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特許7014721インビボでの核酸発現のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】インビボでの核酸発現のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20220125BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 9/133 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20220125BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61K9/127
A61K9/133
A61K31/573
A61K47/06
C12N15/85 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018534461
(86)(22)【出願日】2016-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 US2016052205
(87)【国際公開番号】W WO2017049132
(87)【国際公開日】2017-03-23
【審査請求日】2019-08-29
(31)【優先権主張番号】62/220,646
(32)【優先日】2015-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518094418
【氏名又は名称】ディーエヌエーアールエックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】デビス,ロバート ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ヒース,ティモシー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ハンダムロンクル,チャクラポン
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-524473(JP,A)
【文献】Biochimica et Biophysica Acta, 1998, Vol.1372, pp.141-150
【文献】The Journal of gene medicine, 2004, Vol.6, pp.85-92
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
A61K 9/127
A61K 9/133
A61K 31/573
A61K 47/06
C12N 15/85
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子を発現させるためのシステムを製造する方法における、第1の組成物および第2の組成物の使用であって
前記対象は、疾患または病態の少なくとも1つの症状を有するか、または少なくとも変化する生理学的形質を有し、
前記第1の組成物は、前記対象への投与用であり、かつ前記第2の組成物は、前記第1の組成物の投与の300分以内における前記対象への投与用であり、
前記第1の組成物は
i)カチオン性脂質と、デキサメタゾンパルミテート及び/またはデキサメタゾンとを含んでいる、小さな単層状小胞(SUV)であるカチオン性リポソーム、ならびに
ii)多層状小胞(MLV)である中性リポソームを含み、
前記第1の組成物は核酸分子を含んでいないか、実質的に含んでおらず
前記第2の組成物は、治療有効量の発現ベクターを含み、
前記発現ベクターはCpG非含有またはCpGが減少されており、
前記発現ベクターは、それぞれ、i)第1の治療用タンパク質及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子をコードする第1の核酸配列を含み
前記第1の組成物の前記投与及び前記第2の組成物の前記与の結果として、前記第1の治療用タンパク質及び/または前記生物学的に活性な核酸分子は、前記疾患または病態に関して治療レベルで、または前記生理学的形質を変化させるのに十分な有効レベルで、対象において発現されることを含む、使用
【請求項2】
前記カチオン性リポソームが空のリポソームを含み、前記第1の組成物中に存在する前記空のリポソームが約20~85nmのz-平均直径を有する、請求項1に記載の使用
【請求項3】
前記発現ベクターのそれぞれが、それぞれ、前記第1の治療用タンパク質をコードする前記第1の核酸配列及び第2の治療用タンパク質をコードする第2の核酸配列を含む単一の発現カセットのみを含む、請求項1に記載の使用
【請求項4】
前記デキサメタゾンパルミテートが、前記第1の組成物中にあり、前記第1の組成物の2.0%~6.0%がデキサメタゾンパルミテートを含む、請求項1に記載の使用
【請求項5】
前記発現ベクターが非ウイルス性発現ベクターである、請求項1に記載の使用
【請求項6】
前記発現ベクターがそれぞれ調節核酸配列をさらに含み、前記調節核酸配列が、前記調節核酸配列の非存在下で生じる前記第1の核酸配列の発現期間を短縮する、請求項1に記載の使用
【請求項7】
前記調節核酸配列が、プロモーター、エンハンサー、第2のタンパク質をコードする第2の核酸配列、及び/または第2の生物学的に活性な核酸分子からなる群より選択される、請求項6に記載の使用
【請求項8】
a)i)デキサメタゾンパルミテート及び/またはデキサメタゾンとカチオン性脂質とを含んでおり、かつ小さな単層状小胞(SUV)である、第1の量のカチオン性リポソーム;およびii)多層状小胞(MLV)である中性リポソームを含んでおりかつ
核酸分子を含んでいないまたは実質的に含んでいない
第1の組成物;ならびに
b)治療有効量の非ウイルス性発現ベクターを含む第2の組成物であって、
前記非ウイルス性発現ベクターは、CpG非含有またはCpGが減少されており、
前記非ウイルス性発現ベクターのそれぞれは、i)第1の治療用タンパク質及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子をコードする第1の核酸配列を含む第2の組成
含む、システム。
【請求項9】
前記カチオン性リポソームが空のリポソームを含み、前記第1の組成物中に存在する前記空のリポソームが約20~85nmのz-平均直径を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
対象において第1及び第2のタンパク質及び/または第1及び第2の生物学的に活性な核酸分子を発現させるためのシステムを製造する方法における、第1の組成物および第2の組成物の使用であって
前記対象は、疾患または病態の少なくとも1つの症状を有するか、または少なくとも変化する生理学的形質を有し、
前記第1の組成物は、前記対象への投与用であり、かつ前記第2の組成物は、前記第1の組成物の投与の300分以内における前記対象への投与用であり、
前記第1の組成物は
i)カチオン性脂質と、デキサメタゾンパルミテート及び/またはデキサメタゾンとを含んでいる、小さな単層状小胞(SUV)であるカチオン性リポソーム、ならびに
ii)多層状小胞(MLV)である中性リポソームを含み、
前記第1の組成物は核酸分子を含んでいないか、実質的に含んでおらず
前記第2の組成物は、治療有効量の発現ベクターを含み、
前記発現ベクターは非ウイルス性であり、CpG非含有またはCpGが減少されており、
前記発現ベクターは、それぞれ、
i)A)第1のタンパク質及び/またはb)第1の生物学的に活性な核酸分子をコードする第1の発現カセット、及び
ii)A)第2のタンパク質及び/またはB)第2の生物学的に活性な核酸分子をコードする第2の発現カセットを含み
前記第1の組成物の前記投与及び前記第2の組成物の前記与の結果として、前記第1及び第2のタンパク質及び/または前記第1及び第2の生物学的に活性な核酸分子が、前記疾患または病態に関して治療レベルで、または前記生理学的または疾患形質を変化させるのに十分な有効レベルで、前記対象において発現されることを含む、使用
【請求項11】
前記発現ベクターは非ウイルス性発現ベクターを含む、請求項10に記載の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2015年9月18日に出願された米国仮出願第62/220,646号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、対象、ヒトまたは非ヒト哺乳動物における1つ以上のタンパク質または生物学的に活性な核酸分子の発現(例えば、治療効果が生じるために必要とされる長期間の治療レベルで)のための組成物、システム、キット、及び方法を提供する。特定の実施形態では、ポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム、カチオン性ミセル、カチオン性エマルジョン、またはカチオン性ポリマー)を含む第1の組成物、及びi)第1の治療用のタンパク質(複数可)及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子(複数可)を、コードする第1の核酸配列を含む、CpG非含有またはCpGが減少された発現ベクター(例えば、リポソームまたは他のキャリアに関連の無い非ウイルスベクター)を含む第2の組成物を含むシステム及びキットが提供される。他の実施形態において、このような第1及び第2の組成物は、治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子が対象において発現されるように(例えば、疾患または病態が治療されるように、または生理学的もしくは疾患形質が変更されるように、少なくとも5日間または少なくとも50日間、治療的レベルで)、対象に連続的に(例えば、全身的に)投与される。
【背景技術】
【0003】
背景
最も単純な非ウイルス遺伝子送達システムは、裸の発現ベクターDNAを使用する。特定の組織、特に筋肉への遊離DNAの直接注入は、高レベルの遺伝子発現を生じさせることが分かっており、このアプローチの単純さは、多数の臨床プロトコールにおいてその採用につながった。特に、このアプローチは、癌ワクチンとして機能するかもしれない腫瘍抗原を発現させるために、DNAを腫瘍内に直接注入するかまたは筋細胞に注入することが可能な癌の遺伝子治療に適用されてきた。
【0004】
プラスミドDNAの直接注入は遺伝子発現をもたらすことが分かっているが、全体的な発現レベルはウイルスベクターまたはリポソームベクターよりもはるかに低い。裸のDNAはまた、一般に、血清ヌクレアーゼの存在のために、全身投与には不適当であると考えられている。その結果、プラスミドDNAの直接注入は、皮膚及び筋肉細胞のような直接的注入に利用しやすい組織に関連する用途に限定されるようである。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、対象におけるタンパク質(複数可)及び/または生物学的に活性な核酸分子(複数可)の発現(例えば、宿主において治療効果を生じるために必要とされる長期間の治療レベルで)のための組成物、システム、キット、及び方法を提供する。特定の実施形態では、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセル、または空のカチオン性エマルジョン)を含む第1の組成物、及びCpG非含有またはCpGが減少した治療有効量の発現ベクター(複数可)(例えば、リポソームと会合しない非ウイルス発現ベクター)を含む第2の組成物を含み、この発現ベクターが、i)第1の治療用タンパク質(またはマーカータンパク質等の非治療用タンパク質)及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子を、コードする第1の核酸配列を含んでいる、システム及びキットが提供される。特定の実施形態では、発現ベクターは、第2、第3、及び/または第4の治療用または非治療用タンパク質、及び/または第2、第3または第4の生物学的に活性な核酸分子をコードする第2、第3、または第4の核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、第2、第3、第4、第5及び/または第6の治療用タンパク質及び/または第2、第3、第4、第5及び/または第6の生物学的に活性な核酸分子をさらにコードする。他の実施形態において、このような第1及び第2の組成物は、治療用タンパク質(複数可)及び/または生物学的に活性な核酸分子(複数可)が対象において発現されるように(例えば、疾患(複数可)または病態(複数可)が治療されるか、または生理学的形質(複数可)が変更されるように、治療レベルで、少なくとも5または少なくとも50日、または少なくとも100...200...または少なくとも400日)、対象に連続的に投与(例えば、全身的に)される。
【0006】
いくつかの実施形態では、対象(例えばヒトまたは非ヒト哺乳動物)において第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子を発現させる方法であって、a)第1の組成物を対象に投与(例えば、全身的に)することであって、第1の組成物は、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセルまたは空のカチオン性エマルジョン)を含み、第1の組成物は核酸分子を含まないか、実質的に含まず(例えば、核酸が組成物中に検出不能またはほとんど検出できない);そしてb)第2の組成物を対象に投与(例えば、全身的に、経脈管的に、等)する(例えば、第1の組成物を投与する約2...10...50...100...200...300...400分以内に開始する)ことであって、第2の組成物は、ある量の発現ベクター(例えば、リポソームまたは任意の他の任意のキャリアと会合していない非ウイルス発現ベクター)を含み、発現ベクターはCpG非含有またはCpGが減少されており、各発現ベクターは、i)第1、第2、第3、第4、第5及び/または第6の治療用または非治療用タンパク質(複数可)、及び/またはii)第1、第2、第3、第4、第5及び/または第6の生物学的に活性な核酸分子(複数可)をコードする核酸配列(複数可)を含む、方法が本明細書において提供される。特定の実施形態では、第1の組成物の投与及び第2の組成物の投与の結果として、第1の治療用または非治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子は、対象において発現される(例えば、疾患または病態に関して、少なくとも5...50...100...300日、400日以上の治療レベルで、または生理学的または疾患形質を変えるのに十分な有効なレベルで)。特定の実施形態において、第1の組成物中に存在するポリカチオン性構造体(例えば、空のリポソーム)は、約20~85nm(例えば、20...25...30...40...45...50...55...60...65...70...75...80...85nm)のz-平均直径を有する。特定の実施形態では、ポリカチオン性構造体は、約72~76nmのz-平均直径を有する空のリポソームであり、小さな単層状小胞である。
【0007】
いくつかの実施形態では、対象において第1の治療用または非治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子を発現させる方法であって、a)第1の組成物を対象に投与することであって、対象は、疾患または病態の少なくとも1つの症状を有するか、または少なくとも変化する生理学的形質を有し、第1の組成物は、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセル、または空のカチオン性エマルジョン)を含み、及び第1の組成物は核酸分子を含まないかまたは実質的に含まず、及びb)第1の組成物の投与の約100分または約200分...または400分以内に第2の組成物を対象に投与(または投与を開始)することであって、第2の組成物は治療有効量の発現ベクターを含み、発現ベクターは、それぞれ、i)第1の治療用または非治療用タンパク質、及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子をコードする第1の核酸配列を含み、C)第1及び/または第2の組成物中のいずれかの、または第3の組成物中に存在する、デキサメタゾンパルミテート及び/または中性脂質を、対象に投与(例えば、第1の組成物または第2の組成物の投与の100または200...または400分以内)することを含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、第1の組成物の投与、第2の組成物の投与、及びデキサメタゾンパルミテート及び/または中性脂質の投与の結果として、第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子が、疾患または病態に関して治療レベルで、または生理学的または疾患形質を変化させるのに十分な有効レベルで対象において発現される。
【0008】
特定の実施形態において、デキサメタゾンパルミテートは、第1の組成物中にあり、その第1の組成物の2.0%~6.0%(例えば、2.0%...2.5%...3.0%)がデキサメタゾンパルミテートを含む。特定の実施形態では、デキサメタゾンパルミテートは、第1及び/または第2の組成物の投与前に投与される第3の組成物で投与されるか、または第1及び/または第2の組成物の後で投与されるが、100~400分以内に投与される。特定の実施形態では、本方法は、さらに、d)第1及び/または第2及び/または第3の組成物中のいずれかの、または第4の組成物中に存在するデキサメタゾンを対象に投与すること(例えば、第1または第2または第3の組成物の投与前100または300分以内に開始、例えばその投与のいずれかの前または他の投与の後)を含む。特定の実施形態において、第1の組成物中に存在するポリカチオン性構造体(例えば、空のリポソーム)は、約20~85nmのz-平均直径を有する(例えば、20...25...30...40...45...50...55...60...65...70...75...80...85nm)。特定の実施形態では、ポリカチオン性構造体は、約72~76nmのz-平均直径を有する空のリポソームであり、小さな単層状小胞である。いくつかの実施形態では、A)比は10:1~18:1であり、B)第1の組成物の2.0%~6.0%がデキサメタゾンまたはデキサメタゾンパルミテートを含み;及び/またはC)発現ベクターは、それぞれ単一の発現カセットのみを含み(すなわち、他の発現カセットは各ベクター中に存在しない)、発現カセットは、第1の治療用タンパク質をコードする第1の核酸配列及び第2の治療用タンパク質をコードする第2の核酸配列を含み、そして発現カセットは、第1及び第2の核酸配列間の自己切断ペプチド配列(または他の切断配列)をコードする。特定の実施形態では、自己切断ペプチドはFMDV 2Aを含む。特定の実施形態では、第1の治療用タンパク質は、モノクローナル抗体の軽鎖を含み、第2の治療用タンパク質は、上記モノクローナル抗体の重鎖を含む(例えば、対象において発現する場合、軽鎖及び重鎖が結合して、モノクローナル抗体フラグメント(例えば、Fab)またはモノクローナル抗体を形成する)。特定の実施形態では、ポリカチオン性構造体は、空のリポソームを含む。特定の実施形態では、上記第1の組成物中に存在する空のリポソームは、約50~85nmの平均直径を有する。特定の実施形態において、本方法は、さらに、第1及び/または第2の組成物中の、または第3の組成物中に存在する作用物質または追加の調節発現ベクターを投与することを含み、その際、作用物質は、薬剤が対象に投与されていない場合と比較して、治療レベルまたは有効レベルでの発現及び/または治療レベルまたは有効レベルの発現時間長を増加または減少させる(例えば、特定の限定された時間だけ発現する必要のある治療薬の場合)。特定の実施形態において、作用物質は、コルヒチン、デキサメタゾン、デキサメタゾンパルミテート、中性脂質、バルプロ酸、テオフィリン、シルデナフィル、アンレキサノクス、クロロキン、SAHA、及びL-アルギニン+シルデナフィルから選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、発現ベクターはそれぞれ調節核酸配列をさらに含み、この調節核酸配列は、その調節核酸配列の非存在下で生じるであろう第1核酸配列の発現期間を短縮する。他の実施形態では、調節核酸配列は、プロモーター、エンハンサー、第2のタンパク質をコードする第2の核酸配列、及び/または第2の生物学的に活性な核酸分子からなる群より選択される。さらなる実施形態では、第1の組成物中の第1の量のポリカチオン性構造体は、上記第1のタイプのカチオン性リポソームのみまたは上記第2のタイプのカチオン性リポソームのみが上記方法において使用される場合のような発現と比較して、第1の治療用タンパク質及び/または第1の生物学的に活性な核酸分子の発現を減少させる少なくとも第1及び第2の異なるタイプのカチオン性リポソームの混合物を含む。特定の実施形態において、治療用タンパク質は、1ug/ml(例えば、1.1~1.5ug/ml)を超えるレベルで発現され、上記治療用タンパク質は、少なくとも7日間連続して(例えば、少なくとも7...21...50...100...または400日)対象においてそのレベルで発現される。
【0010】
特定の実施形態において、対象において第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子を発現させる方法であって、a)第1の組成物を対象に投与(例えば全身的に)することであって、対象は、疾患または病態の少なくとも1つの症状を有するか、または少なくとも変化する生理学的形質(例えば、造血幹細胞のレベル)を有し、第1の組成物は、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセル、または空のカチオン性エマルジョン)を含み、第1の組成物は核酸分子を含まないかまたは実質的に含まず、;b)第1の組成物の投与の約2...10...25...100...200または400分の範囲内で開始(または完了)される、第2の組成物を対象に投与させることであって、第2の組成物は、治療有効量の発現ベクター(例えば、プラスミド)を含み、発現ベクターはCpG非含有またはCpGが減少されており(例えば、発現ベクターの核酸配列が、ベクター中の配列の野生型バージョンに通常存在するよりも少ないCpGジヌクレオチドを含むように改変されている)、発現ベクターはそれぞれ、i)第1の治療用タンパク質(または第1及び第2の治療用タンパク質、または第1、第2及び第3の治療用タンパク質など)及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子(または第1及び第2またはそれ以上の生物学的に活性な核酸酸分子)をコードする核酸配列(複数可)を含み、そして第1の組成物の投与及び第2の組成物の投与の結果として、及び第1及び第2の組成物の投与の結果として、治療用タンパク質(複数可)及び/または生物学的に活性な核酸分子(複数可)は、疾患または病態に関して治療レベルで、または生理学的または疾患形質を変化させるのに十分な有効なレベルで対象において発現される、方法が、本明細書で提供される。
【0011】
特定の実施形態では、発現ベクターは、第2の組成物中において、ポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセル、または空のカチオン性エマルジョン)または他の分子と会合していない(そして第2組成物中に存在する検出可能なポリカチオン構造はない)。他の実施形態では、発現ベクターは、裸の非ウイルス性の発現ベクター(例えば、プラスミド)である。特定の実施形態では、発現ベクターは、ウイルス発現ベクター(例えば、アデノ随伴ウイルスベクターまたはアデノウイルスベクターまたは合成mRNA、miRNA、リボザイムまたはshRNA核酸ベクター)である。特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、全身、局所、経皮、皮内、経口、筋肉内、静脈内、消化管内、膀胱内、または肺吸入によって、または髄腔内または脳室内経路によって投与される。
【0012】
特定の実施形態では、治療用タンパク質(複数可)及び/または生物学的に活性な核酸分子(複数可)が、少なくとも5...20...63...100...200...300日...1年以上、連続した日の間で対象において治療レベルまたは有効レベルで発現される。いくつかの実施形態では、本方法は、さらに、c)第1の組成物及び第2の組成物の投与から少なくとも5...20...63...100...200...300日または1年後に、対象(例えば、体のイメージングまたはスキャニング)または対象からのサンプル(例えば血液、血清、血漿、組織、尿など)を試験すること、及び治療用タンパク質(複数可)及び/または生物学的に活性な核酸分子(複数可)が、治療レベルまたは有効レベルで対象において発現されていること(例えば、第1及び第2の組成物の1回の治療に起因して対象において治療効果を生じるのに必要な期間、対象において治療レベルが持続されている)を決定することを含んでいる。さらなる実施形態では、本方法は、d)治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子が、治療レベルまたは有効レベル(例えば、一定の時間)で対象において発現されていることを示す報告書及び/または電子報告を作成することを含む。他の実施形態において、報告は、試験を行った研究室から治療臨床医または開業医及び/または患者に送られる。
【0013】
いくつかの実施形態では、治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子は、少なくとも50pg/ml...100...500...1000...1500...4000...8000...9500...1,000,000pg/ml(1ug/ml)...1.5ug/ml以上のレベルで発現され、そして対象由来の血液、血清または血漿試料(または他の生物学的試料)をアッセイして、治療レベルまたは有効レベルが、第1及び第2の組成物の投与後少なくとも5...7...10...25...45...63...150...300日以上の間に達成されることを見極める。他の実施形態では、治療用タンパク質(複数可)は、少なくとも50pg/mlまたは少なくとも100pg/mlまたは少なくも500、1,000,000pg/ml(1ug/ml)...1.5ug/ml以上のレベルで発現され、治療用タンパク質は、対象内のレベルで、少なくとも5...7...10...25...45...63...150...300...350日間連続して発現される。特定の実施形態において、治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子は、対象において、第1及び第2の組成物の投与後少なくとも48時間後に、臨床的に顕著な毒性の上昇(例えば、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)及び/またはAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)によって測定される)なしに発現される。
【0014】
特定の実施形態では、治療用タンパク質は、ヒトG-CSF(例えば、配列番号1によってコードされるもの、または配列番号1と少なくとも98%の同一性を有する配列)であり、血液、血清、または血漿試料中で測定して少なくとも100pg/mlの治療レベルで対象において発現され、そして治療用タンパク質は少なくとも7日間対象において発現され、疾患、病態、または生理学的形質が、以下:化学療法によって引き起こされる好中球減少症、幹細胞ドナーまたはレシピエントの血液中の造血幹細胞のレベルが上昇しない、心臓変性、脳虚血、筋萎縮性側索硬化症、好中球欠損疾患及び放射線曝露からなる群より選択される。特定の実施形態では、G-CSFは、少なくとも5、または6または7日間であるが、約10日を超えないで発現される(例えば、薬剤、プロモーター/エンハンサーの組合せ、核酸ベクター内の追加の発現カセットまたは追加の発現したタンパク質を用いて産生を約10日間に制限して、約10日を超える発現による毒性好中球関連副作用を避ける)。他の実施形態では、治療用タンパク質は、リツキシマブまたは類似の抗CD20抗体もしくは抗体断片である。いくつかの実施形態において、治療用タンパク質は、ヒト第IX因子または類似のタンパク質である。
【0015】
特定の実施形態では、対象が、治療用タンパク質(複数可)及び/または生物学的に活性な核酸分子(複数可)を対象に提供する他の任意の処置を受けなくても、治療用タンパク質(複数可)及び/または生物学的に活性な核酸分子(複数可)が、少なくとも1つの症状(または全ての症状)を軽減または排除する治療レベルで十分な時間対象において発現される。さらなる実施形態では、十分な時間、対象は、任意の他の特定の治療(例えば、対象に治療用タンパク質または生物学的に活性な核酸分子(複数可)を提供する他の特定の治療処置)を受けない。特定の実施形態では、対象は疾患(複数可)の複数の症状を有し、その場合、十分な時間とは、疾患(複数可)及び/または病態(複数可)の複数の症状の全てまたは実質的に全てが軽減または排除されるような時間(例えば、永久に、または少なくとも20日間....50日間...200日間...1年以上)である。他の実施形態では、十分な時間、対象は、他の疾患特異的処置を受けない。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポリカチオン性構造体の第1の量(例えば、空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセル、または空のカチオン性エマルジョン)は、対象の1キログラム当たり約0.01~70、30~50、または20~60μモル(例えば、1kg当たり、0.01...1...10...20...40...または60μmol)である。他の実施形態では、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性脂質)対治療有効量の発現ベクターの比は、0.5:1~25:1であり、数nmolのポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性脂質)対1μgの発現ベクター(例えば、0.5:1...1:1...4:1...8:1...12:1...17:1...21:1...または25:1)である。特定の実施形態では、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性脂質)対治療有効量の発現ベクターの比は、7:1~13:1であり、数nmolのポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性脂質)対1μgの発現ベクターである。特定の実施形態では、発現ベクターの治療有効量は、対象の1キログラム当たり0.001~8.0ミリグラムの発現ベクター(例えば、0.001...0.1...3.0...4.5....5.7...7.1...8.0ミリグラム/キログラム)である。いくつかの実施形態では、発現ベクターの治療有効量は、対象の1キログラム当たり0.001~1μg(例えば、対象の1キログラム当たり0.001...0.01...0.1...1μg)である。特定の実施形態では、発現ベクターの治療有効量は、対象の1キログラム当たり約0.01~4.0ミリグラムの発現ベクターである。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第1または第1及び第2の、または第1、第2及び第3の治療用タンパク質(複数可)をコードする。さらなる実施形態では、第1の核酸配列は、生物学的に活性な核酸分子(複数可)をコードする。他の実施形態では、対象はヒトである。さらなる実施形態では、発現ベクターはCpGを含まない。他の実施形態では、発現ベクターはCpGが減少している。他の実施形態では、治療用タンパク質(複数可)は、ヒトタンパク質(複数可)または動物タンパク質(複数可)である。
【0018】
いくつかの実施形態において、ポリカチオン性構造体は、コレステロールを含有しない(例えば、コレステロールを含まない空のカチオン性ミセルまたはリポソーム)。特定の実施形態では、カチオン性リポソームはそれぞれ、少なくとも60%のDOTAP及び/またはDPTAP(例えば、60%...75%...85%...95%...98%...100%のDOTAP及び/またはDPTAP)を含む。他の実施形態では、カチオン性リポソームの全てまたは実質的に全てが多層状小胞である。さらなる実施形態では、カチオン性リポソームの全てまたは実質的にすべてが単層状小胞である。さらなる実施形態では、カチオン性リポソームはそれぞれ、少なくとも99%のDOTAPまたは99%のDPTAPを含む。さらなる実施形態では、空のカチオン性リポソームはそれぞれDOTAP及びコレステロールを含む。さらなる実施形態では、カチオン性リポソームはそれぞれ、約1/3のコレステロール及び約2/3のDOTAP及び/またはDPTAPを含む。さらなる実施形態において、第1の核酸配列は、ヒトG-CSFをコードする(例えば、配列番号1に示されるように)。
【0019】
特定の実施形態では、生物学的に活性な核酸分子(複数可)は、shRNA配列(複数可)、miRNA配列(複数可)、アンチセンス配列(複数可)、リボザイム(複数可)、及び/またはCRISPR単一ガイドRNA配列(sgRNA)(複数可)から選択される配列を含む。他の実施形態において、CRISPR sgRNAは、i)Cas9ヌクレアーゼ-補充配列(tracRNA)、及びii)sgRNA標的部位にハイブリダイズする標的特異的配列(crRNA)を含む。特定の実施形態では、生物学的に活性な核酸分子は、ヒトp65(別名、NF-カッパ-Bp65またはRELA)を標的とする。
【0020】
さらなる実施形態では、発現ベクターのそれぞれは、i)第2の治療用タンパク質及び/またはii)第2の生物学的に活性な核酸分子をコードする第2の核酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、発現ベクターのそれぞれは、i)第3及び/または第4の治療用タンパク質及び/またはii)第3及び/または第4の生物学的に活性な核酸分子をコードする第3の核酸配列をさらに含む。さらなる実施形態では、発現ベクターのそれぞれは、第1の核酸配列に会合する第1のプロモーター、及び第2の核酸配列に会合する第2のプロモーターをさらに含み、第1及び第2のプロモーターは同一でも異なってもよい。他の実施形態では、第1の核酸配列の治療的もしくは有効的な発現レベル、及び/または治療的もしくは有効的な発現レベルの時間長は、第2の核酸が発現ベクターに存在しない及び/または発現しない場合の発現レベルまたは時間長に比べて減縮される。他の実施形態では、第1の核酸配列は、少なくとも5日であるが21日未満(例えば、5...7...13...16...20...及び21日)の治療レベルで発現される。特定の実施形態では、第1の核酸配列は治療用タンパク質をコードし、治療用タンパク質はヒトG-CSFを含む。
【0021】
他の実施形態では、発現ベクターは、発現ベクターのそれぞれが第1の核酸に会合する第1のプロモーター及び第1のエンハンサーを含む場合に、第1の時間長の治療レベルまたは有効レベルで、及び/または第1の発現レベルで、発現を提供し、発現ベクター上で、第1のプロモーターとは異なる第2のプロモーターが第1のプロモーターと置換し、及び/または第2のエンハンサーとは異なる第2のエンハンサーが第2のプロモーターと置換する場合、第1の時間長及び/または発現レベルが変化する。他の実施形態では、第1の時間長の治療レベルまたは有効レベルでの発現は、少なくとも10...15...45...100...200...300日間であり、第2のプロモーター及び/または第2のエンハンサーによる置換は、治療レベルまたは有効レベルでの発現を10...15...45...100...200日未満の第2の時間長まで減縮する。他の実施形態では、発現ベクターのそれぞれは、第1のプロモーター及び第1のエンハンサーを含み、第1のプロモーター及び第1のエンハンサーは、少なくとも5日間で且つ21...15...または10日間未満の治療レベルで発現を引き起こす。特定の実施形態では、第1の核酸配列は治療用タンパク質をコードし、治療用タンパク質はヒトG-CSFを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の組成物及び/または第2の組成物のいずれか、または第3の組成物中で存在する、薬剤(複数可)を投与することをさらに含み、且つ薬剤(複数可)が対象に投与されない場合と比較して、薬剤(複数可)は第1の核酸の発現を増加または減少させる(例えば、治療レベルまたは有効レベルで、及び/または治療レベルまたは有効レベルでの発現の時間長)。特定の実施形態では、薬剤は、第1の核酸の発現レベルを対象において増加させるものであり、コルチシン、免疫抑制剤、デキサメタゾン、デキサメタゾンパルミテート、シルデナフィル、またはL-アルギニン+シルデナフィルから選択される。特定の実施形態では、薬剤(例えば、デキサメタゾンまたはデキサメタゾンパルミテート)は、ポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン脂質組成物)の2.0%と6.0%との間(例えば、2.0%...2.5%...3.5%...4.5%または...6.0%)で存在する。他の実施形態において、薬剤(例えば、デキサメタゾンまたはデキサメタゾンパルミテート)は、ポリカチオン性構造体及びベクター組成物が投与される前または後に対象に投与される。特定の実施形態において、第1の組成物中に存在するポリカチオン性構造体(例えば、空のリポソーム)は、約20~85nmのz-平均直径(例えば、20...25...30...40...45...50...55...60...65...70...75...80...85nm)を有する。特定の実施形態では、ポリカチオン性構造体は、約72~76nmのz-平均直径を有する空のリポソームであり、小さな単層状小胞である。
【0023】
他の実施形態では、薬剤が対象に投与されていない場合と比較して、薬剤が対象に投与される場合、治療用タンパク質は、少なくとも2倍高い(または少なくとも3または4または5倍高い)レベルで発現する。特定の実施形態では、薬剤は第1の核酸配列の発現レベルを低下させ、この場合薬剤はL-アルギニンである。さらなる実施形態では、薬剤が対象に投与されない場合と比較して、薬剤が対象に投与される場合、治療用タンパク質は少なくとも2倍(または少なくとも3倍または4倍)低いレベルで発現する。いくつかの実施形態では、薬剤は、抗炎症剤を含む。さらなる実施形態において、薬剤は、アンレキサノクス、クロロキン、バルプロ酸、テオフィリン、DHA、プロスタグランジン、及びSAHAからなる群より選択される。
【0024】
さらなる実施形態では、発現ベクターは、操作可能なマトリックス付着領域(MAR)配列を含まない。特定の実施形態において、発現ベクターは、操作可能なEBNA-1及び/またはEBVウイルス配列を含まない。特定の実施形態では、上記第1及び第2の組成物を投与する直前の対象の血圧は変化しない(例えば、第1の核酸配列の発現を増加させるために対象に物理的トランスフェクション補助剤を適用しない)。
【0025】
特定の実施形態では、治療レベル及び/または有効レベルは、少なくとも150...100...500...1000...1500...5000...1,000,000pg/ml(1ug/ml)...1.5ug/ml以上であり、対象由来の血液、血清または血漿試料(または他の生物学的試料)は、第1及び第2の組成物の投与後少なくとも7...10...25...45...63...150...300...400日以上の治療レベル及び/または有効レベルであると判定される。特定の実施形態において、対象由来の試料は、発現レベルを決定するために、ELISAアッセイまたは質量分析によって試験される。
【0026】
いくつかの実施形態では、本方法は、治療有効量の中性リポソームを対象に投与することをさらに含み、その際、中性リポソームが第1及び/または第2の組成物中に存在し、及び/または第3の組成物で投与され、且つ第2の組成物を投与する前に、治療有効量の中性リポソームを対象に投与する。特定の実施形態では、中性リポソームは、少なくとも、ホスホリポン90H、水素化大豆PC、ステアリン酸及びパルミチン酸から選択される物質を含む。他の実施形態において、治療有効量の中性リポソームは、対象に投与される、第1の組成物中または第3の組成物中に存在する。さらなる実施形態では、中性リポソームは、多重膜小胞であるか、または0.2または0.1umに押し出される。特定の実施形態では、治療有効な量の中性リポソームを投与することにより、対象における第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子の発現を、中性リポソームが対象に投与されない場合に生じるよりも、少なくとも3..4...25...100...350...または600倍高くなる。特定の実施形態において、対象に投与される空のカチオン性リポソームと中性リポソームの比は、約2:1~1:5(例えば、2:1...1:1...2:5...1:5)である。
【0027】
いくつかの実施形態では、対象において第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子を発現させる方法であって、a)抗炎症剤を含む第1の組成物を対象に投与すること;b)第2の組成物の投与を、第1の組成物の投与の約2分...20分...1時間...24時間...5日...7日...9日またはそれ以上の内に対象に投与するか、または投与を開始することを含み、第2の組成物が、治療有効量のポリプレックスを含み、それぞれのポリプレックスが発現ベクター及びポリエチレンイミンを含み、発現ベクターはCpG非含有またはCpGが減少されており、各発現ベクターが以下:i)第1の治療用タンパク質(及び/または第1及び第2のタンパク質)、及び/またはii)第1の(及び/または第1及び第2の)生物学的に活性な核酸分子をコードする第1の核酸配列を含み、第1の組成物の投与及び第2の組成物の投与の結果として、第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子が対象において発現される、方法が本明細書で提供される。さらなる実施形態では、対象は、疾患または病態の少なくとも1つの症状を有するか、または変更が望まれる少なくとも1つの生理学的形質を有し、第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子は、疾患、病態、または変更される生理学的形質に関連する治療レベルで発現される。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は、アンレキサノクス、クロロキン、及びスベラニルヒドロキサム酸(Suberanilohy droxamic acid)(SAHA)からなる群から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態において、発現ベクターは、プラスミドまたは他の非ウイルスベクターを含む。さらなる特定の実施形態において、工程b)における投与は、第2の組成物を全身投与することによって達成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、a)第1の量のポリカチオン性構造体(例えば空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセル、または空のカチオン性エマルジョン)を含み、核酸分子を含まないか実質的に含まない第1の組成物、及びb)治療有効量の発現ベクター(例えば、非ウイルス性であり、かつリポソームまたは他のキャリア分子と会合していない)を含む第2の組成物を含み、発現ベクターはCpG非含有またはCpGが減少されており、それぞれの発現ベクターは以下:i)第1の治療用タンパク質または非治療用タンパク質、及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子をコードする第1の核酸配列を含む上記第2の組成物を含む、システムまたはキットが本明細書で提供される。他の実施形態では、発現ベクターは、裸の非ウイルス発現ベクター(例えば、プラスミド)である。特定の実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが適用される:i)第1の量のポリカチオン性構造体(例えば空のカチオン性リポソーム)と治療有効量の発現ベクターとの比が2:1~25:1または5:1~25:1である;ii)第1の組成物の2.0%~6.0%がデキサメタゾンパルミテートを含み;iii)第1の組成物が中性脂質をさらに含み、そしてiv)ポリカチオン性構造体が空のリポソームを含み、第1の組成物中に存在する空のリポソームが約20~85nmのz-平均直径(例えば、20...30...40...45...50...55...60...65...70...75...80...85nm)を有する。特定の実施形態では、ベクターはウイルスベクター(例えば、AAVまたはアデノウイルスベクター)である。特定の実施形態では、治療用タンパク質はヒトG-CSF(例えば、配列番号1に示される)である。
【0030】
特定の実施形態では、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム)は、0.1~7.0ミリモル(例えば、0.1...5.0...7.0ミリモル)または1.5及び5.0ミリモル(例えば、ヒト対象に対する適当な投与量)である。他の実施形態では、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム)対治療有効量の発現ベクターの比は、0.5:1~25:1であり、数nmolの空のカチオン性脂質対1μモルの発現ベクター(例えば、0.5:1...1:1...5:1...10:1...15:1...25:1)である。いくつかの実施形態では、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性脂質)対治療有効量の発現ベクターの比は、7:1~13:1の、数nmolのポリカチオン性構造体対1μgの発現ベクターで、(例えば7:1...10:1...または13:1)である。他の実施形態では、発現ベクターの治療有効量は、0.1~800ミリグラム(例えば、ベクターがプラスミドである場合などのヒト対象への投与に適した量)である。特定の実施形態において、その量は、1...25...400または800ミリグラムのヒト投与のための発現ベクターである。
【0031】
他の実施形態では、第1の核酸配列は、第1の治療用タンパク質をコードする。さらなる実施形態では、第1の核酸配列は、生物学的に活性な核酸分子をコードする。特定の実施形態では、発現ベクターはCpGを含まない。他の実施形態では、発現ベクターはCpGが減少されている。さらなる実施形態では、第1の治療用タンパク質はヒトタンパク質である。他の実施形態では、第1の核酸配列は治療用タンパク質をコードし、治療用タンパク質はヒトG-CSF、リツキシマブ、モノクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体断片(例えばFab)、またはヒト第IX因子を含む。
【0032】
特定の実施形態では、空のカチオン性リポソーム、ミセル、またはエマルジョンはそれぞれ、少なくとも60%のDOTAP及び/またはDPTAP(例えば、60%...75%...85%...95%...98%...100%のDOTAP及び/またはDPTAP)を含み、コレステロールを含み得ない(例えば、組成物中に検出可能なコレステロールがない)。他の実施形態では、空のカチオン性リポソーム、ミセル、またはエマルジョンのすべてまたは実質的にすべてが多層状小胞である。さらなる実施形態では、空のカチオン性リポソーム、ミセル、またはエマルジョンのすべてまたは実質的にすべてが、単層状、多層状またはオリゴ層状の小胞のいずれかである。さらなる実施形態では、空のカチオン性リポソーム、ミセル、またはエマルジョンはそれぞれ少なくとも99%のDOTAPまたは少なくとも99%のDPTAPを含み、コレステロールは含み得ない。さらなる実施形態では、空のカチオン性リポソームはそれぞれDOTAP及び/またはDPTAP及びコレステロールを含む。さらなる実施形態では、空のカチオン性リポソーム、ミセル、またはエマルジョンはそれぞれ、約1/3のコレステロール及び約2/3のDOTAP及び/またはDPTAPを含む。
【0033】
特定の実施形態では、第1の生物学的に活性な核酸分子は、siRNAまたはshRNA配列、miRNA配列、アンチセンス配列、及びCRISPR単一ガイドRNA配列(sgRNA)から選択される配列を含む。他の実施形態において、CRISPR sgRNAは、i)Cas9ヌクレアーゼ-補充配列(tracRNA)、及びii)sgRNA標的部位にハイブリダイズする標的特異的配列(crRNA)を含む。
【0034】
さらなる実施形態では、発現ベクターのそれぞれは、さらに、i)第2の治療用タンパク質及び/またはii)第2の生物学的に活性な核酸分子を、コードする第2の核酸配列を含む。さらなる実施形態では、発現ベクターのそれぞれは、さらに、第1の核酸配列に会合する第1のプロモーター、及び第2の核酸配列に会合する第2のプロモーターを含み、第1及び第2のプロモーターは同一でも異なっていてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、キット及びシステムは、第1の容器及び第2の容器をさらに含み、第1の組成物は第1の容器に存在し、第2の組成物は第2の容器に存在する。他の実施形態では、キット及びシステムは、さらにパッケージング構成要素(例えば、段ボール箱、プラスチック袋など)を含み、第1の容器及び第2の容器はパッケージング構成要素の内側にある。
【0036】
特定の実施形態では、キット及びシステムは、さらに薬剤(複数可)を含み、薬剤(複数可)は第1及び/または第2の組成物中に存在するか、または第3の組成物中に存在する。さらなる実施形態では、薬剤は、コルヒチン、免疫抑制剤、デキサメタゾン、シルデナフィル、L-アルギニン、またはL-アルギニン+シルデナフィルから選択される。さらなる実施形態では、薬剤は、抗炎症剤を含む。さらなる実施形態では、薬剤は、アンレキサノクス、バルプロ酸、テオフィリン、クロロキン、及びSAHAからなる群から選択される。
【0037】
特定の実施形態では、発現ベクターは、操作可能なマトリックス付着領域(MAR)配列を含まない。さらなる実施形態では、発現ベクターは、操作可能なEBNA-1及び/またはEBVウイルス配列を含まない。
【0038】
特定の実施形態では、キット及びシステムは、治療有効量の中性リポソームをさらに含み、中性リポソームが第1及び/または第2の組成物中に存在するか、または第3の組成物中に存在する。さらなる実施形態では、治療有効量の中性リポソームが第1の組成物中に存在する。他の実施形態では、中性リポソームは、多層状またはオリゴ層状または単層状の小胞である。さらなる実施形態において、空のカチオン性リポソームまたはミセルと中性リポソームとの比は、約2:1~1:5(例えば、2:1...1:1...3:5...1:5)である。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子のインビボ発現での治療に適している疾患の治療における併用のための第1の組成物及び第2の別個の組成物であって、第1の組成物は第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセルまたは空のカチオン性エマルジョン)を含み、第1の組成物は、核酸分子を含まないか、または実質的に含まず;B)第2の組成物は治療有効量の発現ベクターを含み、発現ベクターは、CpG非含有またはCpGが減少されており、発現ベクターのそれぞれが、i)第1の治療用タンパク質及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0040】
特定の実施形態では、対象に第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子を発現させる方法であって、a)対象に第1の組成物を投与することであって、第1の組成物は、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセル、または空のカチオン性エマルジョン)を含み、第1の組成物は核酸分子を含まないかまたは実質的に含まず;b)第1の組成物の投与の約100分または200分以内に第2の組成物を対象に投与することを含み、第2の組成物は治療有効量の非ウイルス発現ベクターを含み、発現ベクターはCpG非含有またはCpGが減少されており、発現ベクターがそれぞれ、i)第1の治療用タンパク質、及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子を、コードする第1の核酸配列を含み;第1の組成物の投与及び第2の組成物の投与の結果として、第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子は、対象において、上記レベル(例えば、少なくとも150...300...575...1000...1500...2000...5000...または1,000,000pg/ml)(例えば、(例えば、第1及び第2の投与から7...25...50日後の)対象からの血清試料で測定される)で発現される、方法が本明細書において提供される。
【0041】
特定の実施形態では、治療有効量の非ウイルス発現ベクターを含む組成物を対象に投与することを含む方法であって、非ウイルス発現ベクターは、CpG非含有またはCpGが減少されており、以下:i)第1の治療用タンパク質、及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子をコードする第1の核酸配列を含み:第1及び第2の組成物の投与の結果として、第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子は、100pg/mlを超えるレベルで(例えば、少なくとも150..400...1200...2000...5000...または1,000,000pg/mlを超える)(例えば、(例えば、対象から得た血清試料中で測定される(例えば、第1及び第2の投与から7...25...50日後に))対象において発現される、方法が本明細書において提供される。
【0042】
特定の実施形態において、ポリカチオン性構造体は、空のカチオン性リポソーム、ミセル、またはエマルジョンを含む。他の実施形態では、ポリカチオン性構造体は、以下の、単独またはポリカチオン性構造体と組み合わせた1つ以上:線状または分岐のポリエチレンイミン、デンドリマー(例えば、エチレンジアミン、ポリリシン、ポリアルギニン、及び硫酸プロタミン系第4世代pammamデンドリマー)、ポリリジン及び硫酸プロタミンを含む。特定の実施形態では、ポリカチオン性構造体はカチオン性エマルジョンとして提供される。特定の実施形態では、エマルジョン中の界面活性剤は、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムなどから選択される。他の実施形態では、エマルジョンはさらに、トゥイーン、スパン及びトリグリセリドなどの中性構成要素を含む。特定の実施形態では、エマルジョンは、例えば、DOTAP、DPTAP、DOTMA、またはDDABなどのカチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態において、エマルジョンは、自己乳化エマルジョンまたはマイクロエマルジョン(SEDDS、SMEDDS)である。
【0043】
いくつかの実施形態では、対象において第1及び第2のタンパク質及び/または第1及び第2の生物学的に活性な核酸分子を発現させる方法であって、a)第1の組成物を対象に投与することであって、対象が疾患または病態の少なくとも1つの症状を有するか、または少なくとも変更される生理学的形質を有し、第1の組成物が第1の量のポリカチオン性構造体を含み、そして第1の組成物が核酸分子を含まないかまたは実質的に含まず;及びb)第1の組成物を投与して約100分以内に第2の組成物を対象に投与することを含み、第2の組成物は治療有効量の発現ベクターを含み、発現ベクターは非ウイルス性であり、CpG非含有またはCpGが減少されており、発現ベクターはそれぞれ、i)A)第1のタンパク質及び/またはB)第1の生物学的に活性な核酸分子をコードする第1の発現カセット、及びii)A)第2のタンパク質及び/またはB)第2の生物学的に活性な核酸分子をコードする第2の発現カセットを含む前記工程を含む、方法が本明細書において提供される。特定の実施形態では、第1の組成物の投与及び第2の組成物の投与の結果として、第1及び第2のタンパク質及び/または第1及び第2の生物学的に活性な核酸分子は、疾患または病態に関して治療レベルで、または生理学的または疾患形質を改変するのに十分な有効レベルで、対象において発現される。
【0044】
特定の実施形態では、第1のタンパク質はモノクローナル抗体軽鎖を含み、第2のタンパク質はそのモノクローナル抗体の重鎖を含む。他の実施形態では、第1及び第2の発現カセットはともに調節エレメントを含む。さらなる実施形態において、調節エレメントは、上記第1及び第2の発現カセットにおいて同一であるか、または異なっている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】実施例1で使用した様々なCPGを含まないプラスミド構築物の模式図を示す。
図2】h-GCSF(配列番号1)のCpG非含有改変核酸配列及びh-GCSF(配列番号2)のアミノ酸配列を示す。CpGジヌクレオチドが除去された位置は、配列番号1に下線で示されている。
図3】連続的に、カチオン性リポソームIV注射、続いてDNAベクターIV注射することによってマウスにおいて産生された血清ヒトG-CSFレベルのグラフを示す。
図4】連続的に、カチオン性リポソームIV注射、その後のDNAベクター注射の21日後のWBC及び絶対好中球数のヒストグラムを示す。
図5】単一または二重カセットhG-CSF単一プラスミドベクターの連続IV注射によってマウスにおいて産生された血清ヒトG-CSFレベルを示す。
図6】カチオン性リポソーム、続くhG-CSF遺伝子に連結された異なるプロモーター-エンハンサーの組合せを含有するDNAのIV注射の21日後のマウスにおける血清hG-CSFレベを示す。
図7】カチオン性リポソーム、続く単一カセット、EF1-ルシフェラーゼDNA単独または特定の薬剤と一緒の連続的IV注射の7日後のマウス肺ルシフェラーゼレベルを示す。
図8】カチオン性リポソーム、次いで二重カセット、EF1-hG-CSF-EF1-ルシフェラーゼDNAの単独または特定の薬剤(複数可)と組み合わせたものの、連続IV注射の7日後のマウス肺ルシフェラーゼレベルを示す。
図9】カチオン性リポソーム、次いでMARを含有または非含有のいずれかで、全てがルシフェラーゼ遺伝子に連結された、一連の異なるプロモーター-エンハンサーの組合せの1つを含むDNAベクターの、IV注射の10日後のマウス肺ルシフェラーゼレベルを示す。
図10】PEI:EF-1 Luc DNA複合体のIV注射、またはカチオン性リポソーム、続く同一のEF-1 Luc DNAの連続的IV注射の1または5日後の、マウス肺ルシフェラーゼレベルを示す。
図11】7つの異なるカチオン性リポソーム製剤のうちの1つ、続く単一のカセット、EF1-ルシフェラーゼDNAの連続IV注射の1日後の、マウス肺ルシフェラーゼレベルを示す。
図12】PEI:EF-1 Luc DNA複合体単独または4種類の薬剤の1つと混合したもののIV注射の1日後のマウス脾臓ルシフェラーゼレベルを示す。
図13】カチオン性リポソーム、続く一連の二重カセット、EF-1-Luc-hG-CSF DNAベクターの1つの連続IV注射の1または7日後のマウス肺ルシフェラーゼレベルを示す。
図14】中性リポソームの同時注射の含有または非含有の、連続的カチオン性リポソームのIV注射、続く二重カセット、単一プラスミドベクターのIV注射の1日後のマウスで産生された血清ヒトG-CSFレベルを示す。
図15】中性リポソームと一緒のカチオン性リポソームの連続的な同時IV注射、続く二重カセットプラスミドベクターのIV注射の1または7日後のマウスにおいて産生された血清ヒトG-CSFレベルを示す。
図16】押し出しされたSUV、0.1μmまたはMLVカチオン性リポソームと一緒のカチオン性リポソームの連続的IV注射、続くEF1-hG-CSFプラスミドベクターのIV注射の7日後のマウスで産生された血清ヒトG-CSFレベルを示す。
図17】カチオン性リポソーム、続くCPGを含まないヒトG-CSF DNAベクターの1回の連続IV注射が、少なくとも次の428日間に、マウスにおいて治療レベルを超えるヒトG-CSF血清タンパク質レベルを産生する、実施例2の結果を示す。
図18】カチオン性リポソーム、続くCPGを含まないヒトG-CSF DNAベクターの1回の連続IV注射が、ラットの正常なALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)及びAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)と共に治療レベルを超えるヒトG-CSF血清タンパク質、WBC及びANCレベルを産生することが示された実施例3の結果を示す。
図19】DPTAPから生成したカチオン性リポソームがインビボトランスフェクションを媒介することを示された実施例3の結果を示す。
図20】アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の血清レベルにより測定される毒性が、24時間で2~5倍に上昇し、カチオン性リポソーム、その後のプラスミドDNAの連続注射の48時間で対照レベルに戻ることを示す。
図21】カチオン性DOTAPリポソームへの2.5モル%デキサメタゾンパルミテート(DexP)の組込みが、バックグラウンドレベルに近いALTレベルによって測定されたように、連続的IV注射後24時間でのhG-CSFの発現を増加させる一方で、同時に毒性を減少させることを示す。
図22】2.5%デキサメタゾンパルミテートを含有するDOTAPリポソームのIV注射が、ALTレベルによってバックグラウンドレベルまでに測定されたように毒性を減少させる一方で、ヒトG-CSFタンパク質レベルを顕著に増加させることを示す。
図23】デキサメタゾンの注射前後で、hG-CSFタンパク質レベルを顕著に増加させる一方で、バックグラウンドレベルに近いALTレベルで測定されたように、毒性を低下させることを示す。
図24】脂質:DNA比を操作することにより、hG-CSFレベルを増加させる一方で、ALTレベルによってバックグラウンドレベルまで測定されたように、毒性を減少させることを示す。
図25】デキサメタゾン、続くカチオン性DOTAPリポソーム中の2.5モル%デキサメタゾンパルミテート、その後のリツキシマブをコードする二重カセット、単一プラスミドDNAベクターの前IP注射が、経時的にマウスにおける血清リツキシマブレベルを顕著に増加させることを示す。
図26】デキサメタゾン前注射、次いでDexPカチオン性リポソーム+中性脂質、その後のリツキシマブをコードする二重カセット単一プラスミドDNAベクターの1回の連続IV注射は、マウスにおける完全機能性のリツキシマブタンパク質の拡大した血清レベルを産生することを示す。
図27】二重カセット、単一プラスミドリツキシマブDNAベクターの連続IV注射後6週間で試験したマウス血清は、組換えリツキシマブタンパク質と同様に標的CD20+ヒトBリンパ腫(Raji)細胞に結合することを示す。
図28】リツキシマブDNAベクター注射したマウスからの血清中のリツキシマブタンパク質は、組換えリツキシマブと同様のレベルでRaji CD20+ヒトB細胞の溶解を誘導することを示す。
図29】デキサメタゾン、続くDOTAPリポソーム中の中性脂質+2.5mol%デキサメタゾンパルミテートの前IP注射は、経時的にラットにおける血清リツキシマブレベルを上昇させることを示す。
図30】リツキシマブ二重カセット、単一プラスミドDNAベクターのコドン最適化が、連続的IV注射の24時間後の血清リツキシマブレベルをさらに増加させることを示す。
図31】コドン最適化二重カセット、単一プラスミドリツキシマブDNAベクターの1回の連続的カチオン性リポソームIV注射が、拡大した血清リツキシマブレベルを産生することを示す。
図32】選択された薬剤の前注射が、コドン最適化二重カセット、単一プラスミドリツキシマブDNAベクターの連続的カチオン性リポソームIV注射によって産生される血清リツキシマブレベルを顕著に増加させることを示す。
図33】2A自己切断ペプチド配列により分離されたリツキシマブ重鎖及び軽鎖をコードする単一のカセットDNAベクターの連続的IV注射が、顕著な血清リツキシマブタンパク質レベルを産生することを示す。
図34】脂質:DNA比を操作することによって、血清リツキシマブレベルを増加させる一方、ALTレベルによってバックグラウンドレベルに近いレベルまで測定されたように、毒性を減少させることを示す。
図35】バルプロ酸またはテオフィリンのいずれかによる前処置が、ヒト第IX因子cDNAをコードするコドン最適化EF-1駆動プラスミドベクターの連続的カチオン性リポソームIV注射によって産生される血清ヒト第9因子レベルを顕著に増加させることを示す。
図36】実施例で使用したリツキシマブ(抗CD20)二重カセットプラスミドの配置を示す。この図では、以下の略語が適用される:M:Mar(M1:β-Glo、M2:21q21及びM3:IFNβ);K:Kozak配列(K1:AAGCTTTCC、配列番号3;K2:AAGCCACC、配列番号4);エンハンサー:mCMVまたはhCMV;プロモーター:CMVまたはEF1;5'UTR:I126またはhtlv;H:キメラ重鎖cDNA;L:キメラ軽鎖cDNA;及びpA:ポリA。
図37】実施例で使用したリツキシマブ(抗CD20)単一(バイシストロン性)プラスミドの配置を示す。この図では、以下の略語が適用される:K:Kozak配列(K1:AAGCTTTCC、配列番号3;AAGCCACC、配列番号4);エンハンサー:mCMVまたはhCMV;プロモーター:CMVまたはEF1;5'UTR:I126またはhtlv;H:キメラ重鎖cDNA;L:キメラ軽鎖cDNA;F:フリン(F1:RHQR;F2:RAKR);2Aペプチド:P2AまたはF2A;及びpA:ポリA。
図38】実施例において使用されるヒト第IX因子プラスミドの配置を示す。この図には、以下の略語が適用される:M:Mar(M1:β-Glo、及びM3:IFNβ);Kozak2:Kozak配列2(AAGCCACC、配列番号4);エンハンサー:mCMV;プロモーター:EF1;5'UTR:I126;hFIX:ヒト第XI因子cDNA;及びpA:ポリA。
図39】リツキシマブの重鎖及び軽鎖(下線部)を発現する下記の実施例で使用されるバイシストロン性の単一カセットプラスミド構築物(配列番号5)の一例(No.8、G4)を示す。
図40】リツキシマブの重鎖及び軽鎖(下線部)を発現する下記の実施例で使用される二重カセット非最適化抗CD20 CpG非含有プラスミド構築物(配列番号6)の一例(No.2)を示す。
図41】リツキシマブの重鎖及び軽鎖(下線部)を発現する以下の実施例で使用される二重カセット非最適化抗CD20 CpG非含有プラスミド構築物(配列番号7)の一例(No.4)を示す。
図42】リツキシマブの重鎖及び軽鎖(下線部)を発現する以下の実施例において使用される二重カセットMARの無い最適化抗CD20プラスミド構築物(配列番号8)の一例(No.4)を示す。
図43】リツキシマブの重鎖及び軽鎖(下線部)を発現する下記の実施例で使用される二重カセットMAR含有最適化抗CD20プラスミド構築物(配列番号9)の一例(No.6)を示す。
図44】ヒト第IX因子を発現する以下の実施例において使用されるプラスミド構築物(配列番号10)の一例(No.4)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
定義
明細書中で使用される場合、「CpGが減少した」という語句は、配列またはベクターの野生型に存在するよりも少ないCpGジヌクレオチドを有する核酸配列または発現ベクターを指す。「CpG非含有」とは、本核酸配列またはベクターが任意のCpGジヌクレオチドを有しないことを意味する。CpGジヌクレオチド(例えば、ヒトG-CSFの野生型)を含む初期配列は、核酸配列を変更することによってCpGジヌクレオチドを除去するように改変され得る。このようなCpGジヌクレオチドは、コード配列だけでなく、例えば5'及び3'非翻訳領域(UTR)、プロモーター、エンハンサー、ポリA、ITR、イントロン、及び核酸分子またはベクター中に存在する任意の他の配列などを含む非コード配列においても、適切に減少または排除することができる。
【0047】
本明細書で使用される「空のリポソーム」とは、核酸分子を含まないが他の生物活性分子を含み得るリポソーム(例えば、脂質分子それ自体のみで構成されるリポソーム、または脂質分子及び小分子薬剤のみを含むリポソーム)を指す。
【0048】
本明細書で使用する「空のカチオン性ミセル」とは、核酸分子を含まないが、他の生物活性分子を含み得るカチオン性ミセル(例えば、脂質及び界面活性剤分子のみで構成されるミセル、または脂質及び界面活性剤分子及び小分子薬剤のみで構成されるミセルなど)を指す。
【0049】
本明細書で使用される「空のカチオン性エマルジョン」は、核酸分子を含まないが他の生物活性分子を含み得るカチオン性エマルジョンまたはマイクロエマルジョンを指す。
【0050】
詳細な説明
本発明は、対象におけるタンパク質または生物学的に活性な核酸分子の発現を(例えば、長期間の治療レベルで)生成するための組成物、システム、キット及び方法を提供する。特定の実施形態では、第1の量のポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセル、または空のカチオン性エマルジョン)を含む第1の組成物及びCpG非含有またはCpGが減少した治療有効量の発現ベクター(例えば、リポソームに会合していない非ウイルス発現ベクター)を含む第2の組成物を含み、且つ発現ベクターが、i)第1の治療用タンパク質及び/またはii)第1の生物学的に活性な核酸分子をコードする第1の核酸配列を含む、システム、キット及び方法が提供される。他の実施形態では、このような第1及び第2の組成物は、第1の治療用タンパク質及び/または生物学的に活性な核酸分子が対象において発現されるように(例えば、疾患または病態が治療されるように、または生理学的形質が変更するように、少なくとも5日間または少なくとも50日間の治療レベルで)、対象に連続的に(例えば、全身的に)投与される。
【0051】
本開示の実施形態の開発中に行われた研究が、カチオン性リポソームの単回注射(例えば、静脈内注射)、その直後に続く治療用タンパク質をコードするCpGを含まないベクターの注射(例えば、静脈内注射)が、長期にわたりタンパク質の治療用血清レベルより多数倍(例えば、10~20倍高い)の循環タンパク質レベルを産生することを示した。このような投与はまた、処置の数週間後に循環好中球数を多数倍増加させた。
【0052】
本開示の実施形態の開発中に行われた研究(例えば、下記の実施例1に示されるように)は、カチオン性リポソームの単回静脈内注射、続く2分後のヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG-CSF)をコードするCpGを含まないプラスミドベクターの静脈内注射により、少なくとも63日間、治療用血清hG-CSFレベル(100pg/ml以上)より10~20倍高い循環hG-CSFタンパク質レベルを産生することを示した(図3参照)。このような投与はまた、マウスへの静脈内注射の3週間後に、循環好中球数を10倍増加させた(図4)。対照的に、類似の、しかしCpGを含有するhG-CSFプラスミドベクターを含むカチオン性リポソーム-DNA複合体の1回の全身注射は、注射後3日目でも検出可能な(>20pg/ml)hG-CSFタンパク質レベルを産生することができず、注射後いずれの時点でも好中球数を増加させることができなかった(Tu et al,JBC,275(39):30408-30416,2000を参照;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、ヒトG-CSFの治療レベルでの発現を延長するために使用された実施例1に提示されたアプローチは、マウスにおいて著しい毒性を引き起こさないようであった。
【0053】
従って、本明細書で提供されるインビボでの発現のためのアプローチは、全身性非ウイルス遺伝子送達の成功した治療適用を今まで不可能にしてきた臨界的限界を克服する。すなわち、長期にわたり治療レベルで送達された遺伝子を発現することができないということは、一般的に、重要な治療または生理学的エンドポイントを作成することが必要であることを意味する。実施例1に示されるように、本明細書で提供される方法の実施形態は、非ウイルスベクターを用いて治療用タンパク質のこのような長い持続的発現を達成することができ、ベクターにウイルス遺伝子を組み込む必要はない。これは、少なくとも1つのウイルス遺伝子とそのタンパク質産物が結合するウイルスDNA配列(反復配列のEBVファミリーと共にDNAベクターに挿入されるEBNA-1遺伝子)の挿入に依存する他のアプローチが、この一過性の遺伝子発現の制限を克服するために必要とされてきたことから、重要である(Tu et al.,上記参照)。さらに、実施例1(図1)の63日後に見出された高いhG-CSFタンパク質レベルに加えて、同様の高レベルの発現が、注射後14,21,28、及び49日に測定、見出され、これは一度達成されたこれらの高い治療レベルが長期間維持されることを示している。また、実施例2は、図17において400日を超える高レベルの発現を示す。この高レベル及び長期発現は、hG-CSFについての米国特許第8,754,062号の図3に示される、単回IV注射後4日までの治療レベルしか産生しなかったMODERNAによって提供されるmRNAアプローチよりも、かなり優れている。
【0054】
さらに、本明細書で提供されるシステム、方法及び組成物は、治療レベルで送達された遺伝子の発現期間をはるかにより正確に制御することができる、多用途(例えば、非ウイルス)遺伝子送達及び発現プラットフォームを提供する。送達された遺伝子の発現の期間を制御するこの能力は、遺伝子治療分野の中で現在まで危機的に満たされていない重要な別のニーズに対処するものであり、タンパク質が治療レベルで発現される期間を制御する能力である。具体的には、FDAが認可した組換え分泌型ヒトタンパク質療法の広範かつ拡大したスペクトルが現在存在する。効果的かつ安全に患者を治療するためには、承認された異なるタンパク質療法が、極めて様々な期間にわたって治療レベルになければならない。異なるタンパク質療法の推奨治療期間は、2週間未満(hG-CSF)から患者の生存期間(第IX因子)まで様々である。例えば、組換えヒトG-CSFタンパク質、ニューポジェンは、3週間毎の化学療法サイクルの最初の10日間だけ毎日与えられる。血清hG-CSFレベルは、それぞれ毎日のニューポジェン投与の約14時間後にベースラインに戻る。この10日間の治療スケジュールは、その好中球増加効果が、この約10日間の化学療法誘導性好中球減少の間にのみ示されるので、使用される。患者自身の好中球産生能力が回復するので、11日目から21日目までのG-CSF上昇は一般に有益ではない。10日を超えてニューポジェンを与えると、有毒な好中球関連の副作用を引き起こす可能性がある。対照的に、抗TNF抗体は、数ヶ月または数年間にわたって日常的に投与され、第IX因子は、患者の生涯にわたって置換される。従って、異なるタンパク質は、2週間未満から患者の生存期間まで、様々な期間の治療レベルで産生されなければならない。それゆえ、患者において産生する治療レベルでの遺伝子発現の期間を制御することができる遺伝子治療アプローチは、現在FDAが承認するヒト治療用タンパク質の広範なスペクトルに対する有毒な副作用を回避しながら、治療のエンドポイントに達する。本明細書では、この制御を提供するために使用することができる様々な技術が提供される。5つのアプローチの例を以下に説明する。
【0055】
第1に、特定の実施形態では、第2の発現カセットが単一のプラスミドDNAベクターまたは他のベクターに挿入される。実施例1に示されるように、使用された単一発現カセットhG-CSFプラスミドベクターは少なくとも63日間治療用hG-CSFレベルを産生すること(図3)とは対照的に、第2カセットに限定して添加すると、治療レベルのhG-CSFタンパク質の産生はマウスで2週間未満であった(図5)。注目すべきことに、ルシフェラーゼ遺伝子を駆動する第2の発現カセットはまた、IV注射マウスにおいて高い、制御可能なレベルでも発現される。
【0056】
第2に、実施例1に示すように、一連の異なるCPG非含有プロモーター-エンハンサーの組合せを、単一カセットプラスミドベクターにおいて、マウスにおける単回IV注射後の異なる期間の範囲に治療レベルのhG-CSFを発現するよう作製した(図6)。注目すべきことに、異なるプロモーターエンハンサーの組合せを組み込んだ異なるカセットを含む多発現カセット単一プラスミドDNAベクターは、単一のDNAベクターと異なる期間に異なるレベルで異なる治療用タンパク質を発現することができる。これにより、単一DNAベクターが複数の異なる治療用タンパク質(例えば、1、2、3、4、5、6以上の治療用タンパク質)を発現することが可能になる。それぞれの個々のタンパク質は、その後、適切な治療レベルで必要な期間発現される。このようなアプローチは、1人の患者に2つ以上の組換えタンパク質療法を組み合わせることによって現在発生する法外な費用を克服する1つの方法である。
【0057】
第3に、実施例1に記載されているように、カチオン性リポソームと単独または選択された組み合わせで、現在FDA承認の薬剤を同時に注射することにより、マウスにおいて連続IV注射によって後に送達される遺伝子発現のレベル/期間を選択的に増加または減少させることができる(図7及び8)。
【0058】
第4に、実施例1で実証されているように、カチオン性リポソームの大きさ及び脂質組成を変化させることにより、連続のカチオン性リポソーム、その後のDNA注射によって送達される遺伝子の発現レベル及び期間も制御することができる(図11)。
【0059】
第5に、実施例14で実証されているように、中性脂質をデキサメタゾン及びデキサメタゾンパルミテートとともに添加することにより、遺伝子発現の期間を増加させることができる(図26及び29)。対照的に、中性脂質単独の投与は、遺伝子発現の期間を減少させることができる(図14及び15)。
【0060】
さらに、いくつかの文献はまた、マトリックス付着領域(MAR)を、それらのIV注射後において長期発現を生じさせるために、DNAベクターに組み込むべきであると記載している(Argyros et al.,J Mol Med(2011)89:515-529,参照によりその全体が組み込まれる)。対照的に、本開示の実施形態の開発中に行われた研究は、このようなMAR要素の存在は、カチオン性リポソームに続くCPG非含有プラスミドDNAの連続IV注射によって産生される遺伝子発現の期間を増加させず、一部のベクターでは減少させること示している(図9)。
【0061】
特定の実施形態では、本開示は、ベクター投与前に対象に投与される、ベクターDNAを含有しないポリカチオン性構造体(例えば、空のカチオン性リポソーム、空のカチオン性ミセルまたは空のカチオン性エマルジョン)を用いる。特定の実施形態では、ポリカチオン性構造体はカチオン性脂質であるか、及び/またはエマルジョンとして提供される。本開示は、使用されるカチオン性脂質に限定されず、いくつかの実施形態において、以下の1つ以上のものから構成することができる:DDAB、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム;DPTAP(1,2-ジパルミトイル3-トリメチルアンモニウムプロパン);DHA;プロスタグランジン、N-[1-(2,3-ジオロイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムメチルサルフェート;1,2-ジアシル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(ジオレオイル(DOTAP)、ジミリストイル、ジパルミトイル、ジセアロイル(disearoyl)を含むが限定されない);1,2-ジアシル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(ジオレオイル、ジミリストイル、ジパルミトイル、ジセアロイルを含むが限定されない)、DOTMA、N-[1-[2,3-ビス(オレオイルオキシ)]プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニムクロリド;DOGS、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン;DCコレステロール、3.ベータ-[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール;DOSPA、2,3-ジオレオイルオキシ-N-(2(スペルミンカルボキサミド)-エチル)-N,N-ジメチル-1-プロパナミニウムトリフルオロアセテート;1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(ジオレオイル(DOEPC)、ジラウロイル、ジミリストイル、ジパルミトイル、ジステアロイル、パルミトイル-オレオイルを含むが限定されない);ベータ-アラニルコレステロール;CTAB、セチルトリメチルアンモニウムブロミド;ジC14-アミジン;N-t-ブチル-N'-テトラデシル-3-テトラデシルアミノプロピオアミジン;14Dea2,O,O'-ジテトラデカノイル-N-(トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド;DOSPER、1,3-ジオレオイルオキシ-2-(6-カルボキシ-スペルミル)-プロピルアミド;N,N,N',N'-テトラメチル-N,N'-ビス(2-ヒドロキシルエチル)-2,3-ジオレオイルオキシ-1,4-ブタン-ジアンモニウムヨージド;1-[2-(9(Z)-オクタデセノイルオキシ)エチル]-2-8(Z)-ヘプタデセニル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)などの1-[2-アシルオキシ]エチル]2-アルキル(アルケニル)-3-(2-ヒドロキシエチル-)イミダゾリニウムクロリド誘導体;1-[2-(ヘキサデカノイルオキシ)エチル]-2-ペンタデシル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DPTIM);1-[2-テトラデカノイルオキシ)エチル]-2-トリデシル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムクロリド(DMTIM)(例えば、Solodin et al.(1995)Biochem.43:13537-13544に記載されており、本明細書中に参考として組み込まれる);第4級アミン上にヒドロキシアルキル部分を含有する2,3-ジアルキルオキシプロピル第4級アンモニウム化合物誘導体、例えば、1,2-ジオレオイル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORI);1,2-ジオレイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE);1,2-ジオレイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシプロピルアンモニウムブロミド(DORIE-HP);1,2-ジオレイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシブチルアンモニウムブロミド(DORIE-HB);1,2-ジオレイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシペンチルアンモニウムブロマイド(DORIE-HPe);1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);1,2-ジパルミチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DPRIE);1,2-ジステリル(disteryl)オキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DSRIE)(例えば、Felgner et al.(1994)J.Biol.Chem.269:2550-2561に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。上記の脂質の多くは、例えば、Avanti Polar Lipids,Inc.Sigma Chemical Co.;Molecular Probes,Inc.;Northern Lipids,Inc.;Roche Molecular Biochemicals;及びPromega Corp.から市販されている。
【0062】
特定の実施形態において、本開示は、CpG減少またはCpG非含有の発現ベクターを使用する。CpGジヌクレオチド(例えば、ヒトG-CSFの野生型)を含む初期配列は、核酸配列を変更することによってCpGジヌクレオチドを除去するように改変され得る。図2は、ヒトG-CSFのCpGを含まないバージョンを示し、その配列は下線を引いたCpGを除去するように変更されている。このようなCpGジヌクレオチドは、コード配列だけでなく、例えば5'及び3'非翻訳領域(UTR)、プロモーター、エンハンサー、ポリA、ITR、イントロン、及び核酸分子またはベクター中に存在する任意の他の配列などを含む非コード配列においても、適宜減少または排除され得る。CpGジヌクレオチドは、選択されたアミノ酸のコドントリプレット内に位置し得る。CpGジヌクレオチドを含む1つ以上のコドントリプレットを有する5つのアミノ酸(セリン、プロリン、スレオニン、アラニン及びアルギニン)が存在する。これらのアミノ酸の5つはすべて、CpGは避けるが、以下の表1に示す同じアミノ酸を依然としてコードするように変更することができるCpGジヌクレオチドを含まない代替コドンを有する。それゆえ、選択されたアミノ酸のコドントリプレット内に割り当てられたCpGジヌクレオチドは、CpGジヌクレオチドを欠く同じアミノ酸のコドントリプレットに変更することができる。
【0063】
【表1】
【0064】
さらに、コーディング領域内では、トリプレット間の接合部分が考慮されるべきである。例えば、アミノ酸トリプレットがC-ヌクレオチドで終わった後、G-ヌクレオチド(例えば、バリン、グリシン、グルタミン酸、アラニン、アスパラギン酸)のみで開始することができるアミノ酸トリプレットが続く場合、第1のアミノ酸トリプレットのトリプレットはC-ヌクレオチドで終わらないものに変更される。CpG配列を作製するための方法は、例えば、米国特許第7,244,609号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。INVIVOGENによって提供される商業サービスは、CpG非含有(または減少した)核酸配列及びベクターを産生するためにも利用可能である。
【0065】
下記の表2に、本明細書に記載のベクターに使用することができるプロモーター及びエンハンサーの例を示す。このようなプロモーター、及び当該技術分野で公知の他のプロモーターは、単独で、または任意のエンハンサーのいずれかまたは当該技術分野で公知のエンハンサーと共に使用され得る。さらに、複数のタンパク質または生物学的に活性な核酸分子(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれ以上)を同じベクターから発現させる場合、同一または異なるプロモーターを目的の核酸配列と組み合わせて使用することができる。
【0066】
【表2】
【0067】
本開示は、発現される治療用タンパク質の種類によって制限されない。特定の実施形態では、治療用タンパク質は、抗体または抗体断片(例えば、F(ab)またはF(ab')2)を含む。他の実施形態では、治療用タンパク質は、抗炎症性タンパク質、凝固タンパク質、抗癌タンパク質、抗敗血症タンパク質などからなる群から選択される。
【実施例
【0068】
実施例1
カチオン性リポソーム、続くCPG非含有発現ベクターの連続注射を用いたインビボタンパク質発現
この実施例は、カチオン性リポソーム、これに時間的に密接に続くCPG非含有発現ベクターの連続注射を使用してインビボタンパク質発現を用いた様々な研究を、記載している。
【0069】
方法
リポソーム調製。凍結乾燥粉末としての純粋なDOTAP脂質は、Avanti polar lipidから購入した。純粋なDOTAPカチオン性リポソームは、凍結乾燥粉末を5%デキストロースの水溶液中に20ミリモルの脂質濃度で再懸濁させることによって調製した。その後、この溶液を15分間ボルテックスして、レーザ光散乱によって測定した、平均粒径が350nmの多層状小胞(MLV)を形成した。その後、MLVから、バスソニケーター中で超音波処理することによって小さな単層状小胞(SUV)、平均粒径75nmを形成した。
【0070】
プラスミド構築。使用されるベクターの一般的な図式を図1に示す。一般に、CpG非含有DNAプラスミドベクターは、典型的には、以下のエレメント:mCMV/EF1/I126(851bp)またはhCMV/hCMV/HTLV(873bp)のいずれかのエンハンサー/プロモーター/5'UTR(これらは、対象(例えば、h-GCSF(615bp)またはsoLux(1653bp))の遺伝子に結合している)、最小ポリA(63bp)、βGlobin(434bp)、21q21(1055bp)またはIFN(820bp)に由来するMAR、及びR6KA Ori/Kanr(カナマイシン抗生物質耐性)発現カセット(1206bp)から構成される。R6KOri/Kanr DNAは、3つのエンドヌクレアーゼ制限酵素部位、DraIII、EcoRI及びNheIを含むベースベクターとして設計した。これは、Gibson Assembly technique(NEB、MA)を使用して、gBlockの4つのDNA断片(IDT、IA)から構築した。MAR含有プラスミドについては、βGlobin MARをDraIII-EcoRI部位で塩基ベクターに挿入した。h-GCSFのCpG非含有核酸配列を図2に示す。
【0071】
EcoRIとXbaIとの間に各DNAエレメントを連続挿入することにより、puc19プラスミド骨格を用いて発現カセットを構築した。5'EcoRI及びNheI部位を含むエンハンサー/プロモーターエレメントを、5'UTR、遺伝子、pAまたはpA-MARに、ならびにEcoRI、EcoRV、BstEII、BglII及びXbaI部位でそれぞれpuc19にライゲートした。次いで、発現カセットをEcoRI-XbaIで消化し、EcoRI-NheIで塩基ベクターに挿入し、第2の発現カセット挿入部を挿入するために使用することができる制限部位を含む発現プラスミドを作製した。hG-CSF発現カセットを塩基ベクターにEcoRI-NheIで挿入することにより、二重(Luc-及びGCSF)カセット発現プラスミドを構築した。次に、第2のLuc発現カセットを、EcoRI-NheIでG-CSF発現プラスミドに挿入し、二重カセット、Luc及びGCSF含有単一プラスミドベクターを作製した。
【0072】
プラスミド精製。エンドトキシン非含有プラスミドを、以下のように、5'プライムエンドフリーMaxiカラムで精製した。簡潔に言うと、プラスミドを含有する細菌200mlを37Cで一晩増殖させ、その後回収する。細菌細胞を製造者のプロトコールに従って溶解する。エンドトキシンは、エンドフリーフィルターCSを用いて除去される。イソプロパノールを溶解液に添加し、次いでカラムに充填する。連続洗浄後、カラムを遠心分離し、10分間風乾して残留エタノールを確実に除去する。その後、1mlの乳酸加リンゲル液を用いてDNAをカラムから溶出させる。
【0073】
マウス。21gの雌のCD-1マウスをCharles Riverから購入した。飼育、世話及びすべての手続きは、IACUCの承認されたガイドラインに従って実施された。
【0074】
マウスにおけるカチオン性リポソームその後のプラスミドDNAの連続注射。1グループ当たり3~5匹のマウスに注射した。各マウスにカチオン性リポソーム(MLVまたはSUV)を1回IV注射し、2分後にCPG非含有プラスミドDNAベクターを1回IV注射した。
【0075】
ヒトG-CSFレベルのためのマウス血清の入手、その後の分析。各マウスを麻酔し、その後顎下静脈を介して採血した。その後、血清を全血から単離し、ヒトG-CSFレベルを、R及びDシステムのヒトG-CSF ELISAを用いて、製造業者の仕様書に従って厳密に実施して、pg/mlで測定した。
【0076】
ルシフェラーゼ活性のためのマウス組織の入手、その後の分析。肺を500ulの1×溶解緩衝液(Promega、WI)でホモジナイズした。ホモジネートを、3000×gで、4Cで10分間遠心分離し、上清を集めた。ルシフェラーゼ活性は、GloMax(登録商標)ルミノメーター(Promega、WI)で、20μlの上清及び100μlのルシフェラーゼ試薬を用いて10秒間アッセイした。
【0077】
結果/説明
連続的、カチオン性リポソームIV注射、続くDNAベクター注射によってマウスにおいて産生された血清ヒトG-CSFレベル
1グループ当たり5匹のマウスに注射した。各マウスは、800nmolの純粋なDOTAPカチオン性リポソーム(MLVまたはSUV)、2分後に、80μgのmCMV-EF1-hGCSF、hCMV-hCMV-hGCSFまたはmCMV-EF1-ルシフェラーゼ、CPG非含有、プラスミドDNAベクターの単回のIV注射を受けた。血清hG-CSFレベルは、IV注射後7日目から開始し、その後、7日間隔で評価した。
【0078】
図3に示すように、hG-CSF遺伝子を含む3つのDNAベクターはすべて、注射後7日目に、治療レベルを超えるhG-CSFレベル(好中球数を増加させるために必要とされる≧100pg/ml)を産生した。その後、hG-CSFレベルは21日目まで漸進的に上昇し、それから分析された最後の時点である63日目まで安定したままであった。対照的に、EF1-ルシフェラーゼDNAベクターの同一の連続IV注射によって産生されたhG-CSFレベルは、実験の過程を通して検出できなかった。
【0079】
連続したIV注射カチオン性リポソーム、その後のDNAベクター注射の21日後にWBC及び絶対好中球数
DOTAP MLVの連続IV注射、2分後のEF1-hGCSFまたはEF-1ルシフェラーゼ含有CPG非含有プラスミドDNAベクターのいずれかの単回IV注射の後の21日目に、4匹のマウスのグループから全血を採取した。次いで、各マウスからの血液を、University of California Davis獣医診断研究所による総WBC、及び絶対好中球数について、盲検様式で分析した。
【0080】
図4に示すように、DOTAPカチオン性リポソームの1回の連続IV注射とそれに続くEF1-hG-CSF DNAのIV注射は、EF1-ルシフェラーゼ、プラスミドDNAベクターの連続注射を受けた偽注射対照マウスと比較して、注射後21日目に絶対好中球数を約10倍及び総WBCを約4倍に増加させた。これらの結果は、hG-CSF遺伝子でコードされたタンパク質産物が、処置されたマウスにおいて完全に機能的であったことを証明している。まとめると、21日目(図3参照)に産生された治療用hG-CSFタンパク質レベルよりも10~15倍で結合したEF1-hG-CSF DNAベクターにより産生された絶対好中球数の高レベルの増加は、カチオン性リポソーム、続くCPG非含有DNAベクターの単回の連続IV注射すると、現在のFDA承認の組換えヒトタンパク質治療の治療効果を延長することができることを実証している。
【0081】
単一または二重カセットのhG-CSF単一プラスミドベクターの連続IV注射によるマウス産生血清ヒトG-CSFレベル
800nmolの純粋なDOTAP MLVカチオン性リポソームを連続IV注射し、2分後に40μgのEF1-ルシフェラーゼ-EF1-hGCSF(2発現カセット)またはEF1-hGCSF(1発現カセット)、CPG非含有、単一プラスミドDNAベクターをIV注射したのち、6日目または14日目のいずれかにおいて4匹のマウスのグループから血清を採取した。
【0082】
図5に示されるように、hG-CSF遺伝子を含む単一及び二重カセットDNAベクターはそれぞれ、注射後6日目に治療レベルを超える血清hG-CSFレベル(好中球数を増加させるために必要とされる≧100pg/ml)951及び423pg/mlを産生した。単一のカセットベクターは14日目にさらに高い治療レベル、1941pg/mlを産生した。対照的に、二重カセット単一プラスミドDNAベクターにより14日目に産生されたhG-CSFレベルは、100pg/ml未満のhG-CSFタンパク質レベルは治療的ではないように、治療レベル未満(93pg/ml)に低下していた。従って、第2の発現カセットを加えることにより、第1のカセットに含まれる遺伝子の発現期間を制御することができる。
【0083】
カチオン性リポソーム、その後のhG-CSF遺伝子に連結された異なるプロモーター-エンハンサー組合せを含有するDNAのIV注射の21日後における、マウスの血清hG-CSFレベル
800nmolの純粋なDOTAP MLVカチオン性リポソームを連続IV注射し、その2分後に60μgのhG-CSF遺伝子(これらは以下のエンハンサー-プロモーターの組合せ:CPGを含まない単一のカセットであるDNAベクター中の、mCMV-EF1、hCMV-hCMV、hCMV-フェリチン(hferritin)軽鎖、hCMV-フェリチン重鎖、hCMV-グルコース調節タンパク質78またはmCMV-フェリン(hferritin)軽鎖それぞれの1つに連結している)をIV注射し、その21日目後に4匹のマウスのグループから血清を採取した。
【0084】
図6に示されるように、治療レベルを超えるhG-CSF血清レベルの範囲が、hG-CSF遺伝子にそれぞれ連結された、mCMV-EF-1(2120pg/ml)、hCMV-hCMV(1516pg/ml)、hCMV-FerL(699pg/ml)、hCMV-Grp78(343pg/ml)及びmCMV-FerL(303pg/ml)-駆動DNAベクターにより、21日目に産生された。対照的に、hCMV-FerH-hG-CSF DNAベクター(52pg/ml)は、治療量未満のhG-CSFレベルを産生した。まとめると、これらの結果は、プロモーター-エンハンサーの組合せを変化させることにより、単回注射の21日後に、治療量の20倍を超えるレベルから治療量未満の様々な範囲のhG-CSFタンパク質レベルを産生することができることを明らかにしている(好中球数を増加させるには、hG-CSFタンパク質レベル≧100pg/mlが必要である)。
【0085】
カチオン性リポソーム、その後の単一カセット、EF1-ルシフェラーゼDNA単独または薬剤との組合せの連続IV注射の7日後における、マウス肺ルシフェラーゼレベル
800nmolの純粋なDOTAP MLVカチオン性リポソーム単独、または2mg/kgのL-アルギニン、0.01mg/kgのコルヒチンまたは1mg/kgのデキサメタゾンを含む上記カチオン性リポソームを連続IV注射し、その7日後に、4匹のマウスのグループから肺を採取した。いずれの場合も、カチオン性リポソーム注射の2分後、40μgのmCMV-EF1-ルシフェラーゼ、CPG非含有、単一カセットDNAベクターのIV注射がなされた。
【0086】
図7に示すように、DOTAP MLV単独の連続注射を受けたマウス(対照)と比較して、コルヒチンまたはデキサメタゾンのいずれかをリポソームと一緒に投与されたマウスは、肺においてより高いルシフェラーゼ活性を示した。対照的に、リポソームと共にL-アルギニンを投与されたマウスは、遺伝子発現レベルを増加させることができなかった。従って、選択された薬剤をリポソームと共に同時注射することにより、連続的なカチオン性リポソーム、その後のDNA注射によって送達される遺伝子の発現レベル及び期間を増加させることができる。
【0087】
カチオン性リポソーム、その後の2重カセット、EF1-hG-CSF-EF1-ルシフェラーゼDNA単独または薬剤(複数可)との組合せの連続IV注射の7日後のマウス肺ルシフェラーゼレベル
800nmolの純粋なDOTAP MLVカチオン性リポソーム単独、または2mg/kgのL-アルギニン、1mg/kgのデキサメタゾン、0.02mg/kgのシルデナフィル、0.1mg/kgのバルプロ酸または2mg/kgのL-アルギニン+0.02mg/kgのシルデナフィル(VIAGRA)を含有する上記カチオン性リポソームをIV注射し、その7日後に、4匹のマウスのグループから肺を採取した。いずれの場合も、カチオン性リポソーム注射の2分後に、40μgのEF1-ルシフェラーゼ--EF1-hGCSF、2発現カセット、CPG非含有単一プラスミドDNAベクターのIV注射がなされた。
【0088】
図8に示すように、DOTAP MLV単独の連続注射を受けたマウス(対照)と比較して、デキサメタゾン、バルプロ酸またはシルデナフィル単独、またはリポソームと共にL-アルギニン+シルデナフィルを投与されたマウスは、肺においてより高いルシフェラーゼ活性を示した。対照的に、リポソームと共にL-アルギニンまたはバルプロ酸のいずれかを投与されたマウスは、対照より低いか、または対照と同等であった。従って、同時注射された薬剤に依存して、送達される遺伝子の発現レベルを増加または減少させることができる。
【0089】
カチオン性リポソーム、その後の、それぞれがMARを有するかまたは有することはなく、全てがルシフェラーゼ遺伝子に連結された一連の異なるプロモーター-エンハンサーの組合せの1つを含むDNAベクターの、連続IV注射の10日後におけるマウス肺ルシフェラーゼレベル
800nmolの純粋なDOTAP MLVカチオン性リポソームの連続IV注射、その2分後に、以下のエンハンサー-プロモーター:hCMV-hCMV、hCMV-ヒトフェリチン重鎖、hCMV-CBOX(ヒトカルボキシペプチダーゼB1)、mCMV-hCMV、mCMV-CBOX及びmCMV-EF1(それぞれCPGを含まない単一カセットDNAベクター中のルシフェラーゼ遺伝子に連結している)の組合せの1つに連結したルシフェラーゼ遺伝子40μgをIV注射し、その10日後に、3匹のマウスのグループから肺を採取した。
【0090】
図9は、MARを欠き、hCMVに連結されたhCMVエンハンサー、フェリチン重鎖またはCBOXプロモーターを含むDNAベクターが、MARエレメントを含む対応するベクターより高い肺ルシフェラーゼレベルを産生することを示している。対照的に、MAR、及びhCMV、EF1またはCBOXプロモーターに連結されたmCMVエンハンサーの両方を含むDNAベクターは、MARエレメントを欠く対応するベクターほど高いレベルの肺ルシフェラーゼを産生することができなかった。従って、MARを欠いてCPGを含まないDNAベクターは、MAR含有ベクターよりも耐久性のある発現を産生し得る。
【0091】
PEI:EF-1 Luc DNA複合体のIV注射、またはカチオン性リポソーム、その後の、同一のEF-1 Luc DNAの連続IV注射の1日後または5日後におけるマウス肺ルシフェラーゼレベル
1:4のN:P比で22kDaの線状PEIに複合体化された12.5μgのCPG非含有EF-1-Luc DNAベクターをIV注射、または、900nmolの純粋なDOTAP MLVカチオン性リポソームの連続IV注射、その2分後の40μgの同じEF-1-Luc DNAベクターのIV注射の、1日または5日後において3匹のマウスのグループから肺を採取した。
【0092】
図10は、カチオン性リポソーム、その1日後のDNAを連続して注射したマウスよりもPEI:DNAを注射したマウスが、肺ルシフェラーゼレベルが一貫して高いことを示している。しかしながら、肺ルシフェラーゼレベルは、5日目までにPEI:DNA注射マウスにおいて約100倍低下していた。直接対比すると、連続的にIV注射したマウス由来の肺ルシフェラーゼレベルは、注射後5日目までに上昇した。ルシフェラーゼレベルは、5日目に屠殺したPEI:DNA注射マウスに存在するレベルよりも、連続注射したマウスでは最大150倍高かった。従って、連続カチオン性リポソーム、その後のDNA注射は、PEI:DNA複合体として注射された同じCPG非含有DNAと比較した場合、後の時点でより高いレベルの遺伝子発現を産生する。
【0093】
7つの異なるカチオン性リポソーム製剤のうちの1つ、その後の単一のカセットEF1-ルシフェラーゼDNAの連続IV注射の1日後における、マウス肺ルシフェラーゼレベル
800nmolの、純粋なDOTAP MLV、純粋なDOTAP SUV、DOTAP:コレステロール2:1MLV、DOTAP:ジオレリル(diolelyl)ホスファチジルコリン(DOPC)1:1MLV、DSTAP MLV、エチルDSPC MLVまたはDOTAP:DOBAQ1:1MLVのカチオン性リポソームの連続IV注射の1日後に、4匹のマウスのグループから肺を採取した。それぞれの場合において、カチオン性リポソーム注射の2分後に、80μgのmCMV-EF1-ルシフェラーゼ、CPG非含有単一カセットDNAベクターのIV注射がなされた。
【0094】
図11に示すように、純粋なDOTAP MLVの連続IV注射を受けたマウスの肺ルシフェラーゼレベルと比較すると、DOTAP SUV、DOTAP:コレステロールまたはDOTAP:DOPCのカチオン性リポソーム製剤を受けたマウスは、DOTAP MLVに近似するかまたはそれ以上の遺伝子発現レベルを産生した。対照的に、DSTAP、エチルDSPCまたはDOTAP:DOBAQ MLVを投与されたマウスは、非常に低いまたはほとんど検出不可能な肺ルシフェラーゼレベルのいずれかを産生した。DOTAP MLVは、カチオン性リポソーム:DNA複合体として注射された場合のDOTAP SUVよりも1700倍高いレベルの遺伝子発現を産生するので、DOTAP SUVがDOTAP MLVに近似する遺伝子発現レベルを産生することは予想外であった(Nature Biotechnology,15:167-173;1996、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0095】
PEI:EF-1 Luc DNA複合体単独または4種の異なる薬剤の1種と混合した上記複合体のIV注射の1日後におけるマウス脾臓ルシフェラーゼレベル
1:4のN:P比で22kDaの線状PEIと複合体化した12.5μgのCPG非含有EF-1-Luc DNAベクターのIV注射の1日後の3匹のマウスのグループから、脾臓を採取した。マウスは、PEI:DNA複合体IV注射を受ける2時間前に、マウス1匹当たり、1mlの5%DMSO単独、または200μgのアンレキサノクス、1mgのクロロキン、200μgのSAHAまたは300μgのトファシチニブを含む上記1mlの5%DMSOのいずれかの腹腔内注射を受けた。
【0096】
図12は、CPG非含有DNAを注射する前の抗炎症剤アンレキサノクス、クロロキンまたはSAHAの前注射は遺伝子発現レベルを増加させたが、トファシチニブは遺伝子発現を増加させなかったことを示している。特に、アンレキサノクスは、TBK1誘導性インターフェロン活性化経路の選択的阻害剤であり、遺伝子発現レベルを増加させた。従って、選択された抗炎症剤の前注射は、遺伝子治療のためのCPG非含有DNAの有効性をさらに増加させることができる。
【0097】
カチオン性リポソーム、その後の一連の二重カセットEF-1-Luc--hG-CSF DNAベクターの1つの連続IV注射の1または7日後におけるマウス肺ルシフェラーゼレベル
800nmolの純粋なDOTAP MLVカチオン性リポソーム、続く2分後の40μgのEF1-Luc--EF1-hGCSF、EF1-Luc--hCMV-hCMV-hGCSF、EF1-Luc--hCMV-hCBOX-hGCSF、EF1-Luc--hCMV-hREG1-hGCSFまたはEF1-Luc--mCMV-hCBOX-hGCSFの2発現カセット、CPG非含有単一プラスミドDNAベクターの、連続IV注射の1または7日後に、4つのマウスのグループから肺を採取した。
【0098】
図13は、各カセットにEF1プロモーターを含むEF1-Luc--EF1-hGCSF二重カセットベクターの連続注射を受けたマウス(対照)と比較した場合、1つのカセット中のEF1プロモーター及び第2のカセット中の別のプロモーターを含む他の4つの二重カセットDNAベクターのそれぞれを受けたマウスは、注射後1日目と7日目の両方において、肺において一貫してより高いルシフェラーゼ活性を示した。各カセット中に異なるプロモーターを含む二重カセットベクターは、両カセット中にEF-1プロモーターを含む二重カセットベクターにより産生されるよりも各時点で最大10倍まで、またはそれ以上高い肺ルシフェラーゼレベルを産生した。従って、マルチカセットベクターの異なるカセットにおける異なるプロモーターエレメントの使用は、それらが産生する遺伝子発現のレベル及び期間を顕著に増加させることができる。
【0099】
中性リポソームの同時注射を使用するか、または使用しない、カチオン性リポソーム連続IV注射、続く二重カセット、単一プラスミドベクターのIV注射の1日後におけるマウスで産生された血清ヒトG-CSFレベル
中性MLVリポソームは、Phospholipon 90H、Lipoid GmbHから調製された。この製品の脂肪酸含量は15%のパルミチン酸、85%のステアリン酸である。リポソームは、ロータリーエバポレーターで有機溶媒中の脂質を乾燥させ、次いで乾燥した脂質膜を5%デキストロース水溶液に50ミリモルの脂質濃度で再懸濁させるか、または脂質を水和して5%(w/v)デキストロース中の乾燥粉末とすることのいずれかにより調製した。両方とも60℃で調製した。次いで、溶液を15分間ボルテックスしてMLVを形成させた。4匹のマウスのグループから、緩衝液のみの(対照)、1000nmolの純粋なDOTAP SUVカチオン性リポソーム単独、または1000nmolの中性MLVと同時注射の連続IV注射、その2分後の120μgのEF1-ルシフェラーゼ--EF1-hGCSF(2発現カセット)、CPG非含有単一プラスミドDNAベクターまたは1400nmolの純粋なDOTAP SUVカチオン性リポソームを単独または1000nmolの中性MLVと同時注射のIV注射、その2分後の100μgのEF1-ルシフェラーゼ--EF1-hGCSF DNAのIV注射し、その1日後に血清を採取した。
【0100】
図14に示すように、純粋なDOTAP SUVを中性MLV、その後EF1-ルシフェラーゼ--EF1-hGCSF DNAと共に連続的に同時注射した1日後に産生した血清hG-CSFレベルは、中性MLVのないDOTAP SUVの連続注射と比較して3倍から600倍に増加した。従って、中性リポソームをカチオン性リポソームと共に同時注射することにより、産生される遺伝子発現のピークレベルを顕著に増加させることができる。さらに、中性リポソームを同時注射することは、中性リポソームを同時注射することなくカチオン性リポソーム対DNAの様々な比率を連続注射することによって産生される遺伝子発現レベルの変動を排除するようである。
【0101】
中性リポソームとカチオン性リポソームの連続静脈IV注射、続く二重カセットプラスミドベクターのIV注射の1または7日後のマウスで産生された血清ヒトG-CSFレベル
1000nmolの中性MLVと同時注射される1000nmolの純粋なDOTAP SUVカチオン性リポソームを連続IV注射し、2分後に、1400nmolと中性MLVと同時注射される120μgのCPG非含有EF1-ルシフェラーゼ--EF1-hGCSF DNAまたは1000nmolの純粋なDOTAP SUVカチオン性リポソームのIV注射、2分間後に100μgのEF1-ルシフェラーゼ--EF1-hGCSF DNAのIV注射の後、7日目に4匹のマウスのグループから血清を採取した。また、緩衝液のみ(対照)、それぞれ、1000、750、500、250または100nmolの中性MLVと同時注射される800nmolの純粋なDOTAP SUVカチオン性リポソームのIV注射、続いて2分後に90μgのEF1-ルシフェラーゼ--EF1-hGCSFをIV注射の後1日目に4匹のマウスのグループから血清を採取した。
【0102】
図15に示すように、純粋なDOTAP SUVを中性MLVとともに同時注射することによって産生された血清hG-CSFレベルは、注射後1日で同じマウスで産生されたhG-CSFレベルと比較して約100倍低下した(これらの同じマウスの注射後1日目に産生されたhG-CSFレベルについては図14参照)。従って、中性リポソームをカチオン性リポソームと同時注射すると、送達される遺伝子のピーク発現及び長期発現の両方を大きく変えることができる。さらに、同時注射された中性リポソーム対カチオン性リポソームの比は、同時注射された中性リポソームが連続的に送達される遺伝子の発現の増加させる程度を決定する。
【0103】
異なるカチオン性リポソーム製剤、その後の単一のカセット、CPG非含有EF1-hG-CSF DNAの連続IV注射後7日目におけるマウス血清hG-CSFレベル
800または1000ナノモルの純粋なDOTAP SUVまたはMLVカチオン性リポソームのいずれかの連続IV注射の後7日目に、4匹のマウスのグループから血清を採取した。3つのカチオン性リポソーム製剤のそれぞれの注射の後、2分後に、100または120μgのいずれかのmCMV-EF1-h-G-CSF、CPG非含有単一カセットDNAベクターのIV注射を行った。0.1μmの押出カチオン性リポソームは、MLVから、Lipex押出装置中で高アルゴンガス圧下にてサイズ化ポリカーボネート膜を通して逐次押出しにより作製した。
【0104】
図16に示されているように、及びナノモルのカチオン性リポソーム対注射されたμgのDNAの比に部分的に依存して、純粋なDOTAP SUV及び作製された0.1μm押出カチオン性リポソームは、MLVカチオン性リポソームによって産生されたものと同様に効率的にhG-CSFの高レベル発現を拡大した。それゆえ、SUV及び0.1μmの押出(オリゴラメラ)カチオン性リポソームは、カチオン性リポソーム、その後CPG非含有DNAの連続注射に用いた時のMLVほどに有効である。
【0105】
実施例2
長期発現
この実施例では、1グループ当たり5匹のマウスに、DOTAP MLVまたはSUVのいずれか800nmol、続いてEF1-またはhCMV-駆動hG-CSF cDNAを含有するCPG非含有プラスミドベクター90ugを連続注射した。ヒトG-CSFタンパク質の血清レベルを、注射後に続く428日間において、7日または14日間隔で評価した。ヒトG-CSFレベルのためのマウス血清の取得及び分析は以下のようにして行った。各マウスを麻酔し、顎下静脈を介して採血した。BDからの血清分離管を用いて全血から血清を単離した。ヒトG-CSFレベルは、R&D systemsのヒトG-CSF ELISAを用いて、製造業者の仕様書に従って厳密に実施されたELISAによってpg/mlで測定された。結果は図17に示されており、DOTAP SUVリポソーム、次いでEF1-huG-CSFプラスミドDNAベクターの単回IV注射を受けた後、少なくとも428日の間、完全免疫応答性マウスにおいてヒトG-CSFタンパク質の治療レベルを超えるレベルが産生されたことを示している。
【0106】
実施例3
ラットでのタンパク質発現
この実施例では、250gのSprague-Dawley雌ラット#22及び23に、6000nmolのDOTAP SUV、その後EF1駆動hG-CSF DNAベクターを含有する300ugのCPG非含有プラスミドベクターを連続して注射した。注射後7日間隔で、ヒトG-CSFタンパク質、WBC及び絶対好中球数(ANC)の血清レベルを評価した。血清ALT及びASTレベルは、1日目のみで評価した。すべてがUC Davis比較病理研究所で評価された。図18及び下記の表3に示すように、EF1-huG-CSFを注射したラットでは、単回IV注射後少なくとも22日間、治療レベルを超えるレベルのhG-CSFタンパク質及び顕著に上昇したWBC及びANCが産生された。注射後1日目に測定したALT及びASTは、注射していないラットのバックグラウンド対照レベルに匹敵した。
【0107】
【表3】
【0108】
実施例4
DPTAPリポソーム
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスに注射した。各マウスは、900nmolのDOTAP、DMTAP、またはDPTAP(1,2-ジパルミトイル3-トリメチルアンモニウムプロパン)SUVリポソームの単回IV注射を受け、その2分後にhG-CSFをコードする70ugのEF-1プラスミドDNAベクターの単回IV注射を受けた。hG-CSFの血清レベルを、注射後24時間で、ELISAによって決定した。図19は、HuG-CSFタンパク質が、DOTAPまたはDPTAPで処置されたがDMTAPで処置されていないマウスからの血清中に存在することを示している。これらのデータは、複数のカチオン性脂質がインビボでのトランスフェクションを媒介することができ、タンパク質産生のレベルは脂質キャリアの選択によって制御することができることを示している。
【0109】
実施例5
毒性は48時間以内に消散する
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスに注射した。マウスはCharles River Labsから購入した。各マウスは、示されたようにDOTAP SUVリポソームの1000ナノモル、1200ナノモル、または1400ナノモルの単回IV注射を受け、2分後に100μg、120μgまたは140μgの、ルシフェラーゼをコードするCPG非含有EF-1駆動プラスミドDNAベクターの単回IV注射を受けた。注射後24時間または48時間に血清を採取した。ALT及びAST測定は、UC Davis比較病理研究所でアッセイした。図20に示すように、連続注射の24時間後に、ALT及びASTの血清レベルは、すべての脂質その後のDNAグループにおいて2倍から5倍に上昇した。48時間後、血清ALT及びASTレベルは対照(バックグラウンド)レベルに戻った(偽注射グループによって示される)。これらのデータは、ALT/ASTによって測定された毒性が急性(注射の24時間以内に存在する)であり、一過性(48時間で消失)であることを示している。
【0110】
実施例6
DexPを含むリポソーム
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスに注射した。各マウスは、純粋なDOTAP SUVリポソームのいずれか900ナノモルの単回IV注射を受けたか、または各マウスは、純粋なDOTAP SUVリポソームまたはリポソーム二重層中に組み込まれたパルミテートに共有結合したデキサメタゾン(DexP)の示されたモル%を含むリポソームのいずれかの900ナノモルの単回IV注射を受けた。リポソーム二重層への5%コレステリルパルミテート(CholP)の組み込みが対照の役目を担う。この2分後に、hG-CSFをコードする90ugのプラスミドDNAの単回IV注射を行った。hG-CSFの血清レベルを、注射後24時間においてELISAによって決定し、ALT測定をUC Davis比較病理学研究所でアッセイした。図21に示すように、連続注射後24時間で、ALTレベルで測定した毒性は、乳酸加リンゲル液のみ(ALT対照)を偽注射した動物で見られる毒性よりも2~3倍高い。リポソーム二重層中に2.5%デキサメタゾンパルミテート(DexP)を組み込むことにより、hG-CSFのピーク発現を増加させ、且つ24時間でALTレベルをバックグラウンド(正常)レベルの1.5倍以内に減少させる二重効果を生じた。
【0111】
実施例7
DexPは毒性を軽減し、発現を増加させる
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスに注射した。各マウスは、純粋なDOTAP SUVリポソーム、またはDOTAPリポソームのリポソーム二重層に組み込まれたパルミテートに共有結合した2.5モル%のデキサメタゾン(DexP)を含有するリポソームのいずれかの900ナノモルの単回IV注射を受けた。この2分後、hG-CSFをコードするEF-1駆動プラスミドDNAベクター130ug(高)または40μg(低)のいずれかの単回IV注射を行った。2つのグループは、1マイクロモルのデキサメタゾンパルミテートのIP注射で、IV注射の2時間前に処置した。hG-CSFの血清レベルを、注射後24時間のELISAによって決定し、ALT測定を、UC Davis比較病理研究所により24時間でアッセイした。図22に示すように、130ugのDNAの連続注射により、24時間後に40ugのDNAより顕著に高いhG-CSFタンパク質レベルを産生した。どちらのDNA用量でも、2.5モル%のデキサメタゾンパルミテートをリポソームに含めることにより、hG-CSFタンパク質レベルがさらに増加した。さらに、デキサメタゾンパルミテートをリポソームに組み込むことにより、ALTレベルは、はるかに高いDNA用量であっても、バックグラウンド(正常)レベルの1.5倍以内に低下した。
【0112】
実施例8
Dex注射の前後
この実施例では、15mg/kgのトファシチニブまたは40mg/kgのデキサメタゾンをマウスにIP前注射し、2時間後に900nmolのDOTAP SUV、その後の70ugのCPG非含有EF-1駆動hG-CSFプラスミドベクターを連続IV注射した。トファシチニブまたはデキサメタゾンの別のIP注射を、DNAの注射の2時間後に行った。図23に示すように、連続したカチオン性リポソームその後のDNA注射の前及び後のデキサメタゾンの投与は、共にHuG-CSFタンパク質レベルを顕著に増加させる一方、バックグラウンド(正常)レベルの1.5倍以内に毒性を同時に減少させた。対照的に、免疫抑制剤トファシチニブの前及び後の注射はどちらも減少させなかった。
【0113】
実施例9
脂質対DNA比
この実施例では、グループ当たり3匹のマウスに、DOTAPリポソームのリポソーム二重層中に組み込まれたパルミテートに共有結合した2.5モル%のデキサメタゾン(DexP)を含有するDOTAP SUVリポソーム(1回の注射当たり100uLの最終容量の乳酸加リンゲル液(LR)に懸濁)900、1000、1200または1500ナノモルのIV注射を行い、その2分後に40、60または75ugのCPGを非含有EF-1駆動hG-CSFプラスミドベクターで1回の注射当たり100μLにてIV注射した。偽注射されたマウスは、脂質またはDNAなしのLRのみを受けた。24時間後、hG-CSFタンパク質及びALTの血清レベルをアッセイした。図24に示すように、DOTAP SUV脂質対プラスミドDNA(ナノモル脂質:mgDNA)比が26:1未満のものを連続注射したマウスのhG-CSFタンパク質及びALTレベルは、毒性を防止しながら顕著に高いhG-CSFタンパク質レベルを産生した。一方、脂質またはDNA注射を受けていない対照マウスにおいて、バックグラウンド(正常)レベルに対して1.5倍以内または等しいのいずれかのALTレベルを産生することが立証された。
【0114】
実施例10
リツキシマブ発現
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスに注射した。各マウスは、純粋なDOTAPカチオン性リポソーム、またはDOTAPリポソームのリポソーム二重層に組み込まれたパルミテートに共有結合した2.5モル%のデキサメタゾン(DexP)を含むリポソームのいずれか1000ナノモルの単回IV注射を受けた。この2分後、リツキシマブ重鎖及び軽鎖をコードする二重カセット単一プラスミドDNAベクター100ug(図36、40、及び41の構築物を参照)の単回IV注射が行われた。血清リツキシマブレベルは、注射の24時間後、その後の7日間隔においてELISAによって決定された。マウスは採血され、G-CSFと同様に血清を単離した。Eagle Biosciencesから得られたImmunoguide ELISAを用いてリツキシマブレベルを測定し、指示書に従って実施した。図25に示すように、IPデキサメタゾン前処置+DOTAPリポソーム中の2.5モル%デキサメタゾンパルミテートの組込みは、注射後少なくとも3週間で血清リツキシマブレベルを5倍以上増加させる。
【0115】
実施例11
リツキシマブ発現
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスを注射した。各マウスは、純粋なDOTAPカチオン性リポソーム、またはDOTAPリポソームのリポソーム二重層に組み込まれたパルミテートに共有結合した2.5モル%のデキサメタゾン(DexP)を含むリポソームのいずれか1000ナノモルの単回IV注射を受けた。この2分後、リツキシマブをコードするEF-1-駆動2重カセット単一プラスミドDNAベクター(図36、40、及び41の構築物を参照)100ugの単回IV注射が行われた。1グループを、IV注射の2時間前に、40mg/kgのデキサメタゾン(Dex)及び1000ナノモルの中性脂質(NL)、DMPCのIP注射で処置した。血清リツキシマブレベルの注射マウスを、注射後24時間及びその後7日間の間隔でELISAによって測定した。図26に示すように、すべてのマウスは、1回の注射後に少なくとも12週間、顕著なレベルの血清リツキシマブタンパク質を産生した。Dex、DexP及びNLの組合せを受けたマウスは、経時的に著しく高い血清リツキシマブレベルを産生した。これらのデータは、2重カセットリツキシマブプラスミドDNAベクターの1回の連続注射により、90日を超えて、動物において顕著なレベルの血清リツキシマブタンパク質を産生することができることを示している。
【0116】
実施例12
2重カセット、単一プラスミドリツキシマブ発現
この実施例では、Raji細胞(百万個/サンプル)を、EDTA及び0.5%BSAを含むFACS結合緩衝液中で、マウス血清サンプルまたは組換えリツキシマブ(50ng/ml)と4Cで1時間インキュベートした。洗浄後、試料を蛍光標識二次抗体(抗ヒトIgG-PE)と共に30分間インキュベートして、洗浄し、Accuriフローサイトメーターを用いて分析した。各試料について、3500~5000の事象が記録された。実験を2回繰り返し、同様の結果を得た。
【0117】
図27は、FACSプロットは4つの実験条件について蛍光強度を表示していることを示す。上のパネルは、対照(HuG-CSF)DNAプラスミドベクター注射マウスまたは二次抗体単独からのマウス血清を含有するサンプルを示し、これはPEチャネルにおいて低いバックグラウンドレベルの蛍光を示す(約300)。下の2つのパネルは、組換えリツキシマブタンパク質(左パネル)及びリツキシマブプラスミドDNAベクター投与後のマウス血清(右パネル)を示す。両方の試料とも、以下の表4に示すように、バックグラウンドよりも10倍以上の蛍光強度を示し、マウス血清中に存在するリツキシマブが、組換えリツキシマブタンパク質と同様の程度まで標的CD20発現ヒトRaji B細胞に結合することを実証している。従って、二重カセット、単一プラスミドリツキシマブDNAベクターの注射の6週間後のマウス血清中に存在するリツキシマブは、CD20+標的ヒトB細胞に完全に機能的に結合する。
【0118】
【表4】
【0119】
実施例13
機能性リツキシマブを発現する
この実施例では、Raji細胞(5×104細胞/ウェル)をRPMI+10%FBS培地を用いて96ウェルプレートに入れた。翌日、細胞をリツキシマブ(1,10ug/ml)またはマウス血清サンプル(20μl/ウェル)と共に室温で1時間インキュベートした。その後、プールされた正常ヒト血漿(Innovative Research)20ulをすべてのウェルに添加し(リツキシマブ対照条件を除く)、プレートを37℃でさらに12時間インキュベートした。細胞生存率は、Promega Cell titer glo試薬を製造者の指示書に従って使用して測定した。図28では、値は、huG-CSF DNAプラスミドDNAベクターを注射したマウス由来の血清が使用された対照条件からの変化率として示す。個々のマウス血清を、血清収集の8~78日前に、二重カセット単一プラスミドリツキシマブDNAベクターの単一連続注射を受けた5つの異なるマウスのグループから試験した。
【0120】
この実施例の結果を図28に示す。2重カセット単一プラスミドリツキシマブDNAベクターを予め注射したマウスの血清を、まずELISAによって分析して血清リツキシマブ濃度を定量した。その後、これらのリツキシマブ含有血清を細胞溶解アッセイに添加することにより、組換えリツキシマブ(Invivogen)に相当する方法でCD-20+ヒトRaji B細胞を溶解することが示された。さらに、実証された溶解活性を有する機能的血清リツキシマブタンパク質を、11週間にわたって5回の別々の注射実験を通して動物から単離し、その再現性のある溶解効力を経時的に実証した。
【0121】
実施例14
リツキシマブの発現増強
この実施例では、1グループ当たり250gmのSprague-Dawley雌ラット2匹に、最初に40mg/kgのデキサメタゾンを前注射し、次いで4400nmolの中性DMPC脂質を含むまたは含まないリポソーム二重層に組み込んだパルミテートに共有結合した2.5モル%のデキサメタゾン(DexP)を含む4400nmolのDOTAP SUVリポソーム、その後EF1駆動リツキシマブcDNAを含む360μgの二重カセット単一プラスミドDNAベクターを連続注射した(図36、40、及び41の構築物を参照)。ヒトリツキシマブタンパク質の血清レベルを、注射後7日間隔で評価した。図29は、単一IV注射後少なくとも15日間、中性脂質も投与されたラットにおいて、著しく高いレベルの血清リツキシマブタンパク質が産生されたことを示している。
【0122】
実施例15
コドン最適化リツキシマブ発現
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスに注射した。各マウスは、DOTAPリポソームのリポソーム二重層に組み込まれたパルミテートに共有結合した2.5モル%のデキサメタゾン(DexP)を含有する1000ナノモルのリポソームの単回IV注射を受けた。この2分後、リツキシマブをコードする2重カセット単一プラスミドEF-1駆動DNAベクター100ugの単回IV注射を行った(図36、42及び43の構築物を参照)。番号のついたプラスミド(図30)は、コドン最適化リツキシマブDNA配列ではなくオリジナルのCpG非含有コドン最適化バージョンであった。リツキシマブの血清レベルを、注射の24時間後にELISAによって決定した。図30は、連続注射後24時間で、コドン最適化DMAベクター6が、非コドン最適化リツキシマブDNAベクターよりも著しく高いレベルの血清リツキシマブタンパク質を産生したことを示している。
【0123】
実施例16
コドン最適化リツキシマブ発現
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスに注射した。各マウスは、リポソーム二重層に組み込まれたパルミテートに共有結合した2.5モル%のデキサメタゾン(DexP)を含有するDOTAPカチオン性リポソーム(示されたように900ナノモルまたは1050ナノモル)の単回IV注射を受けた。この2分後、リツキシマブをコードする二重カセット、コドン最適化単一プラスミドDNAの75ugの単回IV注射を行った(図36、42及び43の構築物を参照)。両方のグループを、IV注射の2時間前に、40mg/kgデキサメタゾンのIP注射で処置した。リツキシマブの血清レベルを、注射の24時間後及びその後の7日間の間隔でのELISAによって決定した。図31は、コドン最適化2重カセット単一プラスミドリツキシマブDNAベクターの1回の連続IV注射により、少なくとも次の60日間は拡大した血清リツキシマブレベルを産生することを示している。血清リツキシマブレベルは、単回の連続IV注射後、経時的に上昇する。
【0124】
実施例17
バルプロ酸とテオフィリンはタンパク質発現を増加させる
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスに注射した。各マウスは、DOTAPリポソームのリポソーム二重層に組み込まれたパルミテートに共有結合した2.5モル%のデキサメタゾン(DexP)を含有する1050nmolのリポソームの単回IV注射を受けた。この2分後、リツキシマブをコードする二重カセットプラスミドDNA75ugの単回IV注射が行われた。全てのグループを、IV注射の2時間前に、40mg/kgのデキサメタゾンのIP注射により処置した。図32に示す場合、15mg/kgのバルプロ酸(VPA)、2mg/kgのVPA、30mg/kgのテオフィリン(Theo)または15mg/kgのTheoのIP注射によっても動物に前処置した。血清リツキシマブレベルは、注射の24時間後にELISAによって測定した。図32は、薬剤バルプロ酸またはテオフィリンによる前処置によって産生される血清リツキシマブレベルが顕著に増加したため、脂質またはDNAの用量を変えずにタンパク質レベルをさらに高めるための枠組みを提供することを示している。
【0125】
実施例18
2重または単一カセットリツキシマブの発現
この実施例では、40mg/kgのデキサメタゾンをマウスのIPに前注射した。2時間後、これらに、リポソーム二重層に組み込まれたパルミテートに共有結合した2.5モル%のデキサメタゾン(DexP)を含む1050または1500nmolのDOTAP SUVリポソーム、続いて60μgまたは75μgのプラスミドDNAを連続的に注射した。注射されたプラスミドDNA構築物は、2A自己切断ペプチドDNA配列によって分離されたリツキシマブ重鎖及び軽鎖の配列を含有する、コドン最適化二重カセット単一プラスミドDNAベクター(図36、42及び43の構築物を参照)、またはコドン最適化単一カセットプラスミド(図36、37及び39の構築物を参照)のいずれかであった。血清リツキシマブレベルは、注射の24時間後にELISAによって測定した。図33は、連続注射後24時間で、リツキシマブをコードする単一のカセットベクターを含有する2Aペプチドを受けたマウスは、400ng/mlに近い血清レベルを産生し、これは二重カセットベクターによって産生されるレベルの約3分の1に当たることを示している。従って、顕著なリツキシマブ血清レベルは、二重または単一カセットの2Aペプチド含有DNAベクターのいずれかによって産生され得る。
【0126】
実施例19
脂質対DNA比及びリツキシマブ発現
この実施例では、グループ当たり3匹のマウスに、乳酸加リンゲル液(LR)に注射当たり100uLの最終容量で懸濁された、リポソーム二重層に組み込まれたパルミテートに共有結合したデキサメタゾン(DexP)2.5モル%を含有するDOTAP SUVリポソームの900、1050、1200、1500または1650nmolをIV注射し、その2分後にCPGを含まない二重カセット単一プラスミドリツキシマブベクター75ugを注射当たり100μLでIV注射した。偽注射されたマウスは、脂質またはDNAなしでのみLRを受けた。24時間後、リツキシマブタンパク質及びALTの血清レベルをアッセイした。図34は、DOTAP SUV脂質対プラスミドDNA(ナノモル脂質:mgDNA)比が15:1未満のものを連続的に注射されたマウスのリツキシマブタンパク質及びALTレベルが、脂質もDNAも注射されていないコントロールマウスのバックグラウンド(正常)ALTレベルの1.5倍以内の血清ALTレベルを産生しながら著しく高いリツキシマブタンパク質レベルを産生した。
【0127】
実施例20
バルプロ酸またはテオフィリンによる第IX因子の発現
この実施例では、1グループ当たり3匹のマウスに注射した。各マウスは、リポソーム二重層中に組み込まれたパルミテートに共有結合したデキサメタゾン(DexP)2.5モル%を含有する1500ナノモルのDOTAP SUVリポソームの単回IV注射を受けた。この2分後、ヒト第IX因子のcDNAをコードするコドン最適化EF-1駆動単一カセットDNAベクター(図38及び44の構築物を参照)の60ugの単回IV注射を行った。IV注射の2時間前に、全てのグループを、40mg/kgのデキサメタゾンのIP注射で処置した。示されている場合、動物は、2mg/kgのバルプロ酸(VPA)または30mg/kgのテオフィリン(テオ)のIP注射によっても前処置された。血清ヒト第IX因子レベルを、注射後24時間でELISAによって決定した。各マウスはG-CSFと同様に採血した。血液を、凝固を防ぐためにEDTAカリウムまたはクエン酸ナトリウムを含むチューブに採取し、遠心分離して血漿を得た。ヒト第IX因子に特異的なAssayPro ELISAを製造者の指示書に従って使用し、第IX因子発現を測定した。図35は、24時間で産生された血清ヒト第IX因子レベルが、ヒト第IX因子DNAベクターを受け、加えてバルプロ酸またはテオフィリンのいずれかを用いた前処置を受けたマウスにおいて、著しく高いことを示している。
【0128】
実施例21
リポソームのサイズ決定
この実施例では、種々のリポソームのサイズを決定した。特に、表5のリポソームを5%w/wのグルコースで調製し、そのサイズを、準弾性レーザ光散乱を用いて決定した。これらのDOTAPリポソームのZ-平均粒径を表5に示す。
【0129】
【表5】
【0130】
本出願において言及された全ての刊行物及び特許は、参照により本明細書に組み込まれている。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の記載された方法及び組成物の様々な改変及び変形が当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されているが、請求される本発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されるべきである。実際、当該関連分野の当業者には自明である、本発明を実施するための記載された態様の様々な改変は、以下の特許請求の範囲内にあると意図されている。
図1
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【配列表】
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