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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】脱毛器
(51)【国際特許分類】
   A45D 26/00 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
A45D26/00 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020519337
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 IB2018057727
(87)【国際公開番号】W WO2019069271
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-04-03
(31)【優先権主張番号】17195124.7
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ サンチェス マルティネス
(72)【発明者】
【氏名】ジューディス ヴォン ダーレン
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-526168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0216035(US,A1)
【文献】特表2016-514557(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02236054(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 26/00
B26B 19/00 - 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱毛器であって、
ヘッドハウジング、及び前記ヘッドハウジングに装着され、第1の軸周りに前記ヘッドハウジングに対して枢動するように配置された皮膚接触ユニットを有する脱毛器ヘッドと、
ユーザの手によって保持されるように配置されたハンドルと、を備え、
前記脱毛器ヘッドの前記ヘッドハウジングが、第2の軸周りに前記ハンドルに対して枢動するように配置されており、前記第1の軸及び前記第2の軸が互いに対して本質的に直交しており、前記第1の軸及び前記第2の軸が互いに対して距離を有し、前記脱毛器ヘッドは、前記ハンドルから繰り返し取り外し可能かつ前記ハンドルに繰り返し取り付け可能であるとともに、分離可能なカルダン継手の第1の連結要素を備え、前記ハンドルは、前記分離可能なカルダン継手の第2の連結要素を備え、前記カルダン継手が、枢動点を画定し、前記第2の軸が、前記枢動点を通って延在している、脱毛器。
【請求項2】
少なくとも1つの弾性要素が、画定された静止位置に前記ヘッドハウジングを保つために設けられている、請求項1に記載の脱毛器。
【請求項3】
前記皮膚接触ユニットは、中心位置の周りで±5度~±60度の範囲内、とりわけ±10度~±30度の範囲内の角度振幅で、前記第1の軸周りに枢動するように配置されている、請求項1又は2に記載の脱毛器。
【請求項4】
前記皮膚接触ユニットが、皮膚接触面を画定する皮膚接触要素を有し、前記第2の軸が、前記皮膚接触ユニットの枢動角度にかかわらず前記皮膚接触面と常に交差している、請求項1~3のいずれか一項に記載の脱毛器。
【請求項5】
前記第2の軸と前記皮膚接触面との間の角度は、前記皮膚接触ユニットが中心位置にあるとき、20度~40度の範囲内にあり、とりわけ、前記第2の軸と前記皮膚接触面との間の角度は、前記皮膚接触ユニットが中心位置にあるとき、約30度である、請求項4に記載の脱毛器。
【請求項6】
前記カルダン継手の前記第1の連結要素及び前記第2の連結要素のうちの1つが、4つの回転軸突起が延在する本質的に半球状中央部分を有し、前記回転軸突起が、2つの直交軸を画定する、請求項に記載の脱毛器。
【請求項7】
前記カルダン継手の前記第1の連結要素及び前記第2の連結要素のうちの1つが、前記半球状中央部分を収容するための中空円筒部分を含み、前記中空円筒の壁が、前記回転軸突起を収容するために、前記中空円筒の受け入れ側において開口している4つの細長いスロット有する、請求項に記載の脱毛器。
【請求項8】
前記脱毛器ヘッドは、前記第1の軸周りの駆動回転運動のために配置された脱毛ローラを備え、具体的には、前記脱毛ローラが、前記皮膚接触ユニットと連結されており、前記皮膚接触ユニットと一緒に前記第1の軸周りに枢動する、請求項1~のいずれか一項に記載の脱毛器。
【請求項9】
前記脱毛器ヘッドは、前記ヘッドハウジングに対する前記皮膚接触ユニットの前記枢動及び前記ハンドルに対する前記ヘッドハウジングの前記枢動のうちの少なくとも1つを機械的に阻止するための少なくとも1つの係止要素を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の脱毛器。
【請求項10】
前記脱毛器ヘッドが、分離可能なそうでなければ固定の接続を確立するために前記ハンドルと接続されているネック部分を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の脱毛器。
【請求項11】
前記ヘッドハウジングが、円筒形状又は球形状のネック壁を備え、前記ネック壁は、前記ヘッドハウジングが前記第2の軸周りに枢動するときに、前記ネック部分によって画定された中空内に嵌まるように配置されている、請求項10に記載の脱毛器。
【請求項12】
前記脱毛器ヘッドが、駆動シャフトを介して供給される回転運動を、前記ハンドルの長手方向軸に対して本質的に直交している軸の周りの回転運動に変換するように配置されたギヤを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の脱毛器。
【請求項13】
前記第2の軸が、前記ハンドルの前記長手方向軸に対して本質的に直交している、請求項12に記載の脱毛器。
【請求項14】
前記脱毛器ヘッドが、駆動シャフトを介して供給される回転運動を、前記ハンドルの長手方向軸に対して本質的に直交している軸の周りの回転運動に変換するように配置されたギヤを備え、
前記第2の軸が、前記ハンドルの前記長手方向軸に対して本質的に直交し、
前記第1の軸が、前記皮膚接触ユニットによって画定された皮膚接触面に前記第2の軸よりも近接して配置され、前記皮膚接触面と前記第2の軸との間の距離が、前記皮膚接触面から延在する法線であって、前記脱毛器ヘッドが前記ハンドルに対して枢動可能に配置される前記枢動点と交差する法線に沿って測定され、とりわけ、前記第1の軸が、前記ハンドルの前記長手方向軸に対して本質的に直交している、及び/又は前記第1の軸が、前記皮膚接触面に対して平行である、請求項4~11のいずれか一項に記載の脱毛器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象者の皮膚から毛を除去するための脱毛器に関し、脱毛器は、脱毛器ヘッド及びハンドルを有する。具体的には、脱毛器ヘッドが、脱毛器ヘッドのヘッドハウジングに対して軸周りに枢動するように配置されている皮膚接触ユニットを備える、そのような脱毛器に関する。
【背景技術】
【0002】
Braun Silk-epil9などの多くの脱毛器は、脱毛器ヘッド及びハンドルを有し、脱毛器ヘッドは、ハンドルと分離可能に接続されていることが一般に知られている。脱毛器ヘッドは、ヘッドハウジングに対して軸周りに枢動する皮膚接触ユニットを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、本開示の目的は、具体的には脱毛器の取り扱いに関して、既知の脱毛器に対して改善されている脱毛器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によると、ヘッドハウジング、及び第1の軸周りにヘッドハウジングに対して枢動するように配置された皮膚接触ユニットを有する脱毛器ヘッドと、ユーザの手によって保持されるように配置されたハンドルと、を備え、脱毛器ヘッドが、ハンドルと枢動可能に接続され、かつ第2の軸周りにハンドルに対して枢動するように配置されており、第1の軸及び第2の軸が、互いに本質的に直交しており、第1の軸及び第2の軸が互いに対して距離を有する、脱毛器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示は、脱毛器の例示的な実施形態の詳細な説明によって明瞭になる。説明では、概念を視覚化するために図を参照することになる。
図1】本開示の少なくとも一態様による、例示的な脱毛器の概略図である。
図2】脱毛器ヘッド及びハンドルの一部分を示す、本開示による脱毛器の例示的な実施形態の部分断面図である。
図3A】分離可能なカルダン継手を形成する第1の連結要素の例示的な実施形態の図である。
図3B】分離可能なカルダン継手を形成する第2の連結要素の例示的な実施形態の図である。
図4A】枢動運動の少なくとも1つを阻止するための機械的係止要素を有する、本開示の少なくとも1つの態様による脱毛器ヘッドの例示的な実施形態であって、係止要素は、図4Aで第1の位置に、及び図4Bで第2の位置に示されている、実施例の図である。
図4B】枢動運動の少なくとも1つを阻止するための機械的係止要素を有する、本開示の少なくとも1つの態様による脱毛器ヘッドの例示的な実施形態であって、係止要素は、図4Aで第1の位置に、及び図4Bで第2の位置に示されている、実施例の図である。
図5】脱毛器ヘッドのネック部分を通る断面図であって、上側部分が、下側部分に対して枢動するように配置されており、ばね要素が、上側部分を中心静止位置に保っている、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
提案される脱毛器は、ヘッドハウジング、ヘッドハウジングに対して第1の軸周りに枢動するように配置されている皮膚接触ユニットを備える脱毛器ヘッドを有する(皮膚接触ユニットは、具体的には、ヘッドハウジングに対して任意の更なる軸周りに枢動するのではなく、即ち、皮膚接触ユニットは、ヘッドハウジングに対して第1の軸周りのみに枢動する)。更に、皮膚接触ユニットを担持するヘッドハウジングは、脱毛器のハンドルに対して第2の軸周りに枢動するように配置されている(ヘッドハウジングは、具体的には、ハンドルに対して任意の更なる軸周りに枢動するのではなく、即ち、ヘッドハウジングは、ハンドルに対して第2の軸周りのみに枢動する)。以下で更に詳細に説明されるように、脱毛器ヘッドは、ハンドルとの固定の接続を確立するためのネック区分を備えてもよく、ヘッドハウジングは、次いで、ネック区分及びハンドルに対して枢動運動するように配置されてよい。
【0007】
第1の軸及び第2の軸は、互いに本質的に直交しており、互いに距離を有する。第1の軸は、とりわけ、皮膚接触ユニットによって画定される皮膚接触面に対して平行であり得る(皮膚接触ユニットは、皮膚接触面を画定する皮膚接触要素を有し得る)。この特定の構造は、皮膚接触ユニット(皮膚と接触していると想定される)に対して脱毛器の手持ちハンドルの2次元適合性を可能にし、それにより、ユーザは、脱毛器を常に最適かつ快適に保持し、効率的な除毛のために最適な皮膚接触を維持しながら皮膚上で皮膚接触ユニットをガイドすることができる。第1の軸の周りの皮膚接触ユニットの枢動のための角度範囲が、特定の実施形態の必要性によって画定され得るが、皮膚接触ユニットは、±5度~±60度の範囲内で第1の軸周りに枢動するように配置され得る(これは、皮膚接触ユニットが、5度~60度の中心位置に対して時計回り及び反時計回り方向に最大撓み角度を有することを意味することになる)。中心位置に対する最大偏向角度は、具体的には、±10度~±30度の範囲内にあるように選択されてもよく、とりわけ更に、±15度に近い偏向角度が選択されてもよい。
【0008】
第1の軸に沿って脱毛器の中央に位置する第1の軸周りの第1の運動の「第1の枢動点」は、第2の軸に沿って脱毛器の中央に位置する第2の軸周りの第2の運動のそれぞれの「第2の枢動点」よりも皮膚接触面に近くてもよい。第1の軸は、とりわけ、皮膚接触面に対して平行であってもよく、皮膚接触面と第1の軸との間の距離は、皮膚接触面から延在し、かつ第1の枢動点と交差する法線に沿って測定される。第1の軸と第2の軸との間の距離は、第1の枢動点と第2の枢動点との間の距離である。第1の軸と第2の軸との間の距離にかかわらず、第2の軸は、脱毛器ヘッドが中心位置にあるときに皮膚接触面と交差するように配置されてもよく、更に第2の軸は、ヘッドハウジングに対する皮膚接触ユニットの枢動角度とは無関係に皮膚接触面と常に交差するように配置されてもよい。少なくとも1つの弾性要素は、外力がヘッドハウジングに作用しないとき、ヘッドハウジングをハンドルに対して静止位置に保つように配置され得る。ヘッドハウジングを休止位置から移動させるために克服する必要がある力は、特定の明白に知覚可能な引っかかりを可能にする値に設定されてもよいが、典型的には、デバイスの使用時に注意を逸らされるものとならないように十分に小さく選択され得る。約0.5Nの値は、感知可能であり得るが、これは、この力の値が0.01N~2.0Nの範囲内、とりわけ、0.2N~1.0Nの範囲内にあることを除外するものではない。皮膚接触ユニット及びヘッドハウジングは、それらの間に摩擦力が作用し、重力などの小さい力が皮膚接触ユニットに作用するにもかかわらず、皮膚接触ユニットをその現在の位置に保つように配置されてよく、即ち、本質的には、皮膚接触ユニットをヘッドハウジングに対して枢動させるために克服されるべき特定の力の値が必要とされない。
【0009】
脱毛ローラは、脱毛器ヘッド内に配設され得、皮膚接触ユニットは、脱毛ローラが動作中に皮膚に接触し得る開口部を有し得る。脱毛ローラは、具体的には、皮膚接触ユニット及び脱毛ローラが第1の軸周りに一緒に枢動するように皮膚接触ユニットと連結され得、ここで連結されるとは、脱毛ローラの回転が阻止されることを意味しないが、静止して脱毛ローラが皮膚接触ユニットと一緒に枢動することを意味する(その結果として、脱毛ローラ上に配置された一対のピンセットの閉鎖点が皮膚接触ユニットと共に回転し、皮膚接触ユニットに対して固定されたままである)。代替的に、脱毛ローラは、皮膚接触ユニットと一緒に枢動するように配置されなくてもよい。脱毛ローラと皮膚接触ユニットとの間の接続とは無関係に、脱毛ローラは、具体的には、円筒状脱毛ローラとして配置され得、第1の軸は、円筒状脱毛ローラの円筒軸と一致するように配置され得る。述べられたように、かつ当該技術分野で一般的に知られているように、脱毛ローラは、皮膚上で成長している毛を掴むために、かつ最終的には、掴まれた髪が回転する脱毛ローラによって担持されるときにこれらの毛を抜くために配置された複数対のピンセットを備え得る。
【0010】
2つの枢動軸線間に距離がないハンドルに対する皮膚接触ユニットの2次元適合性は、第1の軸及び第2の軸が皮膚に近い(例えば、両方とも、皮膚に接触し、複数対のピンセットによって毛を掴み皮膚から除去することを意図されている脱毛円筒の中心を通過する)ときに構造面から複雑であるか、又は第1の軸及び第2の軸の両方が皮膚に対してより大きい距離を有する(例えば、両方の軸が、脱毛器ヘッドとハンドルとの間のネック領域で互いに交差する)場合に使用性の観点から最適ではないことが見出されている。したがって、皮膚に近い一方の適合性軸、及び、第2の軸が脱毛器ヘッドとハンドルとの間のネック領域と交差するように、とりわけ距離を有して配置されている他方の適合性軸を有することが良好な妥協を提供することが見出された。
【0011】
第1の軸は、とりわけ、皮膚接触ユニットによって画定される皮膚接触面に対して平行に配置され得、即ち、第1の軸は、動作中に、処置対象者の皮膚表面に対して本質的に平行である。皮膚接触面は、平坦であってもよく、又は本質的に1次元の湾曲を有してもよく、湾曲は、第1の軸によって画定される方向に対して直交する方向に提供される。皮膚接触ユニットは、具体的には、皮膚接触面を画定する少なくとも1つの皮膚接触要素を有し得る。第1の軸と皮膚接触面との間の距離は、2mm~20mmの範囲内、具体的には5mm~15mmの範囲内、とりわけ更に6mm~12mmの範囲内であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、皮膚接触ユニットは、皮膚接触ユニットを静止位置に付勢するいかなる弾性要素もなしで枢動可能であるように配置されてもよい。枢動は、次いで、例えば、皮膚接触ユニットと脱毛器ヘッドのハウジングとの間の摩擦力を克服する小さい力によって実施され得る。そのような摩擦力は、摩擦力を克服する力が加えられない限り、皮膚接触ユニットが現在の位置に留まるように選択され得る。しかし、力は、ユーザが皮膚接触ユニットに対してヘッドハウジングを枢動させる際に特定の引っかかりに気付かない程度に小さく選択される。代替的に、弾性要素(例えば、ばね要素)が、ヘッドハウジングと皮膚接触ユニットとの間に配置されてもよく、この弾性要素は、皮膚接触ユニットに外力が作用しない場合、皮膚接触ユニットを中心又は静止位置に戻す。
【0013】
第1の軸と第2の軸との間の距離(本明細書では、「距離」という用語は、先の段落で説明したように、第1の枢動点と第2の枢動点との間の距離として理解されるべきである)は、5mm~50mmの範囲内、とりわけ10mm~40mmの範囲内、とりわけ更に15mm~30mmの範囲内であり得る。
【0014】
皮膚接触ユニットの少なくとも1つの皮膚接触要素及び第2の軸によって画定される皮膚接触面は、第2の軸が少なくとも1つの枢動角度又は皮膚接触ユニットによって達成され得る可能な枢動角度の部分範囲に関して皮膚接触面と交差するように配置され得、とりわけ、第2の軸は、第2の軸が皮膚接触ユニットの任意の可能な枢動角度に対して皮膚接触面と常に交差しているように配向され得る。このように配向された第2の軸は、ハンドルをガイドする手の快適性を支援するようにデバイスを使用するときのユーザの使用体験を改善する傾向がある。第2の軸は、皮膚接触ユニットがその中心位置にあるとき、20度~40度の範囲内の角度で皮膚接触面と交差するように配置され得る。交差角度は、具体的には、皮膚接触ユニットの中心位置に対して約30度であるように選択され得る。
【0015】
脱毛器は、ハンドルに対して静止位置又は中央位置にヘッドハウジングを付勢する少なくとも1つの弾性要素(例えば、コイルばね、板ばねなどのばね要素)を備え得る。脱毛器ヘッドは、中心位置に対して、±45度以下、例えば、±30度以下、±25度以下、±20度以下、±15度以下、±10度以下の角度範囲内で第2の軸周りに枢動し得る。1つ以上のストッパ要素が、ハンドルに対するヘッドハウジングの枢動範囲を制限するために、ハンドルに対して固定された位置に設けられ得る。ストッパ要素は、脱毛器ヘッドのネック区分又はハンドルに設けられ得る。代替的及び/又は追加的に、少なくとも1つの更なるストッパ要素が、ヘッドハウジングに対して皮膚接触ユニットの枢動角度範囲を制限するために、ヘッドハウジングに配置されてもよい。
【0016】
脱毛器ヘッドは、ハンドルから繰り返し取り外し可能であり、同様にハンドルに取り付け可能であり得る。このような実施形態では、ハンドルは、ハンドルから脱毛器ヘッドに運動を伝達して脱毛ローラなどの運動を駆動するための駆動シャフトを備え得る。脱毛器ヘッドは、駆動シャフトと連結するための運動受容要素を備え得る。いくつかの実施形態では、運動受容要素は、第1の連結要素を備え、駆動シャフトは、取り付けられた状態で分離可能なカルダン継手(自在継手とも呼ばれる)を一緒に形成する第2の連結要素を備えることが企図される。カルダン継手は、次いで、ハンドルに対するヘッドハウジングの枢動運動のための上述の第2の枢動点を実現することができ、即ち、第2の軸は、次いで、カルダン継手によって画定される枢動点と交差することになる。
【0017】
カルダン継手は、具体的には、少なくとも部分的に半球状の中央部分の4つの回転軸突起が延在する、少なくとも部分的に半球状の中央部分によって実現され得る第1の連結要素を備え得、4つの回転軸突起は、カルダン継手によって画定された枢動点で互いに交差する2つの直交回転軸を画定する。カルダン継手は、第1の連結要素の半球状中心部分を受け入れるための中空円筒状部分を有する第2の連結要素を備え得る。第2の連結要素は、中空円筒の底部から中空円筒の円筒軸に対して平行な方向に沿って延在する4つの細長いスリットを更に有し得、4つの細長いスリットは、第1の連結要素の4つの回転軸突起を受け入れるように配置され、その結果、回転軸は、具体的には、周方向に対してスロット内にほぼ遊びなく受け入れられる。カルダン継手は、一般に、ハンドルに対するヘッドハウジングの自由な回転を可能にし得るが、ハンドルに対するヘッドハウジングの移動は、第2の軸のみの周りの枢動運動に制約され得、第2の軸は、次いで、カルダン継手によって画定される枢動点と交差する。脱毛器ヘッドは、次いで、第2の軸とは異なる他の軸の周りのヘッドハウジングの運動を阻止するためのガイド構造体を備え得る。ヘッドハウジングは、具体的には、ヘッドハウジングを静止位置に付勢するばね要素などの弾性要素によって静止位置に保たれ得る。静止位置は、具体的には、ヘッドハウジングが第2の軸周りに時計回り及び反時計回り方向に同じ最大偏向角度だけ枢動し得るように、中心位置であってもよい。
【0018】
本提案による脱毛器は、ヘッドハウジングに対する皮膚接触ユニットの枢動運動及びハンドルに対するヘッドハウジングの枢動運動のうちの少なくとも1つを機械的に阻止するための少なくとも1つの係止要素を備え得る。係止要素は、2つの枢動運動のうちの少なくとも1つを阻止するために、係止要素が作動されるとき(例えば、係止要素を押し下げることによって、又は係止要素を別の位置に摺動させることによって)、皮膚接触ユニット又はネック区分のそれぞれの部分と組み合う突出部分又はアーム部分を備え得る。ユーザは、次いで、脱毛器の適合可能性をスイッチオフすることが適切であるとユーザが見出す場合に、スイッチオフすることができる。脱毛器は、2つの係止要素を備えてもよく、各係止要素は、1つの割り当てられた枢動運動を阻止するように機能する。
【0019】
図1は、本開示による例示的な脱毛器1の図である。脱毛器1は、脱毛器ヘッド100及びハンドル200を備える。示されるように脱毛器ヘッド100は、ヘッドハウジング120に対して第1の軸A1の周りに枢動するようにヘッドハウジング120に装着される皮膚接触ユニット110を備える。皮膚接触ユニット110は、本質的に平坦な皮膚接触面を一緒に画定する皮膚接触面111及び皮膚接触ローラ112などの皮膚接触要素を有する。脱毛ローラ150は、皮膚接触ユニット110の開口部115内に配置されるとともに、複数対のピンセット151を備える。脱毛ローラ150は、第1の軸A1の周りに回転するようにヘッドハウジング120に装着される。脱毛ローラ150は、具体的には、第1の軸周りに駆動回転するように配置され、動作中、ハンドル内に配設されたモータが、駆動シャフトを介して回転運動を供給し、この運動は、脱毛器ヘッド100内に配設されたギヤを介して脱毛ローラ150に伝達される。脱毛器ヘッド100は、ハンドル200に取り外し可能に取り付けられているネック部分130を更に備える。機械的係止解除要素(図示せず)が、ネック部分130をハンドル200におけるその固定から解放するために設けられてもよい。取り付けられたとき、ネック部分130は、ハンドル200に対して固定されたままである。したがって、脱毛器ヘッド100及びハンドルは、ここでは互いから繰り返し取り外し可能であり、同様に互いに取り付け可能である。これは、脱毛器ヘッド100を変更することを可能にし、脱毛器ヘッド100の内側部品を洗浄することを可能にする。分離線139は、脱毛器ヘッド100とハンドル200とを分離することができる場所を示す。
【0020】
ハンドル200は、ユーザの手によって把持可能であるように構造化される。ハンドル200は、オン/オフスイッチ201、及び任意選択に、例えば、処置される皮膚領域を照明するための光源202(LEDなど)も備え得る。これらの要素は、任意選択であり、要素が全く実現されないか、又は1つ若しくはいくつかの要素のみが実現された他の実施形態が考えられる。例えば、機械的オン/オフボタン211の代わりに、脱毛器は、ユーザの手がハンドルを把持しているか否かを検出するための静電容量センサを備えてもよく、したがって、脱毛器を起動状態に自動的に切り替えてもよい。脱毛器ヘッドが皮膚に近接しているか否かを検出するための追加の静電容量センサが、次いで、脱毛ローラの運動を駆動するようにモータを始動させてもよい。
【0021】
ハンドル200は、ハンドル200の長さ方向に概ね延在する長手方向軸Lを画定する。長手方向軸Lは、説明の理由で導入される。以下に更に説明されるように、長手方向軸Lは、両矢印R2によって示されるように、ヘッドハウジング110がハンドル200に対して第2の軸A2の周りに枢動し得る第2の枢動点P2を通って延在する。ネック部分130は、より広いヘッドハウジング120が第2の軸A2の周りに容易に枢動し得るようにテーパを提供する。そのような設計は、脱毛器ヘッド100(即ち、ヘッドハウジング120及び皮膚接触ユニット110)の頂部がハンドル200及び固定的に取り付けられたネック部分130に対して移動することを可能にする構造を提供する。明らかに、これは、単なる1つの可能な設計であり、そのようなテーパ付きネック部分130なしの設計も同様に企図される。
【0022】
図2は、本開示による、例示的な脱毛器1Aを通る断面図である。脱毛器1Aのヘッド部分のみが示される。脱毛器1Aは、脱毛器ヘッド100A及びハンドル200Aを備える。脱毛器ヘッド100Aは、皮膚接触ユニット110A、ヘッドハウジング120A、及びネック部分130Aを備える。脱毛ローラ150Aは、脱毛器ヘッド100A内のキャビティ内に配設され、第1の軸A1’の周りの駆動運動のために装着される。断面は、ここに示される第1の軸A1’の点が第1の枢動点P1’と一致するように、脱毛器1Aを通る中心面に沿って延在する。皮膚接触ユニット110Aは、ここで2つの皮膚接触ローラ112Aが示される皮膚接触要素を備える。皮膚接触要素は、皮膚接触面Pを画定する。脱毛ローラ150Aは、皮膚接触ユニット110Aの開口部115A内に配置され、したがって、ユーザの皮膚に接触することができ、具体的には、皮膚上で成長する毛を把持してそれらを抜くことができる。脱毛ローラ150Aの構成の詳細は示されていないが、脱毛ローラ150Aは、毛を抜くように機能する構造(例えば、図1に示されるような複数対のピンセット151)を備えることを理解されたい。
【0023】
皮膚接触ユニット110Aは、ヘッドハウジング120Aに対して第1の軸A1’の周りで枢動運動するように配置される。ヘッドハウジング120A自体は、ハンドル200Aに対して第2の軸A2’の周りで枢動運動するように装着される。脱毛器ヘッド100Aは、ハンドル200Aのハンドルハウジング205Aと取り外し可能に接続されるネック部分130Aを更に備える。取り付けられた状態では、ネック部分130Aは、機械的固定構造を介してハンドル200Aに固定されるが、固定は、具体的には、例えば、脱毛器ヘッド100Aを洗浄するために、脱毛器ヘッド100Aがハンドル200Aから繰り返し取り外され、かつ同様にハンドル200Aに取り付けられ得るように解放可能な固定として実現される。ヘッドハウジング120Aは、ここでは、円筒形状又は球形状であり得るネック壁129Aを備える。ネック部分130Aは、ヘッドハウジング120Aがハンドル200A及びネック部分130Aに対して第2の軸A2’の周りで移動するときにネック壁129Aが嵌まり得る中空139Aを画定する。ネック壁129Aは、具体的には、塵埃及び破片が本質的に中空139A内に入らないことを可能にするように、第2の軸A2’の周りの枢動角度とは無関係に中空139A内に常に嵌まるようにサイズ決めされ得る。ギヤブロック124Aは、ヘッドハウジング120Aの内側に装着される。分離可能なカルダン継手340Aの第1の連結要素140Aは、ギヤブロック124Aに移動可能に装着される。第1の連結部材140Aは、第1の連結部材140Aが周りに自由に回転し得る回転軸149Aによって装着される。第1の連結部材140Aは、ギヤ要素と連結されて、ハンドル200A内に配設されたモータ210Aの駆動シャフト211Aから供給された運動を脱毛ローラ150Aに伝達して、第1の軸A1’の周りの脱毛ローラ150Aの回転を駆動する。
【0024】
ハンドル200Aは、装着構造体215Aにおいて装着されるモータ210Aを備え、装着構造体215A自体がハンドルハウジング205Aと接続される。装着構造体215Aは、駆動シャフト211Aが通って延在する貫通孔を備える。示されるように、駆動シャフト211Aは、湿潤環境内での脱毛器1Aの使用を可能にするために、ベローシール212Aによって装着構造体215Aに対して水密に封止され得る。分離可能なカルダン継手340Aの第2の連結要素240Aは、駆動シャフト211Aに固定的に取り付けられている。図3A及び図3B、並びに分離可能なカルダン継手の実施形態の詳細についてのそれぞれの以下の説明を参照する。
【0025】
図3A及び図3Bは、取り外された状態で示される分離可能なカルダン継手の第1の連結要素140B(図3A)及び第2の連結要素240B(図3B)の例示的な実施形態の図である。第1の連結要素140B及び第2の連結要素240Bは、具体的には図2を参照して上述されたように、互いに取り付けられたときにカルダン継手を形成するように配置される。第1の連結要素140Bは、脱毛器ヘッドの運動受容要素(例えば、歯車)と連結され得、第2の連結要素240Bは、ハンドルに設けられた駆動シャフトの自由端に固定的に配設され得ることが説明された。運動受容要素及び駆動シャフトは、ここでは簡略化のために示されない。カルダン継手の雄部分又は雌部分が運動受容要素に設けられているか否かが無関係であることは、明らかである。脱毛器ヘッドのヘッドハウジングは、ここでは、1つの軸(第2の軸)のみの周りにハンドルに対して枢動するように説明され、駆動シャフトから脱毛ローラへの運動の伝達は、ハンドルに対するヘッドハウジングの全ての枢動位置で可能にされなければならない。カルダン継手は、この運動伝達を可能にする。
【0026】
第1の連結要素140Bは、第2の連結要素240Bを受け入れるために自由端で開口している中空円筒141Bを備える。中空円筒141Bは、円筒軸方向に延在し、かつ90度のオフセットで配置される、4つの細長いスロット143Bを備える円筒壁142Bを有する。細長いスロット143Bは、中空円筒141Bの自由端で開口している。円筒壁142Bは、取り付けプロセスの第1の連結要素140B及び第2の連結要素240Bのクラッチを改善するために、図3Aに示されるように、スロット143Bの側面で周方向に面取りされ得る。円筒壁142Bはまた、径方向の面取りを有してもよい。
【0027】
第2の連結要素240Bは、カルダン継手が結合されるときに(即ち、脱毛器ヘッドがハンドル上に取り付けられたときの取り付けプロセスにおいて)、中空円筒141Bの内側に受け入れられることが意図される半球状中心部分241Bを有する。半球状中心部分241Bは、ここでは平坦な頂部を有しており、この平坦な頂部は、ヘッドハウジングがその中心位置の周りの限定された枢動範囲のみを有するため、カルダン継手の機能を制限しない。半球状中心部分241Bは、中空円筒141B内に本質的に遊びなく嵌合する。4つの回転軸242Bは、互いに90度オフセットして配置され、4つの回転軸242Bは、回転軸242Bが取り付けプロセスで第1の連結要素140Bのスロット142B内に摺動し得るように、半球状中心部分241Bの底部(「赤道」)から突出する。回転軸242Bは、周方向に対してスロット142B内に本質的に遊びなく嵌合する。
【0028】
図4A及び図4Bは、例示的な脱毛器ヘッド100Cの裏側の概略図であり、脱毛器ヘッド100Cは、ヘッドハウジング120Cと、軸A3の周りでヘッドハウジング120Cに対して枢動運動するように概ね配置されている皮膚接触ユニット110Cと、を有する。脱毛器ヘッド100Cは、ヘッドハウジング120Cの裏側に配置された係止要素127Cを備える。係止要素127Cは、ここでは、ヘッドハウジング120Cに対する皮膚接触ユニット110Cの枢動運動を阻止し、同時に、ハンドルに対するヘッドハウジング120Cの枢動運動を阻止するように配置される。係止要素127Cは、2つのスイッチ位置の間で移動され得る機械的スイッチとして配置される。係止要素127Cは、概U字形アーム1271C及び突起1272Cを有する。U字形アーム1271Cは、前方アーム部分128Cを有する。図4Aに示されるような第1の位置では、前方アーム部分128Cは、脱毛ローラ150Cに設けられたストッパ要素118Cと係合せず、したがって、ヘッドハウジング120Cに対する、脱毛ローラ150Cと枢動可能に連結されている皮膚接触ユニット110Cの枢動運動が可能になる。同じ第1の位置では、係止要素117Cの突起1272Cは、ハンドルのストッパ要素(図示せず)と係合していない。図4Bに示されるような係止要素127Cの第2の位置では、前方アーム部分128Cは、ストッパ要素118Cと係合し、したがって、皮膚接触ユニット110Cの枢動運動が阻止され、同時に、突起1272Cは、ハウジングに配置された上述のストッパ要素と係合し、それによって、ハンドルに対するヘッドハウジング120Cの枢動運動が阻止される。代替的な実施形態では、アーム1271C又は突起1272Cが除去され、それぞれ、枢動運動のうちの1つのみが係止要素127Cによって阻止されることになる。いくつかの実施形態では、2つの別個の係止要素が設けられて、2つの枢動運動の独立した阻止を可能にする。
【0029】
図5は、ネック区分130Dの一部分及びヘッドハウジング120Dの一部分のみが示される、脱毛器ヘッド100Dの一部分を通って切断された断面図である。ヘッドハウジング120Dは、2つの回転軸127D、128Dを介してネック部分130Dに装着されて、ネック部分130Dに対して軸A4(脱毛器の第2の軸である)の周りでのヘッドハウジング120Dの枢動運動を可能にする。弾性要素180Dは、ネック部分130Dとヘッドハウジング120Dとの間に配置される。弾性要素180Dは、ここではコイルばねとして実現される。コイルばねは、初期応力を与えられ、センタリング力を加える。ヘッドハウジング120Dの枢動運動は、コイルばねを更に圧縮することになり、その結果、ヘッドハウジング120Dの示されている中心位置は、ばね力を克服する力がヘッドハウジング上に作用するまで維持される。示されている設計は、単純かつ非限定的な単なる一例であり、センタリング機能を実現するための多くの他の設計が、当業者によって企図され得る。
【0030】
本開示の一態様では、ヘッドハウジング、及びユーザの手によって保持されるように配置されたハンドルを有する脱毛器ヘッドを備える脱毛器が提供され、脱毛器ヘッド及びハンドルが、互いから繰り返し取り外し可能であり、互いに取り付け可能であり、脱毛器ヘッドが、分離可能なカルダン継手の第1の連結部材を備え、ハンドルが、分離可能なカルダン継手の第2の連結部材を備える。
【0031】
分離可能なカルダン継手は、具体的には、先の実施形態について論じられたように実現され得る。ハンドルに位置する分離可能なカルダン継手の連結部材は、具体的には、回転軸の長手方向軸周りの回転運動をハンドルから脱毛器ヘッドに伝達するために、回転軸の自由端に配置され得る。
【0032】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5