(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】付着物モニタ
(51)【国際特許分類】
G01N 25/18 20060101AFI20220125BHJP
G01K 13/02 20210101ALI20220125BHJP
G01K 7/20 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G01N25/18 C
G01K13/02
G01K7/20 Z
(21)【出願番号】P 2019513768
(86)(22)【出願日】2017-09-12
(86)【国際出願番号】 US2017051108
(87)【国際公開番号】W WO2018049377
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-06-09
(32)【優先日】2016-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515050220
【氏名又は名称】エコラブ ユーエスエイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャトトラジ ミタ
(72)【発明者】
【氏名】ムルシア マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マッカジー アセット
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/097723(WO,A1)
【文献】特開平11-153559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00 - 25/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を使用デバイスに向かって
導くための流体流システムであって、
複数の抵抗温度検出器(RTD)と、
前記複数のRTDと電気通信しており、かつ前記RTDに電力を印加することができる、加熱回路と、
前記複数のRTDと通信している、測定回路と、
前記加熱回路および前記測定回路と通信しており、かつ前記加熱回路を介した加熱モードおよび前記測定回路を介した測定モードで、前記複数のRTDの各々を動作させることができる、コントローラと、
を備え、
前記コントローラが、
プロセス流体から付着物を誘発し、前記1つ以上のRTDのうちのすくなくとも1つにおいて前記付着物を形成するように、前記1つ以上のRTDの各々を特性化温度に維持するように、前記複数のRTDのうちの1つ以上
を加熱モードで動作させることと、ここで、前記特性化温度のうちの少なくとも1つが、前記使用デバイス
の動作温度よりも高く、
前記1つ以上のRTDの各々に関して、
前記RTDの前記温度を測定するために、前記RTDを前記加熱モードと前記測定モードとの間で周期的に切り換えることと、
前記加熱モードおよび前記測定モードの一方または両方の前記RTDの熱的挙動の変化を観察することと、
前記観察された変化に基づいて、
前記RTDの前記熱的挙動の変化を、前記プロセス流体から前記RTD上への付着物レベル
と関連づけるように特性化することと、
前記1つ以上のRTDの各々の前記特性化された付着物レベルに基づいて、温度依存付着プロファイルを判定することと、
前記付着プロファイルに基づいて、付着物状態が前記使用デバイスに関して存在するか否かを判定することと、
を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
付着物状態が前記使用デバイスに関して存在すると判定された場合、前記付着物状態に対処するために1つ以上の是正措置を実施する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の是正措置のうちの少なくとも1つは、
前記流体内に化学物質を導入することと、前記流体に添加される化学物質
の量を変更することと、前記流体の前記温度を変更することと、ユーザに付着物状態を警告することと、前記使用デバイスの1つ以上の動作条件を調整することと、前記システム
のブローダウン速度を増加させることと、からなる群から選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
複数の流体源と選択的に流体連通している前記流体流システムへの入力をさらに含み、前記1つ以上の是正措置は、前記システムへの前記流体源を調整することを含む、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムへの前記流体源を調整することは、前記複数の流体源のうちの1つ以上からの流体の前記流れを停止することを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
付着物分析システムであって、
少なくとも1つの抵抗温度検出器(RTD)であって、前記少なくとも1つのRTDの表面が、流体流システムを通って流れる流体と熱的に連通するように、前記流体流システム内に位置付けられた、少なくとも1つのRTDと、
前記少なくとも1つのRTDと通信し、かつその温度に影響を及ぼすために前記RTDに可変電力量を印加するように構成されている、加熱回路と、
前記少なくとも1つのRTDと通信し、かつその前記温度を表す信号を出力するように構成されている、測定回路と、
コントローラであって、
前記加熱回路および前記測定回路と通信し、かつ前記加熱回路を介して前記少なくとも1つのRTDを高温に加熱することと、
前記少なくとも1つのRTDの加熱を停止することと、
前記少なくとも1つのRTDから前記測定回路を介して前記流体流システムを通って流れる前記流体への熱の熱伝導に起因する、前記少なくとも1つのRTDの経時的
な温度変化を特性化することと、
特性化された
前記温度変化に基づいて、前記流体から前記少なくとも1つのRTDの前記表面上に形成された付着物レベルを判定することと、
を行うように構成されている、コントローラと、
を備える、システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのRTDの経時的な前記温度変化を特性化することは、経時的な前記温度のデータを関数に当てはめることを含み、前記関数の当てはめパラメータは、前記少なくとも1つのRTDの前記表面上の付着物の程度を表す、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記関数は、指数関数を含む、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記当てはめ関数は、第1の部分および第2の部分を有する二重指数関数を含み、
前記二重指数関数の前記第1の部分は、前記少なくとも1つのRTDか
ら流体試料に伝導される熱を表し、
前記二重指数関数の前記第2の部分は、前記少なくとも1つのRTDから他のシステム構成要素に伝導される熱を表し、
前記付着物の程度を表す前記当てはめパラメータは、前記二重指数関数の前記第1の部分に存在し、前記二重指数関数の前記第2の部分に存在しない、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのRTDは、複数のRTDを含み、
前記コントローラは、前記複数のRTDのうちの少なくとも1つを特性化温度に維持して、前記RTDの前記表面上に付着物を誘発させるように構成されている、請求項
6~
9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記測定回路は、前記複数のRTDの各々と通信するマルチプレクサおよびデマルチプレクサを含み、
前記マルチプレクサおよびデマルチプレクサは、前記複数のRTDの各々の前記温度を1つずつ測定するために使用される、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
流体を使用デバイスに向かって
導くための、請求項1~
11のいずれか1項に記載の前記流体流システムの使用。
【請求項13】
流体流システム内の流体からの付着物レベルを特性化するための方法であって、
前記流体と流体連通してい
るRTDの表面上に
付着物を形成させるために、前記RTDを加熱し、かつ前記流体から
前記付着物を誘発させるために、抵抗温度検出器(RTD)を加
熱モードで動作させることと、
前記RTDの前記温度を測定するために、前記RTDを前記加熱モードと測定モードとの間で周期的に切り換えることと、
前記加熱モードおよび前記測定モードの一方または両方の前記RTD
の熱的挙動の変化を観察することと、
前記観察された変化に基づいて、
前記RTDの前記熱的挙動の変化を、プロセス流体から前記RTD上への付着物レベル
と関連付けるように特性化することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記RTDの前記熱的挙動の変化を観察することは、前記RTDを前記加熱モードで動作させた後、前記RTDを前記測定モードで動作するように切り換えることと、前記RTDの前記温度が変化す
る速度を測定することと、
を含み、
前記プロセス流体から前記RTD上への付着物レベルを特性化することは、前記RTDの前記温度が低下する速度を、前記プロセス流体からの付着物レベルと関連付けることを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記RTDを前記加熱モードで動作させることは、前記RTDを固定動作電力で動作させることを含み、
前記加熱モードと前記測定モードとの間で周期的に切り換えることは、前記加熱モードから前記測定モードに切り換えることと、前記RTDの前記温度を測定することと、前記加熱モードに再び切り換えることと、
をさらに含み、
前記RTDの前記
熱的挙動の変化を観察することは、前記固定動作電力で前記RTDを動作させている間の経時的な温度の前記変化を観察することを含み、
前記プロセス流体からの付着物レベルを特性化することは、前記固定動作電力での前記RTDの温度の変化の速度を、前記プロセス流体からの付着物レベルと関連付けることを含む、請求項
13または
14に記載の方法。
【請求項16】
前記RTDを
前記加
熱モードで動作させることは、前記RTDを固定温度まで上昇させることを含み、
前記加熱モードと前記測定モードとの間で周期的に切り換えることは、前記加熱モードから前記測定モードに切り換えて、前記RTDの前記温度が前記固定温度であることを確認することをさらに含み、
前記RTDの前記
熱的挙動の変化を観察することは、前記RTDを前記固定温度まで上昇させるために必要とされ
る電力の変化を観察することを含み、
前記プロセス流体からの前記付着物レベルを特性化することは、前記RTDを前記固定温度まで上昇させるために必要とされる印加電力の変化
の速度を、前記プロセス流体からの付着物レベルと関連付けることを含む、請求項
13~
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記固定温度は、前記プロセス流体
の流路内の機器の動作温度に対応する、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱モードと前記測定モードとの間で周期的に切り換えることは、前記測定モードの間、前記RTDの前記温度が
一定の温度に維持するように、前記加熱モードから前記測定モードに、かつ再び前記加熱モードに急速に切り換えることを含み、
前記RTDの前記
熱的挙動の変化を観察することは、前記RTDの前記温度が、前記加熱モードで前記RTDを前記動作させることに起因して増加す
る速度を測定することを含み、
前記プロセス流体から前記RTD上への付着物レベルを特性化することは、前記RTDの前記温度が上昇する前記速度を、前記プロセス流体からの付着物レベルと関連付けることを含む、請求項
13~
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記特性化された付着物レベルが所定の条件に一致する場合、是正措置を実施することをさらに含む、請求項
13~
18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記是正措置が、
化学物質を前記流体に添加することと、前記流体中の化学物質
の投与量を変化させることと、1つ以上の流体源からの流体の前記流れを停止することと
、ブローダウン速度を上昇させることと、前記プロセス流体の前記温度を変化させることと
、前記プロセス流体が流れる
使用デバイスを調整することと、ユーザに警告することと、からなる群からの1つ以上の措置を含む、請求項
19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2016年9月12日に出願された米国特許出願第15/262,807号の継続出願であり、これらの全体の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
様々な流体流システムが、1つ以上の入力流体源から使用デバイスに向かってプロセス流体を流すように配置される。例えば、熱交換器表面に向かって流れる流体は、熱交換表面に熱を伝導するか、または熱交換表面から熱を取り出し、表面を動作温度に維持するために使用され得る。
【0003】
いくつかの例において、流体の構成の変化、流体または使用デバイスの動作温度などのような、流体の流体流システムの動作条件における変化は、付着物がプロセス流体からシステム構成要素上に形成する可能性に影響を及ぼし得る。使用デバイス上に形成される付着物は、デバイスの性能に悪影響を及ぼし得る。例えば、熱交換表面上に形成される付着物は、熱交換表面を流体から断熱するように作用し得、流体が熱交換器と熱的に相互作用する能力を低減させる。
多くの場合、かかる付着物は、使用デバイスの性能が注意を要する点まで低下したときのみ、検出される。例えば、熱交換器表面は、その熱交換表面上に形成される十分に大きい付着物に起因して、所望される温度を維持することができなくなる場合がある。システムを正常な状態に復元するために、システムは、多くの場合、シャットダウン、分解、および洗浄されなければならず、これは、費用および時間がかかるプロセスであり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
開示の一定の態様は、概して、付着物レベルを特性化する、および/または流体流システム内に存在する付着物状態を検出するためのシステムおよび方法を対象とする。いくつかのかかるシステムは、流体流システムを通って流れる流体と熱的に連通している1つ以上の抵抗温度検出器(RTD)を含み得る。RTD(複数可)は、例えば、RTD(複数可)の温度を上昇させるためにRTD(複数可)に電力を印加するように構成された加熱回路とインターフェース接続し得る。追加的または代替的に、RTD(複数可)は、1つ以上のRTDの温度を表す出力を提供するように構成された測定回路と相互接続し得る。
【0006】
システムは、加熱回路および測定回路と通信するコントローラを含み得、加熱モードおよび測定モードでRTD(複数可)を動作させるように構成され得る。いくつかの例において、コントローラは、RTD(複数可)を高温に加熱し(例えば、加熱モードで)、RTD(複数可)の加熱を停止し、経時的なRTD(複数可)の温度変化を特性化する(例えば、測定モードで)ように構成され得る。RTD(複数可)の温度変化を特性化することは、測定回路を介してRTD(複数可)から、流れシステムを通って流れる流体への熱の熱伝導に起因する温度変化を特性化することを含み得る。RTD(複数可)上の流体流からの付着物は、RTDと流体との間の熱伝導に影響を及ぼし得る。したがって、いくつかの実施形態において、コントローラは、特性化された温度変化に基づいて、流体からRTD(複数可)の表面上に形成された付着物レベルを判定するように構成され得る。
【0007】
いくつかの例において、コントローラは、加熱モードと測定モードとの間でRTD(複数可)を周期的に切り換え、かつRTD(複数可)の熱的挙動の変化を観察するように構成され得る。コントローラは、観察された変化に基づいて、流体からRTD(複数可)上への付着物レベルを特性化するように構成され得る。
【0008】
複数のRTDを含むいくつかの例示的なシステムにおいて、コントローラは、複数のRTDの各々を異なる動作温度に維持し、かつかかるプロセスをRTD上で実施するように構成され得る。コントローラは、RTDの各々の特性化された付着物レベルに基づいて温度依存付着プロファイルを判定し、かつプロファイルに基づいて、付着物状態が使用デバイスに関して存在する否かを判定するように構成され得る。
【0009】
様々な実施形態において、RTDの挙動の変化を観察することは、様々な観察を含み得る。例示的な観察としては、一定の電力がRTDに印加されたときにRTDによって達成される温度の変化、RTDの温度変化の速度の変化、一定の温度を達成するために加熱動作モードで印加される電力量などが挙げられ得る。各かかる特性は、流体からRTD上に形成する付着物によって影響を受ける場合があり、RTD上の付着物レベルを特性化するために使用され得る。
【0010】
いくつかの例において、是正措置が、検出された付着物および/または付着物状態に対処するために行われ得る。例えば、システムを通って流れる流体に対する変化は、付着物の形成を最小化するように調整され得る。かかる変化は、スケール抑制剤または殺生物剤等の化学物質を添加して、付着物形成を減少させること、または付着物形成に寄与し得るシステム内への一定の流体の流れを停止することを含み得る。他の是正措置としては、流体または使用デバイス動作温度等のシステムパラメータを変化させることを含み得る。いくつかの実施形態において、かかる是正措置は、システムオペレータによって手動で実施され得る。追加的または代替的に、かかる措置は、例えば、コントローラ、および1つ以上のポンプ、バルブなどのような他の機器を介して自動化され得る。またさらなる例において、システムは、付着物状態をユーザに警告する形態の是正措置を実施し得、それにより、ユーザは、続いて是正措置を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】流体流システムにおける1つ以上のRTDの例示的な配置の例解である。
【0012】
【
図2】例示的な実施形態におけるRTDを動作させるためのシステムの概略図である。
【0013】
【
図3】RTDの配列の動作構成を示す例示的な概略図である。
【0014】
【
図4】加熱動作モードにおける複数のRTDの動作を示す概略図である。
【0015】
【
図5】測定動作モードにおける単一のRTDの動作を示す概略図である。
【0016】
【
図6A】RTDでの付着レベルを特性化するために使用され得るRTDの例示的な熱的挙動を例解する。
【
図6B】RTDでの付着レベルを特性化するために使用され得るRTDの例示的な熱的挙動を例解する。
【
図6C】RTDでの付着レベルを特性化するために使用され得るRTDの例示的な熱的挙動を例解する。
【
図6D】RTDでの付着レベルを特性化するために使用され得るRTDの例示的な熱的挙動を例解する。
【0017】
【
図7】流体流システム内の使用デバイス上へのプロセス流体からの付着物を軽減するための例示的なプロセスを例解するプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
抵抗温度検出器(RTD)は、関心対象の温度を測定するために一般的に使用されるデバイスである。例えば、いくつかの事例において、RTDの抵抗は、温度に対して略線形である。抵抗は、RTDに電流を流し、RTDの両端の結果として生じる電圧を測定することによって測定され得る。RTDを流れる電流は、RTDに熱影響を与え得るため、電流は、典型的には、温度測定中、比較的小さい値に維持される。例示的な動作において、少量の電流が、温度が測定されることになる、いくつかの環境に曝されている導体に流される。温度が変化すると、その導体(例えば、白金)内の抵抗の特性変化が測定され、温度を計算するために使用される。
【0019】
図1は、流体流システムにおける1つ以上のRTDの例示的な配置の例解である。示されるように、RTD102a~dは、プロセス流体を使用デバイス105に方向付けるように構成された流体流システム100内のプロセス流体の流路106内に位置付けられている。矢印108は、流体源から使用デバイス105に向かう流体の例示的な流路を例解する。本明細書に説明されるように、プロセス流体は、概して、限定されるものではないが、冷却水、ボイラ供給水、凝縮液、ブローダウン水、廃水、および排出された流出水等のユーティリティ流体を含む、かかる流体流システムを通って流れる任意の流体に関し得る。かかる例示的なプロセス流体は、様々な供給源(例えば、プロセスからの流出流、ボイラブローダウン水、処理済み廃水、生成水、清水の供給源など)から流体流システム100に方向付けられ得る。いくつかの例において、単一の流体流システム100は、様々な供給源から入力プロセス流体を受容し得る。いくつかのかかる例において、プロセス流体源は、手動および/もしくは自動バルブまたは一連のバルブ等を介して選択され得る。いくつかの実施形態において、単一の流体源が、1つ以上の考えられる入力源から選択され得る。代替的な実施形態において、複数の供給源が、選択された複数の供給源からの流体が混合されて入力流体を形成するように、選択され得る。いくつかの実装において、既定の入力流体は、複数の利用可能な入力源の各々からの流体の混合物で構成され、入力流体の構成は、1つ以上のかかる入力源のシステムへの流れを遮断することによって調整され得る。
【0020】
図1の例において、RTD102a~dは、試料ホルダ104上に取り付けられたRTDの配列として示されている。いくつかの例において、試料ホルダ104は、例えば、RTD102a~dの洗浄、交換、または他の保守を容易にするために、流体流システム100の流路106から取り外し可能である。追加的または代替的に、1つ以上のRTD(例えば、試料ホルダ上に位置付けられている)は、流体流システム100を通って使用デバイス105に流れる流体の構成に寄与する1つ以上の流体入力の流路内に位置付けられ得る。流体流システムは、例えば、洗浄システム(例えば、食器洗浄、洗濯など)、食品および飲料システム、採鉱、エネルギーシステム(例えば、油井、精製所など)、エンジン吸気口を通る空気流、冷却塔またはボイラ等の熱交換システム、パルプおよび紙プロセスなどを含む、プロセス流体が流れる任意のシステムであり得る。矢印108は、流体の温度を監視するために使用され得るRTD102を通過して使用デバイス105に向かう流体の流れの方向を示している。
【0021】
いくつかの実施形態において、流体流システムは、システムを通って流れる流体の1つ以上のパラメータを判定することができる1つ以上の追加のセンサ111(想像線で示される)を備える。様々な実施形態において、1つ以上の追加のセンサ111は、流量、温度、pH、アルカリ度、導電率、および/またはプロセス流体の1つ以上の構成要素の濃度等の他の流体パラメータを判定するように構成され得る。RTD102a~dの下流に位置付けられた単一の要素として示されているが、1つ以上の追加のセンサ111は、任意の数の個々の構成要素を含む得、RTD102a~dと同一流体をサンプリングしている間に、流体流システム100内のいずれの場所に位置付けられてもよい。
【0022】
図2は、例示的な実施形態におけるRTDを動作させるためのシステムの概略図である。
図2の実施形態において、RTD202は、測定回路210と通信している。いくつかの例において、測定回路210は、RTDの温度を判定するために、RTDの抵抗の測定を容易にし得る。例えば、例示的な実施形態において、測定回路は、RTDを通って流れる電流を提供し、RTDの両端の電圧降下を測定して、その抵抗、したがって、その温度を判定し得る。
【0023】
システムは、測定回路210と通信するコントローラ212を含み得る。コントローラ212は、マイクロコントローラ、プロセッサ、動作/実行命令を含むメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ならびに/またはシステム構成要素とインターフェース接続および相互作用することができる任意の他のデバイスを含み得る。いくつかのかかる例において、システムは、コントローラ212がRTD202の温度を判定するために測定回路210とインターフェース接続し得る、測定モードで動作し得る。いくつかの例において、コントローラは、測定回路210を介してRTDに電流を印加させ、RTD202の両端の電圧を表す測定回路210から信号を受信し、既知の電流および測定された電圧に基づいてRTDの抵抗を判定し得る。いくつかの実施形態において、コントローラ212は、測定回路から受信した信号に基づいてRTD202の抵抗および/または温度を別途判定するように構成される。したがって、いくつかのかかる例において、コントローラ212は、RTD202の温度を判定するために、測定回路210およびRTD202とインターフェース接続し得る。
【0024】
図2のシステムは、コントローラ212およびRTD202と通信する加熱回路214をさらに備える。いくつかのかかる例において、システムは、RTD202の温度を上昇させるために、コントローラ212が加熱回路214を介してRTD202に電力を印加し得る、加熱モードで動作し得る。いくつかのかかる実施形態において、コントローラ212は、RTD202の温度を上昇させるために、RTD202に印加される電力量を調整するか、そうでなければ制御することができる。様々な例において、印加電力を調整することは、電流、電圧、パルス幅変調(PWM)信号のデューティサイクルを調整すること、またはRTD202に印加される電力を調整するための他の既知の方法を含み得る。
【0025】
いくつかの例において、コントローラ212は、加熱回路214および測定回路210を同時に介してRTD202とインターフェース接続することができる。いくつかのかかる例において、システムは、加熱モードおよび測定モードで同時に動作し得る。同様に、かかるシステムは、加熱モードおよび測定モードで独立して動作し得、RTDは、加熱モード、測定モード、またはその両方で同時に動作され得る。他の例において、コントローラ212は、加熱動作モードおよび測定動作モードとの間で切り換え得る。追加的または代替的に、1つ以上の測定回路210および1つ以上の加熱回路214を介して複数のRTD202と通信するコントローラは、かかるRTDを異なる動作モードで動作させ得る。様々なかかる例において、コントローラ212は、各RTDを同一動作モードまたは別個の動作モードで動作し得る、および/または各RTDを個々に、例えば、直列に動作させ得る。多くの実施形態が可能であり、かつ本開示の範囲内である。
【0026】
図1に関して説明されたように、システムは、流体流システムを通って流れる流体の1つ以上のパラメータを判定するための1つ以上の追加のセンサ211を含み得る。かかる追加のセンサ211は、コントローラ212と有線または無線通信し得る。したがって、いくつかの実施形態において、コントローラ212は、流体流システム内に位置付けられたRTD202および追加のセンサ211の両方とインターフェース接続するように構成され得る。
【0027】
図3は、RTDの配列の動作構成を示す例示的な概略図である。例解された実施形態において、一連のRTD302a~dは、測定回路310および加熱回路314を介してコントローラ312と通信する。加熱動作モード中、コントローラ312は、RTDの温度を上昇させるために、加熱回路314に、1つ以上のRTD302a~dに電力を供給させ得る。例解された実施形態において、加熱回路314は、増幅段318と通信するPWMモジュール316を含む。
図3の例において、PWMモジュール316は、複数のチャネルA~Dを含み、各チャネルは、一連のRTD内のそれぞれのRTD302a~dに対応する。PWMモジュール316の各チャネルは、増幅段318を介してその対応するRTD302a~dと通信する。増幅段318は、それぞれのRTD302a~dに印加される加熱信号を生成するように、PWMモジュール316からの信号を変更するように構成され得る。いくつかの例において、増幅段318は、RTD302に定常電力を供給するために、例えば、LRCフィルタを介して、PWMモジュール316からのPWM信号をフィルタリングするように構成される。追加的または代替的に、増幅段318は、RTD302の温度を望ましく変化させるためにPWMモジュール316からの信号を効果的に増幅し得る。
【0028】
例示的な加熱動作実施形態において、コントローラは、RTD302aの温度を上昇させるようにPWMモジュール316に信号を送る。コントローラ312は、PWMモジュール316に、チャネルAから増幅段318にPWM信号を出力させ得る。デューティサイクル、大きさ等のPWM信号の態様は、所望される加熱効果を満たすようにコントローラ312によって調整され得る。追加的または代替的に、増幅段318は、RTD302aの加熱量を効果的に制御するために、PWM信号のチャネルAの1つ以上の態様を調整し得る。同様の加熱動作は、RTD302a~dのいずれかまたは全てに対して同時に実施され得る。いくつかの実施形態において、コントローラ312は、RTDの各々が異なる動作温度まで昇温されるように、複数のRTD302a~dの各々の加熱動作を制御し得る。
【0029】
本明細書の他の箇所に説明されるように、コントローラ312は、測定回路310を介して1つ以上のRTD302a~dとインターフェース接続することができ得る。いくつかのかかる例において、コントローラ312は、測定回路310を介して、RTD302a~dの温度の測定値を判定し得る。RTDの抵抗がその温度に依存するため、いくつかの例において、コントローラ312は、RTD302a~dの抵抗を判定し、そこから温度を判定するように構成され得る。例解された実施形態において、測定回路310は、RTD302a~dのうちの1つ以上を通して接地340に所望される電流を提供することができる電流源330(例えば、精密電流源)を備える。かかる実施形態において、RTD302a~dの両端の電圧の測定値は、RTD302a~dの抵抗、したがって温度を計算するためにそこを通って流れる既知の精密電流と組み合わせられ得る。いくつかの例において、電流源330からRTDに提供される電流は、十分に小さく(例えば、マイクロアンペア範囲内)、そのため、RTDを通って流れる電流は、RTDの温度を実質的に変化させない。
【0030】
複数のRTD302a~dを含む構成において、コントローラ312は、様々な方式でRTD302a~dの各々とインターフェース接続し得る。
図3の例示的な実施形態において、測定回路310は、コントローラ312、電流源330、およびRTD302a~dと通信するマルチプレクサ320を備える。コントローラ312は、RTDのうちの1つ(例えば302a)の両端の電圧の測定が所望されるとき、マルチプレクサ320が電流源330からの電流を所望されるRTD(例えば302a)に方向付けるように、マルチプレクサ320を動作させ得る。示されるように、
図3の例示的なマルチプレクサ320は、それぞれ、RTD302a、302b、302c、および302dと通信する、チャネルA、B、C、およびDを含む。したがって、RTD302a~dのうちの特定の1つの温度を測定するとき、コントローラ312は、電流を、電流源330からマルチプレクサ320の適切なチャネルを通し、所望されるRTD302a~dを通して、その両端の電圧降下を生じさせるために、接地340に供給させ得る。
【0031】
複数のRTD302a~dのうちの所望される1つの両端の電圧降下を測定するために、測定回路310は、RTD302a、302b、302c、および302dにそれぞれ対応するチャネルA、B、C、およびDを有するデマルチプレクサ322を含む。コントローラ312は、所望されるRTDに応じて、それぞれのチャネルA~Dのうちのいずれか1つから信号を送信するようにデマルチプレクサ322を指示し得る。デマルチプレクサ322の出力は、所望されるRTDの抵抗、それゆえに温度を示す信号を受信するためにコントローラ312に向けられ得る。例えば、いくつかの実施形態において、デマルチプレクサ322の出力は、接地に接続しないか、そうでなければ接地に対して高インピーダンスを有する。したがって、それぞれのマルチプレクサ320のチャネル(例えば、チャネルA)を介してRTD(例えば、302a)に流れる電流は、RTDを通って流れるのみであることになる。結果として生じるRTD(例えば、302a)の両端の電圧は、デマルチプレクサ322のそれぞれの入力チャネル(例えば、チャネルA)に同様に存在することになり、コントローラ312による受信のためにそこから出力され得る。いくつかの例において、コントローラ312に直接印加される代わりに、デマルチプレクサ322の出力におけるRTD(例えば、302a)の両端の電圧は、電圧を測定するために差動増幅器334の第1の入力に印加され得る。増幅器334は、例えば、結果として生じる増幅をコントローラ312に出力する前に、デマルチプレクサ322の出力における電圧を基準電圧と比較するために使用され得る。したがって、本明細書に説明されるように、コントローラ312によって受信するためのデマルチプレクサ322から出力された信号は、コントローラ312によって直接受信され得るが、そうである必要はない。むしろ、いくつかの実施形態において、コントローラ312は、デマルチプレクサ322からの出力信号に基づく増幅器334からの出力信号等の、デマルチプレクサ322の出力の信号に基づく信号を受信し得る。
【0032】
いくつかの例において、測定回路310は、第2の電流源332と接地340との間に直列に基準抵抗器308を含み得る。電流源332は、一定の既知の電流を、既知の抵抗の基準抵抗器308を通して接地に提供し得、基準抵抗器308の両端に一定の電圧降下を生じさせる。定電圧が、電流源332からの既知の電流および基準抵抗器308の既知の抵抗に基づいて計算され得る。いくつかの例において、基準抵抗器308は、RTD302a~dに近接したセンサヘッド内に位置し、RTD302a~dと同様に配線される。いくつかのかかる実施形態において、配線の未知の抵抗に起因する任意の未知の電圧降下は、基準抵抗器308に対するものであり、任意のRTD302a~dは、略等しい。例解された例において、基準抵抗器308は、一方で接地340に連結され、他方で差動増幅器334の第2の入力に連結される。したがって、基準抵抗器308と組み合わせにおける電流源332は、差動増幅器334の第2の入力に既知かつ一定の電圧を供給するように作用し得る(例えば、基準抵抗器308に応じて、加えて配線に起因する可変電圧)。したがって、かかるいくつかの例において、差動増幅器334の出力は、配線抵抗の影響を受けず、コントローラ312に供給され得る。
【0033】
例解された実施形態に示され、かつ本明細書に説明されるように、差動増幅器334は、一方の入力でデマルチプレクサ322の出力からRTD(例えば、302a)の両端間の電圧を受信し得、その他方の入力で基準抵抗器308の両端の基準電圧を受信し得る。したがって、差動増幅器334の出力は、RTDの両端の電圧降下と基準抵抗器308の両端の既知の電圧降下との間の電圧差を示す。差動増幅器334の出力は、最終的にRTD(例えば、302a)の温度を判定するためにコントローラ312によって受信され得る。例示的な測定回路が
図3に示されているが、RTDの温度を測定することが、本開示の範囲から逸脱せずに任意の様々な方式で実施され得ることが理解されよう。例えば、RTDの両端の電圧降下は、アナログ入力信号としてコントローラ312によって直接受信され得る。追加的または代替的に、既知の静電容量C、およびRTDの抵抗である抵抗Rを有するRC回路の緩和時間が、RTDの抵抗を判定するために使用され得る。いくつかのかかる例において、かかる測定は、基準(例えば、基準抵抗器308)を使用せずに任意の配線の任意の抵抗効果を排除し得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、コントローラ312は、どのRTDが分析されているかが分かるように、マルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322を協調して動作させ得る。例えば、
図3の例解的な例に関して、コントローラ312は、電流源330からの電流が、デマルチプレクサ322を介して差動増幅器334と通信している同一RTD302aを通って流れるように、チャネルA上でマルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322を動作させ得る。
【0035】
複数のRTD302a~dがマルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322の異なるチャネルと通信している、
図3に示されるような例示的な構成において、コントローラ312は、RTD302a~dの各々の温度測定を実施するために、マルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322の動作チャネルを切り換えるように作用し得る。例えば、例示的な実施形態において、コントローラは、それぞれのRTD302a~dの各々の温度測定を実施するために、それぞれのマルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322のチャネルを通してサイクルし得る。
【0036】
本明細書の他の箇所に説明されるように、いくつかの例において、コントローラ312は、1つ以上のRTDの加熱動作を制御し得る。いくつかのかかる実施形態において、コントローラ312は、マルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322を介してRTDの温度を測定する前にRTDの加熱を停止する。同様に、加熱回路314を介してRTDを加熱するとき、コントローラ312は、マルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322内のそのRTDと関連付けられたチャネル(複数可)をオフにし得る。いくつかの実施形態において、各個々のRTDに関して、コントローラ312は、加熱回路314および測定回路310(マルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322を含む)を使用して、別個の加熱動作モードおよび測定動作モードを切り換え得る。
【0037】
図4は、加熱動作モードにおける複数のRTDの動作を示す概略図である。示されるように、複数のRTD402a~cの各々は、それぞれの電源414a~cと通信する。
図3を参照して説明されたように、いくつかの例において、各RTD402a~cは、加熱モードで動作している間、いかなる測定回路構成要素によっても影響を受けない。したがって、各RTD402a~cは、電源414a~cを介して個別かつ独立して加熱され得る。
図4の実施形態においてDC電源であるように示されているが、様々な調整可能な電源のいずれかが使用され得ることが理解されよう。いくつかの例において、電源414a~cは、実質的にDC信号を提供するためにフィルタリングおよび平滑化されたPWM信号を備える。別個の電源414a~cであるように示されているが、いくつかの実施形態において、単一の構成要素が、各RTD402a~cに独立して調整可能な電力を提供するために使用され得る。
【0038】
図5は、測定動作モードにおける単一のRTDの動作を示す概略図である。例解された実施形態において、電流源530は、RTD502を通して接地540への定電流の流れを提供するように構成される。RTD502の両端の電圧降下は、増幅器534の第1の入力に印加される。電流源532は、基準抵抗器508を通して接地540への定電流の流れを提供するように構成される。本明細書の他の箇所で説明されるように、電流源532からの既知の電流および基準抵抗器508の既知の抵抗は、増幅器534の第2の入力に印加される、基準抵抗器508の両端の電圧降下を判定するために使用され得る。増幅器534の出力550は、基準抵抗器508の両端の既知の電圧降下とRTD502の両端の電圧降下との間の差に関する情報を提供し得、この情報は、RTD502の両端の電圧降下を判定するために使用され得る。RTD502の両端の判定された電圧降下は、RTD502の抵抗、それゆえに温度を判定するために、電流源530からの既知の電流と共に使用され得る。
図5の実施形態に示されていないが、いくつかの事例において、RTD502は、例えば、
図3に示されるようなマルチプレクサおよびデマルチプレクサの動作を介して、RTDの配列から選択された単一のRTDである。
【0039】
図1を再び参照すると、複数のRTD102a~dは、流体流システム内のプロセス流体の流路内に配設され得る。いくつかの事例において、プロセス流体は、流路106の壁、センサ、プロセス機器(例えば、プロセス流体が流れる使用デバイス105)などのような、様々な流体流システム構成要素上に付着物(例えば、スケール、バイオフィルムなど)を形成する成分を含み得る。いくつかの例において、流体流路内のRTD102a~d上に形成する付着物は、RTDとプロセス流体との間の断熱層として作用する可能性があり、これは、RTDの熱的挙動に影響を及ぼし得る。
【0040】
したがって、いくつかの例において、流体流路内の1つ以上のRTDの熱的挙動を観察することは、RTD(例えば、102a~d)に存在する付着物レベルに関する情報を提供し得る。
図6A~6Dは、RTDでの付着レベルを特性化するために使用され得るRTDの例示的な熱的挙動を例解する。
【0041】
図6Aは、時間および電流対時間のプロットを示す。例解された例において、高電流がRTDに印加される(例えば、
図3の加熱回路314のチャネルAを介してRTD302aに印加される、平滑化されたDC電流)。印加電流は、RTDを高温に加熱する。時間t
0において、電流が低下し、RTDの温度が低下し始める。例解された例において、清浄なRTD(実線)および汚染されたRTD(破線)の両方の温度プロファイルが示されている。各RTDは高温(同一温度である必要はない)に加熱されるが、汚染されたRTD上の付着物がRTDとプロセス流体との間の断熱を提供するため、清浄なRTDは、汚染された(コーティングされた)RTDよりも急速に冷却する。いくつかの実施形態において、温度減衰プロファイルは、RTD上に存在する付着物の量を判定するために分析され得る。
【0042】
図2を参照すると、コントローラ212は、加熱回路214を介してRTD202を加熱し得る。いくつかの例において、コントローラ212は、測定回路210を介してRTD202の温度を測定するために、測定モードに周期的に切り換え得る。時間t
0において、コントローラ212は、加熱回路214を介したRTD202への電力の印加を止め、温度がプロセス流体に起因して減衰する際に、測定回路210を介してRTD202の温度を監視するために測定モードに切り換える。RTD202の温度の減衰プロファイルは、測定回路210を介してコントローラ212によって監視され得る。いくつかの例において、コントローラ212は、RTD202上の付着物レベルを判定するために温度減衰プロファイルを分析するように構成される。例えば、コントローラ212は、減衰プロファイルを、時定数を有する指数関数等の関数に当てはめ得る。いくつかのかかる例において、当てはめパラメータが、付着物レベルを判定するために使用され得る。
【0043】
例示的な実施形態において、経時的な温度減衰プロファイルは、二重指数関数に当てはめられ得る。例えば、いくつかの事例において、二重指数減衰モデルの第1の部分は、流れシステムを通って流れるプロセス流体に起因する温度変化を表し得る。二重指数減衰モデルの第2の部分は、加熱されたRTDから配線、試料ホルダ(例えば、
図1の104)または他の構成要素等の、他の構成要素への温度伝導度を表し得る。いくつかのかかる実施形態において、二重指数当てはめ関数は、同一関数内で温度伝導の両方の供給源を独立して表し得、かかる温度変化の相対量およびタイミングを反映するように重み付けされ得る。いくつかのかかる例において、二重指数減衰モデルの第1の部分の当てはめパラメータは、流体とインターフェース接続するRTDの表面上の付着物レベルを表す。したがって、いくつかのかかる実施形態において、指数の第2の部分は、特性化された付着物レベルに寄与しない。他の当てはめ関数が、かかる二重指数関数に加えて、または代替的に、使用され得ることが理解されよう。
【0044】
いくつかの場合において、付着物を特性化する際に一定の当てはめ関数を使用することは、RTDがプロセス流体と平衡に達することを可能にされ、その後、温度の変化が停止した場合、歪められる可能性がある。したがって、様々な実施形態において、コントローラ212は、RTDが熱平衡に達する前にRTDの加熱を再開する、および/またはRTDがプロセス流体と平衡に達する前に、収集された温度データをRTDの熱減衰プロファイルと関連付けることを停止するように構成される。そうすることによって、非減衰データがRTDの熱減衰プロファイルの解析を不必要に変更することを防止する。他の実施形態において、当てはめ関数は、当てはめ関数を歪めずに、RTD温度とプロセス流体温度との平衡を考慮し得る。いくつかのかかる実施形態において、当てはめ関数のタイプおよび/または当てはめ関数の重み係数が、かかる温度平衡を考慮するように使用され得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、清浄なRTDと汚染されたRTDとの間の減衰プロファイルの差が、汚染されたRTD上の付着物レベルを判定するために使用され得る。清浄なRTDの減衰プロファイルは、メモリから呼び出され得るか、または付着物がないことが分かっているRTDから判定され得る。いくつかの事例において、時定数等の当てはめパラメータは、温度非依存であり得る。したがって、いくつかのかかる実施形態において、清浄なRTDおよび汚染されたRTDを、それらの熱減衰プロファイルの態様を比較するために同一温度に昇温させる必要はない。
【0046】
図6Bは、温度対時間のプロットを示す。例解された例において、RTDは、温度を監視されながら、定常状態条件(例えば、プロセス流体との熱平衡)から加熱される。温度が高温から減衰するため温度が連続的に監視され得る、
図6Aの温度監視とは対照的に、
図6Bのように温度を上昇させながらRTDの温度を監視することは、RTDの加熱を必要とする。したがって、いくつかの実施形態において、
図6Bに示されるもの等のプロットを達成するために、RTDは、RTDの温度がプロセス流体に起因して大きく変化しない間の略瞬間的な温度測定を達成するために、加熱モードから測定モード、そして再び加熱モードに急速に切り換えられ得る。かかる手順において、RTDの温度は、経時的なRTDの加熱プロファイルを判定するために、加熱回路を介して昇温され、測定回路を介して周期的にサンプリングされ得る。
【0047】
上述した
図6Aと同様に、
図6Bのプロットは、2つの曲線を含み、一方が清浄なRTD(実線)を表し、もう一方が汚染されたRTD(破線)を表す。示されるように、汚染されたRTDは、汚染されたRTD上の付着物がRTDをプロセス流体の冷却効果から断熱するため、清浄なRTDよりも非常に急速に温度が上昇する。したがって、いくつかの例において、RTDの加熱プロファイルは、例えば、加熱プロファイルを関数に当てはめることによって、RTD上の付着物レベルを判定するために使用され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、RTD温度変化に関する特性を観察するのではなく、RTDが固定動作温度まで上昇されてもよい。
図6Cは、経時的にRTDを一定の温度に維持するために必要な電力のプロットを示す。示されるように、清浄なRTDを一定の温度に維持するために必要とされる電力は、RTDおよびプロセス流体が平衡条件に達すると、経時的に比較的一定のままである。しかしながら、付着物が経時的にRTD上に形成する場合(汚染されたRTDを表す破線で示される)、付着物の断熱特性がRTDをプロセス流体の冷却効果から遮蔽する。したがって、付着物が経時的に形成すると、より少ない電力が、一定の温度を維持するためにRTDに印加されることが必要とされる。
【0049】
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、コントローラ312は、加熱回路314を介してRTD(例えば、302a)を加熱するように構成される。コントローラ312は、加熱回路314の動作にフィードバックを提供する方式として、測定回路310を介してRTD(例えば302a)の温度を周期的に測定し得る。つまり、コントローラ312は、測定回路を介してRTD(例えば、302a)の温度を判定し、かつそれに応じて加熱回路314を介してRTD(例えば、302a)に印加される電力を調整して、所望される温度を達成および維持し得る。いくつかのかかる実施形態において、コントローラは、加熱モードから測定モードに、そして再び加熱モードに急速に切り換えるため、RTDの温度は、温度測定中に大きく変化しない。様々な例において、コントローラ312は、例えば、コントローラ312によって制御される加熱回路314(例えば、PWMモジュール316および/もしくは増幅段318)の1つ以上の構成要素から印加される大きさ、デューティサイクル、または他のパラメータを介して、RTD(例えば302a)にどの程度の電力が印加されているかを判定し得る。
【0050】
いくつかの例において、RTDを固定温度に維持するために必要とされる電力量は、清浄なRTDを固定温度に維持するために必要とされる電力と比較される。比較は、RTD上の付着物レベルを判定するために使用され得る。追加的または代替的に、経時的にRTDを固定温度に維持するために必要とされる電力のプロファイルは、RTD上の付着物レベルを判定するために使用され得る。例えば、RTDを固定温度に維持するために必要とされる電力の変化率は、付着物の付着速度を示し得、これは、一定時間後の付着物レベルを判定するために使用され得る。
【0051】
別の実施形態において、RTDは、加熱回路を介してRTDに一定量の電力を印加し、かつ結果として生じるRTDの温度を観察することによって加熱モードで動作され得る。例えば、例示的な動作中、コントローラは、加熱回路を介してRTDに一定の電力を提供し、かつ測定回路を介してRTDの温度を周期的に測定し得る。加熱モード(一定の電力を印加する)から測定モード(温度を測定する)への切り換え、そして再び加熱モード(一定の電力を印加する)への切り換えが急速に実施され得るため、RTDの温度は、温度測定中に大きく変化しない。
【0052】
図6Dは、一定の電力が加熱回路を介して印加される、RTDの温度対時間のプロットである。清浄なRTD(実線)の場合には、印加された一定の電力から結果として得られる温度は、経時的に略一定である。しかしながら、汚染されたRTD(破線)の温度は、経時的に上昇する。本明細書の他の箇所に説明されるように、付着物がRTD上に形成すると、付着物は、RTDをプロセス流体の冷却効果から断熱する。一般に、より厚い付着物は、より大きい断熱特性、したがって、同一電力をRTDに印加することによって達成されるより高い温度を結果としてもたらすことになる。
【0053】
いくつかの実施形態において、清浄なRTDおよび試験下のRTDとの間の温度差は、一定の電力が各々に印加されたとき、試験下のRTD上の付着物レベルを判定するために使用され得る。追加的または代替的に、一定の印加電力に基づく温度上昇速度は、RTD上の付着物の付着速度に関する情報を提供し得、これは、RTD上の付着物レベルを判定するために使用され得る。
【0054】
図6A~6Dを参照すると、様々なプロセスが、RTD上の付着物を特性化するために説明されてきた。かかるプロセスは、概して、加熱回路を介してRTDを加熱すること、および測定回路を介してRTDの温度を測定することを含む。RTDの熱的挙動の変化(例えば、温度上昇または減衰プロファイル、所定の温度に達するために必要な印加電力、所定の印加電力で達成される温度)は、RTD上に形成する付着物の証拠を提供する。いくつかの例において、かかる変化は、RTD上の付着物レベルを判定するために使用され得る。
【0055】
様々な実施形態において、コントローラは、かかるプロセスのうちの1つ以上を実施して、プロセス流体からRTD上への任意の付着物を観察または検出するために、加熱回路および測定回路とインターフェース接続するように構成され得る。
図1および2を参照する例示的な実施形態において、RTD(例えば、102a)は、加熱回路(例えば、214)を介して使用デバイス105の動作温度まで昇温され得る。プロセス流体の成分の付着が、多くの場合、温度依存であるため、RTDの温度を使用デバイスの動作温度まで上昇させることは、RTDにおける使用デバイスの表面をシミュレートし得る。したがって、RTDで検出された付着物は、使用デバイスでの付着物を推定するために使用され得る。
【0056】
いくつかの例において、使用デバイスは、付着物が存在するとき機能が低下することになる。例えば、使用デバイスが熱交換表面を含む熱交換器システムにおいて、熱交換表面上に形成された付着物は、熱を伝導する熱交換表面の能力に悪影響を及ぼし得る。したがって、RTDで検出された十分な貯蔵物は、熱交換表面に付着する可能性があることをシステムオペレータに警告し得、是正措置が行われ得る(例えば、熱交換表面を洗浄する)。しかしながら、使用デバイスをシミュレートするRTDが、システムオペレータが使用デバイスでの付着物の存在を検出することを可能にする場合でさえ、検出された付着物に対処すること(例えば、洗浄することなど)は、付着が既に起こっているため、費用がかかるシステムダウンタイムおよび保守を必要とし得る。追加的または代替的に、いくつかの事例において、様々な付着物は、洗浄プロセスのために除去された場合でさえ、十分に清浄ではない場合があり、使用デバイスの効果を低下させる可能性がある。
【0057】
したがって、いくつかの実施形態において、複数のRTD(例えば、102a~d)が、単一の流体流路(例えば、106)内に配設され、かつプロセス流体および/または流体流システム(例えば、100)の状態を特性化するために使用され得る。
図1を参照すると、例示的な実施形態において、流体流システム100の使用デバイス105は、典型的には、動作温度T
0で動作する。RTD102a~dは、T
0よりもプロセス流体からの付着物の付着を促進する可能性が高い温度まで昇温され得る。例えば、様々なプロセス流体は、カルシウムならびに/またはマグネシウムの硫酸塩、炭酸塩、および/もしくはケイ酸塩等の成分、かつ/あるいはプロセス流体から付着され得る他の成分を含み得る。いくつかのかかるプロセス流体は、より低温と比較されたとき、より高温の表面上に付着物を生成する傾向がある。いくつかのかかる例において、複数のRTD102a~dのうちの1つ以上は、RTD上に付着物を誘発させ、かつRTD上に形成する付着物を特性化するために、使用デバイス105の典型的な動作温度よりも高い温度に昇温される。これはまた、異常に高い温度等の、付着物形成が通常よりも起こり易いときの使用デバイス105の動作にとっての「最悪の場合」を表し得る。
【0058】
例えば、
図3を参照すると、例示的な実施形態において、RTD302a~dの各々は、加熱回路314のそれぞれのチャネルA~Dを介して、異なる高い特性化温度に加熱される。例示的な実施形態において、RTD302a~dの各々の特性化温度は、流体流システムの使用デバイスの典型的な動作温度を上回る。いくつかのかかる例において、コントローラ312は、RTD302a~dを、それらのそれぞれの高い特性化温度に維持するように加熱回路314を制御する。コントローラ312は、RTD302a~dが所望される特性化温度に昇温されることを確実するために、測定回路310(例えば、マルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322ならびに電流源330、332を使用して)を介して測定モード内のRTD302a~dを動作させるように周期的に切り換え得る。
【0059】
動作中、RTD302a~dをそれらのそれぞれの特性化温度に維持した後、コントローラ312は、
図6A~Dのいずれかに関して上に説明されたもの等の付着物特性化プロセスを実施するように構成され得る。例えば、コントローラ312は、高温に維持するために加熱モードでRTDを動作させた後、加熱モードと測定モードとの間で周期的に切り換え、かつRTDの熱的挙動の変化を観察し得る。
図6A~Dに関して説明されたように、加熱モードと測定モードとの間で周期的に切り換えることは、様々な方式で実施され得る。
【0060】
例えば、かかる切り換えは、再び加熱する前にRTDの温度減衰を観察する(例えば、
図6Aのように)期間中、測定モードに切り換えることを含み得る。RTDの熱的挙動の変化は、温度減衰によって示される時定数の変化を含み得る。代替的に、加熱モードと測定モードとの間で周期的に切り換えることは、RTDの温度をサンプリングするために測定モードに急速に切り換え、かつ加熱を続けるために加熱モードに再び切り換えながら、RTDの温度を上昇させることを含み得る。同様に、RTDの熱的挙動の変化は、温度上昇プロファイルに示される時定数の変化を含み得る。
【0061】
さらに別の例において、加熱モードと測定モードとの間で周期的に切り換えることは、RTDを一定の温度に維持するためにRTDを加熱し、一方で一定の温度が維持されることを確認するために測定モードに周期的に切り換えることを含む(例えば、
図6Cに例解されるように)。かかる実施形態において、RTDの熱的挙動の変化は、RTDの温度を一定の温度に維持するために加熱回路によって印加される電力量の変化を含み得る。代替的に、加熱モードと測定モードとの間で周期的に切り換えることは、測定モードでRTDの温度を周期的にサンプリングしながら、一定の印加電力を使用してRTDを加熱することを含み得る(例えば、
図6Dに例解されるように)。かかる実施形態において、RTDの熱的挙動の変化は、一定の印加電力量に起因してRTDによって達成される温度の変化を含み得る。
【0062】
本明細書の他の箇所に論じられるように、RTDの熱的挙動のかかる変化を観察することは、RTD上の付着物レベルを示し、かつそれを判定するために使用され得る。したがって、いくつかの例において、コントローラ312は、RTD302a~dの各々に対する付着物レベルを特性化するために異なる温度に昇温されている複数のRTD302a~dに対して、かかるプロセスのうちのいずれかを実施し得る。いくつかのかかる例において、コントローラ312は、マルチプレクサ320およびデマルチプレクサ322内の対応するチャネルA~Dを介して、RTD302a~dの各々の付着物レベルを個々に特性化する。
【0063】
コントローラ312は、各RTDの付着物レベルをその対応する特性化温度と関連付けるように構成され得る。つまり、コントローラ312は、RTD302a~dの各々での付着物レベルを判定し、かつ付着物レベルをそれぞれのRTD302a~dの各々の初期特性化温度と関連付け得る。関連付けられた付着物レベルおよび動作温度は、流体流システム内の表面上の付着物の温度依存性を特性化するために使用され得る。使用デバイス(例えば、熱交換器表面)の典型的な動作温度がRTD302a~dの特性化温度より低く、かつ付着物が上昇した温度によって促進される場合、使用デバイスは、RTD302a~dよりも少ない付着物を有する傾向があることになる。さらに、RTD動作によって特性化される付着物の温度依存性は、使用デバイス上に形成する付着物の可能性を推定するために使用され得る。
【0064】
追加的または代替的に、異なる特性化温度で動作する様々なRTD上の付着物を周期的に観察することは、付着物の発生における概略の増減に関する情報を提供し得る。プロセス流体の付着特性のかかる変化は、プロセス流体中の成分の温度または濃度の変化等の、流体流システムに影響を及ぼす様々な要因に起因し得る。
【0065】
例示的な動作において、特性化RTDから検出された付着の増加および/または付着速度の上昇は、通常動作中に使用デバイス上に形成する付着物がより形成し易くなる、使用デバイスの付着物状態を示し得る。付着物状態の検出は、プロセス流体の1つ以上のパラメータを測定する等の、増加した付着の原因を判定する後続の分析を開始し得る。いくつかの例において、これは、例えば、コントローラによって自動的に実施され得る。
【0066】
追加的または代替的に、プロセス流体の1つ以上のパラメータは、プロセス流体から流体流システム内に付着される付着物を減少させる、および/または既に蓄積した付着物を排除するように調整され得る。例えば、検出された付着の増加は、付着物を除去することを試みるように、酸または他の洗浄化学物質を放出させ得る。同様に、いくつかの例において、酸、スケール抑制剤、スケール分散剤、殺生物剤(例えば、漂白剤)などのような化学物質が、さらなる付着の可能性を低下させるためにプロセス流体に添加され得る。
【0067】
いくつかの例において、経時的な付着(例えば、スケール)の増加は、例えば、設備故障または化学物質の枯渇に起因する、典型的なプロセス流体成分(例えば、スケール抑制剤および/またはスケール分散剤)の欠如または減少に起因するものであり得る。成分をプロセス流体内に再導入することは、プロセス流体から流体流システムへの付着量を減少させるように作用し得る。追加的または代替的に、流体動作温度、pH、アルカリ度などのような、付着物形成の可能性に影響を及ぼし得る様々な流体特性は、流体流システム内の1つ以上のセンサ(例えば、111)を介して測定され得る。かかる要因を調整することは、付着の量および/または可能性を低下させることを助け得る。
【0068】
様々な実施形態において、任意の数のステップが、検出された付着の増加または他の観察された付着傾向に対処することに応じて行われ得る。いくつかの実施形態において、コントローラは、付着物の変化または傾向についてユーザに警告するように構成される。例えば、様々な実施形態において、コントローラは、付着物速度、レベル、および/またはその中の変化が一定の基準を満たす場合、ユーザに警告し得る。いくつかのかかる例において、基準は、温度依存(例えば、一定の特性化温度を有するRTDで生じる付着物レベルまたは速度)または温度非依存であり得る。追加的または代替的に、コントローラは、プロセス流体の判定された特性が、低過ぎるまたは高過ぎる流体成分の濃度(例えば、付着の可能性を増減させる)、ならびに/または付着の量および/もしくは可能性に影響を及ぼし得る様々な流体特性等の、一定の基準を満たす場合、ユーザに警告し得る。
【0069】
いくつかのかかる例において、ユーザに警告することは、著しい付着物がユーザデバイス上に形成する前に、是正および/または予防措置が行われ得るように、システムが潜在的に、付着物が使用デバイス上に形成する環境に向かう傾向であるときに実施される。いくつかの例において、ユーザへの警告は、ユーザが適切な措置を行うことを良好に助けるように、システムを通って流れるプロセス流体の特性に関する情報等の、追加の情報を含み得る。追加的または代替的に、いくつかの実施形態において、コントローラは、かかる措置を自動的に実施するために、他の機器(例えば、ポンプ、バルブなど)とインターフェース接続するように構成され得る。
【0070】
いくつかのシステムにおいて、一定の付着物は、付着物表面温度が上昇するにつれて、付着し易くなる。したがって、いくつかの実施形態において、RTD(例えば、302a~d)は、プロセス流体からの意図的な誘発および監視付着物が、使用デバイスが所望されない付着物の危険に曝されている状況を判定することを助け得るために、使用デバイスの典型的な動作温度よりも高い温度に加熱され得る。いくつかのかかる実施形態において、使用デバイスの典型的な温度よりも高い温度で動作している1つ以上のRTD上の付着特性を観察することは、使用デバイス上の実際の付着の危険性を最小化しつつ、一定の表面温度での付着傾向または事象を判定するために使用され得る。いくつかの事例において、異なるRTDを異なる温度に昇温させることは、流体流システムの付着物形成の温度依存性に関する情報をコントローラに提供し、流体流システムの付着物形成を特性化するためにさらに使用され得る。
【0071】
RTDが加熱されて付着物を誘発する、繰り返しまたは長期間の特性化後、RTDは、最終的に、有効な特性化に関して過剰にコーティングされるようになる場合がある。いくつかのかかる実施形態において、複数のRTD(例えば、102a~102d)は、システムから取り外され、システムまたは使用デバイスの動作を妨げずに洗浄または交換され得る。例えば、
図1を参照すると、RTD102a~dは、RTD102a~dを保守するためにシステム100から容易に取り外し可能である試料ホルダ104に取り付けられ得る。したがって、いくつかの実施形態において、特性化RTDの洗浄および交換は、使用デバイス自体を保守しなければならない場合よりも、非常に低い費用かつ少ないダウンタイムで実施され得る。
【0072】
いくつかの例において、流体流システム内に付着物が形成する可能性は、システムの付着物潜在性とみなされ得る。様々な実施形態において、付着潜在性は、流体流システム内の物体の表面温度の関数であり得る。他の例において、付着潜在性は、システム内の特定の使用デバイスと関連付けられ得る。いくつかのシステムにおいて、付着物潜在性は、システム内に付着物が形成する絶対的な可能性を観察するための測定基準として使用され得る。追加的または代替的に、付着物潜在性は、流体流システム内の付着物状態の変化を観察するための測定基準として使用され得る。いくつかのかかる例において、絶対的な付着物潜在性は、付着物状態に必ずしも対応する必要はないが、付着物潜在性の変化は、例えば、付着物状態の可能性が高まったことを示す場合がある。
【0073】
図7は、流体流システム内の使用デバイス上へのプロセス流体の付着物潜在性を評価するための例示的なプロセスを例解するプロセスフロー図である。方法は、1つ以上のRTD(複数可)を特有の特性化温度に導くこと(760)と、プロセス流体からRTD(複数可)上への付着物を促進するためにRTD(複数可)を特性化温度に維持すること(762)と、を含む。これは、例えば、本明細書の他の箇所に説明されるように、加熱回路を使用してRTD(複数可)を加熱モードで動作させることによって実施され得る。いくつかの例において、特性化温度のうちの少なくとも1つは、使用デバイスの動作温度よりも高い。1つ以上のRTD(複数可)を特性化温度に導くことが、流体流システムを通って流れるプロセス流体と熱平衡にある1つ以上のRTD(複数可)を動作させることを含み得ることが理解されよう。つまり、1つ以上のRTDの特性化温度は、流体流システムを通って流れるプロセス流体と略同一温度であり得る。
【0074】
方法は、RTD(複数可)を加熱モードから測定モードに周期的に切り換えて、RTD(複数可)の温度を測定すること(764)と、RTD(複数可)の熱的挙動の変化を観察すること(766)と、をさらに含む。これは、例えば、
図6A~Dに関して説明されたプロセスを含み得る。観察された変化は、プロセス流体から1つ以上のRTD(複数可)の各々に対する付着物レベルを特性化するために使用され得る(768)。これは、例えば、測定された温度減衰の当てはめ関数に関する時定数を判定することと、異なる測定時間での時定数に対する変化を観察することと、を含み得る。時定数の変化は、RTD上に形成し、かつRTDの熱的挙動を変化させる付着物を表し得る。いくつかの例において、付着物レベルを特性化することは、異なる特性化温度で動作するRTD(例えば、加熱されたRTDおよび未加熱のRTD)に関する減衰プロファイルを比較することを含み得る。
【0075】
付着物の厚さに加えて、付着物レベルの追加の特性化は、システム内の付着している可能性がある材料を判定することを含み得る。加熱および非加熱またはわずかに加熱されたRTDに関しての熱減衰プロファイルを比較すると、付着物の性質が判定され得る。例えば、いくつかの場合において、沈殿物および/またはバイオフィルム(例えば、微生物成長)の付着物は、概して、表面温度の影響を受けないが、スケーリング効果は、より高い温度において増強されることになる。したがって、熱減衰プロファイルの特性化温度依存性は、RTDおよび流体流システム内に存在する付着物のタイプを特性化するために使用され得る。
【0076】
方法は、付着物状態が使用デバイスに存在するか否かを判定することをさらに含み得る。これは、例えば、付着傾向を観察するために経時的に複数のRTD(複数可)での付着レベルおよび/または速度を監視することを含み得る。いくつかの例において、一定の付着速度または付着速度の上昇は、使用デバイス上に形成する付着物がより付着し易くなる付着物状態を示し得る。いくつかのかかる例において、RTDでの付着物レベル、付着物速度、および/またはその中の変化は、付着物状態が存在するか否かを判定するために、その関連付けられた特性化温度と組み合わせて分析され得る。追加的または代替的に、温度(例えば、異なる特性化温度を有するRTD(複数可)での)に関するかかるデータ(例えば、付着物レベル、付着物速度、および/またはその変化)の関係を分析することは、付着物状態を検出するために使用され得る。
【0077】
いくつかの例において、監視された付着物レベル、付着物速度、および/または流体特性(例えば、温度、成分濃度、pHなど)等の他のデータは、使用デバイス上へのプロセス流体の付着物潜在性を判定するために使用され得る。様々な実施形態において、所定の閾値を満たす、および/または所定の量だけ変化する付着物潜在性は、付着物状態の存在を検出するために使用され得る。
【0078】
付着物状態の場合には、方法は、付着物状態に対処するために是正措置を行うことを含み得る(772)。是正措置は、プロセス流体中の1つ以上の化学物質の投与量を導入または変化させること、プロセス流体の温度を変化させること、ユーザに警告すること、プロセス流体用の使用デバイスを調整すること(例えば、熱交換器上の熱負荷)、ブローダウン速度を上昇させること、および/またはプロセス流体の付着特性に影響を及ぼし得る他の措置等の、様々な措置を含み得る。例示的な実施形態において、付着特性化は、スケール、バイオフィルムなどのような付着する可能性がある材料を判定することを含み得る。
【0079】
いくつかのかかる実施形態において、是正措置(例えば、722)は、判定された付着物材料に対処するために具体的に行われ得る。例えば、スケール抑制剤は、検出されたスケール事象に起因して添加または増加され得る。しかしながら、付着特性化がスケールではなくバイオフィルムを表す場合、殺生物剤が添加または増加され得る。かかる是正措置は、システムによって自動的に実行され得る。追加的または代替的に、システムは、付着物状態に対処するために是正措置を行うようにユーザに信号を送り得る。
【0080】
流体流システムが複数の流体源(例えば選択可能な入力源)から流体を受容し得るいくつかの実施形態において、是正措置は、システム内に入力される流体源を変化させることを含み得る。例えば、例示的な実施形態において、流体流システムは、清水源からおよび別のプロセスからの流出流から入力流体を選択的に受容し得る。システムは、最初に、流出流からプロセス流体を受容することによって動作し得る。しかしながら、検出された、または潜在的な付着物状態の場合には、流体源が、プロセス流体中に存在する可能性がある付着物材料を減少させるために、清水源に切り換えられ得る。流体源を切り換えることは、1つの供給源からの流体の流れを完全に止めることと、異なる供給源からの流体の流れを開始することとを含み得る。追加的または代替的に、供給源を切り換えることは、本来の供給源(例えば、流出流)と新しい供給源(複数可)(例えば、清水)との混合物を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、異なる入力源からの流体の所望されるブレンド(例えば、1つの供給源から50%、および別の供給源から50%)が選択され得る。
【0081】
同様の実装において、いくつかの実施形態において、是正措置は、単一の供給源(例えば、流出源)からの流れを一時的に停止させることと、異なる供給源(例えば、清水)からプロセス流体を提供することと、を含み得る。新しい流体源は、過剰な付着物が生じ得る前に、潜在的な付着物材料をシステムから洗い流すために一時的に使用され得る。いくつかの例において、一度、かかる材料がシステムから洗い流されると(例えば、清水を介して)、プロセス流体源は、再び本来の供給源(例えば、流出流)に切り換えられ得る。いくつかの例において、システムから流体を洗い流すことは、システム内の使用デバイスを動作しながら行われ得る。他の例において、一定の付着物状態および/または可能性が検出されたとき(例えば、一定の付着物潜在性に達したとき)、使用デバイスへの流れが停止され、システム内の流体が、システムからかかる流体を取り除くために排水に方向付けられ得る。システムは、次いで、流体を流体源またはそれらの組み合わせのいずれかから使用デバイスに再び方向付け得る。
【0082】
さらに別の実装において、本明細書の他の箇所に説明されているように、既定の入力流体は、複数の利用可能な供給源の各々からの流体の組み合わせられた流れであり得る。付着物状態が検出された場合には、流体源のうちの1つ以上は、システムから切り離され得る(例えば、遮断バルブを介して)。いくつかの例において、システムは、導電率センサ、濃度センサ、濁度センサなどのような、各入力源からシステム内に流れる流体の1つ以上のパラメータを監視するように構成された1つ以上の補助センサを含み得る。かかる補助センサからのデータは、どの入力源が付着物状態に寄与しているかを判定するために使用され得る。かかる流体源は、次いで、システムを通って流れる流体に寄与することを防止され得る。
【0083】
プロセス流体入力源の遮断、切り換え、および/または組み合わせは、例えば、供給源(複数可)と流体流システムとの間に配置された1つ以上のバルブを介して実施され得る。様々な実施形態において、バルブは、入力流体源(複数可)を調整するために手動および/または自動で制御され得る。例えば、いくつかの実施形態において、検出された付着物状態は、1つ以上のかかるバルブと通信するコントローラに、システム内に流れる流体源を調整するためにかかるバルブを作動させ得る。代替的に、コントローラは、是正措置が実施されるべきであることをユーザに示し得、ユーザが、システムへの流体源を調整するためにかかるバルブを作動させてもよい。
【0084】
本明細書の他の箇所に説明されているように、1つ以上の流体入力源は、その中に配設される1つ以上のRTDを含み得る。かかるRTD(複数可)は、複数の流体源の各々に関する付着物状態を個々に特性化するために使用され得る。したがって、1つの流体源が付着物状態を示している場合、1つ以上の是正措置は、その供給源からシステム内に流れる流体に影響を及ぼす措置(例えば、流体のパラメータの調整)を実施すること、および/または流体がシステム内に流れることを阻止する(例えば、バルブを介して)ことを含み得る。いくつかの例において、各入力流体源は、各供給源が個々に特性化され得るように、1つ以上のかかるRTDを含む。いくつかのかかる実施形態において、1つ以上のRTDは、流体源の各々からの流体が組み合わされた後、流体流路内に追加的に位置付けられ得、そのため、複合流もまた、個々の供給源の各々から別個に特性化され得る。
【0085】
一般に、1つ以上の是正措置を行うことは(例えば、ステップ772)、使用デバイスでの付着速度を低下させるように作用し得る。したがって、いくつかのかかる実施形態において、是正措置は、所望されない付着物が使用デバイス上に形成することを防止するための予防措置として作用する。これは、付着物を使用デバイスから洗浄するためにシステムをシャットダウンする必要性を最小化または排除しつつ、使用デバイスの動作時間を延長させ得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、行われたおよび/または提案された是正措置は、1つ以上の追加のセンサ(例えば111)から受信したデータに基づき得る。例えば、いくつかの実施形態において、スケール抑制剤の減少(例えば、スケール抑制剤導入流量計および/またはスケール抑制剤濃度計を介して検出される)は、システム内の付着物状態に寄与する。したがって、是正措置は、スケール抑制剤の供給を補充することを含み得る。同様に、いくつかの例において、過剰な付着物材料(例えば、濃度計によって検出されたカルシウム)の存在は、付着物状態に寄与する。対応する是正措置は、システム内へのスケール抑制剤導入またはその量を増加させることを含み得る。追加的または代替的に、是正措置は、流体中のリン酸塩レベルを変化させることを含み得る。例えば、システム内に蓄積するリン酸塩付着物は、リン含有化学物質またはリン酸塩付着触媒の流れの低減を結果としてもたらし得る。他の例において、リン酸塩含有流体の添加は、他の付着物が形成することを抑制し得る。いくつかのかかる例において、かかるリン酸塩またはリン含有流体が添加または増加され得る。
【0087】
適切な是正措置は、いくつかの実施形態において、特性化された付着物レベル(例えば、ステップ768で)に基づいて判定され得る。例えば、より大きい付着速度および/または付着物潜在性は、付着物が形成することを防止するためにシステム内に放出されるべき、より大量のスケール抑制剤を結果としてもたらし得る。追加的または代替的に、形成する付着物のタイプの特性化(例えば、異なる温度での熱減衰プロファイルを比較することによる)は、どの是正措置が行われるかに影響を与える。例えば、付着物レベルの特性化が、付着物がスケーリングではなく概して沈殿物であることを示す場合、スケール防止剤化学物質を放出することが有用な措置ではない場合があり、他のより適切な措置が行われ得る。
【0088】
様々な実施形態が説明されている。そのような例は非限定的であり、そして本発明の範囲を決して定義または限定しない。むしろ、これらおよび他の例は、以下の請求項の範囲内にある。