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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】空気処理物品
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20220125BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20220125BHJP
   C08F 265/02 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61L9/01 H
B01J20/26 A
C08F265/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019513350
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 US2017051450
(87)【国際公開番号】W WO2018063808
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】62/400,781
(32)【優先日】2016-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクラム・プラサド
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・ギャラガー
(72)【発明者】
【氏名】チャオファン・ユエ
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-242103(JP,A)
【文献】特開平06-285141(JP,A)
【文献】特表2014-513157(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0166248(US,A1)
【文献】米国特許第04427836(US,A)
【文献】豪国特許出願公開第2006201476(AU,A1)
【文献】特開2006-104646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
C08F 2/22
C08F 265/02
B01J 20/26
B01D 53/02-53/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透性バリアと、
複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子とを含む、空気処理物品であって、
提供される前記非フィルム形成ポリマー削減粒子は、コアポリマーおよび少なくとも1つのシェルポリマーを含む多段式粒子であり;前記コアポリマーは、前記非フィルム形成ポリマー削減粒子の重量の1~25重量%を占め;前記コアポリマーは、重合モノマー単位として、前記コアポリマーの重量に基づいて、50~100重量%の、単一のカルボン酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コアモノマーを含み;前記少なくとも1つのシェルポリマーは、重合モノマー単位として、前記少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、10~50重量%の、少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーを含み;また、前記少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、50~90重量%の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含み;提供される前記非フィルム形成ポリマー削減粒子はそれぞれ中央空隙を含み;提供される前記非フィルム形成ポリマー削減粒子は、1~70体積%の平均空隙率を有し;
前記半透性バリアは、空気雰囲気と非フィルム形成ポリマー削減粒子との間に配置され;
前記半透性バリアは、前記非フィルム形成ポリマー削減粒子による前記バリアへの通過を阻止し、
前記半透性バリアは、汚染物質を含有する処理用空気による前記バリアへの通過を許容し、それにより処理用空気は非フィルム形成ポリマー削減粒子と接触可能となり;
前記非フィルム形成ポリマー削減粒子は、前記汚染物質に対して親和性を有し、前記汚染物質は、アセトアルデヒド、d-リモネン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン、トリメチルベンゼン、プロピルベンゼン、ピリジン、ピラジン、1-オクテン-3-オール、3-メチルフラン、2-ペンタノール、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-オクタノン、3-オクタノール、トランス-2-オクテン-1-オール、シス-2-オクテン-1-オール、1-オクテン、2-ペンタノン、2-ノナノン、ボルネオール、ゲオスミン、1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、およびツヨプセンの少なくとも1つを含
前記非フィルム形成ポリマー削減粒子は、自由流動性乾燥粉末である、空気処理物品。
【請求項2】
前記半透性バリアが、スクリーン、メッシュ、織布または不織布基材、エキスパンドメタル、およびメンブレンの少なくとも1つからなる群から選択される、請求項1に記載の空気処理物品。
【請求項3】
記非フィルム形成ポリマー削減粒子が、前記処理用空気と接触する際に流動化可能となる、請求項2に記載の空気処理物品。
【請求項4】
前記非フィルム形成ポリマー削減粒子が前記処理用空気と接触する際に互いに静止したままであるように、前記非フィルム形成ポリマー削減粒子が一緒に詰め込まれる、請求項2に記載の空気処理物品。
【請求項5】
前記半透性バリアが、複数の繊維を含み、前記複数の繊維が、薄い織布または不織布マットを形成する、請求項4に記載の空気処理物品。
【請求項6】
前記空気処理物品が、シースと中空空洞とを伴うシース/中空空洞繊維構造を有する多成分繊維であり;前記半透性バリアが、シースの少なくとも一部を形成し;前記非フィルム形成ポリマー削減粒子が、中空空洞内に配置される、請求項1に記載の空気処理物品。
【請求項7】
前記コアポリマーが、重合モノマー単位として、前記コアポリマーの重量に基づいて、90~100重量%のアクリル酸モノマーおよびメタクリル酸モノマーを含み;前記少な
くとも1つのシェルポリマーが、重合モノマー単位として、前記少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、15~30重量%の前記少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーを含み;ここで、前記少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーは、ジビニルベンゼンを含み;前記少なくとも1つのシェルポリマーは、重合モノマー単位として、前記少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、70~85重量%の前記少なくとも1種のモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含み;前記少なくとも1種のモノエチレン性不飽和シェルモノマーは、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、スチレンスルホン酸ナトリウム、およびスチレンを含む、請求項6に記載の空気処理物品。
【請求項8】
前記空気処理物品が、前記多成分繊維を組み込んだ布地である、請求項6に記載の空気処理物品。
【請求項9】
前記空気処理物品が、布地を組み込んだ織物製品であり、前記布地が、前記多成分繊維を組み込んでいる、請求項6に記載の空気処理物品。
【請求項10】
前記織物製品が、衣料品、室内装飾材料、カーペット、壁装材、寝具類、タオル、手袋、敷物、フロアマット、カーテン、テーブルリネン類、バーランナー、日よけ、自動車用ヘッドライナー、およびフィルタからなる群より選択される、請求項9に記載の空気処理物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気処理物品に関する。特に、本発明は、半透性バリアと、コアポリマーおよび少なくとも1つのシェルポリマーを有する複数の多段式非フィルム形成ポリマー削減粒子とを含む空気処理物品であって、コアポリマーが、非フィルム形成ポリマー削減粒子の重量の1~25重量%を占め;半透性バリアが、空気雰囲気と非フィルム形成ポリマー削減粒子との間に配置され;半透性バリアが、非フィルム形成ポリマー削減粒子による半透性バリアへの通過を阻止し;半透性バリアが、汚染物質を含有する処理用空気による半透性バリアへの通過を許容し、それにより、処理用空気が非フィルム形成ポリマー削減粒子と接触可能となり;非フィルム形成ポリマー削減粒子が、汚染物質に対して親和性を有する、空気処理物品に関する。
【0002】
屋内空間の空気汚染は、例えば、粒子状物質(煙や煤など)、生物由来物質(カビなど)、および揮発性有機化合物(VOC)を含む、多くの形態をとり得る。屋内空間に見出されるより一般的なVOCのいくつかには、ベンゼン、トルエン、アセトアルデヒド、およびトリクロロエチレンが含まれる。いくつかのVOCは、微生物を起源とし、微生物由来揮発性有機化合物(mVOC)と呼ばれる。一般的な例には、3-オクタノン、2-オクテン-1-オール、1-ブタノール、および2-メチル-1-プロパノールが含まれる。
【0003】
屋内環境におけるVOCおよびmVOC汚染物質への暴露は、多様な健康への悪影響に関連付けられてきた。したがって、これらの揮発性物質の軽減は、公衆衛生の改善および生活の質の向上をもたらし得る。VOC/mVOCを除去するための屋内空気の処理は、通常、汚染源の除去、通気配分の改善、および屋内空気自体の処理などの手法の組み合わせを含む。空気を処理する方法の1つは吸着を含み、汚染物質は、活性炭およびゼオライトなどの材料に吸着される。しかしながら、これらの物質がVOC/mVOCを効果的に吸収するかどうかは不明である。
【0004】
Kennedyによる米国特許第3,798,876号により、大気汚染を軽減するための一方法が開示されている。Kennedyは、工業プラントによって放出される気化有機化合物の周囲空気中への拡散を実質的に排除する、大気汚染軽減の方法を開示しており、この方法は、(a)工業プラントからの工業有機性蒸気を、少なくとも3つのメタクリレート基を含有する10~100重量%のポリビニルメタクリレートからなるマクロレティキュラー水不溶性架橋ポリマーの塊または床に引き込むことであって、100重量%を構成するためのポリマーの内訳は、モノエチレン性もしくはジエチレン性不飽和コモノマーであるか、またはスルホン酸、アミンオキシド、四級アンモニウムアミン、スルホキシド、アミド、およびケトン官能基からなるクラスから選択される基を含有する上述のポリマーの誘導体であり、このポリマーは、少なくとも10~1,000m/gの表面積、少なくとも25%~85%の範囲の細孔率、および少なくとも20オングストローム~20,000オングストロームの範囲の平均直径の細孔を有する、引き込むことと、(b)充填したポリマーを試薬流体と接触させて、吸着した有機物の実質的に全てを放出させることと、(c)脱着した有機物を大気放出ではない方法により廃物処理することと、を含む。
【0005】
高温再生吸着粒子を含む他の空気浄化装置は、Hayesによる米国特許第4,863,494号に開示されている。Hayesは、大気流から揮発性有機化合物を濾過する方法を開示しており、この方法は、(a)実質的に純粋なジビニルベンゼンのビーズの流動床を形成する工程であって、このビーズは、約700m/g以上の表面積、約1.8~2.24cc/gの範囲の細孔体積、少なくとも72%の細孔を有し、この細孔の半分以上は、約30~約95オングストロームの範囲にある、工程と、(b)流体流中の揮発性有機化合物を上述の床に通過させて、有機化合物を流体流から吸着する工程と、(c)周囲温度より高いが約290℃以下に制御された温度で、パージされた流体を通過させることによって、流動床を周期的に再生する工程と、を含む。
【0006】
それにもかかわらず、空中浮遊汚染物質(特に、揮発性の臭気性汚染物質)の効果的な除去を容易にするように設計された改良された空気処理物品が依然として必要とされている。特に、限られた空間(例えば、住居;自動車、バス、電車、航空機などの客室)から空中浮遊汚染物質を除去するために設計された改良された空気処理物品が依然として必要とされている。
【0007】
本発明は、半透性バリアと、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子とを含む空気処理物品であって、提供される非フィルム形成ポリマー削減粒子が、コアポリマーおよび少なくとも1つのシェルポリマーを含む多段式粒子であり;コアポリマーが、非フィルム形成ポリマー削減粒子の1~25重量%を占め;コアポリマーが、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、50~100重量%の、単一のカルボン酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コアモノマーを含み;少なくとも1つのシェルポリマーが、重合モノマー単位として、少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、10~50重量%の、少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーを含み;少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、50~90重量%の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含み;提供される非フィルム形成ポリマー削減粒子が、それぞれ中央空隙を含み、提供される非フィルム形成ポリマー削減粒子が、1~70体積%の平均空隙率を有し;半透性バリアが、空気雰囲気と非フィルム形成ポリマー削減粒子との間に配置され;半透性バリアが、非フィルム形成ポリマー削減粒子による半透性バリアへの通過を阻止し;半透性バリアが、汚染物質を含有する処理用空気による半透性バリアへの通過を許容し、それにより、処理用空気が非フィルム形成ポリマー削減粒子と接触可能となり;非フィルム形成ポリマー削減粒子が、汚染物質に対して親和性を有し、汚染物質が、アセトアルデヒド、d-リモネン、芳香族、ピリジン、ピラジン、1-オクテン-3-オール、3-メチルフラン、2-ペンタノール、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-オクタノン、3-オクタノール、トランス-2-オクテン-1-オール、シス-2-オクテン-1-オール、1-オクテン、2-ペンタノン、2-ノナノン、ボルネオール、ゲオスミン、1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、およびツヨプセンの少なくとも1つを含む、空気処理物品を提供する。
【0008】
本発明は、半透性バリアと、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子とを含む空気処理物品であって、提供される非フィルム形成ポリマー削減粒子が、コアポリマーおよび少なくとも1つのシェルポリマーを含む多段式粒子であり;コアポリマーが、非フィルム形成ポリマー削減粒子の1~25重量%を占め;コアポリマーが、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、50~100重量%の、単一のカルボン酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コアモノマーを含み;少なくとも1つのシェルポリマーが、重合モノマー単位として、少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、10~50重量%の、少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーを含み;少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、50~90重量%の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含み;提供される非フィルム形成ポリマー削減粒子が、それぞれ中央空隙を含み、提供される非フィルム形成ポリマー削減粒子が、1~70体積%の平均空隙率を有し;半透性バリアが、空気雰囲気と非フィルム形成ポリマー削減粒子との間に配置され;半透性バリアが、非フィルム形成ポリマー削減粒子による半透性バリアへの通過を阻止し;半透性バリアが、汚染物質を含有する処理用空気による半透性バリアへの通過を許容し、それにより、処理用空気が非フィルム形成ポリマー削減粒子と接触可能となり;非フィルム形成ポリマー削減粒子が、汚染物質に対して親和性を有し、汚染物質が、アセトアルデヒド、d-リモネン、芳香族、ピリジン、ピラジン、1-オクテン-3-オール、3-メチルフラン、2-ペンタノール、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-オクタノン、3-オクタノール、トランス-2-オクテン-1-オール、シス-2-オクテン-1 - オール、1-オクテン、2-ペンタノン、2-ノナノン、ボルネオール、ゲオスミン、1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、およびツヨプセンの少なくとも1つを含む、空気処理物品も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、中空コア非フィルム形成スチレン/アクリルポリマー削減粒子が、屋内空気から空中浮遊汚染物質を抽出する優れた汚染物質除去能力、特に、臭気性の揮発性汚染物質(VOCおよびmVOCの両方)、例えば、たばこの煙に関連する臭気性の揮発性汚染物質を抽出する能力を示すことを見出した。
【0010】
本明細書で使用されるとき、言及されるすべての百分率は、他に特定されない限り、含まれるポリマーまたは組成物の重量に基づく重量パーセント(重量%)で表される。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、「繊維」という用語は、紡がれて糸を形成することのできる事物の単位、または、例えば、織ること、編むこと、編み込むこと、フェルトを作成すること、撚ること、またはウェビングを作成することを含む様々な方法で結合または織り混ぜることにより、織物製品の基本構造要素である布地に形成することができる事物の単位を指す。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、「糸」という用語は、織る、編む、編み込む、フェルトを作成する、撚る、ウェビングを作成する、または他の方法で布地に加工するのに適した形態の織物繊維のストランドを指す。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、「布地」という用語は、任意の天然または製造された繊維、糸、またはそれらの代替物から、またはそれらを組み合わせて、織られるか、編まれるか、フェルトにされるか、またはその他の方法で生成された任意の材料を指す。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、用語「シース/中空空洞繊維構造」または「シース/コア繊維構造」は、多成分繊維同心シース/空洞構造および偏心シース/空洞構造を包含する。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、「並列構造」という用語は、多成分繊維の両方の成分ポリマーが多成分繊維の表面の一部を占める、多成分繊維偏心シース/空洞構造の絵延長を指す。
【0016】
本明細書で使用されるとき、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル酸およびメタクリル酸のいずれか(または両方)を指す。
【0017】
本明細書で使用されるとき、用語「アルキル(メタ)アクリレート」は、対応するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのいずれか(または両方)を指す。
【0018】
本明細書で使用されるとき、用語「コポリマー」または「コポリマー材料」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーのモノマー残基を含有するポリマー組成物を指す。
【0019】
本明細書で使用されるとき、用語「シェル」は、単一または多段重合から調製されるシェルポリマー組成物(粒子コアポリマーを含まない)を指す。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される用語「ポリマー」は、同じまたは異なる種類のモノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。一般的な用語「ポリマー」には、用語「ホモポリマー」および「コポリマー」が含まれる。
【0021】
好ましくは、本発明の空気処理物品は、半透性バリアと、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子とを含み;ここで、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、コアポリマーおよび少なくとも1つのシェルポリマーを含む多段式粒子であり;コアポリマーは、非フィルム形成ポリマー削減粒子の重量の1~25重量%(より好ましくは、2~12重量%)を占め;コアポリマーは、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、50~100重量%(好ましくは、75~100重量%;より好ましくは、90~100重量%;さらにより好ましくは、95~100重量%;最も好ましくは、99~100重量%)の、単一のカルボン酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コアモノマーを含み;少なくとも1つのシェルポリマーは、重合モノマー単位として、少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、10~50重量%(好ましくは、15~35重量%;より好ましくは、15~30重量%;最も好ましくは、20~30重量%)の、少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマー(好ましくは、この少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーは、ジビニルベンゼンである)を含み;少なくとも1つのシェルポリマーの重量に基づいて、50~90重量%(好ましくは、65~85重量%;より好ましくは、70~85重量%;最も好ましくは、70~80重量%)の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含み;非フィルム形成ポリマー削減粒子は、それぞれ中央空隙を含み、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、1~70体積%(より好ましくは、5~50体積%、さらにより好ましくは、10~40体積%;最も好ましくは、20~35体積%)の平均空隙率を有し;半透性バリアは、空気雰囲気と非フィルム形成ポリマー削減粒子との間に配置され;半透性バリアは、非フィルム形成ポリマー削減粒子による半透性バリアへの通過を阻止し;半透性バリアは、汚染物質を含有する処理用空気による半透性バリアへの通過を許容し、それにより、処理用空気が非フィルム形成ポリマー削減粒子と接触可能となり;非フィルム形成ポリマー削減粒子は、汚染物質に対して親和性を有し(好ましくは、処理用空気に接触すると、汚染物質が処理用空気から抽出され、汚染物質が枯渇した処理済み空気を生成する);汚染物質は、アセトアルデヒド、d-リモネン、芳香族(例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン、トリメチルベンゼン、プロピルベンゼン)、ピリジン(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ビニルピリジン)、ピラジン(例えば、ピラジン、メチルピラジン、ジメチルピラジン)、1-オクテン-3-オール、3-メチルフラン、2-ペンタノール、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-オクタノン、3-オクタノール、トランス-2-オクテン-1-オール、シス-2-オクテン-1-オール、1-オクテン、2-ペンタノン、2-ノナノン、ボルネオール、ゲオスミン、1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、およびツヨプセンの少なくとも1つを含む(好ましくは、汚染物質は、d-リモネン、芳香族、3-オクタノン、および1-ブタノールの少なくとも1つを含み;より好ましくは、汚染物質は、d-リモネン、エチルベンゼン、および3-オクタノンの少なくとも1つを含み;最も好ましくは、汚染物質は、3-オクタノンを含む)。
【0022】
好ましくは、本発明の空気処理物品に使用される非フィルム形成ポリマー削減粒子はそれぞれ、コアポリマーと少なくとも1つのシェルポリマーとを含む。より好ましくは、本発明の空気処理物品において使用される非フィルム形成ポリマー削減粒子はそれぞれ、コアポリマーと少なくとも1つのシェルポリマーとを含む多段式粒子を含み、このコアポリマーは、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子中の各粒子の平均1~25重量%(より好ましくは、2~12重量%)を占める。
【0023】
好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子のコアポリマーは、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、50~100重量%の、単一のカルボン酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コアモノマーを含む。より好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子のコアポリマーは、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、75~100重量%の、単一のカルボン酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コアモノマーを含む。さらにより好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子のコアポリマーは、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、90~100重量%の、単一のカルボン酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コアモノマーを含む。さらになおより好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子のコアポリマーは、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、95~100重量%の、単一のカルボン酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コアモノマーを含む。最も好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子のコアポリマーは、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、99~100重量%の、単一のカルボン酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コアモノマーを含む。
【0024】
好ましくは、コアポリマーは、単一のカルボン酸基を含有するモノエチレン性不飽和コアモノマーの乳化単独重合によって得られるか、または単一のカルボン酸基を含有する少なくとも2つの異なる種類のモノエチレン性不飽和コアモノマーの共重合によって得られる。
【0025】
好ましくは、単一のカルボン酸基を含有するモノエチレン性不飽和コアモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリロキシプロピオン酸、クロトン酸、モノメチルマレエート、モノメチルフマレート、およびモノメチルイタコネートからなるコアモノマーの群から選択される。より好ましくは、単一のカルボン酸を含有するモノエチレン性不飽和コアモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸からなるコアモノマーの群から選択される。最も好ましくは、単一のカルボン酸を含有するモノエチレン性不飽和コアモノマーは、アクリル酸モノマーとメタクリル酸モノマーとの混合物である。
【0026】
好ましくは、コアポリマーは、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、<1重量%の多エチレン性不飽和コアモノマーを含む。より好ましくは、コアポリマーは、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、<0.1重量%の多エチレン性不飽和コアモノマーを含む。さらにより好ましくは、コアポリマーは、重合モノマー単位として、コアポリマーの重量に基づいて、<0.01重量%の多エチレン性不飽和コアモノマーを含む。最も好ましくは、コアポリマーは、重合モノマー単位として、検出可能限界未満の多エチレン性不飽和コアモノマーを含む。
【0027】
好ましくは、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子のシェルポリマーを形成するために乳化重合において使用されるモノマーの種類は、非イオン性エチレン性不飽和モノマーからなる群より選択される。
【0028】
好ましくは、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子のシェルポリマーを形成するために乳化重合において使用されるモノマーの種類は、シェルポリマーの重量に基づいて、10~50重量%(好ましくは、15~35重量%、より好ましくは、15~30重量%、最も好ましくは、20~30重量%)の、少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーを含み、また、シェルポリマーの重量に基づいて、50~90重量%(好ましくは、65~85重量%、より好ましくは、70~85重量%、最も好ましくは、70~80重量%)の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含む。
【0029】
好ましくは、シェルポリマーを形成するために使用される少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーは、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルケトン、ジビニルピリジン、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンの少なくとも1つからなるポリビニルモノマーを含む。より好ましくは、シェルポリマーを形成するのに使用される少なくとも1つの多エチレン性不飽和シェルモノマーは、ジビニルベンゼンを含む。最も好ましくは、シェルポリマーを形成するのに使用される少なくとも1つの多エチレン性不飽和シェルモノマーは、ジビニルベンゼンである。
【0030】
好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、10~50重量%(好ましくは、15~35重量%、より好ましくは、15~30重量%、最も好ましくは、20~30重量%)の、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルケトン、ジビニルピリジン、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン、ジビニルトルエン、およびジビニルキシレンからなる群より選択される少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーを含む。より好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、10~50重量%(好ましくは、15~35重量%、より好ましくは、15~30重量%、最も好ましくは、20~30重量%)の、ジビニルベンゼンを含む、少なくとも1種の多エチレン性不飽和シェルモノマーを含む。最も好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、10~50重量%(好ましくは、15~35重量%、より好ましくは、15~30重量%、最も好ましくは、20~30重量%)の、ジビニルベンゼンを含む。
【0031】
好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、<10重量%の、トリまたは高級メタクリレートモノマーを含む。より好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、<1重量%の、トリまたは高級メタクリレートモノマーを含む。さらにより好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、<0.1重量%の、トリまたは高級メタクリレートモノマーを含む。最も好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、検出可能限界未満の、トリまたは高級メタクリレートモノマーを含む。
【0032】
好ましくは、シェルポリマーを形成するのに使用される少なくとも1つのモノエチレン性不飽和シェルモノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基を含有するモノエチレン性不飽和シェルモノマー、少なくとも1つの非カルボン酸基を含有するモノエチレン性不飽和シェルモノマー、およびモノエチレン性不飽和ビニル芳香族シェルモノマーからなる群から選択される。
【0033】
少なくとも1つのカルボン酸基を含有する好ましいモノエチレン性不飽和シェルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロキシプロピオン酸、メタクリルオキシプロピオン酸、アコニット酸、クロトン酸、マレイン酸(ならびに対応する無水物、アミド、およびエステルなどの誘導体)、フマル酸(ならびに対応するアミドおよびエステルなどの誘導体)、イタコン酸およびシトラコン酸(ならびに対応する無水物、アミド、およびエステルなどの誘導体)が挙げられる。少なくとも1つのカルボン酸基を含有するより好ましいモノエチレン性不飽和シェルモノマーは、メタクリル酸およびC1-4アルキル(メタ)アクリレートである。少なくとも1つのカルボン酸基を含有する最も好ましいモノエチレン性不飽和シェルモノマーは、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、およびメタクリル酸ブチルである。
【0034】
好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、50~90重量%(より好ましくは、10~80重量%、さらにより好ましくは、15~70重量%、最も好ましくは、20~30重量%)の、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルの少なくとも1つからなる群より選択される、少なくとも1つのカルボン酸基を含有するモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含む。より好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、50~90重量%(より好ましくは、10~80重量%、さらにより好ましくは、15~70重量%、最も好ましくは、20~30重量%)の、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、およびメタクリル酸ブチルの少なくとも1つからなる群より選択される、少なくとも1つのカルボン酸基を含有するモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含む。最も好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、50~90重量%(好ましくは、10~80重量%、より好ましくは、15~70重量%、最も好ましくは、20~30重量%)の、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、およびメタクリル酸ブチルを含む。
【0035】
少なくとも1つの非カルボン酸基を含有する好ましいモノエチレン性不飽和シェルモノマーには、例えば、アリルスルホン酸、アリルホスホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、イソプロペニルホスホン酸、ビニルホスホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ならびにそれらのアルキル金属およびアンモニウム塩が含まれる。非カルボン酸を含有するより好ましいモノエチレン性不飽和シェルモノマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、およびそれらのアルカリ金属塩である。非カルボン酸を含有する最も好ましいモノエチレン性不飽和シェルモノマーは、スチレンスルホン酸ナトリウムである。
【0036】
好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、0~10重量%(より好ましくは0.1~5重量%、最も好ましくは、0.5~3重量%)の、アリルスルホン酸、アリルホスホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、イソプロペニルホスホン酸、ビニルホスホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ならびにそれらのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩の少なくとも1つからなる群より選択される、少なくとも1つの非カルボン酸基を含有するモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含む。より好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、0~10重量%(より好ましくは、0.1~5重量%、最も好ましくは、0.5~3重量%)の、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、およびそれらのアルキル金属塩の少なくとも1つからなる群より選択される、少なくとも1つの非カルボン酸基を含有するモノエチレン性不飽和シェルモノマーを含む。最も好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、0~10重量%(より好ましくは、0.1~5重量%、最も好ましくは、0.5~3重量%)の、スチレンスルホン酸ナトリウムを含む。
【0037】
好ましいモノエチレン性不飽和ビニル芳香族シェルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アルキル置換スチレン(例えば、エチルビニルベンゼンおよびtert-ブチルスチレン)、ならびにハロゲン化スチレンが挙げられる。より好ましいモノエチレン性不飽和ビニル芳香族シェルモノマーは、スチレン、エチルビニルベンゼン、およびtert-ブチルスチレンからなる群から選択される。最も好ましいモノエチレン性不飽和ビニル芳香族シェルモノマーは、スチレンである。
【0038】
好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、10~80重量%(より好ましくは、25~70重量%、最も好ましくは、30~60重量%)の、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アルキル置換スチレン(例えば、エチルビニルベンゼン、およびtert-ブチルスチレン)、ならびにハロゲン化スチレンからなる群より選択されるモノエチレン性不飽和ビニル芳香族シェルモノマーを含む。より好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、10~80重量%(より好ましくは、25~70重量%、最も好ましくは、30~60重量%)の、スチレン、エチルビニルベンゼン、およびtert-ブチルスチレンからなる群より選択される、モノエチレン性不飽和ビニル芳香族シェルモノマーを含む。
【0039】
最も好ましくは、複数の非フィルム形成ラテックス粒子のシェルポリマーは、重合モノマー単位として、シェルポリマーの重量に基づいて、10~80重量%(より好ましくは、25~70重量%、最も好ましくは、30~60重量%)の、スチレンを含む。
【0040】
好ましくは、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子のシェルポリマーを含むモノマーは、少なくとも1つのシェルにおいて、ラテックス粒子内の空隙を支持するのに十分に高いガラス転移温度(T)をもたらすように選択される。好ましくは、少なくとも1つのシェルのTは、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定して、>50℃(より好ましくは、>60℃、最も好ましくは、>70℃)である。
【0041】
好ましくは、シェルポリマーを形成するために堆積されたポリマーの量は、Brookhaven BI-90光子相関分光計を用いて測定して、50~1,000nmの平均粒径を有する複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子を提供するのに十分である。より好ましくは、シェルポリマーを形成するために堆積されたポリマーの量は、Brookhaven BI-90光子相関分光計を用いて測定して、100~600nmの平均粒径を有する複数の非フィルム形成ポリマー粒子を提供するのに十分である。さらにより好ましくは、シェルポリマーを形成するために堆積されたポリマーの量は、Brookhaven BI-90光子相関分光計を用いて測定して、200~500nmの平均粒径を有する複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子を提供するのに十分である。最も好ましくは、シェルポリマーを形成するために堆積されたポリマーの量は、Brookhaven BI-90光子相関分光計を用いて測定して、300~400nmの平均粒径を有する複数の非フィルム形成ポリマー粒子を提供するのに十分である。
【0042】
好ましくは、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子中の各粒子は空隙を含む。好ましくは、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子中の各粒子によって含有される空隙は、好ましくは、シェルに浸透して、かつコアを膨張させる水性塩基性膨潤剤でコアを膨潤させることによって形成される。この膨張は、コアの外周の、シェルの内周の細孔への部分的な併合、ならびにシェルおよび粒子全体の部分的な拡大または膨らみを含み得る。膨潤剤が乾燥により除去されると、コアの収縮により微小空隙が発生し、その程度は、以前のシェルサイズへ回復しようとするのに対するシェルの抵抗性に依存する。コアに好適な膨潤剤としては、例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)、ならびに揮発性低級脂肪族アミン(例えば、トリメチルアミンおよびトリエチルアミン)が挙げられる。膨潤工程は、任意の多段階シェル重合工程の間、任意の段階式重合工程の間、または多段階重合プロセスの終わりに起こり得る。
【0043】
好ましくは、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子中の各粒子は空隙を含み、提供される複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子の平均空隙率は、1~70体積%、より好ましくは、5~50体積%、さらにより好ましくは、10~40体積%、最も好ましくは、20~35体積%である。空隙率は、遠心分離機中の希釈分散液からの圧縮後の、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子によって占められる体積を、同じ組成を有する非空隙ポリマー削減粒子の等価集団の体積と比較することによって、決定される。
【0044】
好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、各々が単一の中央空隙を含有する中空コアポリマー削減粒子である。
【0045】
好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、重合モノマー単位として、<10重量%のアルキルアクリレートモノマーを含有する。より好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、重合モノマー単位として、<1重量%のアルキルアクリレートモノマーを含有する。さらにより好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、重合モノマー単位として、<0.1重量%のアルキルアクリレートモノマーを含有する。最も好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、重合モノマー単位として、検出可能限界未満のアルキルアクリレートモノマーを含有する。
【0046】
好ましくは、本発明の空気処理方法において提供される非フィルム形成ポリマー粒子は、<5重量%の水を含有する。より好ましくは、本発明の空気処理方法において提供される非フィルム形成ポリマー粒子は、<3重量%の水を含有する。さらにより好ましくは、本発明の空気処理方法において提供される非フィルム形成ポリマー粒子は、<2重量%の水を含有する。さらにより好ましくは、本発明の空気処理方法において提供される非フィルム形成ポリマー粒子は、<1重量%の水を含有する。最も好ましくは、本発明の空気処理方法において提供される非フィルム形成ポリマー粒子は、乾燥している。
【0047】
好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、汚染物質に対する親和性を有し、ここで、汚染物質は、揮発性有機化合物(VOC)および微生物由来揮発性有機化合物(mVOC)の少なくとも1つである。より好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は汚染物質に対する親和性を有し、ここで、汚染物質は、臭気のある汚染物質である。さらにより好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、汚染物質に対して親和性を有し、ここで、汚染物質は、アセトアルデヒド、d-リモネン、芳香族(例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン、トリメチルベンゼン、プロピルベンゼン)、ピリジン(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ビニルピリジン)、ピラジン(例えば、ピラジン、メチルピラジン、ジメチルピラジン)、1-オクテン-3-オール、3-メチルフラン、2-ペンタノール、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-オクタノン、3-オクタノール、トランス-2-オクテン-1-オール、シス-2-オクテン-1-オール、1-オクテン、2-ペンタノン、2-ノナノン、ボルネオール、ゲオスミン、1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、およびツヨプセンの少なくとも1つを含む。さらにより好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、アセトアルデヒド、d-リモネン、芳香族(例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン、トリメチルベンゼン、プロピルベンゼン)、ピリジン(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ビニルピリジン)、ピラジン(例えば、ピラジン、メチルピラジン、ジメチルピラジン)、1-オクテン-3-オール、3-メチルフラン、2-ペンタノール、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-オクタノン、3-オクタノール、トランス-2-オクテン-1-オール、シス-2-オクテン-1-オール、1-オクテン、2-ペンタノン、2-ノナノン、ボルネオール、ゲオスミン、1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、およびツヨプセンのうちの少なくとも1つに対して親和性を有する。さらになおより好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、d-リモネン、芳香族、3-オクタノン、および1-ブタノールのうちの少なくとも1つに対して親和性を有し、より好ましくは、汚染物質は、d-リモネン、エチルベンゼン、および3-オクタノンのうちの少なくとも1つを含む。最も好ましくは、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、3-オクタノンに対して親和性を有する。好ましくは、汚染物質に対する非フィルム形成ポリマー粒子の親和性は、汚染物質を含有する処理用空気と接触すると、汚染物質が処理用空気から抽出されて、汚染物質が枯渇した処理済み空気を生成するようなものである。タバコの煙に存在する主要な悪臭汚染物質のいくつかには、アセトアルデヒド、芳香族、ピラジン(pyradine)、およびピラジン(pyrazine)が含まれると考えられている。
【0048】
好ましくは、本発明の空気処理物品中の半透性バリアは、非フィルム形成ポリマー削減粒子による半透性バリアへの通過を阻止し、処理用空気による半透性バリアへの通過を許容するものであり、また、空気雰囲気と非フィルム形成ポリマー削減粒子との間に配置される。好ましくは、半透性バリアは、スクリーン、メッシュ、織布または不織布基材、エキスパンドメタル、およびメンブレンの少なくとも1つからなる群から選択される。好ましくは、半透性バリアは、複数の繊維を含み、この複数の繊維は、薄い織布または不織布マットを形成する。
【0049】
好ましくは、本発明の空気処理物品中の半透性バリアは、多成分繊維を含み、この多成分繊維は、シース/中空空洞構造、並列構造、パイウェッジ構造、中空パイウェッジ構造、セグメント化リボン構造、セグメント化十字型構造、海島型構造、先細三つ葉型構造、およびコンジュゲート構造から選択される断面を有する。より好ましくは、多成分繊維は、パイウェッジ構造、中空パイウェッジ構造、海島型構造、およびシース/中空空洞構造から選択される断面を有する。最も好ましくは、多成分繊維は、シース/中空空洞構造を有する。好ましくは、多成分繊維の成分の1つは、非フィルム形成ポリマー削減粒子を含む。好ましくは、多成分繊維の成分の1つを形成するのに使用される成分ポリマー組成物と、中空コア非フィルム形成ポリマー削減粒子とは、多成分繊維を形成する前に混合される。より好ましくは、成分ポリマー組成物と中空コア非フィルム形成ポリマー削減粒子とは、多成分繊維の形成中に、混合される。
【0050】
好ましくは、多成分繊維は、少なくとも2つの成分ポリマー組成物と複数の中空コア非フィルム形成ポリマー削減粒子とを含む。より好ましくは、少なくとも2つの成分ポリマー組成物は、異なる化学的性質または物理的性質を有する。最も好ましくは、少なくとも1つの成分ポリマー組成物と複数の中空コア非フィルム形成ポリマー削減粒子とが、混合される。
【0051】
好ましくは、本発明の空気処理物品中の半透性バリアは、多成分繊維を含み、ここで、多成分繊維は、シースと中空空洞とを伴うシース/中空空洞を有し、半透性バリアは、シースの少なくとも一部を形成し、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、中空空隙内に配置される(好ましくは、捕捉される)。
【0052】
好ましくは、本発明の空気処理物品中で使用される多成分繊維は、既知の繊維形成技術を使用して製造される。最も普及している繊維形成技術のいくつかは、例えば、押出し、メルトブロー、湿式紡糸、および乾式紡糸を含む。これらの方法のそれぞれにおいて、繊維原料を流動状態に軟化し、強制的にダイおよび/または紡糸口金を通過させて、基本繊維を形成し、次いで、これは典型的には機械的に操作されて、所望の製品用繊維または多成分繊維を形成する。例えば、基本繊維は、延伸されてもよい。典型的な押出し操作では、成分ポリマー組成物を最初に溶融し、次に、強制的にダイおよび/または紡糸口金を通過させて、基本繊維を形成し、次いで、これは冷却前に機械的に操作されて、多成分繊維の所望の製品用繊維を形成する。典型的なメルトブロー操作では、熱可塑性材料を含有する成分ポリマー組成物を最初に溶融し、次に、ダイおよび/または紡糸口金を通過させて、基本繊維を形成し、次いで、これを冷却して、製品用繊維をもたらす。典型的な湿式紡糸操作では、成分ポリマー組成物(複数可)の溶液および溶媒をダイおよび/または紡糸口金に通過させて、基本繊維を形成し、次いで、これを凝固浴(例えば、硫酸ナトリウム水溶液)に通過させて、製品用繊維をもたらすことができる。典型的な乾式紡糸操作では、成分ポリマー組成物(複数可)の溶液および溶媒をダイおよび/または紡糸口金に通過させて、空気中に押し出して、固形繊維を形成させる。これらの方法によって形成された繊維は、多くの場合、不織布ウェブを形成するためにベルトのような表面上で集められてもよく、そうでなければ、化学的または機械的に操作されて、それらの物理的または化学的性質を改変または向上させる。
【0053】
好ましくは、多成分繊維はさらに、難燃剤、着色剤、顔料、染料、色味剤、帯電防止剤、光沢用化合物、造核剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、充填剤、柔軟剤、滑剤、硬化促進剤、親水性材料、疎水性材料、防汚材料、防臭材料、抗菌剤、殺菌剤から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む。
【0054】
好ましくは、本発明の空気処理物品は追加の繊維をさらに含む。より好ましくは、本発明の空気処理物品は、追加の繊維と、シースおよび中空空洞を伴うシース/中空空洞繊維構造を有する多成分繊維とを含み、ここで、半透性バリアは、シースの少なくとも一部を形成し、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、中空空隙内に配置される(好ましくは、捕捉される)。
【0055】
好ましくは、追加の繊維は、天然繊維、合成繊維、無機繊維、それらの組み合わせおよび混合物からなる群より選択される。追加の繊維は、任意のデニールの繊維;マルチフィラメントまたはモノフィラメント;仮撚加工または合撚加工物;撚りおよび/または溶融により単一の糸へ形成される複数デニールのフィラメント;例えば、シース/コア構造、並列構造、パイウェッジ構造、セグメント化リボン構造、セグメント化十字型構造、先細三つ葉型構造、およびコンジュゲート構造を含む、任意の種類の断面を示す多成分繊維、を含む。
【0056】
本発明の空気処理物品に使用するのに適した天然繊維は、例えば、絹、綿、羊毛、亜麻、毛皮、毛、セルロース、ラミー、ヘンプ、リネン、木材パルプ、およびそれらの組み合わせを含む。
【0057】
この空気処理物品に使用するのに適した合成繊維は、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブチレン;ハロゲン化ポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル;ポリアラミド、例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド (例えば、DuPontから入手可能なKevlar(登録商標)繊維)、ポリ-m-フェニレンテトラフタルアミド(例えば、DuPontから入手可能なNomex(登録商標)繊維);メラミンおよびメラミン誘導体(例えば、Basofil Fibers、LLCから入手可能なBasofil(登録商標)繊維);ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル/ポリエーテル;ポリアミド、例えば、ナイロン6およびナイロン6,6;ポリウレタン、例えば、Noveonから入手可能なTecophilic(登録商標)脂肪族熱可塑性ポリウレタン;アセテート;アクリルレーヨン;ならびにそれらの組み合わせを含む材料に由来し得る。
【0058】
本発明の空気処理物品に使用するのに適した無機繊維は、例えば、ガラス繊維、ホウ素繊維、およびロックウールを含む。
【0059】
好ましくは、本発明の空気処理物品は、シースおよび中空空洞を伴うシース/中空空洞繊維構造を有する多成分繊維であり、ここで、半透性バリアは、シースの少なくとも一部を形成し、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、中空空洞内に配置される(好ましくは、捕捉される)。より好ましくは、本発明の空気処理物品は、シースおよび中空空洞を伴うシース/中空空洞繊維構造を有する多成分繊維であり、ここで、半透性バリアは、シースの少なくとも一部を形成し、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、中空空洞内に配置され(好ましくは、捕捉される)、空気処理物品は、繊維を組み込んだ織物製品であり、繊維は、多成分繊維を組み込んでいる。好ましくは、布地は、100重量%(より好ましくは、≦75重量%、さらにより好ましくは、≦50重量%、最も好ましくは、≦25重量%)の本発明の多成分繊維を含む。好ましくは、布地は、綿、羊毛、ポリエステル、アクリル、ナイロン、絹、ならびにそれらの組み合わせおよび混合物からなる群より選択される追加の繊維をさらに含む。最も好ましくは、本発明の空気処理物品は、シースおよび中空空洞を伴うシース/中空空洞繊維構造を有する多成分繊維であり、ここで、半透性バリアは、シースの少なくとも一部を形成し、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、中空空洞内に配置(好ましくは捕捉)され、空気処理物品は、布地を組み込んだ織物製品であり、布地は、多成分繊維を組み込んでおり、織物製品は、衣料品、室内装飾材料、カーペット、壁装材、寝具類、タオル、手袋、敷物、フロアマット、カーテン、テーブルリネン類、バーランナー、日よけ、自動車用ヘッドライナー、およびフィルタからなる群から選択される。
【0060】
好ましくは、本発明の空気処理物品中の複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子は、自由流動性粉末である。より好ましくは、複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子は、自由流動性粉末であり、この非フィルム形成ポリマー軽減粒粒子は、処理用空気と接触する際に流動化可能となる。
【0061】
好ましくは、本発明の空気処理物品中の複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子は、充填床構造にある。より好ましくは、本発明の空気処理物品中の複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子は、複数の半透性バリアの間に配置される。
【0062】
好ましくは、本発明の空気処理物品中の複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子は、非フィルム形成ポリマー削減粒子が処理用空気と接触する際に互いに静止したままであるように、一緒に詰め込まれる。より好ましくは、本発明の空気処理物品中の複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子は、非フィルム形成ポリマー削減粒子が処理用空気と接触する際に互いに静止したままであるように、一緒に詰め込まれ、ここで、空気処理物品の半透性バリアは、それ自体の上に折り畳まれて、ポケット(または複数のポケット)を形成し、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、このポケット(または複数のポケット)内に配置される。複数のポケットは、例えば、少なくとも2つの半透性バリアを積み重ねること、または半透性バリアを折り畳むことによって形成することができる。好ましくは、空気処理物品は少なくとも2つの半透性バリアを含み、非フィルム形成ポリマー削減粒子は、これらの半透性バリアの間に挿入される。
【0063】
好ましくは、本発明の空気処理物品は、内部空間用のHVACシステムに組み込まれるように設計される。より好ましくは、本発明の空気処理物品は、内部空間用のHVACシステムの排気口用レジスタに取り付けるための排気口用アセンブリと係合するように設計される。最も好ましくは、本発明の空気処理物品は、内部空間用のHVACシステムの排気口用レジスタに取り付けるための排気口用アセンブリと係合するように設計され、ここで、内部空間は、住居(例えば、家、アパート、ホテルの部屋)、オフィス、および客室(例えば、自動車、バス、電車、航空機、ボート)から選択される。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態をこれより以下の実施例において詳細に説明する。
【0065】
比較例C1~C9ならびに実施例1~4、5a~5d、および6~9:汚染物質の軽減
以下の機器パラメータを使用して、5973MS検出器およびPerkin Elmer TurboMatrix 40トラップヘッドスペースサンプラーを備えたAgilent 6890GCを用いた平衡ヘッドスペースGC-MS VOC分析によって、以下の検体汚染物質軽減実験を行った。
カラム:モデル番号J&W 122-7033 DB-Waxカラム(30m×0.25mm×0.5μm);定流量モード;11.37psiの公称入口圧力;25cm/秒の平均速度;ヘリウムガス。
入口条件:分割モード;200℃;11.36psi;0.2:1の分割比;0.2mL/分の分割流量;総流量3.9mL/分。
オーブンプログラム:40℃の初期温度で5分間保持;20℃/分の線形温度傾斜;250℃の最終温度で9分間保持;合計実行時間24.50分。
質量検出器:SCAN取得モード;生じるEM電圧1494.1;低質量28.0;高質量200.0;150℃の四重極温度;230℃のソース温度。
ヘッドスペースオートサンプラのパラメータ:35℃(平衡)/150℃(バルク)のオーブン温度;60℃(平衡)/175℃(バルク)のニードル温度;100℃(平衡)/200℃(バルク)の移送ライン温度;10分間のバイアル平衡時間;2分間の加圧時間;0.1分間の注入時間;35分間のGCサイクル時間;25psiのキャリア圧力;動作モード:一定;注入モード:時間。
【0066】
テトラヒドロフラン(THF)中で試験される各検体汚染物質について、既知濃度からなる一組の標準を調製した。22mLのヘッドスペースバイアルのヘッドスペース中へ検体汚染物質を完全に遊離させるために、標準は、高温ヘッドスペース条件下(150℃、10分)で実施した。理想気体の状態方程式を用いて、重量濃度をppm体積/体積(v/v)濃度に変換した。使用した較正範囲は、10~1,000ppm(v/v)を使用した。
【0067】
比較例(対照)は、約5グラムの記載の検体汚染物質を含有する22mLのヘッドスペースバイアルのヘッドスペースの一定量(5mL)を空の22mLのヘッドスペースバイアルに分注し、次いで、テフロン(登録商標)加工セプタムで迅速に蓋をすることによって、調製した。汚染物質1-ブタノール検体は、0.5および5mLのスパイクで実施した。
【0068】
実施例は、対照に添加されたものと同量の記載の汚染物質を、表1に記載された質量の複数の非フィルム形成ポリマー削減粒子(「粒子」)(The Dow Chemical CompanyからSunSpheres(商標)粉末として入手可能な、スチレン/アクリレート、揮発性塩基膨潤架橋中空球状ポリマー粉末)を既に含有する空の22mLのヘッドスペースバイアルに添加することによって、調製した。
【0069】
比較例(対照)および実施例は、室温付近(35℃、10分)のヘッドスペースGC-MSを介して実施し、次いで、それぞれのヘッドスペースを、上記の機器設定を用いるGC-MSの高温入口に注入した(記載の検体汚染物質をバイアルに分注した約2時間後)。次に、各比較例(対照)および実施例のヘッドスペース中の記載の検体汚染物質のppm体積/体積(v/v)濃度を、対象検体汚染物質についての較正プロット(ピーク面積対v/v濃度)からの線形最小二乗方程式を用いて決定した。粒子の軽減性能は、比較例(対照)に対する、実施例バイアル中の粒子によって抽出された検体汚染物質の百分率として計算された。結果を表1にて報告する。
【0070】
【表1】