(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】マイクロカプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 13/16 20060101AFI20220125BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20220125BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20220125BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20220125BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20220125BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20220125BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20220125BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20220125BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B01J13/16
C11D3/50
C11D17/08
C11D17/06
C11D3/43
C11B9/00 Z
A61K8/11
A61K8/87
A61Q13/00 102
(21)【出願番号】P 2019504073
(86)(22)【出願日】2017-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2017068931
(87)【国際公開番号】W WO2018019908
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-06-15
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン ベルティエ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルディーヌ レオン
(72)【発明者】
【氏名】ラウシーヌ ワリ
【審査官】山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-125257(JP,A)
【文献】特表2014-534066(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0252312(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00633059(EP,A1)
【文献】特表2014-526954(JP,A)
【文献】米国特許第03577515(US,A)
【文献】特開昭49-039579(JP,A)
【文献】特表2007-528285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0216166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02-13/22
C11B 9/00
C11D 1/00-19/00
A61K 8/11、8/87
A61Q 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メラミン-ホルムアルデヒド不含のポリ(尿素-ウレタン)コアシェル型マイクロカプセルスラリーの製造方法であって、
1)
1種以上の香油またはフレーバーオイルからなる油を、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと混合して油相を形成する工程、ただし前記油相はジイソシアネートを含有しないことを条件とする、と、
2)生物由来の少なくとも1種のアニオン性ポリオールと、4.5未満のpKaを有するプロトン酸を含有する触媒とを含む水相を、酸条件下で調製する工程と、
3)前記油相を前記水相に添加して水中油型分散液を形成する工程と、
4)硬化工程を行ってマイクロカプセルスラリーを形成する工程と、
5)任意に、前記カプセルスラリーに少なくとも1種のカチオン性コポリマーを添加する工程と
を含む方法において、該方法のいずれの段階においても、アミンまたはポリアミンがポリイソシアネートと反応した場合にマイクロカプセルシェルの特性を変化させるような量でアミンまたはポリアミンを添加することなく行う、方法。
【請求項2】
前記生物由来のアニオン性ポリオールが、リグニン、硫酸リグニン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム塩、ポリガラクツロン酸、デキストラン硫酸ナトリウム塩およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記プロトン酸が、グリオキシル酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、サリチル酸、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、塩酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記工程4が、界面重合を60~80℃で1~4時間行うことにあることを特徴とする、請求項1から
3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記カプセルスラリーを乾燥させて、乾燥したマイクロカプセルを得る工程をさらに含む、請求項1から
4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートは、前記油相の1~15質量%に含まれる量で存在することを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートを含むことを特徴とする、請求項1から
6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記油相は、香油またはフレーバーオイルと、前記少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとからなることを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
油を含むコアと、
少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートから形成される重合されたポリイソシアネートと、生物由来のアニオン性ポリオールとからなるシェルと
を含む、請求項1から
8までのいずれか1項記載の方法により得ることができる、メラミン-ホルムアルデヒド不含のポリ(尿素-ウレタン)マイクロカプセル。
【請求項10】
(i)請求項
9記載のマイクロカプセルであって、前記油は芳香剤を含むものとするマイクロカプセルと、
(ii)芳香剤担体および芳香剤補助成分からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、
(iii)任意に、少なくとも1種の芳香剤補助剤と
を含む、付香組成物。
【請求項11】
液体の消費者製品であって、
a)少なくとも1種の界面活性剤を、該消費者製品の全質量に対して2~65質量%と、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c)請求項
9記載のマイクロカプセルまたは請求項
10記載の付香組成物と
を含む、液体の消費者製品。
【請求項12】
前記製品は、ホームケア製品またはパーソナルケア製品であることを特徴とする、請求項
11記載の液体の消費者製品。
【請求項13】
つけたままにするヘアケア製品の形態である、請求項
12記載の製品。
【請求項14】
粉末の消費者製品であって、
(a)少なくとも1種の界面活性剤を、該消費者製品の全質量に対して2~65質量%と、
(b)請求項
9記載のマイクロカプセルまたは請求項
10記載の付香組成物と
を含む、粉末の消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラミン-ホルムアルデヒド不含のマイクロカプセルの新規な製造方法に関する。前記方法により得ることができるマイクロカプセルも、本発明の対象である。前記マイクロカプセルを含む付香組成物および消費者製品、特にホームケア製品またはパーソナルケア製品の形態である付香された消費者製品も、本発明の一部である。
【0002】
発明の背景
芳香剤産業が直面する課題の1つとして、発香性の化合物によりもたらされる嗅覚上の有益性が、その揮発性、特に「トップノート」の揮発性ゆえに比較的に急速に失われてしまうことが挙げられる。揮発性物質の放出速度を調節するためには、コアのペイロードを保護し、トリガが与えられた際にコアのペイロードを遅れて放出する送達システム、例えば芳香剤を含有するマイクロカプセルのような送達システムが必要である。こうしたシステムに関する産業界からの重要な要求の1つに、困難を伴うベースにおいて、物理的に解離も分解もせずに懸濁性が保持されることが挙げられる。これは、送達システムについての安定性と呼ばれる。例えば、攻撃性の界面活性剤を高レベルで含有する個人向けおよび家庭用の香料入り洗浄剤は、マイクロカプセルの安定性に関して非常に課題が多い。
【0003】
主に疎水性活性剤を封入することにより該活性剤を保護し、そしてその制御された放出を提供するために、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂で形成されたアミノプラストマイクロカプセルが使用されてきた。しかしアミノプラストマイクロカプセルのようなカプセルには、芳香剤消費者製品のような界面活性剤を含有する消費者製品への使用時に、特に高温での長期間の貯蔵後に、安定性の問題がある。このような製品では、たとえカプセル壁が無傷なままであっても、製品のベースに封入された活性剤を可溶化し得る界面活性剤の存在に基づいて、封入された活性剤が壁を通って拡散することによりカプセル外に漏出する傾向にある。この漏出現象によって、活性剤を保護し、そしてその制御された放出を提供するカプセルの有効性が低下する。
【0004】
油系コアをベースとするマイクロカプセルの安定性を向上させるための様々な戦略が記載されてきた。マイクロカプセルの安定性を向上させるための方法として、ポリアミンおよびポリイソシアネートのような化学物質群によるカプセル壁の架橋が記載されている。国際公開第2011/154893号(WO 2011/154893)には例えば、特定の相対濃度で芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組合せを用いたポリ尿素マイクロカプセルの製造方法が開示されている。アミノプラストと比較して、ポリ尿素系マイクロカプセルにより、メラミン-ホルムアルデヒド不含であるという付加的な利点が提供される。しかし、こうしたカプセルはそれほど砕けやすいものではないため、機械的特性に関して常に満足がいくわけではない。このことは、取扱い時や、意図的に例えば擦ることによって破壊した後に知覚される匂い強度により表されるその嗅覚性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
国際公開第2013/068255号(WO 2013/068255)にも、「ホルムアルデヒド不含」のカプセルを開発するための解決法が提案されており、これは規制事項であることから、産業界からの増え続ける需要に応えるものである。記載されたカプセルは、オリゴマー組成物の使用を含む方法により得られる。該オリゴマー組成物は、ポリアミン成分とアルデヒドとプロトン酸触媒との反応により製造され、次いで該オリゴマー組成物および油および架橋剤を用いてエマルションが形成され、次いでこれが最後に加熱および冷却される。ポリアミン成分は、壁構造および油漏出の減少という点でのカプセル性能に関わるため、開示された該方法においては必須である。しかし、成分によっては許容し得ないものもあることから、このような方法においてポリアミンを使用することで、得られたカプセルの適用範囲が制限される場合がある。
【0006】
カプセル性能、特に消費者製品ベースのような困難を伴う媒体における安定性に関しても、活性成分の送達に関する良好な性能、例えば付香成分の場合には良好な嗅覚性能を生じることについても妥協することなく、方法および処方を簡便化し、かつより環境に優しい材料を使用することが、依然として求められている。本発明は、マイクロカプセルの新規の製造方法に基づいて上記の問題に対する解決法を提案するものである。前記方法は、生物由来のポリマーと特定の酸との組合せを使用してポリアミン成分の不在下で行われる。
【0007】
発明の概要
驚くべきことに、生物由来のアニオン性ポリオールと特定のプロトン酸触媒との組合せによって、アミンまたはポリアミンを使用することなく、活性成分を封入しているメラミン-ホルムアルデヒド不含のマイクロカプセルの性能が得られることが判明した。したがって、本発明の方法によって、生物由来の材料を使用する簡便化された処方を用いたポリ(尿素-ウレタン)カプセルの製造が可能となるため、上記問題の解決法が提供される。予想外にも、本出願人らは、特定の酸のみによって、困難を伴うベースにおいて所望の安定性を示すカプセルが得られることを見出した。特に、重縮合法においてプロトン酸成分として幅広く開示されてきた酢酸では、本発明の方法により安定なマイクロカプセルが生じない。
【0008】
第一の態様において、本発明は、メラミン-ホルムアルデヒド不含のポリ(尿素-ウレタン)コアシェル型マイクロカプセルスラリーの製造方法であって、
1)活性成分を含む油、好ましくは芳香剤またはフレーバーを含む油を、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと混合して油相を形成する工程、ただし、前記油相は、ジイソシアネートを実質的に含有しないことを条件とする、と、
2)生物由来の少なくとも1種のアニオン性ポリオールと、4.5未満のpKaを有するプロトン酸を含有する触媒とを含む水相を、酸条件下で、好ましくは4.5未満のpHで調製する工程と、
3)前記油相を前記水相に添加して水中油型分散液を形成する工程と、
4)硬化工程を行ってマイクロカプセルスラリーを形成する工程と、
5)任意に、前記カプセルスラリーに少なくとも1種のカチオン性コポリマーを添加する工程と
を含む方法において、該方法のいずれの段階においても相当量のアミンまたはポリアミンを添加せずに行う方法に関する。
【0009】
第二の態様において、本発明は、
油系コアと、
少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートから形成される重合されたポリイソシアネートと、生物由来のアニオン性ポリオールとから実質的になるシェルと
を含む、上記で定義された方法により得ることができるメラミン-ホルムアルデヒド不含のポリ(尿素-ウレタン)マイクロカプセルに関する。
【0010】
(i)上記で定義されたマイクロカプセルであって、前記油は芳香剤を含むものとするマイクロカプセルと、
(ii)芳香剤担体および芳香剤補助成分からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、
(iii)任意に、少なくとも1種の芳香剤補助剤と
を含む付香組成物は、本発明のもう1つの対象である。
【0011】
消費者製品であって、
a)少なくとも1種の界面活性剤を、該消費者製品の全質量に対して2~65質量%と、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c)上記で定義されたマイクロカプセルまたは付香組成物と
を含む消費者製品も同様に、本発明の一部である。
【0012】
発明の詳細な説明
特に明記しない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の質量に対するパーセンテージを表すことを意図している。
【0013】
「該方法のいずれの段階においても相当量のアミンまたはポリアミンを添加せずに」とは、アミンまたはポリアミンが存在する場合に、その添加量は、たとえポリイソシアネートと反応したとしても、マイクロカプセルシェルの特性を大きく変化させることができないような十分に低いものでなければならないことを意味する。典型的には、本発明の方法において添加し得るアミン官能基の量は、イソシアネート官能基の量の50モル%未満、好ましくは25モル%未満、最も好ましくは10モル%未満である。
【0014】
特定の一実施形態によれば、該方法のいずれの段階においてもアミンまたはポリアミンを添加しない。
【0015】
「活性成分」とは、単一の化合物または複数成分の組合せを意味する。
【0016】
「香油またはフレーバーオイル」とは、単一の付香もしくは着香化合物または幾つかの付香もしくは着香化合物の混合物を意味する。
【0017】
「生物由来のポリオール」とは、生体により産生されたポリオールから得られた化学変性ポリオールを意味する。生物由来のポリオールには、天然および人工の成分が含まれ、1,000(千)~1,000,000,000(10億)ダルトンの範囲内の分子量分布を特徴とする。これらのマクロ分子は、炭水化物(糖ベース)であってもタンパク質(アミノ酸ベース)であっても双方の組合せ(ガム)であってもよく、また線状であっても架橋されていても分枝状であってもよい。
【0018】
「消費者製品」または「最終製品」とは、流通、販売および消費者による使用が可能となるように製造された製品を意味する。
【0019】
グリオキシル酸および2-オキソ酢酸は、本発明では互換的に用いられる。
【0020】
明確にするために述べると、本発明における「分散液」という表現は、異なる組成の連続相に粒子が分散された系を意味し、これには具体的には、懸濁液またはエマルションが含まれる。
【0021】
生物由来のアニオン性ポリマーと特定の触媒酸との組合せを使用することにより、(ポリ)アミンを添加せずに、全体的に良好な性能を示す、すなわち界面活性剤系製品における安定性と、活性成分の送達、例えば芳香剤の場合には匂いの知覚とのバランスが適切であるメラミン-ホルムアルデヒド不含のマイクロカプセルを得ることができたことが判明した。このことは、酸の性質が同様の方法により得られるカプセルの安定性に影響を与え得ることがまったく開示されていなかったことに加え、これまでポリアミンを添加しないポリ尿素系カプセルについて記載された方法については、ジイソシアネートがその反応性に基づいて必須成分として使用されていたか、または得られるカプセルの性能が低く、特に貯蔵時に高度に油が漏出すると記載されていたことからトリイソシアネートの使用を避けるように教示されていたかのいずれかのみであったという観点から、非常に驚くべきことである。
【0022】
したがって本発明は第一の態様において、メラミン-ホルムアルデヒド不含のポリ(尿素-ウレタン)コアシェル型マイクロカプセルスラリーの製造方法であって、
1)活性成分を含む油、好ましくは芳香剤またはフレーバーを含む油を、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと混合して油相を形成する工程、ただし、前記油相は、ジイソシアネートを実質的に含有しないことを条件とする、と、
2)生物由来の少なくとも1種のアニオン性ポリオールと、4.5未満のpKaを有するプロトン酸を含有する触媒とを含む水相を、酸条件下で、好ましくは4.5未満のpHで調製する工程と、
3)前記油相を前記水相に添加して水中油型分散液を形成する工程と、
4)硬化工程を行ってマイクロカプセルスラリーを形成する工程と、
5)任意に、前記カプセルスラリーに少なくとも1種のカチオン性コポリマーを添加する工程と
を含む方法において、該方法のいずれの段階においても相当量のアミンまたはポリアミンを添加せずに行う方法に関する。
【0023】
したがって、ジイソシアネートの不在下で、かつアミンの不在下で、少なくとも3つの官能基を有するポリイソシアネートを、特定の酸条件の存在下で、特定の乳化剤(生物由来のポリオール)とともに使用することで、十分な効率で重合を行うことができ、これによって良好な特性を示すカプセル壁が提供されることが判明した。
【0024】
本方法の一工程において、少なくとも1種の疎水性活性成分を少なくとも1種のポリイソシアネートと混合して油相を形成するが、ただし、前記油相は、ジイソシアネートを実質的に含有しないことを条件とする。
【0025】
疎水性活性成分は好ましくは、フレーバー、フレーバー成分、芳香剤、芳香剤成分、栄養補助食品、化粧料、昆虫防除剤、殺生物活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0026】
特定の一実施形態によれば、疎水性活性成分は、芳香剤と、栄養補助食品、化粧料、昆虫防除剤および殺生物活性剤からなる群から選択される他の成分との混合物を含む。
【0027】
特定の一実施形態によれば、疎水性活性成分は、芳香剤を含む。
【0028】
特定の一実施形態によれば、疎水性活性成分は、芳香剤からなる。
【0029】
「香油」は「芳香剤」とも呼ばれ、これは本明細書では、約20℃で液状である成分または組成物を意味する。上記実施形態のいずれか1つによれば、前記香油は、単独の付香成分であってもよいし、付香組成物の形態での複数の成分の混合物であってもよい。「付香成分」とは、本明細書では、匂いの付与または調整を主な目的として使用される化合物を意味する。すなわち、付香成分であると考えられるべきこのような成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、少なくとも組成物にポジティブな、または心地よい匂いを付与するか、あるいは匂いをポジティブに、または心地よいように変更できるものとして、当業者には認識されるはずである。本発明において、香油には、付香成分と、付香成分の送達を一緒に改善、向上または変更する物質(例えば、芳香剤前駆体、エマルションまたは分散液)との組合せ、ならびに匂いを変更または付与するという有益性以外の、例えば長期持続性、ブルーミング、悪臭中和作用、抗微生物作用、微生物安定性、昆虫防除性といったさらなる有益性を付与する組合せも含まれる。
【0030】
油相中に存在する付香成分の性質および種類について、本明細書はこれ以上詳細な記載を保証するものではないが、いずれにせよ全てのものを余すことなく詳細に記載できるものではなく、当業者であれば、自身の一般知識に基づき、また用途および所望の感覚受容作用に従って、それらを選択することができるであろう。一般的に言えば、これらの付香成分は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、ニトリル類、テルペノイド類、含窒素複素環式化合物、含硫黄複素環式化合物および精油といった様々な化学種に属し、また該香料補助成分は、天然由来のものであっても合成由来のものであってもよい。こうした補助成分の多くは、いずれにせよ、S.Arctanderによる著作Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USAもしくはその最新版のような参考文献、または類似の性質の他の論文、および香料分野の多数の特許文献に列記されている。また前記成分は、様々な種類の付香化合物を制御された様式で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。
【0031】
付香成分を、芳香剤産業で現在使用されている溶媒に溶解させてもよい。溶媒は、好ましくはアルコールではない。このような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastmanより入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネン類もしくは他のテルペン類またはイソパラフィン類である。好ましくは溶媒は、非常に疎水性が高く、高立体障害性であり、例えばAbalyn(登録商標)または安息香酸ベンジルである。好ましくは芳香剤は、30%未満の溶媒を含む。より好ましくは芳香剤は、20%未満、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含む。これらのパーセンテージはいずれも、芳香剤の全質量に対する質量により定められる。最も好ましくは、芳香剤は溶媒を実質的に含まない。
【0032】
本発明の実施形態のうちのいずれか1つによれば、疎水性活性成分は、工程3)後に得られた分散液の全質量に対して約10~60質量%、またはさらには20~45質量%で存在する。
【0033】
本発明により使用される適切なポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよびそれらの混合物が挙げられる。前記ポリイソシアネートは、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有するが、ただしイソシアネート官能基を6つまで含んでよく、またはさらにイソシアネート官能基を4つしか含まなくてもよい。
【0034】
特定の一実施形態によれば、トリイソシアネート(イソシアネート官能基3つ)が使用される。
【0035】
一実施形態によれば、前記ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートである。
【0036】
本明細書では、「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、芳香族部分を含むいずれのポリイソシアネートも包含することを意味する。好ましくはこの用語は、フェニル、トルイル、キシリル、ナフチルまたはジフェニル部分を含み、より好ましくはトルイルまたはキシリル部分を含む。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ビウレット、ポリイソシアヌレートおよびジイイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物であり、より好ましくは上記で言及された特定の芳香族部分のうちの1つを含む。より好ましくは芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(商品名Desmodur(登録商標)RCとしてBayerより市販)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名Desmodur(登録商標)L75としてBayerより市販)、キシリレンジイシソアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名Takenate(登録商標)D-110Nとして三井化学(株)より市販)である。最も好ましい一実施形態では、芳香族ポリイソシアネートは、キシリレンジイシソアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0037】
もう1つの実施形態によれば、前記ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、芳香族部分を何ら含まないポリイソシアネートと定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学(株)より入手可能)またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(商品名Desmodur(登録商標)N100としてBayerより市販)であり、これらの中でもヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットがさらにより好ましい。
【0038】
もう1つの実施形態によれば、前記少なくとも1種のポリイソシアネートは、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネート(双方とも少なくとも3つのイソシアネート官能基を含む)との混合物の形態であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイシソアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物の形態である。最も好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイシソアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。好ましくは、混合物として使用される場合、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとのモル比は、80:20~10:90の範囲である。
【0039】
一実施形態によれば、本発明の方法に使用される少なくとも1種のポリイソシアネートは、油相の1~15質量%、好ましくは2~8質量%、より好ましくは2~6質量%である量で存在する。
【0040】
一実施形態によれば、油相は、ジイソシアネートを含有しない。
【0041】
特定の一実施形態によれば、油相は、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有するポリイソシアネートと、香油またはフレーバーオイルとから実質的になる。
【0042】
本発明による方法のもう1つの工程において、生物由来のアニオン性ポリオールと、4.5未満のpKaを有するプロトン酸とを混合することで、酸性条件下に水相が形成される。好ましい一実施形態によれば、水相のpHは、4.5未満である。
【0043】
特定の一実施形態によれば、生物由来のアニオン性ポリオールは、リグニン、硫酸リグニン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム塩、ポリガラクツロン酸、デキストラン硫酸ナトリウム塩およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
一実施形態によれば、プロトン酸は、グリオキシル酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、サリチル酸、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、塩酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
好ましい一実施形態によれば、4.5未満のpKaを有するプロトン酸は、グリオキシル酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、サリチル酸、シュウ酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。特定の一実施形態によれば、4.5未満のpKaを有するプロトン酸は、グリオキシル酸からなる。
【0046】
一実施形態によれば、触媒は、4.5未満のpKaを有するプロトン酸を少なくとも50%含む。
【0047】
特定の一実施形態によれば、触媒は、4.5未満のpKaを有するプロトン酸からなる。
【0048】
特定の一実施形態によれば、触媒は、金属塩不含であり、特にスズ塩不含である。
【0049】
本発明の上記の実施形態のうちのいずれか1つによれば、分散液は、生物由来のアニオン性ポリオールを約0.5~2.5質量%含み、ここで、パーセンテージは、工程3)後に得られた分散液の全質量に対する質量/質量ベースで表される。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、水相を、45~60℃で1~4時間硬化させる。
【0051】
本発明の方法のもう1つの工程において、次いで油相を水相に添加して分散液を形成し、その際、平均液滴径は、好ましくは1~1000μm、より好ましくは1~500μm、さらにより好ましくは5~50マイクロメートルに含まれる。これに続いて硬化工程4)を行い、これによりスラリーまたは液体分散液の形態のマイクロカプセルが完成する。好ましい一実施形態によれば、前記工程は、60~80℃に含まれる温度で、場合により圧力下に1~4時間行われる。より好ましくは、前記工程は、50~90℃で30分~4時間行われる。
【0052】
本発明の特定の一実施形態によれば、工程4)の終了時に本発明のスラリーにカチオン性ポリマーおよびそれらの混合物から選択されるポリマーを添加して、マイクロカプセルに外側被覆を形成してもよい。
【0053】
カチオン性ポリマーは、当業者に周知である。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/g、ただし好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、米国薬局方において窒素定量法に関する化学試験の項目で記載されているケルダール法により求めることができる。好ましいカチオン性ポリマーは、ポリマー主鎖の一部を形成し得るか、または該主鎖に直接結合する側鎖置換基が有し得るかのいずれかである第一級、第二級、第三級および/または第四級アミン基を含む単位を有するものから選択される。カチオン性ポリマーの質量平均(Mw)分子量は、好ましくは10,000~3.5Mダルトンであり、より好ましくは50,000~1.5Mダルトンである。特定の一実施形態によれば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、四級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、四級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)、ビニルピロリドン、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドをベースとするカチオン性ポリマーを使用する。好ましくはコポリマーは、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群から選択されるものとする。市販品の具体例として、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性コポリマー、供給元:BASF)またはLuviquat(登録商標)、例えばPQ 11N、FC 550またはStyle(ポリクオタニウム-11~68またはビニルピロリドンの四級化コポリマー、供給元:BASF)、またはさらにJaguar(登録商標)(C13SまたはC17、供給元:Rhodia)を挙げることができる。
【0054】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、上記のポリマーが、約0~5質量%、またはさらに約0.1~2質量%に含まれる量で添加され、ここで、パーセンテージは、工程4)後に得られたスラリーの全質量に対する質量/質量ベースで表される。当業者には、前記添加されたポリマーの一部のみがマイクロカプセルのシェルに組み込まれ/該シェル上に堆積されることが明確に理解される。
【0055】
あるいは任意の工程5)において、上記の方法により得られたスラリーを例えば噴霧乾燥のような乾燥に供することで、そのままの、すなわち粉末形態のマイクロカプセルを得ることができる。こうした乾燥の実施には、当業者に知られている標準的ないずれの方法を適用してもよいことが理解される。特に、粉末形態のマイクロカプセルを得るためにスラリーを噴霧乾燥することができ、これは好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または化工デンプン、植物ガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラギーナンまたはセルロース誘導体のようなポリマー担体材料の存在下で行われる。
【0056】
油を含むコアと、
少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートから形成される重合されたポリイソシアネートと、生物由来のアニオン性ポリオールとから実質的になるシェルと
を含む、上記の方法により得ることができるメラミン-ホルムアルデヒド不含のポリ(尿素-ウレタン)マイクロカプセルも、本発明の対象である。ポリイソシアネートが膜を形成する性質を示すにもかかわらず、またポリアミンが存在しないにもかかわらず、本発明のカプセルは、困難を伴う媒体における安定性および活性成分の送達に関して極めて良好な性能を示す。
【0057】
これに関して、理想的な状況とは、マイクロカプセルが最良の安定性を示す状況であると考えられ、すなわち、適用時の活性物質の漏出が非常に低度であるとともに、送達性能が最良であり、例えば芳香剤の場合には適用時に擦る前と擦った後のどちらにも芳香が強いという状況であると考えられるが、用途によっては異なるシナリオが非常に興味深いものとなる場合があり、安定性はやや低いが匂い性能は比較的高いというカプセルが非常に有用である場合も、安定性は比較的高いが匂い性能はやや低いというカプセルが非常に有用である場合もあることに言及すべきである。本発明のカプセルは、ポリイソシアネートの割合および香油の性質に応じて変動する芳香剤漏出/匂い性能のプロファイルを有する。当業者であれば、用途での必要性に応じて、最良のバランスを選択することができる。本発明によるカプセルについてのさらなる有益性は、メラミン-ホルムアルデヒド不含であることである。
【0058】
本発明のもう1つの対象は、
(i)上記で定義されたマイクロカプセルであって、前記油は芳香剤を含むものとするマイクロカプセルと、
(ii)香料担体、香料補助成分およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、
(iii)任意に、香料補助剤と
を含む、付香組成物である。
【0059】
液体の香料担体としては、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒および界面活性剤系または香料に一般的に使用される溶媒を挙げることができる。香料に一般的に使用される溶媒の性質および種類については、全てのものを余すことなく詳細に記載できるものではない。ただし非限定的な例として、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノールまたはクエン酸エチルといった溶媒を挙げることができ、これらが最も一般的に使用されている。香料担体および香料補助成分の双方を含む組成物について、先に明記したもの以外の適切な香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン類または他のテルペン類、イソパラフィン類、例えば商標Isopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)で知られているもの、またはグリコールエーテル類およびグリコールエーテルエステル類、例えば商標Dowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)で知られているものもあり得る。「香料補助成分」とは本明細書では、快楽的な作用を付与する付香調製物または組成物において使用される化合物であって、上記で定義されたマイクロカプセルではないものを意味する。すなわち、付香成分であると考えられるべきこのような補助成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、組成物にポジティブな、または心地よい匂いを付与するか、あるいは匂いをポジティブに、または心地よいように変更できるものとして、当業者には認識されるはずである。
【0060】
付香組成物中に存在する香料補助成分の性質および種類について、本明細書はこれ以上詳細な記載を保証するものではないが、いずれにせよ全てのものを余すことなく詳細に記載できるものではなく、当業者であれば、自身の一般知識に基づき、また用途および所望の感覚受容作用に従って、それらを選択することができるであろう。一般的に言えば、これらの香料補助成分は、アルコール類、ラクトン類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、ニトリル類、テルペノイド類、含窒素複素環式化合物、含硫黄複素環式化合物および精油といった様々な化学種に属し、また該香料補助成分は、天然由来のものであっても合成由来のものであってもよい。こうした補助成分の多くは、いずれにせよ、S.Arctanderによる著作Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USAもしくはその最新版のような参考文献、または類似の性質の他の論文、および香料分野の多数の特許文献に列記されている。また前記補助成分は、様々な種類の付香化合物を制御された様式で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。
【0061】
「香料補助剤」とは本明細書においては、色、特定の耐光性、化学的安定性などのさらに付加された有益性を付与し得る成分を意味する。付香ベースにおいて一般的に使用される補助剤の性質および種類については、全てのものを余すことなく詳細に記載できるものではなく、前記成分は当業者に周知であることに言及する必要がある。
【0062】
好ましくは本発明による付香組成物は、上記で定義されたマイクロカプセルを0.1~30質量%含む。
【0063】
本発明のマイクロカプセルを、多くの適用分野および消費者製品において有利に使用することができる。該マイクロカプセルは、液体の消費者製品に適用可能な液体形態で使用することも、粉末の消費者製品に適用可能な粉末形態で使用することも可能である。
【0064】
本発明のもう1つの対象は、液体の消費者製品であって、
a)少なくとも1種の界面活性剤を、該消費者製品の全質量に対して2~65質量%と、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c)上記で定義されたマイクロカプセルと、
d)任意に、非封入芳香剤と
を含む、液体の消費者製品である。
【0065】
粉末の消費者製品であって、
(a)少なくとも1種の界面活性剤を、該消費者製品の全質量に対して2~65質量%と、
(b)上記で定義されたマイクロカプセルと、
(c)任意に、上記で定義されたマイクロカプセルとは異なる芳香剤粉末と
を含む粉末の消費者製品も、本発明による対象である。
【0066】
芳香剤の油系コアを含むマイクロカプセルの場合、本発明の製品は特に、付香された消費者製品、例えばファインフレグランスまたは「機能性」香料に属する製品に使用されるものであり得る。機能性香料としては特に、ヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケアを含むパーソナルケア製品ならびに洗濯ケアおよび空気ケアを含むホームケア製品が挙げられる。したがって本発明のもう1つの対象は、上記で定義されたマイクロカプセルまたは上記で定義された付香組成物を付香成分として含む、付香された消費者製品からなる。前記消費者製品の芳香要素は、上記で定義された芳香剤マイクロカプセルと、自由な状態の、または封入されていない芳香剤と、本明細書に開示されたもの以外の種類の芳香剤マイクロカプセルとの組合せであり得る。
【0067】
特に、液体の消費者製品であって、
a)少なくとも1種の界面活性剤を、該消費者製品の全質量に対して2~65質量%と、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c)上記で定義された付香組成物と
を含む液体の消費者製品は、本発明のもう1つの対象である。
【0068】
また、粉末の消費者製品であって、
(a)少なくとも1種の界面活性剤を、該消費者製品の全質量に対して2~65質量%と、
(b)上記で定義された付香組成物と
を含む粉末の消費者製品も、本発明の一部である。
【0069】
したがって、本発明のマイクロカプセルを、そのまま添加することも、付香された消費者製品中の本発明の付香組成物の一部として添加することもできる。
【0070】
明確にするために述べると、「付香された消費者製品」とは、様々な有益性の中でも、付香作用を、適用される表面(例えば、皮膚、毛髪、布地、紙または家庭における表面)または空気中に送達することが期待される消費者製品(エアフレッシュナー、消臭剤など)を意味することに言及する必要がある。すなわち、本発明による付香された消費者製品とは、「ベース」とも呼ばれる機能性配合物を、有益な作用剤とともに含み、その中でも有効量の本発明によるマイクロカプセルとともに含む製品である。
【0071】
付香された消費者製品の他の構成要素の性質および種類について、本明細書はこれ以上詳細な記載を保証するものではないが、いずれにせよ全てのものを余すことなく詳細に記載できるものではなく、当業者であれば、自身の一般知識に基づき、また該製品の性質および所望の作用に従って、それらを選択することができる。本発明のマイクロカプセルを組み込むことができる消費者製品のベース配合物は、このような製品に関する多数の文献に記載されている。これらの配合物については、本明細書ではより詳細な記載は保証されないが、いずれにせよ全てのものを余すことなく詳細に記載できるものではない。このような消費者製品を配合する当業者であれば、自身の一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を完全に選択することができる。
【0072】
付香された適切な消費者製品の非限定的な例は、芳香剤、例えばファインパフューム、コロン、アフターシェーブローション、ボディスプラッシュ;布地ケア製品、例えば液体または固体の洗剤、タブレットおよびポッド、布地柔軟剤、乾燥機用シート、布地リフレッシャー、アイロン水または漂白剤;パーソナル製品、例えばヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナ、カラーリング調製物またはヘアスプレー)、化粧調製物(例えば、バニシングクリーム、ボディローションまたは消臭剤もしくは発汗抑制剤)またはスキンケア製品(例えば、付香された石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはゲル、バスソルトまたは衛生製品);空気ケア製品、例えばエアフレッシュナーまたは「すぐに使用可能な」粉末状エアフレッシュナー;またはホームケア製品、例えば万能クリーナー、液状もしくは粉末状またはタブレット状の台所洗剤製品、トイレクリーナーまたは種々の表面を清浄化するための製品、例えば布地または硬質表面(床、タイル、石目床など)の処理/リフレッシュを目的としたスプレー&ワイプ;衛生製品、例えば生理用ナプキン、おむつ、トイレットペーパーであり得る。
【0073】
好ましくは消費者製品は、本発明のマイクロカプセルを0.1~15質量%、より好ましくは0.2~5質量%含み、ここで、これらのパーセンテージは、該消費者製品の全質量に対する質量により定められる。当然のことながら、上記濃度を、各製品に望まれる嗅覚作用に従って適合させてもよい。
【0074】
本発明のカプセルは、具体的かつ有利には、著量の界面活性剤を含有する消費者製品において安定であることが判明し、より具体的には、粒子を1種しか使用しないカプセルと比較して安定性の向上を示すことが実証された。
【0075】
ここで、本発明を実施例によりさらに説明する。これらの実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の限定を意図するものではないことを認識されたい。
【実施例】
【0076】
例
例1
グリオキシル酸およびカルボキシメチルセルロースを用いた本発明によるマイクロカプセルの製造
マイクロカプセルA-1:
Ambergum(登録商標)1221(カルボキシメチルセルロース、Hercules Inc.の商標)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。グリオキシル酸によりpH値を3.73に調節した。エマルションを製造する前に、この溶液を25℃で保持した。このビーカーに香油(表1)およびポリイソシアネート(表2参照)の溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移して45℃で1時間、次いで60℃で1時間加熱し、そして最後に80℃で3時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=3.87)。原材料の相対的割合を、表2に報告する。
【0077】
【0078】
【0079】
マイクロカプセルB-1
マイクロカプセルB-1を、マイクロカプセルA-1について記載したプロトコールに従って製造した。カルボキシメチルセルロースとグリオキシル酸との溶液を45℃で1時間加熱し、25℃に冷却してからエマルションを製造した(最終pH=3.69)。
【0080】
マイクロカプセルC-1
マイクロカプセルC-1を、マイクロカプセルA-1について記載したプロトコールに従って製造した。カルボキシメチルセルロースとグリオキシル酸との溶液を45℃で2時間加熱し、25℃に冷却してからエマルションを製造した(最終pH=3.85)。
【0081】
マイクロカプセルD-1
マイクロカプセルD-1を、マイクロカプセルA-1について記載したプロトコールに従って製造した。カルボキシメチルセルロースとグリオキシル酸との溶液を60℃で1時間加熱し、25℃に冷却してからエマルションを製造した(最終pH=3.82)。
【0082】
マイクロカプセルE-1
マイクロカプセルE-1を、マイクロカプセルA-1について記載したプロトコールに従って製造した。カルボキシメチルセルロースとグリオキシル酸との溶液を60℃で2時間加熱し、25℃に冷却してからエマルションを製造した(最終pH=3.81)。
【0083】
マイクロカプセルF-1
マイクロカプセルF-1を、マイクロカプセルB-1について記載した条件に従って製造した。原材料に関して、ポリイソシアネート(NCO基20%超)2.28gを用いて香油の溶液を調製した。
【0084】
マイクロカプセルG-1
マイクロカプセルG-1を、マイクロカプセルB-1について記載した条件に従って製造した。原材料に関して、ポリイソシアネート(NCO基20%未満)1.52gを用いて香油の溶液を調製した。
【0085】
マイクロカプセルH-1
マイクロカプセルH-1を、マイクロカプセルB-1について記載した条件に従って製造した。原材料に関して、油相は、香油と、ポリイソシアネートとしてTakenate(登録商標)D110N(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、三井化学(株)の商標)(0.95g)およびDesmodur(登録商標)N100(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(Bayerの商標))(0.95g、最終pH=3.90)の混合物とを含有していた。
【0086】
マイクロカプセルI-1
マイクロカプセルI-1を、マイクロカプセルB-1のプロトコールに従って、Ambergum(登録商標)1221(Hercules Inc.)(CMC25%超)の溶液50gとグリオキシル酸溶液(pH=3.80)0.79gとを用いて製造した。
【0087】
マイクロカプセルJ-1
マイクロカプセルJ-1を、マイクロカプセルB-1のプロトコールに従って、Ambergum(登録商標)1221(Hercules Inc.)(CMC50%超)の溶液60gとグリオキシル酸溶液(pH=3.80)0.89gとを用いて製造した。
【0088】
例2
pKa<4.5の酸を用いた本発明によるカプセルの製造
マイクロカプセルA-2
Ambergum(登録商標)1221(Hercules Inc.)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。硝酸の水溶液でpH値を4.05に調節した。この溶液を45℃で1時間保持し、次いで25℃に冷却した。このビーカーに香油とポリイソシアネートとの溶液(表3)を加え、双方の相をウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で3時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=4.01)。
【0089】
【0090】
マイクロカプセルB-2
マイクロカプセルB-2を、マイクロカプセルA-2について記載したプロトコールに従って製造したが、ただしこれを、硝酸の代わりに硫酸(96%、0.15g、最終pH=3.94)の存在下で行った。
【0091】
マイクロカプセルC-2
マイクロカプセルC-2を、マイクロカプセルA-2について記載したプロトコールに従って製造したが、ただしこれを、硝酸の代わりにギ酸(99%、0.16g、最終pH=3.92)の存在下で行った。
【0092】
マイクロカプセルD-2
マイクロカプセルD-2を、マイクロカプセルA-2について記載したプロトコールに従って製造したが、ただしこれを、硝酸の代わりに塩酸の水溶液(37%、0.29g、最終pH=3.76)の存在下で行った。
【0093】
マイクロカプセルE-2
マイクロカプセルE-2を、マイクロカプセルA-2について記載したプロトコールに従って、硝酸の代わりにリン酸の水溶液(84%、0.29g、最終pH=4.04)の存在下で製造した。
【0094】
マイクロカプセルF-2
マイクロカプセルF-2を、マイクロカプセルA-2について記載したプロトコールに従って、硝酸の代わりにシュウ酸の水溶液(0.1M、15.40g、最終pH=4.03)の存在下で製造した。
【0095】
マイクロカプセルG-2
マイクロカプセルG-2を、マイクロカプセルA-2について記載したプロトコールに従って、硝酸の代わりにクエン酸一水和物(99.5%、供給元:Acros organics、0.35g、最終pH=4.14)の存在下で製造した。
【0096】
例3 本発明によるカプセルの製造
マイクロカプセルA-3:
アルギン酸ナトリウム塩(Alfa Aesar)の水溶液を100mLのビーカーに加えた。グリオキシル酸によりpH値を3.79に調節した。エマルションを製造する前に、この溶液を25℃で保持した。このビーカーに香油(表1)とポリイソシアネートとの溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間加熱し、そして最後に80℃で3時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=3.79)。原材料の相対的割合を、表4に報告する。
【0097】
【0098】
マイクロカプセルB-3
マイクロカプセルB-3を、マイクロカプセルA-3について記載したプロトコールに従って、グリオキシル酸およびアルギン酸ナトリウム塩の溶液の存在下で製造したところ、低粘性の水溶液が生じた(供給元:Alfa Aesar B25266、最終pH=3.84)。
【0099】
マイクロカプセルC-3
マイクロカプセルC-3を、マイクロカプセルA-3について記載したプロトコールに従って、グリオキシル酸およびポリガラクツロン酸の溶液の存在下で製造した(ペクチン、供給元:Sigma,P3889,CAS RN 25990-10-7、最終pH=2.21)。
【0100】
マイクロカプセルD-3
マイクロカプセルD-3を、マイクロカプセルA-3について記載したプロトコールに従って、グリオキシル酸およびポリガラクツロン酸の溶液の存在下で製造した(ペクチン、供給元:Sigma,P3850,CAS RN 9049-37-0、最終pH=3.67)。
【0101】
マイクロカプセルE-3
マイクロカプセルE-3を、マイクロカプセルA-3について記載したプロトコールに従って、グリオキシル酸およびデキストラン硫酸ナトリウム塩の溶液の存在下で製造した(供給元:Sigma,D6924,CAS RN 9011-18-1、最終pH=2.46)。
【0102】
マイクロカプセルF-3
マイクロカプセルF-3を、マイクロカプセルA-3について記載したプロトコールに従って、グリオキシル酸およびデキストラン硫酸ナトリウム塩の溶液の存在下で製造した(供給元:Sigma,51227、最終pH=3.77)。
【0103】
例4
カチオン性コポリマーを含むカプセルA-4~E-4の製造
包括的方法
Ambergum(登録商標)1221(Hercules Inc.)の水溶液(4質量%、40g)を、100mLのビーカーに加えた(表5)。グリオキシル酸の水溶液(50質量%、0.55g)によりpH値を3.80に調節した。この溶液を45℃で1時間保持し、次いで25℃に冷却した。このビーカーに、香油(表1)(25.00g)と、Uvinul(登録商標)A+(油溶性UVAフィルター、Bayer)(1.25g)と、ポリイソシアネート - Takenate(登録商標)D-110N((75%)(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、三井化学(株)の商標)1.90g - との溶液を加え、双方の相をウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した(pH=3.80)。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で2時間加熱した。アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性コポリマー(Salcare(登録商標)SC60、供給元:BASF)の水溶液(3質量%、表5)を添加し、この分散液を80℃で1時間撹拌した。最後に、この反応混合物を室温に冷却した(pH=3.80)。
【0104】
【0105】
例5
カチオン性コポリマーの混合物を用いたカプセルF-4~R-4の製造
包括的方法
カプセルA-4について記載したプロトコールに従ってカプセルを製造した。アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドのカチオン性コポリマー(Salcare(登録商標)SC60、供給元:BASF)の水溶液(3質量%、20g)と、第2のコポリマー(1質量%、表6)との混合物を一緒に加え、この分散液を80℃で1時間撹拌した。最後に、この反応混合物を室温に冷却した(pH=3.80)。
【0106】
【0107】
例6
グリオキシル酸、酢酸およびカルボキシメチルセルロースを用いたマイクロカプセルの製造
マイクロカプセルB-6
カルボキシメチルセルロース(Ambergum(登録商標)1221;Hercules Inc.)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。酢酸およびグリオキシル酸それぞれ50質量%ずつの溶液を調製した。この溶液を用いて、水相のpH値を3.80に調節した(1.06g)。エマルションを製造する前に、カルボキシメチルセルロースと酸との溶液を45℃で1時間加熱して25℃に冷却した。このビーカーに香油とポリイソシアネート(表7)との溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で3時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=3.86)。
【0108】
【0109】
マイクロカプセルC-6
マイクロカプセルB-6のプロトコールに従って、酢酸およびグリオキシル酸をそれぞれ25質量%および75質量%で用いてマイクロカプセルC-6を製造した(pH=3.67)。
【0110】
【0111】
マイクロカプセルE-6
マイクロカプセルB-6のプロトコールに従って、酢酸およびグリオキシル酸をそれぞれ10質量%および90質量%で用いてマイクロカプセルE-6を製造した(pH=3.67)。
【0112】
【0113】
マイクロカプセルF-6
マイクロカプセルE-6のプロトコールに従って、カルボキシメチルセルロース溶液50gを用いてマイクロカプセルF-6を製造した。
【0114】
【0115】
マイクロカプセルG-6
マイクロカプセルE-6のプロトコールに従って、カルボキシメチルセルロース溶液60gを用いてマイクロカプセルG-6を製造した。
【0116】
【0117】
例7
酢酸およびカルボキシメチルセルロースを用いたマイクロカプセルの製造
比較マイクロカプセルA-7
カルボキシメチルセルロース(Ambergum(登録商標)1221;Hercules Inc.)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。酢酸によりpH値を4.01に調節した。エマルションを製造する前に、この溶液を室温で保持した。このビーカーに香油とポリイソシアネートとの溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で3時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=4.03)。
【0118】
【0119】
比較マイクロカプセルB-7
比較マイクロカプセルB-7を、比較マイクロカプセルA-7のプロトコールに従って製造した。カルボキシメチルセルロースと酢酸との溶液を45℃で1時間加熱して室温に冷却してからエマルションを製造した(最終pH=3.95)。
【0120】
比較マイクロカプセルC-7
比較マイクロカプセルC-7を、比較マイクロカプセルB-7のプロトコールに従って製造した。カルボキシメチルセルロースと酢酸との溶液を45℃で2時間加熱してからエマルションを製造した(最終pH=3.99)。
【0121】
比較マイクロカプセルD-7
比較マイクロカプセルD-7を、比較マイクロカプセルB-7のプロトコールに従って製造した。カルボキシメチルセルロースと酢酸との溶液を60℃で1時間加熱してからエマルションを製造した(最終pH=3.99)。
【0122】
比較マイクロカプセルE-7
比較マイクロカプセルE-7を、比較マイクロカプセルB-7のプロトコールに従って製造した。カルボキシメチルセルロースと酢酸との溶液を60℃で2時間加熱してからエマルションを製造した(最終pH=3.91)。
【0123】
比較マイクロカプセルF-7
比較マイクロカプセルF-7を、比較マイクロカプセルA-7のプロトコールに従って製造した。ポリイソシアネート2.28gを用いて、香油の溶液を調製した(NCO基20%超)。
【0124】
比較マイクロカプセルG-7
ポリイソシアネート1.52g(NCO基20%未満)を用いて、比較マイクロカプセルF-7のプロトコールに従って、比較マイクロカプセルG-7を製造した。
【0125】
比較マイクロカプセルH-7
カルボキシメチルセルロース(Ambergum(登録商標)1221、4%;Hercules Inc.)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。酢酸によりpH値を4.01に調節した。エマルションを製造する前に、カルボキシメチルセルロースと酢酸との溶液を45℃で1時間加熱して25℃にした。このビーカーに香油とポリイソシアネート(表13)との溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で3時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=3.97)。
【0126】
【0127】
比較マイクロカプセルI-7
比較マイクロカプセルH-7のプロトコールに従って、香油とポリイソシアネート(表14)0.95gとの溶液を用いて、比較マイクロカプセルI-7を製造した(pH=3.77)。
【0128】
【0129】
例8
ボディケア用途のマイクロカプセルの製造
包括的プロトコール
カルボキシメチルセルロース(Ambergum(登録商標)1221、4%;Hercules Inc.)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。グリオキシル酸によりpH値を3.82に調節した。エマルションを製造する前に、この溶液を25℃で保持した。このビーカーに香油(表15)とポリイソシアネートとの溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で2時間加熱した。カチオン性ポリマーの溶液を加え、この分散液を80℃でさらに1時間撹拌した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=3.94)。
【0130】
【0131】
マイクロカプセルA-8
0.80%のカチオン性コポリマーを用いて製造した本発明のカプセル。
【0132】
【0133】
マイクロカプセルB-8
カチオン性コポリマーの混合物を用いて製造した本発明のカプセル(表17)。
【0134】
【0135】
マイクロカプセルC-8
0.40%のカチオン性ポリマーを用いて製造した本発明のカプセル。
【0136】
【0137】
マイクロカプセルD-8
2種のカチオン性コポリマーの混合物を用いて製造した本発明のカプセル。
【0138】
【0139】
マイクロカプセルE-8
カチオン性ポリマーの混合物を用いて製造した本発明のカプセル。
【0140】
【0141】
マイクロカプセルF-8
カチオン性ポリマーの混合物を用いて製造した本発明のカプセル。
【0142】
【0143】
マイクロカプセルG-8
カチオン性ポリマーの混合物を用いて製造した本発明のカプセル。
【0144】
【0145】
マイクロカプセルH-8
カチオン性ポリマーの混合物を用いて製造した本発明のカプセル。
【0146】
【0147】
マイクロカプセルI-8
カチオン性ポリマーの混合物を用いて製造した本発明のカプセル。
【0148】
【0149】
マイクロカプセルJ-8
カチオン性ポリマーの混合物を用いて製造した本発明のカプセル。
【0150】
【0151】
マイクロカプセルK-8
カチオン性ポリマーの混合物を用いて製造した本発明のカプセル。
【0152】
【0153】
マイクロカプセルL-8
リン酸とカチオン性ポリマーとを用いて製造した本発明のカプセル。
【0154】
【0155】
マイクロカプセルM-8
シュウ酸とカチオン性ポリマーとを用いて製造した本発明のカプセル。
【0156】
【0157】
マイクロカプセルN-8
クエン酸とカチオン性ポリマーとを用いて製造した本発明のカプセル。
【0158】
【0159】
マイクロカプセルO-8
リンゴ酸とカチオン性ポリマーとを用いて製造した本発明のカプセル。
【0160】
【0161】
マイクロカプセルP-8
乳酸とカチオン性ポリマーとを用いて製造した本発明のカプセル。
【0162】
【0163】
マイクロカプセルQ-8
グリオキシル酸とカチオン性ポリマーとを用いて製造した本発明のカプセル。
【0164】
【0165】
マイクロカプセルR-8
ギ酸とカチオン性ポリマーとを用いて製造した本発明のカプセル。
【0166】
【0167】
例9
APロールオン(AP-Roll on)における安定性
APロールオンベースの調製
予め75℃に温めておいたBRIJ 72(3.25g,Croda,英国)、BRIJ 721(0.75g,Croda,英国)およびARLAMOL E(4.00g,Croda,英国)の混合物を、撹拌下に水(51.00g)に添加した。この混合物を10分間均質化させ、次いで撹拌下に室温まで冷却した。LOCRON L(40.00g,Clariant,スイス国)を45℃でゆっくり添加し、この混合物を室温で保持した。本発明のカプセル分散液(約2.60g)を35℃で添加することにより、白色の液体エマルションを得た。このエマルションの封入香油の濃度は1%であり、このエマルションは、特徴のない匂い(pH4.2~4.7)および1000~2500cPsの粘度(製造の24~48時間後に測定)を有していた。
【0168】
【0169】
芳香剤の漏出の測定
APロールオンベースの試料(1g)を、セプタムで蓋をしたGCバイアルに導入した。バイアルを撹拌しながら65℃で5分間安定化させた。85μmのポリアクリレートコーティングを備えたSPMEファイバーアセンブリーを用いて、10分間サンプリングを行った。マイクロカプセルからの芳香剤の漏出を、質量分析計検出器5973(Agilent Technologies,米国)およびDB-1 MSカラム(30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を備えたGCシステム6890Nを用いたガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。揮発性物質をGCにより60℃で2分間分析し、次いで29分間の全ランタイムにわたって7℃/分で250℃まで加熱した。
【0170】
移動ガス相は、ヘリウムであった(1.2mL/分、圧力80.5KPa、スプリットレス)。遊離した香油を用いて検量線を作成した。
【0171】
【0172】
これらの結果から、4.5未満のpKaを有する少なくとも1種のプロトン酸の存在によって、マイクロカプセルからの油の漏出が妨げられることが明らかである。
【0173】
例10
毛髪への付着
適用ベースの調製
【表36】
【0174】
付着測定のプロトコール
1)小型の毛髪見本(500mg)をシリンジにより37℃の水道水(40mL)で湿らせ、次いで1回絞った。
【0175】
2)湿った毛髪見本を、付香されていないベース(0.2mL)で前処理し、水平方向に5回擦り、次いで垂直方向に5回擦った;次いで、これを37℃の水道水(100mL)ですすぎ、最後に1回絞った。
【0176】
3)付香されたベース(0.2mL、カプセルを加えて、該ベース中の芳香剤が0.2質量%となるようにしたもの)を毛髪見本に塗布し、水平方向に10回擦り、次いで垂直方向に10回擦った。
【0177】
4)開口部から7cmの所で分離漏斗により加えた37℃の水道水(100mL)で毛髪見本をすすぎ、優しく5回振った。
【0178】
5)毛髪見本を切断して20mLのバイアルに入れ、65℃で一晩乾燥させた。毛髪の質量を測定した。
【0179】
6)エタノール(5mL)をバイアルに加え、これを15分間超音波処理し、次いでプレート上で30分間振盪し、ろ過した。
【0180】
7)65℃で一晩乾燥させた対照について;エタノール(5mL)をバイアルに加え、これを15分間超音波処理し、プレート上で30分間振盪し、ろ過した。
【0181】
8)ユビナールAプラス(Uvinul A plus)をHPLCにより定量化した。
【0182】
【0183】
これらのデータは、本発明によるマイクロカプセルを用いて優れた付着性が得られることを明示している。
【0184】
例11
カプセルを用いたシャワージェルベースの調製
表37に示すシャワージェルベースに本発明のカプセルを分散させて、封入香油の濃度を0.25%とした。シャワージェルベースおよびカプセルを、50℃で1週間貯蔵した。
【0185】
【0186】
シャワージェル用途における安定性
カプセル(1g)を含むシャワージェルベースを20mLバイアルに導入し、ゴム製セプタムで密閉した。バイアルを、65℃で5分間安定化させた。このバイアルに、セプタムを通して固相マイクロ抽出(SPMEファイバーアセンブリー、85μmのポリアクリレートコーティング)ニードルを導入し、これをシャワージェルの上方で10分間保持した。次いで、ニードルをDB-1 MSカラム(供給元:Agilent、長さ30m、内径25mm、膜厚0.25μm)を備えたGCインジェクターに注入した。ヘリウム流量は1.2mL/分であり、圧力は80.5kPaであり、スプリット比は20であった。オーブンの温度は60℃であり、これを7℃/分で250℃まで温めた。
【0187】
【0188】
グリオキシル酸またはそれよりも強い酸で製造したカプセルは、シャワージェルベースにおいて安定である。
【0189】
例12
本発明の方法により製造されたマイクロカプセルを含有するシャンプー
シャンプー用途のマイクロカプセルの製造
マイクロカプセルA9:
Ambergum(登録商標)1221(カルボキシメチルセルロース、Hercules Inc.の商標)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。グリオキシル酸によりpH値を3.89に調節した。エマルションを製造する前に、この溶液を25℃で保持した。このビーカーに香油(表40参照)とポリイソシアネート(表2参照)との溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で2時間加熱した。カチオン性コポリマー(表41)の溶液を加え、この反応物質を80℃で1時間撹拌した。最後に、この反応混合物を室温に冷却した(pH=3.90)。
【0190】
【0191】
【0192】
マイクロカプセルB9:マイクロカプセルB9を、マイクロカプセルA9について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸の溶液を、シュウ酸の溶液(15.40g、水中0.1M、pH4.04)に置き換えた。
【0193】
マイクロカプセルC9:マイクロカプセルC9を、マイクロカプセルA9について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸の溶液を、クエン酸(0.35g、99.5%、pH4.08)に置き換えた。
【0194】
マイクロカプセルD9:マイクロカプセルD9を、マイクロカプセルA9について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸の溶液を、DL-リンゴ酸(0.34g、pH4.08)に置き換えた。
【0195】
マイクロカプセルE9:マイクロカプセルE9を、マイクロカプセルA9について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸の溶液を、乳酸(0.38g、水中90%、pH4.08)の溶液に置き換えた。
【0196】
マイクロカプセルF9:マイクロカプセルF9を、マイクロカプセルA9について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸の溶液を、リン酸の溶液(0.29g、水中84%、pH4.03)に置き換えた。
【0197】
マイクロカプセルG9:マイクロカプセルG9を、マイクロカプセルA9について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸の溶液を、ギ酸(0.16g、pH4.08)に置き換えた。
【0198】
【0199】
性能測定のプロトコール
カプセルを、シャンプーベース中で芳香剤0.2%に相当する供給量で導入し、これを室温で少なくとも24時間、そして45℃で1カ月間浸軟させた。乾燥した2つの毛髪見本(10g、Kerling Int.,カタログ番号:826500,Euro-Natural hair)を温水(約37℃)下で30秒間湿らせ、次いで毛髪10gあたりシャンプー1gを使用して指の間で優しく擦りながら洗浄した。洗浄したこの毛髪見本を、予め温水を満たしておいた1Lのビーカー内ですすいだ。これらをビーカーに3回浸した(3回中に入れ、3回外に出した)。次いで、これらをビーカーに浸し、ゆっくり各方向に前後に3回動かし、最後にこの毛髪見本にはまったく触れずに流水下(流量4L/分)で30秒間すすいだ(それぞれの側で15秒間)。
【0200】
この毛髪見本を最上部のプラスチック部分から毛先まで絞ることにより、余分な水を取り除いた。この毛髪見本にはそれ以上触れずに、またはこれを絞って、余分な水を取り除いた。シャンプー1gを使用して2回目の洗浄を30秒間行い、上記のすすぎのプロトコールを繰り返した。毛髪見本を乾燥棚に置き、室温で24時間空気乾燥させた。
【0201】
この毛髪見本の香り強度を、毛髪をとかす前に以下の芳香強度等級に従って評価した:1-知覚不可能、2-わずかに知覚可能、3-弱い、4-中程度、5-持続的、6-強い、7-極めて強い。くしの薄い部分を用いて、毛髪見本を3回とかした。毛髪をとかした直後の芳香強度を、同一の等級に従って評価した。1回でも毛髪見本に触れたか、または毛髪見本を擦ったか、または毛髪見本をとかしたら、これを「とかす前」の工程に関して再度評価することはできなかった。したがって、少なくとも2セットの毛髪見本を作成した。一方のセットは、決してとかさずに、「とかす前」の工程にだけ使用した。他方のセットは、「とかした後」の工程用に、最大10人のパネリストによりとかされた。10人よりも多くのパネリストが必要な場合には、もう1つの毛髪見本セットを、「とかした後」の工程用に作成した。洗浄プロトコールの間は、手袋により手を保護した。
【0202】
結果を以下の表に示す。
【0203】
【0204】
これらの例は、本発明のマイクロカプセルが、エージング処理した試料であっても良好な嗅覚性能を示すことを明示している。
【0205】
例13
本発明の方法により製造したマイクロカプセルを含有する布地柔軟剤
マイクロカプセルの製造
マイクロカプセルA10
Ambergum(登録商標)1221(カルボキシメチルセルロース、Hercules Inc.の商標)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。グリオキシル酸によりpH値を3.73に調節した。エマルションを製造する前に、この溶液を25℃で保持した。このビーカーに香油(表44)とポリイソシアネート(表45)との溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で3時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=3.87)。
【0206】
【0207】
【0208】
比較マイクロカプセルB10
カルボキシメチルセルロース(Ambergum(登録商標)1221;Hercules Inc.)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。酢酸によりpH値を4.01に調節した。エマルションを製造する前に、この溶液を室温で保持した。このビーカーに香油とポリイソシアネートとの溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で3時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=4.03)。
【0209】
【0210】
柔軟剤組成物
表47に列挙した成分を表示の量で混合することにより、付香されていない濃縮された布地柔軟剤ベースを調製した。パーセンテージは、付香されていない布地柔軟剤ベースの全質量に対する質量で定められる。
【0211】
【0212】
カプセルA10および比較カプセルB10を、柔軟剤の全質量に対して0.45質量%で、表47の付香されていない柔軟剤ベースに優しく振盪しながら添加することにより、柔軟剤を製造した。
【0213】
貯蔵安定性の性能
上記の布地柔軟剤中のカプセルA10(グリオキシル酸)の貯蔵安定性を、43℃で2週間貯蔵した後に評価した。比較カプセルB10(酢酸)の貯蔵安定性も評価した。経時的にカプセルから漏出した芳香剤の量(表44参照)を、溶剤抽出およびGC-MS分析により測定した。結果を、以下の表48にまとめた。
【0214】
【0215】
上記の結果は、本発明の方法により製造されたマイクロカプセルの安定性が、比較マイクロカプセルよりも著しく高いことを示している。
【0216】
嗅覚性能
洗浄およびすすぎのプロトコール:
綿パイル地タオル(20枚、18cm×18cm、各約30g)を欧州製の洗濯機(Miele Novotronic W300-33CH)で40℃で短いサイクルのプログラムを使用して、付香されていない洗剤30gを用いて洗浄した。この洗浄の後に、これを、43℃で2週間貯蔵しておいた上記の濃縮された布地柔軟剤12.7gを用いて900rpmですすいだ。次いで、訓練を受けた20人のパネリストのパネルにより評価する前に、これらのパイル地タオルを24時間吊り干しして乾燥させた。パネリストに、これらの布地を手で優しく擦った後に、タオルの匂いの強さを1~10の等級で評点をつけるように依頼した。1は匂いなしに相当し、10は極めて強い匂いに相当する。
【0217】
結果
パネリストによって、以下のことが分かった:
1/ 完成したばかりの製品の場合には、本発明のカプセルA10を用いて洗浄およびコンディション調整した布地は、乾燥後に、擦った際に強力な芳香のブーストを生じた。比較カプセルB10を用いて洗浄およびコンディション調整した布地は、擦る前には比較的強い芳香の印象を生じたが、擦った際には生じるブーストがはるかに低度になった。このことは、洗濯機におけるカプセルの安定性が比較的低いことを示している。
【0218】
2/ 43℃で2週間エージング処理した柔軟剤の場合には、本発明のカプセルA10を用いて洗浄およびコンディション調整した布地は、乾燥後に、擦った際になおも強い芳香のブーストを生じた。このブーストは、完成したばかりのものと比べてわずかに少ないものの、分析による良好な芳香剤の安定性と一致している。他方で、比較カプセルB10を用いて洗浄およびコンディション調整した布地は、擦る前には比較的強い芳香の印象をもたらしたが、擦った際にはまったくブーストを生じなかった。このことも、43℃での布地柔軟剤ベースにおけるこれらのカプセルの安定性が極めて低いことと完全に一致している。
【0219】
例14
本発明の方法により製造されたマイクロカプセルを含有するAPロールオン
APロールオン用途のマイクロカプセルの製造
マイクロカプセルA11
Ambergum(登録商標)1221(カルボキシメチルセルロース、Hercules Inc.の商標)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。グリオキシル酸の溶液によりpH値を3.82に調節した。エマルションを製造する前に、この溶液を25℃で保持した。このビーカーに香油(表49参照)とポリイソシアネート(表50参照)との溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして80℃で2時間加熱した。カチオン性コポリマーの溶液を加え、この反応物質を80℃で1時間撹拌した。最後に、この反応混合物を室温に冷却した(pH=3.96)。
【0220】
【0221】
【0222】
マイクロカプセルB11:マイクロカプセルB11を、マイクロカプセルA11について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸とカルボキシメチルセルロースとの溶液を、2時間かけて60℃に温めた。
【0223】
マイクロカプセルC11:マイクロカプセルC11を、マイクロカプセルA11について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸の溶液を、酢酸(0.12g)とグリオキシル酸の溶液(50質量%、0.36g)との混合物に置き換えた。
【0224】
マイクロカプセルD11:マイクロカプセルD11を、マイクロカプセルA11について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸の溶液を、クエン酸(0.35g)に置き換えた。
【0225】
マイクロカプセルE11:マイクロカプセルE11を、マイクロカプセルA11について記載したプロトコールに従って製造した。グリオキシル酸の溶液を、リン酸の溶液(84%、0.29g)に置き換えた。
【0226】
比較マイクロカプセルG11:
カルボキシメチルセルロース(Ambergum(登録商標)1221;Hercules Inc.)の水溶液を、100mLのビーカーに加えた。酢酸によりpH値を4.01に調節した。エマルションを製造する前に、この溶液を室温で保持した。このビーカーに、香油(表49参照)とポリイソシアネートとの溶液を加え、ウルトラタラックス(Ultra Turrax)を用いて24000rpmで2分間せん断した。このエマルションを250mLの反応器に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で3時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却した(pH=4.03)。
【0227】
【0228】
APロールオンにおける安定性
APロールオンベースの調製
予め75℃に温めておいたBRIJ 72(3.25g,Croda,英国)、BRIJ 721(0.75g,Croda,英国)およびARLAMOL E(4.00g,Croda,英国)の混合物を、撹拌下に水(51.00g)に添加した。この混合物を10分間均質化させ、次いで撹拌下に室温に冷却した。LOCRON L(40.00g,Clariant,スイス国)を45℃でゆっくり添加し、この混合物を室温で保持した。香油(1.00g,Firmenich SA,スイス国)または本発明のカプセル分散液(2.60g)を最後に35℃で加えたところ、白色の液体エマルションが得られた。このエマルションは、特徴のない匂い(pH4.2~4.7)および1000~2500cPsの粘度(製造の24~48時間後に測定)を有していた。
【0229】
APロールオン塗布物の製造
カプセル分散液(0.55g)を上記のAPロールオンベースUBK 99032(50g、表)に導入した。このベースおよび分散液を、ディゾルバー式撹拌装置(R-1303,IKA、独国)およびオーバーヘッド式撹拌装置(Eurostar,IKA、独国)を用いて500rpmで室温で5分間撹拌した。試料を、25℃で2週間貯蔵した。
【0230】
芳香剤の漏出測定
APロールオンベースの試料(1g)を、セプタムで蓋をしたGCバイアルに導入した。バイアルを撹拌しながら65℃で5分間安定化させた。85μmのポリアクリレートコーティングを備えたSPMEファイバーアセンブリーを用いて、10分間サンプリングを行った。マイクロカプセルからの芳香剤の漏出を、質量分析計検出器5973(Agilent Technologies,米国)およびDB-1 MSカラム(30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を備えたGCシステム6890Nを用いたガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。揮発性物質をGCにより60℃で2分間分析し、次いで29分間の全ランタイムにわたって7℃/分で250℃まで加熱した。移動ガス相は、ヘリウムであった(1.2mL/分、圧力80.5KPa、スプリットレス)。遊離した香油を用いて検量線を作成した。
【0231】
【0232】
上記の結果は、本発明の方法により製造されたマイクロカプセルの安定性が、比較マイクロカプセルよりも著しく高いことを示している。