(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】組み合わされた作業プラットフォーム/システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20220125BHJP
B66F 9/06 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B66F9/24 H
B66F9/06 L
(21)【出願番号】P 2018179788
(22)【出願日】2018-09-26
(62)【分割の表示】P 2016224158の分割
【原出願日】2016-11-17
【審査請求日】2019-09-19
(32)【優先日】2015-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597011614
【氏名又は名称】ジェイエルジー インダストリーズ インク.
【氏名又は名称原語表記】JLG INDUSTRIES INC.
【住所又は居所原語表記】1 JLG Drive, McConnellsburg, PA, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ダブリュ. ロンバルド
(72)【発明者】
【氏名】イグナシー プシュキェヴィッチ
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-010588(JP,A)
【文献】特公平07-049360(JP,B2)
【文献】特開平01-285591(JP,A)
【文献】特表2013-545693(JP,A)
【文献】特開2013-052948(JP,A)
【文献】特開2013-010589(JP,A)
【文献】実開平04-116282(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
B66F 9/06
B66F 11/04
B66C 23/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わされた作業プラットフォーム/システムであって、前記作業プラットフォームは前記作業プラットフォームの位置を制御する操作部品を備えた制御パネルを有する作業プラットフォームである組み合わされた作業プラットフォーム/システムであって、
前記作業プラットフォームの近傍に搭載され、操作者領域、前記作業プラットフォーム、及び前記作業プラットフォームの周囲の領域
の少なくとも一つをモニターするセンサと、
前記センサからの信号を受信し、該信号を処理して、前記作業プラットフォーム上の操作者の位置及び前記作業プラットフォームの周囲の前記領域内における物体の近接
の少なくとも一方を決定するプロセッサと、
前記プロセッサ及び前記操作部品と通信し、前記プロセッサとの通信に基づいて前記制御パネルからの制御信号を修正する制御モジュールとを備え
、
前記操作者が前記制御パネル上に身を乗り出していると前記プロセッサが決定した時に、前記制御モジュールが、前記作業プラットフォームの実行中の機能を停止して、前記作業プラットフォームの移動を引き起こす前記作業プラットフォームの更なる操作を妨げ
、
前記操作者が前記制御パネル上に所定時間のあいだ身を乗り出していると前記プロセッサが決定した時に、前記制御モジュールが、前記作業プラットフォームの最後に操作された機能を反転する組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項2】
前記制御モジュールは、前記作業プラットフォームの速度を検出し、
前記プロセッサは、前記作業プラットフォームの前記領域内の前記物体の1つへと向かう前記作業プラットフォームの速度に関する前記センサからの信号を処理し、
前記制御モジュールは、前記作業プラットフォームが前記作業プラットフォームの前記領域内の前記物体の前記1つに接近する速度に対して所定の割合で、実行中の機能を遅くする請求項1に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項3】
更に、前記制御モジュールに連結されたオーバーライドスイッチを備え、
前記制御モジュールは、前記オーバーライドスイッチの作動に基づいて、前記作業プラットフォームのクリープ速度での操作を許可する請求項1又は2に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記操作者が存在して適切な操作位置にいると決定し、且つ前記作業プラットフォームの周囲の前記領域に物体が存在しないと決定した時に、前記制御モジュールが、前記作業プラットフォームの通常操作を許可する請求項1~
3のいずれか一項に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項5】
前記センサは、前記作業プラットフォームの周囲の前記領域を警告ゾーンと、前記警告ゾーンよりも前記作業プラットフォームに近い危険ゾーンとに区別するように構成されており、
前記プロセッサが、前記警告ゾーンに物体が存在すると決定し、
前記制御モジュールは、前記警告ゾーンに前記物体が存在するとの前記決定に基づいて、前記作業プラットフォームのクリープ速度での操作を許可する請求項1~
4のいずれか一項に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記危険ゾーンに物体が存在すると決定し、
前記制御モジュールは、前記危険ゾーンに前記物体が存在するとの前記決定に基づいて、前記作業プラットフォームの実行中の機能を停止して、前記作業プラットフォームの移動を引き起こす前記作業プラットフォームの更なる操作を妨げる請求項
5に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項7】
更に、前記制御モジュールに連結されたオーバーライドスイッチを備え、
前記制御モジュールは、前記オーバーライドスイッチの作動に基づいて、前記作業プラットフォームのクリープ速度での操作を許可する請求項
6に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項8】
前記センサが、前記作業プラットフォームの操作の特徴に基いて、前記警告ゾーン及び前記危険ゾーンの少なくとも一方の深さを調整するように構成されている請求項
5~7のいずれか一項に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項9】
前記操作の特徴は、前記作業プラットフォーム上の操作者の人数、前記作業プラットフォームが移動している方向、及び前記作業プラットフォームの速度を含む請求項
8に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項10】
前記制御モジュールは、前記作業プラットフォームの前記領域内の前記物体の1つへの近接に基づいて、指令された操作速度を低減する請求項1~
9のいずれか一項に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項11】
前記センサは、前記作業プラットフォームの近傍に固定された複数の検知素子を備える請求項1~
10のいずれか一項に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項12】
前記作業プラットフォームはプラットフォーム手摺りを備え、前記センサが該プラットフォーム手摺りに搭載されている請求項1~
11のいずれか一項に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項13】
前記センサは、光学センサ、レーダーセンサ、及び音響センサのうちの1つを含む請求項1~
12のいずれか一項に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項14】
更に、前記センサが取り付けられる操縦用の装置を備える請求項1~
13のいずれか一項に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項15】
前記操縦用の装置は、パン且つ/又はチルト機構を備える請求項
14に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項16】
前記操縦用の装置は、前記センサの視野を移動又は回転させるミラーを備える請求項
14に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項17】
前記センサは、前記プラットフォームの前方に搭載されて前記プラットフォームの後方の領域をモニターする請求項1~
16のいずれか一項に記載の組み合わされた作業プラットフォーム/システム。
【請求項18】
空中作業用のプラットフォームであって、
前記プラットフォームを操作するための操作者制御部を含む制御パネルと、
前記操作者制御部と通信し、前記制御パネルからの信号に基づいて前記プラットフォームの操作を制御する制御モジュールと、
障害物検知システムとを備え、
該障害物検知システムは、
前記プラットフォームの近傍に搭載され、操作者領域、前記プラットフォーム、及び前記プラットフォームの周囲の領域
の少なくとも一つをモニターするセンサと、
前記センサからの信号を受信し、該信号を処理して、前記プラットフォーム上の操作者の位置及び前記プラットフォームの周囲の前記領域内における物体の近接
の少なくとも一方を決定するプロセッサとを備え、
前記制御モジュールは、前記プロセッサと通信し、前記プロセッサとの通信に基づいて、前記操作者制御部からの制御信号を修正し、
前記操作者が前記制御パネル上に身を乗り出していると前記プロセッサが決定した時に、前記制御モジュールが、前記プラットフォームの実行中の機能を停止して、前記プラットフォームの移動を引き起こす前記プラットフォームの更なる操作を妨げ
、
前記操作者が前記制御パネル上に所定時間のあいだ身を乗り出していると前記プロセッサが決定した時に、前記制御モジュールが、前記プラットフォームの最後に操作された機能を反転する空中作業用のプラットフォーム。
【請求項19】
前記センサは、前記プラットフォームの周囲の前記領域を警告ゾーンと、前記警告ゾーンよりも前記プラットフォームに近い危険ゾーンとに区別するように構成されており、前記制御モジュールは、前記警告ゾーン又は前記危険ゾーンに物体が検出されるか否かに応じて前記プラットフォームの操作に異なる制御を加える請求項
18に記載の空中作業用のプラットフォーム。
【請求項20】
前記制御モジュールは、前記操作者が存在しておらず又は前記操作者が適切な操作位置に存在しておらず且つ前記危険ゾーンに物体が検出された場合に前記プラットフォームの操作を妨げ、前記警告ゾーンに物体が検出された場合にクリープ速度での前記プラットフォームの操作を許可し、前記警告ゾーン及び前記危険ゾーンに物体が何も検出されず且つ前記操作者が存在して前記適切な操作位置にいる場合に前記プラットフォームの通常操作を許可する請求項
19に記載の空中作業用のプラットフォーム。
【請求項21】
前記センサは、前記プラットフォームの近傍に固定された複数の検知素子を備える請求項
18~20のいずれか一項に記載の空中作業用のプラットフォーム。
【請求項22】
前記センサは、前記プラットフォームの前方に搭載されて前記プラットフォームの後方の領域をモニターする請求項
18~21のいずれか一項に記載の空中作業用プラットフォーム。
【請求項23】
空中作業用のプラットフォームであって、該プラットフォームを操作するための制御パネルを含むプラットフォームを制御する方法であって、
(a)前記プラットフォームの近傍に搭載されたセンサで、操作者領域、前記プラットフォーム、及び前記プラットフォームの周囲の領域
の少なくとも一つをモニターすることと、
(b)前記センサからの信号を受信するプロセッサで、前記プラットフォーム上の操作者の位置、及び前記プラットフォームの周囲の前記領域における物体の近接
の少なくとも一方を検出することと、
(c)前記プロセッサとの通信及び工程(b)での前記検出に基づいて、制御モジュールで、前記制御パネルからの制御信号を修正することを含み、
前記操作者が前記制御パネル上に身を乗り出していると前記プロセッサが決定した時に、前記制御モジュールが、前記プラットフォームの実行中の機能を停止して、前記プラットフォームの移動を引き起こす前記プラットフォームの更なる操作を妨げ
、
工程(b)は、前記操作者が所定の時間の間、前記制御パネル上に身を乗り出しているか否かを決定するために実行され、
工程(c)では、前記所定の時間の間、前記プラットフォームの操作を妨げ、前記所定の時間の後に、前記プラットフォームの最後に操作された機能を反転する、方法。
【請求項24】
工程(c)では、前記操作者が存在していない又は前記操作者が適切な操作位置に存在していない場合に、前記プラットフォームの操作を妨げる請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記プラットフォームの周囲の前記領域は、警告ゾーンと、前記警告ゾーンよりも前記プラットフォームに近い危険ゾーンとを含み、
工程(c)では、前記警告ゾーンに物体が検出された場合にクリープ速度での前記プラットフォームの操作を許可し、前記危険ゾーンに物体が検出された場合に前記プラットフォームの操作を妨げる請求項
23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記センサは、前記プラットフォームの前方に搭載されており、
前記センサで前記プラットフォームの周囲の領域をモニターすることは、前記センサで前記プラットフォームの後方の領域をモニターすることを含む請求項
23~25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照情報:本願は、2010年12月20日に出願された米国仮特許出願第61/424,888号及び2011年1月24日に出願された米国仮特許出願第61/435,558号の優先権を主張して2011年12月20日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/066122号の米国国内移行段階である2013年5月16日に出願された係属中の米国特許出願第13/885,720号の一部継続出願であり、上記それぞれの開示全体を援用してここに組み入れる。
【0002】
本発明は、組み合わされた作業プラットフォーム/システムに関し、より具体的には、組み合わされた、作業プラットフォームと、障害物又は構造物に衝突する可能性を低減するための障害物検知システムに関する。
【背景技術】
【0003】
空中作業プラットフォームを備えたリフト車両、作業プラットフォームアタッチメントを備えた不整地用伸縮式フォークリフトのようなテレハンドラ、及びトラックに設置された空中リフトが知られており、これらは通常は、地面に対して異なる角度で位置付けられ得る伸長可能でフレキシブルな構造のブーム(腕)と、ブームの端部の作業プラットフォームとを備えている。プラットフォーム上に又はプラットフォームに近接(隣接)して、通常は、コントロールコンソールが設けてあり、このコントロールコンソールは、ブームの角度、ブームの伸長、垂直軸を中心とするブーム及び/又はプラットフォームの回転、エンジン又はその他の種類の動力源といった働き(機能)を制御するために操作者が操作することのできる様々な制御エレメントを備えている。また、このコントロールコンソールには、リフト車両が自走式である場合は、ステアリング、並びに走行速度、走行方向及びブレーキの制御も設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中でも、プラットフォームと、操作者の頭上又は後方に位置し得る構造物との間に操作者がいる場合に、作業プラットフォームを備えたリフト車両に安全性の問題が生じ得る。また、プラットフォームの周辺の物体、例えば、ガラス面、航空機構造物、及びその他一層壊れやすい又は傷つきやすい構造物との衝突を避けるのも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プラットフォーム、プラットフォームの周囲の領域、及び操作者を観察(監視、観測)するために、空中作業用のプラットフォームにカメラセンサなどを搭載してもよい。システムはセンサからのデータを処理して、操作者が存在するか否か及び操作者が適切な操作位置にいるか否かを決定し、また、プラットフォームの上方、後方、両側方、及び下方での物体の近接(接近)を決定(測定)してもよい。制御モジュールがセンサからのデータに基いて、プラットフォームの操作(operation)且つ/又は取扱い(manipulation)を許可してよく、変更(修正)してよく、又は妨げて(阻止して、防止して)よい。
【0006】
ある例示的な実施形態では、作業用プラットフォームが障害物を検出するためのシステムと組み合わされている。この作業用プラットフォームは、該作業用プラットフォームの位置を制御する操作部品を有する制御パネルを有している。組み合わされた作業用プラットフォーム/システムは、作業プラットフォームの近傍に搭載され、操作者領域、作業プラットフォーム、及び作業プラットフォームの周囲の領域のうちの少なくとも1つをモニターするセンサと、センサからの信号を受信し、信号を処理して、作業プラットフォーム上の操作者の位置及び作業プラットフォームの周囲の領域内における物体の近接の少なくとも一方を決定するプロセッサとを備えている。プロセッサ及び操作部品と通信する制御モジュールは、プロセッサとの通信に基いて、制御パネルからの制御信号を修正する。
【0007】
プロセッサは操作者が存在していない又は操作者が適切な操作位置に存在していないと決定してよく、制御モジュールは、この時に、作業プラットフォームの移動を引き起こす作業プラットフォームの操作を妨げてもよい(妨げるようプログラムされてもよい)。オーバーライドスイッチを制御モジュールに連結してもよく、その場合、制御モジュールは、オーバーライドスイッチの作動に基づいて、非常にゆっくりとした速度、すなわちクリープ速度での作業プラットフォームの操作を許可してもよい(許可するようプログラムされてもよい)。操作者が制御パネル上に身を乗り出しているとプロセッサが決定してもよく、制御モジュールは、この時に、実行中の機能を停止して、作業プラットフォームの移動を引き起こす作業プラットフォームの更なる操作を妨げてもよい(妨げるようにプログラムされてもよい)。操作者が所定の時間の間、制御パネル上に身を乗り出しているとプロセッサが決定してもよく、制御モジュールは、この時に、作業プラットフォームの最後に操作された機能を反転させてもよい(反転させるようプログラムされてもよい)。プロセッサが、操作者が存在して適切な操作位置にいると決定し、且つ作業プラットフォームの周囲の領域に物体が存在しないと決定してよく、制御モジュールは、この時に、作業プラットフォームの通常操作を許可してよい(許可するようプログラムされてよい)。
【0008】
一実施形態では、センサは、プラットフォームの周囲の領域を警告ゾーンと、警告ゾーンよりも作業プラットフォームに近い危険ゾーンとに区別するように構成(プログラム)されてもよい。プロセッサが、物体が警告ゾーン内に存在すると決定してもよく、制御モジュールが、物体が警告ゾーン内に存在するとの決定に基づいて、クリープ速度での作業プラットフォームの操作を許可してもよい(許可するようにプログラムされてもよい)。プロセッサが、物体が危険ゾーン内に存在すると決定してもよく、制御モジュールが、物体が危険ゾーン内に存在するとの決定に基いて、作業プラットフォームの操作を妨げてもよい(妨げるようにプログラムされてもよい)。センサは、プラットフォームの操作特徴に基づいて、警告ゾーンと危険ゾーンのうちの少なくとも一方の深さを調整するように構成されてもよい。例示的な操作特徴は、作業プラットフォーム上の操作者の人数、作業プラットフォームが移動している方向、及びプラットフォームの速度を含み得る。制御モジュールは作業プラットフォームの速度を検出してもよく、プロセッサは、作業プラットフォームの領域内の物体の1つへと向かう作業プラットフォームの速度に関するセンサからの信号を処理してもよい(処理するようにプログラムされてもよい)。これに関連して、制御モジュールは、作業プラットフォームが作業プラットフォームの領域内の物体の1つに接近する速度に対して所定の割合で、実行中の機能を遅くしてもよい(遅くするようプログラムされてもよい)。制御モジュールは、作業プラットフォームの領域内の物体の1つへの近接に基いて、指令された操作速度を低減してもよい(低減するようにプログラムされてもよい)。
【0009】
センサは、作業プラットフォームの近傍に固定された複数の検知素子を含んでもよい。ある構成では作業プラットフォームはプラットフォーム手摺りを備えてもよく、このプラットフォーム手摺り上にセンサが搭載される。センサは、光センサ(光学センサ)、レーダーセンサ、及び音響センサの1つであり得る。センサは、パン且つ/又はチルト機構、あるいはセンサの視野を移動又は回転させるミラーなどの操縦用の装置に取り付けられてもよい。
【0010】
別の例示的な実施形態では、空中作業用のプラットフォームは、プラットフォームを操作するための操作者制御部を含む制御パネルと、操作者制御部と通信し、制御パネルからの信号に基づいてプラットフォームの操作を制御する制御モジュールと、障害物検知システムとを備えている。障害物検知システムは、プラットフォームの近傍に搭載され、操作者領域、プラットフォーム、及びプラットフォームの周囲の領域をモニターするセンサと、センサからの信号を受信し、その信号を処理してプラットフォーム上の操作者の位置、及びプラットフォームの周囲の領域におけるの物体の近接を決定するプロセッサとを備えている。制御モジュールは、プロセッサと通信し、プロセッサとの通信に基づいて操作者制御部からの制御信号を修正する(修正するようにプログラムされている)。
【0011】
更に別の例示的な実施形態では、空中作業用のプラットフォームであって、該プラットフォームを操作するための制御パネルを含むプラットフォームを制御する方法は、(a)プラットフォームの近傍に搭載されたセンサで、操作者領域、プラットフォーム、及びプラットフォームの周囲の領域をモニターする工程、(b)センサからの信号を受信するプロセッサで、プラットフォーム上の操作者の位置、及びプラットフォームの周囲の領域における物体の近接を検出する工程、並びに(c)プロセッサとの通信及び工程(b)での検出に基づき、制御モジュールで、制御パネルからの制御信号を修正する工程を含む。工程(c)では、操作者が存在していない又は操作者が適切な操作位置に存在していない場合に、プラットフォームの操作を妨げてよい。工程(b)は、操作者が所定の時間の間、制御パネル上に身を乗り出しているか否かを決定するために実行されてよく、工程(c)では、前記所定の時間の間、プラットフォームの操作を妨げ、前記所定の時間の後に、プラットフォームの最後に操作された機能を反転してよい。工程(c)では、物体が警告ゾーン内で検出された場合にクリープ速度でのプラットフォームの操作を許可してもよく、物体が危険ゾーン内で検出された場合にプラットフォームの操作を妨げてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
これらの態様及びその他の態様及び利点を、添付された以下の図面を参照しながら詳細に記載する。
【0013】
【
図1】
図1は、作業用プラットフォームを含む例示的な空中リフト車両である。
【
図2】
図2は、本発明の好ましい実施形態に係る作業プラットフォーム及び障害物検知システムの斜視図である。
【
図3-16】
図3から
図16は、プラットフォーム、及びセンサによってモニターされる非適応領域及び適応領域を示す。
【
図17-21】
図17から
図21は、センサユニット用の例示的なパン/チルト機構及び機能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、複数の車輪4上に支持された車両シャーシ(シャーシ)2を含む例示的で一般的な空中リフト車両を示す。示されている車両は伸縮式ブームを備えているが、本発明は、例えば、伸縮式の又は伸長可能なブームを有さない多関節型ブームを備えた他の車両にも等しく適用することができる。ターンテーブル及びカウンタウェイト(釣合おもり)6は、シャーシ2上で回転するように固定されており、伸長可能な(フレキシブルな構成の)ブーム組立体は、その一端においてターンテーブル6に枢動可能に取り付けられている。プラットフォーム(作業プラットフォーム、空中作業用のプラットフォーム)10は、伸長可能なブーム8の反対側の端部に取り付けられている。例示されたリフト車両は自走式であるため、駆動/制御システム(
図1において要素12として概略的に図示されている)とプラットフォーム10上のコントロールコンソール(制御盤、制御パネル)14を備えている。コントロールコンソール14は、ブームの角度、ブームの伸長、ブーム且つ/又はプラットフォームの垂直軸まわりの回転、エンジン、ステアリング、並びに走行速度、走行方向及びブレーキの制御等といった働き(機能)を制御するために操作者によって操作され得る各種制御エレメント(操作部品、操作者制御部)を備える。
【0015】
図2は、組み合わされた、頭上の障害物を含むプラットフォーム周辺の障害物などの障害を検出するための障害物検知システム(システム)20とプラットフォーム10を示す。センサ(検知素子)22は、プラットフォーム10の近傍に搭載されて、操作者領域、プラットフォーム10、及びプラットフォーム10の周囲の領域のうちの少なくとも1つをモニターする。センサ22は、プラットフォーム10に搭載されたプロセッサ(コンピュータ)24に画素データ(RGB値及びRGBレンジ)で構成されたデータストリームを提供するステレオカメラセンサであってもよい。例示的なステレオカメラセンサは、カーネギーロボティクス(Carnegie Robotics)社から入手できるマルチセンス(MultiSense)S21である。当業者であれば、適切な代替センサを正しく認識するであろうし、本発明は、特定のセンサの種類に限定されることを意図するものではない。
【0016】
障害物検知システム20は複数のセンサ22を含んでもよい。複数のセンサ22は、共に協働して動作可能であり、プラットフォーム10の近傍の様々な領域に搭載される。ある例示的な構造では、プラットフォーム10はプラットフォーム手摺りを備え、センサ22がプラットフォーム手摺り上に搭載される。プラットフォーム10上に搭載することにより、ブーム接合の全範囲にわたってプラットフォーム10の静止画像がもたらされる。複数のセンサは、追加的に又は代替的に、プラットフォーム10からの視界を広くするためにブーム構造体に搭載されてもよく且つ/又は手摺り以外のプラットフォーム支持構造体に搭載されてもよい。例えば、図示されているように、プラットフォーム10に固定された専用のブラケット(張り出し棚)23上にセンサ22を搭載してもよく、あるいはセンサ22をコントロールコンソール14に隣接して固定してもよい。
【0017】
プロセッサ24は、プラットフォーム10上の操作者の位置及びプラットフォーム10の周囲の領域における物体の近接のうち少なくとも1つを決定するために、画素範囲(ピクセルレンジ)データを処理する。コントロールコンソール14の制御モジュール26は、駆動/制御システム12の一部を形成し、プロセッサ24と通信してプロセッサ24からの信号に基いてプラットフォーム10の操作を制御する。いくつかの構成では、制御モジュール26は、機械の全体動作を制御する駆動/制御システム12と通信する。この構成では、制御モジュール26は、ジョイスティック(操作レバー)、スイッチなどのような制御装置から入力を集めて、駆動/制御システム12へ操作者の指令(命令、コマンド)を伝えることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、操作者が不在であるか否か、又は操作者が適切な操作位置にいないか否かを決定し、制御モジュール26は、操作者が不在であるか適切な位置にいない場合にプラットフォーム10の操作を妨げるようにプログラムされている。つまり、操作者が検出されないと、プロセッサ24は、プラットフォーム10の移動若しくは操作を妨げる、又はプラットフォーム10のすべての実行中の機能を停止させるデータメッセージを制御モジュール26に送信する。また、システムはオーバーライドボタン(機能解除ボタン)28を備えてもよく、オーバーライドボタン28が作動されると、プラットフォーム10はクリープ速度(徐行速度、ゆっくりとした速度)で操作され得る。
【0019】
プロセッサ24は、操作者がコントロールコンソール14上に身を乗り出していると決定してもよく、制御モジュール26は、操作者がコントロールコンソール14上に身を乗り出していると決定された場合にプラットフォーム10の操作を妨げるようにプログラムされる。プロセッサ24が、操作者が所定の時間の間、コントロールコンソール14上に身を乗り出していると決定した場合に、制御モジュール26は、プラットフォーム10の最後に操作された機能を反転する(反転するようにプログラムされている)。この例では、システムがアラーム音を鳴らして警告ビーコン(標識)を点灯させてもよい。
【0020】
表示灯29は、操作者にシステムの状況を伝えるために、コントロールコンソール14の周辺においてプラットフォーム手摺りに固定されてもよい。表示灯29の例示的な位置が
図2に示されている。制御モジュール26は、制御モジュール26が何らかの方法で機械制御に影響を及ぼしている場合(例えば、機械が障害物に近づきすぎているとセンサ22が示す場合)に、表示灯29を点灯させてもよい。
【0021】
図3から
図8は、プラットフォーム10の上方、後方、下方、及び両側方における物体の近接を検出する例示的な検知領域を示す。センサ22は、プラットフォーム10の周囲の領域を警告ゾーン(ゾーンA)30と危険ゾーン(ゾーンB及びゾーンC)32とに区別するようにプログラムされている。図示される通り、危険ゾーン32は警告ゾーン30よりもプラットフォーム10に近い。物体が警告ゾーン30内に存在するとプロセッサ24が決定した場合に、制御モジュール26は、プラットフォーム10のクリープ速度での操作を許可する(許可するようにプログラムされている)。物体が危険ゾーン32内に存在するとプロセッサ24が決定した場合に、制御モジュール26は、プラットフォーム10の操作を妨げる(妨げるようにプログラムされている)、即ち、すべての実行中の機能を停止させ、且つ/又は操作の開始若しくは継続を妨げる(ようにプログラムされている)。制御モジュール26がプラットフォーム10の移動を引き起こすプラットフォーム10の操作を妨げる時はいつでも、オーバーライドスイッチ28を作動させることによって、クリープ速度でのプラットフォーム10の操作が許可される。操作者が存在し且つ適切な操作位置におり、プラットフォーム10の周囲の領域に(即ち、禁止ゾーン(警告ゾーン30及び危険ゾーン32)によって定義される近接域に)物体が何もないとプロセッサ24が決定すると、制御モジュール26は、プラットフォーム10の、通常の、制限されない操作を許可する。操作者が不在の場合は、プラットフォーム10を移動させるプラットフォーム10の操作は、オーバーライドスイッチ28でオーバーライド(機能解除)されない限り妨げられる。
【0022】
プロセッサ24は、リアルタイムで障害物の形状と障害物からの距離をとらえるので、認識した障害物に対するプラットフォーム10の移動方向及び移動速度を推定するようにプロセッサ24をプログラムすることができる。プロセッサ24は、障害物が警告ゾーン30の外側にある場合であっても、対処(作動)するようにプログラムすることができる。例えば、プロセッサ24は、潜在的な障害物が存在する方向へと操作者が全速力で機械を駆動させているとプロセッサ24が認識した場合に、駆動/制御システム12に信号を送って駆動などの機械作動を減速させるようプログラムされることができる。別の例として、機械が衝突点に向かって高速で移動しているとプロセッサ24が決定した場合に、ブーム機能(又は駆動機能)を一層強引に減速させることができる。
【0023】
図5から
図8を参照すると、警告ゾーン30と危険ゾーン32は、適応性の領域(アダプティブゾーン)として構成され、周辺環境の状況に基いて、制御モジュール26が警告ゾーン30と危険ゾーン32のそれぞれの大きさと形状を調整することができる。適応性の領域は、とりわけプラットフォーム10内の人の数、又はプラットフォーム10内に存在する人及び器具(工具、機器)の組合せを認識するセンサシステム/コントローラ能力に基いて、制御モジュール26により計算される。
図5~
図8は、制御モジュール26による計算の結果を例示する。
図5及び
図6では、警告ゾーン30及び危険ゾーン32は、一人の特定の操作者に従って適応されている。
図7では、警告ゾーン30及び危険ゾーン32は二人の操作者の存在に従って適応されており、
図8では、警告ゾーン30及び危険ゾーン32はプラットフォーム10上の操作者及び機器に従って適応されている。
【0024】
検出された物体までの距離に基いてプラットフォーム10の速度を低減させるために様々な方法が使用され得る。「速度制限」法では、検出された物体までの距離に基づいて、指令可能な最高速度の上限を設定する(例えば、
図5から
図13参照)。「速度低減」法では、検出された障害物までの距離に基いて、操作者の入力が縮小(スケールダウン)される(例えば、
図14から
図16参照)。これらの2つの方法は、機械の異なる振る舞いをもたらす。
【0025】
ゾーンは、機械が移動する速度と方向に適応されてもよい。ゾーンは、機械が速度閾値より早く移動していると決定された時により深くなるように調整され得る。或いは、ゾーンは、スイング(旋回)又はその他の方向性を有する機能が作動された時に移動の主方向においてより深くされ得る。制御モジュール26は、プラットフォーム10の側面の方向に一層深く達するように、センサ22を調整してもよい。
図9から
図13は、プラットフォーム10の移動速度と移動方向に基づく警告ゾーン30及び/又は危険ゾーン32の深さの変化を示す。より具体的には、
図9は、右に移動しているプラットフォーム10は、右側の警告ゾーン30と危険ゾーン32のそれぞれが増大された深さを有していることを示す。
図10は、下降するプラットフォームは、警告ゾーン30及び/又は危険ゾーン32がプラットフォームの移動方向に沿って増大された深さを有していることを示す。障害検知システム20は、プラットフォーム10の移動速度に基づいて、警告ゾーン30及び危険ゾーン32の深さを調整するようにプログラムされ得る。
図11から
図13は、プラットフォーム10の速度が増大するにつれて比例的に増大された深さを示す。
【0026】
関連して、
図14から
図16に示されるように、適応性の領域は、比例的な減速ゾーンを組み込んでもよい。
図14では、指令された速度が、潜在的な障害物のプラットフォームまでの近接性に応じた割合で低減される。減速ゾーンは不連続な(離散的な)段階として示されているが、これに代えて、減速ゾーンは連続的であってもよい。
図15では、比例的な減速ゾーンが、移動速度と移動方向に適応されたゾーンと組み合わされている。
図15では、プラットフォームは右に移動しており、それに応じてゾーンの深さは修正されている。
図16では、プラットフォームは右に移動しており、60%ゾーンに物体が検出されている。作動速度は、指令速度の60%に減速されている。
【0027】
センサ22とプロセッサ24間の通信は、デジタルパケット(CAN(Controller Area Network、コントローラー・エリア・ネットワーク)バス)、又は離散信号(デジタル若しくはアナログ出力)を介してなされてもよい。環境認識を評価するために必要とされる情報をセンサが提供できるようにする他の形態のデジタル通信が使われてもよい。他の形態の一例は、イーサネット(登録商標)、I2C、RS232/485、デジタルパルス幅変調(PWM)などを含むがそれに限らない。制御モジュール26は、データを解釈して、機械がセンサのデータに反応すべきか否か、及びどのように反応すべきかを決定する。プロセッサ24は、センサ22からの信号に基づいて、ビルトインテスト(BIT)を介してクリーンにされる必要があるか否かを決定することができる。センサ22は、光、レーダー、又は音響(超音波)検出に基づくものであり得る。センサ22は、単一の装置であっても、また同一若しくは相補的技術の複数の装置であってもよい。こうすることで、さまざまな環境条件、センサ上の汚染、及び検出すべき物体に冗長性と許容力が与えられる。センサは、受動的なセンサ(ステレオカメラ、単一カメラ)であっても、また能動的なセンサ(光検出及び測距(LiDAR)、レーザ検出及び測距(LADAR)、立体視センサ)であっても、レーダーであっても、また音響(超音波)であってもよい。任意の適切な種類のセンサを使用してよく、本発明は、記載された例示的な実施形態に限定されることを意図していない。同じ機能を達成する代替のセンサ構成も意図されており、例えば、(電磁波又はその他の信号を介して)放射体に反応するセンサ、(機械上の及び/又は操作者の保護具に組み込まれた)反射型のセンサなどを含む。
【0028】
図17から
図21を参照すると、センサ22(カメラ、LiDAR、RADARなど)は、適切なパン/チルト機構34(例示的なパン/チルト機構は、カーネギーロボティクス社から入手可能なマルチセンスS21である)を用いてセンサ全体を機械的に回転(パン/チルト)させることにより、又は多角形反射器36、単一反射器38、一対の反射器40(カメラ及びLiDAR用の光学ミラー、レーダー及び音響用の金属板)などを介して視野を機械的に移動/回転させることにより操縦することができる。操縦用の装置は、プロセッサ24、制御モジュール26、センサ22のいずれかにより制御することもできるし、又は操縦用の装置内で自己完結型であってもよい。センサ又はセンサ視野を操縦すると、各センサがプラットフォーム且つ/又はブーム構造体の周りの一層広い周辺領域を対象とすることができる。
【0029】
プラットフォーム及び障害物検知システムは、移動しているプラットフォームと、プラットフォームの近傍の障害物との衝突を避けるように努める。好ましい実施形態に係る先手型システム(プロアクティブシステム)は、障害物が操作者及び/又はプラットフォーム構造体と接触した後に調整を行う後手型システム(リアクティブシステム)と比べ、有利である。
【0030】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものについて記載されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、それとは反対に、添付の請求項の趣旨と範囲内に含まれる多様な改変及び同等の構成を対象とすることを意図している。