(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】発泡ビーズ成型体製造方法及び発泡ビーズ成型体製造装置
(51)【国際特許分類】
B29C 44/44 20060101AFI20220125BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20220125BHJP
B29C 44/58 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B29C44/44
B29C44/00 G
B29C44/58
(21)【出願番号】P 2021132156
(22)【出願日】2021-08-16
【審査請求日】2021-08-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320012794
【氏名又は名称】伴 俊宏
(74)【代理人】
【識別番号】100125818
【氏名又は名称】立原 聡
(72)【発明者】
【氏名】伴 俊宏
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-100236(JP,A)
【文献】特開平07-250981(JP,A)
【文献】特開平08-132453(JP,A)
【文献】特開平06-328550(JP,A)
【文献】特開平07-290480(JP,A)
【文献】特開2005-169806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60;67/20
C08J 9/00- 9/42
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡ビーズ成型体製造方法であって、
前記発泡ビーズ成型体製造方法が、発泡ビーズを発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間を形成するための型を用意する工程を含み、
前記型が、
前記成型空間に前記発泡ビーズを流し込むためのビーズ流入路と、
前記発泡ビーズを加熱及び発泡させるための気体を前記成型空間に流し込むための気体流入路と、
を備え、
前記発泡ビーズ成型体製造方法が、気体案内部材の取り外し可能な接続端部を前記気体流入路に接続することにより、用意された前記型の前記成型空間に前記気体案内部材を配置する工程を含み、
前記気体案内部材が、
前記接続端部を通じて前記気体流入路に連通可能な気体案内空間を囲むように位置している案内壁と、
前記成型空間と前記気体案内空間との間で前記気体を通すことが可能であるように前記案内壁を貫通した通気孔と、
を備え、
前記発泡ビーズ成型体製造方法が、
前記気体案内部材が配置された前記成型空間に前記発泡ビーズを流し込む工程と、
前記気体流入路から前記気体案内空間を通して前記成型空間に前記気体を流し込むことにより前記成型空間の前記発泡ビーズを加熱及び発泡させることにより前記発泡ビーズ成型体を成型する工程と、
前記気体案内部材と前記発泡ビーズ成型体とを一体的に前記型から取り外す工程と
を含み、
前記発泡ビーズ成型体を成型する前記工程が、前記成型空間に前記気体を流し込む前に、前記気体流入路を含む放出ノズルであって、前記気体案内空間における複数の位置において前記気体を放出するための複数の放出孔を備える前記放出ノズルを、前記成型空間に配置された前記気体案内部材の前記気体案内空間に配置する工程と、
前記発泡ビーズ成型体を成型した後に、前記放出ノズルを前記気体案内空間から取り出す工程を含む、
発泡ビーズ成型体製造方法。
【請求項2】
前記放出ノズルが、前記気体案内空間に対する挿入時及び取り出し時に前記気体案内空間に沿って屈曲可能な可撓性をもつ、
請求項
1に記載の発泡ビーズ成型体製造方法。
【請求項3】
前記気体案内部材と前記発泡ビーズ成型体とを一体的に前記型から取り外す工程が、前記発泡ビーズ成型体を内部から補強するために前記気体案内部材を前記発泡ビーズ成型体内に残置することを含む、
請求項1
または請求項
2に記載の発泡ビーズ成型体製造方法。
【請求項4】
前記成型空間に前記気体案内部材を配置する前記工程が、前記気体案内部材を通気性のカバー部材により覆うことを含み、
前記気体案内部材と前記発泡ビーズ成型体とを一体的に前記型から取り外す工程が、前記型から取り外された前記発泡ビーズ成型体内に前記カバー部材を残置した状態で、前記発泡ビーズ成型体から前記気体案内部材を取り外すことを含む、
請求項1
または請求項
2に記載の発泡ビーズ成型体製造方法。
【請求項5】
発泡ビーズ成型体製造方法であって、
前記発泡ビーズ成型体製造方法が、発泡ビーズを発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間を形成するための型を用意する工程を含み、
前記型が、
前記成型空間に前記発泡ビーズを流し込むためのビーズ流入路と、
前記発泡ビーズを加熱及び発泡させるための気体を前記成型空間に流し込むための気体流入路と、
を備え、
前記発泡ビーズ成型体製造方法が、気体案内部材の取り外し可能な接続端部を前記気体流入路に接続することにより、用意された前記型の前記成型空間に前記気体案内部材を配置する工程を含み、
前記気体案内部材が、
前記接続端部を通じて前記気体流入路に連通可能な気体案内空間を囲むように位置している案内壁と、
前記成型空間と前記気体案内空間との間で前記気体を通すことが可能であるように前記案内壁を貫通した通気孔と、
を備え、
前記発泡ビーズ成型体製造方法が、
前記気体案内部材が配置された前記成型空間に前記発泡ビーズを流し込む工程と、
前記気体流入路から前記気体案内空間を通して前記成型空間に前記気体を流し込むことにより前記成型空間の前記発泡ビーズを加熱及び発泡させることにより前記発泡ビーズ成型体を成型する工程と、
前記気体案内部材と前記発泡ビーズ成型体とを一体的に前記型から取り外す工程と
を含み、
前記成型空間に前記気体案内部材を配置する前記工程が、前記気体案内部材を通気性のカバー部材により覆うことを含み、
前記気体案内部材と前記発泡ビーズ成型体とを一体的に前記型から取り外す工程が、前記型から取り外された前記発泡ビーズ成型体内に前記カバー部材を残置した状態で、前記発泡ビーズ成型体から前記気体案内部材を取り外すことを含む、
発泡ビーズ成型体製造方法。
【請求項6】
前記成型空間に前記気体案内部材を配置する前記工程が、前記気体案内空間を比較的狭くした状態で前記気体案内部材を配置することを含み、
前記発泡ビーズ成型体を成型する前記工程が、前記気体案内空間に流し込まれた前記気体が前記案内壁を押すことにより前記
気体案内空間を比較的広くすることを含む、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡ビーズ成型体製造方法。
【請求項7】
発泡ビーズ成型体製造方法であって、
前記発泡ビーズ成型体製造方法が、発泡ビーズを発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間を形成するための型を用意する工程を含み、
前記型が、
前記成型空間に前記発泡ビーズを流し込むためのビーズ流入路と、
前記発泡ビーズを加熱及び発泡させるための気体を前記成型空間に流し込むための気体流入路と、
を備え、
前記発泡ビーズ成型体製造方法が、気体案内部材の取り外し可能な接続端部を前記気体流入路に接続することにより、用意された前記型の前記成型空間に前記気体案内部材を配置する工程を含み、
前記気体案内部材が、
前記接続端部を通じて前記気体流入路に連通可能な気体案内空間を囲むように位置している案内壁と、
前記成型空間と前記気体案内空間との間で前記気体を通すことが可能であるように前記案内壁を貫通した通気孔と、
を備え、
前記発泡ビーズ成型体製造方法が、
前記気体案内部材が配置された前記成型空間に前記発泡ビーズを流し込む工程と、
前記気体流入路から前記気体案内空間を通して前記成型空間に前記気体を流し込むことにより前記成型空間の前記発泡ビーズを加熱及び発泡させることにより前記発泡ビーズ成型体を成型する工程と、
前記気体案内部材と前記発泡ビーズ成型体とを一体的に前記型から取り外す工程と
を含み、
前記成型空間に前記気体案内部材を配置する前記工程が、前記気体案内空間を比較的狭くした状態で前記気体案内部材を配置することを含み、
前記発泡ビーズ成型体を成型する前記工程が、前記気体案内空間に流し込まれた前記気体が前記案内壁を押すことにより前記
気体案内空間を比較的広くすることを含む、
発泡ビーズ成型体製造方法。
【請求項8】
前記気体案内部材と前記発泡ビーズ成型体とを一体的に前記型から取り外す工程が、前記発泡ビーズ成型体を内部から補強するために前記気体案内部材を前記発泡ビーズ成型体内に残置することを含む、
請求項
7に記載の発泡ビーズ成型体製造方法。
【請求項9】
発泡ビーズ成型体製造装置であって、
前記発泡ビーズ成型体製造装置が、
発泡ビーズを発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間を形成するための型と、
前記成型空間に配置可能な気体案内部材と、
を備え、
前記型が、
前記成型空間に前記発泡ビーズを流し込むためのビーズ流入路と、
前記発泡ビーズを加熱及び発泡させるための気体を前記成型空間に流し込むための気体流入路と、
を備え、
前記気体案内部材が、
前記気体流入路に取り外し可能に接続可能な接続端部と、
前記接続端部を通じて前記気体流入路に連通可能な気体案内空間を囲むように位置している案内壁と、
前記成型空間と前記気体案内空間との間で前記気体を通すことが可能であるように前記案内壁を貫通した通気孔と、
を備え、
前記発泡ビーズ成型体製造装置が、前記気体流入路を含む放出ノズルを備え、
前記放出ノズルが、前記気体案内空間に挿入可能に構成されており、及び前記気体案内空間から取り出し可能に構成されており、
前記放出ノズルが、前記気体案内空間における複数の位置において前記気体を放出するための複数の放出孔を備える、
発泡ビーズ成型体製造装置。
【請求項10】
前記放出ノズルが、前記気体案内空間に対する挿入時及び取り出し時に前記気体案内空間に沿って屈曲可能な可撓性をもつ、
請求項
9に記載の発泡ビーズ成型体製造装置。
【請求項11】
前記発泡ビーズ成型体製造装置が、前記気体案内部材を覆う通気性のカバー部材を備え、
前記カバー部材が、前記気体案内部材に対して取り外し可能に構成されている、
請求項
9から請求項
10のいずれか一項に記載の発泡ビーズ成型体製造装置。
【請求項12】
発泡ビーズ成型体製造装置であって、
前記発泡ビーズ成型体製造装置が、
発泡ビーズを発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間を形成するための型と、
前記成型空間に配置可能な気体案内部材と、
を備え、
前記型が、
前記成型空間に前記発泡ビーズを流し込むためのビーズ流入路と、
前記発泡ビーズを加熱及び発泡させるための気体を前記成型空間に流し込むための気体流入路と、
を備え、
前記気体案内部材が、
前記気体流入路に取り外し可能に接続可能な接続端部と、
前記接続端部を通じて前記気体流入路に連通可能な気体案内空間を囲むように位置している案内壁と、
前記成型空間と前記気体案内空間との間で前記気体を通すことが可能であるように前記案内壁を貫通した通気孔と、
を備え、
前記発泡ビーズ成型体製造装置が、前記気体案内部材を覆う通気性のカバー部材を備え、
前記カバー部材が、前記気体案内部材に対して取り外し可能に構成されている、
発泡ビーズ成型体製造装置。
【請求項13】
前記案内壁が、前記気体案内空間を比較的狭くした状態に変形可能であり、および、前記気体案内空間に流し込まれる前記気体の圧力により前記気体案内空間を比較的広くした状態に変形可能である、
請求項
9から請求項
12のいずれか一項に記載の発泡ビーズ成型体製造装置。
【請求項14】
発泡ビーズ成型体製造装置であって、
前記発泡ビーズ成型体製造装置が、
発泡ビーズを発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間を形成するための型と、
前記成型空間に配置可能な気体案内部材と、
を備え、
前記型が、
前記成型空間に前記発泡ビーズを流し込むためのビーズ流入路と、
前記発泡ビーズを加熱及び発泡させるための気体を前記成型空間に流し込むための気体流入路と、
を備え、
前記気体案内部材が、
前記気体流入路に取り外し可能に接続可能な接続端部と、
前記接続端部を通じて前記気体流入路に連通可能な気体案内空間を囲むように位置している案内壁と、
前記成型空間と前記気体案内空間との間で前記気体を通すことが可能であるように前記案内壁を貫通した通気孔と、
を備え、
前記案内壁が、前記気体案内空間を比較的狭くした状態に変形可能であり、および、前記気体案内空間に流し込まれる前記気体の圧力により前記気体案内空間を比較的広くした状態に変形可能である、
発泡ビーズ成型体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ビーズ成型体製造方法及び発泡ビーズ成型体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、コア型とキャビティ型により形成された空間内に発泡ビーズを入れ、空間内の発泡ビーズを蒸気で過熱して融着することにより発泡ビーズ成型体を製造する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薄い発泡ビーズ成型体を製造する場合には、周囲から蒸気を供給することにより容易に発泡ビーズ成型体を製造することができる。しかしながら、建造物の壁といった比較的大型の発泡ビーズ成型体を製造する場合、内部まで均一に蒸気を供給して均一に適切に発泡させることが困難であるという課題がある。
【0005】
本発明の目的のうちの1つは、簡単な構成で発泡ビーズ成型体の内部に気体を送り込んで、発泡ビーズ成型体の内部において適切に発泡ビーズを発泡させることができる発泡ビーズ成型体製造方法及び発泡ビーズ成型体製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の発泡ビーズ成型体製造方法は、発泡ビーズ成型体製造方法であって、発泡ビーズ成型体製造方法が、発泡ビーズを発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間を形成するための型を用意する工程を含み、型が、成型空間に発泡ビーズを流し込むためのビーズ流入路と、発泡ビーズを加熱及び発泡させるための気体を成型空間に流し込むための気体流入路と、を備え、発泡ビーズ成型体製造方法が、気体案内部材の取り外し可能な接続端部を気体流入路に接続することにより、用意された型の成型空間に気体案内部材を配置する工程を含み、気体案内部材が、接続端部を通じて気体流入路に連通可能な気体案内空間を囲むように位置している案内壁と、成型空間と気体案内空間との間で気体を通すことが可能であるように案内壁を貫通した通気孔と、を備え、発泡ビーズ成型体製造方法が、気体案内部材が配置された成型空間に発泡ビーズを流し込む工程と、気体流入路から気体案内空間を通して成型空間に気体を流し込むことにより成型空間の発泡ビーズを加熱及び発泡させることにより発泡ビーズ成型体を成型する工程と、気体案内部材と発泡ビーズ成型体とを一体的に型から取り外す工程とを含む、発泡ビーズ成型体製造方法である。
【0007】
第1の態様によれば、気体案内部材が成型空間に位置するので、発泡ビーズ成型体の内部に気体を送り込みやすく、更に、気体案内部材が気体流入路に対して取り外し可能であるので、成型後に気体流入路を発泡ビーズ成型体と一緒に取り外すことができる。その結果、簡単な構成で発泡ビーズ成型体の内部に気体を送り込んで、発泡ビーズ成型体の内部において適切に発泡ビーズを発泡させることができる。
【0008】
第2の態様の発泡ビーズ成型体製造方法は、発泡ビーズ成型体を成型する工程が、成型空間に気体を流し込む前に、気体流入路を含む放出ノズルであって、気体案内空間における複数の位置において気体を放出するための複数の放出孔を備える放出ノズルを、成型空間に配置された気体案内部材の気体案内空間に配置する工程と、発泡ビーズ成型体を成型した後に、放出ノズルを気体案内空間から取り出す工程を含む、第1の態様に記載の発泡ビーズ成型体製造方法である。
【0009】
第2の態様によれば、複数の放出孔を備える放出ノズルが気体案内空間に配置されるので、気体案内空間の接続端部のみから気体を気体案内空間に送る場合に比べると、気体案内空間の比較的広い範囲に均一に気体を送り込みやすい。結果的に、気体案内空間から成型空間に均一に気体を送り込みやすくなる。
【0010】
第3の態様の発泡ビーズ成型体製造方法は、放出ノズルが、気体案内空間に対する挿入時及び取り出し時に気体案内空間に沿って屈曲可能な可撓性をもつ、第2の態様に記載の発泡ビーズ成型体製造方法である。
【0011】
第3の態様によれば、放出ノズルが可撓性をもつので、気体案内空間が直線的でなくても、気体案内空間に放出ノズルを挿入しやすい。結果的に、発泡ビーズ成型体の内部において適切に発泡ビーズを発泡させることができる。
【0012】
第4の態様の発泡ビーズ成型体製造方法は、気体案内部材と発泡ビーズ成型体とを一体的に型から取り外す工程が、発泡ビーズ成型体を内部から補強するために気体案内部材を発泡ビーズ成型体内に残置することを含む、第1の態様から第3の態様のいずれか1つに記載の発泡ビーズ成型体製造方法である。
【0013】
第4の態様によれば、気体案内部材が発泡ビーズ成型体内に残置されるので、気体案内部材を引き抜く場合と異なり発泡ビーズ成型体に傷をつけることを防ぐことができ、及び引き抜いた部分が弱くなることを防ぐことができる。
【0014】
第5の態様の発泡ビーズ成型体製造方法は、成型空間に気体案内部材を配置する工程が、気体案内部材を通気性のカバー部材により覆うことを含み、気体案内部材と発泡ビーズ成型体とを一体的に型から取り外す工程が、型から取り外された発泡ビーズ成型体内にカバー部材を残置した状態で、発泡ビーズ成型体から気体案内部材を取り外すことを含む、第1の態様から第3の態様のいずれか1つに記載の発泡ビーズ成型体製造方法である。
【0015】
第5の態様によれば、気体案内部材がカバー部材により覆われているので、型から取り外された発泡ビーズ成型体から気体案内部材を取り外して気体案内部材を再利用しやすくなる。
【0016】
第6の態様の発泡ビーズ成型体製造方法は、成型空間に気体案内部材を配置する工程が、気体案内空間を比較的狭くした状態で気体案内部材を配置することを含み、発泡ビーズ成型体を成型する工程が、気体案内空間に流し込まれた気体が案内壁を押すことにより気体案内空間を比較的広くすることを含む、第1の態様から第5の態様いずれか1つに記載の発泡ビーズ成型体製造方法である。
【0017】
第6の態様によれば、配置時の気体案内部材の取扱いが容易であるとともに、気体案内空間の広い範囲に気体を送り込みやすい。
【0018】
第7の態様の発泡ビーズ成型体製造装置は、発泡ビーズ成型体製造装置であって、発泡ビーズ成型体製造装置が、発泡ビーズを発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間を形成するための型と、成型空間に配置可能な気体案内部材と、を備え、型が、成型空間に発泡ビーズを流し込むためのビーズ流入路と、発泡ビーズを加熱及び発泡させるための気体を成型空間に流し込むための気体流入路と、を備え、気体案内部材が、気体流入路に取り外し可能に接続可能な接続端部と、接続端部を通じて気体流入路に連通可能な気体案内空間を囲むように位置している案内壁と、成型空間と気体案内空間との間で気体を通すことが可能であるように案内壁を貫通した通気孔と、を備える、発泡ビーズ成型体製造装置である。
【0019】
第7の態様によれば、気体案内部材が成型空間に位置するので、発泡ビーズ成型体の内部に気体を送り込みやすく、更に、気体案内部材が気体流入路に対して取り外し可能であるので、成型後に気体流入路を発泡ビーズ成型体と一緒に取り外すことができる。その結果、簡単な構成で発泡ビーズ成型体の内部に気体を送り込んで、発泡ビーズ成型体の内部において適切に発泡ビーズを発泡させることができる。
【0020】
第8の態様の発泡ビーズ成型体製造装置は、発泡ビーズ成型体製造装置が、気体流入路を含む放出ノズルを備え、放出ノズルが、気体案内空間に挿入可能に構成されており、及び気体案内空間から取り出し可能に構成されており、放出ノズルが、気体案内空間における複数の位置において気体を放出するための複数の放出孔を備える、第7の態様に記載の発泡ビーズ成型体製造装置である。
【0021】
第8の態様によれば、発泡ビーズ成型体製造装置が、複数の放出孔を備える放出ノズルを備えるので、気体案内空間の接続端部のみから気体を気体案内空間に送る場合に比べると、気体案内空間の比較的広い範囲に均一に気体を送り込みやすい。結果的に、気体案内空間から成型空間に均一に気体を送り込みやすくなる。
【0022】
第9の態様の発泡ビーズ成型体製造装置は、放出ノズルが、気体案内空間に対する挿入時及び取り出し時に気体案内空間に沿って屈曲可能な可撓性をもつ、第8の態様に記載の発泡ビーズ成型体製造装置である。
【0023】
第9の態様によれば、放出ノズルが可撓性をもつので、気体案内空間が直線的でなくても、気体案内空間に放出ノズルを挿入しやすい。結果的に、発泡ビーズ成型体の内部において適切に発泡ビーズを発泡させることができる。
【0024】
第10の態様の発泡ビーズ成型体製造装置は、発泡ビーズ成型体製造装置が、気体案内部材を覆う通気性のカバー部材を備え、カバー部材が、気体案内部材に対して取り外し可能に構成されている、第7の態様から第9の態様のいずれか1つに記載の発泡ビーズ成型体製造装置である。
【0025】
第10の態様によれば、発泡ビーズ成型体製造装置がカバー部材を備えるので、発泡ビーズ成型体から気体案内部材を取り外して再利用しやすくなる。
【0026】
第11の態様の発泡ビーズ成型体製造装置は、気体案内部材を取り外し可能に型に固定するための固定具を備える、第7の態様から第10の態様のいずれか1つに記載の発泡ビーズ成型体製造装置である。
【0027】
第11の態様によれば、発泡ビーズ成型体製造装置が固定具を備えるので、成型空間における気体案内部材の位置が安定して、所望の形状の発泡ビーズ成型体を成型しやすくなる。
【0028】
第12の態様の発泡ビーズ成型体製造装置は、案内壁が、気体案内空間を比較的狭くした状態に変形可能であり、および、気体案内空間に流し込まれる気体の圧力により気体案内空間を比較的広くした状態に変形可能である、第7の態様から第11の態様のいずれか1つに記載の発泡ビーズ成型体製造装置である。
【0029】
第12の態様によれば、配置時の気体案内部材の取扱いが容易であるとともに、気体案内空間の広い範囲に気体を送り込みやすい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、簡単な構成で発泡ビーズ成型体の内部に気体を送り込んで、発泡ビーズ成型体の内部において適切に発泡ビーズを発泡させることができる発泡ビーズ成型体製造方法及び発泡ビーズ成型体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1の実施形態の発泡ビーズ成型体製造装置の一部の概略的な構成を示す構成図である。
【
図2】
図1の型付近における発泡ビーズ成型体製造装置の一部の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す発泡ビーズ成型体製造装置の一部を分解した部分分解斜視図である。
【
図4】
図2に示す発泡ビーズ成型体製造装置の更に多くの部分を分解した分解斜視図である。
【
図6】
図5の上壁付近の一部を拡大して要素を分解した切断面図である。
【
図7】
図1から
図6に示す発泡ビーズ成型体製造装置を使用した、発泡ビーズ成型体製造方法のフロー図である。
【
図8】第2の実施形態の気体案内部材及びカバー部材を示す図である。
【
図9】第3の実施形態の気体供給管の側面図である。
【
図10】
図9の10-10線における気体供給管の切断面図である。
【
図11】
図5の第1の実施形態の気体供給管の代わりに第3の実施形態の気体供給管を使用したときの、気体側コネクタ、気体案内部材、及び気体供給管の切断面図である。
【
図12】第3の実施形態の変形例を示す、発泡ビーズ成型体製造装置の部分的な斜視図である。
【
図13】第4の実施形態の比較的収縮した状態にある気体案内部材の正面図である。
【
図14】第4の実施形態の比較的拡張した状態にある気体案内部材の正面図である。
【
図15】
図14の15-15線における気体案内部材の切断面図である。
【
図16】比較的収縮した状態における気体案内部材の、
図15と同じ断面における例示的な切断面図である。
【
図17】比較的収縮した状態における気体案内部材の、
図15と同じ断面における他の例示的な切断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1の実施形態>
(発泡ビーズ成型体製造装置)
図1は、第1の実施形態の発泡ビーズ成型体製造装置1の一部の概略的な構成を示す構成図である。発泡ビーズ成型体製造装置1は、型11と気体案内部材12とビーズ供給装置13とビーズ供給管14とビーズ側コネクタ15と気体供給装置16と気体供給管17と気体側コネクタ18とを備える。
【0033】
型11は、分離した多数の粒子状の発泡ビーズを一体的な発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間10を内部に規定する。本実施形態では成型空間10はおおむね直方体であるが、成型空間10は他の形状であってもよい。成型空間10の形状は、例えば、直方体、球形、多面体、他の形状を包含する。例えば、成型空間10の形状は、建築材料、例えば、壁、床、天井などを構成する建築材料の形状であってもよい。
【0034】
気体案内部材12は成型空間10内に配置可能に構成されており、気体を通すように構成されている。ビーズ供給装置13は成型空間10に向けてビーズを供給するように構成されている。ビーズ供給管14は、ビーズ供給装置13から成型空間10にビーズを案内するように構成されている。ビーズ側コネクタ15は、ビーズ供給管14を型11に固定するように構成されている。気体供給装置16は、発泡ビーズを加熱及び発泡させるための気体を気体案内部材12を経由して成型空間10に向けて供給するように構成されている。気体は高温の水蒸気を含む。気体供給管17は、気体供給装置16から成型空間10内の気体案内部材12に気体を案内するように構成されている。気体側コネクタ18は、気体供給管17を型11に固定するように構成されている。
【0035】
図2は、型11付近における発泡ビーズ成型体製造装置1の一部の構成を示す斜視図である。
図3は、
図2に示す発泡ビーズ成型体製造装置1の一部を分解した部分分解斜視図である。
図4は、
図2に示す発泡ビーズ成型体製造装置1の更に多くの部分を分解した分解斜視図である。
【0036】
図3に示すように、型11は、前壁21-1、後壁21-2、上壁21-3、下壁21-4、左壁21-5、及び右壁21-6(以下、まとめて壁21と呼ぶ場合がある)を含む。各壁21は平板状であり、前壁21-1と後壁21-2とが対向配置され、上壁21-3と下壁21-4とが対向配置され、左壁21-5と右壁21-6とが対向配置されている。6つの壁21により直方体の成型空間10が規定される。前壁21-1以外の5つの壁21は相互に固定されており、前壁21-1は残りの5つの壁21に対して取り外し可能に構成されている。
図3及び
図4では、前壁21-1が取り外された状態を示している。壁21の形状、数、及び取り外し可能な部分は、本実施形態に示されるものに限定されない。
【0037】
各壁21は成型空間10の内側から外側まで貫通した複数の排気路22を含む。
図3では各壁に対して1つの排気路22に符号を付しているが、本実施形態では各壁に多数の排気路22が設けられている。排気路22の配置は図示されるものに限られない。
【0038】
図5は、
図2の5-5線における切断面図である。また、
図5は、型11付近のみを描いている。
図5では切断面のみを示しており、奥の形状は省略されている。切断面は、前壁21-1と後壁21-2とに平行で、
図3の上壁21-3、下壁21-4、左壁21-5、及び右壁21-6の中心を通る。
【0039】
図5に示すように、気体案内部材12は、おおむね円筒形の第1の案内壁31-1と、第1の案内壁31-1の一端を閉じる円盤状の第2の案内壁31-2とをもつ。以下、第1の案内壁31-1と第2の案内壁31-2とを区別せずに案内壁31と呼ぶ場合がある。第1の案内壁31-1の2つの端部のうち、第2の案内壁31-2とは逆に位置する端部は開放されており、接続端部33と呼ばれる。案内壁31は、複数の線状の樹脂を網目状に交差させて融着させることにより形成されている。
図5では簡潔であるように線状の樹脂の断面を円にしているが、他の形状であってもよい。案内壁31により、内部に概ね円柱状の気体案内空間34が規定されている。気体案内空間34及び案内壁31の形状は図示されるものに限られない。
【0040】
案内壁31は、気体案内空間34の内側から外側まで貫通した複数の通気孔35を備える。
図5では簡潔であるように1つの通気孔35に符号を付しているが、気体案内部材12は網状の樹脂間に多数の通気孔35を備える。通気孔35は、接続端部33から第2の案内壁31-2までおおむね均一に分布している。他の例において、通気孔35の分布は均一でなくてもよい。
【0041】
本実施形態の気体案内部材12は、柔軟性のある樹脂製である。他の例において、気体案内部材12は、他の材料、例えば金属、木材により形成されてもよい。本実施形態の気体案内部材12は、人の手で容易に変形できる程度の可撓性をもつので、第1の案内壁31-1を屈曲させることが可能である。他の例において、気体案内部材12は、人の手で容易に変形できないほど固いものであってもよい。
【0042】
図4に示すように、発泡ビーズ成型体製造装置1は、2つの固定具19を備える。各固定具19は、1つの固定シャフト41、2つの固定ナット42、及び1つの固定ひも43を備える。各固定シャフト41の両端には、所定の長さにわたってねじ山が形成されている。前壁21-1には2つの固定孔23が設けられている。後壁21-2にも前壁21-1と同様に2つの固定孔(図示しない)が設けられている。
【0043】
壁21が成型空間10を形成するように組み立てられた状態において、固定シャフト41は成型空間10を通るように位置し、固定シャフト41の一端が前壁21-1の固定孔23から外部に突出し(
図2)、固定シャフト41の他端が後壁21-2の固定孔(図示しない)から外部に突出した状態になる(図示しない)。
図2に示すように、前壁21-1の外側から固定シャフト41の一端に固定ナット42が嵌め合わされる。同様に図示しないが後壁21-2の外側から固定シャフト41の他端に固定ナット42が嵌め合わされる。結果として、固定シャフト41が成型空間10内を通った状態で型11及び成型空間10に対して固定される。
【0044】
前壁21-1と後壁21-2との距離は固定具19により固定される。したがって、発泡ビーズの発泡によって前壁21-1と後壁21-2との距離が広がることが防止される。固定ナット42を固定シャフト41から外すことにより、前壁21-1を他の壁21から分離することができる。固定具19は、型11の任意の部分を相互に固定するように配置されていてよい。
【0045】
図3に示すように、固定ひも43は成型空間10内において気体案内部材12を固定シャフト41に結び付けるために使用される。気体案内部材12は、固定具19により、固定シャフト41を介して型11に対して取り外し可能に固定される。
【0046】
図6は、
図5の上壁21-3付近の一部を拡大して要素を分解した切断面図である。上壁21-3は、内側から外側まで貫通したビーズ供給孔24及び気体供給孔25を備える。
【0047】
図6に示すように、ビーズ供給管14は、ビーズ供給装置13(
図1)から供給される発泡ビーズを案内するための第1のビーズ流入路51-1を備える管状部材である。第1のビーズ流入路51-1の一端は発泡ビーズを受け取るためにビーズ供給装置13(
図1)に接続可能である。ビーズ供給管14は、型11の近くに配置可能な先端52をもつ。第1のビーズ流入路51-1は、ビーズ供給管14の先端52において発泡ビーズを放出可能に開放されている。
【0048】
ビーズ側コネクタ15は、ビーズ供給孔24と第1のビーズ流入路51-1との両方に、取り外し可能に嵌め合わせることが可能な管状部材である。ビーズ側コネクタ15は、上壁21-3に固定するために外側に突出したビーズ側フランジ53を備える。ビーズ側コネクタ15は、第1のビーズ流入路51-1から供給される発泡ビーズを案内するための第2のビーズ流入路51-2を備える。
【0049】
図5に示すように、ビーズ側コネクタ15の一端側がビーズ供給孔24内に嵌め込まれ、ビーズ側フランジ53が上壁21-3の外側に固定された固定状態において、第2のビーズ流入路51-2が型11の内側から外側に貫通した経路を形成する。固定状態のビーズ側コネクタ15のうちの他端側(すなわち、型11の外側に位置する部分)に、外側からビーズ供給管14の先端52付近の部分を嵌め込むことが可能である。ビーズ供給管14がビーズ側コネクタ15に嵌め合わされることにより、第1のビーズ流入路51-1と第2のビーズ流入路51-2とが1つのビーズ流入路51を形成する。ビーズ流入路51は、ビーズ供給装置13(
図1)から供給される発泡ビーズを成型空間10に流し込むための流路として機能する。
【0050】
図6に示すように、気体供給管17は、気体供給装置16(
図1)から供給される気体を成型空間10に流し込むための気体流入路54を備える管状部材である。気体流入路54の一端は気体を受け取るために気体供給装置16(
図1)に接続可能である。気体供給管17は、ビーズ供給管14の型11の近くに配置可能な先端55をもつ。気体流入路54は、ビーズ供給管14の先端55において気体を放出可能に開放されている。
【0051】
気体側コネクタ18は、気体供給孔25と気体供給管17との両方に、取り外し可能に嵌め合わせることが可能なおおむね管状の部材である。気体側コネクタ18は、上壁21-3に固定するために外側に突出した気体側フランジ56を備える。気体側コネクタ18は、気体供給管17の先端55付近を挿入可能に構成された挿入孔57を備える。挿入孔57は気体側コネクタ18を貫通している。気体側コネクタ18は、挿入孔57の外側に、気体案内部材12の接続端部33を挿入可能に構成された固定溝58を備える。
【0052】
図5に示すように、気体側コネクタ18の一端側が気体供給孔25内に嵌め込まれ、気体側フランジ56を上壁21-3の外側に固定された固定状態において、挿入孔57が型11の内側から外側に貫通した経路を形成し、固定溝58は成型空間10に向いて配置される。
【0053】
図5に示すように、気体側コネクタ18が固定状態にあるとき、固定溝58に気体案内部材12の接続端部33を挿入すること、及び固定溝58から気体案内部材12の接続端部33を取り外すことが可能である。すなわち、接続端部33は気体流入路54に対して取り外し可能に接続可能である。接続端部33は挿入及び取り外しの方向以外の方向に大きく動かないように、固定溝58により固定される。
【0054】
図5に示すように、気体側コネクタ18が固定状態にあるとき、型11の外側から内側に向かう方向において、気体供給管17の先端55付近の部分を挿入孔57に挿入すること、及び、逆方向に気体供給管17を挿入孔57から取り外すことが可能である。
図5では、気体流入路54が開放されているビーズ供給管14の先端55が、気体案内部材12の接続端部33の近くに位置している。他の例において、ビーズ供給管14の先端55は気体案内部材12の、より内側に配置されてもよく、又はより外側に配置されてもよい。
【0055】
案内壁31は気体案内空間34を囲むように位置している。気体案内空間34は接続端部33における開口を除いて案内壁31により囲まれている。固定溝58に気体案内部材12を固定した状態において、気体案内空間34は接続端部33の開口を通じて気体流入路54に連通する。気体案内部材12が成型空間10内に位置する状態において、通気孔35は、成型空間10と気体案内空間34との間で気体を通すことが可能である。
【0056】
(発泡ビーズ成型体製造方法)
図7は、
図1から
図6に示す発泡ビーズ成型体製造装置1を使用した、発泡ビーズ成型体製造方法のフロー図である。本開示の技術思想が実現される限り、一部の工程が入れ替えられてもよく、2つ以上の工程が同時に実行されてもよく、一部の工程が省略されてもよく、追加的な工程が追加されてもよい。
【0057】
まず、ステップS11において、発泡ビーズを発泡ビーズ成型体に成型するための成型空間10を形成するための型11を用意する。
【0058】
ステップS11の次に、ステップS12において、
図5に示すように、気体案内部材12の取り外し可能な接続端部33を気体流入路54に接続することにより、成型空間10に気体案内部材12を配置する。
【0059】
ステップS12の詳細について説明する。まず、
図4に示すように、型11の前壁21-1を他の5つの壁21から取り外す。次に、
図5に示すように、ビーズ側コネクタ15の一端側をビーズ供給孔24内に嵌め込んで、ビーズ側フランジ53を上壁21-3の外側に固定する。次に、気体側コネクタ18の一端側を気体供給孔25内に嵌め込んで、気体側フランジ56を上壁21-3の外側に固定する。次に、固定溝58に気体案内部材12の接続端部33を挿入して固定する。
【0060】
次に、固定シャフト41の後方の端部を成型空間10から後壁21-2の固定孔(図示しない)に通し、後壁21-2の外側から固定シャフト41に固定ナット42(
図4)を固定する。次に、成型空間10内において、固定ひも43により気体案内部材12の案内壁31を固定シャフト41にくくりつけて固定する。気体案内部材12の固定により、成型空間10内における気体案内部材12の形状及び位置が固定される。本例では、固定された案内壁31の大部分が型11から離れている。他の例において、固定された案内壁31の一部が型11に接触していてもよい。気体案内部材12の接続端部33の開口は成型空間10に直接つながっていない。
【0061】
ステップS12の次に、ステップS13において、成型空間10(
図3)を閉じる。より詳細には、前壁21-1により成型空間10(
図3)を閉じて、固定シャフト41の前方の端部を成型空間10から前壁21-1の固定孔23(
図4)に通し、前壁21-1の外側から固定シャフト41に固定ナット42を固定する(
図2)。固定ナット42により、後壁21-2から離れる方向における前壁21-1の動きが阻止され、及び6つの壁21が相互に固定される。
【0062】
ステップS13の次に、ステップS14において、気体案内部材12が配置された成型空間10(
図5)に多数の粒子状の発泡ビーズを流し込む。発泡ビーズは、例えば、樹脂を含む。より詳細には、まず、
図5に示すように、ビーズ供給管14のビーズ供給孔24内にビーズ側コネクタ15の一端側を挿入してビーズ流入路51を形成する。次に、
図1に示すビーズ供給装置13から
図5のビーズ流入路51を通して成型空間10に発泡ビーズを流し込む。
【0063】
流し込まれる発泡ビーズは気体案内部材12の通気孔35より大きいことが望ましい。流し込まれる発泡ビーズは、予め、ある程度発泡したものであってもよい。成型空間10内における気体案内部材12と型11との間の空間が、所定の量の発泡ビーズにより満たされる。
【0064】
ステップS14の次に、ステップS15において、成型空間10に気体を流し込むことにより成型空間10の発泡ビーズを発泡させる。
【0065】
ステップS15について詳細に説明する。まず、
図5に示すように、気体供給管17の先端55付近の部分を、気体側コネクタ18の挿入孔57に挿入する。次に、
図1に示す気体供給装置16から
図5の気体流入路54に気体を供給する。気体流入路54に供給された気体は、ビーズ供給管14の先端55から気体案内部材12の気体案内空間34に放出される。気体案内空間34に放出された気体は通気孔35を通って成型空間10に流れ込む。このようにして、気体が気体流入路54から気体案内空間34を通して成型空間10に流し込まれる。
【0066】
気体案内空間34と成型空間10との間の気体の通り道は通気孔35のみである。気体は発泡ビーズを発泡させる程度の高温(例えば120℃)の水蒸気を含んでいる。成型空間10に気体を送ることにより、成型空間10の発泡ビーズを加熱し、及び発泡させることにより発泡ビーズ成型体が型11の内面に沿って成型される。発泡ビーズ成型体とは、発泡した発泡ビーズが相互に融着して一体化した物体である。型11内の気体は型11を貫通した複数の排気路22を通して、成型空間10外に排出される。
【0067】
気体案内部材12は、発泡ビーズを発泡させる程度の高温の気体によって容易に変形しない耐熱性をもつことが望ましい。気体案内部材12は、発泡した発泡ビーズからの圧力により容易に変形しない程度の強度をもつことが望ましい。
【0068】
ステップS15の次に、ステップS16において、気体案内部材12と発泡ビーズ成型体とを一体的に型11から取り外す。
【0069】
ステップS16について詳細に説明する。まず、2つの固定ナット42(
図4)を固定シャフト41(
図4)から外すことにより、前壁21-1(
図4)を他の壁21(
図4)から取り外す。他の壁21(
図4)を更に分解してもよい。次に、固定シャフト41(
図4)を発泡ビーズ成型体及び気体案内部材12(
図4)から取り除く。次に、気体案内部材12(
図4)を発泡ビーズ成型体内に収容した状態で発泡ビーズ成型体を型11(
図4)から取り外す。
【0070】
本実施形態では、発泡ビーズ成型体を内部から補強するために気体案内部材12が発泡ビーズ成型体内に残置される。すなわち、最終製品として、気体案内部材12が発泡ビーズ成型体内に残される。残置することにより、気体案内部材12を発泡ビーズ成型体から引き抜いて発泡ビーズ成型体に傷をつけることを防ぎ、及び引き抜いた部分が弱くなることを防ぐことができる。
【0071】
特に、成型後に気体案内部材12が発泡ビーズ成型体より固い材料である場合、気体案内部材12が最終製品の骨格として機能して、最終製品の強度を高めることができる。他の例において、発泡ビーズ成型体を型11から取り外した後に、気体案内部材12が発泡ビーズ成型体から取り外されてもよい。発泡ビーズ成型体から気体案内部材12を取り外すことで気体案内部材12を再利用することができる。
【0072】
(まとめ)
本実施形態によれば、気体案内部材12が成型空間10に位置するので、発泡ビーズ成型体の内部に気体を送り込みやすく、更に、気体案内部材12が気体流入路54に対して取り外し可能であるので、成型後に気体流入路54を発泡ビーズ成型体と一緒に取り外すことができる。その結果、簡単な構成で発泡ビーズ成型体の内部に気体を送り込んで、発泡ビーズ成型体の内部において適切に発泡ビーズを発泡させることができる。
【0073】
本実施形態によれば、気体案内部材12が発泡ビーズ成型体内に残置されるので、気体案内部材12を引き抜く場合と異なり発泡ビーズ成型体に傷をつけることを防ぐことができ、及び引き抜いた部分が弱くなることを防ぐことができる。
【0074】
本実施形態によれば、発泡ビーズ成型体製造装置1が固定具19を備えるので、成型空間10における気体案内部材12の位置が安定して、所望の形状の発泡ビーズ成型体を成型しやすくなる
【0075】
<第2の実施形態>
第1の実施形態との相違点を中心として、第2の実施形態の発泡ビーズ成型体製造方法及び発泡ビーズ成型体製造装置について説明する。
図8は、本実施形態の気体案内部材12及びカバー部材60を示す図である。本実施形態の気体案内部材12については、第1の実施形態と同じ符号を付している。本実施形態の発泡ビーズ成型体製造装置は、第1の実施形態の発泡ビーズ成型体製造装置1(
図5)に加えて、カバー部材60を更に備える。カバー部材60は、例えば、気体案内部材12と同じ材料で形成されてもよく、異なる材料により形成されてもよい。
【0076】
カバー部材60は、気体案内部材12の外面に接して気体案内部材12を覆う通気性の部材である。カバー部材60は、気体案内部材12に対して取り外し可能に構成されている。カバー部材60には、内側と外側を貫通する複数の孔が設けられているが、
図8では、簡潔であるように省略している。別の観点では、内側の気体案内部材12に対して、気体案内部材12より一回り大きく、気体案内部材12と同様の構造の気体案内部材が嵌め合わされているとみることもできる。本例では、カバー部材60は気体案内部材12より薄く、カバー部材60の孔は気体案内部材12の通気孔35より小さく、通気孔35より数が多い。
【0077】
他の例において、カバー部材60は気体案内部材12より厚くてもよい。他の例において、カバー部材60の孔は気体案内部材12より大きくてもよく、通気孔35より数が少なくてもよい。
【0078】
本実施形態の場合、
図5の固定溝58は、本実施形態の
図8の気体案内部材12及びカバー部材60の端部を一緒に挿入及び固定することができるように構成されている。
【0079】
上記のステップS12において気体案内部材12の接続端部33を固定溝58(
図5)に挿入するとき、気体案内部材12の接続端部33とカバー部材60(
図8)の端部との両方が固定溝58(
図5)に挿入される。上記のステップS16において、気体案内部材12と発泡ビーズ成型体とを一体的に型11から取り外すとき、カバー部材60も気体案内部材12及び発泡ビーズ成型体と一体的に型11から取り外す。
【0080】
本実施形態では、発泡ビーズ成型体を型11から取り外した後に、発泡ビーズ成型体内にカバー部材60を残して、気体案内部材12が発泡ビーズ成型体から取り外される。発泡ビーズ成型体から気体案内部材12を取り外すことで気体案内部材12を再利用することができる。カバー部材60が存在するので、気体案内部材12の取り外し時に発泡ビーズ成型体を傷めにくい。他の例において、最終製品として気体案内部材12及びカバー部材60が発泡ビーズ成型体内に残される。成型後に気体案内部材12又はカバー部材60が発泡ビーズ成型体より固い材料である場合、気体案内部材12又はカバー部材60が最終製品の骨格として機能して、最終製品の強度を高めることができる。
【0081】
(まとめ)
本実施形態によれば、発泡ビーズ成型体製造装置がカバー部材60を備え、気体案内部材12がカバー部材60により覆われているので、発泡ビーズ成型体から気体案内部材12を取り外して再利用しやすくなる。
【0082】
<第3の実施形態>
第1の実施形態との相違点を中心として、第3の実施形態の発泡ビーズ成型体製造方法及び発泡ビーズ成型体製造装置について説明する。
図9は、本実施形態の気体供給管70の側面図である。
図10は、
図9の10-10線における気体供給管70の切断面図である。
図11は、
図5の第1の実施形態の気体供給管17の代わりに気体供給管70を使用したときの、気体側コネクタ18、気体案内部材12、及び気体供給管70の切断面図である。
【0083】
図9に示すように、本実施形態の気体供給管70は、基部71と放出ノズル72とを備える。基部71と放出ノズル72とは相互に固定されている。基部71は、気体供給装置16(
図1)から後述の第1のサブ供給管73-1まで気体を案内するように構成された管状部材である。基部71は、
図11に示すように気体側コネクタ18に嵌め込んで固定することが可能に構成されている。
図11に示すように放出ノズル72は、基部71を気体側コネクタ18に固定したときに、気体案内空間34に挿入可能であるように構成されており、及び気体案内空間34から取り外し可能に構成されている。
【0084】
図9に示すように、放出ノズル72は、第1のサブ供給管73-1、第2のサブ供給管73-2、第3のサブ供給管73-3、第1の連結部74-1、第2の連結部74-2、及び先端部75を備える。第1のサブ供給管73-1、第2のサブ供給管73-2、及び第3のサブ供給管73-3を、区別せずにサブ供給管73と呼ぶ場合がある。第1の連結部74-1及び第2の連結部74-2を区別せずに連結部74と呼ぶ場合がある。
【0085】
基部71、第1のサブ供給管73-1、第1の連結部74-1、第2のサブ供給管73-2、第2の連結部74-2、第3のサブ供給管73-3、及び先端部75は、この順に、相互に接続されている。
図10に示すように、気体供給管70は、基部71から先端部75までつづく気体流入路76を備える。気体流入路76の一端(
図10の上端)は気体供給装置16(
図1)から気体を受け取るように構成されている。
【0086】
サブ供給管73は気体流入路76の一部を形成する流路を備える可撓性の長尺の管状部材である。連結部74は、サブ供給管73より短く構成されており、サブ供給管73を連結する部材である。
【0087】
第1の連結部74-1は、気体流入路76を途中で外部に開放する2つの第1の放出孔77-1を備える。第2の連結部74-2は、気体流入路76を途中で外部に開放する2つの第2の放出孔77-2を備える。先端部75は、気体流入路76を基部71とは逆の端部で外部に開放する第3の放出孔77-3を備える。2つの第1の放出孔77-1、2つの第2の放出孔77-2、及び第3の放出孔77-3を区別せずに放出孔77と呼ぶ場合がある。放出孔77は、気体案内空間34(
図11)における複数の位置において気体を放出するように構成されている。
【0088】
上記ステップS15では、まず、
図11に示すように、気体案内空間34に放出ノズル72を挿入した状態で基部71を気体側コネクタ18に固定する。固定したとき、第3の放出孔77-3が気体案内部材12の第2の案内壁31-2付近に位置する。また、固定したとき、気体案内部材12の接続端部33から第2の案内壁31-2までの空間の途中の複数の位置に、第1の放出孔77-1及び第2の放出孔77-2が配置される。
【0089】
次に、
図1に示す気体供給装置16から
図11の気体流入路76に気体を供給する。気体流入路76に供給された気体は、複数の放出孔77から気体案内部材12の気体案内空間34に放出される。詳細には、気体流入路76を流れる気体の一部が、基部71、第1のサブ供給管73-1、第1の連結部74-1、第2のサブ供給管73-2、第2の連結部74-2、第3のサブ供給管73-3、及び先端部75を順に流れて、先端部75の第3の放出孔77-3から気体案内空間34に放出される。更に、気体流入路76を流れる気体の他の一部が、気体流入路76の途中で第1の放出孔77-1及び第2の放出孔77-2から気体案内空間34に放出される。
【0090】
長尺のサブ供給管73が可撓性をもつので、放出ノズル72は気体案内空間34に対する挿入時及び取り出し時に気体案内空間34に沿って屈曲可能な可撓性をもつ。
図11では気体案内部材12は概ね円筒状であるが、U字形状、らせん形状といった他の形状であってもよい。放出ノズル72は屈曲しながら、気体案内部材12の気体案内空間34に沿って挿入すること、及び取り外すことができる。特に、気体案内空間34が、放出ノズル72を屈曲させなければ、放出ノズル72を奥まで入れられないような複雑な形状(例えば、U字形状、波線状など)である場合に、本実施形態は有用である。
【0091】
本実施形態では放出ノズル72が一体的に形成されているが、他の例において、独立した部材が組み合わされていてもよい。例えば、サブ供給管73、連結部74、及び先端部75がそれぞれ独立に製造された後に、相互に連結することにより放出ノズル72として形成されてもよい。サブ供給管73及び連結部74の個数は本実施形態のものに限定されない。例えば、サブ供給管73と連結部74とを交互に連結することにより、本実施形態より短い、又は長い放出ノズル72が形成されてもよい。気体案内空間34の長さに応じて、サブ供給管73及び連結部74の連結数を変えることにより、長さを調節可能とされてもよい。部材の連結方法として、接着、溶着、ねじ止め、嵌め合わせなどが例示されるが、これらに限定されない。
【0092】
図12は、本実施形態の変形例を示す発泡ビーズ成型体製造装置の部分的な斜視図である。変形例ではU字状の気体案内部材80が使用される。変形例の気体案内部材80は、本実施形態の気体案内部材12をU字状に曲げて形成されているが、他の例において当初からU字状に製造されたものであってもよい。気体案内部材80も本実施形態と同様に通気孔を備えているが、
図12では簡潔さのために省略している。変形例では本実施形態より多くの位置において固定具19により固定されているので、気体案内部材80を屈曲させても気体案内部材80を安定して成型空間10に配置することができる。
【0093】
例えば型11が比較的大きい場合でも、変形例のように気体案内部材80を適宜屈曲させることで、成型空間10内に均一に気体を送り込みやすい。また、放出ノズル72が可撓性をもつので、気体案内部材80に沿って放出ノズル72を挿入して、気体案内空間34の奥まで気体を送り込むことができる。
【0094】
なお、
図12の変形例では各構成要素の形状は本実施形態の変形例と若干異なるが、説明の簡略のために同じ符号を付している。型11の形状は図示されるものに限定されない。他の構成要素についても、説明の簡略化のために、本実施形態の構成要素と同様の機能を果たすものに同じ符号を付している。
【0095】
(まとめ)
本実施形態によれば、発泡ビーズ成型体製造装置が複数の放出孔77を備える放出ノズル72を備え、放出ノズル72が気体案内空間34に配置されるので、気体案内空間34の接続端部33のみから気体を気体案内空間34に送る場合に比べると、気体案内空間34の比較的広い範囲に均一に気体を送り込みやすい。結果的に、気体案内空間34から成型空間10に均一に気体を送り込みやすくなる。
【0096】
本実施形態によれば、放出ノズル72が可撓性をもつので、気体案内空間34が直線的でなくても、気体案内空間34に放出ノズル72を挿入しやすい。結果的に、発泡ビーズ成型体の内部において適切に発泡ビーズを発泡させることができる。
【0097】
<第4の実施形態>
第1の実施形態との相違点を中心として、第4の実施形態の発泡ビーズ成型体製造方法及び発泡ビーズ成型体製造装置について説明する。本実施形態では、
図5に示す第1の実施形態の気体案内部材12の代わりに、
図13に示す気体案内部材90が使用される。
図13は、比較的収縮した状態にある本実施形態の気体案内部材90の正面図である。気体案内部材90は、接続端部91から先端部92まで管状に延びた長尺部材である。
【0098】
気体案内部材90は、案内壁93を備えている。案内壁93は、内側に接続端部91から先端部92付近まで延びた気体案内空間94を囲うように構成されている。気体案内空間94は、接続端部91において外部に開放されており、先端部92において閉じている。接続端部91は、第1の実施形態と同様に固定溝58(
図5)に嵌め込んで固定することが可能である。
【0099】
気体案内部材90は、案内壁93を通って気体案内空間94の内側から外側まで貫通した複数の通気孔95を備える。図示されている通気孔95の形状及び位置は例示であり、通気孔95は他の位置にあってもよく、他の形状であってもよい。気体案内部材90は、気体の圧力により変形可能な程度に柔軟性のある材料、例えば樹脂から形成されている。
図13に示すように気体案内空間94を比較的狭くした状態では、案内壁93は図示される形状に限らず、さまざまな形状に折り畳まれること、収縮すること、又はその他の変形をすることが可能である。
【0100】
図14は、
図13の状態に比べて比較的拡張した状態にある気体案内部材90の正面図である。気体案内空間94に気体が流し込まれたとき、気体の圧力により案内壁93が外側に押され、気体案内空間94が拡張することが可能である。比較的拡張した状態において、案内壁93は、おおむね長尺の円筒形になり、または円筒を屈曲させた形状(例えば
図12に例示される形状に近い形状)となる。他の例において、比較的拡張した状態において、案内壁93は他の形状をとってもよい。
【0101】
図15は、
図14の15-15線における気体案内部材90の切断面図である。
図15では奥の構造は省略されている。比較的膨張した状態において、案内壁93はおおむね円形の断面をもつ。他の例において、案内壁93は比較的膨張した状態において他の形状をとってもよい。
【0102】
図16は、比較的収縮した状態における気体案内部材90の、
図15と同じ断面における例示的な切断面図である。
図16では奥の構造は省略されている。
図16では
図15の状態に比べると気体案内空間94が平板状に狭くなっている。
図17は、比較的収縮した状態における気体案内部材90の、
図15と同じ断面における他の例示的な切断面図である。
図17では奥の構造は省略されている。
図17では、
図15の状態に比べると気体案内空間94が4方向から押しつぶされて、放射状になり、比較的狭くなっている。
図16及び
図17は例示である。
【0103】
上記ステップS12において、成型空間10(
図5)に気体案内部材90(
図13)を配置する工程が、気体案内空間94を比較的狭くした状態(例えば、
図13、
図16、又は
図17に示す状態)で気体案内部材90を配置することを含む。その他の点に関して、気体案内部材90は第1の実施形態の場合と同様に成型空間10(
図5)に配置される。案内壁93が、気体案内空間94を比較的狭くした状態に変形可能であるので、配置時の気体案内部材90の取扱い(任意の経路に沿った屈曲など)が容易である。
【0104】
上記ステップS15において、発泡ビーズ成型体を成型する工程は、気体案内空間94に流し込まれた気体が案内壁93を押すことにより気体案内空間94を比較的広くすることを含む。その他の点に関して、発泡ビーズ成型体は第1の実施形態の場合と同様に成型される。なお、第3の実施形態のように、気体案内空間94に放出ノズル72が挿入されてもよい。案内壁93が、気体の圧力により気体案内空間94を比較的広くした状態に変形可能であるので、気体案内空間94内の広い範囲に均一に気体を送り込みやすい。
【0105】
一例において、気体の供給を止めたとき、案内壁93が、気体案内空間94を比較的狭くした状態に戻る。したがって、上記ステップS16において、気体案内部材90を発泡ビーズ成型体内に収容した状態で、発泡ビーズ成型体を型11(
図4)から取り外した後、気体案内部材90を発泡ビーズ成型体から除去しやすい。
【0106】
他の例において、気体の供給を止めたとき、案内壁93は、気体案内空間94を比較的広くした状態に留まる。したがって、上記ステップS16において、気体案内部材90を発泡ビーズ成型体内に収容した状態で、発泡ビーズ成型体を型11(
図4)から取り外した後、気体案内部材90が発泡ビーズ成型体内に残置されて、発泡ビーズ成型体の補強材として機能する。残置される例において、気体案内部材90は、気体の熱により変質して、冷却後に硬化する材料により構成されてもよい。
【0107】
(まとめ)
本実施形態によれば、案内壁93が、気体案内空間94を比較的狭くした状態に変形可能であり、および、気体案内空間94に流し込まれる気体の圧力により気体案内空間94を比較的広くした状態に変形可能であるので、配置時の気体案内部材90の取扱いが容易であるとともに、気体案内空間94の広い範囲に気体を送り込みやすい。
【0108】
以上の実施形態は矛盾を生じない限り適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1…発泡ビーズ成型体製造装置、10…成型空間、11…型、12…気体案内部材、
13…ビーズ供給装置、14…ビーズ供給管、15…ビーズ側コネクタ、
16…気体供給装置、17…気体供給管、18…気体側コネクタ、19…固定具、
21…壁、21-1…前壁、21-2…後壁、21-3…上壁、21-4…下壁、
21-5…左壁、21-6…右壁、22…排気路、23…固定孔、24…ビーズ供給孔、
25…気体供給孔、31…案内壁、31-1…第1の案内壁、31-2…第2の案内壁、
33…接続端部、34…気体案内空間、35…通気孔、41…固定シャフト、
42…固定ナット、43…固定ひも、51…ビーズ流入路、
51-1…第1のビーズ流入路、51-2…第2のビーズ流入路、52…先端、
53…ビーズ側フランジ、54…気体流入路、55…先端、56…気体側フランジ、
57…挿入孔、58…固定溝、60…カバー部材、70…気体供給管、71…基部、
72…放出ノズル、73…サブ供給管、73-1…第1のサブ供給管、
73-2…第2のサブ供給管、73-3…第3のサブ供給管、74…連結部、
74-1…第1の連結部、74-2…第2の連結部、75…先端部、76…気体流入路、
77…放出孔、77-1…第1の放出孔、77-2…第2の放出孔、
77-3…第3の放出孔、80…気体案内部材、90…気体案内部材、91…接続端部、
92…先端部、93…案内壁、94…気体案内空間、95…通気孔
【要約】
【課題】簡単な構成で発泡ビーズ成型体の内部に気体を送り込んで、発泡ビーズ成型体の内部において適切に発泡ビーズを発泡させることができる発泡ビーズ成型体製造方法及び発泡ビーズ成型体製造装置を提供すること。
【解決手段】本方法は、気体案内部材12の接続端部33を型11の気体流入路54に接続することにより、型11の成型空間10に気体案内部材12を配置する工程を含む。気体案内部材12は、気体流入路54に連通可能な気体案内空間34を囲むように位置している案内壁31と、案内壁31を貫通した通気孔35とを備える。本方法は、気体流入路54から気体案内空間34を通して成型空間10に気体を流し込むことにより成型空間10の発泡ビーズを加熱及び発泡させることにより発泡ビーズ成型体を成型する工程と、気体案内部材12と発泡ビーズ成型体とを一体的に型11から取り外す工程とを含む。
【選択図】
図5