(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】ハニカムコア穿孔工具、ハニカムコア穿孔方法及びハニカムコア穿孔機
(51)【国際特許分類】
B23B 51/04 20060101AFI20220125BHJP
B23B 35/00 20060101ALI20220125BHJP
B23B 39/14 20060101ALI20220125BHJP
B23B 47/34 20060101ALI20220125BHJP
B26F 1/16 20060101ALI20220125BHJP
B24D 7/18 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B23B51/04 Z
B23B35/00
B23B39/14
B23B47/34 Z
B26F1/16
B24D7/18 Z
(21)【出願番号】P 2016128227
(22)【出願日】2016-06-28
【審査請求日】2019-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100136504
【氏名又は名称】山田 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕一
(72)【発明者】
【氏名】理塀 敦
【審査官】永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0124466(US,A1)
【文献】実開平4-54619(JP,U)
【文献】特開平3-190673(JP,A)
【文献】国際公開第2014/068672(WO,A1)
【文献】特開昭60-228011(JP,A)
【文献】特開昭56-146678(JP,A)
【文献】特開平9-70817(JP,A)
【文献】特開2004-195634(JP,A)
【文献】特開2004-202669(JP,A)
【文献】特開平11-42634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 35/00-51/14,
B26F 1/00-3/16,
B24D 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともハニカムコアの穿孔側に
凹凸を設けた開口端を有し、他方の端部に回転軸を設けた円筒状のボディと、
前記ボディの前記開口端に
設けられた前記凹凸に砥粒
を固着することによって円筒状のソーとして機能する刃部とを有し、
前記砥粒による研削によって前記ハニカムコア
を円形に切断した後において
、少なくとも一方の面が板材で閉塞されており、かつ表面が薄板の端部となっている前記ハニカムコアの円柱状の端材であって、前記ボディの内部に
圧縮力を受けた状態で詰まった前記
端材を
、前記ボディの内部
であって、気密状態が保たれた前記端材の前記回転軸側における空間内の空気圧
を次第に増加させることによって
、前記ボディの内部から押し出して排出するための圧縮空気を、
前記空間に注入するための空気供給口を、前記ボディに設けたハニカムコア穿孔工具。
【請求項2】
前記ボディの前記回転軸に前記空気供給口を設けた請求項1記載のハニカムコア穿孔工具。
【請求項3】
前記ボディの前記開口端側における厚みを薄くすることによって前記開口端側における内面に段差を設け、前記段差に前記砥粒を固着させた請求項1又は2記載のハニカムコア穿孔工具。
【請求項4】
貫通孔を設けた円筒状のボディの開口端に
凹凸を設け、前記凹凸に砥粒を固着する
ことによって円筒状のソーとして機能する刃部を形成する一方、他方の端部に回転軸を設けたハニカムコア穿孔工具の前記回転軸を保持して回転させながら前記砥粒をハニカムコアに接触させ
、前記砥粒による研削によって前記ハニカムコアを
円形に切断することによって、前記ハニカムコアの被穿孔加工品を製造するステップと、
前記ハニカムコアの
切断後において前記ボディの内部に
圧縮力を受けた状態で詰まった前記ハニカムコアの端材
であって、少なくとも一方の面が板材で閉塞されており、かつ表面が薄板の端部となっている円柱状の前記端材の前記回転軸側における
気密状態が保たれた前記ボディの内部の空間に前記貫通孔から圧縮空気を注入し
て前記空間内の空気圧を次第に増加させ、前記端材
を前記ボディの開口端側に向かって押し出すことによって、前記ボディの内部に詰まった前記端材を前記ボディから排出させるステップと、
を有するハニカムコア穿孔方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハニカムコア穿孔工具と、
前記ハニカムコア穿孔工具を保持する回転機構と、
前記回転機構を取付けたロボットアームと、
前記ハニカムコア穿孔工具の前記空気供給口に前記圧縮空気を供給する空気供給系と、
前記回転機構及び前記ロボットアームの駆動軸を制御する制御装置と、
を有するハニカムコア穿孔機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ハニカムコア穿孔工具、ハニカムコア穿孔方法及びハニカムコア穿孔機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート等の穿孔対象物を穿孔する方法として、円筒状の工具を回転させることによって穿孔対象物の一部をくり抜く方法が知られている。
【0003】
しかしながら、円筒状の工具を用いて穿孔対象物の一部をくり抜く場合には、くり抜いた端材が円筒状の工具の内側に詰まることがある。くり抜いた端材が円筒状の工具の内側に詰まった場合には、その工具を用いた次の穿孔を行う前に端材を工具から排出させることが必要である。
【0004】
そこで、コンクリートの端材を自重等によって容易に排出させることが可能な特殊な構造を有する円筒状のコア・ドリルが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、先端にダイヤモンドチップを固着した円筒状の工具において、ダイヤモンドチップが円筒状の工具の内側に突出しないようにダイヤモンドチップを配置することにより、端材を工具から排出しやすくする技術も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-202669号公報
【文献】特開平11-042634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、円筒状の工具による穿孔対象がハニカムコアである場合には、コンクリートを穿孔する場合に比べて円筒状の工具の内側にくり抜かれた端材が詰まりやすい。これは、ハニカムコアを構成する板材が、コンクリートとは異なり、変形し易いためであると考えられる。すなわち、くり抜かれたハニカムコアの端材は、円筒状の工具の内側に複数の板材の端部が押し当てられた状態で、全体として密着するように詰まることになる。このため、詰まったハニカムコアの端材を工具の内側から排出することが困難となる。その結果、円筒状の工具を用いてハニカムコアを穿孔すること自体も困難となる。
【0008】
但し、ハニカムコアは、コンクリートのように脆くない。特に、航空機構造体の構成部材としてハニカムコアを用いる場合には、ハニカムコアが金属や複合材で構成される場合が多い。そこで、芯出し機能を有する典型的なドリルを用いてハニカムコアの穿孔を行うことも考えられる。しかしながら、ハニカムコアには多数の空隙が存在するため、ハニカムコアに汎用のドリルを用いて芯出しを行うことは殆ど不可能であると考えられる。
【0009】
そこで、本発明は、容易にハニカムコアの穿孔を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係るハニカムコア穿孔工具は、少なくともハニカムコアの穿孔側に凹凸を設けた開口端を有し、他方の端部に回転軸を設けた円筒状のボディと、前記ボディの前記開口端に設けられた前記凹凸に砥粒を固着することによって円筒状のソーとして機能する刃部とを有する。前記砥粒による研削によって前記ハニカムコアを円形に切断した後において、少なくとも一方の面が板材で閉塞されており、かつ表面が薄板の端部となっている前記ハニカムコアの円柱状の端材であって、前記ボディの内部に圧縮力を受けた状態で詰まった前記端材を、前記ボディの内部であって、気密状態が保たれた前記端材の前記回転軸側における空間内の空気圧を次第に増加させることによって、前記ボディの内部から押し出して排出するための圧縮空気を、前記空間に注入するための空気供給口を、前記ボディに設けた。
【0011】
また、本発明の実施形態に係るハニカムコア穿孔方法は、貫通孔を設けた円筒状のボディの開口端に凹凸を設け、前記凹凸に砥粒を固着することによって円筒状のソーとして機能する刃部を形成する一方、他方の端部に回転軸を設けたハニカムコア穿孔工具の前記回転軸を保持して回転させながら前記砥粒をハニカムコアに接触させ、前記砥粒による研削によって前記ハニカムコアを円形に切断することによって、前記ハニカムコアの被穿孔加工品を製造するステップと、前記ハニカムコアの切断後において前記ボディの内部に圧縮力を受けた状態で詰まった前記ハニカムコアの端材であって、少なくとも一方の面が板材で閉塞されており、かつ表面が薄板の端部となっている円柱状の前記端材の前記回転軸側における気密状態が保たれた前記ボディの内部の空間に前記貫通孔から圧縮空気を注入して前記空間内の空気圧を次第に増加させ、前記端材を前記ボディの開口端側に向かって押し出すことによって、前記ボディの内部に詰まった前記端材を前記ボディから排出させるステップとを有するものである。
【0012】
また、本発明の実施形態に係るハニカムコア穿孔機は、前記ハニカムコア穿孔工具、回転機構、前記回転機構を取付けたロボットアーム、空気供給系及び制御装置を有する。回転機構は、前記ハニカムコア穿孔工具を保持する。空気供給系は、前記ハニカムコア穿孔工具の前記空気供給口に前記圧縮空気を供給する。制御装置は、前記回転機構及び前記ロボットアームの駆動軸を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るハニカムコア穿孔工具の構造を示す部分縦断面図。
【
図2】
図1に示すハニカムコア穿孔工具の左側面図。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るハニカムコア穿孔工具の構造を示す部分縦断面図。
【
図4】
図3に示すハニカムコア穿孔工具の左側面図。
【
図5】板材で空隙が閉塞されたハニカムコアの端材の構造例を示す正面図。
【
図7】
図3に示すハニカムコア穿孔工具を取付けたハニカムコア穿孔機の斜視図。
【
図8】
図7に示すハニカムコア穿孔機を別の方向から見た斜視図。
【
図9】
図7に示す取付機構の詳細構成例を示す縦断面図。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係るハニカムコア穿孔工具の構造を示す部分拡大縦断面図。
【
図11】
図10に示すハニカムコア穿孔工具の構造を説明するために比較される部分拡大縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るハニカムコア穿孔工具、ハニカムコア穿孔方法及びハニカムコア穿孔機について添付図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
(ハニカムコア穿孔工具)
図1は本発明の第1の実施形態に係るハニカムコア穿孔工具の構造を示す部分縦断面図であり、
図2は
図1に示すハニカムコア穿孔工具の左側面図である。
【0016】
ハニカムコア穿孔工具1は、ハニカムコアの穿孔を行うための円筒状の刃部2を有する穿孔工具である。具体的には、ハニカムコア穿孔工具1は、ボディ3に刃部2を形成して構成される。ハニカムコア穿孔工具1による穿孔対象となるハニカムコアは、六角形等の同一の横断面形状を有する多数の角筒(セル)を隙間なく配列した構造体である。
【0017】
ハニカムコアは、重量が小さく、かつ強度が大きいという特徴を有する。このため、軽量化が要求される航空機構造体の材料としてしばしば用いられる。ハニカムコア自体の材料の例としては、金属が挙げられるが、特に航空機構造体の部材として用いられるハニカムコアの場合には、更なる軽量化及び強度改善を図るために炭素繊維強化プラスチック(CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastics)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP: Glass Fiber Reinforced Plastics)等の複合材が素材として用いられる場合も多い。また、紙に樹脂を含浸させたノーメックス(登録商標)と呼ばれる複合材がハニカムコアの素材として用いられる場合もある。
【0018】
ハニカムコア穿孔工具1のボディ3は、少なくともハニカムコアの穿孔側に開口端を有し、他方の端部に回転軸4を設けた円筒状の構造を有する。ボディ3の開口端には、多数の砥粒2Aが固着され、砥粒2Aを固着したボディ3の端部によって刃部2が形成される。砥粒2Aの材料としては、ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素(CBN:cubic Boron Nitride)が代表的であるが、被穿孔対象となるハニカムコアの素材によっては、アルミナや炭化ケイ素を用いてもよい。砥粒2Aは、電着等の任意の方法で、ボディ3の端部に固着させることができる。
【0019】
ボディ3の開口端には、図示されるようにジグザグ状の凹凸を設けることができる。そして、ジグザグ状の凹凸を有する板状の端部の内面、外面及び端面にそれぞれ砥粒2Aを固着させることができる。
【0020】
そうすると、ジグザグ状の凹凸を有し、かつ砥粒2Aが固着された円筒状の刃部2がソー(鋸)のように機能する。すなわち、回転軸4をホルダで保持して回転させると、円筒状の刃部2を構成する複数の板状の凸部が、円状に配列された複数のブレード(鋸刃)として機能する。このため、刃部2を回転させながらハニカムコアに押し当てれば、ハニカムコアの穿孔を行うことができる。
【0021】
この場合、ハニカムコアの穿孔は、ソーとして機能する刃部2でハニカムコアを円形に切断することによって行われることになる。また、ハニカムコアの切断は、円形の軌跡を描いて移動する砥粒2Aによる研削によって行われることになる。このため、ハニカムコア穿孔工具1は、穿孔用のソー又は研削工具として分類することもできる。
【0022】
ハニカムコアに形成される貫通孔の直径は、刃部2の外径となる。従って、ボディ3の外径及び刃部2の外径は、ハニカムコアに形成すべき貫通孔の直径に合わせて決定される。具体例として、航空機構造体用のハニカムコアであれば、ボディ3の外径が数cmから10cm程度に決定される。一方、ボディ3の長さは、ハニカムコアを穿孔した場合に、回転軸4側におけるボディ3の内壁がハニカムコアの端材に干渉しないように、少なくともハニカムコアの厚さよりも長くなるように決定される。
【0023】
ハニカムコアの穿孔後には、ボディ3の内部に、円柱状のハニカムコアの端材が残留することになる。このため、ハニカムコア穿孔工具1で次の穿孔を行うためには、ボディ3の内部に残留する端材を除去することが必要となる。しかしながら、複合材や金属等で構成されるハニカムコアの円柱状の端材の表面は、多数の切断された薄板の端部となる。このため、ハニカムコアの端材は容易に変形し、ボディ3の内部に圧縮力を受けた状態で詰まることになる。
【0024】
そこで、ボディ3には、ハニカムコアの穿孔後においてボディ3の内部に詰まったハニカムコアの端材をボディ3の内部から排出させるための力を端材に作用させるための貫通孔5が設けられる。具体的には、端材をボディ3の内部から押し出すための押出棒6を挿入するための貫通孔5がボディ3の側面に設けられる。
【0025】
端材をボディ3の内部から押し出すためには、押出棒6をボディ3内の端材に押し当てながら、ボディ3の長手方向、すなわちハニカムコア穿孔工具1の工具軸方向に押出棒6をスライドさせることが効果的である。そこで、図示されるように、長さ方向をハニカムコア穿孔工具1の工具軸方向とするスリット5Aを、貫通孔5としてボディ3の側面に設けることが実用的である。これにより、押出棒6の一部をボディ3の内部に挿入した状態で押出棒6をハニカムコア穿孔工具1の工具軸方向にスライドさせることができる。
【0026】
(ハニカムコア穿孔方法)
次に、ハニカムコア穿孔工具1を用いたハニカムコアの穿孔方法について説明する。
【0027】
ハニカムコア穿孔工具1を用いてハニカムコアの穿孔を行う場合には、ハニカムコア穿孔工具1が回転機構を有する工具駆動装置に取付けられる。例えば、圧縮空気等で回転駆動する手持ち式の工具駆動装置のホルダでハニカムコア穿孔工具1の回転軸4を保持することができる。そして、工具駆動装置でハニカムコア穿孔工具1を保持して回転させながら刃部2の砥粒2Aをハニカムコアに接触させ、円形の軌道を通って移動する砥粒2Aでハニカムコアを構成する板材を削り取ることによってハニカムコアを円形に切断することができる。
【0028】
工具駆動装置と共にハニカムコア穿孔工具1を工具軸方向に送り込み、刃部2によってハニカムコアが完全に切断されると、円柱状のハニカムコアの端材がボディ3の内部に詰まった状態で、製品又は半製品となるハニカムコアから切り取られる。このため、ハニカムコア穿孔工具1を引き抜くと、ハニカムコアに貫通孔が形成される。すなわち、ハニカムコアの穿孔が完了する。
【0029】
穿孔すべき貫通孔が1つである場合には、ハニカムコアの被穿孔加工品の製造が完了する。但し、次のハニカムコアの穿孔を行うために、ハニカムコアの穿孔後においてボディ3の内部に詰まったハニカムコアの端材をボディ3から排出させることが必要となる。一方、穿孔すべき貫通孔が他に存在する場合においても、ボディ3の内部に詰まったハニカムコアの端材をボディ3から排出させることが必要となる。
【0030】
そこで、ボディ3の貫通孔5を利用して、端材をボディ3の内部から排出させるための力を端材に作用させることによって、ボディ3の内部に詰まった端材が排出される。具体的には、ボディ3の側面に貫通孔5として設けられたスリット5Aに押出棒6が挿入される。そして、挿入した押出棒6で端材をボディ3の開口端側に向かって押し出すことによって、端材をボディ3から排出させることができる。特に、端材は、ハニカムコアであるため、押出棒6で端材を押し潰しながらボディ3からかき出すことができる。
【0031】
このため、穿孔すべき貫通孔が1つである場合には、ハニカムコア穿孔工具1で次のハニカムコアの穿孔を行うことが可能となる。一方、穿孔すべき貫通孔が他に存在する場合には、別の位置における穿孔を行うことが可能となる。そして、ハニカムコアに複数の貫通孔を形成する場合には、ハニカムコア穿孔工具1の回転駆動による穿孔と、ボディ3の内部に詰まった端材の排出とを繰返すことによって、複数の貫通孔が形成されたハニカムコアの被穿孔加工品を製造することができる。
【0032】
(効果)
以上のようなハニカムコア穿孔工具1及びハニカムコア穿孔方法は、円筒状の刃部2を設けたボディ3の側面に、ボディ3の内部に詰まったハニカムコアの端材を押出棒6でかき出すことができるように、貫通孔5としてスリット5Aを設けたものである。
【0033】
このため、ハニカムコアの穿孔後においてボディ3の内部に詰まったハニカムコアの端材を容易に排出することができる。その結果、従来は、コンクリート等の穿孔を想定した円筒状の穿孔工具を用いてハニカムコアの穿孔を行うと、穿孔工具に端材が詰まって取り出すことが困難になることから、円筒状の穿孔工具を用いたハニカムコアの穿孔は困難であると考えられてきたが、円筒状の穿孔工具をハニカムコアの穿孔用に使用することが可能となる。すなわち、ハニカムコアを穿孔するための特殊かつ複雑な構造を有する専用の穿孔工具を開発することなく、円筒状の穿孔工具に簡易な構造を付与することによってハニカムコアの穿孔を行うことが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
(ハニカムコア穿孔工具)
図3は本発明の第2の実施形態に係るハニカムコア穿孔工具の構造を示す部分縦断面図であり、
図4は
図3に示すハニカムコア穿孔工具の左側面図である。
【0035】
図3に示された第2の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1Aでは、ボディ3の内部に詰まったハニカムコアの端材を圧縮空気を用いて排出できるようにした点が第1の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1と相違する。第2の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1Aの他の部分における構成及び作用については第1の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1と実質的に異ならないため同一の部分又は対応する部分については同符号を付して説明を省略する。
【0036】
ハニカムコア穿孔工具1Aのボディ3には、ハニカムコアの端材をボディ3の内部から空気圧によって押し出すための圧縮空気を、ボディ3の内部に注入するための空気供給口5Bが貫通孔5として設けられる。端材をボディ3の内部から開口端側に押し出すためには、ボディ3内に詰まった端材の回転軸4側における空間に圧縮空気を注入することが必要である。そこで、端材の回転軸4側における空間に圧縮空気を注入することが可能となる位置に、空気供給口5Bが設けられる。
【0037】
図示された例では、ボディ3の回転軸4に空気供給口5Bが設けられている。より具体的には、円筒状のボディ3の回転軸4側が円板状のプレートで閉塞されており、円板状のプレートに、回転軸4を兼ねた中空の円筒状の管が空気供給口5Bとして設けられている。従って、ボディ3の開口端側に円柱状のハニカムコアの端材が詰まった場合において端材と回転軸4側における円板状のプレートとの間に生じるボディ3内の空間に、空気供給口5Bから圧縮空気を注入することができる。
【0038】
尚、図示された例に限らず、回転軸4以外の部分に空気供給口を形成してもよい。例えば、ボディ3に対して回転自在にスライドする部品をベアリング等を介して取付け、当該部品に空気供給口を形成するようにしてもよい。但し、図示されるように、ボディ3の回転軸4に空気供給口5Bを形成すれば、ボディ3の構造を極めて簡易にすることができる。
【0039】
空気供給口5Bから圧縮空気を注入すると、少なくとも空気の流れによって端材をボディ3の開口端側に向かって押し出し、端材をボディ3から排出させることができる。特に、穿孔対象となるハニカムコアの少なくとも一方の面が板材で閉塞されている場合には、端材によって気密状態がある程度保たれた状態でボディ3の開口端側が塞がれることになる。
【0040】
図5は、板材で空隙が閉塞されたハニカムコアの端材の構造例を示す正面図であり、
図6は
図5に示す端材の上面図である。
【0041】
穿孔対象となるハニカムコア内の多数の空隙が板材で閉塞されている場合には、端材Wとして残留するハニカムコアも
図5及び
図6に例示されるように板材W1で閉塞される。このため、端材Wとなったハニカムコア内の多数の空隙に、圧縮空気が流れ込むことがない。しかも、ハニカムコアを閉塞する板材W1は、円板状に切り取られた状態でボディ3の内側に詰まることになる。つまり、板材W1を含むハニカムコアの端材Wと、ボディ3との間における隙間もごく僅かとなる。
【0042】
その結果、端材Wと回転軸4側における円板状のプレートとの間に生じるボディ3内の空間に圧縮空気を注入し続けると、空間内における空気圧が次第に増加することとなる。このため、空気鉄砲と同様の原理で、空気圧によって端材Wをボディ3の開口端側に向かって押し出し、端材Wをボディ3から排出させることができる。
【0043】
ハニカムコアが、航空機の翼構造体用等のパネルの部材として用いられる場合には、ハニカムコアの両面が板材で閉塞される場合が多い。すなわち、両面が板材で閉塞された所定の厚さを有するハニカムコアが、航空機用のパネルとして用いられる場合が多い。そのような、少なくとも一方の面が板材で閉塞されたハニカムコアの穿孔を行う場合には、端材Wがボディ3内に気密状態を保った状態で詰まることを利用して、空気圧で端材Wを排出することができる。
【0044】
実際に、両面が板材で閉塞されたハニカムコアパネルを対象としてハニカムコア穿孔工具1Aで穿孔を行い、圧縮空気の供給によって端材Wを確実に排出できるがどうかを確認するための試験を行った。尚、ハニカムコア及びハニカムコアを閉塞する板材の材質として、GFRP及び紙に樹脂を含浸させた複合材を用いた。その結果、ボディ3の外径が数cmから10cm程度のサイズであれば、ハニカムコアの材料である複合材を構成する繊維がガラスであるか紙であるかを問わず、直径3mmから4mm程度の空気供給口5Bから0.1MPaから0.5Mpa程度の圧力を有する圧縮空気を注入することによって端材Wを排出できることが確認された。
【0045】
特に、空気供給口5Bのサイズを大きくして、圧縮空気の供給量を多くすれば、供給すべき圧縮空気の必要な圧力を低減できることも確認された。これは、ボディ3内における密閉空間への圧縮空気の供給量を多くすれば、密閉空間から多少の圧縮空気の漏れがあったとしても、密閉空間内における空気圧を端材Wの排出に必要な圧力まで増加させることができるためであると考えられる。このため、ハニカムコア穿孔工具1Aの寸法の好適化によって、工場等で容易に供給することが可能な実用的な圧力を有する圧縮空気を用いてハニカムコア穿孔工具1Aから端材Wを排出することができる。
【0046】
以上のような構造を有するハニカムコア穿孔工具1Aを用いれば、第1の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1と同様に、ボディ3内に詰まった端材Wを容易に排出することが可能となる。このため、円筒状の穿孔工具を用いたハニカムコアの穿孔が可能となる。加えて、圧縮空気で端材Wを排出するハニカムコア穿孔工具1Aを用いれば、回転機構及び圧縮空気の供給系を備えた任意の装置を用いて、ハニカムコアの穿孔を自動化することも可能となる。
【0047】
(ハニカムコア穿孔機)
次にハニカムコア穿孔工具1Aを用いてハニカムコアの自動穿孔を行うためのハニカムコア穿孔機の一例について説明する。
【0048】
図7は、
図3に示すハニカムコア穿孔工具1Aを取付けたハニカムコア穿孔機10の斜視図であり、
図8は
図7に示すハニカムコア穿孔機10を別の方向から見た斜視図である。
【0049】
図7及び
図8に例示されるように、ハニカムコア穿孔工具1Aを多関節アーム等を備えたロボット11のロボットアーム12で保持することによって、ハニカムコア穿孔機10を構成することができる。より具体的には、回転機構13をロボットアーム12に取付け、回転機構13でハニカムコア穿孔工具1Aを保持することができる。更に、ハニカムコア穿孔工具1Aの空気供給口5Bに圧縮空気を供給する空気供給系14が備えられる。空気供給系14は、工場等に設置される圧縮空気供給タンク15と接続される。
【0050】
ハニカムコア穿孔工具1Aを保持して回転させる回転機構13及び空気供給系14は、図示されるように、共通の筐体16に収納し、ロボットアーム12へのハニカムコア穿孔工具1Aの取付機構17として提供することができる。
【0051】
図9は、
図7に示す取付機構17の詳細構成例を示す縦断面図である。但し、
図9では取付機構17の筐体16が省略されている。
【0052】
図9に例示されるようにモータ17Aの出力軸17Bをハニカムコア穿孔工具1Aの回転軸4と同軸上に設けることによって、コンパクトな回転機構13を構成することができる。或いは、モータ17Aの出力軸17Bをハニカムコア穿孔工具1Aの回転軸4と同軸上に設けずに、モータの出力軸とハニカムコア穿孔工具1Aの回転軸4の間に設けたギア等を介して、モータの動力をハニカムコア穿孔工具1Aの回転軸4に伝達するようにしてもよい。モータ17Aの出力軸17Bには、ホルダ17Cが固定され、ホルダ17Cでハニカムコア穿孔工具1Aの回転軸4を保持することができる。
【0053】
また、モータ17Aの出力軸17Bには、圧縮空気の供給路として貫通孔17Dを形成することができる。モータ17Aの出力軸17Bに形成される貫通孔17Dの一端は、ハニカムコア穿孔工具1Aの空気供給口5Bと連結される。一方、モータ17Aの出力軸17Bに形成される貫通孔17Dの他端は、空隙17Eを介してカプラ17Fと連結される。カプラ17Fは、ホースで圧縮空気供給タンク15と直接又は間接的に接続することができる。これにより、カプラ17Fからモータ17Aの出力軸17Bに形成される貫通孔17Dを経由して圧縮空気をハニカムコア穿孔工具1Aの空気供給口5Bに供給する空気供給系14を形成することができる。
【0054】
回転機構13及び空気供給系14は、上述したように共通の筐体16に収納することができる。換言すれば、回転機構13及び空気供給系14を備えたハニカムコア穿孔工具1Aの取付機構17を製作することができる。
【0055】
ハニカムコア穿孔工具1Aを保持して回転させる回転機構13及びロボットアーム12の駆動軸は、ロボット11の制御装置18によって自動制御することができる。空気供給系14からハニカムコア穿孔工具1Aへの圧縮空気の供給の切換えについては、他の制御装置で制御してもよいし、ロボット11の制御装置18で制御できるようにしてもよい。
【0056】
ロボット11の制御装置18で圧縮空気の供給タイミングを制御できるようにすれば、ハニカムコア穿孔工具1Aを回転させてハニカムコアの穿孔を行った後、速やかに圧縮空気をハニカムコア穿孔工具1Aの空気供給口5Bからボディ3内に供給してハニカムコアの端材Wをボディ3から排出する制御が容易となる。もちろん、他の制御装置で圧縮空気の供給タイミングを制御する場合においても、ロボット11の制御装置18との間で同期処理を行うことができる。
【0057】
ハニカムコア穿孔機10でハニカムコアの穿孔を行う場合には、予めロボットアーム12に設けられた回転機構13に取付けたホルダ17Cでハニカムコア穿孔工具1Aの回転軸4が保持される。そして、制御装置18による制御下における回転機構13の駆動によってハニカムコア穿孔工具1Aが回転する。
【0058】
続いて、制御装置18による制御によってロボットアーム12の駆動軸が駆動し、ハニカムコア穿孔工具1Aの位置決めが行われる。すなわち、ハニカムコア穿孔工具1Aが、ハニカムコアの穿孔位置に位置決めされる。ハニカムコア穿孔工具1Aの位置決めが完了すると、ロボットアーム12の駆動によってハニカムコア穿孔工具1Aが工具軸方向、すなわち穿孔方向に送り出される。尚、ハニカムコア穿孔工具1Aを工具軸方向に送り出すための送り機構を取付機構17に設けてもよい。その場合には、送り機構の駆動によってハニカムコア穿孔工具1Aが穿孔方向に送り出される。
【0059】
そして、ハニカムコア穿孔工具1Aの刃部2がハニカムコアに接触すると、ハニカムコアの切断による穿孔が開始される。更に、ハニカムコア穿孔工具1Aがハニカムコアの厚さに相当する距離だけ工具軸方向に送り出されると、ハニカムコアが円形に切断され、ハニカムコアに貫通孔を形成することができる。すなわち、ハニカムコアを穿孔することができる。
【0060】
ハニカムコアが円形に切断されると、円柱状の端材Wがハニカムコア穿孔工具1Aのボディ3内に残存することになる。そこで、ロボットアーム12に設けられた圧縮空気の供給経路を介して圧縮空気がハニカムコア穿孔工具1Aの空気供給口5Bから端材Wの回転軸4側におけるボディ3内の空間に注入される。そうすると、空間内における空気圧が上昇し、端材Wをボディ3内から押し出すことができる。
【0061】
端材Wがボディ3内から押し出されると、ハニカムコア穿孔工具1Aを用いて次の穿孔を行うことができる。例えば、ロボットアーム12の駆動によって同一のハニカムコアの他の穿孔位置にハニカムコア穿孔工具1Aを位置決めし、ハニカムコア穿孔工具1Aを用いた穿孔を行うことができる。或いは、別のハニカムコアを対象としてハニカムコア穿孔工具1Aを用いた穿孔を行うこともできる。
【0062】
(効果)
以上のような第2の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1Aは、ハニカムコアの穿孔後においてボディ3内に詰まる端材Wを圧縮空気で排出できるようにしたものである。一方、ハニカムコア穿孔機10は、ハニカムコア穿孔工具1Aを用いたハニカムコアの穿孔及び圧縮空気を利用した端材Wの排出を自動で行えるようにしたものである。
【0063】
このため、ハニカムコア穿孔工具1Aによれば、ボディ3内に詰まった端材Wを自動で除去することが可能となる。その結果、ロボット11を利用したハニカムコア穿孔機10に例示されるように、ハニカムコアの穿孔及び端材Wの双方を自動化することができる。また、ロボット11を利用したハニカムコア穿孔機10に限らず、マシニングセンタ、フライス盤或いはボール盤等の工作機械の主軸にハニカムコア穿孔工具1Aを取付け、圧縮空気を供給できるようにしてもよい。
【0064】
このため、作業者の手作業による端材Wの排出作業が不要となる。また、端材Wを自動で排出できるため連続的にハニカムコアの穿孔を行うことが可能である。加えて、空気供給口5B等のハニカムコア穿孔工具1Aのサイズを適切に決定することにより、工場等で容易に調達することが可能な、現実的な圧力を有する圧縮空気を用いた端材Wの排出が可能となる。
【0065】
尚、円筒状の穿孔工具内に詰まったハニカムコアの端材を自動で排出できるようにする方法としては、様々な方法が考えられる。具体例として、円筒状の穿孔工具内にスプリングを設け、スプリングで端材を押し出す方法が考えられる。しかしながら、ハニカムコアの材料が複合材である場合には、複合材の機械的特性に合わせてコンクリート等を穿孔する場合に比べて円筒状の穿孔工具を高速回転させることが必要となる。その結果、複合材が穿孔対象である場合には、スプリングに過大な負荷がかかりスプリングが破損する場合がある。このため、内部にスプリングを設けた円筒状の穿孔工具では、複合材で構成されるハニカムコアの穿孔が困難となる。
【0066】
別の方法として、ファンで空気の流れを形成する方法が考えられる。そこで、プロペラ型のファンをホルダ側に設けて工具軸方向に空気を送り込むことができるようにした円筒状の穿孔工具を試作し、ハニカムコアの端材が排出できるか試験を行った。また、シロッコファンを設け、回転面から空気を取り込んで空気の流れを形成できるようにした円筒状の穿孔工具も試作し、ハニカムコアの端材が排出できるか試験を行った。その結果、プロペラファンやシロッコファン等のファンによる空気の圧送では、塵のような切粉であれば排出できるものの、圧縮力を受けて詰まる円柱状のハニカムコアの端材を排出することはできないことが確認された。
【0067】
これに対して、上述したように、特に空隙が板材で閉塞されたハニカムコアが穿孔対象である場合には、圧縮空気の供給による空気圧の上昇によって、ハニカムコアの端材Wをより確実に排出できることが確認された。
【0068】
(第3の実施形態)
図10は本発明の第3の実施形態に係るハニカムコア穿孔工具の構造を示す部分拡大縦断面図であり、
図11は
図10に示すハニカムコア穿孔工具の構造を説明するために比較される部分拡大縦断面図である。
【0069】
図10に示された第3の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1Bでは、砥粒2Aを固着することによってボディ3の端部に形成される刃部2の構造が第1の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1及び第2の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1Aと相違する。第3の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1Aの他の部分における構成及び作用については第1の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1及び第2の実施形態におけるハニカムコア穿孔工具1Bと実質的に異ならないため刃部2の構造のみ図示し、同一の部分又は対応する部分については同符号を付して説明を省略する。
【0070】
図11に示すように、板厚が一定のボディ3の端部に砥粒2Aを固着することによって刃部2を形成すると、ボディ3の内面側には、砥粒2Aの厚みに相当する僅かな段差が生じることになる。砥粒2Aの固着による段差は、ハニカムコアの端材Wのスムーズな排出の妨げとなる恐れがある。
【0071】
そこで、
図10に示すように、ボディ3の開口端側における厚みを薄くすることによって開口端側における内面に段差を設け、段差に砥粒2Aを固着させることによって、砥粒2Aがボディ3の内面側において突出しないようにすることができる。すなわち、砥粒2Aの厚みに相当する段差がボディ3の内面側において低減されるように、ボディ3及び刃部2の構造を設計することができる。
【0072】
これにより、砥粒2Aを固着させた刃部2の部分における内径が、砥粒2Aが固着されていないボディ3の部分、つまり刃部2に隣接する部分における内径と同等となり、ハニカムコアの端材Wをボディ3からよりスムーズに排出することが可能となる。
【0073】
実際に、刃部2を形成する部分におけるボディ3の厚さを、刃部2に隣接する部分における厚さよりも薄くすることによって、砥粒2Aの突出を低減させたハニカムコア穿孔工具1Bを製作した。そして、両面が板材W1で閉塞されたハニカムコアパネルを穿孔対象として、圧縮空気による端材Wの排出が容易となる効果が得られるか否かの試験を行った。その結果、ボディ3の開口端側における厚みを減肉して段差が生じないように刃部2を形成すると、ボディ3の開口端側における厚みを一定とする場合に比べて、端材Wを排出するために必要な圧縮空気の圧力を飛躍的に低減できることが確認された。
【0074】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【0075】
例えば、第1の実施形態と第2の実施形態を組合わせることもできる。すなわち、圧縮空気を供給するための空気供給口5Bと、押出棒6を挿入するためのスリット5A等の貫通孔5の双方を、圧縮空気が押出棒6を挿入するための貫通孔5から漏れ出さないようにボディ3の適切な位置に設けることができる。そして、押出棒6を用いた端材Wの排出及び圧縮空気による端材Wの排出のいずれも実施できるようにハニカムコア穿孔工具を構成することができる。また、圧縮空気を利用して端材Wを排出する場合において、端材Wの排出を自動化せずに、作業者が圧縮空気の供給ホース等をハニカムコア穿孔工具に連結して手作業で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1、1A、1B ハニカムコア穿孔工具
2 刃部
2A 砥粒
3 ボディ
4 回転軸
5 貫通孔
5A スリット
5B 空気供給口
6 押出棒
10 ハニカムコア穿孔機
11 ロボット
12 ロボットアーム
13 回転機構
14 空気供給系
15 圧縮空気供給タンク
16 筐体
17 取付機構
17A モータ
17B 出力軸
17C ホルダ
17D 貫通孔
17E 空隙
17F カプラ
18 制御装置
W 端材
W1 板材