(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】少なくとも2つのワークピースを接合するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/28 20140101AFI20220125BHJP
【FI】
B23K26/28
(21)【出願番号】P 2019569237
(86)(22)【出願日】2018-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2018068499
(87)【国際公開番号】W WO2019011838
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】102017211982.9
(32)【優先日】2017-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506065105
【氏名又は名称】トルンプフ レーザー- ウント ジュステームテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Laser- und Systemtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Strasse 2, D-71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ゼーバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ シュペーカー
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0054273(US,A1)
【文献】特開2017-098565(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194322(WO,A1)
【文献】特開2010-264494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための方法であって、加工ビーム、特にレーザビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って移動させることによって、溶接シーム(7)を形成することを含んでおり、
前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との互いに相対的な移動に、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)おいて、かつ好ましくは追加的に前記送り方向(Y)において延びている、好ましくは二次元の移動軌道(12)における周期的な移動を重畳させる、
方法において、
前記移動軌道(12)は、前記横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O,
X)が0である少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有して
おり、
前記停止点(H,H1)は、前記二次元の移動軌道(12)に沿った前記周期的な移動の、前記送り方向(Y)において前側の反転点(P2,P4,P5)を形成している、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための方法であって、加工ビーム、特にレーザビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って移動させることによって、溶接シーム(7)を形成することを含んでおり、
前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との互いに相対的な移動に、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)おいて、かつ好ましくは追加的に前記送り方向(Y)において延びている、好ましくは二次元の移動軌道(12)における周期的な移動を重畳させる、
方法において、
前記移動軌道(12)は、前記横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0である少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有しており、
前記二次元の移動軌道(12)は、前記停止点(H,H1)に接触している2つの弓形の、特に2つの円弧形状の軌道部分(14a,14b)を有しており、前記両弓形の軌道部分(14a,14b)は、前記停止点(H,H1)への到達時に、前記送り方向(Y)においてもっぱら1つの速度成分(-V
O,Y
,+V
O,Y
)を有している、
ことを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記移動軌道(12)は、別の弓形の、好ましくは半円形状の軌道部分(15)を有していて、該軌道部分(15)は、前記両弓形の軌道部分(14a,14b)の、前記停止点(H)とは反対側の2つの終点(P3,P5)において互いに接続されている、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための方法であって、加工ビーム、特にレーザビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って移動させることによって、溶接シーム(7)を形成することを含んでおり、
前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との互いに相対的な移動に、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)おいて、かつ好ましくは追加的に前記送り方向(Y)において延びている、好ましくは二次元の移動軌道(12)における周期的な移動を重畳させる、
方法において、
前記移動軌道(12)は、前記横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0である少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有しており、
前記二次元の移動軌道(12)は、前記横方向(X)において、前記送り方向(Y)において延びている、好ましくは前記停止点(H;H1,H2)を含む中心軸線(M)に対して対称にまたは非対称に延びている、
ことを特徴とする、方法。
【請求項5】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための方法であって、加工ビーム、特にレーザビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って移動させることによって、溶接シーム(7)を形成することを含んでおり、
前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との互いに相対的な移動に、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)おいて、かつ好ましくは追加的に前記送り方向(Y)において延びている、好ましくは二次元の移動軌道(12)における周期的な移動を重畳させる、
方法において、
前記移動軌道(12)は、前記横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0である少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有しており、
前記二次元の移動軌道(12)は、第1および第2の停止点(H1,H2)を有しており、前記第1の停止点(H1)は、前記二次元の移動軌道(12)に沿った前記周期的な移動の前記送り方向(Y)における反転点(P2,P4;P5)を形成しており、かつ前記第2の停止点(H2)は、好ましくは前記第1の停止点(H1)に、直線的な軌道部分(17a)によって接続されている、
ことを特徴とする、方法。
【請求項6】
前記移動軌道(12)は、円中心点(P4)としての前記第2の停止点(H2)を備えた4分の3円を形成している、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための方法であって、加工ビーム、特にレーザビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って移動させることによって、溶接シーム(7)を形成することを含んでおり、
前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との互いに相対的な移動に、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)おいて、かつ好ましくは追加的に前記送り方向(Y)において延びている、好ましくは二次元の移動軌道(12)における周期的な移動を重畳させる、
方法において、
前記移動軌道(12)は、前記横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0である少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有しており、
前記加工ビームの出力(PL)を、前記移動軌道(12)に沿った前記周期的な移動時に変化させる、
ことを特徴とする、方法。
【請求項8】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための方法であって、加工ビーム、特にレーザビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って移動させることによって、溶接シーム(7)を形成することを含んでおり、
前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との互いに相対的な移動に、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)おいて、かつ好ましくは追加的に前記送り方向(Y)において延びている、好ましくは二次元の移動軌道(12)における周期的な移動を重畳させる、
方法において、
前記移動軌道(12)は、前記横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0である少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有しており、
前記加工ビームは、前記停止点(H,H1,H2)において最大の出力(P
MAX
)を有している、
ことを特徴とする、方法。
【請求項9】
コンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムがデータ処理設備において実行される場合に、請求項1から
8までのいずれか1項記載の方法のすべてのステップを実施するように形成されている、コンピュータプログラム製品。
【請求項10】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための装置(1)であって、
加工ビーム、特にレーザビーム(3)を前記両ワークピース(2a,2b)に方向付けるための加工ヘッド(5)と、
前記加工ビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って溶接シーム(7)を形成しながら移動させるための移動装置(6)と、
前記加工ビームを変向させるためのビーム変向装置(8)と、
前記送り方向(Y)に沿った前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との間における相対移動に重畳させられた、好ましくは二次元の移動軌道(12)に沿った前記加工ビームの周期的な移動を生ぜしめるために、前記ビーム変向装置(8)および/または前記移動装置(6)を駆動制御するための制御装置(13)と、
を含んでおり、前記移動軌道(12)は、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)において、かつ好ましくは前記送り方向(Y)において延びている、
装置(1)において、
前記制御装置(13)は、好ましくは二次元の移動軌道(12)を生ぜしめるために前記ビーム変向装置(8)を制御するように形成されており、前記移動軌道(12)は、横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有していて、該停止点(H,H1,H2)において、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O,
X)が0であり、
前記停止点(H,H1)は、前記二次元の移動軌道(12)に沿った前記周期的な移動の、前記送り方向(Y)において前側の反転点(P2,P4,P5)を形成しており、前記少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)において、好ましくは、前記二次元の移動軌道(12)の非連続的な方向変化が行われる
ことを特徴とする、装置。
【請求項11】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための装置(1)であって、
加工ビーム、特にレーザビーム(3)を前記両ワークピース(2a,2b)に方向付けるための加工ヘッド(5)と、
前記加工ビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って溶接シーム(7)を形成しながら移動させるための移動装置(6)と、
前記加工ビームを変向させるためのビーム変向装置(8)と、
前記送り方向(Y)に沿った前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との間における相対移動に重畳させられた、好ましくは二次元の移動軌道(12)に沿った前記加工ビームの周期的な移動を生ぜしめるために、前記ビーム変向装置(8)および/または前記移動装置(6)を駆動制御するための制御装置(13)と、
を含んでおり、前記移動軌道(12)は、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)において、かつ好ましくは前記送り方向(Y)において延びている、
装置(1)において、
前記制御装置(13)は、好ましくは二次元の移動軌道(12)を生ぜしめるために前記ビーム変向装置(8)を制御するように形成されており、前記移動軌道(12)は、横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有していて、該停止点(H,H1,H2)において、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0であり、前記二次元の移動軌道(12)は、前記停止点(H,H1)に接触している2つの弓形の、特に2つの円弧形状の軌道部分(14a,14b)を有しており、前記両弓形の軌道部分(14a,14b)は、前記停止点(H,H1)への到達時に、前記送り方向(Y)においてもっぱら1つの速度成分(-V
O,Y
,+V
O,Y
)を有しており、前記少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)において、好ましくは、前記二次元の移動軌道(12)の非連続的な方向変化が行われる
ことを特徴とする、装置。
【請求項12】
前記移動軌道(12)は、別の弓形の、好ましくは半円形状の軌道部分(15)を有していて、該軌道部分(15)は、前記両弓形の軌道部分(14a,14b)の、前記停止点(H)とは反対側の2つの終点(P3,P5)において互いに接続されている、
請求項11記載の装置。
【請求項13】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための装置(1)であって、
加工ビーム、特にレーザビーム(3)を前記両ワークピース(2a,2b)に方向付けるための加工ヘッド(5)と、
前記加工ビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って溶接シーム(7)を形成しながら移動させるための移動装置(6)と、
前記加工ビームを変向させるためのビーム変向装置(8)と、
前記送り方向(Y)に沿った前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との間における相対移動に重畳させられた、好ましくは二次元の移動軌道(12)に沿った前記加工ビームの周期的な移動を生ぜしめるために、前記ビーム変向装置(8)および/または前記移動装置(6)を駆動制御するための制御装置(13)と、
を含んでおり、前記移動軌道(12)は、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)において、かつ好ましくは前記送り方向(Y)において延びている、
装置(1)において、
前記制御装置(13)は、好ましくは二次元の移動軌道(12)を生ぜしめるために前記ビーム変向装置(8)を制御するように形成されており、前記移動軌道(12)は、横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有していて、該停止点(H,H1,H2)において、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0であり、前記二次元の移動軌道(12)は、前記横方向(X)において、前記送り方向(Y)において延びている、好ましくは前記停止点(H;H1,H2)を含む中心軸線(M)に対して対称にまたは非対称に延びており、前記少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)において、好ましくは、前記二次元の移動軌道(12)の非連続的な方向変化が行われる
ことを特徴とする、装置。
【請求項14】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための装置(1)であって、
加工ビーム、特にレーザビーム(3)を前記両ワークピース(2a,2b)に方向付けるための加工ヘッド(5)と、
前記加工ビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って溶接シーム(7)を形成しながら移動させるための移動装置(6)と、
前記加工ビームを変向させるためのビーム変向装置(8)と、
前記送り方向(Y)に沿った前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との間における相対移動に重畳させられた、好ましくは二次元の移動軌道(12)に沿った前記加工ビームの周期的な移動を生ぜしめるために、前記ビーム変向装置(8)および/または前記移動装置(6)を駆動制御するための制御装置(13)と、
を含んでおり、前記移動軌道(12)は、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)において、かつ好ましくは前記送り方向(Y)において延びている、
装置(1)において、
前記制御装置(13)は、好ましくは二次元の移動軌道(12)を生ぜしめるために前記ビーム変向装置(8)を制御するように形成されており、前記移動軌道(12)は、横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有していて、該停止点(H,H1,H2)において、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0であり、前記二次元の移動軌道(12)は、第1および第2の停止点(H1,H2)を有しており、前記第1の停止点(H1)は、前記二次元の移動軌道(12)に沿った前記周期的な移動の前記送り方向(Y)における反転点(P2,P4;P5)を形成しており、かつ前記第2の停止点(H2)は、好ましくは前記第1の停止点(H1)に、直線的な軌道部分(17a)によって接続されており、前記少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)において、好ましくは、前記二次元の移動軌道(12)の非連続的な方向変化が行われる
ことを特徴とする、装置。
【請求項15】
前記移動軌道(12)は、円中心点(P4)としての前記第2の停止点(H2)を備えた4分の3円を形成している、
請求項14記載の装置。
【請求項16】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための装置(1)であって、
加工ビーム、特にレーザビーム(3)を前記両ワークピース(2a,2b)に方向付けるための加工ヘッド(5)と、
前記加工ビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って溶接シーム(7)を形成しながら移動させるための移動装置(6)と、
前記加工ビームを変向させるためのビーム変向装置(8)と、
前記送り方向(Y)に沿った前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との間における相対移動に重畳させられた、好ましくは二次元の移動軌道(12)に沿った前記加工ビームの周期的な移動を生ぜしめるために、前記ビーム変向装置(8)および/または前記移動装置(6)を駆動制御するための制御装置(13)と、
を含んでおり、前記移動軌道(12)は、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)において、かつ好ましくは前記送り方向(Y)において延びている、
装置(1)において、
前記制御装置(13)は、好ましくは二次元の移動軌道(12)を生ぜしめるために前記ビーム変向装置(8)を制御するように形成されており、前記移動軌道(12)は、横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有していて、該停止点(H,H1,H2)において、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0であり、前記加工ビームの出力(PL)を、前記移動軌道(12)に沿った前記周期的な移動時に変化させており、前記少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)において、好ましくは、前記二次元の移動軌道(12)の非連続的な方向変化が行われる
ことを特徴とする、装置。
【請求項17】
少なくとも2つのワークピース(2a,2b)を接合するための装置(1)であって、
加工ビーム、特にレーザビーム(3)を前記両ワークピース(2a,2b)に方向付けるための加工ヘッド(5)と、
前記加工ビーム(3)と前記少なくとも2つのワークピース(2a,2b)とを互いに相対的に、送り方向(Y)に沿って溶接シーム(7)を形成しながら移動させるための移動装置(6)と、
前記加工ビームを変向させるためのビーム変向装置(8)と、
前記送り方向(Y)に沿った前記加工ビームと前記両ワークピース(2a,2b)との間における相対移動に重畳させられた、好ましくは二次元の移動軌道(12)に沿った前記加工ビームの周期的な移動を生ぜしめるために、前記ビーム変向装置(8)および/または前記移動装置(6)を駆動制御するための制御装置(13)と、
を含んでおり、前記移動軌道(12)は、前記送り方向(Y)に対して垂直な横方向(X)において、かつ好ましくは前記送り方向(Y)において延びている、
装置(1)において、
前記制御装置(13)は、好ましくは二次元の移動軌道(12)を生ぜしめるために前記ビーム変向装置(8)を制御するように形成されており、前記移動軌道(12)は、横方向(X)における2つの反転点(P3,P5;P1,P3)の間に少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)を有していて、該停止点(H,H1,H2)において、前記横方向(X)における前記周期的な移動の速度成分(V
O
,
X
)が0であり、前記加工ビームは、前記停止点(H,H1,H2)において最大の出力(P
MAX
)を有しており、前記少なくとも1つの停止点(H,H1,H2)において、好ましくは、前記二次元の移動軌道(12)の非連続的な方向変化が行われる
ことを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのワークピースを接合するための方法であって、加工ビーム、特にレーザビームと少なくとも2つのワークピースとを互いに相対的に、送り方向に沿って移動させることによって、溶接シームを形成することを含んでおり、このとき加工ビームと両ワークピースとの互いに相対的な移動に、送り方向に対して垂直な横方向おいて、かつ好ましくは追加的に送り方向において延びている、好ましくは二次元の移動軌道における周期的な移動を重畳させる、方法に関する。本発明はまた所属の装置であって、加工ビーム、特にレーザビームを両ワークピースに方向付けるための加工ヘッドと、加工ビームと少なくとも2つのワークピースとを互いに相対的に、送り方向に沿って溶接シームを形成しながら移動させるための移動装置と、加工ビームを変向させるためのビーム変向装置と、送り方向に沿った加工ビームと両ワークピースとの間における相対移動に重畳させられた、好ましくは二次元の移動軌道に沿った加工ビームの周期的な移動を生ぜしめるために、ビーム変向装置および/または移動装置を制御するための制御装置と、を含んでおり、移動軌道は、送り方向に対して垂直な横方向において、かつ好ましくは追加的に送り方向において延びている、装置に関する。
【0002】
加工ビーム、例えばレーザビームを使用して2つ以上のワークピースを接合する場合、オーバラップシームおよび/または隅肉シームにおける進入溶接(Einschweissung)および貫通溶接(Durchschweissung)時には、特に溶接シームの高温亀裂に対して敏感な材料または高温亀裂に対して敏感な幾何学形状では、高温亀裂が発生することがある。高温亀裂を回避するために、ひいては溶接結果を改善するために、溶接シームに沿った送り移動に、一次元または二次元の移動軌道における周期的な振動移動を重畳させることが公知である。
【0003】
例えば欧州特許第1534460号明細書に基づいて公知の、材料部分をオーバラップ溶接するための方法では、レーザビームは、接触面に沿った第1の方向において一対の金属部分の間において移動させられ、かつレーザビームの揺動が、第1の方向とは異なる第2の方向において行われる。レーザビームは、第1の方向に対して横方向に揺動することができる丸いレーザビーム斑である。このレーザビーム斑は、直線的な区間において揺動することができる。また、レーザビーム斑は、円形の区間においてもまたは楕円形の区間においても揺動することができる。
【0004】
独国特許出願公開第102014206302号明細書に記載された、溶接のための方法では、エネルギ源が、互いに交差する、特に完全に弓形に延びる軌道において、基板の表面に対して移動させられる。弓形に延びる軌道は、ループとして形成されていてもよく、このとき上側のループは、8字形の軌道の上側部分に相当し、かつ下側のループは、8字形の軌道の下側部分に相当している。
【0005】
独国特許出願公開第102014210118号明細書に基づいて、振動するビームを用いた溶接のための、可動のインナハウジングを備えた光学系と、所属の溶接法とが公知である。光学系によって、表面におけるレーザビームの振動する方法形式を達成することができ、このとき三角形の揺動移動またはループ形状の揺動移動を生ぜしめることができる。
【0006】
独国特許出願公開第102013219220号明細書に記載された、隅肉においてワークピースをレーザリモート加工するための方法および所属の装置では、レーザビームは、走査装置を用いて構成部材に導かれ、かつこの構成部材の上方に案内され、このときレーザビームの作業領域は、照射ビームによって照射され、かつこのとき照射ビームは、構成部材の隅肉幾何学形状に依存して調節される設定角度下で構成部材に向けられる。
【0007】
独国特許出願公開第102013110523号明細書には、レーザビームを用いてワークピースを接合するための装置および方法が記載されていて、このときレーザビームは、第1の振動周波数を備えた第1の振動移動と、第1の振動移動に重畳させられた、第2の比較的大きな振動周波数を備えた第2の振動移動とを実施する。
【0008】
独国特許出願公開第102014015094号明細書に記載された、少なくとも2つの接合対をレーザビーム溶接する方法では、加工レーザビームは、光学式に検知されるガイドエッジを、目標溶接シーム経過に相応して加工する。光学式のシーム案内には、構成部材の幾何学形状および/またはプロセスに関する条件に適合された、少なくとも1つのスイングミラーの高周波数のスイングミラー振動が重畳されている。三次元のスイングミラー振動は、レーザビームの衝突点が、目標溶接シーム経過に沿った移動に加えて、重畳された振動する横方向移動を実施するように、かつ/または重畳された振動する揺動移動、特に振動する円形移動を実施するように、制御することができる。
【0009】
独国特許出願公開第102012008940号明細書に記載された、少なくとも2つのワークピースを接合するための方法および装置では、送り方向におけるレーザビームの移動には、振動移動成分を備えた第2の移動が、送り方向においても該送り方向に対して垂直な方向においても重畳される。
【0010】
特開平10-71480号公報に記載された、オーバラップ合わせ部におけるレーザビーム溶接方法では、二次元の軌跡に沿ったレーザビームの光軸の走査移動が行われる。円形パターンまたは楕円形パターンにおける走査移動時に、レーザビームの光軸のオーバラップの位置領域は、設定された領域に制限されていることが望ましい。
【0011】
記事「高周波数ビーム振動によるレーザビーム溶接:ブリリアントファイバレーザによる異なった材料の溶接」M.Kraetzsch他著、Physics Procedia 12(2011年)142~149には、従来の形式では今までレーザ溶接が不可能であった、例えば金属組合せアルミニウム・銅のような金属材料の組合せを、溶接するために、ブリリアントなレーザビーム源が高周波数のビーム振動との組合せにおいて使用され得ることが記載されている。
【0012】
Peter Strittの論文「AlMgSi6016のリモートレーザビーム溶接時における高温亀裂を回避するためのプロセスストラテジ」には、アルミニウムのレーザビーム溶接時に、エッジシームにおける高温亀裂の回避が追加材料の使用なしに可能になるというアプローチが記載される。高温亀裂傾向を低下させるための1つの可能性として、変調されたレーザ出力の使用下における溶接が記載される。他の可能性としては、ステップストラテジがあり、このステップストラテジでは、短いステップシームが時間をずらされて三次元的に重畳され、最終クレータ亀裂が生じやすい終端領域が新たに過剰溶接されるようになっている。
【0013】
本発明の課題
本発明の根底を成す課題は、接合すべきワークピースの間における結合を改善することができる、方法および装置を提供することである。
【0014】
本発明の対象
この課題は、1つの態様によれば、冒頭に述べた形式の方法において、移動軌道が、横方向における2つの反転点の間に、横方向における周期的な移動の速度成分が0である少なくとも1つの停止点を有していることによって解決される。
【0015】
発明者は、特に、高温亀裂に対して敏感な材料、例えばアルミニウム製の材料から成るワークピースの場合に、かつ/または溶接シームの、高温亀裂に対して敏感な幾何学形状の場合に、高温亀裂の形成を回避するためには、送り方向における移動に重畳された周期的な移動の振動幾何学形状を選択し、この振動幾何学形状が、横方向における周期的な移動の軌道曲線の両反転点に加えて、横方向における周期的な移動の速度成分が0である少なくとも1つの停止点を有していることが好適である、ということを認識した。
【0016】
横方向における両反転点において、加工ビームの移動反転が、横方向における速度成分の符号の変化をもって、つまり正の符号から負の符号への、または負の符号から正の符号への変化をもって行われ、これによって横方向における速度成分は、強制的に反転点において、少なくとも無限小に短い時間において0に等しくなる。横方向、つまりY軸方向における両反転点の間における追加的な停止点によって、ワークピースの材料と加工ビームとの間における相互作用時間の所望のポジティブな変化を、特に高ダイナミックな走査溶接プロセスにおいて行うことができる。追加的に、停止点において、送り方向における周期的な移動の速度成分が0であること、もしくはこの速度成分を0に低減することが可能である。
【0017】
(場合によっては二次元の)移動軌道に沿った周期的な移動は、通常、加工ビームによって実施され、この加工ビームはそのために、例えば走査装置の形態のビーム変向装置を用いて変向され、ビーム変向装置はそのために、例えばそれぞれの回転軸線を中心にして回転可能な2つの走査ミラーを有することができる。ビーム変向装置は、例えばロボットまたはこれに類したものを用いて、静止しているワークピースに対して相対的に移動させることができ、これによって送り方向における相対移動を実施することができる。択一的に、相対移動、および重畳された周期的な移動は、静止している加工ビームにおいても、ワークピースの(場合によっては二次元の)移動だけによって実現することができる。ワークピースの一次元の移動、および(典型的にはワークピースの移動に対して垂直な)加工ビームの(重畳された)一次元の移動もまた、可能である。
【0018】
最も単純な場合、周期的な移動は、単に横方向、つまり送り方向に対して垂直な方向において延びている線の形態の、一次元の移動軌道を備えた移動である。この場合、周期的な移動は、汎用の正弦波の振動移動の形式で行うことができ、このような振動移動は、追加的に、横方向における速度成分が0になる停止点を横方向において有している。
【0019】
好ましくは、周期的な移動は、横方向における、つまり送り方向に対して垂直な方向における、および送り方向における移動であり、その結果加工ビームは、二次元の移動軌道に沿って延びている。周期的な移動というのは、本出願の意味においては、重畳された移動の、一次元または二次元の移動軌道がそれ自体で閉鎖されていると理解される。移動軌道は、2回逆方向において通過される軌道部分を有することできる。場合によっては、移動軌道は、1つまたは複数の交差点を有していてもよく、この交差点を起点として2つ以上のループが延びている。しかしながら通常は、二次元の移動軌道が、例えば移動軌道の幾何学的な中心に交差点を有していない構成が、好適であり、このことは、例えば8の字の形態の移動軌道において言える。
【0020】
好適な変化形態では、少なくとも1つの停止点において、この場合二次元の移動軌道の非連続的な方向変化が行われる。本出願の意味において、非連続的な方向変化というのは、二次元の移動軌道における屈曲部であると理解され、すなわち停止点において、移動軌道に沿った周期的な移動の速度ベクトルの方向の非連続的な変化が行われる。速度ベクトルの方向の非連続的な変化は、横方向もしくは送り方向における一方のまたは両方の速度成分の符号変化を、必ずしも必要としない。例えば、移動軌道は1つの軌道部分を有していてもよく、この軌道部分は、横方向において延びる1つの速度ベクトルで停止点に走入し、すなわち送り方向における速度成分を有していない、または逆のことが言える。
【0021】
別の変化形態では、周期的な移動の停止点は、溶接シームのシーム中心に位置決めされる。例えばアルミニウム製のワークピースにおける隅肉シームの溶接時には、シーム中心における停止点の導入によって、シーム中心における溶融物容量の上昇を達成できることが示されており、このことは、特に機械的に有効な結合面にポジティブな影響を及ぼす。したがって溶接シームのシーム中心における停止点の位置決めは、両ワークピースの間における結合を明らかに改善するという意味において、溶接結果にポジティブな影響を有している。この変化形態では、周期的な移動の停止点は、典型的には、横方向における両反転点の間の真ん中に位置している。
【0022】
加工ビームと両ワークピースとの相互の相対移動は、例えば、加工ビームが、重畳させられた周期的な移動なしに溶接シームのシーム中心に沿って送り方向において移動させられるように、制御もしくはプログラミングされることができる。この場合、周期的な移動の停止点は、典型的には、上に述べたように横方向における両反転点の間の真ん中に位置している。しかしながらまた場合によっては、停止点と、両反転点の間における中心との間において、(通常僅かな)横方向ずれを選択することも可能である。
【0023】
相対移動時に、送り方向は時間的に一定のままであってもよく、その結果直線的な溶接シームが形成され、しかしながらまた、相対移動が湾曲された軌道曲線に追従し、これによって溶接シームが非直線的な経過を有することも可能である。この場合、送り方向は、溶接シームの現在の方向を、すなわち加工ビームと両ワークピースとの間における相対移動の現在の方向を(重畳させられた周期的な移動なしに)描く。
【0024】
別の変化形態では、停止点は、二次元の移動軌道に沿った周期的な移動の、送り方向において前側の反転点を形成している。特に、移動軌道に沿った周期的な移動の、送り方向において前側の反転点を形成している停止点の使用は、好適であることが証明されている。それというのは、このような停止点は、送り方向における溶接プロセスに対する適正な影響を可能にするからである。場合によっては、択一的にまたは追加的に同様に、上に述べた停止点もしくは別の停止点が、周期的な移動の、送り方向において後ろ側の反転点を形成していることが可能である。
【0025】
別の変化形態では、二次元の移動軌道は、停止点において互いに接触する2つの弓形の、特に2つの円弧形状の軌道部分を有しており、このとき両弓形の軌道部分は、停止点への到達時に、送り方向においてもっぱら1つの(符号が異なっている)速度成分を有している。言い換えれば、二次元の移動軌道の両弓形の軌道部分は、1つの速度ベクトルで送り方向に対して接線方向で停止点に走入する。このようにして、横方向における周期的な移動の速度成分は、停止点において強制的に0に等しくなるということが達成される。同時に、加工ビームは、停止点において、より正確に言えば停止点への到達の直前もしくは直後に、送り方向において、0とは異なる速度成分を有しており、このことは、送り方向における、典型的にはシーム中心に沿った、溶接プロセスへの所望の影響を可能にする。円弧の形態の、弓形の軌道部分の使用は、そのために好適であることが判明しており、しかしながらまた弓形の軌道部分は、例えば楕円形または他の形式の幾何学形状もしくは湾曲を有していてもよい。二次元の軌道曲線は、もっぱら、停止点において互いに接触する両弓形の軌道部分から成っていてもよい。
【0026】
発展形態では、移動軌道は、別の弓形の、好ましくは半円形状の軌道部分を有していて、該軌道部分は、両弓形の軌道部分の、停止点とは反対側の2つの終点において互いに接続されている。別の(円弧形状のもしくは)弓形の軌道部分の両終点は、横方向における移動軌道の反転点を形成していて、かつ弓形の軌道部分によって互いに接続される。別の(円弧形状のもしくは)弓形の軌道部分によって、移動軌道が、2回(逆方向において)通過される軌道部分を有していないということを達成することができる。円弧形状の軌道部分を用いて、溶接シームは、場合によっては小さな出力で擦過されることができ、これによって溶融物における解離効果(Dissoziationseffekt)を生ぜしめることができる、または溶接シームを均一化することができる。
【0027】
別の変化形態では、二次元の移動軌道は、横方向において、送り方向において延びている、好ましくは停止点を含む中心軸線に対して対称にまたは非対称に延びている。周期的な移動の移動軌道は、中心軸線に対して鏡面対称に延びていてもよく、この中心軸線は、横方向において両反転点の間における中心を形成していて、かつこの中心軸線には停止点が位置決めされていてもよい。しかしながらまた、移動軌道は、横方向における両反転点の間における中心軸線に対して非対称に延びていることも可能である。中心軸線に対して非対称に延びている二次元の移動軌道では、どれだけ高い出力が両構成部材のどちらにもたらされるかを、所望のように制御することができる。溶接シームの一方の半部における移動軌道の部分が大きければ大きいほど、もしくはこの半部における移動軌道が中心軸線から大きく離れていればいるほど、溶接シームの他方の半部の下に位置している構成部材には、移動軌道の、この半部に位置している部分から、より小さな影響しか及ぼされない。移動軌道の、中心軸線上にまたは中心軸線の近傍において延びている部分は、構成部材もしくは溶融物における熱伝導によって、両構成部材により強い影響を及ぼす。したがって適宜な対称のまたは非対称の幾何学形状の選択は、突合せ形式にも依存する。中心軸線に対して非対称に延びる移動軌道では、溶融物容量は、溶接シームのある一定の幅(振動幅)が必要な場合には、中心軸線に対してもしくは送り方向に対して横方向に、より好ましくは、大きな溶融物容量に合わせて調整することができる。
【0028】
別の変化形態では、二次元の移動軌道は、第1および第2の停止点を有しており、このとき第1の停止点は、二次元の移動軌道に沿った周期的な移動の送り方向における反転点を形成しており、かつこのとき第2の停止点は、好ましくは第1の停止点に、移動軌道の直線的な軌道部分によって接続されている。第1の停止点は、好ましくは移動軌道の、送り方向において前側の反転点である。第2の停止点に向かう直線的な軌道部分は、例えば送り方向に沿って、特に、二次元の移動軌道の横方向における両反転点の間における中心軸線に沿って延びていてもよい。
【0029】
発展形態では、移動軌道は、円中心点としての第2の停止点を備えた4分の3円を形成している。この場合第1の停止点は、典型的には、二次元の移動軌道に沿った周期的な移動の前側の反転点を形成している。4分の3円の形態の移動軌道の使用は、加工ビームと接合すべき材料との間における相互作用時間のポジティブな変化を達成するために好適であることが判明している。4分の3円の形態の移動軌道では、典型的には、第1の停止点においても第2の停止点においても、二次元の移動軌道の非連続的な方向変化が行われる。
【0030】
好適な変化形態では、加工ビームの出力は、移動軌道に沿った周期的な移動時に変化させられる。移動軌道に沿った周期的な移動に、加工ビームの出力の(場所に依存した)制御が重畳されると、好適であることが証明されている。それというのは、このようにすると、追加的に、高温亀裂発生および/または孔形成に影響を及ぼすための、材料固有の要求に対応することができるからである。このとき加工ビームの出力は、典型的には、加工ビームを発生させるためのビーム源、特にレーザビーム源が提供する可能な最大出力を起点として、減じられる、もしくは絞られる。可能な最大出力は、例えば約500W~約10kWのオーダにおける出力であってもよい。加工ビームの出力の制御は、移動軌道と同様に、送り方向もしくは中心軸線に対して対称にまたは非対称に行うことができる。特に中心軸線に対して対称の移動軌道は、非対称の出力推移を有することができ、または逆の形態も可能である。
【0031】
発展形態では、加工ビームは、停止点において最大の出力を有している。言い換えれば、加工ビームの出力は、二次元の移動軌道に沿った他の点においては、それよりも大きな出力を有していない。特に、停止点における(最大の)出力は、ビーム源を用いて最大に発生可能な出力に合致することができる。典型的にはシーム中心の領域に位置している停止点における可能な最大出力の提供は、シーム中心の領域における熱の所望の提供を可能にし、このことは典型的には、溶接結果に対してポジティブな影響を及ぼす。
【0032】
発展形態では、溶接シームは、接合すべき両ワークピースの間において隅肉シームまたはオーバラップシームを形成する。接合すべき両ワークピースが互いにほぼ平行に方向付けられている突合せシームとは異なり、隅肉シームでは、力の流れが強く変向される。したがって場合によっては、特に、動的な荷重が加えられた場合に、溶接シームの強度に不都合な影響を及ぼす大きな切欠き効果が発生することがあり、このようなことは、ここに記載された方法によって回避されることが望まれている。オーバラップシームでは、接合すべき両ワークピースは、通常、互いに平行に方向付けられていて、かつ溶接シームの領域において互いにオーバラップしている。オーバラップシームにおいても、例えば進入溶接深さに関して溶接エラーが発生することがあり、このような溶接エラーは、さらに上に記載された方法を用いて、特に位置制御された、移動軌道に沿って可変の出力設定との関連において低減することができる。
【0033】
本発明はまた、コンピュータプログラム製品にも関し、このコンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラムがデータ処理設備において実行される場合に、上に記載された方法のすべてのステップを実施するように形成されている。データ処理設備は、例えば、少なくとも2つのワークピースを接合するための装置の制御装置であってもよく、この制御装置は、コンピュータまたはこれに類したものの形式で実現されている。
【0034】
本発明の別の態様は、冒頭に述べた形式の装置に関し、この装置では、制御装置は、好ましくは二次元の移動軌道を生ぜしめるためにビーム変向装置を制御するように形成もしくはプログラミングされており、移動軌道は、横方向における2つの反転点の間に少なくとも1つの停止点を有していて、該停止点において、横方向における周期的な移動の速度成分が0である。少なくとも1つの停止点において、好ましくは、二次元の移動軌道の非連続的な方向変化が行われる。加工ビームを移動させるための移動装置としては、例えば、加工ヘッドが固定されているロボットまたはこれに類したものが働くことができる。加工ヘッドは、移動装置を用いて、例えば位置固定のワークピースに対して相対的に移動させることができ、これによって送り方向における相対移動を(重畳させられた周期的な移動なしに)生ぜしめることができる。重畳させられた周期的な移動は、例えば走査装置として、特にレーザ走査装置として形成されていてもよいビーム変向装置を用いて生ぜしめることができる。
【0035】
1つの実施形態では、加工ビームを変向させるためのビーム変向装置は、少なくとも2つの走査ミラーを有している。互いに垂直な2つの軸線もしくは方向に沿って、迅速な振動移動を実施するためには、別個に駆動制御可能な2つの走査ミラーを使用することが、好適であることが証明されている。両走査ミラーの回転軸線は、特に互いに垂直に方向付けられていてもよい。加工ヘッドは、例えばロボットの形態の移動装置を用いて次のように、すなわち、両走査ミラーのうちの一方の走査ミラーの回転軸線が、常に、現在の送り方向に対して平行に延びていて、これに対して第2の走査ミラーの回転軸線が横方向に、つまり送り方向に対して垂直に方向付けられているように、回転させられることができる。しかしながら回転軸線のこのような方向付けおよび2つの走査ミラーの使用は、必ずしも必要なことではない。
【0036】
本発明の別の利点は、明細書および図面に記載されている。同様に、上に述べられた、かつなおさらに記載される特徴は、それぞれ単独でも、または任意の組合せにおける複数の形態でも、使用することができる。所望のかつ記載された実施形態は、排他的なリストとして理解されるべきではなく、むしろ本発明を説明するための例示的な特徴を有しているものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】溶接シームを形成するために、レーザ加工ヘッドが送り方向に沿って移動させられ、かつレーザビームが両ワークピースに方向付けられる、2つのワークピースを接合するための装置の1実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】
図2aおよび
図2bは、送り方向における移動に重畳させられた、送り方向に対して垂直な横方向における一次元の移動軌道に沿ったレーザビームの周期的な移動を示す、軌跡線図(Ortsdiagramm)および時間・速度線図である。
【
図3】
図3aおよび
図3bは、二次元の円形の移動軌道に沿ったレーザビームの周期的な移動時における、軌跡線図および時間に依存したレーザ出力を示す線図である。
【
図4】
図4aおよび
図4bは、2つの円弧形状の軌道部分を有していて、両軌道部分が、横方向における周期的な移動の速度成分が0である1つの停止点において衝突する移動軌道を示す、
図3aおよび
図3bと同様な線図である。
【
図5】
図5aおよび
図5bは、移動軌道が追加的に半円形状の軌道部分を有していて、この軌道部分が両円弧形状の軌道部分を接続している実施形態を示す、
図4aおよび
図4bと同様な線図である。
【
図6】
図6aおよび
図6bは、移動軌道が2つの停止点を備えた4分の3円を形成している実施形態を示す、
図3aおよび
図3bと同様な線図である。
【0038】
図面の以下の記載において、等しいもしくは機能が等しい構成部材に対しては、同一符号が使用される。
【0039】
図1には、2つのワークピース2a,2bをレーザビーム3の形態の加工ビームを用いて接合するために装置1の構造が例示されている。装置1は、レーザビーム3を発生させるために、例えば、例えばNd:YAGレーザ、ダイオードレーザ、ファイバレーザ・・・である固体レーザの形態の、レーザ源4の形態のビーム源を有している。レーザビーム3は、図示の例では導光ファイバを用いて加工ヘッド5に供給され、この加工ヘッド5は、レーザビーム3を両ワークピース2a,2bに方向付ける。加工ヘッド5は、図示の例では移動装置6を用いて、図示の例では位置固定に配置されている接合すべき両ワークピース2a,2bに対して相対的に移動させられる。移動装置6は、例えば、加工ヘッド5が取り付けられている溶接ロボットまたはこれに類したものであってもよい。加工ヘッド5、ひいてはレーザビーム3は、
図1に示された例では、XYZ座標系のY方向と合致する送り方向Yに沿って移動させられる。
【0040】
送り方向Yに沿った移動時に、
図1に示された例では、両ワークピース2a,2bに焦点合わせされたレーザビーム3を用いて、いわゆる隅肉シームの形態の溶接シーム7が形成される。このような隅肉シームでは、しかしながらまたオーバラップシームでは、(一定の)送り方向Yに沿ったレーザビーム3の移動時に、溶接シーム7に沿った亀裂形成が発生し得ることが判明している。このことは特に、両ワークピース2a,2bが、高温亀裂に対して敏感な材料から形成されている場合、または特定のワークピース材料の組合せから成る混合結合部を互いに溶接することが望まれている場合に言える。高温亀裂の形成を可能な限り回避するために、送り方向Yに沿った(図示の例では直線的な)移動に、以下において詳しく記載する、レーザビーム3の周期的な移動が重畳される。
【0041】
図1に示された例では、加工ヘッド5は、走査装置8の形態のビーム変向装置を有しており、この走査装置8は、第1および第2の走査ミラー10a,10bを含んでいる。両走査ミラー10a,10bは、所属の回転駆動装置11a,11bを用いて2つの回転軸線を中心にして回転可能であり、両回転軸線は、図示の例ではXYZ座標系のX方向もしくはY方向と合致している。走査装置8へのビーム路には、対物レンズ9が続いており、この対物レンズ9は、追加的にレーザビーム3の焦点合わせを行い、これによって走査装置8によって変向されたレーザビーム3を、溶接シーム7の領域において焦点合わせすることができる。
図1に示された隅肉シームの形態の溶接シーム7の形成時に、レーザビーム3は、
図1に示されているのとは異なり、通常垂直にではなく、両ワークピース2a,2bに関してZ方向に対して角度を成して方向付けられ、このことは例えば冒頭において引用された独国特許出願公開第102013219220号明細書に記載されており、この明細書の記載は、その全体を引用することによって本出願に含まれる。
【0042】
装置1は、走査装置8を、より正確に言えば両走査ミラー10a,10bの回転駆動装置11a,11bを制御するため、および移動装置6を駆動制御するための制御装置13をも有している。制御装置13はまた、レーザ源4を制御するため、特にレーザ源4の(現在の)レーザ出力PLを制御するためにも働く。
【0043】
制御装置13は、回転駆動装置11a,11bを、両走査ミラー10a,10bがそれぞれの回転軸線X,Yを中心にして回転させられ、これによって送り方向Yにおけるレーザビーム3の移動に加工ヘッド5の移動によって追加的な周期的な(振動する)移動が重畳されるように駆動制御するために、形成されている、もしくはプログラミングされている。
【0044】
送り方向Yに対して垂直な横方向Xにおいて延びている一次元の移動軌道12に沿って延びる周期的な移動の一例が、
図2aに示されている。
図2aにおいて認識できるように、レーザビーム3もしくは移動軌道12は、もっぱら横方向Xにおける振動移動を実施する。レーザビーム3の閉鎖された移動軌道12は、ビーム変向装置8によって生ぜしめられ、このとき
図2aにおいて、送り方向Yに沿った移動は考慮されていない。移動軌道12は、横方向Xにおける周期的な移動の第1の反転点である、
図2aに示された第1の点P1から、横方向Xにおける周期的な移動の第2の反転点である第2の点P2を介して、その位置が第1の点P1と合致している点P3へと戻る。
【0045】
図2bには、移動を送り方向Yに対して垂直な横方向Xにおいて行う第2の走査ミラー10bの振動速度V
Oが示されており、このとき
図2bに示された時点t
1,t
2,t
3は、
図2aに示された、移動軌道12に沿った3つの点P1,P2,P3に相当している。
図2bにおいて認識できるように、図示の例では、振動速度V
Oは、最大振動速度V
O,MAXと、それぞれの反転点P1~P3において得られる最低振動速度V
O,MIN=0との間において変動する。
【0046】
図3aおよび
図3bには、レーザビーム3が二次元の円形の移動軌道12に沿って延びる周期的な移動の一例が示されている。円形の移動軌道12では、(ベクトルの)振動速度V
Oの方向は、位置に依存してかつ連続的に変化し、これに対して
図3bに示された、振動速度V
Oの値V
Oは、一定のままである。レーザ源4の出力P
Lもまた、
図3bに示された例では、一定のままであり、かつ最大に可能なレーザ出力(つまりP
L=100%)に相当している。
【0047】
発明者は、溶接シーム7に沿った高温亀裂の形成に関して、
図2aおよび
図2bに示された直線的な、もしくは位置・時間線図において制限波形状の移動軌道12では、かつ
図3aおよび
図3bに示された円形の移動軌道12では、最適な結果を得ることができない、ということを認識した。
【0048】
これとは異なり、レーザビーム3の、重畳された周期的な移動が、閉鎖された移動軌道12に沿って行われ、この移動軌道12が、
図4aに例示されている少なくとも1つの停止点Hを有している場合に、隅肉シーム7における高温亀裂の形成を明らかに低減させることができる。
図4aに示された移動軌道12は、横方向Xにおいて、停止点Hを含む中心軸線Mに対して対称に延びており、この中心軸線Mは、図示の例では、それに沿って送りが行われるY軸線と合致している。
図4aに示された中心軸線Mは、
図1に示された溶接シーム7のシーム中心Nに相当しており、すなわち移動軌道12の、
図4aに示された変位(Auslenkung)は、溶接シーム7のシーム中心Nを起点として(正および負の)X方向において、もしくは横方向Xにおいて行われる。
【0049】
図4aには、5つの点P1~P5が示されており、これらの点P1~P5はそれぞれ、二次元の移動軌道12に沿った周期的な移動の反転点を形成している。横方向Xにおける周期的な移動の左側の反転点を形成している第1の点P1を起点として、移動軌道12は、4分の1円の形態の第1の円弧14aに沿って、中心軸線Mの方向において延びている。第1の円弧14aは中心軸線Mにおいて、停止点Hに相当する第2の点P2において終端している。第2の点P2もしくは停止点Hは、移動軌道12に沿った周期的な移動の、送り方向Yにおいて前側の反転点を形成している。停止点Hを起点として移動軌道12は、同様に4分の1円を形成している第2の円弧14bに沿って、中心軸線Mに対して対称に第3の点P3に至るまで延びており、この第3の点P3は、横方向Xにおける移動軌道12の右側の反転点を形成している。第2の円弧14bの円の中心点M2は、同様にX軸に位置していて、かつ円の中心点M2のX位置は、移動軌道12に沿った第3の点P3のX位置に相当している。両円形の軌道部分14a,14bの半径Rは、約0.1mm~約2.5mmのオーダで、特に約0.5mmであってもよい。
【0050】
図4aに示された移動軌道12では、停止点Hにおいて、非連続的な方向変化を伴う移動反転が行われ、すなわち移動軌道12は、停止点Hにおいて屈曲部を有している。相応に振動速度V
Oは、より正確に言えば、送り方向Yにおける振動速度V
Oの速度成分V
O,Yは、不連続性(Unstetigkeit)を有している。すなわち停止点Hへの第1の円弧形状の軌道部分14aに沿ったレーザビーム3の移動時に、移動軌道12は、正の符号を備えた送り方向Yにおける速度成分V
O,Yを有している(+V
O,Y)。停止点Hを起点として第2の円弧形状の軌道部分14bに沿ったレーザビーム3の軌道移動時に、送り方向Yにおける速度成分は、負の符号を(しかしながら同一の値を)有している(-V
O,Y)。
図4aに示された移動軌道12では、停止点Hにおいて2回目の通過(右から左に向かって)が行われ(点P4)、このときY方向における速度成分V
O,Yの符号は、相応に逆になる。
図4aにおいて同様に認識できるように、両円弧形状の軌道部分14a,14bは、停止点Hへの到達時に、もっぱら送り方向Yにおける速度成分-V
O,Yもしくは+V
O,Yを有しているが、しかしながらX方向において小さくなる速度成分V
O,Xを有している。それというのは、両円弧形状の軌道部分14a,14bの接線(Tangente)ひいては停止点Hにおける速度ベクトルV
Oは、Y方向において示しているからである。
【0051】
図4bには、
図4aの移動軌道12に沿ったレーザビーム3の移動時におけるレーザ出力P
L(最大レーザ出力の%表示)と時間との関係が示されている。
図4bから認識できるように、レーザ出力P
Lは停止点Hにおいて最大(100%)であり、このレーザ出力P
Lは、例えば約5kWのオーダにあり、かつ右側の反転点P3において最小であり、これに対してレーザ出力P
Lは、左側の反転点P1もしくはP5において最大値の80%に下降している。したがって、移動軌道12自体は中心軸線Mに対して対称に延びているにもかかわらず、レーザ出力P
Lの出力推移(Leistungsprofil)は、中心軸線Mに対して非対称である。レーザ出力P
Lの、中心軸線Mに対して非対称の推移は、例えば隅肉シームの溶接時に好適である。それというのは、この場合中心軸線Mの一方の側において、他方の側におけるよりも多くのワークピース材料が溶融されねばならないからである。
【0052】
図5aには、
図4aに示された移動軌道12とは、円弧形状の軌道部分14a,14bの両終点P1,P3が半円形状の軌道部分15によって互いに接続されていることによって異なっている、二次元の移動軌道12の軌跡線図が示されており、半円形状の軌道部分15は、終点P1,P3を起点として送り方向Yとは逆に、つまり負のY方向において、移動軌道12の、送り方向Yにおいて後ろ側の反転点P2へと延びている。半円形状の軌道部分15の半径Rは、移動軌道12の両円弧形状の軌道部分14a,14bの半径Rに相当していて、かつ図示の例では約R=0.5mmである。このことから分かるように、
図5aに示された移動軌道12では、特定の材料組合せにおいて、
図4aに示された移動軌道12に対して改善された溶接結果を得ることができる。
図1には、送り方向における移動(送り速度V
Wを備えた)と、
図5aに示された移動軌道12に沿った重畳された周期的な移動とから成っている、溶接シーム7に沿ったレーザビーム3の移動と、停止点Hとが示されている。
【0053】
図5bには、
図4bと同様に、
図5aの移動軌道12に沿った移動時におけるレーザビーム3の、時間に依存して変化する出力P
Lが示されている。
図5bから認識できるように、レーザ出力P
Lは、停止点H(P4もしくはt
4に相当)において最大(100%)であり、送り方向Yにおいて後ろ側の反転点P2において最小(約70%)になり、これに対してレーザ出力P
Lは、左側もしくは右側の反転点P1;P3において最大値P
MAXの80%である。横方向Xにおける反転点P1,P3が得られる時点t
1,t
3の間において、出力P
Lは、直線的にランプの形式で、送り方向Yにおける後ろ側の反転点P2に相当する時点t
2における出力P
Lの最小値へと減じられる、もしくは高められる。相応に、横方向Xにおける両反転点P3,P5に相当する時点t
3と時点t
5との間においても、出力P
Lはランプの形で、最大出力P
MAXに高められる、もしくは減じられる。
【0054】
図6aには、
図4aおよび
図5aに示された移動軌道12とは異なり、溶接シーム7のシーム中心Nに相当する中心軸線Mに対して非対称に延びている、二次元の移動軌道12が示されている。
図6aに示された二次元の移動軌道12は、4分の3円を形成しており、すなわちこの移動軌道12は、1つの円弧形状の軌道部分16と、円中心点P4を起点として延びている2つの直線の軌道部分17a,17bとを有しており、両軌道部分17a,17bは、円中心点P4を起点としてX方向もしくはY方向において、円弧形状の軌道部分16の両終点P1,P3へと延びている。
【0055】
図6aに示された軌道曲線12は、中心軸線Mに沿って、第1の停止点H1と第2の停止点H2とを有している。第1の停止点H1は、
図4aおよび
図5aに示された移動軌道12におけるように、周期的な移動の送り方向Yにおける前側の反転点P5を形成しており、このとき第1の停止点H1においては、二次元の移動軌道12の非連続的な方向変化が行われる。送り方向Yに延びている直線形状の軌道部分17aを介して第1の停止点H1に接続されている第2の停止点H2においても、移動軌道12の非連続的な方向変化が、90°の方向変化の形態で行われる。移動軌道12の、送り方向Yにおいて延びている全軌道部分17aに沿って、ひいては、両停止点H1,H2においても、横方向Xにおける周期的な移動の速度成分V
O,Xは、0に等しい。横方向Xにおいて延びている直線的な軌道部分17bでは、相応に、送り方向Yにおける移動軌道12の速度成分V
O,Yは、0に等しい。
図6aに示された移動軌道12も、接合すべきワークピース2a,2bの特定の材料組合せ時に、例えば高温亀裂臨界のアルミニウム合金における隅肉シームの場合に、好適であることが判明している。
【0056】
図6bには、レーザビーム3の、時間に依存する出力P
Lが示されており、このとき時点t1~t6は、
図6aに示された移動軌道12に沿った点P1~P6に相当している。
図6bにおいて同様に認識できるように、出力P
Lは、両停止点H1,H2において、かつ両停止点H1,H2の間における直線的な軌道部分17aに沿って、最大値P
MAXを有している。出力P
Lは、移動軌道12の、送り方向Yにおいて後ろ側の反転点P2において、20%の最小値に下降し、かつ横方向Xにおける両反転点P1,P3において30%の値を有しており、このとき、出力P
Lは、これらの点(すなわちP1とP2、もしくはP2とP3)の間において、それぞれ直線的に上昇する、もしくは直線的に下降する。出力P
Lの、
図6bに示された推移は、同様に、溶接プロセスに対する影響のために好適であることが証明されている。
【0057】
まとめると、さらに上において記載された形式で、溶融された容量への所望の影響を、特に隅肉シームの溶接時に、しかしながらまたオーバラップシームの溶接時にも、または他のシーム幾何学形状の溶接時に、得ることができる。特に、接合対を形成するワークピース2a,2bの間における結合の改善を達成することができる。ワークピース2a,2bの材料は、例えば、例えばボディ部材のために使用されるアルミニウム、またはアルミニウム合金であってもよい。
【0058】
もちろん、さらに上において記載された方法は、
図1に示された隅肉シーム7においてのみならず、例えば溶接が、
図1に示された両ワークピース2a,2bが互いにオーバラップしている領域における溶接シームに沿って行われることが望まれている場合、例えばオーバラップシームのような他の溶接シームにおいても好適に使用することができる。ここに記載された方法は、特に、さもないと通常問題なくレーザ溶接方法によって結合することができない、例えば銅とアルミニウムのような、異なった材料から成る2つのワークピース2a,2bの結合を改善するためにも使用することができる。レーザビームの形態の加工ビームの代わりに、場合によっては、例えばプラズマビームのような他の高エネルギビームも、溶接工程を実施するために使用することができる。