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特許7014737スケートボード用ハンドル及びハンドル付きスケートボード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】スケートボード用ハンドル及びハンドル付きスケートボード
(51)【国際特許分類】
   A63C 17/02 20060101AFI20220125BHJP
   A63C 17/14 20060101ALI20220125BHJP
   B62L 3/02 20060101ALI20220125BHJP
   F16D 65/16 20060101ALI20220125BHJP
   B62L 1/02 20060101ALI20220125BHJP
   F16D 121/16 20120101ALN20220125BHJP
【FI】
A63C17/02
A63C17/14
B62L3/02 Z
F16D65/16
B62L1/02
F16D121:16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018562459
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(86)【国際出願番号】 JP2018001630
(87)【国際公開番号】W WO2018135632
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2017008767
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517022773
【氏名又は名称】株式会社ペーターズ
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】堤 正利
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-59898(JP,A)
【文献】特開平1-153391(JP,A)
【文献】実開昭60-22485(JP,U)
【文献】実開昭63-8073(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2001/0040352(US,A1)
【文献】米国特許第4093252(US,A)
【文献】米国特許第6206390(US,B1)
【文献】米国特許第4179134(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 17/00-17/28
B62L 3/00- 3/02
B62L 1/02
B62K 17/00
F16D 65/16
F16D 121/16
B60T 7/02
B60T 7/08- 7/10
F16D 121/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のデッキと、
回転体であるウイールを有し、前記デッキの一面に取り付けられる前輪部及び後輪部と、を備えるスケートボードに着脱可能なスケートボード用ハンドルであって、
一端側が前記前輪部側の前記ウイールの取り付け位置の近傍に着脱可能であり、前記デッキの表面から所定の距離をあけて前記デッキの前端側を挟み込んで取り付け可能に湾曲し、他端側が一端側の取り付け位置よりも前記デッキの前端側に配置される略U字状の連結部材と、
一端側が前記連結部材の他端側に固定される棒状のハンドル部と、
を備えるスケートボード用ハンドル。
【請求項2】
前記後輪部に着脱可能であり、前記後輪部側の前記ウイールの回転を規制するブレーキ部を更に備え、
前記ハンドル部は、前記ブレーキ部を動作させるブレーキレバーを備え、
前記ブレーキ部は、前記ブレーキレバーが動作されることにより前記後輪部側の前記ウイールの回転に対する規制を解除する請求項1に記載のスケートボード用ハンドル。
【請求項3】
板状のデッキと、
回転体であるウイールを有し、前記デッキの一面に取り付けられる前輪部及び後輪部と、
一端側が前記前輪部側の前記ウイールの取り付け位置の近傍に固定され、前記デッキの表面から所定の距離をあけて前記デッキの前端側を挟み込むように湾曲し、他端側が一端側の固定位置よりも前記デッキの前端側に配置される略U字状の連結部材と、
一端側が前記連結部材の他端側に固定される棒状のハンドル部と、
を備えるハンドル付きスケートボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケートボード用ハンドル及びハンドル付きスケートボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スケートボードは、板(デッキ)に前輪及び後輪が取り付けられた構造となっている。一般的なスケートボードは、手でつかむ部分(ハンドル)を有しない。そのため、スケートボードは安定性が悪く、熟練した操作者でなければ乗りこなすことは困難であった。また、街乗り等では、周囲への衝突等が危惧されて、敬遠される傾向があった。
【0003】
そこで、スケートボードに対してハンドルを取り付けることにより、より安定性を増す試みがなされている。しかしながら、ハンドルの取り付け位置がデッキの前端側に寄り過ぎるとノーズダイブすることが考えられる。これに対して、前輪の方向を変えるためのハンドルを前輪の直上に取り付けたスケートボードが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-259108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において提案されたスケートボードによれば、デッキを貫通して前輪に取り付けられ、デッキから上方に伸びるハンドルが設けられている。これにより、初心者であっても容易にスケートボードを扱うことができる。また、街乗り等でも周囲に対して安全性の高い乗り物としてアピールすることができる。
【0006】
一方で、ハンドルの取り付け位置が前輪のウイール上にあるため、取り付けられたハンドルにより足を置く位置を確保することができない。そのため、通常のスケートボードと同様にデッキ上に乗ることができず、体重移動をデッキに伝えることができないため、操作性が悪くなることが考えられる。
【0007】
本発明は、安定性を向上しつつ、操作性を向上するスケートボード用ハンドル及びハンドル付きスケートボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、板状のデッキと、回転体であるウイールを有し、前記デッキの一面に取り付けられる前輪部及び後輪部と、備えるスケートボードに着脱可能なスケートボード用ハンドルであって、一端側が前記前輪部側の前記ウイールの取り付け位置の近傍に着脱可能であり、前記デッキの表面から所定の距離をあけて前記デッキの前端側を挟み込んで取り付け可能に湾曲し、他端側が一端側の取り付け位置よりも前記デッキの前端側に配置される略U字状の連結部材と、一端側が前記連結部材の他端側に固定される棒状のハンドル部と、を備えるスケートボード用ハンドルに関する。
【0009】
また、スケートボード用ハンドルは、前記後輪部に着脱可能であり、前記後輪部側の前記ウイールの回転を規制するブレーキ部を更に備え、前記ハンドル部は、前記ブレーキ部を動作させるブレーキレバーを備え、前記ブレーキ部は、前記ブレーキレバーが動作されることにより前記後輪部側の前記ウイールの回転に対する規制を解除するのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、板状のデッキと、回転体であるウイールを有し、前記デッキの一面に取り付けられる前輪部及び後輪部と、一端側が前記前輪部側の前記ウイールの取り付け位置の近傍に固定され、前記デッキの表面から所定の距離をあけて前記デッキの前端側を挟み込むように湾曲し、他端側が一端側の固定位置よりも前記デッキの前端側に配置される略U字状の連結部材と、一端側が前記連結部材の他端側に固定される棒状のハンドル部と、を備えるハンドル付きスケートボードに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安定性を向上しつつ、操作性を向上するスケートボード用ハンドル及びハンドル付きスケートボードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るハンドル付きスケートボードを示す側面図である。
図2図1のA矢視図である。
図3図1のB矢視図である。
図4図1のC矢視図であり、一方の方向に方向転換する際のC矢視図である。
図5図1のC矢視図であり、他方の方向に方向転換する際のC矢視図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るハンドル付きスケートボードを示す側面図である。
図7図6のD矢視図である。
図8図6のE矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るスケートボード用ハンドル及びハンドル付きスケートボードの各実施形態について図1図8を参照して説明する。
【0014】
[第1実施形態]
まず、本発明に係るスケートボード用ハンドル及びハンドル付きスケートボードの第1実施形態について、図1図5を参照して説明する。
最初に、スケートボード10について説明する。
スケートボード10は、板体の一方の面に前輪及び後輪が取り付けられて構成される。具体的には、スケートボード10は、図1に示すように、デッキ11と、前輪部12Aと、後輪部12Bと、を備える。
【0015】
デッキ11は、板状に形成される。デッキ11は、進行方向Fを長さ方向として伸びる。デッキ11は、足を置くことが可能な幅で形成される。なお、以下では、デッキ11の面のうち、足を置く面が「表面」として説明される。また、以下では、「表面」とは逆の面が「裏面」として説明される。
【0016】
前輪部12Aは、デッキ11の一面(裏面)に取り付けられる。前輪部12Aは、デッキ11の進行方向F側(前端側)に取り付けられる。
【0017】
前輪部12Aは、ウイール121Aと、ベースプレート122Aと、ハンガー123Aと、キングピン124Aと、を備える。
【0018】
ウイール121Aは、円柱形状に形成された回転体である。ウイール121Aは、軸方向をデッキ11の幅方向に沿わせて一対配置される。
【0019】
ベースプレート122Aは、金属で形成される。ベースプレート122Aは、図3に示すように、正面視矩形に形成される。また、ベースプレート122Aは、幅方向中央部が長さ方向に沿って一方の面から凸状に突出して形成される。ベースプレート122Aは、他方の面がデッキ11の一方の面に対向した状態で固定される。ベースプレート122Aは、幅方向中央部がデッキ11の幅方向中央部に位置するように固定される。ベースプレート122Aは、例えば、4つのボルト125Aを用いてデッキ11に固定される。
【0020】
ハンガー123Aは、金属で形成される。ハンガー123Aは、略T字状に形成される。ハンガー123Aは、両端のそれぞれにウイール121Aを回転可能に保持する。また、ハンガー123Aは、両端を結ぶ線に交差して突出する回転軸(図示せず)を有し、ベースプレート122Aに回動可能に取り付けられる。
【0021】
キングピン124Aは、金属で形成される。キングピン124Aは、いわゆるボルトであり、ハンガー123Aをベースプレート122Aに対して傾動可能に固定する。
【0022】
後輪部12Bは、デッキ11の一面(裏面)に取り付けられる。後輪部12Bは、デッキ11の進行方向Fに対して逆側(後端側)に取り付けられる。
【0023】
後輪部12Bは、ウイール121Bと、ベースプレート122Bと、ハンガー123Bと、キングピン124Bと、を備える。後輪部12Bは、前輪部12Aとは前後方向を逆側にして取り付けられる。ウイール121B、ベースプレート122B、ハンガー123B、及び、キングピン124Bの構成は、ウイール121A、ベースプレート122A、ハンガー123A、及び、キングピン124Aの構成と同様であるので説明を省略する。
【0024】
以上のスケートボード10によれば、幅方向一端側に体重を移動させることにより、ハンガー123A,123Bに対して、デッキ11、ベースプレート122A,122B、及び、キングピン124A,124Bが体重移動した側に傾く。即ち、ハンガー123A,123Bは、キングピン124A,124Bの傾倒により、回転軸(図示せず)を中心に回動する力を受ける。これにより、ハンガー123A,123Bは、回転軸(図示せず)を中心に回動する。本実施形態において、ハンガー123Aは、キングピン124Aの傾倒により、一端側(デッキ11の傾いた側)が進行方向F側とは逆側に回動し、他端側(デッキ11の傾いた側とは逆側)が進行方向F側に回動する。逆に、ハンガー123Bは、キングピン124Bの傾倒により、一端側(デッキ11の傾いた側)が進行方向F側に回動し、他端側(デッキ11の傾いた側とは逆側)が進行方向F側とは逆側に回動する。これにより、スケートボード10は、体重移動した側に曲がることができる。
【0025】
ハンドル付きスケートボード1は、上記のスケートボード10と、スケートボード用ハンドル20と、を備える。
【0026】
スケートボード用ハンドル20は、スケートボード10の前端側(進行方向F側)に取り付けられる。このスケートボード用ハンドル20は、図1図3に示すように、連結部材21と、ハンドル部22と、を備える。
【0027】
連結部材21は、樹脂、金属(例えばアルミ合金)、又は強化プラスチックにより形成される。即ち、連結部材21は、人の力により塑性変形しない程度の剛性のある部材により形成される。連結部材21は、棒体や板体として形成される。この連結部材21は、一端側が前輪部12A側のウイール121Aの取り付け位置の近傍に着脱可能に形成される。また、連結部材21は、略U字状に形成され、一端側が取り付けられた状態で、デッキ11の表面から所定の距離を開けてデッキ11の前端側を挟み込んで取り付け可能に湾曲する。即ち、連結部材21は、一端側のみでスケートボード10に接触する(一端側以外でデッキ11に接触しない)ように構成される。そして、連結部材21は、他端側が一端側の取り付け位置よりもデッキ11の前端側に配置される。本実施形態では、この連結部材21は、一対設けられ、それぞれがウイール121Aの取り付け位置の両端に着脱可能になっている。また、本実施形態では、図1に示すように、連結部材21の他端側のうち、デッキの表面側に折り返される部分は、他端側先端に向かうに従って、デッキの表面に接近する。
【0028】
ここで、連結部材21の一端側が取り付けられる前輪部12A側のウイール121Aの取り付け位置の近傍とは、前輪部12Aのウイール121Aの軸に一致する位置、及び軸に対してデッキ11の後端側にあり、ウイール121Aに近接する位置を意味する。即ち、前輪部12A側のウイール121Aの取り付け位置の近傍とは、連結部材21からデッキ11に作用する力点を前輪部12Aのウイール121Aに一致する位置、及びウイール121Aよりもデッキ11の後端側にあり、ウイール121Aに近接する位置を意味する。
【0029】
本実施形態において、連結部材21は、一端側が前輪部12A側のベースプレート122Aに着脱可能に構成される。例えば、連結部材21は、クリップ(図示せず)を用いてボルト125Aに取り付けられることにより、ベースプレート122Aに着脱可能に構成される。
【0030】
ハンドル部22は、棒状に形成され、一端側が連結部材21に固定される。このハンドル部22は、棒体221と、固定体222と、把持部223と、を備える。
【0031】
棒体221は、金属や強化プラスチック等の人の力により変形しない程度の剛性のある材料により形成される。棒体221は、人の背の高さに合わせた所定の長さで形成される。
【0032】
固定体222は、金属や強化プラスチック等の人の力により変形しない程度の剛性のある材料により形成される。固定体222は、板状に形成される。固定体222は、一方の板面が棒体221の一端側に固定される。また、固定体222は、両端のそれぞれが、連結部材21の他端側に固定される。本実施形態では、固定体222は、一方の板面の両端のそれぞれが、連結部材21の他端側の下面側に固定される。
【0033】
把持部223は、棒状に形成される。把持部223は、デッキ11の幅方向に沿う方向に伸びて配置される。把持部223は、中央部が棒体221の他端側に固定される。
【0034】
以上のハンドル付きスケートボード1は、以下のように動作する。
【0035】
図4に示すように、方向D1に曲がる場合、把持部223及び棒体221が方向D1と同じ方向S1に傾けられる。方向S1側にある一方の連結部材21は、固定体222を介して下方(ウイール121Aに近づく方向)へ向かう力を受ける。一方の連結部材21は、下方へ向かう力をベースプレート122Aの幅方向一端側へ伝える。
【0036】
方向S1側とは逆側にある他方の連結部材21は、固定体222を介して上方(ウイール121Aから離れる方向)へ向かう力を受ける。他方の連結部材21は、上方へ向かう力をベースプレート122Aの幅方向他端側へ伝える。これにより、ベースプレート122Aは、傾けられ、デッキ11も同様に傾けられる。従って、スケートボード用ハンドル20は、傾けられた方向S1にスケートボード10の進行方向Fを変更することができる。
【0037】
図5に示すように、方向D2に曲がる場合、把持部223及び棒体221が方向D2と同じ方向S2に傾けられる。方向S2側にある他方の連結部材21は、固定体222を介して下方(ウイール121Aに近づく方向)へ向かう力を受ける。他方の連結部材21は、下方へ向かう力をベースプレート122Aの幅方向他端側へ伝える。
【0038】
方向S2側とは逆側にある一方の連結部材21は、固定体222を介して上方(ウイール121Aから離れる方向)へ向かう力を受ける。一方の連結部材21は、上方へ向かう力をベースプレート122Aの幅方向一端側へ伝える。これにより、ベースプレート122Aは、傾けられ、デッキ11も同様に傾けられる。従って、スケートボード用ハンドル20は、傾けられた方向S2にスケートボード10の進行方向Fを変更することができる。
【0039】
以上説明した第1実施形態のスケートボード用ハンドル20及びハンドル付きスケートボード1によれば、以下のような効果を奏する。
スケートボード用ハンドル20を、一端側が前輪部12A側のウイール121Aの取り付け位置の近傍に着脱可能であり、デッキ11の表面から所定の距離をあけてデッキ11の前端側を挟み込んで取り付け可能に湾曲し、他端側が一端側の取り付け位置よりもデッキ11の前端側に配置される略U字状の連結部材21と、一端側が連結部材21の他端側に固定される棒状のハンドル部22と、を含んで構成した。
スケートボード用ハンドル20を取り付けた状態でハンドル部22を路面に対して傾けることにより、連結部材21を介して傾きをデッキ11に伝えることができる。デッキ11がウイール121Aに対して傾くことにより、ハンドル部22を傾けた方向にスケートボード10の進行方向Fを向けることができる。また、連結部材21は、デッキ11の前端側に接触せず、連結部材21の一端側がウイール121Aの取り付け位置の近傍に取り付けられるので、デッキ11の前端側にはハンドル部22を傾ける力が作用しない。これにより、デッキ11の前端側に力が作用することによるデッキ11のノーズダイブを抑制することができる。また、連結部材21の他端側がウイール121Aの取り付け位置よりも前端側に配置されているので、ウイール121A上のデッキ11に足を置くスペースを作ることができる。これにより、足による体重移動を用いてスケートボード10の進行方向Fを制御することを阻害しない。また、ハンドル部22を用いることによる安定性を向上しつつ、操作性を向上させることができ、初心者でも通常のスケートボード10に近い感覚で扱うことができる。また、スケートボード10に対してスケートボード用ハンドル20を取り外すことにより、状況に応じてスケートボード10の使用態様を容易に変更することができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、本発明に係るスケートボード用ハンドル20A及びハンドル付きスケートボード1Aの第2実施形態について図6図8を参照して説明する。第2実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係るスケートボード用ハンドル20A及びハンドル付きスケートボード1Aは、図6図8に示すように、連結部材21Aの形状が第1実施形態と異なる。第2実施形態に係るスケートボード用ハンドル20A及びハンドル付きスケートボード1Aは、補強部材23Aを備える点で第1実施形態と異なる。第2実施形態に係るスケートボード用ハンドル20A及びハンドル付きスケートボード1Aは、ハンドル部22が固定部224A及びブレーキレバー225Aを備える点で第1実施形態と異なる。第2実施形態に係るスケートボード用ハンドル20A及びハンドル付きスケートボード1Aは、ブレーキ部24Aを備える点で第1実施形態と異なる。
【0041】
連結部材21Aの一端側は、図6及び図8に示すように、前輪部12Aを超えて、後輪部12Bまで延伸される。連結部材21Aは、前輪部12Aのウイール121Aの取り付け位置の近傍と、後輪部12Bのウイール121Bの取り付け位置の近傍とに着脱可能に形成される。連結部材21Aの他端側は、人の足でデッキ11の表面の前端部(例えば、位置T)に足を置くことが可能な距離をデッキ11の表面から開けて、デッキ11の先端側を挟み込んで取り付け可能に湾曲する。即ち、図6に示すように、連結部材21Aの他端側は、デッキ11の表面との間に人の足のくるぶしよりも下側が進入可能な距離を開けて、デッキ11の先端側を挟み込んで取り付け可能に湾曲する。また、連結部材21Aの他端側の先端は、進行方向Fにおいて、位置Tに足を置く人のすね又はひざに接触しない位置に配置される。即ち、連結部材21Aの他端側の先端は、図7に示すように、進行方向Fにおいて、位置Tに足を置く人のすね又はひざの位置よりも前方に配置される。
【0042】
補強部材23Aは、例えば、板体である。本実施形態において、補強部材23Aは、一対に設けられる。一対の補強部材23Aは、連結部材21Aの他端側を幅方向(デッキ11の表面に平行で進行方向Fに交差する方向)から挟み込むように配置される。一対の補強部材23Aの両端のそれぞれは、連結部材21Aの他端側の湾曲する側面の2点に連結される。これにより、一対の補強部材23Aのそれぞれは、湾曲する連結部材21Aの弦となる位置に配置される。
【0043】
固定部224Aは、把持部223に固定される。固定部224Aは、把持部223の把持により後述するブレーキレバー225Aに手をかけられる位置に固定される。
【0044】
ブレーキレバー225Aは、棒体である。ブレーキレバー225Aは、固定部224Aに軸止される。具体的には、ブレーキレバー225Aは、把持部223の把持により手をかけられることにより、把持部223の方向に回動可能なように軸止される。
【0045】
ブレーキ部24Aは、ハンドル部22及び連結部材21Aに固定される。ブレーキ部24Aは、後輪部12Bのウイール121Bに接触することで、後輪部12Bのウイール121Bの回転を抑制するように構成される。このブレーキ部24Aは、ワイヤ241Aと、ベース部242Aと、を備える。
【0046】
ワイヤ241Aは、一端がブレーキレバー225Aに接続される。また、ワイヤ241Aは、他端が後述するばね部243Aに接続される。
【0047】
ベース部242Aは、連結部材21Aに固定される。具体的には、ベース部242Aは、連結部材21Aのうち、後輪部12Bの側への着脱位置の近傍に固定される。本実施形態において、ベース部242Aは、連結部材21Aが取り付けられた状態で後輪部12Bのウイール121Bよりも前輪部12Aの側に位置するように連結部材21Aに固定される。ベース部242Aは、ばね部243Aと、シュー部244Aと、を備える。
【0048】
ばね部243Aは、圧縮ばねである。ばね部243Aは、ワイヤ241Aの他端に接続される。
【0049】
シュー部244Aは、ばね部243Aに接続される。シュー部244Aは、後輪部12Bのウイール121Bのそれぞれに接触する。本実施形態において、シュー部244Aは、ばね部243Aの圧縮力により、後輪部12Bのウイール121Bの外周面を押圧する。
【0050】
以上のブレーキ部24によれば、ブレーキレバー225Aは、把持部223を把持した人の指によって把持部223とともに把持される。ブレーキレバー225Aは、把持部223を把持した人の指によって把持部223の側に回動されることで、ワイヤ241Aを引っ張る。ワイヤ241Aは、引っ張られることで、ばね部243Aを圧縮する。ばね部243Aは、圧縮されることでシュー部244Aを動作させる。
【0051】
具体的には、シュー部244Aは、ばね部243Aの圧縮によりばね部243Aとともに進行方向Fの前方側(前輪部12Aの側)に移動する。これにより、シュー部244Aは、後輪部12Bのウイール121Bの外周面から離れる。従って、シュー部244Aは、後輪部12Bのウイール121Bの回転に対する規制を解除する。
【0052】
一方、ブレーキレバー225Aが把持から解除された場合(ブレーキレバー225Aが動作されていない場合)、ワイヤ241Aは、ブレーキレバー225Aによる引っ張りから解除される。これにより、ばね部243Aは、ワイヤ241Aによる引っ張りから解除される。即ち、ばね部243Aは、圧縮された状態からもとに戻る。
【0053】
ばね部243Aが圧縮された状態から元に戻ることで、シュー部244Aは、後輪部12Bのウイール121Bの外周面に押圧される。これにより、シュー部244Aは、後輪部12Bのウイール121Bの回転を規制する。即ち、ハンドル部22から手を離した場合であっても、シュー部244Aが後輪部12Bのウイール121Bの回転を規制する。
【0054】
以上説明した第2実施形態のスケートボード用ハンドル20A及びハンドル付きスケートボード1Aによれば、上記効果に加え、更に以下のような効果を奏する。
連結部材21Aの他端側は、人の足でデッキ11の表面の前端部(例えば、位置T)に足を置くことが可能な距離をデッキ11の表面から開けて、デッキ11の先端側を挟み込んで取り付け可能に湾曲する。これにより、デッキ11の表面に足を置く際に、ハンドル部22の存在に影響されずに、より先端側にも足を置くことができる。足を置けるスペースがより広がるので、より安定してハンドル付きスケートボード1Aを操作することができる。また、連結部材21Aを補強する補強部材23Aを設けたので、連結部材21Aの強度をより強くすることができる。
【0055】
また、ブレーキレバー225Aが把持された上で回動されることで、シュー部244Aは、後輪部12Bのウイール121Bの回転の規制を解除する。また、ブレーキレバー225Aが把持から解除された場合に、シュー部244Aは、後輪部12Bのウイール121Bの回転を規制する。これにより、スケートボード10から離れた際に、スケートボード10が意図せずに移動してしまうことを抑制できる。
【0056】
以上、本発明のスケートボード用ハンドル及びハンドル付きスケートボードの好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0057】
例えば、第1実施形態において、スケートボード用ハンドル20をスケートボード10に対して着脱可能としたが、これに制限されない。即ち、連結部材21は、一端側のそれぞれが前輪部12A側のウイール121Aの取り付け位置の両端に固定されていてもよい。また、第2実施形態においても同様に、連結部材21Aは、スケートボード10に固定されてもよい。
【0058】
この構成により、ハンドル部22を傾けることにより、連結部材21を介して傾きをデッキ11に伝えることができる。デッキ11がウイール121Aに対して傾くことにより、ハンドル部22を傾けた方向にスケートボード10の進行方向Fを向けることができる。また、連結部材21の他端側がウイール121Aの固定位置よりも前端側に配置されているので、ウイール121A上のデッキ11に足を置くスペースを作ることができる。これにより、足による体重移動を用いてスケートボード10の進行方向Fを制御することを阻害しない。また、ハンドル部22を用いることによる安定性を向上しつつ、操作性を向上させることができ、初心者でも通常のスケートボード10に近い感覚で扱うことができる。
【0059】
また、第1実施形態においても、スケートボード用ハンドル20及びハンドル付きスケートボード1は、ブレーキ部(図示せず)を更に備えてもよい。具体的には、スケートボード用ハンドル20は、後輪部12Bに着脱可能であり、後輪部12B側のウイール121Bの回転を規制するブレーキ部を更に備えてもよい。そして、ハンドル部22は、ブレーキ部を動作させるブレーキレバー(図示せず)を更に備えてもよい。
【0060】
例えば、ブレーキ部は、後輪部12Bのハンガー123Bの位置に取り付けられるベース部(図示せず)と、ベース部から延びるワイヤ(図示せず)と、を備えることができる。ベース部は、ハンガー123Bの位置に取り付けられるカバー部(図示せず)と、カバー部に収納され、ワイヤに取り付けられるばね部(図示せず)と、ばね部の一端に接続されるシュー部(図示せず)と、を備えることができる。
【0061】
ばね部は、圧縮ばねであり、ウイール121Bに合わせて一対に設けられる。シュー部は、ウイール121Bの面のうち、一対のウイール121B同士が対向する面(内側面)に接触する。これにより、シュー部は、ウイール121Bの回転を規制する。
【0062】
ワイヤは、一端側がばね部の他端に接続され、他端側がブレーキレバーに接続される。ブレーキレバーは、把持部223の位置に取り付けられる。
【0063】
ブレーキレバーが動作されることにより、ワイヤがばね部を引っ張る。ばね部が引っ張られることにより、シュー部がウイール121Bから離れる。これにより、シュー部は、ウイール121Bの回転に対する規制を解除する。
【0064】
一方、ブレーキレバーが動作されていない場合、ばね部は、シュー部をウイール121Bの内側面に押圧することにより、ウイール121Bの回転を規制する。これにより、ハンドルから手を離した場合であっても、ブレーキ部が後輪側のウイール121Bの回転を規制する。従って、スケートボード10から離れた際に、スケートボード10が意図せずに移動してしまうことを抑制できる。
【0065】
また、上記実施形態において、ハンドル付きスケートボード1は、ウイール121A,121Bの周面に取り付け可能であり、ウイール121A,121Bよりも柔らかい材質で形成された保護部(図示せず)を備えてもよい。例えば、保護部は、弾性体であり、ウイール121A,121Bの外周面を覆うことが可能なように構成されてもよい。具体的には、保護部は、ウイール121A,121Bの幅と略同じ高さをもち、ウイール121A,121Bと略同じ内径をもつ円筒状(環状)に構成されてよい。これにより、比較的硬いウイール121A,121Bが地面に接触することにより発生する音や振動を保護部によって抑制することができる。従って、ハンドル部22を用いて街乗り等をする際に、より扱いやすいハンドル付きスケートボード1を提供することができる。
【0066】
また、第1実施形態において、連結部材21を一対として説明したがこれに制限されない。例えば、連結部材21を1又は複数の略U字状の部材により構成することができる。また、1つの連結部材21の他端部を分岐させて構成することもできる。上記第2実施形態においても同様に、連結部材21Aを1又は複数の略U字状の部材により構成することができる。また、1つの連結部材21Aの他端部を分岐させて構成することもできる。
【0067】
また、第1実施形態において、連結部材21の一端側をベースプレート122Aに取り付けるとしたが、これに制限されない。例えば、連結部材21の一端側は、前輪部12Aのウイール121Aの軸に対して後端側のデッキ11の一面(前輪部12Aが取り付けられる面)に取り付けられてもよい。この場合であっても、連結部材21は、スケートボードに作用する力点を前輪部12Aのウイール121Aに対してデッキ11の後端側にすることができるので、ノーズダイブを抑制することができる。
【0068】
また、上記実施形態において、棒体221は、種々の角度で連結部材21Aに連結されてもよい。例えば、棒体221は、連結部材21Aへの連結位置から進行方向Fの前方側に傾斜して連結されてもよい。逆に、棒体221は、連結部材21Aへの連結位置から進行方向Fの後方側に傾斜して連結されてもよい。また、棒体221は、角度を変更した上で連結部材21Aに固定可能なように構成されてもよい。例えば、棒体221は、連結部材21Aへの連結位置で連結部材21Aに軸止されるとともに、任意の角度で固定(例えば、ボルト締めによる固定)可能であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,1A ハンドル付きスケートボード
10 スケートボード
11 デッキ
12A 前輪部
12B 後輪部
20,20A スケートボード用ハンドル
21,21A 連結部材
22 ハンドル部
24A ブレーキ部
121A,121B ウイール
225A ブレーキレバー
図1
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図3
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図8