情報を表示する表示手段とを有し、
前記経路探索手段は、前記マイレージ情報に基づきポイント残高と
通行料金に還元可能なポイント数との差分から還元可能なポイントに到達するための追加ポイントを計算し、当該追加ポイントを獲得可能なマイレージを考慮した経路を探索する、電子装置。
【請求項2】
前記経路探索手段は、残高ポイントの有効期限までの時間が一定未満になったとき、前記マイレージを考慮した経路を探索する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記経路探索手段はさらに、
還元可能なポイントによる還元額と、マイレージを考慮した経路の通行料金と通常の経路の通行料金の差額とを比較し、前記還元額が前記差額よりも大きいとき、前記マイレージを考慮した経路と前記通常の経路の双方の情報を前記表示手段に表示させる、請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記経路探索手段は、前記還元額が前記差額よりも小さいとき、前記マイレージを考慮した経路を非表示にし、前記推奨経路を表示させる、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記経路探索手段は、ポイント残高がある還元可能なポイント数を越えている場合には、還元割合が変更となる次の還元可能なポイント数に到達するための追加ポイントを計算し、当該追加ポイントを獲得可能なマイレージを考慮した経路を探索する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記経路探索手段は、前記マイレージを考慮した経路を探索する場合に、高速道路または有料道路のコストを可変する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか1つに記載の電子装置と、前記マイレージ情報を格納し、前記電子装置からの要求に応じて前記マイレージ情報を提供するサーバとを含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能を備えた電子装置に関し、特に、ETCマイレージを考慮した経路探索およびその案内に関する。
【背景技術】
【0002】
車載装置に搭載されたナビゲーション機能は、ETC(Electronic Toll Collection System)機能とも連動し、有料道路を走行する場合には、その通行料金の情報も併せて提示している。また、有料道路を走行したときの通行料金は、ETC車載機とETCゲート間で無線通信を行い、ETC車載機に挿入したクレジットカードを利用した自動決済が行われている。このような電子料金収受システムにおいて、特許文献1は、有料道路の料金決済で付与されるポイントを考慮してユーザーが経路の適否を判断できる経路提示装置を開示している。具体的には、経路を走行したときに発生する通行料金と、通行料金をクレジットカードで決済した場合に発生するポイントに基づき定まる実質節約料金とを表示させることで、ユーザーが経路の適否を判断できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、高速道路等を走行した場合、その通行料金の支払額に応じて利用者にポイントを付与し、ポイントを還元額(無料通行分)に交換できるETCマイレージサービスが導入されている。現在のナビゲーションシステムでは、ETCマイレージのポイントの有効期限、還元額を考慮した経路探索または経路案内を行っていない。このため、ユーザーは、ETCマイレージのポイントがあるにもかかわらず高速道路の利用をしなかったり、あるいは、還元ポイントの有効期限を失念し、還元額を失効させてしまうことがある。
【0005】
さらにETCマイレージサービスは、各道路事業者(NEXCO東/中/西日本・宮城県道路公社、本州四国連絡高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社、名古屋高速道路公社、愛知県道路公社、神戸市道路公社、広島高速道路公社、福岡北九州高速道路公社など)によって提供され、その仕組みは各道路事業者間で必ずしも同じではない。それ故、ユーザーにとって、各道路事業者のポイント付与の仕組みやポイント還元の仕組み(ポイント数に応じた還元割合など)が分かり難く、結果としてポイントを有効に活用できない事態が想定される。例えば、ポイントは、道路事業者毎に貯まるが、中には道路事業者間でポイントが合算ができる道路もある。
【0006】
本発明では、上記従来の課題を解決し、マイレージを考慮した経路探索をすることが可能なナビゲーション機能を備えた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るナビゲーション機能を備えた電子装置は、有料道路を走行したときに支払金額に応じたポイントを付与し、当該ポイントを通行料金に還元できるマイレージサービスを提供する事業者のサーバから、マイレージサービスのポイント残高と有効期限に関するマイレージ情報を取得する取得手段と、道路地図データに基づき経路を探索する経路探索手段と、探索された経路に関する情報を表示する表示手段とを有し、前記経路探索手段は、前記マイレージ情報に基づきポイント残高と還元可能なポイント数との差分から還元可能なポイントに到達するための追加ポイントを計算し、当該追加ポイントを獲得可能なマイレージを考慮した経路を探索する。
【0008】
ある実施態様では、前記経路探索手段は、残高ポイントの有効期限までの時間が一定未満になったとき、前記マイレージを考慮した経路を探索する。ある実施態様では、前記経路探索手段はさらに、ポイントによる還元額と、マイレージを考慮した経路の通行料金と通常の経路の通行料金の差額とを比較し、前記還元額が前記差額よりも大きいとき、前記マイレージを考慮した経路と前記通常の経路の双方の情報を前記表示手段に表示させる。ある実施態様では、前記経路探索手段は、前記還元額が前記差額よりも小さいとき、前記マイレージを考慮した経路を非表示にし、前記推奨経路を表示させる。ある実施態様では、前記経路探索手段は、ポイント残高がある還元可能なポイント数を越えている場合には、還元割合が変更となる次の還元可能なポイント数に到達するための追加ポイントを計算し、当該追加ポイントを獲得可能なマイレージを考慮した経路を探索する。ある実施態様では、前記経路探索手段は、前記マイレージを考慮した経路を探索する場合に、高速道路または有料道路のコストを可変する。
【0009】
本発明に係るシステムは、上記記載の電子装置と、前記マイレージ情報を格納し、前記電子装置からの要求に応じて前記マイレージ情報を提供するサーバとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、還元可能なポイントに到達するための追加ポイントを計算し、当該追加ポイントを獲得可能なマイレージを考慮した経路を探索し、これを提示するようにしたので、マイレージにより獲得したポイントを有効に活用することができる。さらにポイントの有効期限が徒過する前にポイントの使用を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明が適用されるETCマイレージシステムの全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る車載装置の内部構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施例に係る経路探索プログラムの機能的な構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係るマイレージサーバに登録されるマイレージ情報の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係る経路探索結果の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施例に係る経路探索動作のフローを示す図である。
【
図7】本実施例による経路探索の具体例であり、
図7(A)は、マイレージを考慮した経路が非表示の例、
図7(B)は、マイレージを考慮した経路が優先的に表示される例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る電子装置は、自動車等の移動体上に固定的に搭載される車載装置、あるいは移動体内に持ち込み可能なポータブルタイプのコンピュータ装置、タブレット型のコンピュータ装置であることができる。また、本発明の電子装置は、ナビゲーション機能を搭載するが、これ以外の機能として、例えばオーディオ・ビデオデータを再生する機能、テレビ・ラジオ放送を受信する機能、アプリケーションソフトウエアを実行する機能などを備えるものであってもよい。さらに本発明の電子装置は、それ自身がナビゲーション機能を実行するための道路地図データを記憶するものであってもよいし、道路地図データを配信するサーバなどから必要な道路地図データを取得するものであってもよい。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用されるETCマイレージシステムの全体構成を示す図である。ETC通信機20には、通行料金の自動決済を行うためのETCカード(クレジットカード)10が挿入され、ETC通信機20は、ナビゲーション機能を含む車載装置30に接続される。車載装置30は、インターネット50を介して、ETCマイレージに関する情報を蓄積したETCマイレージサービスサーバ(以下、マイレージサーバ)60との間でデータの送受を行う無線通信機能40を含む。
【0014】
車両がETCゲート80を通過するとき、ETCゲート80は、ETC通信機20から通行料金やユーザーIDなどを受信し、受信した情報を道路事業者中央処理サーバ(以下、事業者サーバ)70へ提供する。事業者サーバ70は、マイレージサーバ60に対し当該ユーザーのポイントの還元があるか否かを確認し、ポイントによる還元があればそれを相殺した支払金額を算出し、支払金額の請求をクレジットカード会社90に送信するとともに、支払金額に応じたポイントを算出し、算出したポイントをマイレージサーバ60に送信する。マイレージサーバ60は、支払金額に応じたポイントをユーザーのポイントに加算する。
【0015】
図2は、本発明の実施例に係る車載装置の構成を示す図である。車載装置100、入力部110、外部インターフェース(I/F)120、ナビゲーション部130、マルチメディア再生部140、表示部150、音声出力部160、通信部170、記憶部180、および制御部190を含んで構成される。但し、
図2に示す構成は一例であり、これと異なる構成、あるいは他の機能を包含するものであっても良い。
【0016】
入力部110は、ユーザーからの指示を受け取り、これを制御部190へ提供する。外部I/F120は、外部機器との接続を可能にし、本例では、外部I/F120は、
図1に示すETC通信機20との接続を行う。
【0017】
ナビゲーション部130は、GPS信号や各種センサの出力に基づき自車の現在地を算出し、自車位置周辺の道路案内をしたり、目的地までの経路を案内する。マルチメディア再生部140は、ディスク媒体、半導体メモリ、ハードディスク等の記録媒体に記憶された音声データや映像データを再生する。表示部150は、ナビゲーション部130やマルチメディア再生部140で生成された画像を表示する。音声出力部160は、ナビゲーション部130やマルチメディア再生部140で生成された音声を出力する。
【0018】
通信部170は、車外のネットワーク等への通信を可能にし、例えば、
図1に示すようにインターネット50を介してマイレージサーバ60へのアクセスを可能にする。通信部170は、車載装置自身に埋め込まれた通信ユニットであってもよいし、あるいはスマートフォン等の通信機能を端末を接続し、その通信機能を用いるものであってもよい。
【0019】
記憶部180は、制御部190が実行するアプリケーションソフトウエアやプログラム、ナビゲーション部130が必要とする地図データ等、その他、車載装置100で使用するデータ等を記憶することができる。
【0020】
制御部190は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラ等から構成され、ROMまたはRAMは、車載装置100の各部の動作を制御するための種々のプログラムを実行することができる。本実施例では、制御部190は、ナビゲーション部130を制御するプログラムとして、ETCマイレージを考慮した経路探索を行う経路探索プログラムを実行する。
【0021】
図3に、経路探索プログラムの機能的な構成を示す。本実施例の経路探索プログラム200は、ユーザー情報取得部210、マイレージ情報取得部220、ポイント使用有無判定部230、還元可能ポイント計算部240、還元必要ポイント計算部250、経路探索部260、および探索経路表示部270を含んで構成される。
【0022】
ユーザー情報取得部210は、外部I/F120を介してETC通信機20が接続されたとき、ETCマイレージサービスに関する必要なユーザー情報、例えば、ETCカード10の識別情報、ETC通信機20の識別情報、ユーザーID等を取得し、これを記憶部180等に格納する。ユーザー情報取得部210は、これらのユーザー情報をETC通信機20から自動的に取得できるようにしてもよいし、あるいは、入力部110を介して必要な情報をユーザーに入力させるようにしてもよい。
【0023】
マイレージ情報取得部220は、通信部170を介してマイレージサーバ60をアクセスし、ユーザー情報取得部210で取得されたユーザー情報に基づき当該ユーザーのマイレージに関する情報を取得する。マイレージサーバ60は、例えば、
図4に示すように、ETCマイレージサービスに加入されたユーザーのマイレージ情報として、例えば、ポイント残高と、ポイントを還元するための有効期限などの情報を管理する。マイレージ情報は、ユーザーが有料道路を走行しその通行料金をETCカードにより決算したとき、ポイントが還元されたとき、あるいはポイントの有効期限が切れたとき等、適宜、更新される。マイレージ情報取得部220は、マイレージサーバ60が複数の道路事業者のポイント残高と有効期限を一括して管理している場合には、マイレージサーバ60から各道路事業者のマイレージ情報を取得し、各道路事業者毎にマイレージサーバ60が存在する場合には、それぞれのマイレージサーバ60からマイレージ情報を取得する。
【0024】
ポイント使用有無判定部230は、マイレージ情報取得部220で取得されたポイントの有効期限からポイントを使用するか否か、つまりポイントの有効期限が差し迫っているか否かを判定する。ポイント使用有無判定部230は、ポイントの有効期限までの日数が一定未満であるとき、ポイントが失効するおそれがあると推定し、ポイントを使用すると判定する。また、複数の有効期限をもつポイントがある場合には、ポイント毎にその使用の有無を判定する。
【0025】
還元可能ポイント計算部240は、ポイント使用有無判定部230がポイントを使用すると判定した場合、現在のポイント残高に応じて、還元が可能となるポイントを計算する。例えば、還元可能なポイントが、1,000ポイント、5,000ポイント、10,000ポイントである場合、現在のポイント残高から直近の還元可能なポイントを選択する。例えば、ポイント残高が919であれば、還元可能なポイントは、1,000ポイントであり、ポイント残高が3,500であれば、還元可能なポイントは、5,000ポイントである。
【0026】
また、還元可能ポイント計算部240は、還元可能なポイントに到達したときに還元される金額を計算する。還元割合は、ポイント数に応じて異なり、例えば、1,000ポイントであれば、還元額は500円であり、5,000ポイントであれば、還元額は5,000円である。
【0027】
なお、各道路事業者によって付与するポイント、還元可能なポイント、および還元可能なポイントによって還元される還元額の情報は、予め記憶部180に用意するようにしてもよいし、マイレージサーバ60から取得するようにしてもよい。
【0028】
還元必要ポイント計算部250は、還元可能ポイント計算部240によって計算された還元可能ポイントと、現在のポイント残高の差分から、還元可能なポイントに到達するために必要な追加ポイントを計算する。例えば、現在のポイント残高が919であれば、追加ポイントは、81ポイントである(1000-919=81)。また、ポイント残高が既に還元可能なポイントを越えている場合には、還元割合が変わる次の還元可能なポイントに到達するための必要な追加ポイントを計算する。例えば、現在のポイント残高が3,500ポイントであり、還元割合が変わる次の還元可能なポイントが5,000ポイントであれば、追加ポイントは、1,500ポイントである。
【0029】
経路探索部260は、ポイント使用有無判定部230によりポイントを使用すると判定された場合に、通常の経路探索に加えて、マイレージを考慮した経路を探索する。マイレージを考慮した経路とは、還元必要ポイント計算部240により計算された追加ポイントを獲得することができる経路である。例えば、還元に必要な追加ポイントが81であるならば、その81ポイントを獲得することができる経路である。
【0030】
通常の経路探索に関して、経路探索部260は、予め決められたリンクコスト等に基づき、目的地までの走行距離を優先する経路、目的地までの走行時間を優先する経路、目的地までの道幅を優先する経路などを探索し、その中から、推奨経路を選択する。推奨経路は、例えば、ユーザーにより設定された嗜好条件等に基づき選択される。
【0031】
一方、マイレージを考慮した経路探索に関して、経路探索部260は、高速道路のリンクコストの重み付けを変更し、マイレージを考慮した経路が、通常の経路よりも優先されるようにすることができる。
(1)推奨経路との到達時間の差
推奨経路との到着時間の差が少ないほど、高速道路走行のコストを低くする。これにより、推奨経路と到着時間の差が少ない高速道路を走行するマイレージを考慮した経路が優先されるようにする。
(2)還元金額と追加で必要な高速道路料金の差
両者の差が大きいほど、高速道路走行のコストを低くする。これにより、実質的に節約度合の大きな高速道路を走行するマイレージを考慮した経路が優先されるようにする。
但し、追加の高速料金よりも大きい額が還元される経路が探索されることが必須であり、還元されても、追加の高速道路を走行すると実質的に支払金額が大きくなるような経路は優先されないようにするか、探索されても表示部150に表示されないようにする。
(3)ポイントの有効期限
ポイントの有効期限の失効が近づいている程、その高速道路走行のコストを低くする。これにより、有効期限間近な高速道路を走行するマイレージを考慮した経路が優先されるようにする。
【0032】
探索経路表示部270は、ポイント使用有無判定部230によりポイントを使用しないと判定された場合に、経路探索部250により探索された推奨経路を表示部150に表示させ、ポイントを使用すると判定された場合には、通常の経路に加えて、マイレージを考慮した経路を表示部150に表示させる。
【0033】
図5に、マイレージを考慮した経路を探索したときの探索結果の表示例を示す。同図に示すように、通常の5ルートの探索結果310に加えて、マイレージを考慮した経路300が同時に表示される。マイレージを考慮した探索結果300には、この走行により到達するポイント数「5,000」も併せて表示される。また、通常の5ルートの経路310において、もし、高速道路を走行する経路であれば、そこにポイント数「4,980」が表示される。探索経路表示部270は、マイレージを考慮した経路300が通常の5ルートの経路310よりも走行コストが小さい場合には、マイレージを考慮した経路300を通常の5ルートの経路310よりも優先させるような表示を行うようにしても良い。
【0034】
探索経路表示部270は、例えば、ユーザーによってボタン320が選択されると、選択された経路を地図上に表示させることができる。また、最終的に探索経路の選択が決定された場合には、ナビゲーション部130は、選択された経路により案内を開始することができる。
【0035】
次に、本実施例の経路探索動作について
図6のフローチャートを参照して説明する。ナビゲーション部130が起動され、例えば、ユーザーにより目的地までの経路探索の指示が与えられたとする。ユーザー情報取得部210は、
図1に示すマイレージサーバ60から、各道路事業者のユーザーのポイント残高Paと、ポイント残高Paの有効期限とを取得する(S100、S102)。次に、ポイント使用有無判定部230は、ポイント残高Paの有効期限がX日未満であれば、ポイント使用と判定し、X日以上であれば、ポイント不使用と判定する(S104)。X日は、任意であり、例えば、ユーザーが設定することができる。また、複数の有効期限をもつポイント残高がある場合には、各々のポイント残高について使用の有無を判定する。
【0036】
次に、ポイントを使用する判定された場合には、還元可能ポイント計算部240は、還元が可能となるポイントPbを計算し(S106)、このポイントPbに到達したときに還元される還元額C1を計算し(S108)、還元必要ポイント計算部250は、還元可能なポイントPbとポイント残高Paとの差分から、必要な追加のポイントPcを計算する(Pc=Pb-Pa)。
【0037】
次に、経路探索部260は、還元可能なポイントPbに到達するために必要な追加のポイントPcを獲得するマイレージを考慮した経路R1を探索し(S110)、かつ、通常の推奨経路R2を含む5ルートを探索する(S112)。
【0038】
次に、経路探索部260は、マイレージを考慮した経路R1に必要な料金と推奨経路R2に必要な料金の差額C2を算出し(S114)、差額C2と還元額C1とを比較し(S116)、この比較結果を探索経路表示部270へ提供する。探索経路表示部270は、C1>C2の場合、つまり、還元額C1が差額C2より大きくなる場合には、実際にユーザーが支払う金額が少なくなるため、
図5に示したように、マイレージを考慮した経路R1と、推奨経路R2を含む通常の5ルートを表示部150に一緒に表示する(S118)。他方、C1<C2の場合、還元額をもらっても実際にユーザーが支払う額が増加してしまうため、探索経路表示部270は、マイレージを考慮した経路R1を表示せず、推奨経路R2を含む通常の5ルートのみを表示する(S120)。
【0039】
図7は、地点P1から目的地P2までの経路探索例であり、
図7(A)は、マイレージを考慮した経路R1が表示されない例であり、
図7(B)は、マイレージを考慮した経路R2が表示される例である。
【0040】
還元条件として、1,000ポイントで還元額が500円、5,000ポイントで還元額が5,000円とする。また、高速道路の料金の差額C2は810円、取得ポイント差は81ポイントとする。
【0041】
81ポイントを取得し、還元可能ポイントが1,000に達成する場合、
図7(A)に示すように、地点P1から目的地P2までの推奨経路R2の高速道路の料金は、1,890円である。
図7(B)は、マイレージを考慮した経路R1であり、そのときの高速道路の料金は、2,700円である。そうすると、
還元額500円(C1)- 高速料金810(C2) = -310円
となり、マイレージを考慮した経路R1を走行すると、ユーザーが実際に支払う金額が推奨経路R2のときよりも高くなってしまうので、この場合は、
図7(A)に示すように、マイレージを考慮した経路R1またはその案内は表示されず、推奨経路R1またはその案内が表示される。
【0042】
他方、81ポイントで、還元可能ポイント5,000に達成する場合、
還元額5,000円 - 高速料金810円 =4,310円
この場合は、実質の還元額の方が大きいので、
図7(B)に示すように、地点P1からP2までのマイレージを考慮した経路R1として案内が表示される。
【0043】
本実施例によれば、マイレージを考慮した経路探索を行うことができ、その結果をユーザーに提供することができる。これにより、マイレージのポイントの有効期限を失効させることなく、あるいは各道路事業者のマイレージの条件に精通していなくても、マイレージのポイントを有効に利用することができる。
【0044】
上記実施例では、目的地を設定し、目的地までの経路を探索する例を説明したが、本発明は、これに限らず、目的地を設定しない場合の経路探索にも適用することができる。例えば、経路探索プログラム200は、自車が高速道路を走行中か否かを判定し、高速道路を走行中であるとき、自車位置から何番目のインターチェンジで高速道路を下りたならば、そのときの還元可能なポイントに到達し、そして、その還元額C1が高速道路の差額C2よりも大きい場合には、マイレージを考慮した経路を自動的に案内するようにしてもよい。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
100:車載装置 110:入力部
120:外部インターフェース 130:ナビゲーション部
140:マルチメディア再生部 150:表示部
160:音声出力部 170:通信部
180:記憶部 190:制御部
200:経路探索プログラム 210:ユーザー情報取得部
220:マイレージ情報取得部 230:ポイント使用有無判定部
240:還元可能ポイント計算部 250:還元必要ポイント計算部
260:経路探索部 270:探索経路表示部