(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】車止め装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
E04H6/42 A
(21)【出願番号】P 2017224040
(22)【出願日】2017-11-01
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591094608
【氏名又は名称】ヒロテツ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】泉 将治
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-336310(JP,A)
【文献】特開2000-096863(JP,A)
【文献】特開2011-026915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
前記安全ピンを交換すれば再度使用できることを特徴とする請求項1又は2記載の車止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガソリンスタンド内の駐車スペースにおいて、トラックが車止めを越えて防火壁に激突し、破損する等を防止するための車止め装置である。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、車を駐車する場所の所定の位置にタイヤを停止させる車止め部材であって、前記タイヤの停止位置の手前側に設置され、かつ、前記タイヤが乗り越え可能な高さを有して成ることを特徴とする車止め部材がある。(特許文献1参照)
【0003】
また、別の従来技術として、車両の重量で流体を移動させることによって、前記車両の車止めを行う駐車ロック装置であって、前記流体で作動する流体シリンダと、前記流体シリンダに連結された昇降可能な昇降装置とを有し、前記流体シリンダの作用により、前記昇降装置に配設された押圧部材で前記車両の底面を、設定された圧力で押圧可能に構成されることを特徴とする駐車ロック装置がある。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-92390号公報
【文献】特開2006-37560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記前者においては、2つの車止め部材を設けたものですが、トラック等重量のある車は2つの車止め部材を越えてしまう危険性がある。
【0006】
また、後者においては、構造が複雑で、一定の圧力が掛かった場合、破損してしまう恐れがあり、実用的ではない。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするもので、安全ピンにより車のバンパー等を破損することなく、周囲の設備にも被害を及ぼさない車止め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、基台に、少なくとも後方に回動する支柱を設け、この支柱の水平方向に当接板を設け、車のバンパーまたは/及び荷台が必要以上の圧力で当たった時、安全ピンが折れる支持具を設けてなること。前記支持具が、支持板の下部を基台に回動自在に軸支し、支持板の上部を支柱の固定板に安全ピンにて軸支してなること。前記安全ピンを交換すれば再度使用できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
1)、車のバンパーまたは/及び荷台が必要以上の圧力で当たった時、安全ピンが折れる支持具を設けることにより、車を破損することなく、かつ、車止め装置も車が乗り上げても変形しにくいため有効である。
2)、安全ピンが折れても、新しい安全ピンを取り付けることにより再度使用できるものである。
また、安全ピンは一般のボルトでよい。
3)、車止め装置を複数連設し、取付場所によりレイアウトを自由に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】 本発明の一実施例を示す車止め装置の側面図。
【
図2】 本発明の一実施例を示す車止め装置の正面図。
【
図3】 本発明の一実施例を示す車止め装置の平面図。
【
図4】 本発明の一実施例を示す車止め装置の作動状態図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1は車止め装置である。
2は、駐車面に固定する基台で、逆T形に形成し、先端面を斜状2aに形成してある。
3は、基台2の後部に、回動自在にボルト等にて軸支3aしてなるH形鋼等による支柱であり、後述する支持板を軸支するための固定板3bを設けてある。
4は、支柱3の上下3箇所(車の大きさ等により当たる場所が異なるため)前面に設けてなる当接板で、水平方向にH形鋼等による当接板本体4aにクッシン板4bを設けてなる。
5は支持具で、支持板5aの下部を基台2に回動自在に軸支5bし、支持板5aの上部を支柱3の固定板3bに、車のバンパー(荷台)にて必要以上の圧力(衝撃)が加わった時、せん断(折れる)する安全ピン5cにて軸支してなり、バンパー等の破損を防止するものである。(
図1・
図2)
なお、安全ピン5cとして、例えば、ガソリンスタンド内における専用スペース(大型車等)で取り付ける場合、例えば車両総重量20t(空荷時)、質量100KN/台、集中荷重P=192.9KN、時速5kmで衝突したとして、衝撃係数1とする。
安全ピン5cは、一般に市販されているM8mmの炭素鋼ボルト(SS400)で、破断強度20.1N/mm
2とする。
上記の各件により、SN=192.9×√2=272.8KN、Sτa=272.8KN÷50.24mm
2≧0.40KN(壊れる)
SFS=5.43KN/mm
2÷0.4KN/mm
2=13.57≧1.0(破断する)
つまり、13.57倍の力が安全ピン5c(M8mm)に掛かり、破断するものである。
【0012】
これは一例であり、どのような車(トラック等)を駐車させるかにより計算値にて安全ピン5cを決めるものである。
また、車止め装置1のスパンSPは4m位とする。
なお、M8mmをM16mmにすれば、3.39倍となり、これも破断するものである。
【0013】
車止め装置1をガソリンスタンド内に駐車する場合を説明する。
例えば、ガソリンスタンドG内の防火壁BHの手前に、車止め装置1を駐車面T1にアンカーボルトABにて連設する。
なお、その手前に通常の車止めKDを設置する。
また、車止め装置1は車の大きさ(大型車等)に合わせて設定するものとする。(
図3)
【0014】
この状態で、トラックT(20tで空荷時)が5km/hでバックした所、誤って車止めKDを越えた時、荷台NDが車止め装置1のクッシン板4bに当たり、安全ピン5cが破断した時点で大きな破断音がし、最悪でもその時点でブレーキを踏むと考えられ、荷台NDを傷付けることなく、かつ、防火壁等にも衝突することがない。
そのままバックし、車止め装置1に乗り上げても斜状2aや当接板4(段差状)等によりタイヤを損傷させることなく止まる。(
図4)
【0015】
なお、車止めKDを越えた時点で気付けば、安全ピン5cが破断せず止まることもできる。
また、折れた安全ピン5cは、同じ物(一般に市販しているボルト)を取り付ければよい。
【0016】
上記実施例において、車止め装置1の連設は必要に応じて決めればよく、安全ピンのサイズも計算値により色々決めればよい。
なお、一例として、H形鋼を100×100×6×8とし、支持板の幅を50mm、厚みを9mmとする。
【符号の説明】
【0017】
1―――車止め設置
2―――基台
3―――支柱
4―――当接板
5―――支持具
KD――車止め
T―――駐車面