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特許7014840エレベータの乗車ルート検索情報生成装置、エレベータ管理装置、および乗車ルート検索情報生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】エレベータの乗車ルート検索情報生成装置、エレベータ管理装置、および乗車ルート検索情報生成方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
B66B1/18 X
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020038751
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021138513
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】杉原 俊雄
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/027429(WO,A1)
【文献】特開2010-241555(JP,A)
【文献】特開2019-142651(JP,A)
【文献】特開2019-131395(JP,A)
【文献】特開2017-114661(JP,A)
【文献】特開2014-172695(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063402(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置された、サービス階が異なる複数バンクのエレベータそれぞれのサービス階の情報を記憶するサービス範囲情報記憶部と、
前記サービス範囲情報記憶部に記憶された情報に基づいて、前記複数バンクのエレベータを利用して階床移動する際の出発階と行先階との組み合わせのうち、同一バンクでサービス可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該行先階を当該出発階の次の降車階として格納し、同一バンクでサービス不可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該出発階と同一バンクでサービス可能であり、且つ当該行先階まで他のバンクのエレベータに乗り継いで移動可能な乗り継ぎ候補階を、乗り継ぎ回数が1回の場合から当該建物の階床数-2回の場合まで順次増やしながら、前回までの乗り継ぎ回数では移動可能と判断されなかった組み合わせについて移動可能か否かを判定することで、最少の乗り継ぎ回数で前記行先階まで移動可能な場合の乗り継ぎ候補階を特定し、該当する乗り継ぎ候補階が複数あるときには、その中で総乗車距離が最短の場合の乗り継ぎ候補階を特定し、特定した乗り継ぎ候補階を前記出発階の次の降車階として格納して、第1乗車ルート検索情報を生成する乗車ルート検索情報生成部とを備えることを特徴とするエレベータの乗車ルート検索情報生成装置。
【請求項2】
建物に設置された、サービス階が異なる複数バンクのエレベータそれぞれのサービス階の情報を記憶するサービス範囲情報記憶部と、
前記建物内の各階床の乗場の混雑度を示す情報を取得する乗場混雑情報取得部と、
前記サービス範囲情報記憶部に記憶された情報に基づいて、前記複数バンクのエレベータを利用して階床移動する際の出発階と行先階との組み合わせごとの、前記出発階の次の降車階の情報を格納した第1乗車ルート検索情報を生成し、前記乗場混雑情報取得部で取得された混雑度が所定値を超えた階床を検知したときに、前記出発階と行先階との組み合わせのうち、同一バンクでサービス可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該行先階を当該出発階の次の降車階として格納し、同一バンクでサービス不可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該出発階と同一バンクでサービス可能であり、且つ当該行先階まで少なくとも1つの他のバンクのエレベータを利用して移動可能な階床を、当該出発階の次の降車階として格納し、格納した情報のうち、行先階が、前記混雑度が所定値を超えた階床ではなく、次の降車階が、前記混雑度を超えた階床である組み合わせについては、当該次の降車階の情報を削除し、次の降車階が格納されていない出発階と行先階との組み合わせについては、前記第1乗車ルート検索情報内の対応する次の降車階の情報を格納して、第2乗車ルート検索情報をさらに生成する乗車ルート検索情報生成部とを備えることを特徴とするエレベータの乗車ルート検索情報生成装置。
【請求項3】
建物に設置された、サービス階が異なる複数バンクのエレベータそれぞれのサービス階の情報を記憶するサービス範囲情報記憶部と、
予め設定された、所定の時間帯に、混雑によりエレベータへの乗り込みが困難になる可能性が高い階床と方向との組み合わせの情報を、混雑予測情報として保持する混雑予測情報保持部と、
前記サービス範囲情報記憶部に記憶された情報に基づいて、前記複数バンクのエレベータを利用して階床移動する際の出発階と行先階との組み合わせごとの、前記出発階の次の降車階の情報を格納した第1乗車ルート検索情報を生成し、前記出発階と行先階との組み合わせのうち、同一バンクでサービス可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該行先階を当該出発階の次の降車階として格納し、格納した情報のうち、前記混雑予測情報保持部に保持された混雑予測情報で示される階床を出発階とし、該当する方向にある階床を行先階とする組み合わせに対応する次の降車階の情報を削除し、同一バンクでサービス不可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該出発階と同一バンクでサービス可能であり、且つ当該行先階まで少なくとも1つの他のバンクのエレベータを利用して移動可能な階床を、当該出発階の次の降車階として格納し、格納した情報のうち、次の降車階が、前記混雑予測情報保持部に保持された混雑予測情報で示される階床であり、該当する方向にある階床を行先階とする組み合わせに対応する次の降車階の情報を削除し、次の降車階が格納されていない出発階と行先階との組み合わせについては、前記第1乗車ルート検索情報内の対応する次の降車階の情報を格納して、前記所定の時間帯に利用する第3乗車ルート検索情報をさらに生成する乗車ルート検索情報生成部とを備えることを特徴とするエレベータの乗車ルート検索情報生成装置。
【請求項4】
前記乗車ルート検索情報生成部は、前記出発階と行先階との組み合わせのうち、同一バンクでサービス可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該行先階を当該出発階の次の降車階として格納し、同一バンクでサービス不可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該出発階と同一バンクでサービス可能であり、且つ当該行先階まで少なくとも1つの他のバンクのエレベータを利用して移動可能な階床を、当該出発階の次の降車階として格納して、前記第1乗車ルート検索情報を生成する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のエレベータの乗車ルート検索情報生成装置。
【請求項5】
前記乗車ルート検索情報生成部は、同一バンクでサービス不可能な出発階と行先階との組み合わせについて、乗り継ぎ回数が最少の場合、または総乗車距離が最短の場合の当該出発階の次の降車階を格納して、前記第1乗車ルート検索情報を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載のエレベータの乗車ルート検索情報生成装置。
【請求項6】
建物に設置された、サービス階が異なる複数バンクのエレベータそれぞれのサービス階の情報に基づいて、前記複数バンクのエレベータを利用して階床移動する際の出発階と行先階との組み合わせごとの、前記出発階の次の降車階の情報を、乗り継ぎ回数が0回の場合から当該建物の階床数-2回の場合まで順次増やしながら、前回までの乗り継ぎ回数では移動可能と判断されなかった組み合わせについて移動可能か否かを判定して格納した第1乗車ルート検索情報を生成するエレベータの乗車ルート検索情報生成装置と、
前記建物の各階の乗場に設置された乗場行先階登録装置とに接続されて前記複数バンクごとに設置され、
該当するバンクのサービス階の前記乗場行先階登録装置で行先階を指定する操作が行われると、出発階である前記サービス階の次の降車階を、前記乗車ルート検索情報生成装置で生成された第1乗車ルート検索情報に基づいて判定する乗り継ぎ判定部と、
前記乗り継ぎ判定部で判定された次の降車階の情報を行先階として乗場呼びを登録し、登録した情報を、操作された乗場行先階登録装置に送信する乗場呼び登録部と
を備えることを特徴とするエレベータ管理装置。
【請求項7】
建物に設置された、サービス階が異なる複数バンクのエレベータそれぞれのサービス階の情報に基づいて、前記複数バンクのエレベータを利用して階床移動する際の出発階と行先階との組み合わせごとの、前記出発階の次の降車階の情報を格納した第1乗車ルート検索情報を生成し、
前記建物内の各階床の乗場の混雑度を示す情報を取得し、取得した混雑度が所定値を超えた階床を検知したときに、前記出発階と行先階との組み合わせのうち、同一バンクでサービス可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該行先階を当該出発階の次の降車階として格納し、同一バンクでサービス不可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該出発階と同一バンクでサービス可能であり、且つ当該行先階まで少なくとも1つの他のバンクのエレベータを利用して移動可能な階床を、当該出発階の次の降車階として格納し、格納した情報のうち、行先階が、前記混雑度が所定値を超えた階床ではなく、次の降車階が、前記混雑度を超えた階床である組み合わせについては、当該次の降車階の情報を削除し、次の降車階が格納されていない出発階と行先階との組み合わせについては、前記第1乗車ルート検索情報内の対応する次の降車階の情報を格納して、第2乗車ルート検索情報をさらに生成するエレベータの乗車ルート検索情報生成装置と、
前記建物の各階の乗場に設置された乗場行先階登録装置とに接続されて前記複数バンクごとに設置され、
通常時に、該当するバンクのサービス階の前記乗場行先階登録装置で行先階を指定する操作が行われると、前記第1乗車ルート検索情報に基づいて出発階の次の降車階を判定し、前記混雑度が所定値を超えた階床を検知したときに当該操作が行われると、前記第2乗車ルート検索情報に基づいて出発階の次の降車階を判定する乗り継ぎ判定部と、
前記乗り継ぎ判定部で判定された次の降車階の情報を行先階として乗場呼びを登録し、登録した情報を、操作された乗場行先階登録装置に送信する乗場呼び登録部と
を備えることを特徴とするエレベータ管理装置。
【請求項8】
建物に設置された、サービス階が異なる複数バンクのエレベータそれぞれのサービス階の情報に基づいて、前記複数バンクのエレベータを利用して階床移動する際の出発階と行先階との組み合わせごとの、前記出発階の次の降車階の情報を格納した第1乗車ルート検索情報を生成し、
予め設定された、所定の時間帯に、混雑によりエレベータへの乗り込みが困難になる可能性が高い階床と方向との組み合わせの情報を、混雑予測情報として保持し、前記出発階と行先階との組み合わせのうち、同一バンクでサービス可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該行先階を当該出発階の次の降車階として格納し、格納した情報のうち、保持した混雑予測情報で示される階床を出発階とし、該当する方向にある階床を行先階とする組み合わせに対応する次の降車階の情報を削除し、同一バンクでサービス不可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該出発階と同一バンクでサービス可能であり、且つ当該行先階まで少なくとも1つの他のバンクのエレベータを利用して移動可能な階床を、当該出発階の次の降車階として格納し、格納した情報のうち、次の降車階が、保持された混雑予測情報で示される階床であり、該当する方向にある階床を行先階とする組み合わせに対応する次の降車階の情報を削除し、次の降車階が格納されていない出発階と行先階との組み合わせについては、前記第1乗車ルート検索情報内の対応する次の降車階の情報を格納して、前記所定の時間帯に利用する第3乗車ルート検索情報をさらに生成するエレベータの乗車ルート検索情報生成装置と、
前記建物の各階の乗場に設置された乗場行先階登録装置とに接続されて前記複数バンクごとに設置され、
該当するバンクのサービス階の前記乗場行先階登録装置で行先階を指定する操作が行われると、出発階である前記サービス階の次の降車階を、前記乗車ルート検索情報生成装置で生成された第1乗車ルート検索情報に基づいて判定する乗り継ぎ判定部と、
前記乗り継ぎ判定部で判定された次の降車階の情報を行先階として乗場呼びを登録し、登録した情報を、操作された乗場行先階登録装置に送信する乗場呼び登録部と
を備えることを特徴とするエレベータ管理装置。
【請求項9】
建物に設置された、サービス階が異なる複数バンクのエレベータそれぞれのサービス階の情報を記憶し、
記憶した情報に基づいて、前記複数バンクのエレベータを利用して階床移動する際の出発階と行先階との組み合わせごとの、前記出発階の次の降車階の情報を、乗り継ぎ回数が0回の場合から当該建物の階床数-2回の場合まで順次増やしながら、前回までの乗り継ぎ回数では移動可能と判断されなかった組み合わせについて移動可能か否かを判定して格納した第1乗車ルート検索情報を生成する
ことを特徴とするエレベータの乗車ルート検索情報生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの乗車ルート検索情報生成装置、エレベータ管理装置および乗車ルート検索情報生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の建物において、利用者が乗降可能なサービス階が異なる複数バンクのエレベータが設置されていると、利用者が所望の行先階まで移動する際に、異なるバンクの複数エレベータを乗り継いで利用する場合がある。このとき、建物の階床数やエレベータのバンク数が多いと行先階までの乗車ルートが複雑になり、利用者が乗り継ぎ階等を把握し難くなる。そこで、当該エレベータシステムに、利用者が乗車前に乗場で行先階を登録する乗場呼び登録装置を設置し、利用者が当該乗場呼び登録装置で行先階を登録した際に、当該行先階に移動するための乗り継ぎ階を含む乗車ルートの情報を表示させるサービスがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4796053号公報
【文献】特開2015-174716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように乗車ルートの情報を表示させるためには、出発階と行先階との組み合わせごとに予め生成された、出発階の次の降車階の情報を保持しておく必要がある。しかし、この情報を生成するには手間がかかり、特に、建物の階床数や設置されたエレベータのバンク数が多い場合には、生成処理が煩雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、複数バンクのエレベータを備えたエレベータシステムで、所望の行先階までの乗車ルートを検索する際に用いる、出発階と行先階の組み合わせごとの出発階の次の降車階の情報を生成する乗車ルート検索情報生成装置、これを用いたエレベータ管理装置、および乗車ルート検索情報生成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための実施形態によれば乗車ルート検索情報生成装置は、サービス範囲情報記憶部と乗車ルート検索情報生成部とを備える。サービス範囲情報記憶部は、建物に設置された、サービス階が異なる複数バンクのエレベータそれぞれのサービス階の情報を記憶する。乗車ルート検索情報生成部は、サービス範囲情報記憶部に記憶された情報に基づいて、複数バンクのエレベータを利用して階床移動する際の出発階と行先階との組み合わせのうち、同一バンクでサービス可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該行先階を当該出発階の次の降車階として格納し、同一バンクでサービス不可能な出発階と行先階との組み合わせについては、当該出発階と同一バンクでサービス可能であり、且つ当該行先階まで他のバンクのエレベータに乗り継いで移動可能な乗り継ぎ候補階を、乗り継ぎ回数が1回の場合から当該建物の階床数-2回の場合まで順次増やしながら、前回までの乗り継ぎ回数では移動可能と判断されなかった組み合わせについて移動可能か否かを判定することで、最少の乗り継ぎ回数で行先階まで移動可能な場合の乗り継ぎ候補階を特定し、該当する乗り継ぎ候補階が複数あるときには、その中で総乗車距離が最短の場合の乗り継ぎ候補階を特定し、特定した乗り継ぎ候補階を出発階の次の降車階として格納して、第1乗車ルート検索情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1~第3実施形態による乗車ルート検索情報生成装置を利用したエレベータシステムの構成を示す全体図。
図2】第1実施形態による乗車ルート検索情報生成装置を利用した第1~第3バンク群管理装置の構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態による乗車ルート検索情報生成装置で実行される乗車ルート検索情報を生成する処理を示すフローチャート。
図4】第1実施形態による乗車ルート検索情報生成装置で実行される、乗り継ぎなしでサービス可能な組み合わせに対する処理を示すフローチャート。
図5】第1実施形態による乗車ルート検索情報生成装置で、乗り継ぎなしでサービス可能な組み合わせに対する処理が実行された後の、(a)階床ルートテーブル、(b)乗換回数テーブル、(c)総乗車距離テーブルの例。
図6】第1実施形態による乗車ルート検索情報生成装置で実行される、乗り継ぎ1回でサービス可能な組み合わせに対する処理を示すフローチャート。
図7】第1実施形態による乗車ルート検索情報生成装置で、乗り継ぎ1回でサービス可能な組み合わせに対する処理が実行された後の、(a)階床ルートテーブル、(b)乗換回数テーブル、(c)総乗車距離テーブルの例。
図8】第1実施形態による乗車ルート検索情報生成装置で実行される、乗り継ぎ2回でサービス可能な組み合わせに対する処理を示すフローチャート。
図9】第1実施形態による乗車ルート検索情報生成装置で、乗り継ぎ2回でサービス可能な組み合わせに対する処理が実行された後の、(a)階床ルートテーブル、(b)乗換回数テーブル、(c)総乗車距離テーブルの例。
図10】第1実施形態による乗車ルート検索情報生成装置ですべての処理が実行された後の、(a)階床ルートテーブル、(b)乗換回数テーブル、(c)総乗車距離テーブルの例。
図11】第2実施形態による乗車ルート検索情報生成装置を利用した第1~第3バンク群管理装置の構成を示すブロック図。
図12】第2実施形態による乗車ルート検索情報生成装置で実行される第2乗車ルート検索情報を生成する処理を示すフローチャート。
図13】第3実施形態による乗車ルート検索情報生成装置を利用した第1~第3バンク群管理装置の構成を示すブロック図。
図14】第4実施形態による乗車ルート検索情報生成装置で実行される第3乗車ルート検索情報を生成する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による乗り継ぎ階情報生成装置を用いたエレベータシステムの構成〉
本発明の第1実施形態による乗り継ぎ階情報生成装置を用いたエレベータシステムの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1Aは、7階建ての建物内に設置された複数のエレベータ(第1エレベータ2-1~第6エレベータ2-6)と、エレベータの複数バンクごとに設置されたエレベータ管理装置としての複数の群管理装置(第1バンク群管理装置3-1A、第2バンク群管理装置3-2、および第3バンク群管理装置3-3)と、当該建物の各階の乗場に設置された乗場行先階登録装置(乗場行先階登録装置(1階)4-1~乗場行先階登録装置(7階)4-7)とを備える。乗場行先階登録装置は、複数バンクでサービス階可能な階床には、対応するバンクごとに複数台設置される。
【0009】
第1エレベータ2-1および第2エレベータ2-2は、第1バンクのエレベータとして設定され、第1バンク群管理装置3-1Aに接続される。第1バンクはサービス階が1階、3階、および6階であり、第1バンク群管理装置3-1Aには、これらの階床の第1バンクに対応した乗場行先階登録装置(乗場行先階登録装置(1階)4-1、乗場行先階登録装置(3階)4-3a、および乗場行先階登録装置(6階)4-6a)が接続される。また、第3エレベータ2-3および第4エレベータ2-4は、第2バンクのエレベータとして設定され、第2バンク群管理装置3-2に接続される。第2バンクはサービス階が2階、3階、および4階であり、第2バンク群管理装置3-2には、これらの階床の第2バンクに対応した乗場行先階登録装置(乗場行先階登録装置(2階)4-2、乗場行先階登録装置(3階)4-3b、および乗場行先階登録装置(4階)4-4)が接続される。また、第5エレベータ2-5および第6エレベータ2-6は、第3バンクのエレベータとして設定され、第3バンク群管理装置3-3に接続される。第3バンクはサービス階が5階、6階、および7階であり、第3バンク群管理装置3-3には、これらの階床の第3バンクに対応した乗場行先階登録装置(乗場行先階登録装置(5階)4-5、乗場行先階登録装置(6階)4-6b、および乗場行先階登録装置(7階)4-7)が接続される。
【0010】
つまり、3階は第1バンクのエレベータと第2バンクのエレベータを利用可能であるため、3階の乗場には第1バンク用の乗場行先階登録装置(3階)4-3aおよび第2バンク用の乗場行先階登録装置(3階)4-3bが設置される。また、6階は第1バンクのエレベータと第3バンクのエレベータを利用可能であるため、6階の乗場には第1バンク用の乗場行先階登録装置(6階)4-6aおよび第3バンク用の乗場行先階登録装置(6階)4-6bが設置される。
【0011】
本実施形態においては、各バンクに2台のエレベータが設定されている場合を例に説明するが、これには限定されず、各バンクに3台以上のエレベータが設定されていてもよい。
【0012】
乗場行先階登録装置(1階)4-1~乗場行先階登録装置(7階)4-7はそれぞれ、利用者により行先階を指定する操作が行われると、設置された階床を出発階とし、指定された階床を行先階とする乗場呼び情報を生成し、接続された群管理装置3-1A~3-3に送信する。
【0013】
第1バンク群管理装置3-1A~第3バンク群管理装置3-3の構成について、図2を参照して説明する。第1バンク群管理装置3-1Aは、情報通信部31-1と、サービス範囲情報記憶部32-1と、乗車ルート検索情報生成装置としての乗車ルート検索情報生成部33-1と、乗車ルート検索情報記憶部34-1と、乗場呼び登録部35-1と、乗り継ぎ判定部36-1と、運転制御部37-1と、割り当てかご選定部38-1とを備える。
【0014】
情報通信部31-1は、第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3との情報通信を行う。サービス範囲情報記憶部32-1は、予め設定された第1バンクのサービス階の情報、情報通信部31-1を介して第2バンク群管理装置3-2から取得した第2バンクのサービス階の情報、および第3バンク群管理装置3-3から取得した第3バンクのサービス階の情報を記憶する。
【0015】
乗車ルート検索情報生成部33-1は、サービス範囲情報記憶部32-1に記憶された情報に基づいて、建物内で階床移動する際の出発階と行先階との組み合わせごとの、該当する出発階の次の降車階の情報を含む第1乗車ルート検索情報を生成する。「出発階の次の降車階」の詳細については、後述する。乗車ルート検索情報記憶部34-1は、乗車ルート検索情報生成部33-1で生成された第1乗車ルート検索情報を記憶する。
【0016】
乗場呼び登録部35-1は、第1バンクのサービス階である1階、3階、または6階の乗場行先階登録装置4-1、4-3a、または4-6aで操作された乗場呼びの情報を登録する。乗り継ぎ判定部36-1は、乗場呼び登録部35-1に登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、第1乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否を判定し、乗り継ぎが必要と判定した場合には、当該乗場呼びの行先階の情報を乗り継ぎ階の情報に変更する。
【0017】
運転制御部37-1は、第1エレベータ2-1および第2エレベータ2-2の運転を制御する。割り当てかご選定部38-1は、乗場呼び登録部35-1に登録された乗場呼びに関し、運転制御部37-1による各エレベータの運転状況に基づいて応答させる乗りかごを割り当て、割り当てた乗りかごの情報を運転制御部37-1に送出して該当する乗りかごを当該乗場呼びの登録階に移動させる。
【0018】
第2バンク群管理装置3-2は、情報通信部31-2と、サービス範囲情報記憶部32-2と、乗車ルート検索情報記憶部34-2と、乗場呼び登録部35-2と、乗り継ぎ判定部36-2と、運転制御部37-2と、割り当てかご選定部38-2とを備える。
【0019】
情報通信部31-2は、第1バンク群管理装置3-1Aおよび第3バンク群管理装置3-3との情報通信を行う。サービス範囲情報記憶部32-2は、予め設定された第2バンクのサービス階の情報を記憶する。乗車ルート検索情報記憶部34-2は、第1バンク群管理装置3-1Aで生成された第1乗車ルート検索情報を、情報通信部31-2を介して取得し、記憶する。
【0020】
乗場呼び登録部35-2は、サービス階である2階、3階、または4階の乗場行先階登録装置4-2、4-3b、または4-4で操作された乗場呼びの情報を登録する。乗り継ぎ判定部36-2は、乗場呼び登録部35-2に登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、第1乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否を判定し、乗り継ぎが必要と判定した場合には、当該乗場呼びの行先階の情報を乗り継ぎ階の情報に変更する。
【0021】
運転制御部37-2は、第3エレベータ2-3および第4エレベータ2-4の運転を制御する。割り当てかご選定部38-2は、乗場呼び登録部35-2に登録された乗場呼びに関し、運転制御部37-2による各エレベータの運転状況に基づいて応答させる乗りかごを割り当て、割り当てた乗りかごの情報を運転制御部37-2に送出して該当する乗りかごを当該乗場呼びの登録階に移動させる。
【0022】
第3バンク群管理装置3-3は、情報通信部31-3と、サービス範囲情報記憶部32-3と、乗車ルート検索情報記憶部34-3と、乗場呼び登録部35-3と、乗り継ぎ判定部36-3と、運転制御部37-3と、割り当てかご選定部38-3とを備える。
【0023】
情報通信部31-3は、第1バンク群管理装置3-1Aおよび第2バンク群管理装置3-2との情報通信を行う。サービス範囲情報記憶部32-3は、予め設定された第3バンクのサービス階の情報を記憶する。乗車ルート検索情報記憶部34-3は、第1バンク群管理装置3-1Aで生成された第1乗車ルート検索情報を、情報通信部31-3を介して取得し、記憶する。
【0024】
乗場呼び登録部35-3は、サービス階である5階、6階、または7階の乗場行先階登録装置4-5、4-6b、または4-7で操作された乗場呼びの情報を登録する。乗り継ぎ判定部36-3は、乗場呼び登録部35-3に登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、第1乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否を判定し、乗り継ぎが必要と判定した場合には、当該乗場呼びの行先階の情報を乗り継ぎ階の情報に変更する。
【0025】
運転制御部37-3は、第5エレベータ2-5および第6エレベータ2-6の運転を制御する。割り当てかご選定部38-3は、乗場呼び登録部35-3に登録された乗場呼びに関し、運転制御部37-3による各エレベータの運転状況に基づいて応答させる乗りかごを割り当て、割り当てた乗りかごの情報を運転制御部37-3に送出して該当する乗りかごを当該乗場呼びの登録階に移動させる。
【0026】
〈第1実施形態による乗り継ぎ階情報生成装置を用いたエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Aにおいて、第1乗車ルート検索情報を生成する処理について、図3図9を参照して説明する。本実施形態においてエレベータシステム1Aの第1乗車ルート検索情報は、第1バンク群管理装置3-1A内で生成される。
【0027】
第1バンク群管理装置3-1Aの情報通信部31-1では予め、第2バンク群管理装置3-2の情報通信部31-2を介してサービス範囲情報記憶部32-2から第2バンクのサービス階の情報が取得され、サービス範囲情報記憶部32-1に記憶される。また、第3バンク群管理装置3-3の情報通信部31-3を介してサービス範囲情報記憶部32-3から第3バンクのサービス階の情報が取得され、サービス範囲情報記憶部32-1に記憶される。
【0028】
また、第1バンク群管理装置3-1Aの乗車ルート検索情報生成部33-1には予め、出発と行先階との組み合わせごとに、次の降車階の情報を格納する階床ルートテーブル、乗り継ぎ回数を格納する乗換回数テーブル、および総乗車距離を格納する総乗車距離テーブルが保持されている。これらのテーブルはそれぞれ、出発階(1階~7階)を示す行と、行先階(1階~7階)を示す列とで構成され、初期状態では、各出発階と各行先階との組み合わせに対応する各セルは空欄(無効値の状態)になっている。
【0029】
そして、第1乗車ルート検索情報の生成処理が開始されると、乗車ルート検索情報生成部33-1において、出発階と行先階との組み合わせのうち、乗車回数1回(n=1;nは乗車回数を示す)でサービス可能な組み合わせに対する処理が実行される(図3のS1)。具体的には、図4に示すようにループ1およびループ2が開始され、まず第1バンクに関し、出発階と行先階との組み合わせごとに、出発階と行先階とが一致せず、且つ、当該第1バンクで出発階と行先階の双方にサービス可能であるか否かが判定される(S11)。
【0030】
判定の結果、対象の出発階と行先階とが一致せず、且つ、当該第1バンクで出発階と行先階の双方にサービス可能である場合には(S11の「YES」)、乗車回数1回でサービス可能であり当該行先階が、出発階の次の降車階として決定される。そして、階床ルートテーブル内の該当する組み合わせに対応するセルに、当該行先階の情報が格納される。
【0031】
また、該当する出発階と行先階の組み合わせに関し、乗車回数1回でサービス可能である場合は乗り継ぎ回数(n-1;乗り継ぎ回数は乗車回数-1)が0回であるため、乗換回数テーブルの該当する組み合わせに対応するセルに「0」が格納される(S13)。
【0032】
また、該当する出発階と行先階の組み合わせに関し、出発階から行先階までの距離が算出され、総乗車距離テーブルの該当する組み合わせに対応するセルに格納される(S14)。ステップS11において、対象の出発階と行先階とが一致するかまたは、当該第1バンクで出発階と行先階の双方にサービス可能でない場合には(S11の「NO」)、各テーブルの該当セルに情報は格納されず、次の出発階と行先階との組み合わせの処理に移行する。
【0033】
このステップS11~S14の処理は、ループ2により、すべての出発階と行先階との組み合わせに対して実行される。第1バンクに関してすべての組み合わせに対するループ2の処理が終了すると、ループ1により、第2バンクおよび第3バンクについても、同様にループ2の処理が実行され、図3のステップS1の乗車回数1回でサービス可能な組み合わせに対する処理が終了する。
【0034】
ステップS1の処理が終了したときに、該当する情報が格納された階床ルートテーブルの例を、図5(a)に示す。同様に、該当する情報が格納された乗換回数テーブルの例を、図5(b)に示す。同様に、該当する情報が格納された総乗車距離テーブルの例を、図5(c)に示す。この時点で階床ルートテーブル、乗換回数テーブル、および総乗車距離テーブル内で空欄のセルに対応する出発階と行先階との組み合わせは、乗車回数2回以上で移動可能となる。
【0035】
次に、処理対象の乗車回数(n)を1回増加させ(n=n+1)、出発階と行先階との組み合わせのうち、乗車回数2回、つまり乗り継ぎ回数が1回でサービス可能な組み合わせに対する処理が実行される(図3のS2、S3)。乗車回数2回でサービス可能な組み合わせに対する処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。まず、ループ3が開始され、出発階と行先階との組み合わせごとに、出発階と行先階とが一致せず、且つ既に次の降車階が決定されていないかが判定される(S21)。
【0036】
判定の結果、対象の出発階と行先階とが一致せず、且つ既に次の降車階が決定されてない場合には(S21の「YES」)、当該出発階から1回乗車でサービス可能な階毎に乗り継ぎ候補階として、ループ4の処理が実行される。例えば、出発階「1階」と行先階「4階」の組み合わせに関しては、出発階「1階」をサービス階とするバンク1のエレベータで、出発階「1階」から1回乗車でサービス可能な階の1つである「3階」が、処理対象の乗り継ぎ候補階として特定され、ループ4の処理が実行される。
【0037】
ループ4の処理では、当該乗り継ぎ候補階「3階」から行先階「4階」に1回乗車でサービス可能であるか否かが判定される(S22)。ここでは、バンク2のエレベータにより3階から4階へ1回乗車でサービス可能であるため(S22の「YES」)、当該乗り継ぎ候補階「3階」が有効と判断され、当該組み合わせに関し、該当する乗り継ぎ回数「1回」および総乗車距離の情報が乗車ルート検索情報生成部33-1に保持される(S23)。ステップS22において、該当する乗り継ぎ候補階から行先階に1回乗車でサービス不可能な場合には(S22の「NO」)、当該乗り継ぎ候補階は無効と判断され、乗り継ぎ回数および総乗車距離の情報は保持されない。
【0038】
このステップS22およびS23の処理は、ループ4により、当該出発階「1階」から1回乗車でサービス可能な他の階、つまり「6階」についても乗り継ぎ候補階として特定され、処理が実行される。
【0039】
当該出発階「1階」から1回乗車でサービス可能なすべての階に対するループ4の処理が終了したときに、当該出発階「1階」と行先階「4階」の組み合わせについて、有効と判断された乗り継ぎ候補階が複数ある場合には、これらのうち総乗車距離が最短の乗り継ぎ候補階が選択される(S24)。ここでは、乗り継ぎ候補階「3階」が選択される。
【0040】
そして、当該出発階「1階」と行先階「4階」の組み合わせについて、選択された乗り継ぎ候補階「3階」が、出発階「1階」の次の降車階として決定され、階床ルートテーブル内の該当する組み合わせに対応するセルに格納される。また、当該乗り継ぎ候補階「3階」について保持された情報に基づいて、乗換回数テーブルの該当する組み合わせに対応するセルに「1」が格納され、総乗車距離テーブルの該当する組み合わせに対応するセルに該当する総乗車距離「9」が格納される(S25)。ステップS21において、出発階と行先階とが一致するかまたは既に次の降車階が決定されている場合には(S21の「NO」)、各テーブルの該当セルに情報は格納されず、次の出発階と行先階との組み合わせの処理に移行する。
【0041】
ループ3により、すべての出発階と行先階との組み合わせに関し、ステップS21~S25の「乗り継ぎ回数1回」でサービス可能な組み合わせに対する処理が実行される。乗り継ぎ回数が1回でサービス可能な組み合わせに対するすべての処理が終了したときに、該当する情報が格納された階床ルートテーブルの例を、図7(a)に示す。同様に、該当する情報が格納された乗換回数テーブルの例を、図7(b)に示す。同様に、該当する情報が格納された総乗車距離テーブルの例を、図7(c)に示す。
【0042】
ここでは、乗車回数2回に対する処理であり(図3のS4の「NO」)、各テーブル内に空欄のセルがある場合、これらに対応する出発階と行先階との組み合わせは、乗車回数3回(乗り継ぎ回数2回)以上で移動可能となる。
【0043】
次に、乗車回数3回(n=n+1)、つまり乗り継ぎ回数が2回でサービス可能な組み合わせに対する処理が実行される(S2、S3)。乗り継ぎ回数が2回でサービス可能な組み合わせに対する処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
まず、ループ5が開始され、出発階と行先階との組み合わせごとに、出発階と行先階とが一致せず、且つ既に次の降車階が決定されていないかが判定される(S31)。
【0045】
判定の結果、対象の出発階と行先階とが一致せず、且つ既に次の降車階が決定されていない場合には(S31の「NO」)、当該出発階から1回乗車でサービス可能な階毎に乗り継ぎ候補階として、ループ6の処理が実行される。
【0046】
ループ6の処理では、当該乗り継ぎ候補階から行先階に1回乗り継ぎでサービス可能であるか否かが判定される(S32)。1回乗り継ぎでサービス可能であれば(S32の「YES」)、当該乗り継ぎ候補階が有効と判断され、当該組み合わせに関し、該当する乗り継ぎ回数「2回」および総乗車距離が乗車ルート検索情報生成部33-1に保持される(S33)。ステップS32において、該当する乗り継ぎ候補階から行先階に1回乗り継ぎでサービス不可能な場合には(S32の「NO」)、当該乗り継ぎ候補階は無効と判断され、乗り継ぎ回数および総乗車距離の情報は保持されない。
【0047】
このステップS32およびS33の処理は、ループ6により、当該出発階から1回乗車でサービス可能な他の階についても乗り継ぎ候補階として処理が実行される。
【0048】
当該出発階から1回乗車でサービス可能なすべての階に対するループ6の処理が終了したときに、当該出発階と行先階の組み合わせについて、有効と判断された乗り継ぎ候補階が複数ある場合には、これらのうち総乗車距離が最短の乗り継ぎ候補階が選択される(S34)。
【0049】
そして、当該出発階と行先階の組み合わせについて、選択された乗り継ぎ候補階が、出発階の次の降車階として決定され、階床ルートテーブル内の該当する組み合わせに対応するセルに格納される。また、当該乗り継ぎ候補階について保持された情報に基づいて、乗換回数テーブルの該当する組み合わせに対応するセルに「2」が格納され、総乗車距離テーブルの該当する組み合わせに対応するセルに該当する総乗車距離が格納される(S35)。
【0050】
ループ5により、すべての出発階と行先階との組み合わせに関し、ステップS31~S35の「乗り継ぎ回数2回」に対する処理が実行されることにより、乗り継ぎ回数が2回でサービス可能な組み合わせに対する処理が実行される。乗り継ぎ回数が2回でサービス可能な組み合わせに対する処理が終了したときに、該当する情報が格納された階床ルートテーブルの例を、図9(a)に示す。同様に、該当する情報が格納された乗換回数テーブルの例を、図9(b)に示す。同様に、該当する情報が格納された総乗車距離テーブルの例を、図9(c)に示す。
【0051】
ここで、階床ルートテーブル、乗換回数テーブル、および総乗車距離テーブル内にまだ空欄のセルがあり、これらに対応する出発階と行先階との組み合わせは、乗車回数4回(乗り継ぎ回数3回)以上で移動可能となる。そのため、乗車回数4回(n=n+1)、つまり乗り継ぎ回数3回でサービス可能な組み合わせに対する処理が実行される。以降、同様にして、乗車回数n=階床数-1、つまりn=6になるまで乗車回数(乗り継ぎ回数)を増加させてサービス可能な組み合わせに対する処理が実行される(図3のS4の「NO」→S2→S3)。
【0052】
上述した処理により、乗車回数6回でサービス可能な組み合わせに対する処理まで終了すると(S4の「YES」)、乗車ルート検索情報生成部33-1により、情報が格納された階床ルートテーブル、乗換回数テーブル、および総乗車距離テーブルが第1乗車ルート検索情報として生成され、乗車ルート検索情報記憶部34-1に記憶される(S5)。乗車ルート検索情報記憶部34-1に記憶された第1乗車ルート検索情報の階床ルートテーブルの例を、図10(a)に示す。同様に、該当する情報が格納された乗換回数テーブルの例を、図10(b)に示す。同様に、該当する情報が格納された総乗車距離テーブルの例を、図10(c)に示す。
【0053】
また、生成された第1乗車ルート検索情報は、情報通信部31-1を介して第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3に送信される。第2バンク群管理装置3-2では、第1バンク群管理装置3-1Aから送信された第1乗車ルート検索情報が情報通信部31-2で受信され、乗車ルート検索情報記憶部34-2に記憶される。同様に、第3バンク群管理装置3-3においても、乗車ルート検索情報記憶部34-3に第1乗車ルート検索情報が記憶される。
【0054】
次に、記憶された第1乗車ルート検索情報を用いて、利用者がいずれかの階床の乗場行先階登録装置で行先階を指定する操作を行ったときに、該当する群管理装置で実行される乗車ルート検索処理について説明する。
【0055】
一例として、2階にいる利用者が乗場行先階登録装置(2階)4-2で7階を行先階とする乗場呼び登録操作を行った場合、当該操作情報が、操作階である2階をサービス階とする第2バンクを管理する第2バンク群管理装置3-2で取得される。そして、乗場呼び登録部35-2に、出発階が「2階」であり行先階が「7階」の乗場呼び呼びが登録される。
【0056】
乗場呼び登録部35-2に乗場呼びが登録されると、乗り継ぎ判定部36-2により、当該乗場呼びの出発階「2階」から行先階「7階」への移動について、乗車ルート検索情報生成部33-2に記憶された階床ルートテーブルが参照され、出発階が「2階」であり行先階が「7階」である場合の、出発階「2階」の次の降車階が「3階」であると判定される。ここで、判定された次の降車階「3階」は、登録された乗場呼びの行先階「7階」と異なるため、当該「3階」は乗り継ぎ階であると判定され、乗場呼び登録部35-2に登録された乗場呼びの行先階が「7階」から「3階」に変更される。
【0057】
登録された乗場呼びの行先階が変更されると、割り当てかご選定部38-2において、第3エレベータ2-3と第4エレベータ2-4の運転状況に基づいて当該乗場呼びに応答させるエレベータが割り当てられる。ここでは、第3エレベータ2-3が割り当てられたものとする。
【0058】
そして、当該乗場呼びに関して変更された行先階「3階」の情報と、割り当てられた第3エレベータ2-3の情報が乗場行先階登録装置(2階)4-2に送信され、表示または音声により出力される。これにより、乗場呼び登録操作を行った利用者は、7階まで移動するために、第3エレベータ2-3を利用して3階で乗り継ぎをすることを認識することができる。このとき、第2バンク群管理装置3-2が乗り継ぎ先のエレベータ群(第1バンクのエレベータ2-1、2-2)を特定し、その情報を併せて乗場行先階登録装置(2階)4-2で出力させてもよい。また、第1乗車ルート検索情報から該当する乗り継ぎ回数や総乗車距離の情報を取得し、併せて乗場行先階登録装置(2階)4-2で出力させてもよい。
【0059】
また、登録された乗場呼びの行先階が変更されると、運転制御部37-2により、割り当てられた第3エレベータ2-3に当該乗場呼びに応答させるための動作指示が送信される。動作指示を取得した第3エレベータ2-3は、指示に従って、出発階「2階」に乗りかごを停止させ、利用者を乗車させて乗り継ぎ階「3階」まで移動させる運転を行う。
【0060】
利用者が、2階から第3エレベータ2-3の乗りかごに乗車して乗り継ぎ階「3階」で降車し、第1バンクに対応した乗場行先階登録装置(3階)4-3aで7階を行先階とする乗場呼び登録操作を行うと、当該操作情報が第1バンク群管理装置3-1Aで取得される。そして、乗場呼び登録部35-1に、出発階が「3階」であり行先階が「7階」の乗場呼び呼びが登録される。
【0061】
乗場呼び登録部35-1に乗場呼びが登録されると、乗り継ぎ判定部36-1により、当該乗場呼びの出発階「3階」から行先階「7階」への移動について、乗車ルート検索情報生成部33-1に記憶された階床ルートテーブルが参照され、出発階が「3階」であり行先階が「6階」である場合の、出発階「3階」の次の降車階が「6階」であると判定される。ここで、判定された次の降車階「6階」は、登録された乗場呼びの行先階「7階」と異なるため、当該「6階」は乗り継ぎ階であると判定され、乗場呼び登録部35-1に登録された乗場呼びの行先階が「7階」から「6階」に変更される。
【0062】
登録された乗場呼びの行先階が変更されると、割り当てかご選定部38-1において、第1エレベータ2-1と第2エレベータ2-2の運転状況に基づいて当該乗場呼びに応答させるエレベータが割り当てられる。ここでは、第1エレベータ2-1が割り当てられたものとする。
【0063】
そして、当該乗場呼びに関して変更された行先階「6階」の情報と、割り当てられた第1エレベータ2-1の情報が乗場行先階登録装置(3階)4-3aに送信され、表示または音声により出力される。これにより、乗場呼び登録操作を行った利用者は、7階まで移動するために、第1エレベータ2-1を利用して6階で乗り継ぎをすることを認識することができる。このとき、第1バンク群管理装置3-1Aが乗り継ぎ先のエレベータ群(第3バンクのエレベータ2-5、2-6)を特定し、その情報を併せて乗場行先階登録装置(3階)4-3aで出力させてもよい。
【0064】
ここで仮に、利用者が誤って、3階で第2バンクに対応した乗場行先階登録装置(3階)4-3bで7階を行先階とする乗場呼び登録操作を行った場合には、「3階」から「6階」へ乗り継ぎなしで移動可能なエレベータを割り当てることができないため、第2バンク群管理装置3-2が第2バンクではサービス不可能であることを報知する情報を生成し、乗場行先階登録装置(3階)4-3bに出力させてもよい。また、各バンクのサービス階の情報を参照して第1バンクでサービス可能であることを確認し、第1バンクでサービス可能であることを報知する情報を併せて生成して、乗場行先階登録装置(3階)4-3bに出力させてもよい。
【0065】
利用者が、3階から第1エレベータ2-1の乗りかごに乗車して乗り継ぎ階「6階」で降車し、第3バンクに対応した乗場行先階登録装置(6階)4-6bで7階を行先階とする乗場呼び登録操作を行うと、当該操作情報が第3バンク群管理装置3-3で取得される。そして、乗場呼び登録部35-3に、出発階が「6階」であり行先階が「7階」の乗場呼び呼びが登録される。
【0066】
乗場呼び登録部35-3に乗場呼びが登録されると、6階から7階へは当該第3バンクでサービス可能であるため行先階の変更は行われず、割り当てかご選定部38-3において、第5エレベータ2-5と第6エレベータ2-6の運転状況に基づいて当該乗場呼びに応答させるエレベータが割り当てられる。ここでは、第5エレベータ2-5が割り当てられたものとする。
【0067】
そして、当該乗場呼びに関して登録された行先階「7階」の情報と、割り当てられた第5エレベータ2-5の情報が乗場行先階登録装置(6階)4-6bに送信され、表示または音声により出力される。これにより、乗場呼び登録操作を行った利用者は、第5エレベータ2-5を利用して7階まで移動可能であることを認識することができる。
【0068】
このとき、利用者が指定した行先階まで乗り継ぎなしで移動可能であるため、行先階の表示は省略してもよい。このようにエレベータシステム1Aを利用することにより、利用者は、出発階「2階」から行先階「7階」まで2回の乗り継ぎで移動することができる。
【0069】
上述した処理において、利用者が登録した乗場呼びの出発階と行先階との組み合わせに対応する、出発階の次の降車階の情報が、階床ルートテーブル内の該当セルに格納されていない場合には、該当する乗車ルートがなく、どの階床の乗場からも当該行先階へは行けないことを示す情報を、利用者が操作した乗場行先階登録装置から出力するようにしてもよい。
【0070】
以上の第1実施形態によれば、サービス階の異なる複数バンクのエレベータを備えたエレベータシステムを利用する際に、利用者が指定した行先階までの乗車ルートを検索するために用いる情報を自動で生成することにより、エレベータの出荷後に各バンクのサービス階が変更されても、利用者が確実に行先階まで到達可能な乗車ルートを検索して案内することができる。
【0071】
上述した第1実施形態においては、乗車ルート検索情報の階床ルートテーブルを生成する際に、乗車回数が最少のルートがまず優先され、乗車回数が同一で、乗り継ぎが有効な階床が複数ある場合には総乗車距離が少ないルートが選択される場合について説明した。しかしこれには限定されず、乗車回数よりも総乗車距離が少ないルートを優先して、該当する情報(出発階の次の降車階の情報)を階床ルートテーブルに格納するようにしてもよい。
【0072】
また、上述した第1実施形態においては第1乗車ルート検索情報を第1バンク群管理装置3-1Aで生成し、これを第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3に送信して利用させる場合について説明した。しかしこれには限定されず、第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3にも第1バンク群管理装置3-1の乗車ルート検索情報生成部33-1と同様の機能を搭載し、それぞれの群管理装置で個別に第1乗車ルート検索情報を生成するようにしてもよい。
【0073】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態では、複数バンクのエレベータが設置されたエレベータシステム1Bで、利用者が指定する行先階までの乗車ルートを検索する際に、エレベータ乗場が混雑している階床を乗り継ぎ階からなるべく避けて、乗車ルートを検索する場合について説明する。
【0074】
例えば、乗り継ぎ階として利用可能な5階のエレベータ乗場が激しく混雑している場合は、所望の行先階までの移動にエレベータの乗り継ぎが必須であり、その乗り継ぎ可能階が5階を含めて複数あれば、混雑していない他の階で乗り継ぎを行うように乗車ルートを検索する。このように処理を実行することで、利用者がスムーズに乗り継ぎを行うことができ、利便性を向上させることができる。この場合でも、5階を出発階または行先階とする利用や、行先階までの移動にエレベータの乗り継ぎが必須であり、その乗り継ぎ可能階が5階のみである場合には、引き続き5階を利用して乗車ルートを検索する。
【0075】
〈第2実施形態による乗り継ぎ階情報生成装置を用いたエレベータシステムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータシステム1Bは、図11に示すように、第1バンク群管理装置3-1B内に乗場混雑情報取得部39-1を有する他は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0076】
乗場混雑情報取得部39-1は、各階床の乗場に設置されたカメラ装置(図示せず)の撮像情報や赤外線センサ(図示せず)による検知情報等により、各階床の乗場の混雑度を示す情報を取得する。
【0077】
乗車ルート検索情報生成部33-1は、エレベータシステム1Bの構築時に第1実施形態で説明した処理により第1乗車ルート検索情報を生成するとともに、乗場混雑情報取得部39-1で取得された混雑度が所定値を超えた階床を検知したときに、当該階床を乗り継ぎ階からなるべく避けて乗車ルートを検索するための第2乗車ルート検索情報を生成する。
【0078】
乗車ルート検索情報記憶部34-1~34-3は、乗車ルート検索情報生成部33-1で生成された第1乗車ルート検索情報および第2乗車ルート検索情報を記憶する。
【0079】
乗り継ぎ判定部36-1~36-3は、乗場呼び登録部35-1~35-3に登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、通常時は第1乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否を判定して必要に応じて当該乗場呼びの行先階の情報を変更する。また、乗場混雑情報取得部39-1で取得された混雑度が所定値を超えた階床を検知したときには、第2乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否を判定して必要に応じて当該乗場呼びの行先階の情報を変更する。
【0080】
〈第2実施形態による乗り継ぎ階情報生成装置を用いたエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Bにおいて、乗車ルート検索情報を生成する処理について説明する。本実施形態において、エレベータシステム1Bの構築時に乗車ルート検索情報生成部33-1において、第1実施形態で説明した処理により第1乗車ルート検索情報が生成され、乗車ルート検索情報記憶部34-1に記憶されている。エレベータシステム1Bの稼動開始後、通常時は、乗り継ぎ判定部36-1により、乗場呼び登録部35-3に登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、第1乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否が判定され、必要に応じて当該乗場呼びの行先階の情報が変更される。
【0081】
エレベータシステム1Bの稼動中、乗場混雑情報取得部39-1で取得されたいずれかの階床の混雑度が所定値を超えると、乗車ルート検索情報生成部33-1でこれが検知され、当該階床を乗り継ぎ階からなるべく避けて乗車ルートを検索するための第2乗車ルート検索情報が生成される。乗車ルート検索情報生成部33-1で実行される第2乗車ルート検索情報の生成処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0082】
まず、混雑度が所定値を超えた階床が検知されると(S41の「YES」)、出発階と行先階との組み合わせのうち、乗車回数1回(n=1)でサービス可能な組み合わせに対し、第1実施形態のステップS11~S14と同様の処理が実行され、各テーブルの該当するセルに情報が格納される(S42)。
【0083】
次に、出発階と行先階との組み合わせのうち、乗車回数2回、つまり乗り継ぎ回数が1回でサービス可能な組み合わせに対し、第1実施形態のステップS21~S25と同様の処理が実行される(S43、S44)。次に、各テーブルに格納された情報のうち、行先階が、乗場の混雑度が所定値を超えた階床ではなく、次の降車階が、乗場の混雑度を超えた階床である組み合わせについては、対応するセルの情報が削除される(S45)。このS44、S45の処理は、処理対象の乗車回数が階床数-1である6回まで繰り返される(S46の「NO」)。
【0084】
これらの処理を実行後、乗車ルートが生成できなかった出発階と行先階との組み合わせがあり、各テーブル内に空欄のセルがある場合には(S47の「YES」)、当該空欄のセルに、混雑状態を考慮せずに生成した第1乗車ルート検索情報の対応セルと同値が格納される(S48)。このようにして生成された階床ルートテーブル、乗換回数テーブル、および総乗車距離テーブルが第2乗車ルート検索情報として生成され、乗車ルート検索情報記憶部34-1に記憶される(S49)。
【0085】
また、生成された第2乗車ルート検索情報は、当該第2乗車ルート検索情報への切り替え指示とともに、情報通信部31-1を介して第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3に送信される。第2バンク群管理装置3-2では、第1バンク群管理装置3-1Bから送信された第2乗車ルート検索情報が情報通信部31-2で受信され、乗車ルート検索情報記憶部34-2に記憶される。同様に、第3バンク群管理装置3-3においても、乗車ルート検索情報記憶部34-3に第2乗車ルート検索情報が記憶される。
【0086】
以降、各乗り継ぎ判定部36-1~36-3では、乗場呼び登録部35-1~35-3に登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、乗車ルート検索情報記憶部34-1~34-3に記憶された第2乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否が判定され、必要に応じて当該乗場呼びの行先階の情報が変更される。そして、乗場混雑情報取得部39-1で取得された当該階床の混雑度が所定値以下になると、通常時の処理に戻り、第1乗車ルート検索情報への切り替え指示が情報通信部31-1を介して第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3に送信される。そして、乗り継ぎ判定部36-1~36-3により、登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、第1乗車ルート検索情報が用いられて必要に応じて当該乗場呼びの行先階の情報が変更される。
【0087】
以上の第2実施形態によれば、複数バンクのエレベータを利用した乗車ルートを利用者に案内する際に、混雑している階床での乗り継ぎをなるべく避けることで、利用者の利便性を向上させることができる。
【0088】
上述した第2実施形態においては第2乗車ルート検索情報を第1バンク群管理装置3-1Bで生成し、これを第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3に送信して利用させる場合について説明した。しかしこれには限定されず、第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3にも第1バンク群管理装置3-1の乗車ルート検索情報生成部33-1と同様の機能を搭載し、それぞれの群管理装置で個別に第2乗車ルート検索情報を生成するようにしてもよい。
【0089】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態では、複数バンクのエレベータが設置されたエレベータシステム1Cで利用者が指定する行先階までの乗車ルートを検索する際に、乗りかごが混雑していて乗り込めない可能性が高い、所定階床から所定方向への乗車をなるべく避けて、乗車ルートを検索する場合について説明する。例えば、オフィスの終業時刻直後であり退勤者が集中する時間帯には下り方向の利用者が殺到し、下の階ほど下方向に移動する乗りかごに乗車することが困難になるため、このような乗車の可能性が低い階を乗り継ぎ階から避けるようにする。
【0090】
〈第3実施形態による乗り継ぎ階情報生成装置を用いたエレベータシステムの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータシステム1Cは、図13に示すように、第1バンク群管理装置3-1C内に混雑予測情報保持部40-1を有する他は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0091】
本実施形態において第1バンク群管理装置3-1Cの混雑予測情報保持部40-1は、予め設定された、所定の時間帯に、混雑によりエレベータへの乗り込みが困難になる可能性が高い階床と方向との組み合わせの情報を、混雑予測情報として保持する。例えば、オフィスの終業時刻直後の17時~17時半の時間帯に、5階~2階を出発階とする下方向のエレベータ利用に関し、乗り込みが困難であることを示す混雑予測情報を保持する。
【0092】
乗車ルート検索情報生成部33-1は、エレベータシステム1Cの構築時に第1実施形態で説明した処理により第1乗車ルート検索情報を生成するとともに、混雑予測情報保持部40-1に保持された混雑予測情報に基づいて、乗りかごが混雑していて乗り込めない可能性が高い、所定階床から所定方向への乗車をなるべく避けて乗車ルートを検索するための第3乗車ルート検索情報を生成する。
【0093】
乗車ルート検索情報記憶部34-1~34-3は、乗車ルート検索情報生成部33-1で生成された第1乗車ルート検索情報および第3乗車ルート検索情報を記憶する。
【0094】
乗り継ぎ判定部36-1~36-3は、乗場呼び登録部35-1~35-3に登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、通常時は第1乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否を判定して必要に応じて当該乗場呼びの行先階の情報を変更する。また、混雑予測情報保持部40-1で保持された混雑予測情報で示される時間帯が到来したときには、第3乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否を判定して必要に応じて当該乗場呼びの行先階の情報を変更する。
【0095】
〈第3実施形態による乗り継ぎ階情報生成装置を用いたエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Cにおいて、乗車ルート検索情報を生成する処理について説明する。本実施形態において、エレベータシステム1Cの構築時に乗車ルート検索情報生成部33-1において、第1実施形態で説明した処理により第1乗車ルート検索情報が生成されるとともに、混雑予測情報保持部40-1に保持された混雑予測情報に基づいて、乗りかごが混雑していて乗り込めない可能性が高い、所定階床から所定方向への乗車をなるべく避けて乗車ルートを検索するための第3乗車ルート検索情報が生成され、乗車ルート検索情報記憶部34-1に記憶されている。
【0096】
乗車ルート検索情報生成部33-1において、混雑予測情報に基づいて第3乗車ルート検索情報が生成される際の処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。
【0097】
まず、出発階と行先階との組み合わせのうち、乗車回数1回(n=1)でサービス可能な組み合わせに対し、第1実施形態のステップS11~S14と同様の処理が実行され、各テーブルの該当するセルに情報が格納される(S51)。そして、各テーブルに格納された情報のうち、混雑予測情報保持部40-1に保持された混雑予測情報で示される階床を出発階とし、該当する方向にある階床を行先階とする組み合わせに対応するセルの情報が削除される(S52)。
【0098】
次に、出発階と行先階との組み合わせのうち、乗車回数2回、つまり乗り継ぎ回数が1回でサービス可能な組み合わせに対し、第1実施形態のステップS21~S25と同様の処理が実行される(S43、S44)。次に、各テーブルに格納された情報のうち、次の降車階が混雑予測情報保持部40-1に保持された混雑予測情報で示される階床であり、該当する方向にある階床を行先とする組み合わせ、つまり当該次の降車階から、該当する方向にエレベータを乗り継ぐ見込みのある組み合わせに対応するセルの情報が削除される(S55)。このS54、S55の処理は、処理対象の乗車回数が階床数-1である6回まで繰り返される(S56の「NO」)。
【0099】
これらの処理を実行後、乗車ルートが生成できなかった出発階と行先階との組み合わせがあり、各テーブル内に空欄のセルがある場合には(S57の「YES」)、当該空欄のセルに、混雑状態を考慮せずに生成した第1乗車ルート検索情報の対応セルと同値が格納される(S58)。このようにして生成された階床ルートテーブル、乗換回数テーブル、および総乗車距離テーブルが第3乗車ルート検索情報として生成され、乗車ルート検索情報記憶部34-1に記憶される(S59)。
【0100】
また、生成された第3乗車ルート検索情報は、情報通信部31-1を介して第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3に送信される。第2バンク群管理装置3-2では、第1バンク群管理装置3-1Cから送信された第3乗車ルート検索情報が情報通信部31-2で受信され、乗車ルート検索情報記憶部34-2に記憶される。同様に、第3バンク群管理装置3-3においても、乗車ルート検索情報記憶部34-3に第3乗車ルート検索情報が記憶される。
【0101】
そして、混雑予測情報保持部40-1で保持された混雑予測情報で示される時間帯が到来すると、当該第2乗車ルート検索情報への切り替え指示が情報通信部31-1を介して第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3に送信され、乗り継ぎ判定部36-1~36-3により、乗場呼び登録部35-1~35-3に登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、乗車ルート検索情報記憶部34-1~34-3に記憶された第3乗車ルート検索情報に基づいて乗り継ぎの要否が判定され、必要に応じて当該乗場呼びの行先階の情報が変更される。その後、当該時間帯を過ぎると、通常時の処理に戻り、乗り継ぎ判定部36-1~36-3により、登録された乗場呼びの出発階から行先階への移動について、第1乗車ルート検索情報が用いられて必要に応じて当該乗場呼びの行先階の情報が変更される。
【0102】
以上の第3実施形態によれば、複数バンクのエレベータを利用した乗車ルートを利用者に案内する際に、所定時間帯に乗りかごが混雑していて乗り込めない可能性が高い、所定階床から所定方向への乗車をなるべく避けて、乗車ルートを検索することで、利用者の利便性を向上させることができる。
【0103】
上述した第3実施形態においては第3乗車ルート検索情報を第1バンク群管理装置3-1Cで生成し、これを第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3に送信して利用させる場合について説明した。しかしこれには限定されず、第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3にも第1バンク群管理装置3-1の乗車ルート検索情報生成部33-1と同様の機能を搭載し、それぞれの群管理装置で個別に第3乗車ルート検索情報を生成するようにしてもよい。また、混雑予測情報保持部40-1の機能を第2バンク群管理装置3-2および第3バンク群管理装置3-3にも搭載し、混雑予測情報で示される時間帯が到来したか否かを、各郡管理装置で判断してもよい。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1A,1B,1C…エレベータシステム、2-1~2-6…エレベータ、3-1A,3-1B,3-1C…第1バンク群管理装置、3-2…第2バンク群管理装置、3-3…第3バンク群管理装置、4-1~4-7…乗場行先階登録装置、31-1~31-3…情報通信部、32-1~32-3…サービス範囲情報記憶部、33-1…乗車ルート検索情報生成部、34-1~34-3…乗車ルート検索情報記憶部、35-1~35-3…乗場呼び登録部、36-1~36-3…乗り継ぎ判定部、37-1~37-3…運転制御部、38-1~38-3…割り当てかご選定部、39-1…乗場混雑情報取得部、40-1…混雑予測情報保持部
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