(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】試験体
(51)【国際特許分類】
G01N 23/083 20180101AFI20220125BHJP
G01N 33/12 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G01N23/083
G01N33/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020079029
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】10 2019 111 560.4
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506186673
【氏名又は名称】ヴィポテック ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】ADAM-HOFFMANN STRASSE 26, 67657 KAISERSLAUTERN,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ ヘイル
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ブーア
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-291729(JP,A)
【文献】米国特許第06570955(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0206182(US,A1)
【文献】特開2012-145507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0037072(US,A1)
【文献】国際公開第2017/069286(WO,A1)
【文献】特開2017-077271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
A61B 6/00-6/14
G01B 15/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検査設備のための試験体(R)のためのプロファイルブロック(A)において、
当該プロファイルブロック(A)は長手方向(X)、これと直角に延びる横方向(Y)、および前記両方の方向(X,Y)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)に延び、
a)上面(OA)および下面(UA)を有する、第1の材料(MA)から構成される好ましくはモノリシックな前記プロファイルブロック(A)を含み、
b)前記プロファイルブロック(A)はX-Yマトリクスで、試験目的のために透過照射可能である、それぞれ一定の厚み(Dxy)をZ方向に有するセグメント(Sxy)を有し、各々セグメントはそれぞれのX座標とY座標(x,y)により識別可能であり、
c)X方向には(n)の数のセグメント(Sxy)が設けられるとともにY方向には(k)の数のセグメント(Sxy)が(n>1,k>1)をもって設けられ、
d)各々のセグメント(Sxy)はZ方向で付属の上面高さ(HOxy)を有する上面から付属の下面高さ(HUxy)を有する下面まで延び、それによって厚み(Dxy)を形成し、
e)すべてのセグメント(Sxy)の透過照射のために意図される領域はZ方向で、各々の下面高さ(HUxy)についての最小値を形成するベースレベル(Hmin)と、各々の上面高さ(HOxy)についての最大値を形成する最大レベル(Hmax)との間に延び、
f)前記プロファイルブロック(A)は前記ベースレベル(Hmin)の上方に複数(f)の異なる上面高さ(HOxy)を有するセグメント(Sxy)を有する、そのような前記プロファイルブロックにおいて、
g)少なくとも4つの、好ましくはすべてのセグメント(Sxy)について、
g1)上面高さ(HOxy)はx添字が増すにつれて、およびy添字が増すにつれて、多くとも最大レベル(Hmax)まで増えていき、
g2)下面高さ(HUxy)はx添字が増すにつれて一定に保たれ、y添字が増すにつれて増えていくことを特徴とするプロファイルブロック。
【請求項2】
x添字が増すにつれての厚み変化はそれぞれ等しいことを特徴とする、
請求項1に記載のプロファイルブロック(A)。
【請求項3】
厚み(Dxy)はx添字が増すにつれて増えていき、Y添字が増すにつれて一定に保たれることを特徴とする、請求項
1または
2に記載のプロファイルブロック(A)。
【請求項4】
厚み(Dxy)は条件Dxy=HOxy-HUxyから帰結され、少なくとも4つの、好ましくはすべてのセグメント(Sxy)の群について次式:
HOxy=Hmin+(Hmax-Hmin)・(x+y-1)/f
かつ、
HUxy=Hmin+(Hmax-Hmin)・(y-1)/f
が成り立つことを特徴とする、請求項
1から
3のいずれか1項に記載のプロファイルブロック(A)。
【請求項5】
X線検査設備のための試験体(R)であって、第1の材料(MA)から構成された好ましくはモノリシックなプロファイルブロック(A)を有する試験体において、
当該試験体の前記プロファイルブロック(A)は長手方向(X)、これと直角に延びる横方向(Y)、および前記両方の方向(X,Y)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)に延び、かつ前記試験体は長手方向(X)、横方向(Y)、および高さ方向(Z)に延びて階段状の上面(OB)を有する、第2の材料(MB)から構成される好ましくはモノリシックな少なくとも1つの対応ブロック(B)をさらに含み、
a)前記対応ブロック(B)は、X方向に沿ってそれぞれ一定の段部厚み(DTy)を有する、Y方向で相前後して位置して試験目的のために透過照射可能な複数(m)の段部(Ty)によって構成され、
b)前記対応ブロック(B)は前記プロファイルブロック(A)の上方または下方でこれに対して高さ方向(Z)に間隔をおいて、または間隔なしに向かい合い、
それにより両方のペアをなすブロック(A,B)
はX-Yマトリクスで、試験目的のために透過照射可能である、それぞれ一定の厚み(Dxy)をZ方向に有するセグメント(Sxy)を有し、各々セグメントはそれぞれのX座標とY座標(x,y)により識別可能であり、ペアをなす前記ブロック(A,B)を前記セグメント(Sxy)の領域でZ方向に一緒に透過照射して、複数の
前記セグメント(Sxy)について、当該セグメント(Sxy)で相上下して位置する両方のブロックの共同での透過照射特性を特徴づける値をそれぞれ検出することができる試験体。
【請求項6】
階段段部(Ty)のY方向の寸法は前記プロファイルブロック(A)のセグメント(Sxy)のY寸法に相当することを特徴とする、
請求項5に記載の試験体。
【請求項7】
各々の段部(Ty)は、実質的に平坦なすべての段部に共通の前記対応ブロック(B)の下面(UB)から、各々の段部(Ty)について異なる、前記下面(UB)の上方の高さまで延びることを特徴とする、請求項
5または
6に記載の試験体。
【請求項8】
前記プロファイルブロック(A)の区域(A0)がX方向またはY方向に張出部の形態で前記対応ブロック(B)から側方に突出し、その結果、そこでは前記プロファイルブロック(A)の上方または下方に前記対応ブロック(B)の区域が配置されないことを特徴とする、請求項
5から
7のいずれか1項に記載の試験体。
【請求項9】
前記対応ブロック(B)の区域(B0)がX方向またはY方向に張出部の形態で前記プロファイルブロック(A)から側方に突出し、その結果、そこには前記対応ブロック(B)の上方または下方に前記プロファイルブロック(A)の区域が配置されないことを特徴とする、請求項
5から
8のいずれか1項に記載の試験体。
【請求項10】
前記張出部がそれぞれ他方のブロックから突出する寸法は、前記張出部に接する他方のブロックのセグメントの、同じ方向で測定されるべき寸法に相当することを特徴とする、請求項
8または
9に記載の試験体。
【請求項11】
全体厚みが等しい複数のセグメントが設けられ、全体厚みが等しいセグメントはX-Yマトリクスにおいて、
a)コーナーを介して互いに隣接し、および/または
b)それぞれの座標が条件(x+y)=一定に従うことによって定義されることを特徴とする、請求項
5から
10のいずれか1項に記載の試験体。
【請求項12】
前記プロファイルブロック(A)はその下面(UA)をもって前記対応ブロック(B)の上面(OB)の上に載置されることを特徴とする、請求項
6から
11のいずれか1項に記載の試験体。
【請求項13】
Z方向で前記プロファイルブロックおよび前記対応ブロックの構造の上方、下方、または間に位置決めされる、第3の材料(MC,MD)から構成される好ましくはモノリシックな補足ブロック(C,D,..)が設けられることを特徴とする、請求項
6から
12のいずれか1項に記載の試験体。
【請求項14】
前記ブロック(A,B,C,D...)のうちの1つまたは複数は、好ましくはX線ビームにより検出可能である、および/または情報を含む、もしくは前記ブロック(A,B,C,D..)のうちの少なくとも1つに割当可能にする識別表示手段を有し、これは、
a)前記ブロック(A,B,C,D...)のうちの少なくとも1つの一義的な識別に関し、および/または
b)前記ブロック(A,B,C,D...)のうちの少なくとも1つの最新の向きおよび/または位置に関し、および/または
c)個々のセグメント(Sxy)についての特性値または修正値もしくはその透過照射特性に関することを特徴とする、請求項
6から
13のいずれか1項に記載の試験体。
【請求項15】
請求項
6から
14のいずれか1項に記載の試験体を含んでいるX線検査装置。
【請求項16】
請求項
6から
14のいずれか1項に記載の試験体を利用して材料ペアリングの透過照射特性を検出する方法において、次の各ステップを含み、
a)プロファイルブロック(A)ならびに前記プロファイルブロックとペアリングされた対応ブロック(B)および/または補足ブロック(C)のセグメント(Sxy)が方向(Z)で電磁放射により、特にX線放射により透過照射され、
b)前記試験体の透過照射特性をセグメント(Sxy)の領域で特徴づける少なくとも1つの量が検出される方法。
【請求項17】
セグメント(Sxy)に関わる量を決定するために、X方向および/またはY方向で隣接するセグメントから定義された最低間隔を守っている前記セグメントの面領域が透過照射される、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
請求項
6から
14のいずれか1項に記載の試験体の利用法において、前記試験体により構成された1つまたは複数の材料ペアリングの透過照射
特性を判定するための利用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁ビームによって、好ましくはX線ビームによって透過照射するための試験体に関する。試験体は、材料の、特に異なる材料のペアリングの、透過照射特性を表す基準値を決定するための役目を果たす。
【背景技術】
【0002】
製品の、特に食料品の工業的な製造では、望ましくない異物や不純物などに関する製品の検査がしばしば必要であり、または、製品の材料Aの内部、上方、または下方の特定の位置における特定の材料Bの割合ないし厚みが判定される。たとえば、(材料Aとしての)一片の肉が、特定の位置に(材料Bとしての)骨や脂を有しているか否か、もしくはどれだけの割合で有しているかを確認することが意図される。そのために製品をX線ビームによって透過照射することができ、原則として、たとえばテラヘルツ放射など、透過照射に適したそれ以外のどのようなエネルギー形態でも適用することができる。透過照射された製品から出てくるX線ビームの残留強度が、検出器(ラインセンサまたは平面センサ)を通じて検出されて、強度に対応するいわゆる「グレー値」へと変換される。そしてこのグレー値は、単独で透過照射された材料の特定の厚みについて特徴的であり、または、特定の厚みの材料Aと特定の厚みの材料Bとの組み合わせについて特徴的である(この厚みは、材料Aの厚みとは相違していてもよい)。
【0003】
操業中に測定されたグレー値から、1つの材料の、または互いに組み合わされた各材料の、正確な厚みを割り当てることができるようにするために、対象となる各々の材料厚みについて、ないしは2つの異なる材料の各々のペアリングについて、それぞれ異なる厚みで対応するグレー値が事前に判定ないしシミュレートされて、割り当てをするために適当なデータ処理装置で、たとえば表形式で保存しておくことができる(学習段階)。そのときに割り当てが確定されるので、アジャストという用語を用いることもでき、試験体に「アジャスト体」という名称を付すこともできるであろう。そして、通常の操業時に測定されたグレー値について、純粋な材料の厚みを、または放射方向に相前後して位置する各材料の厚みを、表を参照して判定することができる。
【0004】
透過照射特性をシミュレーションするために、従来の実作業では、対象となる両方の材料が順次それぞれ異なる厚みで相上下して重ねられてそれぞれ透過照射されて、対応するグレー値を判定し、保存できるようにする(好ましくは、その際に材料そのものでなく、同一または類似の透過照射特性を有する、恒常的に耐久性があり良好に加工可能な代替材料が用いられる)。このような方式で、関連するすべての厚み組み合わせを含むグレー値表を作成するのは非常に時間コストがかかり、各々の代替材料のさまざまに異なる厚みでの準備もコストがかかる。
【発明の概要】
【0005】
したがって本発明の課題は、2つまたはそれ以上の異なる材料の考えられる多数の組み合わせについてそのつど選択可能な厚みで、少ない時間的および設計的なコストのもとで、それぞれ基準値(グレー値)を検出できるようにするための装置および方法を提供することであった。
【0006】
この課題は、請求項1に記載の試験体、請求項3に記載のプロファイルブロック、および請求項18に記載の方法によって解決される。
【0007】
本発明が依拠する知見は、各材料のうちの1つから形成される特別なプロファイルブロックによって、少なくとも2つの材料の組み合わせを、それぞれ変化する厚みで可能にすることができるというものである。プロファイルブロックは、第1の水平の長手方向Xと、これに対して直角をなす、同じく水平の横方向Yとの実質的に二次元で構成される。このとき両方の方向X,Yに対して垂直の第3の方向Zは、同時に厚みの方向である。プロファイルブロックは、生産操業時に調べられるべき製品材料と同一または非常に類似する透過照射特性を有する第1の材料MAから製作される。プロファイルブロックは、そのためにモノリシックに構成されていてよい。プロファイルブロックは、操業の進行時に調べられるべき第2の材料と同一または非常に類似する透過照射特性を有する第2の材料MBからなる対応ブロックと組み合わせ可能である。本発明によるとこの組み合わせは、プロファイルブロックと対応ブロックがZ方向ないしは透過照射方向で互いに上または下に配置されて一緒に透過照射されることによって行われる。プロファイルブロックの材料MAの透過照射特性はX線ビームに関して、対応ブロックBの材料MBのものとは相違するのが好都合である。
【0008】
プロファイルブロックと対応ブロックは、本発明に基づく試験体を共同で構成する。本発明は、プロファイルブロックがX-Yマトリクスにおいて、Z方向にそれぞれ一定の厚みDxyを有するセグメントSxyを有することを意図する。各々のセグメントは、そのそれぞれのXおよびY座標(x,y)によって識別可能であり、X-Y平面に位置するセグメント領域でZ方向に透過照射可能である。X方向には複数のn個のセグメントが設けられ、Y方向には複数のk個のセグメントが設けられ、nとkはそれぞれ1よりも大きい。各々のセグメントはZ方向で、上面高さHOxyに位置する上面Oxyから、下面高さHUxyに位置する下面Uxyまで延びており、それによって厚みDxyを形成する。
【0009】
プロファイルブロック(厳密には透過照射のために意図されるそのセグメント領域)は、Z方向で、各々の下面高さHUxyについての最小値を構成するベースレベルHminと、各々の上面高さHOxyについての最大値を構成する最大レベルHmaxとの間に延びている。
【0010】
本発明の根底にある思想は、プロファイルブロックを長手方向(X方向)でセグメントごとに増していく厚みを有するように構成することに依拠しており、この厚みはそれぞれ一定の値だけ増えていくのが好ましい。それに対して、X方向に対して直交する横方向(Y方向)では、それぞれのX座標によって設定される厚みはY座標に関わりなく一定である。ただし本発明によると、Y座標に依存してそれぞれのセグメントの高さ位置は変化する。この高さ位置は、Y座標が増すにつれてそれぞれ一定の値だけ変化するのが好ましい。それによりプロファイルブロックはその上面で、増していくX方向とY方向でそれぞれ上昇して階段の形態を与えられる。それに対して下面は、階段に対して相補的に構成され、その段部はX方向で一定の高さを有し、それに対して下面の高さはY方向で各々の段部とともに増していく。
【0011】
このように、材料MAからなるプロファイルブロックは、Z方向で-たとえば積み重ねることで-、上面OBがプロファイルブロックの下面に対して相補的に構成された階段の形態で成形された材料MBからなる対応ブロックと組み合わせ可能であり、対応ブロックに対して相対的なプロファイルブロックの位置を試験配置と呼ぶこととする。このとき対応ブロックが、増していくY座標につれて各々の段部の厚みが増えていくように構成されていると、個々のセグメントについてプロファイルブロックのX-Yマトリクスでその下に位置する対応ブロックとともに、X方向に増していきY方向に一定の厚みのそれぞれ材料MAと、X方向に一定でY方向に増していく厚みの材料MBとの組み合わせが生じる。このようにして、それぞれ異なる厚みの多数の材料組み合わせを比較的小さいスペースで成立させることができ、試験配置を変更する必要がない。「セグメント」という概念は、プロファイルブロックが対応ブロックと組み合わされているとき、セグメント座標によって規定される位置でZ方向に全体として生じる材料ないし材料組み合わせを含む。
【0012】
試験配置は、すなわち対応ブロックに対して相対的なプロファイルブロックの位置は、要求事項に応じて設定可能である。両方のブロックは互いに直接的に密着させることができ、Z方向では相互に間隔をおくように位置決めすることができ、または、これに対して横向きに1つまたは複数のセグメント幅の分だけオフセットして配置されていてよい。
【0013】
備考:ある材料の透過照射特性は、通常、材料厚みに依存して変化する。それぞれ異なる材料厚みの組み合わせは、本発明によると、2つの材料の厚み依存的な透過照射特性を組み合わせるための役目を果たす。このような背景のもとで、本件出願に記載される異なる厚みの、または異なる材料の組み合わせは、それぞれ相違する材料の異なる透過照射特性(厳密には吸収特性)の組み合わせとして理解される。
【0014】
そして、プロファイルブロックと対応ブロックから構成された試験体を学習段階で、たとえばX方向に、これに対して横向きに延びる扇型X線ビームを通過するように移動させることができ、このとき各々のセグメントをZ方向に通過するX線ビームが、その下に位置する検出器によってセグメント関連で検出されて、少なくともその残留強度に関して評価される。従来技術とは異なり、第1の材料のさまざまに異なる厚みを第2の材料のさまざまに異なる厚みと重ね合わせるために、各々の所望の厚み組み合わせを時間的に順次検出するために材料を互いに相対的に動かさなくてよくなる。関連するすべての組み合わせが、マトリクスとして構成された試験体によってすでに完成した状態で構成されるからである。したがって、個々のセグメントの透過照射と検出、および制御ユニットないしデータ処理ユニットでのそれぞれのグレー値の評価と保存をスムーズに、かつプロファイルブロックと対応ブロックの相互のただ1つの相対位置で行うことができる。
【0015】
従来技術との好ましい違いは明白である。従来、個々の材料ペアリングは(Z方向に相上下して位置するように)それぞれ1つの方向でのみ、たとえば長手方向Xでのみ、相前後して位置するように配置されていた。あらゆる所望の厚みペアリングをそのように相前後して位置するように構成するためには、非常に長く扱いにくい試験体が必要であり、したがって、このような試験体は扇型X線ビームに対して平行に(搬送装置に対して横向きに)これを通過するように動かすことができない(または、個々のペアリングは搬送装置に対して横向きに限られた検出幅に基づき、信頼度の高い吸収値を判定できるようにするには短すぎる)。したがって、試験体の長手方向Xが透過照射のときに搬送方向に、かつこれに対して横向きにではなく延びていると、個々のすべての厚みペアリングの透過照射は不釣り合いに長くかかる。それに対して本発明による試験体は、わずかな水平方向の面の上で二次元に数多くの異なる厚み組み合わせを提供し、コンパクトな構成に基づき、試験体のX軸ないしY軸が学習段階で扇型X線ビームに対して直角または平行に、あるいは自由に選択可能な角度にアライメントされていてよく、それにもかかわらず、すべての厚み組み合わせの迅速な検出が容易に可能である。
【0016】
プロファイルブロックの各々のセグメントは、上面高さHO
xyを有する。上面高さは、X方向とY方向でそれぞれセグメントごとに増えていき、その結果、各セグメントは全体として個数fの異なる上面高さを形成する。たとえば10×10のセグメントマトリクスを有するプロファイルブロックは、19の異なる上面高さを有する100個のセグメントを構成することになる。ただし、たとえば座標x=10,y=1を有するセグメントの上面のレベルまでにプロファイルブロックの最大高さを制限するのが好都合な場合があり、座標合計(x+y)が10よりも大きいすべてのセグメントが、等しい上面高さHO
xy=H
maxを有することにつながる(
図1参照)。(x+y)>10を有するセグメントについて、このケースではプロファイルブロックの厚みはY座標が増すにつれて再び減っていき、増していくX座標のもとでは一定に保たれる。この制限は、所望のどのようなレベルに位置することもできる。
【0017】
本発明によるとプロファイルブロックは、少なくとも4つの、好ましくはすべてのセグメントについて上面高さHOxyが、x添字が増すにつれて、およびy添字が増すにつれて、最大レベル(Hmax)まで増えていき、それに対して下面高さ(HUxy)はx添字が増すにつれて一定に保たれ、y添字が増すにつれて増えていくように構成される。
【0018】
第1の材料MAからなるこのようなプロファイルブロックは、第2の材料からなる適切な対応ブロックを用いて、請求項1に記載された本発明に基づく試験体をなすように組み合わせ可能である。このときプロファイルブロックと対応ブロックは、長手方向(x)、これに対して直角に延びる横方向(Y)、およびこれら両方の方向(X,Y)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)に延びる。
【0019】
プロファイルブロックは、Z方向で相違する厚みDA1,DA2,...を有する複数の領域を有し、Z方向で相違する厚み(DB1,DB2,...)を有する複数の領域を有する対応ブロックも同様である。プロファイルブロックと対応ブロックは、Z方向に透過照射可能な、互いに異なる材料ペアリングを共同で構成するために、Z方向に設定可能な試験配置で相上下して配置可能である。このとき本発明によると、試験配置のときプロファイルブロックの少なくとも2つの、好ましくはすべての異なる厚みDA1,DA2,...が、それぞれ少なくとも2つの、好ましくはすべての異なる厚みDB1,DB2,...と組み合わされる。したがって、プロファイルブロックに存在する各々の個々の厚みに対して、対応ブロックに形成されている各々の個々の厚みとの組み合わせがそれぞれ存在し、その結果、次のような体系の材料ペアリングが生じる:
DA1-DB1;DA1-DB2;DA1-DB3;...DA2-DB1;DA2-DB2;DA2-DB3..
.以下同様
【0020】
本発明の1つの好ましい実施形態は、プロファイルブロックのそれぞれ異なる個別厚みと対応ブロックのそれぞれ異なる個別厚みと組み合わせがそれぞれ試験体の等しい全体厚みにつながる複数のセグメントを試験体が有するように、プロファイルブロックと対応ブロックの厚みが選択されることを意図する。このような全体厚みは、たとえば透過照射されるべき肉片(肉:材料MA)の厚みに相当することになり、このとき肉片は、この全体厚みが一片の骨(骨:材料MB)によって構成されているか否か、ないしはどれだけの部分で構成されているかに関して調べることができる。等しい全体厚みにもかかわらず、肉片の調べられた領域の内部にいずれの材料がどのような厚みで存在するかに応じて、それぞれ相違するグレー値ないし吸収特性が生じる。そして肉片の全体厚みがわかっているので、まず、このような全体厚みについてシミュレーションされた、事前に学習されて表に保存されているグレー値を選択することができる。そしてこれらのグレー値から、測定されたグレー値にもっとも良く呼応するものを選択することができる。そして、このシミュレートされたグレー値に対応する材料ペアリングを、保存されている表から決定することができる。
【0021】
全体厚みの等しい2つのセグメントは、それぞれの座標の合計が一定である(x+y=一定)という条件のもとで、試験体において互いに対角線上で隣接するのが好ましい。そして等しい全体厚みの領域は、ほぼ正方形または長方形のセグメントを有する試験体において対角線の方向に延びる(たとえば
図2a参照)。
【0022】
本発明の1つの好ましい実施形態では、プロファイルブロックの厚みはx添字が増すにつれて一定の値だけ変化する。そしてプロファイルブロックの透過照射されるべき厚みは、X座標が増すにつれて線形に変化する。このことが好都合なのは、材料の透過照射特性が、ないしはプロファイルブロックに向けられてその後に検出器で検出されるX線ビームの放射強度が、厚みに対して線形の挙動を示す場合である。しかしながら、X方向でそれぞれ隣接するセグメントに対する厚みの変化が、別の非線形の数学的な条件に従う態様も考えられる。たとえば特定のプラスチックや金属は、それぞれ透過照射された厚みに対して比例以上または比例以下にX線ビームを吸収することがあり得る。吸収の非線形の関係に合わせて個々の厚みを適合化することで、検出されたX線ビームの放射吸収ないし放射強度が、X座標またはY座標が増すにつれて、それにもかかわらず段階的に線形に減少または増加することを保証することができる。
【0023】
本発明によるプロファイルブロックは、X方向の厚みがセグメントごとに変化するが、Y方向では一定に保たれる(最大の設計高さにより設定される制限を除く)という設定によって、特徴的な形状を与えられる。このような設定により、プロファイルブロックを階段状の対応ブロックとZ方向に相上下して配置して、X-Yマトリクスでプロファイルブロックのそれぞれ異なる厚みが対応ブロックのそれぞれ異なる厚みと組み合わされるようにすることができる。それに伴って比較的狭いスペースで、多数の異なる厚み組み合わせを実現することができ、その際にプロファイルブロックと対応ブロックを互いに相対的に動かさなくてよい。本発明により、試験体を狭いスペースでセグメントごとに、プロファイルブロックの厚み、対応ブロックの厚み、および試験体の全体厚みという各パラメータをそのつど変更して組み合わせることができる。特別な線形または非線形の吸収特性を、それぞれの厚みの適合化によって考慮に含めることができる。
【0024】
上昇していくX方向で開始セグメントに隣接するセグメントの厚みは、この隣接するセグメントの上面高さが、上昇していくY方向で開始セグメントに接するセグメントの上面高さに相当するように選択されるのがきわめて好ましい。その場合に段差の高さは、開始セグメントを起点として、X方向でその次の高いセグメントに向かって、Y方向でその次の高いセグメントに向かってとちょうど同じ高さになる。
【0025】
本発明によるプロファイルブロックはベースレベルの上方に、「f」で表される数のそれぞれ異なる上面高さを含む。このとき各々のセグメントの上面がそれぞれ1つの上面高さを形成し、複数のセグメントが等しい上面高さを有することができる。その理由は、特に
図1aに開示するように、1つのセグメントの上面高さが、一方では当該セグメントにおけるプロファイルブロックの厚みによって規定され、他方では、それぞれのセグメントがZ方向でそこから上方に向かって延びる下面高さによって、すなわち高さレベルによって規定されることによる。本発明によればこの両方が変更されるので、下面高さがY方向でX方向の厚みと同じ程度に上昇していれば、等しい上面高さを有する複数のセグメントが生じる。
【0026】
本発明によるプロファイルブロックの上面は、開始セグメントを起点として、その次の高いX添字をもつ隣接セグメントの上面高さだけでなく、その次の高いY添字をもつ隣接セグメントの上面高さも、所定の最大高さHmaxがその増大を制限しない限り増えていくことを特徴とする。開始セグメントからX方向またはY方向でこれに接するさらに高く位置する隣接セグメントへのZ方向の高低差は、プロファイルブロック段部と呼ぶこともできる。X方向で互いに接するn個のセグメントと、Y方向で互いに接するk個のセグメントとを有するプロファイルブロックでは、f個のそれぞれ異なる上面高さないしプロファイルブロック段部の総数が、式f=(n+k-1)に基づいて生じる
【0027】
n=10かつk=10である
図1aに示すプロファイルブロックは、高さに関して制限されない構成の場合、f=19のそれぞれ異なる上面高さを有する100個のセグメントを有することになる。ただし設計上の理由により、プロファイルブロックを、プロファイルブロック段部の高さないし個数に関して制限することができ、これを上回るときはマトリクスに追加の上面高さがもはや形成されない。たとえば
図1aのプロファイルブロックは、座標について(x+y)=11が当てはまるセグメントの上面高さによって規定される最大の高さH
maxに制限されている。
【0028】
プロファイルブロック(A)のセグメントの厚み(Dxy)は条件Dxy=HOxy-HUxyから帰結されるのが好ましく、少なくとも4つのセグメントの群について次式が成り立つ:
HOxy=Hmin+(Hmax-Hmin)・(x+y-1)/f
かつ
HUxy=Hmin+(Hmax-Hmin)・(y-1)/f
【0029】
少なくとも座標x=1またはy=1を有するすべてのセグメントについて、上記の関係が成り立つのが好ましい。最大の高さHmaxは、プロファイルブロックがy=1についてX方向で、ないしはx=1についてY方向で、n個ないしk個のそれぞれ異なる上面高さを形成したときに初めて到達される。
【0030】
たとえば、制限された数のプロファイルブロック段部(f=10)を有する
図1aに示すプロファイルブロックについては、セグメントS
2,7についての上面高さHO
2,7は、一例としての仮定H
max=10,H
min=0のもとで次のように帰結される:
HO
2,7=0+(10-0)・(2+7-1)/10=8
【0031】
完全に構成された(
図1aの範例に基づく、ただし完全なプロファイルブロック段数f=19を有する)プロファイルブロックは、これに応じて最大の高さH
max=19を有することになり、その結果、セグメントS
2,7については上面高さがやはり次式のように生じることになる:
HO
2,7=0+(19-0)・(2+7-1)/19=8
【0032】
そして、一例として選択したセグメントS7,8の上面高さは次式のように生じることになる:
HO7,8=0+(19-0)・(7+8-1)/19=14
【0033】
1つの好ましい実施形態では、各々のセグメントはX方向とY方向である程度の最小広がりを有する領域を有し、それは、当該セグメントを通過するように向けられるX線ビームの、検出器により検出される強度について代表的な平均値を形成できるようにするためである。各々のセグメントの、または少なくともセグメントへの透過照射のために意図される領域の、水平方向の寸法は40mm×40mmであるのが好ましく、きわめて好ましくは20mm×20mm、さらに好ましくは5mm×5mm以上である。
【0034】
図面の例に示すプロファイルブロックの実施形態は、水平方向で実質的に正方形の形態を有するセグメントを示している。しかしながら、セグメントがたとえば円形または長方形に構成される、すなわち両方の水平方向のうちの一方へ、それぞれ他方の水平方向におけるよりも大きい広がりを有する、任意の実施形態が考えられる。このことは、両方の寸法のうちの長いほうに関して、より良い平均値を形成できるようにするために好都合であり得る。いくつかの、またはすべてのセグメント(Sxy)は、実質的に平坦な下面(Uxy)および/または上面OxyをZ方向に対して垂直に有するのが好ましい。
【0035】
試験体を構成するためにプロファイルブロックと組み合わされる対応ブロックは、少なくとも1つの特性に関してプロファイルブロックの材料MAと相違する材料MBから製作される。特性の相違がX線ビームによって検出可能にされるのが好都合である。この相違は、一般に、X線ビームに対する材料の吸収特性に関わるものであり得る。しかしながら、材料を通るように向けられるX線ビームの波長スペクトルに関する相違も考えられる。材料を通るように向けられる電磁放射(X線ビーム、テラヘルツ放射など)を調べることによって検出可能である、その他のどのような材料特性でも、材料MAとMBの間の区別基準として援用することができる。
【0036】
対応ブロックはモノリシックであり、すなわち1つの連続する物体で製作されるのが好ましい。調べるのが困難な突合せ個所や追加の組立コストがそれによって回避される。
【0037】
対応ブロックは、階段状の上面を有するように構成されるのが好都合であり、Y方向に相前後して位置する、それぞれ異なる材料厚みの段部Tyを個数mだけ含む。段部はZ方向に透過照射可能であり、それぞれY位置に依存するその厚みDTyは、X方向では一定であるのが好ましい。
【0038】
対応ブロックの上面は、プロファイルブロックの下面に対して相補的に成形されるのが好ましい。対応ブロックの各々の段部について、X方向でのプロファイルブロックのセグメントの下面高さは一定であるので、プロファイルブロックを好ましくは上から対応ブロックに載せることができ、その結果、対応ブロックの上面ないしその個々の段部Tyが、X方向で一定の高さに延びているプロファイルブロックの下面に当接することができる。このようにコンパクトな設計形態で、X-Yマトリクスにおいて各々のセグメントSxyの領域に2つの相違する材料の組み合わせが、これを一緒に透過照射するためにZ方向に生じる。
【0039】
別案として、対応ブロックをZ方向で間隔をおいて、および/またはプロファイルブロックの上方に配置することもできる。しかしながら、プロファイルブロックと対応ブロックの可能な限り間隔のない配置が好ましく、それは、セグメントの内部で両方のブロックを通るように向けることができる扇型X線ビームの角度セグメントが、プロファイルブロックと対応ブロックの間の間隔が増すにつれて小さくなっていき、信頼度の高い平均値の形成が難しくなるからである。当然ながら、上側のプロファイルブロックとその下に位置する対応ブロックの配置を、全体として逆にする(さかさまにする)こともできる。その場合に修正されるべきX方向とY方向ないしこれらの座標を考慮したうえで、個々のセグメントについて同一の透過照射比率がZ方向に生じる。
【0040】
プロファイルブロックと対応ブロックが可能な限り互いに相補的に構成されるようにするために、階段段部TyのY方向の寸法が、プロファイルブロックのセグメントSxyのY方向の寸法に相当することが意図されるのが好ましい。
【0041】
プロファイルブロックのそれぞれ異なる厚みと組み合わされるべき対応ブロックのそれぞれ異なる厚みは、それぞれ異なる段部高さから生じる。したがって対応ブロックは、すべての段部について共通の下面から、各々の段部についてそれぞれ異なるZ高さまで延びるのが好ましい。Y方向で隣り合う2つの段部の高さ差は、X方向で隣り合う2つのプロファイルブロックのセグメントの厚みの差に相当するのが好ましい。それにより、上ですでに説明した、等しい全体厚みを有するそれぞれ異なるセグメントを構成することができる。しかしながら別案として、Y方向で相前後して位置する個々の段部の厚みもしくは厚み変化を、プロファイルブロックのセグメントの厚みに関わりなく選択することも考えられる。特に対応ブロック材料の吸収特性を考慮したうえで、2つの隣り合う段部の厚みもしくはその相違を、材料厚みと吸収特性の間の線形または非線形の関係に従って選択するのが好都合であり得る。プロファイルブロックについてと同様に、このようにして材料厚みと吸収特性の間の特に非線形の関係を、段部のそれぞれのY位置とその放射吸収との間の線形の関係に移行させることができる。
【0042】
プロファイルブロックと対応ブロックとの材料ペアリングが本発明に基づき特別に関心の対象となるが、試験体は、両方のブロックのうち一方だけをZ方向でそれぞれ異なる厚み位置で透過照射するという選択肢も提供することができる。このようにして、純粋なプロファイルブロック材料の吸収特性および/または純粋な対応ブロック材料の吸収特性を試験体で追加的に検出することができ、それぞれ他方の材料はこのケースでは空気ということになる。
【0043】
したがって本発明の1つの好ましい実施形態では、X方向またはY方向におけるプロファイルブロックの区域A
0が張出部の形態で対応ブロックBから側方に突出することが意図され、その結果、そこではプロファイルブロックAの上方または下方に対応ブロックBの区域ではなく、好ましくは材料「空気」が配置される。その代替または追加として同様の意味において、X方向またはY方向における対応ブロックの区域B
0が張出部の形態でプロファイルブロックAから側方に突出することができ、その結果、そこでは対応ブロックBの上方または下方にプロファイルブロックAの区域ではなく、好ましくは空気が配置される。それに応じて
図2aまたは2bは、プロファイルブロックAが対応ブロックBからY方向に区間A
0をもって突出し、それに対して同時に対応ブロックBがX方向で区域B
0をもってプロファイルブロックAの下で突出することを示している。張出部を形成するセグメントは、張出部に接するセグメントのほぼ2倍の幅であるのが好ましい(たとえば
図2aのプロファイルブロックの張出部を共同で構成するセグメントS
x,1は、Y方向でこれに接するセグメントS
x,2のそれぞれほぼ2倍の幅である)。それによりこれらのセグメントは、その上またはその下の他方のブロックの材料を有する領域を提供し、ならびに、それぞれのブロックによってのみ形成される別の領域を提供する。
【0044】
1つの好ましい実施形態では、Z方向で透過照射されるべき複数の異なる材料ペアリングを生成するために、プロファイルブロックAと対応ブロックBの上方、下方、またはこれらの間に、第3の材料MCで構成される好ましくはモノリシックな少なくとも1つの補足ブロックC,D...が配置されることがさらに意図される。このとき補足ブロックは、それぞれのセグメントの放射吸収に相応に影響を及ぼすために、各々のセグメントについて一定の厚み、または段階的に上昇していく厚みを有することができる。しかしながら、各セグメントのうち選択されたものについてのみ、プロファイルブロックと対応ブロックにより構成されるその透過照射特性を材料MCによって追加的に的確に変更して、その他のセグメントには影響を与えないことも考えられる。たとえば、(たとえば骨である材料MBで表すことができる)対応ブロックBの特定の厚みを超えたとき、追加の材料層CをZ方向に一定または可変の厚みで各ブロックAおよびBの上、下、または間に配置することができ、これは、たとえばある程度の骨の厚みを超えると常に現れる脂層を表すことができる。原則として、任意の多くの異なる材料をZ方向に相上下して配置することができる。ただし斟酌すべきは、2つの材料のみについて本発明に基づいて可能な組み合わせ「プロファイルブロックの各々の厚みと対応ブロックの各々の厚み」は、三次元空間においては、追加の材料Cによって付け加えられるべき別の「次元」のもとで容易には可能でなくなるということである。
【0045】
食品加工の分野では、プロファイルブロックまたは対応ブロックまたは補足ブロックの材料の透過照射特性がX線ビームに対して、選択的に動物の脂、水、肉、骨、ガラス、金属、またはプラスチックの透過照射特性に実質的に相当することが意図されてよいのが好ましい。利用ケースに応じて、調べられるべき材料の透過照射特性に設定可能な許容範囲内で相当する、またはこの材料と同一である、別の材料を使用することもできる。
【0046】
さらに、本発明の好ましい実施形態では、ブロックA,B,C...のうちの1つまたは複数が、好ましくはX線ビームによって検出可能である、および/または情報を含む、もしくは各ブロックのうちの少なくとも1つに割当可能にする識別表示手段を有することが意図される。これは、各ブロックのうちの少なくとも1つの一義的な識別であり得る。たとえば適当な金属部材やコーディングをそれぞれのブロックの表面または内部に配置することが考えられ、それが透過照射されたときに生じるX線画像から、ブロックの種類に関する推定を引き出すことができる。ブロックの空間的な向きおよび/または位置も、このようにして決定することができる。そのためにブロックは、空間的に配置された識別表示部材を有することができる(もっとも単純なケースでは、これはたとえば球のような小さな金属部材である)。そして、三角測量法の原理を援用したX線画像の評価が、各ブロックが互いに相対的に、および/またはX線源に対して相対的に正しく位置決めされているかどうかのチェックを(たとえば学習段階の直前に)可能にする。誤測定をそのようにして回避することができる。最終的に識別表示手段は、たとえば特定のブロックまたはブロックの個々のセグメントまたは試験体全体の透過照射特性に関わる特性値または修正値を判定するための役目も果たすことができる。姿勢、位置、または特性値ないし修正値を判定するためのX線画像の評価、または個々のブロックと材料を識別する特性値の保存はコンピュータ支援式に行うことができ、これに依存する制御信号(中断、新規アライメント、搬送速度など)を学習段階の制御のために自動的に生成することができる。
【0047】
本発明による試験体は、X線検査装置の構成要素であってよい。X線検査装置は、当然ながら、さまざまに異なる試験体、プロファイルブロック、および/または対応ブロックを有することができる。1つのプロファイルブロックを異なる対応ブロックと、ないしは異なるプロファイルブロックを1つの対応ブロックと組み合わせ可能である、プロファイルブロックと対応ブロックのセットも考えられる。たとえば肉の材料を表すプロファイルブロックを、あるときには骨の透過照射挙動を有する対応ブロックと組み合わせることができ、それに対して、このプロファイルブロックと別の対応ブロックとの組み合わせは、肉-脂のペアリングをシミュレートすることになる。
【0048】
本発明によるプロファイルブロック、対応ブロック、補足ブロック、または試験体のマトリクスサイズは、理論上は制限されない。このマトリクスサイズは、所望の厚み組み合わせの数に伴って増えていく。X方向とY方向に広がる2×2セグメントマトリクスがすでに、それぞれ異なる材料厚みを省スペースに互いに組み合わせることができるという本発明の利点を提供する。これよりも大きいマトリクスは相応に多くの組み合わせを可能にし、適用ケースに応じて、X方向でのセグメントの数nが、Y方向でのセグメントの数kと相違していてもよい。たとえば完全に構成された12×12の試験体は144の組み合わせを提供し、プロファイルブロックと対応ブロックによってそれぞれ追加的に構成される側方の張出部が、各ブロックと材料「空気」との24の組み合わせをさらに付け加える。
【0049】
本発明による試験体が透過照射されるとき、各々のセグメントの透過照射特性を評価するために、セグメントの縁部からある程度の間隔を有するビームだけを援用するのが好都合であり得る。そのようにして、隣り合うセグメントとの厚み飛躍の有害な影響が、評価または平均値形成にあたって確実に排除される。
【0050】
本発明による試験体の構成要素(プロファイルブロック、対応ブロック、補足ブロック)は、それぞれ異なる仕方で製造することができる。考慮の対象となるのは、特に、3D印刷での製造、焼結、フライス加工、プレス加工、接着、注型、レーザ、浸食、エッチング、またはこれらの組み合わせによる製造である。これらの構成要素は、当業者に周知のメカニズムにより、たとえば接着、ねじ止め、係止、溶接、またはこれらの組み合わせによって、必要な場合に-恒久的にも-相互に結合することができる。
【0051】
付属の座標x,y,zを有する空間軸と、個々のセグメントについての添字とを用いて本発明を説明してきた。しかしながら、本発明の要部は空間軸の名称でも相互の向きでもなく、互いに異なる2つの空間方向XおよびYでそれぞれ異なる厚みと異なるZ方向の高さを有するセグメントを構成するプロファイルブロックを構成するという原理である。設計上の理由により、たとえばX方向にX添字が増すにつれて厚みを段階的に、かつそのつど一定の値だけ増加させるのが好適であり、それに対してY方向では上面高さが同様にして段階的に増加していく。しかしながら設計的に可能である限りにおいて、本発明によるプロファイルブロックは、このように厳格に上昇していく段階的な実施形態だけに限定されるものではない。本発明による思想は、プロファイルブロックが二次元のマトリクスの任意のX-Y位置に、第3の次元でそれぞれ異なる厚みと異なる上面高さとを備えた少なくとも4つのセグメントを有する場合にも具体化され、それにより各々のセグメントをZ方向で特定の厚みの対応ブロックの区域と組み合わせ、そのようにして、対応ブロックとプロファイルブロックの可能な限りすべての厚み組み合わせを可能にする。
【0052】
次に、本発明による試験体の実施形態について図面を参照しながら詳しく説明する。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1a,1bは、対応ブロックの上方のプロファイルブロックを示す斜視図である。
【
図2】
図2a,2bは、
図1a,1bの各ブロックを直接的に上下して位置するように示す。
【
図3】
図3は、さらなるディテールを加えた
図1aの図面を示す。
【
図4】
図4は、さらなるディテールを加えたプロファイルブロックを部分的に透明に表現して示す。
【
図5】
図5は、本発明による試験体の透過照射結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1aは、本発明による試験体Rの簡略化した斜視図を示している。試験体Rは、第1の材料M
Aから構成され、長手方向X、横方向Y、ならびに高さ方向Zに延びるプロファイルブロックAを含んでいる。Z方向で見てプロファイルブロックAの下方に、第2の材料M
Bからなる階段状の対応ブロックBが配置されている。プロファイルブロックAの広い領域が、Z方向で対応ブロックBの上方に位置する。したがって、Z方向で上からプロファイルブロックAを通るように向けられるX線ビームは、まずプロファイルブロックAを貫通し、次いで、その下にある対応ブロックBも貫通する。
【0055】
図1bは、
図1aと同じ配置を示しており、ここでは斜視図での配置を明示するために、両方のブロックA,Bが色付きで強調されている。
【0056】
図2aは、
図1aおよび1bからすでに明らかなプロファイルブロックAと対応ブロックBの組み合わせを斜視図の配置で示しており、ここではプロファイルブロックは対応ブロックの上に直接的かつほぼ間隔なしに載置されている。
【0057】
図3は、本発明による試験体が構成されるときに準拠するマトリクス体系を示している。プロファイルブロックAは、X方向でn個のセグメントS
xyに沿って延びており、本実施形態ではn=10である。Y方向では、プロファイルブロックAはk個のセグメントに分割されており、本実施形態ではk=10が選択されている。各々のセグメントS
xyは、そのX-Y座標x,yによって表記される。たとえば座標x=1かつy=1を有し、その場合には「S
1,1」と表記されることになるセグメントは、
図1aではプロファイルブロックAの一番前の一番下の区域に位置する。その他のセグメントについては座標が例示として描き込まれており、セグメントS
7,2ならびにS
2,5が図解のために記載されている。
【0058】
プロファイルブロックAは、上面O
Aから下面U
Aまで延びている(
図4参照)。下面U
Aは、最小レベルH
minにより下方に向かって区切られるのに対し、上面は最大レベルH
maxに位置する。
【0059】
プロファイルブロックAの各々のセグメントは、セグメント関連の下面高さHUxyからセグメント関連の上面高さHOxyまで延びており、その間にそれぞれセグメントの厚みDxyを形成する。特に座標y=1に沿って見られるように、プロファイルブロックAの厚みはX座標が増すにつれてそれぞれ増えていき、セグメントS10,1でプロファイルブロックの最大の高さHmaxに達する。Y方向では、プロファイルブロックAの最大の高さHmaxに達していない限り、プロファイルブロックAのそれぞれの厚みは変化しない。したがって最大の高さを下回る領域では、厚みはX位置のみに依存して決まる。それに対してY方向では、上面高さHOxyがY座標が増すにつれて増えていき、その間に下面高さHUxyもそれぞれ同じ程度だけ増えていき、したがって、厚みDxyは同じY座標の内部では一定のままに保たれる。下面高さHUxyは、X座標が増すにつれて変化しない。それにより、二次元で上昇していく階段のような形式の表面OAが生じ、それに対して下面UAは単純な階段形状を有する。
【0060】
図3ではプロファイルブロックAの下方に配置されている対応ブロックBは、同じくX方向とY方向に延びるとともに、個々の段部T
yを有する階段として構成されている。これらの段部は共通の下面U
BからZ方向に、各々のY座標について相違する、個別的な段部厚みDT
yを有する段部高さまで延びている。このような段部および段部厚みが、一例として
図3に表示されている。Y方向での段部の幅は、ここではプロファイルブロックAのセグメントの幅にそれぞれ相当する。プロファイルブロックの下面U
Aおよび対応ブロックの上面O
Bのこのような形状付与により、両方のブロックのそれぞれの面は、相上下して位置するときにほぼ間隔なしに互いに密着する(
図2a、
図2b)。
【0061】
このような(
図2に示す)配置のとき、プロファイルブロックAは張出部A
0をもってY方向に対応ブロックBから側方へ突出する。この領域では、Z方向に沿って試験体を通るように向けられたX線ビームがプロファイルブロックAの材料だけを検出し、それに対して張出部の下方の領域は材料「空気」が該当する。同様の仕方で、対応ブロックは張出部B
0をもってX方向に、プロファイルブロックAの下で側方に突出し、その結果、プロファイルブロック材料の代わりにここでもやはり材料「空気」が透過照射されることになる。
【0062】
試験配置とも呼ぶ、特に
図2aおよび2bに示すプロファイルブロックと対応ブロックの配置は、本発明によると、X-Yマトリクスにおける両方のブロックのそれぞれ異なる材料厚みの組み合わせをコンパクトな設計スペースで構成する。試験体をたとえばY軸と平行に貫通する扇型X線ビームを通るように、たとえばX方向へ試験体を移送させると、短時間で、かつプロファイルブロックと対応ブロックの配置を互いに相対的に変更する必要なしに、関連するすべての厚み組み合わせを透過照射して、それぞれ共通の透過照射特性を、詳しくは示さない検出器(ライン検出器または平面検出器)によって各々のセグメントについて個別に検出し、適当なデータ処理装置を通じて処理し、保存し、または転送することができる。
【0063】
図5は、プロファイルブロックと対応ブロックの両方の張出部を有する、本発明による試験体の透過照射の結果を示している。セグメントS
1,1は参考のために表示している。見られるとおり、検出器に達したX線ビームの強度は、X座標とY座標が増すにつれて低下していくが、それは、最大の高さにまだ達していない限り、この方向で試験体の全体厚みが増えていくからである。試験体はこの実施形態ではセグメントS
10.1の最大の高さに制限されているので(Hmax=HO
10,1)、プロファイルブロックAの厚みは、座標合計(x+y)が11よりも大きいセグメントについてはもはや増えていかない。対応ブロックBのX方向における段部厚みDT
yも一定なので、(x+y)>11であるすべてのセグメントについて、グレー値はX座標が増すにつれて一定である。
図5に示唆する縁取りした領域の個々のセグメントは透過照射の評価のために、場合により平均値を形成したうえで援用される領域であり、それにより、相違する厚みを有する、接しているセグメントの考えられる影響を確実に排除することができる。
【符号の説明】
【0064】
A プロファイルブロック
A0 区域、プロファイルブロックの張出部
B 対応ブロック
B0 区域、対応ブロックの張出部
C,D 補足ブロック
DA プロファイルブロックAの厚み
DB 対応ブロックBの厚み
Dxy セグメントSxyの厚み
f 異なる上面高さの数
Hmax 最大レベル
Hmin ベースレベル
HOxy セグメントSxyの上面高さ
HUxy セグメントSxyの下面高さ
k Y方向でのセグメントの数
m 段部Tの数
MA プロファイルブロックAの材料
MB 対応ブロックBの材料
n X方向でのセグメントの数
OA プロファイルブロックAの上面
OB 対応ブロックBの上面
R 試験体
Sxy 位置x,yのセグメント
Ty 位置yでの対応ブロックBの段部
UA プロファイルブロックAの下面
UB 対応ブロックBの下面
x 添字、X座標
X 長手方向
y 添字、Y座標
Y 横方向
Z 高さ方向