(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】システム、車両、ネットワークコンポーネント、装置、方法ならびに車両およびネットワークコンポーネントのためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220125BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20220125BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220125BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20220125BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20220125BHJP
H04W 4/40 20180101ALI20220125BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/01 A
G08G1/09 F
G08G1/09 V
G08G1/13
B60W40/02
H04W4/40
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020011605
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2020-01-28
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス プファードラー
(72)【発明者】
【氏名】イスラエル ゴンザレス バスケス
(72)【発明者】
【氏名】アーマド エル アッサード
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ライマン
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-095851(JP,A)
【文献】特開2015-001869(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155159(WO,A1)
【文献】米国特許第9649999(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26 ~ 21/36
G08G 1/00 ~ 1/16
B60W 40/00 ~ 40/076
H04W 4/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルート区間を決定するための車両(100;101)用の方法(10)であって、前記方法(10)は、
自動運転モードで前記車両(100;101)を操作するステップ(12)と、
例外的交通状況を特定するステップ(14)と、
前記例外的交通状況に関する情報を、移動通信システム(400)を利用してネットワークコンポーネント(200)に送信するステップ(16)と、
前記例外的交通状況を克服するためのルート区間についての運転命令に関する情報を、前記ネットワークコンポーネント(200)から受信するステップ(18)と、
前記方法(10)はさらに、部分的なルート区間に関する情報を受信するステップと、
を含み、
前記運転命令を受信するステップ(18)は、前記例外的交通状況を克服するための前記ルート区間に沿って前記車両(100)を遠隔操作するステップを含み、
完全な遠隔操作が行われる第1の期間中、前記方法(10)は、比較的高い第1のデータレートでビデオデータを送信するステップを含み、
部分的に遠隔操作が行われる第2の期間中、前記方法(10)は、比較的低い第2のデータレートでビデオデータを送信するステップを含
み、
部分的に遠隔操作が行われる前記第2の期間中、前記部分的なルート区間に沿って前記車両(100;101)を少なくとも部分的に自動的に誘導操縦することによって、前記遠隔操作が支援され、
前記方法(10)はさらに、前記第2の期間中にさらなる例外的交通状況が発生したケースでは、前記少なくとも部分的に自動的に誘導操縦することを中断するステップを含む、
方法(10)。
【請求項2】
前記方法(10)はさらに、前記例外的交通状況に関する情報に加え、前記車両(100;101)の環境モデルに関する情報、車両データに関する情報およびビデオデータに関する情報を、前記ネットワークコンポーネント(200)に供給するステップを含む、
請求項1記載の方法(10)。
【請求項3】
部分的に遠隔操作が行われる前記第2の期間中、前記方法(10)は、視覚的スナップショットという形でビデオデータを送信するステップを含む、
請求項1または2のいずれか1項記載の方法(10)。
【請求項4】
前記運転命令を受信するステップ(18)は、前記ネットワークコンポーネント(200)から前記ルート区間に関する情報を受信するステップを含み、
前記方法(10)はさらに、前記ルート区間に関する情報が前記車両(100)にとって適切であるか否かを検証するステップを含み、
前記方法(10)は、前記ルート区間に関する情報が前記車両(100)にとって適切であるケースでは、前記ルート区間に沿って前記車両(100;101)を自動的に操作するステップを含む、
請求項1から
3までのいずれか1項記載の方法(10)。
【請求項5】
車両(100;101)のルート区間を決定するためのネットワークコンポーネント(200)用の方法(20)であって、前記方法(20)は、
例外的交通状況に関する情報を、移動通信システム(400)を利用して前記車両(100;101)から受信するステップ(22)と、
前記例外的交通状況を克服するための前記ルート区間についての運転命令に関する情報を取得するステップ(24)と、
前記ルート区間についての前記運転命令に関する情報を前記車両(100;101)に送信し、前記例外的交通状況から脱するように前記車両(100;101)を遠隔操作するステップ(26)と、
前記方法(10)はさらに、部分的なルート区間に関する情報を受信するステップと、
を含み、
前記方法(20)はさらに、前記例外的交通状況に関する情報に加え、前記車両(100;101)の環境モデルに関する情報、車両データに関する情報およびビデオデータに関する情報を前記車両(100;101)から受信するステップを含み、
遠隔操作が行われる第1の期間中、前記方法(20)は、比較的高い第1のデータレートでビデオデータを受信するステップを含み、
遠隔操作が行われる第2の期間中、前記方法(20)は、比較的低い第2のデータレートでビデオデータを受信するステップを含
み、
部分的に遠隔操作が行われる前記第2の期間中、前記部分的なルート区間に沿って前記車両(100;101)を少なくとも部分的に自動的に誘導操縦することによって、前記遠隔操作が支援され、
前記方法(10)はさらに、前記第2の期間中にさらなる例外的交通状況が発生したケースでは、前記少なくとも部分的に自動的に誘導操縦することを中断するステップを含む、
方法(20)。
【請求項6】
前記運転命令に関する情報を取得するステップ(24)は、前記ルート区間に関する事前に記憶された情報を記憶装置から取り出すステップ、および/または、前記車両(100;101)から受信した環境情報に基づき前記ルート区間を決定するステップを含む、
請求項
5記載の方法(20)。
【請求項7】
車両(100;101)用の装置(30)であって、前記装置(30)は、
移動通信システム(400)において通信するように構成された1つまたは複数のインタフェース(32)と、
前記1つまたは複数のインタフェース(32)を制御するように構成された制御モジュール(34)と、
を含み、前記制御モジュール(34)はさらに、請求項1から
4までのいずれか1項記載の方法(10)を実施するように構成されている、
装置(30)。
【請求項8】
ネットワークコンポーネント用の装置(40)であって、前記装置(40)は、
移動通信システム(400)において通信するように構成された1つまたは複数のインタフェース(42)と、
前記1つまたは複数のインタフェース(42)を制御するように構成された制御モジュール(44)と、
を含み、前記制御モジュール(44)はさらに、請求項
5または
6記載の方法(20)を実施するように構成されている、
装置(40)。
【請求項9】
請求項
7記載の装置(30)を含む車両(100;101)。
【請求項10】
請求項
8記載の装置(40)を含むネットワークコンポーネント(200)。
【請求項11】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて前記コンピュータプログラムが実行されたときにとき、請求項1から
6までのいずれか1項記載の方法(10、20)を実施するためのプログラムコードを有する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、車両、ネットワークコンポーネント、装置、方法ならびに車両およびネットワークコンポーネントのためのコンピュータプログラムに関し、より具体的には、ただし排他的ではなく、例外的交通状況を克服するために車両を遠隔操作するコンセプトに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2018/0322775号明細書には、自律車両強化システム(AVES)および輸送網における仮想または現存の自律車両フリートを監視および管理し、ユーザに自律車両を配車するための方法が記載されている。AVESは、AVES中央オペレーションセンタ(COC)を含み、これは自律車両内に設置されたAVES車両機器およびユーザによりアクセス可能なコンピュータデバイスにインストールされたAVESアプリケーションと通信する。AVESは、自律車両の状態を監視し、自律車両の地理的分布を最適化して、サービスを要求するユーザに対する自律車両の割り当てを最適化することにより、輸送網の稼働効率を改善する。
【0003】
独国特許出願公開第102015225241号明細書には、ある車両が前方を走行する他の車両の軌跡を自身の所望の軌跡と比較する方法が記載されている。それらの軌跡の類似レベルが十分に高ければ、所望の軌跡を追従するために自動運転が用いられる。相違が大きければ、手動運転を用いることができる。独国特許出願公開第102015225242号明細書には、偵察車両により基準軌跡を決定するコンセプトが開示されている。この基準軌跡を後続車両に供給することができる。軌跡の品質によって、その軌跡が後続車両によって用いられるのか否かが最終的に決定される。独国特許出願公開第102015213743号明細書にも、偵察車両により軌跡を決定するコンセプトが開示されている。偵察車両と後続車両の環境の類似性によって、偵察車両の軌跡を再利用するのか否かを決定することができる。独国特許出願公開第102015225238号明細書には、偵察車両と後続車両の軌跡の類似性および環境の類似性を評価することが開示されている。相違が閾値を超えたケースでは、安全運転モードをアクティベートすることができる。
【0004】
米国特許出願公開第2017/0045885号明細書には、自律乗用車のためのコンピュータデバイス、システムおよび方法が記載されている。予期しない運転環境を識別することができる。車両に配置された1つまたは複数のセンサから受信した予期しない運転環境に基づく情報を、リモートサーバを利用して遠隔のオペレータに送信することができる。1つまたは複数の車両システムに関して遠隔のオペレータにより送信された命令を受信することができる。この命令を、1つまたは複数の車両システムに送信して実行させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
慣用のコンセプトは、自動化車両の管理および編成を考慮している。しかしながら、完全に自動化された運転アルゴリズムによって解決するのが困難な交通状況がある。自動運転について例外的交通状況を克服するための改善されたコンセプトが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態は、例えば障害物が通常の経路中にあるならば、自動運転機構によっても解決できない交通状況がある、という知見に基づいている。例えば、ある物体(駐車中/積卸し中の車両)が一方通行路を塞いでいるならば、その車両を追い越す手立てとして、短い区間、歩道上を走行しなければならない場合がある。しかしながら通常の自動運転モードの場合には、歩道上を走行することを許可してはならない。実施形態は、以下の知見に基づいている。すなわち、かかる例外的交通状況が検出されたならば、ネットワークコンポーネントとの通信によってこの状況を解決することができ、例えば遠隔操作運転に切り替えることにより、かつ/またはこの交通状況を解決するルート区間に関する命令を受信することにより、解決することができる。
【0007】
実施形態によれば、ルート区間を決定するための車両用の方法が提供される。この方法は、自動運転モードで車両を操作すること、および例外的交通状況を特定することを含む。この方法はさらに、例外的交通状況に関する情報を、移動通信システムを利用してネットワークコンポーネントに送信することを含む。この方法はさらに、例外的交通状況を克服するためのルート区間についての運転命令に関する情報を、ネットワークコンポーネントから受信することを含む。運転命令を受信することは、例外的交通状況を克服するためにルート区間に沿って車両を遠隔操作することを含む。実施形態によれば、自動運転にとって予期しない交通状況が発生したケースでは、ネットワークにより支援されたルートの適合を実現することができる。実施形態によれば、予期しない交通状況が発生したケースでは、自動運転モードから遠隔操作運転モードへ切り替え可能にすることができる。次いで遠隔オペレータまたは遠隔運転者が、この交通状況から脱するように車両を遠方で操舵することができる。
【0008】
この方法はさらに、例外的交通状況に関する情報に加え、車両の環境モデルに関する情報、車両データに関する情報、およびビデオデータに関する情報を、ネットワークコンポーネントに供給することを含む。実施形態によれば、車両からのデータ、例えば環境データ、ビデオデータおよびセンサデータの供給を通して、遠隔操作を実現することができ、遠隔オペレータは、車両の交通状況の詳細な描写を有することができるようになる。
【0009】
一部の実施形態によれば、完全に遠隔操作が行われる第1の期間中、この方法は、比較的高い第1のデータレートでビデオデータを送信することを含み、部分的に遠隔操作が行われる第2の期間中、この方法は、比較的低い第2のデータレートでビデオデータを送信することを含む。実施形態によれば、ビデオデータレートの適合が実現され、その際に遠隔操作の最初のフェーズ中または期間中は、データレートを後続のフェーズよりも高くすることができる。実施形態によれば、遠隔操作運転における効率的なビデオデータレートの適合を実現することができる。
【0010】
例えば、部分的に遠隔操作が行われる第2の期間中、この方法は、視覚的スナップショットという形でビデオデータを送信することを含む。例えば、所定の(部分的な)ルート区間中、障害物または複雑な状況が見込まれなければ、完全なビデオデータストリームをもっと粗いタイムスケールのスナップショットに置き換えることによって、データレートを低減することができる。
【0011】
この方法はさらに、部分的なルート区間に関する情報を受信することを含むことができる。部分的な遠隔操作が行われる第2の期間中、部分的なルート区間に沿って車両を少なくとも部分的に自動的に誘導操縦することによって、遠隔操作を支援することができる。この場合にこの方法はさらに、第2の期間中にさらなる例外的交通状況が発生したケースでは、少なくとも部分的に自動的な誘導操縦を中断することを含むことができる。かくして1つまたは複数の自動運転区間によって、遠隔操作を支援することができる。それらの区間中は遠隔操作を、より僅かなデータしか必要としない監視モードにあるものとすることができる。実施形態によれば、遠隔操作と自動運転とを組み合わせることによって、データレートの低減を実現することができる。
【0012】
運転命令を受信することは、ルート区間に関する情報をネットワークコンポーネントから受信することを含むことができる。この方法はさらに、ルート区間に関する情報が車両にとって適切であるか否かを検証することを含むことができる。この方法は、ルート区間に関する情報が車両にとって適切なケースであれば、そのルート区間に沿って車両を自動運転することを含むことができる。実施形態によれば、提案されたルート区間が、例えば車両の長さ、幅、重量、形式など、車両の要求に適しているか否かを、その車両において検証することができる。
【0013】
実施形態によればさらに、車両に対するルート区間を決定するためのネットワークコンポーネント用の方法が提供される。この方法は、例外的交通状況に関する情報を、移動通信システムを利用して車両から受信することを含む。この方法はさらに、例外的交通状況を克服するためのルート区間についての運転命令に関する情報を取得すること、およびルート区間についての運転命令に関する情報を車両に送信し、例外的交通状況から脱するように車両を遠隔操作することを含む。実施形態によれば、少なくとも部分的な遠隔操作により例外的交通状況を克服する際に、ネットワークコンポーネントが自動化車両を支援できるようになる。
【0014】
さらなる実施形態によれば、運転命令に関する情報を取得することは、ルート区間に関する事前に記憶された情報を記憶装置から取り出すこと、および/または車両から受信した環境情報に基づきルート区間を決定することを含むことができる。実施形態によれば、車両の環境モデルに関する情報を利用することによって、遠隔操作を支援することができる。かかる情報によって、いっそう効率的なデータ通信を実現することができる。
【0015】
この方法はさらに、例外的交通状況に関する情報に加え、車両の環境モデルに関する情報、車両データに関する情報、およびビデオデータに関する情報を、車両から受信することを含むことができる。実施形態によれば、上述の情報を入手できることによって、車両の完全な遠隔操作運転を実現することができる。データを入手できることから、遠隔オペレータは実際の運転者と同様の経験を有することができる。
【0016】
上述の記載で概略を述べたように、一部の実施形態によれば、遠隔操作が行われる第1の期間中、この方法は、比較的高い第1のデータレートでビデオデータを受信することを含むことができ、遠隔操作が行われる第2の期間中、この方法は、比較的低い第2のデータレートでビデオデータを受信することを含むことができる。ビデオデータレートを、遠隔操作のニーズに適合させることができる。例えば、あまりクリティカルでないルート区間であれば、自動運転を利用して、ただし遠隔オペレータによってそれを監視しながら、それを解決することができる。したがって実施形態によれば、遠隔監視される自動運転を実現することができる。
【0017】
実施形態によれば、車両用の装置も提供される。車両の装置は、移動通信システムにおいて通信するように構成された1つまたは複数のインタフェースを含む。車両の装置はさらに、1つまたは複数のインタフェースを制御するように構成された制御モジュールを含む。この制御モジュールはさらに、本明細書で説明する方法のうち1つの方法を実施するように構成されている。同様に実施形態によれば、ネットワークコンポーネント用の装置が提供され、この装置は、移動通信システムにおいて通信するように構成された1つまたは複数のインタフェースを含む。ネットワークコンポーネントの装置はさらに、1つまたは複数のインタフェースを制御するように構成された制御モジュールを含む。この制御モジュールはさらに、本明細書で説明する方法のうち1つの方法を実施するように構成されている。
【0018】
さらなる実施形態は、車両の装置の実施形態を含む車両ならびにネットワークコンポーネントの装置を含むネットワークコンポーネントである。
【0019】
実施形態によればさらにコンピュータプログラムが提供され、このコンピュータプログラムは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいてこのコンピュータプログラムが実行されたときに、上述の方法のうち1つまたは複数の方法を実施するためのプログラムコードを有する。さらなる実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体であって、このコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントによって実行されたときに、本明細書で説明した方法のうち1つの方法をコンピュータに実行させる命令を記憶している。
【0020】
その他のいくつかの特徴または態様について、単なる例示として装置または方法またはコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品の以下の非限定的な実施形態を用い、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】車両用の方法の1つの実施形態を示すブロック図である。
【
図2】ネットワークコンポーネント用の方法の1つの実施形態を示すブロック図である。
【
図3】車両用の装置および車両の実施形態、ネットワークコンポーネント用の装置およびネットワークコンポーネントの実施形態ならびにシステムの実施形態を示す図である。
【
図4】1つの実施形態における例外的交通状況を示す図である。
【
図5】1つの実施形態におけるルート区間の詳細を示す図である。
【
図6】1つの実施形態における例外の付加的な検出について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、いくつかの例示的な実施形態が示された添付の図面を参照しながら、様々な例示的な実施形態についてさらに十分に説明する。見やすくするため、図中、線、階層または領域の厚みが誇張されている場合もある。任意選択的なコンポーネントが、破線、鎖線または点線を用いて示されている場合もある。
【0023】
したがって例示的な実施形態は、様々な変形および択一的な形態を有することができるけれども、それらのうち複数の実施形態が例示として図面に示されており、本明細書で詳しく説明する。ただし、例示的な実施形態を開示された特定の形態に限定することは意図されておらず、それどころか例示的な実施形態は、本発明の枠内に入るあらゆる変形、等価物および代替をカバーするものである、という点を理解されたい。図面の説明を通して、同じ参照符号は同じまたは同様の部材を指している。
【0024】
本明細書で用いられる用語「または」は、(例えば「またはさもなければ」あるいは「または択一的に」など)別途示唆されていない限り、非排他的な「または」を指している。さらに本明細書では、複数の要素間の関係を記述するために用いられる言葉は、別途示唆されていない限り、直接的な関係または介在する要素の存在を含むよう、広く解釈されたい。例えば、ある要素が別の要素と「接続されている」または「結合されている」ものとして言及されたならば、その要素は他の要素と直接的に接続または結合されているかもしれないし、あるいは介在する要素が存在するかもしれない。これとは対照的に、ある要素が他の要素と「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」ものとして言及されたならば、介在する要素は存在しない。これと同様に、「の間に」、「の隣りに」および同類のものなどの言葉も同じように解釈されたい。
【0025】
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためにすぎず、例示的な実施形態の限定は意図されていない。本明細書で用いられる単数形の不定冠詞および定冠詞は、文脈によって別途明確に示唆されていない限り、複数形も同様に含むことが意図されている。さらに自明のとおり、用語「有する」、「有している」、「含む」または「含んでいる」は、本明細書で用いられる場合には、記載された特徴、完全体、ステップ、動作、要素、またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、コンポーネント、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【0026】
別途定義されていない限り、本明細書で用いられる(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を持つ。さらに自明のとおり、例えば一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術分野の文脈におけるそれらの意味と矛盾がない意味を持つものと解釈されるべきであり、本明細書で特に定義されていない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されるものではない。
【0027】
図1には、ルート区間を決定するための車両用の方法10の1つの実施形態のブロック図が示されている。方法10は、自律/自動運転モードで車両を操作すること12、および例外的交通状況を特定すること14を含む。方法10はさらに、例外的交通状況に関する情報を、移動通信システムを利用してネットワークコンポーネントに送信すること16を含む。この方法はさらに、例外的交通状況を克服するためのルート区間についての運転命令に関する情報をネットワークコンポーネントから受信すること18を含み、この場合、運転命令を受信すること18は、例外的交通状況を克服するためのルート区間に沿って車両100を遠隔操作することを含む。
【0028】
図2には、車両に対するルート区間を決定するためのネットワークコンポーネント用の方法20の1つの実施形態のブロック図が示されている。方法20は、例外的交通状況に関する情報を、移動通信システムを利用して車両から受信すること22を含む。方法20はさらに、例外的交通状況を克服するためのルート区間についての運転命令に関する情報を取得すること24を含む。方法20はさらに、ルート区間についての運転命令に関する情報を車両100に送信し、例外的交通状況から脱するように車両を遠隔操作すること26を含む。あとでさらに詳しく説明するように、運転命令に関する情報についての実施例は、遠隔制御センタ(遠隔操作運転)からの制御情報、予期しない交通状況を少なくとも部分的に克服するために既知である記憶された(事前に決定された)経路に関する情報、または車両を少なくとも部分的に手動ですら操作するための命令である。
【0029】
図3に示されているように移動通信システム400を例えば、Third Generation Partnership Project(3GPP)標準による移動通信ネットワークのうちの1つに相当させることができ、ここで用語「移動通信システム」は、移動通信ネットワークと同義的に用いられる。移動通信システムまたはワイヤレス通信システム400を、5th Generation(5GまたはNew Radio)の移動通信システムに相当させることができ、このシステムはミリ波技術を用いることができる。移動通信システムを例えば以下に相当させることができ、または移動通信システムは以下を有することができる。すなわち、Long-Term Evolution(LTE)、LTE-Advanced(LTE-A)、High Speed Packet Access(HSPA)、Universal Mobile Telecommunication System(UMTS)またはUMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN)、evolved-UTRAN(e-UTRAN)、Global System for Mobile communication(GSM)またはEnhanced Data rates for GSM Evolution(EDGE)network、GSM/EDGE Radio Access Network(GERAN)、あるいは以下の種々の標準による移動通信ネットワーク例えば、Worldwide Inter-operability for Microwave Access(WIMAX)network IEEE802.16またはWireless Local Area Network(WLAN)IEEE802.11、一般的には直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、広帯域CDMA(WCDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、空間分割多元接続(SDMA)ネットワークなど。
【0030】
サービスの提供を、基地局、トランシーバ、中継局またはUEなどのネットワークコンポーネントによって実行することができ、例えば複数のUEから成る1つのクラスタまたはグループにおけるコーディネートサービスの提供などである。ここでは、および以下では、ネットワークコンポーネントを、遠方で操作される車両または遠隔操作車両を制御する制御センタ(CC)とすることができる。例えばこれを、車両から取得されたデータ(例えばビデオストリーム)を車両のオペレータまたは遠隔運転者に表示するコンピュータシステムに相当させることができる。一般的にかかるCCを、アップリンク中のビデオデータおよびダウンリンク中の制御データまたは操舵データの待ち時間をできる限り短く維持する目的で、制御される車両のできる限り近くに配置することができる。一部の実施形態によれば、基地局を介して通信を実施することができ、基地局をCCと共に配置することができ、または基地局の近くに配置することができる。待ち時間および遅延時間をできる限り短く維持するために、シグナリングをCCから車両へダイレクトに、すなわち最短経路でルーティングすることができる。
【0031】
基地局トランシーバを、1つまたは複数のアクティブな移動トランシーバ/車両100と通信するように稼働させることができ、または構成することができ、さらに基地局トランシーバを、他の基地局トランシーバ、例えばマクロセル基地局トランシーバまたはスモールセル基地局トランシーバ、のサービスエリア内に、またはそれと隣接して、配置することができる。したがって実施形態によれば、2つまたはそれよりも多くの移動トランシーバ/車両100および1つまたは複数の基地局トランシーバを含む移動通信システム400を提供することができ、その際に基地局トランシーバは、例えばピコセル、メトロセル、またはフェムトセルのようなマクロセルまたはスモールセルを確立することができる。移動トランシーバまたはUEを、スマートフォン、セルフォン、ラップトップ、ノートブック、パーソナルコンピュータ、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、汎用シリアルバス(USB)スティック、自動車、車両などに相当させることができる。移動トランシーバを、3GPPの専門用語に従いユーザ機器(UE)またはモバイルと称することもできる。車両を任意の想定可能な輸送手段に相当させてもよく、例えば自動車、自転車、オートバイ、バン、トラック、バス、船、ボート、飛行機、列車、路面電車などに相当させてもよい。
【0032】
基地局トランシーバを、ネットワークまたはシステムの固定された部分または定置部分に配置することができる。基地局トランシーバを、遠隔無線ヘッド、伝送ポイント、アクセスポイント、マクロセル、スモールセル、マイクロセル、フェムトセル、メトロセルなどに相当させることができる。基地局トランシーバを、有線接続ネットワークのワイヤレスインタフェースとすることができ、これによってUEまたは移動トランシーバへの無線信号の伝送が可能となる。かかる無線信号を、例えば3GPPにより標準化された、または一般的には上記の記載で列挙されたシステムのうちの1つまたは複数に従った、無線信号に準拠させることができる。したがって基地局トランシーバを、NodeB、eNodeB、ベーストランシーバ基地局(BTS)、アクセスポイント、遠隔無線ヘッド、中継局、伝送ポイントなどに相当させることができ、これらをさらに遠隔ユニットと中央ユニットとに分割することができる。
【0033】
移動トランシーバ100を、基地局トランシーバまたはセルに対応づけることができる。用語「セル」とは、基地局トランシーバ、例えばNodeB(NB)、eNodeB(eNB)、遠隔無線ヘッド、伝送ポイントなど、により提供される無線サービスのサービスエリアのことを指す。基地局トランシーバは、1つまたは複数のセルを1つまたは複数の周波数レイヤにおいて稼働させることができ、一部の実施形態では1つのセルを1つのセクタに相当させることができる。例えばセクタを、遠隔ユニットまたは基地局トランシーバの周囲の所定の角度セクションをカバーする特性を提供するセクタアンテナを用いて達成することができる。一部の実施形態によれば、基地局トランシーバは、例えば3個または6個のセルを稼働させることができ、これらのセルは120°(3個のセルのケース)、60°(6個のセルのケース)の複数のセクタをそれぞれカバーする。基地局トランシーバは、セクタに分けられた複数のアンテナを稼働させることができる。以下では、1つのセルは、セルまたは同様のものを生成する1つのしかるべき基地局トランシーバを意味する場合もあり、1つの基地局トランシーバは、基地局トランシーバが生成する1つのセルを意味する場合もある。
【0034】
移動トランシーバ100は、互いにダイレクトに、すなわちいかなる基地局トランシーバも関与することなく、通信することができ、これはデバイス・トゥー・デバイス(D2D)通信とも呼ばれる。D2Dの一例は、車両間のダイレクトな通信であり、これはそれぞれ、ビークル・トゥー・ビークル通信(V2V)、802.11pを用いたカー・トゥー・カー、専用短距離通信(DSRC)とも呼ばれる。
【0035】
図3には、UE用または車両100用の装置30の1つの実施形態、ネットワークコンポーネント用の装置40の1つの実施形態、およびシステム400の1つの実施形態が示されている。UE/車両100用の装置30は、移動通信システム400において通信するように構成された1つまたは複数のインタフェース32を含む。装置30はさらに制御モジュール34を含み、これは1つまたは複数のインタフェース32に結合されており、1つまたは複数のインタフェース32を制御するように構成されている。制御モジュール34はさらに、本明細書で説明する方法10のうち1つの方法を実施するように構成されている。
【0036】
ネットワークコンポーネント200用の装置40は、移動通信システム400において通信するように構成された1つまたは複数のインタフェース42を含む。装置40はさらに制御モジュール44を含み、これは1つまたは複数のインタフェース42に結合されており、1つまたは複数のインタフェース42を制御するように構成されている。制御モジュール44はさらに、本明細書で説明する方法20のうち1つの方法を実施するように構成されている。装置40を、CC、基地局、NodeB、UE、中継局、または実施形態におけるネットワークエンティティをコーディネートする任意のサービスに含めることができる。ここで述べておきたいのは、用語「ネットワークコンポーネント」は、基地局、サーバ、CCなど、複数のサブコンポーネントを含むことができる、ということである。1つのさらなる実施形態は、装置30を含む車両100および/または装置40を含むネットワークコンポーネント200である。
【0037】
実施形態において、1つまたは複数のインタフェース32、42を、アナログまたはディジタルの信号または情報を取得、受信、送信または供給するための任意の手段に相当させることができ、例えば任意のコネクタ、コンタクト、ピン、レジスタ、入力ポート、出力ポート、導体、レーンなどに相当させることができ、これによって信号または情報を供給または取得することができる。インタフェースを無線または有線とすることができ、さらなる内部または外部のコンポーネントと信号、情報を通信すなわち送信または受信するように構成することができる。1つまたは複数のインタフェース32、42はさらに、移動通信システム400におけるしかるべき通信を可能にするコンポーネントを含むことができ、かかるコンポーネントは、トランシーバ(送信機および/または受信機)コンポーネントを含むことができ、例えば1つまたは複数のローノイズ増幅器(LNA)、1つまたは複数の電力増幅器(PA)、1つまたは複数のデュプレクサ、1つまたは複数のダイプレクサ、1つまたは複数のフィルタまたはフィルタ回路、1つまたは複数のコンバータ、1つまたは複数のミキサ、しかるべく整合された無線周波数コンポーネントなどを含むことができる。1つまたは複数のインタフェース32、42を1つまたは複数のアンテナに結合することができ、これらのアンテナを、任意の送信アンテナおよび/または受信アンテナ、例えばホーンアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、セクタアンテナなどに相当させることができる。アンテナを、規定された幾何学的セッティングで配置することができ、例えば均一なアレイ、直線的なアレイ、円形のアレイ、三角形のアレイ、均一なフィールドアンテナ、フィールドアレイ、これらの組み合わせなどで配置することができる。一部の実施例によれば、1つまたは複数のインタフェース32、42は、情報の送信または受信あるいは送信および受信の双方の目的を果たすことができ、ここで情報とは例えば、ケイパビリティに関する情報、アプリケーション要求、トリガ指示、リクエスト、メッセージインタフェースコンフィグレーション、フィードバック、制御命令に関する情報、QoS要求、QoSの経時変化、QoSマップなどである。
【0038】
図3に示されているように、個々の1つまたは複数のインタフェース32、42は、装置30、40において個々の制御モジュール34、44に結合されている。実施形態によれば、1つまたは複数の処理ユニット、1つまたは複数の処理デバイス、処理のための任意の手段、例えばプロセッサ、コンピュータ、またはしかるべく整合されたソフトウェアによって稼働させることのできるプログラミング可能なハードウェアコンポーネントなどを用いて、制御モジュール34、44を実装することができる。換言すれば、制御モジュール34、44の既述の機能を、同様にソフトウェアとして実装することもでき、その際にこのソフトウェアは、1つまたは複数のプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行される。かかるハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを含むことができる。
【0039】
図3にはシステム400の実施形態も示されており、このシステムは、UE/車両100、および装置40を含むネットワークコンポーネント/基地局200の実施形態を有する。実施形態によれば、通信すなわち送信、受信またはこれらの両方を、移動トランシーバ/車両100の間でダイレクトに、かつ/または移動トランシーバ/車両100とネットワークコンポーネント200(インフラストラクチャまたは移動トランシーバ、例えば基地局、ネットワークサーバ、バックエンドサーバなど)との間で、行うことができる。かかる通信は、移動通信システム400を用いることができる。かかる通信を、例えばデバイス・トゥー・デバイス(D2D)通信によってダイレクトに行うことができ、車両100のケースであれば、この通信はビークル・トゥー・ビークル(V2V)通信またはカー・トゥー・カー通信を含むこともできる。かかる通信を、移動通信システム400の規格を利用して実施することができる。
【0040】
実施形態によれば、1つまたは複数のインタフェース32、42を、移動通信システム400においてワイヤレスで通信するように構成することができる。そのようにする目的で無線リソースが用いられ、例えば周波数、時間、符号、および/または空間のリソースが用いられ、これらを基地局トランシーバとのワイヤレス通信のために、同様にダイレクトな通信のためにも、用いることができる。無線リソースの割り当てを、すなわちD2Dのためにどのリソースが使用され、どのリソースが使用されないのかの決定を、基地局トランシーバによって制御することができる。ここでは、および以下では、個々のコンポーネントの無線リソースを、無線キャリアにおいて考えられる任意の無線リソースに相当させることができ、それらは個々のキャリアにおいて同じまたは異なる粒度を用いることができる。無線リソースを、リソースブロック(LTE/LTE-A/LTE-unlicensed(LTE-U)などにおけるRB)、1つまたは複数のキャリア、サブキャリア、1つまたは複数の無線フレーム、無線サブフレーム、無線スロット、場合によっては個々の拡散係数を伴う1つまたは複数の符号シーケンス、1つまたは複数の空間リソース、例えば空間サブチャネル、空間プレコーディングベクトル、これらの任意の組み合わせなどに相当させることができる。
【0041】
例えばダイレクトなCellular Vehicle-to-Anything(C-V2X)において、ただしV2Xは少なくともV2V、V2インフラストラクチャ(V2I)などを含むが、3GPPリリース14以降による伝送を、インフラストラクチャによって管理することができ(いわゆるモード3)、またはUEにおいて実行することができる。
【0042】
図3には、上述の方法10および20も示されている。14において例外的交通状況が特定されたならば、12において車両100の装置30は車両100を自動モードで稼働させる。かかる例外的状況を、車両100において得られるルーティング情報またはマップ情報に従った予想からは予期されない、またはそれとは異なる任意の交通状況とすることができる。例えば道路が、他の車両、工事現場、事故、氾濫などによって塞がれる可能性がある。他の例外は、道路閉鎖、トンネル閉鎖、予期しない道路状態などの可能性がある。車両自体は、車両の環境のデータを捕捉する複数のセンサシステムを稼働させることができる。かかるデータは、ビデオデータ、撮像データ、レーダデータ、ライダデータ(光検出と測距)、温度データ、気圧データ、無線環境データ、他の車両から受信した情報などを含むことができる。このデータに基づき、自動運転のために割り当てられたルートとセンサデータとの間において、マッチングを実施することができる。一部の実施形態によれば、あとで詳述するように、捕捉されたデータを用いて車両の環境モデルが生成される。このモデルを車両の環境のディジタル表現とすることができ、これには場合によっては他の車両、物体、沿道のインフラストラクチャ、交通標識、歩行者などが含まれる。このモデルに基づき予期しない状況を検出することができ、例えば道筋で障害物が検出され、この障害物を通り抜けるならば、例えば歩道、対向車線など禁止エリアを通り抜けなければならないことになる。一部の実施形態によれば、例えば他の車両からのブロードキャストメッセージなどの交通メッセージの受信によっても、例外的状況を同様に特定することができる。
【0043】
さらに
図3に示されているように、次いで車両100は、16において例外的交通状況に関する情報を、移動通信システム400を利用してネットワークコンポーネント200に送信する。ネットワークコンポーネント200の視点から見ると、22において例外的交通状況に関する情報が車両100から受信される。24において、例外的交通状況を克服するためのルート区間についての運転命令に関する情報を、ネットワークコンポーネント200のところで取得することができる。最終的にそれぞれ、26において車両のためのルート区間についての運転命令に関する情報が送信され、18において車両のところで受信されて、車両100が例外的交通状況から脱するように遠隔操作される。
【0044】
実施形態によれば、スリムで部分的にさらに改善されたアップリンクおよびローカルで提案される経路に基づく遠隔操作運転のためのコンセプトを提供することができる。遠隔操作運転(TD)はますます関心を集めている。TDの主なコンセプトは、制御センタ(CC)によって遠方で運転される車両である。CCと車両との間は長い距離である可能性がある。これらは、無線通信システム(例えば5G、4Gなど)およびそのバックホールを介して接続されている。1つの実施形態によれば、完全自動運転車両(SAE(Society of Automotive Engineers)のレベル5(L5)車両とも称する)が停止させられる。例えば自動化車両は、状況を解釈することができないため、その車両のプラニングされたルートを続けることができない。
図4には、1つの実施形態における例外的交通状況が示されており、この場合、トラック(障害物500)が一方通行路を塞いでいる。
図4には、例外的状況の一例が示されており、この場合、自律運転車両100、101(L4/5)は、遠隔操作運転支援を必要とする。
【0045】
ここでは、車両100、101が自動化車両(L5)であるものとする。これらの車両は、それらのプラニングされたルートを継続する目的で、歩道を走行しなければならなくなる。実施形態によれば、TDによってこの状況の解決策がもたらされる。実施形態によれば、アップリンク(例えばハイブリッドアップリンク)におけるデータボリュームの制御に基づく遠隔操作運転のためのコンセプトが提供される。
【0046】
実施形態によれば、TDセッションがアクティブである間、データボリューム送信(アップリンク)を低減できるようにすることができる。
【0047】
これまでなされてきた評価は、自律車両はその車両がプラニングされたルートをもはや継続できないような状況に出くわす可能性がある、というものである。車両はあらゆる運転規則を厳守しなければならないことから、かかる状況のためには人間のオペレータのインタラクションが必要になる可能性があり、人間のオペレータであれば、この種のイベントを克服するために車両によってどのようなアクションを実施できるのかを解釈して決定できるであろう。
【0048】
図4には、トラック500が一方通行路を塞いでいる状況が描かれている。到来する車両V1、100およびV2、101は、この障害物500を追い越さなければならない自律車両(L4/5)である。このイベントを克服するために、すべての車両100、101は、それらの車両のプラニングされたルートを継続する目的で、歩道の上を走行しなければならなくなる。
【0049】
この場合、TDは、第1の車両V1、100のダイレクトな制御を開始することによって、助けを与えることができる。最初のTDセッションが車両100、V1によりCC200に対して要求され、2つのエンティティ間の初期段階のハンドシェークが確立されてから、車両100に要求されるのは、要求者、その目下のロケーションおよびその周囲の環境データをCC200が識別するのに役立つ最小のパラメータセットを供給することである。つまり車両100は、高速データストリームがレーダ画像、ライダデータおよびカメラデータを含んでいる可能性があるならば、アップリンク(UL)においてCC200へそれらのデータストリームのアップロードを開始する必要がある。
【0050】
遠隔制御を介して制御される車両は、高速データストリームをアップリンク(UL)においてCC200にアップロードしている。
図4の場合、ネットワークコンポーネント200は、基地局(BS)、CCおよび何らかのサーバ/メモリを含むものとする。上述の記載で概略を述べたように、実施形態によればこれらのコンポーネントを共に配置しなくてもよく、それぞれ異なるロケーションに配置してもよい。これらのコンポーネントを複数の物理的エンティティとして実装できるけれども、本明細書では用語「ネットワークコンポーネント200」は、これらのコンポーネントを1つの機能エンティティとしてまとめたものとする。車両に到達するまでにかかる何らかの運転命令の待ち時間、および車両からCCに送信される何らかのデータ(ビデオ、センサなど)の待ち時間に、CCと車両100との間の距離が関与する可能性がある。「ネットワークコンポーネント」と「コントロールセンタ」は、本明細書では同義として用いられる。
【0051】
遠方で操作される車両または遠隔操作車両により供給されるデータストリームは、レーダ画像、ライダおよびカメラのデータを含むことができる。すぐ近くを走行する自動車は、それらの車両周囲の同じ環境を「見ている」。このような冗長なデータが、ULにおける帯域幅のかなりの量を占めている。4Gなどの現行の技術の場合、ネットワークは高速のダウンリンク(DL)データレートと低速のULデータレートをサポートするように設計されたので、ULがボトルネックになると予想される。TDの場合にはこの逆であり、つまり高速のUL(センサデータ)と低速のDL(制御データ)となっている。待ち時間はこの場合も問題である。さらに自動車各々を、遠隔制御を介して手動で運転しなければならない。このことは、多くの運転者およびCCが必要とされることを意味する。1つの実施形態の場合、運転命令を受信すること18は、例外的交通状況を克服するためにルート区間に沿って車両を遠隔操作することを含む。本実施形態において方法10はさらに、例外的交通状況に関する情報に加え、車両100の環境モデルに関する情報、車両データに関する情報、およびビデオデータに関する情報を、ネットワークコンポーネント200に供給することを含む。同様に方法20はさらに、例外的交通状況に関する情報に加え、車両の環境モデルに関する情報、車両データに関する情報、およびビデオデータに関する情報を、車両100から受信することを含むことができる。
【0052】
環境モデルに関する情報によって、アップリンクにおける後続のビデオデータレートを低減することができる。遠隔操作運転のためにULにおいて通常必要とされる高速データレートを、実施形態において低減することができる。実施形態によれば、(例えばデータレートが低減された)車両データおよびビデオデータに関する情報を、例外的交通状況に関する情報に加えてネットワークコンポーネント200に供給することができる。
【0053】
車両100、101各々を、CC200における1人の運転者によって制御することができる。実施形態はさらに、CC200によって遠隔運転される経路が、以前に遠隔で運転された自動車からの経路とかなり重複している可能性がある、という知見に基づいている。したがって少なくとも一部の実施形態によれば、少なくとも部分的にルート情報に関する情報または例外的交通状況を解決する運転命令に関する情報が記憶されて、他の車両101のためにも同様に状況を解決するために、それらの情報をあとで再利用することができるようになる。実施形態によれば、経路またはルートに関する情報を記憶するための記憶装置またはメモリを、かかる情報を記憶することのできる任意のデバイスとすることができ、例を挙げると、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリドライブ、光学記憶媒体、磁気記憶媒体、ソリッドステートメモリ、任意の大容量記憶デバイスなどである。
【0054】
図5には、1つの実施形態におけるルート区間の詳細が示されている。
図5には、1つのTDセッション中の車両100とCC200との間の通信管理について、より詳細な図面が示されており、これによればフルULおよびスリムULからのデータパッケージレートの可能な切り替えが示されている。
図5には、
図4において紹介したものと同じコンポーネントを含む同じ状況が示されている。
【0055】
以下の実施形態では、TDセッションがアクティブである間、車両100が動作している段階に依存して、(ULにおける)データボリュームを低減することができる方法10について説明する。
図5には、4つの時点すなわちT
start、T
1、T
2およびT
endが描かれている。これらのポイントによって3つの期間が分け隔てられており、1つは開始期間T
start~T
1、1つは中間期間T
1~T
2、さらに1つは終了期間T
2~T
endである。
図5に示されているように、第1の期間は、歩道境界を越えて車両100を移動させる期間であり、第2の期間は、どちらかといえば直線的に歩道の上を通って車両100を移動させる期間であり、さらに第3の期間は、歩道境界を再び横切って車両100を道路上に戻す期間である。
【0056】
それぞれ異なる段階を識別することができ、それらの段階のいくつかにおいては、完全なアップリンクデータフローが必要とされ、他においてはスリムなアップリンクデータフローを利用することができる。実施形態によれば、ULにおいて多大な帯域幅を占有する冗長データの低減を前提として、CC200に供給されるデータレートの管理プロセスを提供することができる。実施形態は4Gなどの現行の技術を考慮することができ、この場合、ネットワークは高速のダウンロードデータレートと低速のアップロードデータレートをサポートするように設計されたので、ULがボトルネックになると予想される。
【0057】
遠隔操作のためにはULにおいて高速のデータレートが必要とされる可能性があり、現在の技術ではそのために設計することができない。一部の状況では、CC200において1人のオペレータによって車両各々を制御しなければならない場合もある。このことによって、待ち時間が引き起こされる可能性があり、さらに相手先ブランド名製造会社(OEM)のためのコストがかかる可能性がある。
【0058】
一部の実施形態によれば、制御センタは、受信した環境モデル(ドイツ語では”Umfeldmodell”、UMFとも)、車両データおよびビデオデータに基づき、(間接的または直接的な制御を介して)経路を提供することができる。車両100が自分自身の手段によって運転可能であるが、TD運転モードにあることを把握しているならば、それによってスリムなアップリンクデータレートフローをアクティベートすることができる。完全に遠隔操作が行われる第1の期間中、方法10は、比較的高い第1のデータレートで車両100からネットワークコンポーネント200へビデオデータを送信することを含むことができる。部分的に遠隔操作が行われる第2の期間中、方法10は、比較的低い第2のデータレートで車両100からネットワークコンポーネント200へビデオデータを送信することを含むことができる。ネットワークコンポーネント200の視点から見ると、遠隔操作が行われる第1の期間中、方法20は、比較的高い第1のデータレートでビデオデータを受信することを含み、遠隔操作が行われる第2の期間中、方法20は、比較的低い第2のデータレートでビデオデータを受信することを含む。
【0059】
第2の期間中に予期される可能性があるのは、車両はあたかも通常の道路状況において走行しているかのように同じルールを適用する、ということである。例えば、利用可能なすべての先進運転支援システム(ADAS)は、新たな経路において出現し得るさらなる危険な状況(予期せぬ歩行者の動き、新たな障害物の検出など)が生じたケースにおいて反応することができる。「スリム」ULを、環境モデルの更新された値を含む「物体」に関する情報、ビデオデータ、およびCC200に対する環境の視覚的「スナップショット」によって構成することができ、CC200は、「安全な」ポイントに達するまで、イベントを連続的に評価し、それに続く段階(第3の期間)において、車両100はフルULレートに戻り、それによってCC200は、障害物のないポジションにユニットを置いて、遠隔操作運転のセッションを終了させることができる。
【0060】
上述の記載で概略を述べたように、部分的に遠隔操作が行われる第2の期間中、方法10は、視覚的スナップショットという形でビデオデータを送信することを含むことができる。それらのスナップショットを、例えば100ms、200ms、500ms、1s、2s、5sごとに1枚の写真などというように、所定の時間レートでの写真とすることができる。
【0061】
例えば車両100は、部分的に遠隔操作が行われる第2の期間にわたり、部分的なルート区間に関する情報を受信することができる。この場合には、部分的なルート区間に沿って(例えば
図5における歩道に沿って)車両100を少なくとも部分的に自動的に誘導操縦することによって、遠隔操作が支援される。方法10はさらに、第2の期間中、例えば予期しない歩行者の動き、新たな障害物の検出など、さらなる例外的交通状況が発生したケースでは、少なくとも部分的に自動的に誘導操縦することを中断することを含む。
【0062】
セッションの最後に生成された経路を、イベントの地理的ロケーションに近いサーバに記憶させることができ、内部検証(妥当性チェック)が実施された後、他の車両101によって利用することができる。一部の実施形態によれば、運転命令を受信すること18は、ルート区間に関する情報をネットワークコンポーネント200から受信することを含む。方法10はさらに、ルート区間に関する情報が車両100にとって適切であるか否かを検証することを含むことができる。ルート提案の適合具合を見るために、例えば車両の高さ、幅、形式および重量を検証することができる。方法10は、ルート区間に関する情報が車両100にとって適切なケースであれば、そのルート区間に沿って車両100を自動的に操作することを含む。
【0063】
ネットワークコンポーネント200用の方法20における取得すること24は、ルート区間に関する事前に記憶された情報を記憶装置から取り出すこと、および/または車両100から受信した環境情報に基づきルート区間を決定することを含むことができる。次いでかかる情報を、第2の期間中、自律運転のために車両100に供給することができる。
【0064】
実施形態によれば、自動化されTD運転される車両100が直面している状況に応じて、ハイブリッドアップリンクを実現することができる。例えばスリムなアップリンクを利用することができ、このためには車両100からの高度に正確な環境モデルが必要とされるが、一部の状況ではCC200におけるビデオサポートが必要とされる可能性がある。したがって実施形態によればさらに、状況に応じてハイブリッドアップリンクを実現することができる。この場合も車両のダウンリンク制御のために、直接的な制御(遠隔運転)および間接的な制御(提案経路)を利用することができる。
【0065】
T1~T2のセグメント(第2の期間)中、すべてのセンサデータおよびビデオデータをCC200に送信する代わりに、実施形態によれば車両100は、自身の環境モデルに加え、カメラユニットからのスナップショット画像を規定された頻度レートでアップロードすることができる。
【0066】
手順を以下のように実装することができる。すなわち、
1.現行の道路規則によれば、プラニングされたルートを車両100が継続するのが許可されていないため、第1の自律車両(V1)、100が停止する。
2.車両100(V1)は、支援のために命令センタ(CC)200とコンタクトをとるトリガイベントを開始し、自身を遠隔操作運転モード(TDアクティブ)にセットする。
3.このイベントのために以前に生成された提案経路がローカルサーバに存在しなければ、車両100はCC200に接続される。
4.車両100(V1)は、環境モデル(UMF)、車両データおよびビデオデータをCC200へ送信する(フルUL)。
5.CC200は、TstartとT1との間においてフルULのデータを利用して、車両100(V1)を遠隔でポジショニングし、それによって本来のルートプランにおける障害物を取り除くことができ、検証された新たな区間経路を次の車両101(V2)が利用するために記憶させることができる。
6.CC200はスリムULに切り替わり、車両100(V1)が自身で(低減された速度で)T1とT2との間の距離を走行するのを監視する。このプロセス中、車両100は、新たな障害物の検出に起因して停止する場合もあり、このことが起きたならば、車両100はフルULに戻るように切り替わることができ、そのようにしてCC200は環境を評価することができる。車両100(V1)がT2に到達したならば、CC200は、次の車両101(V2)が利用するために、検証された新たな付加的な区間経路を続いて記憶することを始める(スリムULを、「周期的なスナップショット」に加えUMFおよび車両データによって構成することができる)。
7.T2のポジションにおいて、車両100(V1)は、これがいまや「障害物なし」のロケーションにポジショニングされていることを検出し、この場合にはその車両の誘導操縦プラニングシステムは、道路に戻ってよいと評価している。CC200は、スナップショットと車両データ情報とを活用して、イベントが終了するであろうことを識別できるようになる。
8.CC200が最終的な誘導操縦を検証できるようにする目的で、T2とTendとの間において車両100はフルULに戻るように切り替わり、これによって通常の道路状況への復帰が達成される。次いで、検証された新たな区間経路が記憶される。検証された最終的な新たな区間経路を、次の車両101(V2)のために用いることができる。
9.Tendにおいて、CC200はTDアクティブセッションを終了させ、車両100との通信を終了させて、経路のロケーションに近いサーバに、かつ/またはCC200に、生成された完全な経路を記憶させる。
10.車両100(V1)は影響を受けたエリアを脱し、車両101(V2)が自身を、車両100、V1のかつてのポジションにポジショニングする。
11.第2の車両101(V2)は、CC200を呼び出す新たなTDセッションの要求をトリガする。CC200または車両101は、車両100、V1により生成された記憶された既存の経路を利用すべきか否かを評価することができ、あるいはさらなる車両が追従するための第2の経路を生成することを始める。
【0067】
車両101、V2の誘導操縦プラニング(MP)は、提案経路を自身の固有の状況、車両の長さ、幅、形式などと比較することができる。車両V2、101は、結果として提案された経路を利用することができるか、またはその経路を拒否して、CC200との新たなTDのフルULセッションを始めることができる。車両101、V2がトラックであり、車両100、V1が乗用車であるときに、このことが起きる可能性がある。トラック101は、乗用車100により決定された経路を追従することができない可能性がある。
【0068】
実施形態によればスリムなアップリンクを実現することができ、このスリムなアップリンクは、完全な遠隔操作のために利用される完全なアップリンクと比べて低減されたデータレートによるアップリンク通信である。例えば実施形態によれば、レーダ、ライダおよび定常的なビデオストリームなどのデータを送信する代わりに、環境モデルデータ(UMF)、車両データ(例えば高さ、幅、重量など)および周期的なスナップショット画像を、ULで送信するだけでよい。
【0069】
CC200(ネットワークコンポーネント、遠隔操作運転サーバ(TDサーバ))は、複数の区間すなわち(Tstart~T1)、(T1~T2)、(T2~Tend)から生成された最終的な提案経路を、車両形式の適用性、イベントのタイムスタンプ、障害物をなくすためにとられる距離などの付加的な情報を加えて、記憶させることができる。
【0070】
待ち時間を低減する目的で、提案経路の地理的ポジションの近くにTDサーバ200を配置するのが望ましい。TDサーバを自動車に配置することもでき、または交通信号機などのインフラストラクチャ内に配置し、サイドリンクを介して共有することもできる。
【0071】
図6には、1つの実施形態における例外の付加的な検出について示されている。一部の実施形態によれば、スリムULのセグメント中、危険なイベントの付加的な検出を行うことができる。
図6には、さらなる例外が発生したケースにおいて、評価のためにCCオペレータに対しフルULを許可する車両管理機構が示されている。
図6は、
図4および
図5と同じ状況を示しているが、車両100が第2の期間中、自動モードでトラック500を追い越したときに、歩行者が突然現れ、車両100はCC200に通報する。その結果、車両はフルUL(完全な遠隔操作)に戻るように切り替えられる。新たな危険(例えば歩行者)が検出された場合、自律車両は停止することができ、フルUL(完全な遠隔操作)モードに戻るように切り替わることができる。次いでCC200におけるオペレータは、しかるべく反応するために新たな状況を評価することができる。このことは、
図6においてオペレータのシンボルによって表されている。
【0072】
実施形態によれば、遠隔命令センタ200に向けて車両100、101によって生成されるべきデータフローを、OEMが低減できるようにする機構/手順が提供される。実施形態は、高速レートのデータパッケージを命令センタ200のエンティティに送信するために、車両のOEMにかかる場合によっては高いコストを低減するのを手助けすることができる。
【0073】
実施形態によれば、自動化車両100は提案経路を取得することができ、つまりこのことは、内部評価後に提案経路を受け入れ可能であることを意味し、または車両100は提案経路を拒否してもよい。CC200は、環境モデルおよびビデオデータ(スリムなアップリンク)に基づきこの経路を描画することができ、または別の車両が遠隔でこの経路を走行しているときにそれを生成する。
【0074】
例えば、車両100、101は以下の内容または状況を、ネットワークコンポーネント200に供給することができる。
・経路の地理的ポジション
・経路から障害物までの距離(新たな車線の幅)
・タイムスタンプ
・さらなる環境情報
実施形態によれば、遠方での運転または遠隔操作運転のために、スリムなアップリンクすなわち低減されたアップリンクデータを実現することができる。このことを、アップリンクにおいて環境モデル(UMF)、車両データ(例えば高さ、幅、重量など)、およびビデオデータを、レーダ、ライダおよび他のセンサデータなどもっと多くのデータを送信する代わりに送信することによって、達成することができる。実施形態によれば、遠隔操作運転サーバ(TDサーバ)を用いることができ、CC200は提案経路を記憶することができる。待ち時間を低減する目的で、提案経路の地理的ポジションの近くにサーバを配置することができる。TDサーバを自動車に配置することもでき、または交通信号機などのインフラストラクチャ内に配置し、サイドリンクを介して共有することもできる。
【0075】
一部の実施形態によれば、
図5および
図6においても概略を説明したように、手順または方法を5つの基準時間セグメントに分割することができる。すなわち、
A)T
start、
B)T
start~T
1、
C)T
1~T
2、
D)T
2~T
end、
E)T
end。
【0076】
A)Tstartマークは、以下のような区間を表す。すなわち、
1.車両100は、CC200との通信を「開始する」。
2.CC200は、車両100に対する「支配」をセットする。
3.CC200は、状況を評価するため車両100から完全なデータセットを受信する。
4.CC200は、適用する制御方法を評価する(直接的な制御または間接的な制御)。
【0077】
このフェーズ中、車両100は、CC200への要求を介して、TDセッション(「支配」プロセス)を開始する。このことは、ネットワークにおけるサービス状況に関連する場合もあり、一部のネットワークの要求(サービスエリア、サービス有効性)を満たさなければならない場合があり、ビデオストリーミングがイネーブルされるかもしれないし、さらにセンサデータ送信がイネーブルにされるかもしれない(例えばライダ)。
【0078】
CCオペレータは、車両100により供給されたすべての内容を含むフルULを受信することができる。供給されたデータを用いてCC200のオペレータは、障害物を回避するためにとる軌跡を規定するためのゾーン(例外的交通状況を脱するルート)を評価する。オペレータが状況を評価した後、直接的な制御を引き継ぐことが決定される。
【0079】
B)Tstart~T1のセグメントは、以下のような区間を表す。すなわち、
1.CC200は、新たな経路/ルート上に車両100をポジショニングする目的で、その車両の「直接的な」制御を行う。CC200のオペレータは直接的な制御を始め、低速で車両100を操舵する。車両100がT1区間に到達するまで、環境データ、センサデータおよびビデオデータが、定常的な情報としてCCオペレータに供給される。
【0080】
CC200は、車両100の誘導操縦を監督および制御する。例えばCC200は、車両を「道路から外れて」(例えば歩道上に)ポジショニングするために、誘導操縦を実行することができる。この期間中、フルULが適用される。
【0081】
C)T1~T2のセグメントは、以下のようなプロセスを表す。すなわち、
1.CC200は、車両100からの低減されたデータセット(スリムUL)を利用して、車両の誘導操縦を「監督する」。例えば、ビデオストリームが一連の静止画像に置き換えられる。
2.不測の事態が発生した場合には、すなわち、
a.新たな危険が車両100により検出された場合には、自動的にCC200が完全な制御に戻るように切り替わり、完全なデータセットが送信され、これによってCC200は状況を評価することができ、とるべき次のアクションを識別することができる(A.3へ戻る)。
b.新たな危険が車両100により検出されないが、危険が存在することがCCオペレータによって評価された場合には、CC200は、車両100を停止させるために、その車両の制御を取り戻す。
3.付加的な危険が検出されなければ、CCは車両の誘導操縦の「監督」に戻り、本来の障害物が克服されるのを待つ。
【0082】
T1において、車両100はスリムULに切り替わる。ここでビデオデータフローが、ゾーンの一連の静止画像(スナップショット)に置き換えられる。環境データ、センサデータおよび車両データは、CCオペレータに供給されたまま残っている。車両100は、「道路外の」新たな状況を評価し、前進走行を開始する。
【0083】
CC200は環境の監視を続ける。
【0084】
新たな危険が検出された(例えば歩行者が車両100自身により、またはスリムULデータに基づきCC200により検出された)場合には、車両100が停止し、フルULモードに戻るように切り替わる。CCオペレータは、しかるべく反応するために新たな状況を評価することができる。
【0085】
環境データ、センサデータおよび画像データを用いてCCオペレータは、車両100がT2セグメントに到達したと判定することができる。次いでCCオペレータは、車両を「道路」状況に戻すために、「直接的な制御」プロセスを開始することができる。
【0086】
D)T2~Tendのセグメントは、以下のような区間を表す。すなわち、
1.CC200は、車両100を通常の道路状況に戻すために、車両100からの完全なデータセットに戻るように切り替わる。
2.道路内の許容されたロケーションに車両100が到達して、そのプラニングされたルートを再開するまで、CC200は車両100を誘導操縦する。
【0087】
CCオペレータは、フルULデータを活用して車両100を監督および操舵する。CCオペレータは、さらなる危険がないことを求めて道路状況を確認することができる。CCオペレータは、TD「支配」セッションがその最後に到達したと判定し、完全な制御を自律車両100に戻す。この期間中、CC200は車両100を制御する。CC200は、車両を「通常の」道路状況に戻すように誘導操縦を実行する。CC200は、車両100がいつその最終ポジションに到達したのかを判定する。
【0088】
E)Tendマークは、以下のような区間を表す。すなわち、
1.CC200は、遠隔操作運転セッションの「制御、監督および支配」を終わらせる。
2.CC200は、イベント、タイムスタンプ、車両形式、環境状況などを「記録」するためのイベント管理タスクの実行を始める。
3.CC200は、同じロケーションのところで発せられた次の到来要求のための基準としてブロードキャストするかまたは利用するために、イベント付近の最も近い「TDリモートサーバ」にイベントを「記憶させる」すべてのアクティビティを終了させることができる。
【0089】
CCオペレータは、最も近いリモートサーバにイベント/ルートに関する情報を記憶させることができる。リモートサーバは、記憶されたイベントを次の到来車両101にブロードキャストすることができる。車両100は自律運転を再開することができる。
【0090】
既述のとおり、実施形態によれば個々の方法を、個々のハードウェアにおいて実行可能なコンピュータプログラムまたはコードとして実装することができる。よって、別の実施形態はコンピュータプログラムであって、このコンピュータプログラムは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいてこのコンピュータプログラムが実行されたときに、上述の方法のうちの少なくとも1つを実施するためのプログラムコードを有する。さらなる実施形態は、(非一時的な)コンピュータ可読記憶媒体であって、このコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントによって実行されたときに、本明細書で説明した方法のうちの1つをコンピュータに実行させる命令を記憶している。
【0091】
当業者であればすぐにわかるように、上述の様々な方法のステップを、プログラミングされたコンピュータによって実施することができ、例えばスロットのポジションを決定または計算することができる。ここで一部の実施形態は、プログラム記憶デバイス、例えばディジタルデータ記憶媒体、を包含することも意図されており、これは機械またはコンピュータにより読み取り可能であり符号化機械により実行可能な、またはコンピュータにより実行可能な命令のプログラムであり、この場合、それらの命令によって、本明細書で説明した方法のステップの一部またはすべてが実施される。プログラム記憶デバイスを例えば、ディジタルメモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードディスクドライブ、または光学的に読み取り可能なディジタルデータ記憶媒体とすることができる。実施形態は、本明細書で説明した方法の既述のステップを実施するようにプログラミングされたコンピュータ、あるいは上記の記載で説明した方法の既述のステップを実施するようにプログラミングされた(フィールド)プログラマブルロジックアレイ((F)PLA)または(フィールド)プログラマブルゲートアレイ((F)PGA)を包含することも意図されている。
【0092】
明細書および図面は、本発明の基本原理を例示したものにすぎない。したがって自明のとおり、たとえ本明細書で明示的に説明されていない、または示されていないにしろ、当業者は、本発明の基本原理を具現化する様々な装置を案出することができ、それらは本発明の着想および枠内に含まれる。さらに、本明細書で列挙したすべての実施例は主として、本発明の基本原理および技術促進のために発明者が寄与したコンセプトを、読み手が理解しやすくするための教育目的にすぎないものであることが明確に意図されており、具体的に列挙したかかる実施例および状況に限定されるものではないと解されたい。さらに、本発明の基本原理、態様および実施形態ならびにそれらの特定の実施例を列挙した本明細書のすべての記載は、それらの等価物を包含することが意図されている。プロセッサによって機能が提供されるのであれば、ただ1つの専用のプロセッサによって、ただ1つの共用されるプロセッサによって、または一部を共用可能な複数の個々のプロセッサによって、機能を提供することができる。さらに、用語「プロセッサ」または「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアをもっぱら指すと解されるべきではなく、以下に限定されるものではないが、ディジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するためのリードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗黙的に含むことができる。通常のものであれカスタムのものであれ、その他のハードウェアも含めることができる。それらの機能を、プログラムロジックのオペレーションを通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックとのインタラクションを通して、または手動ですら、実行することができ、文脈からいっそう具体的に理解できるように、特定の技術を実装者が選択できる。
【0093】
当業者に自明のとおり、本明細書のいずれのブロック図も、本発明の原理を具現化する例示的な回路の概念的な様子を表現している。同様に自明のとおり、いずれのフローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードおよび同様のものも、様々なプロセスを表現しており、それらのプロセスを、コンピュータ可読媒体において実質的に表すことができ、つまりはコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているにせよ、示されていないにせよ、かかるコンピュータまたはプロセッサによって実行することができる。
【0094】
さらにこの場合、以下の請求項は詳細な説明に組み込まれるものであり、ここで各請求項は、そのままで1つの別個の実施形態として成り立ち得る。各請求項は、そのままで1つの別個の実施形態として成り立ち得る一方、1つの従属請求項は、特許請求の範囲において1つまたは複数の他の請求項との特定の組み合わせを指すことができるとはいえ、他の実施形態が、その従属請求項と他の従属請求項各々の保護対象との組み合わせも含むことができる、ということを述べておきたい。
【0095】
さらに述べておきたいのは、本明細書または特許請求の範囲において開示された方法を、それらの方法の個々のステップ各々を実施するための手段を有する1つの装置によって実装することができる、ということである。
【符号の説明】
【0096】
10 車両用の方法
12 自律/自動運転モードで車両を操作すること
14 例外的交通状況を特定すること
16 例外的交通状況に関する情報を、移動通信システムを利用してネットワークコンポーネントに送信すること
18 例外的交通状況を克服するためのルート区間についての運転命令に関する情報をネットワークコンポーネントから受信すること、この場合、運転命令を受信することは、例外的交通状況を克服するためのルート区間に沿って車両を遠隔操作することを含む
20 ネットワークコンポーネント用の方法
22 例外的交通状況に関する情報を、移動通信システムを利用して車両から受信すること
24 例外的交通状況を克服するためのルート区間についての運転命令に関する情報を取得すること
26 ルート区間についての運転命令に関する情報を車両に送信し、例外的交通状況から脱するように車両を遠隔操作すること
30 車両用の装置
32 1つまたは複数のインタフェース
34 制御モジュール
40 ネットワークコンポーネント用の装置
42 1つまたは複数のインタフェース
44 制御モジュール
100 車両
101 車両
200 ネットワークコンポーネント
400 移動通信システム
500 障害物(トラック、工事現場)