(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】電気掃除機用吸込具及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/04 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
A47L9/04 Z
A47L9/04
(21)【出願番号】P 2018007514
(22)【出願日】2018-01-19
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】桑原 龍也
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小柳 誠
(72)【発明者】
【氏名】小出 剛之
(72)【発明者】
【氏名】居初 嘉久
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第04229030(DE,A1)
【文献】特開2007-061539(JP,A)
【文献】独国実用新案第202009001640(DE,U1)
【文献】特開平06-343585(JP,A)
【文献】登録実用新案第3129636(JP,U)
【文献】中国実用新案第202078261(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/00~ 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台とブラシ毛とを有するブラシ体と、
一方の縁部と該一方の縁部に対向して設けられた他方の縁部とを備えた開口を有する吸込口本体と、を有する電気掃除機用吸込具であって、
前記開口の一方の縁部と他方の縁部との間に前記ブラシ体が配置され、
被清掃面の非清掃時に、前記ブラシ体が、前記開口の一方の縁部及び他方の縁部に接触しており、
被清掃面の清掃時に、前記ブラシ体が可動して、前記ブラシ体と前記開口の一方の縁部、及び/又は、他方の縁部が離れることで、塵埃を吸引する吸引風路が形成される
と共に、前記ブラシ体の可動時に、前記ブラシ毛の先端が、前記開口の一方の縁部及び/又は他方の縁部の吸引側の端部に当接していることを特徴とする電気掃除機用吸込具。
【請求項2】
開口の一方の縁部及び/又は他方の縁部の吸引側の端部に塵埃除去用のクシを設けたことを特徴とする請求項
1に記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項3】
電動送風機と、請求項1
又は請求項2に記載の電気掃除機用吸込具とを有し、前記電動送風機と前記電気掃除機用吸込具とを連通させたことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被清掃面に付着している塵埃等を吸引除去する為に使用される電気掃除機を構成する電気掃除機用吸込具と、この電気掃除機用吸込具を備えた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被清掃面に付着している花粉や塵埃等を吸引除去する為に、ブラシと吸引口とを備えた電気掃除機が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の電気掃除機は、ハンディタイプであって、空気吸引ファンと、該空気吸引ファンにより吸引された気流を濾通するフィルタとを備えた中空筐体の一側面にブラシ毛を複数列植設したブラッシング部を有するものであって、前記ブラッシング部のブラシ毛列の列間域に複数個の吸引口を設ける構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電気掃除機は、複数個の吸込口の全てが常に開いていることから、十分な吸引力を確保することができないという課題を有していた。また、吸引力を強くするために大型のモータを使用した場合には、電気掃除機の重量が重くなると共に、電力消費が増えて稼働時間が短くなるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、大型のモータを使用すること無く、花粉等の塵埃を吸引するための十分な吸引力を確保することができる電気掃除機用吸込具及び電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、基台とブラシ毛とを有するブラシ体と、一方の縁部と該一方の縁部に対向して設けられた他方の縁部とを備えた開口を有する吸込口本体と、を有する電気掃除機用吸込具であって、前記開口の一方の縁部と他方の縁部との間に前記ブラシ体が配置され、被清掃面の非清掃時に、前記ブラシ体が、前記開口の一方の縁部及び他方の縁部に接触しており、被清掃面の清掃時に、前記ブラシ体が可動して、前記ブラシ体と前記開口の一方の縁部、及び/又は、他方の縁部が離れることで、塵埃を吸引する吸引風路が形成されると共に、前記ブラシ体の可動時に、前記ブラシ毛の先端が、前記開口の一方の縁部及び/又は他方の縁部の吸引側の端部に当接していることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、被清掃面の清掃時に、ブラシ体が可動して、ブラシ体と開口の一方の縁部、及び/又は、他方の縁部が離れることで、塵埃を吸引する吸引風路が形成されるが、ベルヌーイの定理からも明らかなように、狭い開口で吸引することで吸引風の風速を上げることができる。したがって、大型のモータを使用すること無く、花粉等の塵埃を吸引するための十分な吸引力を確保することができる。
【0012】
また、ブラシ体の可動時に、ブラシ毛の先端が、開口の一方の縁部及び/又は他方の縁部の吸引側の端部に当接していることを特徴としている。したがって、開口の一方の縁部及び/又は他方の縁部の吸引側の端部にブラシ毛を当接させてブラシ毛に付着している塵埃を除去することができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の電気掃除機用吸込具の発明において、開口の一方の縁部及び/又は他方の縁部の吸引側の端部に塵埃除去用のクシを設けたことを特徴としている。したがって、塵埃除去用のクシによってブラシ毛に付着している塵埃を除去する効果を向上させることができる。
【0014】
請求項3の発明は、電気掃除機の発明であって、電動送風機と、請求項1又は請求項2に記載の電気掃除機用吸込具とを有し、前記電動送風機と前記電気掃除機用吸込具とを連通させたことを特徴としている。したがって、大型のモータを使用すること無く、花粉等の塵埃を吸引するための十分な吸引力を確保することができる電気掃除機を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び請求項2の電気掃除機用吸込具の発明は、大型のモータを使用すること無く、花粉等の塵埃を吸引するための十分な吸引力を確保することができると共に、ブラシ毛に付着している塵埃を除去することができる。
【0016】
また、請求項3の電気掃除機の発明は、大型のモータを使用すること無く、花粉等の塵埃を吸引するための十分な吸引力を確保することができる電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る電気掃除機の一例である花粉クリーナーを示す斜視図
【
図3】(a)~(c)第1実施形態の電気掃除機用吸込具のブラシ体と開口の関係を示す説明図
【
図4】(a)、(b)第2実施形態の電気掃除機用吸込具のブラシ体と開口の関係を示す説明図
【
図5】(a)~(c)第3実施形態の電気掃除機用吸込具のブラシ体と開口の関係を示す説明図
【
図6】(a)、(b)第4実施形態の電気掃除機用吸込具のブラシ体と開口の関係を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明に係る電気掃除機の一例である花粉クリーナーを示す斜視図であり、
図2は、花粉クリーナーの内部構造を示す断面図である。これらの図を用いて花粉クリーナーの構成を説明する。
【0020】
花粉クリーナー20は、バッテリー8から供給される電気によって回転するモータにより駆動する電動送風機7と、ダストボックス2cとを花粉クリーナー本体2の内部に有している。ダストボックス2cの内部には、樹脂で成形された上板6aと下板6bの間に筒状であって側面に波形のフィルタ本体6cが固定されているプリーツフィルタ6が着脱可能な状態で設置されている。また、花粉クリーナー20は、電気掃除機用吸込具10を有しており、電動送風機7により発生した吸引風は、電気掃除機用吸込具10の開口1cから花粉等の塵埃を吸引する。そして、花粉等の塵埃は、吸引通路2dを介してダストボックス2cに収容される。このダストボックス2cは、花粉クリーナー本体2に対して着脱可能となっており、ダストボックス2cを取り外してダストボックス2cに収容された塵埃を廃棄すると共に、ダストボックス2cからプリーツフィルタ6を取り外してプリーツフィルタ6の水洗いができる構成としている。
【0021】
ここで、電気掃除機用吸込具10は、基台3bとブラシ毛3aとを有するブラシ体3と、一方の縁部1aと、この一方の縁部1aに対向して設けられた他方の縁部1bとを備えた開口1cを有する吸込口本体1とを有しており、開口1cの一方の縁部1aと他方の縁部1bとの間にブラシ体3が配置されている。尚、ブラシ毛3aは、開口1cから外側に若干突出させるようにして設置されている。
【0022】
また、電気掃除機用吸込具10は、モータ5と、このモータ5の回転軸5aに連結されてモータ5の回転運動を揺動又は振動に変換する運動変換機構4とを有しており、運動変換機構4は、連結軸4aによって基台3bと連結してブラシ体3が揺動又は振動する構成としている。
【0023】
また、電気掃除機用吸込具10は、上ケース11bと下ケース11aとを備えており、下ケース11aは、上ケース11bに対して着脱自在としている。ここで、本発明における電気掃除機の一例として電気掃除機用吸込具10が一体化された花粉クリーナー20を用いて説明したが、電気掃除機本体と電気掃除機用吸込具が分離され、吸引ホースで連結された電気掃除機も本発明に含まれる。尚、2aは、花粉クリーナー本体2を構成するハンドルである。また、2bは、花粉クリーナー本体に設けられた排気口であり、電動送風機7により発生した吸引風を外部に排気している。
【0024】
図3の(a)~(c)は、第1実施形態の電気掃除機用吸込具のブラシ体と開口の関係を示す説明図である。これらの図を用いて第1実施形態の電気掃除機用吸込具の動作について説明する。
【0025】
第1実施形態の電気掃除機用吸込具10は、
図3(a)に示すように、被清掃面の非清掃時は、ブラシ体3が、開口1c(
図3(b)、
図3(c)参照)の一方の縁部1a及び他方の縁部1bに接触している。具体的には、ブラシ体3のブラシ毛3aの側面13a、13bが開口1cの一方の縁部1a及び他方の縁部1bに接触している。この時、開口1cの幅は、基台3bに植毛されたブラシ毛3aの植毛幅よりも狭くしている。これにより、ブラシ毛3aの側面13a、13bを確実に開口1cの一方の縁部1a及び他方の縁部1bに接触させることができる。また、このように、ブラシ体3が開口1cを埋める構造となっているので、清掃後に電気掃除機用吸込具10の内壁に付着した花粉等の塵埃が開口1cから逆流し、再飛散するのを防ぐことができる。
【0026】
尚、
図1に示すように、被清掃面の非清掃時に、ブラシ体3の長手方向の両側面13a、13bの全体が開口1cの一方の縁部1a及び他方の縁部1bに接触する構成も第1実施形態に含まれる。
図1に示すように、ブラシ体3の平面視と、開口1cを細長い長方形状にして、ブラシ体3により開口1cの大部分を塞ぐようにすれば、開口1cは、ブラシ体3の短手方向の側面側が僅かに露出するだけとなるので、被清掃面の清掃時には、吸引風の風速が高まり、被清掃面の塵埃を吸引しやすくなる。また、玄関先などで衣服を身に着けた状態で清掃する場合、被清掃面である衣服は腕、胴、足などに沿って曲面状になっている。ここで、本実施の形態のように開口1cが細長い長方形状に形成されていると、曲面状の衣服と接触した部分の開口1cは塞がれるが、衣服と接触していない開口1cは常に衣服によって塞がれることがなく、開放されている。このように開口1cを細長い長方形状にすることで、開口1cに衣服等の被清掃面が吸着するのを防ぐことができると共に、ブラシ体3を被清掃面に接触させつつスムーズに移動させることができる。また、
図1に示すように、開口1cの長手方向両端部近傍をブラシ体で塞がないよう隙間をあけて構成すると、曲面状の衣服と接触する頻度が少ない両端部が常に開放されるため、よりスムーズに移動させながら、除塵性能を確保することができる。尚、ブラシ体3の側面を開口1cの短手方向を含む全ての縁部に当接させることも可能である。この場合、ブラシ体3が開口1cの全体を埋める構造となっているので、清掃後に電気掃除機用吸込具10の内壁に付着した花粉等の塵埃が開口1cから逆流し、再飛散するのをより防ぐことができる。
【0027】
第1実施形態の電気掃除機用吸込具10は、
図3(b)及び(c)に示すように、被清掃面Aの清掃時は、ブラシ体3を揺動させている。
図3(b)に示す状態は、ブラシ体3を回動中心3cを中心にして、図面上、最大限右方向に動かした状態を示しており、
図3(c)に示す状態は、ブラシ体3を図面上、最大限左方向に動かした状態を示している。
【0028】
したがって、被清掃面Aの清掃時のブラシ体3の揺動によって、ブラシ毛3aの先端が、開口1cの一方の縁部1aと他方の縁部1bの吸引側の端部に交互に当接することを高速で繰り返すことになる。この状態では矢印に示す狭い吸引風路9が交互に形成されることになるので、ベルヌーイの定理からも明らかなように、吸引風の風速が上がり、吸引力を増加させることができる。また、ブラシ体3が揺動する際に、開口の一方の縁部1a及び/又は他方の縁部1bの吸引側の端部にブラシ毛3aを当接させて、被清掃面Aを清掃しながらブラシ毛3aに付着している花粉等の塵埃を除去することができる。
【0029】
図4の(a)及び(b)は、第2実施形態の電気掃除機用吸込具のブラシ体と開口の関係を示す説明図である。これらの図を用いて第2実施形態の電気掃除機用吸込具の動作について説明する。
【0030】
第2実施形態の電気掃除機用吸込具30は、下ケース31aと上ケース31bとを備えており、下ケース31aは、上ケース31bに対して着脱自在としている。そして、電気掃除機用吸込具30は、基台33bとブラシ毛33aとを有するブラシ体33と、一方の縁部32aと、この一方の縁部32aに対向して設けられた他方の縁部32bとを備えた開口31c(
図4(b)参照)を有する吸込口本体31とを有している。また、
図4(a)に示すように、被清掃面の非清掃時は、ブラシ体33が、開口31cの一方の縁部32a及び他方の縁部32bに接触している。具体的には、ブラシ体33のブラシ毛33aの側面34a、34bが開口31cの一方の縁部32a及び他方の縁部32bに接触している。この時、開口31cの幅は、基台33bに植毛されたブラシ毛33aの植毛幅よりも狭くしている。これにより、ブラシ毛33aの側面34a、34bを確実に開口31cの一方の縁部32a及び他方の縁部32bに接触させることができる。また、このように、ブラシ体33が開口31cを埋める構造となっているので、清掃後に電気掃除機用吸込具30の内壁に付着した花粉等の塵埃が開口31cから逆流し、再飛散するのを防ぐことができる。
【0031】
第2実施形態の電気掃除機用吸込具30は、
図4(b)に示すように、被清掃面Aの清掃時は、ブラシ体33を揺動させている。
図4(b)に示す状態は、ブラシ体33を回動中心33cを中心にして、図面上、最大限右方向に動かした状態を示している。そして、開口31cの一方の縁部32a及び他方の縁部32bの吸引側の端部に塵埃除去用のクシ32c、32cを設けている。この塵埃除去用のクシ32c、32cによってブラシ毛33aに付着している塵埃を除去する効果を向上させることができる。また、被清掃面Aの清掃時のブラシ体33の揺動によって、ブラシ毛33aの先端が、開口31cの一方の縁部32aと他方の縁部32bの吸引側の端部に交互に当接することを高速で繰り返すことになる。この状態では矢印に示す狭い吸引風路35が交互に形成されることになるので、ベルヌーイの定理からも明らかなように、吸引風の風速が上がり、吸引力を増加させることができる。
【0032】
図5の(a)~(c)は、第3実施形態の電気掃除機用吸込具のブラシ体と開口の関係を示す説明図である。これらの図を用いて第3実施形態の電気掃除機用吸込具の動作について説明する。
【0033】
第3実施形態の電気掃除機用吸込具40は、下ケース41aと上ケース41bとを備えており、下ケース41aは、上ケース41bに対して着脱自在としている。そして、電気掃除機用吸込具40は、基台43bとブラシ毛43aとを有するブラシ体43と、一方の縁部42aと、この一方の縁部42aに対向して設けられた他方の縁部42bとを備えた開口41c(
図5(b)、
図5(c)参照)を有する吸込口本体41とを有している。また、
図5(a)に示すように、被清掃面の非清掃時は、ブラシ体43が、開口41cの一方の縁部42a及び他方の縁部42bに接触している。具体的には、ブラシ体43のブラシ毛43aの側面44a、44bが開口41cの一方の縁部42a及び他方の縁部42bに接触している。この時、ブラシ毛43aの先端側が、基台43b側よりも拡がるように植毛されている。これにより、ブラシ毛43aの側面44a、44bを確実に開口41cの一方の縁部42a及び他方の縁部42bに接触させることができる。また、このように、ブラシ体43が開口41cを埋める構造となっているので、清掃後に電気掃除機用吸込具40の内壁に付着した花粉等の塵埃が開口41cから逆流し、再飛散するのを防ぐことができる。尚、植毛幅と開口幅を略同一寸法としてブラシ毛43aの先端側が、植毛幅よりも拡がるように植毛すればブラシ毛43aの側面44a、44bを一層確実に開口41cの一方の縁部42a及び他方の縁部42bに接触させることができる。
【0034】
第3実施形態の電気掃除機用吸込具40は、
図5(b)及び(c)に示すように、被清掃面Aの清掃時は、ブラシ体43を左右に振動させている。
図5(b)に示す状態は、ブラシ体43を図面上、最大限右方向に動かした状態を示しており、
図5(c)に示す状態は、ブラシ体3を図面上、最大限左方向に動かした状態を示している。
【0035】
したがって、被清掃面Aの清掃時のブラシ体43の振動によって、ブラシ毛43aの先端が、開口41cの一方の縁部42aと他方の縁部42bの吸引側の端部に交互に当接することを高速で繰り返すことになる。この状態では矢印に示す狭い吸引風路45が交互に形成されることになるので、ベルヌーイの定理からも明らかなように、吸引風の風速が上がり、吸引力を増加させることができる。また、開口の一方の縁部42a及び/又は他方の縁部42bの吸引側の端部にブラシ毛43aを当接させてブラシ毛43aに付着している花粉等の塵埃を除去することができる。尚、図示しないが、吸引風路45が形成されるようにブラシ体43を上下方向に振動させてもよく、これも本発明に含まれる。また、ブラシ毛43aの毛丈を一方の縁部42a及び他方の縁部42bの吸引側端部までの長さに設定することで、開口41cをブラシ毛43aの先端部で塞ぎ、ブラシ体43aを上下方向に振動させてもよく、これも本発明に含まれる。ただし、より好適には、第1~4の実施形態に示したようにブラシ毛が一方の縁部と他方の縁部に交互に当接することが望ましい。このように構成することで、清掃時は常に開口の少なくとも一部がブラシ毛で埋められるので、開口全体に対して吸引風路が占める割合が小さくなる。そのため、ベルヌーイの定理からも明らかなように、吸引風の風速が上がることで吸引力を増加させ、除塵性能を向上させることができる。
【0036】
図6の(a)及び(b)は、第4実施形態の電気掃除機用吸込具のブラシ体と開口の関係を示す説明図である。これらの図を用いて第4実施形態の電気掃除機用吸込具の動作について説明する。
【0037】
第4実施形態の電気掃除機用吸込具50は、ケース51とブラシ体53を有しており、
図6(a)に示すように、被清掃面の非清掃時は、ブラシ体53が、開口51c(
図6(b)参照)の一方の縁部52a及び他方の縁部52bに接触している。具体的には、基台53bの側面に植毛されたブラシ毛54、55の先端側54a、55aが開口51cの一方の縁部52a及び他方の縁部52bに接触している。このブラシ毛54、55により、開口51cの一方の縁部52a及び他方の縁部52bの間の隙間を埋めることができる。そして、基台53bの下面には被清掃面Aを清掃するためのブラシ毛53aが植毛されている。尚、ブラシ毛を、開口51cの一方の縁部52a側及び他方の縁部52b側に植毛してもよく、これも本発明に含まれる。
【0038】
第4実施形態の電気掃除機用吸込具50は、
図6(b)に示すように、被清掃面Aの清掃時は、ブラシ体53を左右に振動させている。
図6(b)に示す状態は、ブラシ体53を図面上、最大限右方向に動かした状態を示している。この時、ブラシ毛53aが被清掃面Aに当接して塵埃を掻き出す。そして、被清掃面Aの清掃時のブラシ体53の振動によって、ブラシ毛54、55の先端側54a、55aが、開口51cの一方の縁部52aと他方の縁部52bの吸引側の端部に交互に当接することを高速で繰り返すことになる。この状態では矢印に示す狭い吸引風路56が交互に形成されることになるので、ベルヌーイの定理からも明らかなように、吸引風の風速が上がり、吸引力を増加させることができる。このようにして、ブラシ毛53aで掻き出した塵埃は、交互に形成される吸引風路56に吸引されることで除去される。
【0039】
上述した本発明に係る電気掃除機用吸込具及び電気掃除機は、限られた吸引力から高い除塵性能を生み出すことができることから、小型・軽量化が求められるハンディタイプの電気掃除機や、長時間の稼働が求められるバッテリー式電気掃除機に適用することができる。また、花粉クリーナーに限らず、フローリング用のクリーナー等、被清掃面に軽く付着した塵埃を除去するための電気掃除機に適用することができる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した様々な実施形態を組合せできることは言うまでもないことである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る電気掃除機用吸込具及び電気掃除機は、被清掃面に付着している塵埃等を吸引除去する為の清掃具として利用される。
【符号の説明】
【0041】
1 吸込口本体
1a、1b 縁部
1c 開口
2 花粉クリーナー本体
2a ハンドル
2b 排気口
2c ダストボックス
2d 吸引通路
3 ブラシ体
3a ブラシ毛
3b 基台
3c ブラシ体の回動中心
4 運動変換機構
5 モータ
6 プリーツフィルタ
6a 上板
6b 下板
6c フィルタ本体
7 電動送風機
8 バッテリー
9 吸引風路
10 電気掃除機用吸込具
11a 下ケース
11b 上ケース
13a、13b ブラシ体の長手方向の側面
20 花粉クリーナー
A 被清掃面