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特許7015066データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置、設置効果確認方法、非常時退避方法、部品交換方法、設置効果確認システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置、設置効果確認方法、非常時退避方法、部品交換方法、設置効果確認システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 43/00 20060101AFI20220126BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
F25B43/00 L
F25B43/00 D
F25B13/00 Q
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019238248
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2020112344
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2019001249
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513033618
【氏名又は名称】CPMホールディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000073
【氏名又は名称】特許業務法人プロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100167070
【弁理士】
【氏名又は名称】狹武 哲詩
(74)【代理人】
【識別番号】100108051
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 生央
(72)【発明者】
【氏名】小谷 一
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特許第6300339(JP,B1)
【文献】特開2015-212601(JP,A)
【文献】特開2017-142061(JP,A)
【文献】特表2018-535378(JP,A)
【文献】特開2000-179957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 43/00
F25B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプサイクルにおいて冷媒と冷凍機油とを含む流体を撹拌し、液化を促進するために前記ヒートポンプサイクルを構成する配管の上下に延びる経路上に設置される液化促進装置であって、
上下方向の中心軸をもつ円筒形状の胴体部の上端側を半球形状の上部鏡板により閉塞されかつ下端側を半球形状の下部鏡板により閉塞された筐体と、
前記流体の流入又は流出のために、一端が前記配管の上下に延びる経路上の上部に接続可能でありかつ前記中心軸から離れた位置にて前記上部鏡板を上下方向に貫通して前記胴体部の上端近傍まで延在して他端が下方に開口する上部管体と、
前記流体の流出又は流入のために、一端が前記配管の上下に延びる経路上の下部に接続可能でありかつ前記中心軸上にて前記下部鏡板を上下方向に貫通して前記胴体部の上端近傍まで延在して他端が上方に開口する下部管体と、
前記中心軸を軸として前記胴体部の内部に、上端及び下端が固定されて設置されかつ中間部における各巻線が揺動及び振動が可能であり、前記胴体部の内径よりも1ミリメートルから10ミリメートル小さい径を有する大径の螺旋バネと、
前記筐体と平行に設けられ、上下に延びるバイパス管と、
前記バイパス管の上部と、前記上部管体とを、前記配管の上下に延びる経路上の上部に選択的に接続可能な上部三方弁と、
前記バイパス管の下部と、前記下部管体とを、前記配管の上下に延びる経路上の下部に選択的に接続可能な下部三方弁と、
前記上部三方弁の切替を行う上部電磁バルブ又は上部電動バルブと、
前記下部三方弁の切替を行う下部電磁バルブ又は下部電動バルブと
を備え、前記大径の螺旋バネが前記流体の運動エネルギーによって揺動及び振動して、前記流体を撹拌することを特徴とする液化促進装置。
【請求項2】
請求項1に記載した液化促進装置であって、
前記下部管体の周囲に、上端が前記下部管体の上端に固定されて設置され、下端が前記下部鏡板まで延在し、各巻線が前記大径の螺旋バネとは接触しないように揺動及び振動が可能であり、前記下部管体の外形よりも1ミリメートルから30ミリメートル大きい径を有する小径の螺旋バネを
さらに有し、前記流体の運動エネルギーのみで機能し、前記小径の螺旋バネが前記大径の螺旋バネと同様に、かつ接触せずに揺動及び振動して、前記流体を撹拌することを特徴とする液化促進装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した液化促進装置であって、
前記配管の上下に延びる経路上の上部に設け、前記配管内を通過する流体の温度を検知して、検知した温度に対応する電気信号を出力する上部温度センサと、
前記配管の上下に延びる経路上の下部に設け、前記配管内を通過する流体の温度を検知して、検知した温度に対応する電気信号を出力する下部温度センサと、
前記上部温度センサ及び前記下部温度センサの出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする液化促進装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載した液化促進装置であって、
前記配管の上下に延びる経路上の上部に設け、前記配管内を通過する流体の流量を検知して、検知した流量に対応する電気信号を出力する上部流量センサと、
前記配管の上下に延びる経路上の下部に設け、前記配管内を通過する流体の流量を検知して、検知した流量に対応する電気信号を出力する下部流量センサと、
前記上部流量センサ及び前記下部流量センサの出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする液化促進装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載した液化促進装置であって、
前記配管の上下に延びる経路上の上部に設け、前記配管内を通過する流体の圧力を検知して、検知した圧力に対応する電気信号を出力する上部圧力センサと、
前記配管の上下に延びる経路上の下部に設け、前記配管内を通過する流体の圧力を検知して、検知した圧力に対応する電気信号を出力する下部圧力センサと、
前記上部圧力センサ及び前記下部圧力センサの出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする液化促進装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載した液化促進装置であって、
前記ヒートポンプサイクルを構成する圧縮部の動力となるモータに供給する電力を計測する電力計の出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする液化促進装置。
【請求項7】
請求項6に記載した液化促進装置を用いて、液化促進装置の設置効果を確認する液化促進装置設置効果確認方法であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサを有しており、当該マイクロプロセッサーの処理が、
前記液化促進装置を設置する際に、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる状態で前記電力計の出力信号を取得する設置前電力計測ステップと、
バルブ切換えにより、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記電力計の出力信号を取得する設置後電力計測ステップと
を有することを特徴とする液化促進装置の設置効果確認方法。
【請求項8】
請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載した液化促進装置を用いて、液化促進装置の非常時退避処理をする液化促進装置の非常時退避方法であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサを有しており、当該マイクロプロセッサーの処理が、
前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体が通過する状態に制御することにより、前記ヒートポンプサイクルを運転させる混合流体せん断処理ステップと
前記各センサの出力を解析することにより、異常を検出した際に、バルブ切り替えにより、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる非常時退避ステップと、
を有することを特徴とする液化促進装置の非常時退避方法。
【請求項9】
請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載した液化促進装置を用いて、液化促進装置の非常時退避処理をする液化促進装置の部品交換方法であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサを有しており、当該マイクロプロセッサーの処理が、
前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過している状態であることを確認し、前記筐体の交換が可能である旨の信号を外部に出力する部品交換可能信号出力ステップと、
外部機器からの交換作業終了の信号を受け取って、バルブを切換えて、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記ヒートポンプサイクルを運転する混合流体せん断処理ステップと
を有することを特徴とする液化促進装置の部品交換方法。
【請求項10】
請求項6に記載した液化促進装置を多数用い、インターネットを介してサーバーコンピュータに接続し、それぞれの液化促進装置の設置効果を確認する液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサ及び通信回路を有しており、当該マイクロプロセッサーは、
前記液化促進装置を設置する際に、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる状態で前記電力計の出力信号を取得することにより、設置前電力を計測し、
バルブ切換えにより、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記電力計の出力信号を取得することにより、設置後電力を計測することを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【請求項11】
請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載した液化促進装置を多数用い、インターネットを介してサーバーコンピュータに接続し、それぞれの液化促進装置の非常時退避処理を実行する液化促進装置の非常時退避システムであって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサ及び通信回路を有しており、当該マイクロプロセッサーは、
前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体が通過する状態に制御することにより、前記ヒートポンプサイクルを運転させて混合流体せん断処理をし、
前記各センサの出力を解析することにより、異常を検出した際に、バルブ切り替えにより、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる非常時退避処理をすることを特徴とする液化促進装置の非常時退避システム。
【請求項12】
請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載した液化促進装置を多数用い、インターネットを介してサーバーコンピュータに接続し、それぞれの液化促進装置の非常時退避処理をする液化促進装置の部品交換システムであって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサ及び通信回路を有しており、当該マイクロプロセッサーは、
前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過している状態であることを確認し、前記筐体の交換が可能である旨の信号を外部に出力する部品交換可能信号出力をし、
外部機器からの交換作業終了の信号を受け取って、バルブを切換えて、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記ヒートポンプサイクルを運転し混合流体せん断処理をすることを特徴とする液化促進装置の部品交換システム。
【請求項13】
請求項1又は請求項2に記載した液化促進装置であって、
前記配管の上下に延びる経路上の上部に設け、前記配管内を通過する流体の温度、流量、又は/及び圧力を検知して、検知した温度、流量又は/及び圧力に対応する電気信号を出力する上部センサと、
前記配管の上下に延びる経路上の下部に設け、前記配管内を通過する流体の温度、流量又は/及び圧力を検知して、検知した温度、流量又は/及び圧力に対応する電気信号を出力する下部センサと、
前記配管上であって、前記ヒートポンプサイクルの室外機と圧縮部との間に設け、前記配管内を通過する流体の温度、流量又は/及び圧力を検知して、検知した温度、流量又は/及び圧力に対応する電気信号を出力する室外機・圧縮部間センサと、
前記配管上であって、前記ヒートポンプサイクルの室内機と圧縮部との間に設け、前記配管内を通過する流体の温度、流量又は/及び圧力を検知して、検知した温度、流量又は/及び圧力に対応する電気信号を出力する室内機・圧縮部間センサと、
前記上部センサ、前記下部センサ、前記室外機・圧縮部間センサ及び前記室内機・圧縮部間センサの出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする液化促進装置。
【請求項14】
請求項13に記載した液化促進装置であって、
前記ヒートポンプサイクルを構成する圧縮部の動力となるモータに供給する電力を計測する電力計の出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする液化促進装置。
【請求項15】
請求項14に記載した液化促進装置を用いて、液化促進装置の設置効果を確認する液化促進装置設置効果確認方法であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサを有しており、当該マイクロプロセッサーの処理が、
前記液化促進装置を設置する際に、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる状態で前記電力計の出力信号を取得する設置前電力計測ステップと、
バルブ切換えにより、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記電力計の出力信号を取得する設置後電力計測ステップと
を有することを特徴とする液化促進装置の設置効果確認方法。
【請求項16】
請求項13又は請求項14に記載した液化促進装置を用いて、液化促進装置の非常時退避処理をする液化促進装置の非常時退避方法であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサを有しており、当該マイクロプロセッサーの処理が、
前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体が通過する状態に制御することにより、前記ヒートポンプサイクルを運転させる混合流体せん断処理ステップと
前記各センサの出力を解析することにより、異常を検出した際に、バルブ切り替えにより、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる非常時退避ステップと、
を有することを特徴とする液化促進装置の非常時退避方法。
【請求項17】
請求項13又は請求項14に記載した液化促進装置を用いて、液化促進装置の非常時退避処理をする液化促進装置の部品交換方法であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサを有しており、当該マイクロプロセッサーの処理が、
前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過している状態であることを確認し、前記筐体の交換が可能である旨の信号を外部に出力する部品交換可能信号出力ステップと、
外部機器からの交換作業終了の信号を受け取って、バルブを切換えて、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記ヒートポンプサイクルを運転する混合流体せん断処理ステップと
を有することを特徴とする液化促進装置の部品交換方法。
【請求項18】
請求項14に記載した液化促進装置を多数用い、インターネットを介してサーバーコンピュータに接続し、それぞれの液化促進装置の設置効果を確認する液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記サーバーコンピューターは、前記制御装置と通信することが可能であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサ及び通信回路を有しており、当該マイクロプロセッサーは、
前記液化促進装置を設置する際に、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる状態で前記電力計の出力信号を取得することにより、設置前電力を計測し、
バルブ切換えにより、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記電力計の出力信号を取得することにより、設置後電力を計測することを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【請求項19】
請求項13又は請求項14に記載した液化促進装置を多数用い、インターネットを介してサーバーコンピュータに接続し、それぞれの液化促進装置の非常時退避処理を実行する液化促進装置の非常時退避システムであって、
前記サーバーコンピュータは、前記制御装置と通信することが可能であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサ及び通信回路を有しており、当該マイクロプロセッサーは、
前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体が通過する状態に制御することにより、前記ヒートポンプサイクルを運転させて混合流体せん断処理をし、
前記各センサの出力を解析することにより、異常を検出した際に、バルブ切り替えにより、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる非常時退避処理をすることを特徴とする液化促進装置の非常時退避システム。
【請求項20】
請求項13又は請求項14に記載した液化促進装置を多数用い、インターネットを介してサーバーコンピュータに接続し、それぞれの液化促進装置の非常時退避処理をする液化促進装置の部品交換システムであって、
前記サーバーコンピュータは、前記制御装置と通信することが可能であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサ及び通信回路を有しており、当該マイクロプロセッサーは、
前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過している状態であることを確認し、前記筐体の交換が可能である旨の信号を外部に出力する部品交換可能信号出力をし、
外部機器からの交換作業終了の信号を受け取って、バルブを切換えて、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記ヒートポンプサイクルを運転する混合流体せん断処理をすることを特徴とする液化促進装置の部品交換システム。
【請求項21】
請求項18に記載した液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記サーバーコンピュータは、効果情報収集サーバと効果情報開示サーバとの二つを有しており、
前記効果情報収集サーバは、
前記液化促進装置を設置している顧客の情報開示許容レベル、メールアドレス、本人確認情報を含む顧客属性に関する情報を有する顧客データベース装置と、
複数の前記液化促進装置から、設置効果情報を収集する情報収集装置と、
前記顧客データベース装置を参照してメールアドレスを取得して、前記液化促進装置を設置している顧客に対して設置効果情報を定期的に発信するレポート発信装置と、
前記液化促進装置を設置している顧客の情報開示許容レベル変更を受け付けるレベル変更受付装置と、
前記レベル変更受付装置が受け付けた情報開示許容レベル変更を前記顧客データベース装置に登録するレベル変更登録装置と、
前記情報収集装置が収集した設置効果情報を、前記顧客データベース装置に登録された当該顧客の情報開示許容レベルにしたがって加工する情報加工装置と、
前記情報加工装置が加工した情報を、前記効果情報開示サーバへ引き渡す情報引き渡し装置と
を有し、
前記効果情報開示サーバは、
前記効果情報収集サーバの情報引き渡し装置が引き渡す情報を受け取る情報受け取り装置と、
前記情報受け取り装置が受け取った情報に基づいてウェブページを作成するウェブページ作成装置と
を有し、
顧客の意思に基づいて、公開されるべき設置効果情報を公開することを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【請求項22】
請求項21に記載した液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記顧客データベース装置に登録される顧客の情報開示許容レベルは、設置効果情報の第三者への開示をいかなる形態においても許容しないレベル(レベル1)と、設置効果情報の第三者への開示を個人を特定可能な情報を除くことを条件に許容するレベル(レベル2)と、設置効果情報の第三者への開示を個人を特定可能な情報を含めて許容するレベル(レベル3)とを含み、
前記情報加工装置は、
レベル1の顧客の情報は前記効果情報開示サーバへ引き渡す情報からは除外し、
レベル2の顧客の情報は個人を特定可能な情報を捨象したうえで、前記効果情報開示サーバへ引き渡す情報とし、
レベル3の顧客の情報は個人を特定可能な情報を含めて、前記効果情報開示サーバへ引き渡す情報とする
ことを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【請求項23】
請求項21又は請求項22に記載された液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記定期レポート発信装置が発信するメールには、情報開示許容レベルをゆるめることとにより当該顧客が得られる特典についての案内をすることを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【請求項24】
請求項23に記載した液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記特典は、当該液化促進装置をレンタル機器として設置している場合の月々のレンタル料金の値引きであることを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【請求項25】
請求項23に記載した液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記特典は、当該液化促進装置のメンテナンス料金の値引きであることを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【請求項26】
請求項23に記載した液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記特典は、金銭的価値と交換可能なポイント付与であることを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【請求項27】
請求項21から請求項26までのいずれか1項に記載された液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記効果情報開示サーバは、
前記ウェブページ作成装置が作成したウェブページへのアクセス情報を収集、分析して、管理者の端末装置にレポートするアクセス情報収集装置を
さらに有することを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【請求項28】
請求項27に記載した液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記アクセス情報収集装置がレポートを送る先は、管理者のみならず、当該管理者が指定する営業マンの端末装置をも含むことを特徴とする液化促進装置設置効果確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプシステムの配管途中に設置して冷凍機油と冷媒とを撹拌混合し、配管内を流れる流体の液化を促進する液化促進装置、とりわけデータセンターのヒートポンプシステムに設置するのに適した液化促進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷凍サイクルに気液混合装置を設けたものが開示されている。これにより運転効率の向上を図るものである。特許文献1における気液混合装置としては、乾き度調整用減圧装置、冷媒導入出管、U字管を用いるものが提案されている。
特許文献2には、冷媒に含まれる不純物を再結合させる装置が開示されている。円筒状の筐体の内面に設けられた螺旋溝により、不純物を切断し、冷媒組成に再結合するものである。
特許文献3には、ヒートポンプシステムにおける撹拌装置が開示されている。円筒状の筐体の内部に螺旋バネを上下動可能に設けたものである。
特許文献4には、ヒートポンプシステムに用いる液化促進装置が開示されている。二つの鏡板に閉塞された円筒状の筐体の内部に、円錐部を含むスプリングをもうけ、スプリングの円錐部の底面における巻線が鏡板の底面の近傍に位置するものである。
特許文献5には、冷凍空調システムにおける冷媒処理装置が開示されている。円筒の内部には螺旋溝が形成されており、管部の外周面には螺旋溝が形成されているものである。
特許文献6には、振動及び揺動可能なバネを設けた構造を有する液化促進装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3055854号公報
【文献】特開2014-161812号公報
【文献】特開2015-212601号公報
【文献】特許第5945377号公報
【文献】特開2017-142061号公報
【文献】特許第6300339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に見られるように、ヒートポンプサイクルを循環する流体は、気体と液体との混合物である。そして、気液を混合することにより、液化促進、ひいてはヒートポンプの運転効率の向上をもたらすことができる。
また、特許文献2から5までには、円筒状の容器内部に、螺旋溝または螺旋バネが設けられた構造を有する撹拌装置が提案されている。
さらに、特許文献6には、振動及び揺動可能なバネを設けた構造を有する液化促進装置が開示されている。
【0005】
一方、各種のコンピュータやデータ通信などの装置を設置・運用することに特化した施設であるデータセンターは、首都圏に一極集中の傾向にある。サーバコンピュータなどは、発熱量が大きい。排熱のためにヒートポンプサイクルが使われる。そして、首都圏の電力のうちの15パーセントほどがデータセンターにおけるヒートポンプサイクルにより消費されているといわれている。
データセンターは、IT、IOTの核心を担う設備であり、重要な情報を保有していて、外部から24時間、365日アクセスされるものであるので、停電や、障害によるシステムダウンが許されない。したがって、消費電力量を極力減らすことが願われるとともに、そのために取り付けるシステムもまた、特に高い信頼度が要求される。
【0006】
本発明の発明者は、この種の撹拌装置、液化促進装置の構造について、改良を加えることにより、さらなる効果を挙げることができる可能性があると日夜、考えをめぐらし、実験をくり返した。そして、ついに有用な構造、すなわち見出した。
本発明の目的は、データセンターのヒートポンプシステムの運転効率の向上をもたらす信頼度の高い液化促進装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液化促進装置は、
ヒートポンプサイクルにおいて冷媒と冷凍機油とを含む流体を撹拌し、液化を促進するために前記ヒートポンプサイクルを構成する配管の上下に延びる経路上に設置される液化促進装置であって、
上下方向の中心軸をもつ円筒形状の胴体部の上端側を半球形状の上部鏡板により閉塞されかつ下端側を半球形状の下部鏡板により閉塞された筐体と、
前記流体の流入又は流出のために、一端が前記配管の上下に延びる経路上の上部に接続可能でありかつ前記中心軸から離れた位置にて前記上部鏡板を上下方向に貫通して前記胴体部の上端近傍まで延在して他端が下方に開口する上部管体と、
前記流体の流出又は流入のために、一端が前記配管の上下に延びる経路上の下部に接続可能でありかつ前記中心軸上にて前記下部鏡板を上下方向に貫通して前記胴体部の上端近傍まで延在して他端が上方に開口する下部管体と、
前記中心軸を軸として前記胴体部の内部に、上端及び下端が固定されて設置されかつ中間部における各巻線が揺動及び振動が可能であり、前記胴体部の内径よりも1ミリメートルから10ミリメートル小さい径を有する大径の螺旋バネと、
前記筐体と平行に設けられ、上下に延びるバイパス管と、
前記バイパス管の上部と、前記上部管体とを、前記配管の上下に延びる経路上の上部に選択的に接続可能な上部三方弁と、
前記バイパス管の下部と、前記下部管体とを、前記配管の上下に延びる経路上の下部に選択的に接続可能な下部三方弁と、
前記上部三方弁の切替を行う上部電磁バルブ又は上部電動バルブと、
前記下部三方弁の切替を行う下部電磁バルブ又は下部電動バルブと
を備え、前記大径の螺旋バネが前記流体の運動エネルギーによって揺動及び振動して、前記流体を撹拌することを特徴とする。
これにより、冷媒と冷凍機油とを含む流体を撹拌、混合し、液化を促進して、ヒートポンプの運転効率の向上をもたらす。また、必要があれば、バイパス管を通すことにより、不具合の生じた場合、交換が必要な場合の役に立つ。さらに、バイパス管を通す運転をしてエネルギー消費を算定した後に、流体を撹拌、混合し、液化を促進する運転を行うことにより、効果の評価をすることができる。
【0008】
また、液化促進装置であって、
前記下部管体の周囲に、上端が前記下部管体の上端に固定されて設置され、下端が前記下部鏡板機能まで延在し、各巻線が前記大径の螺旋バネとは接触しないように揺動及び振動が可能であり、前記下部管体の外形よりも1ミリメートルから30ミリメートル大きい径を有する小径の螺旋バネを
さらに有し、前記流体の運動エネルギーのみで機能し、前記小径の螺旋バネが前記大径の螺旋バネと同様に、かつ接触せずに揺動及び振動して、前記流体を撹拌することを特徴とする。
これにより、複数のバネが協働して、揺動、振動して流体を撹拌、混合し、液化を促進してヒートポンプの運転効率の向上をもたらす。
【0009】
前記配管の上下に延びる経路上の上部に設け、前記配管内を通過する流体の温度を検知して、検知した温度に対応する電気信号を出力する上部温度センサと、
前記配管の上下に延びる経路上の下部に設け、前記配管内を通過する流体の温度を検知して、検知した温度に対応する電気信号を出力する下部温度センサと、
前記上部温度センサ及び前記下部温度センサの出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする。これにより、データセンターのヒートポンプに適した高い信頼度の液化促進装置が得られる。
【0010】
前記配管の上下に延びる経路上の上部に設け、前記配管内を通過する流体の流量を検知して、検知した流量に対応する電気信号を出力する上部流量センサと、
前記配管の上下に延びる経路上の下部に設け、前記配管内を通過する流体の流量を検知して、検知した流量に対応する電気信号を出力する下部流量センサと、
前記上部流量センサ及び前記下部流量センサの出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする。これにより、データセンターのヒートポンプに適した高い信頼度の液化促進装置が得られる。
【0011】
前記配管の上下に延びる経路上の上部に設け、前記配管内を通過する流体の圧力を検知して、検知した圧力に対応する電気信号を出力する上部圧力センサと、
前記配管の上下に延びる経路上の下部に設け、前記配管内を通過する流体の圧力を検知して、検知した圧力に対応する電気信号を出力する下部圧力センサと、
前記上部圧力センサ及び前記下部圧力センサの出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする。これにより、データセンターのヒートポンプに適した高い信頼度の液化促進装置が得られる。
【0012】
前記ヒートポンプサイクルを構成する圧縮部の動力となるモータに供給する電力を計測する電力計の出力信号を取得して、それらに基づいて前記上部電磁バルブ又は上部電動バルブ、及び前記下部電磁バルブ又は下部電動バルブを制御する制御装置と
をさらに有することを特徴とする。これにより、コンプレッサーのモータに加わる電力の大きさに基づくバルブ制御が可能になり、データセンターのヒートポンプに適した高い信頼度の液化促進装置が得られる。
【0013】
上述した電力計を有する液化促進装置を用いて、液化促進装置の設置効果を確認する液化促進装置の設置効果確認方法であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサを有しており、当該マイクロプロセッサーの処理が、
前記液化促進装置を設置する際に、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる状態で前記電力計の出力信号を取得する設置前電力計測ステップと、
バルブ切換えにより、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記電力計の出力信号を取得する設置後電力計測ステップと
を有することを特徴とする。これにより、この装置を設置する前後での効果確認を確実にすることができる。
【0014】
上述したいずれかのセンサを有する液化促進装置を用いて、液化促進装置の非常時退避処理をする液化促進装置の非常時退避方法であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサを有しており、当該マイクロプロセッサーの処理が、
前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記ヒートポンプシステムを運転させる混合流体せん断処理ステップと
前記各センサの出力を解析することにより、異常を検出した際に、バルブ切り替えにより、前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過させる非常時退避ステップと、
を有することを特徴とする。これにより、ヒートポンプシステムの運転を停止することなく、万一の故障、不具合に対処可能となる。
【0015】
上述した制御部を有する液化促進装置を用いて、液化促進装置の非常時退避処理をする液化促進装置の部品交換方法であって、
前記制御装置は、マイクロプロセッサを有しており、当該マイクロプロセッサーの処理が、
前記バイパス管に前記冷媒と前記冷凍機油との混合流体を通過している状態であることを確認し、前記筐体の交換が可能である旨の信号を外部に出力する部品交換可能信号出力ステップと、
前記制御部が、外部機器からの交換作業終了の信号を受け取って、バルブを切換えて、前記上部管体、前記筐体、前記下部管体を前記混合流体が通過する状態で前記ヒートポンプシステムを運転する混合流体せん断処理ステップと
を有することを特徴とする。これにより、ヒートポンプシステムの運転を停止することなく、前記筐体を交換することができる。
【0016】
また、前述した液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記サーバーコンピュータは、効果情報収集サーバと効果情報開示サーバとの二つを有しており、
前記効果情報収集サーバは、
前記液化促進装置を設置している顧客の情報開示許容レベル、メールアドレス、本人確認情報を含む顧客属性に関する情報を有する顧客データベース装置と、
複数の前記液化促進装置から、設置効果情報を収集する情報収集装置と、
前記顧客データベース装置を参照してメールアドレスを取得して、前記液化促進装置を設置している顧客に対して設置効果情報を定期的に発信するレポート発信装置と、
前記液化促進装置を設置している顧客の情報開示許容レベル変更を受け付けるレベル変更受付装置と、
前記情報開示許容レベル変更受付装置が受け付けた情報開示許容レベル変更を前記顧客データベース装置に登録するレベル変更登録装置と、
前記情報収集装置が収集した設置効果情報を、前記顧客データベース装置に登録された当該顧客の情報開示許容レベルにしたがって加工する情報加工装置と、
前記情報加工装置が加工した情報を、前記効果情報開示サーバへ引き渡す情報引き渡し装置と
を有し、
前記効果情報開示サーバは、
前記効果情報収集サーバの情報引き渡し装置が引き渡す情報を受け取る情報受け取り装置と、
前記情報受け取り装置が受け取った情報に基づいてウェブページを作成するウェブページ作成装置と
を有し、
顧客の意思に基づいて、公開されるべき設置効果情報を公開することを特徴とするものとすることができる。
これにより、顧客の開示許容の意思確認手続きを簡略化して、設置効果情報を第三者に対して開示可能となる。
【0017】
さらに、液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記顧客データベース装置に登録される顧客の情報開示許容レベルは、設置効果情報の第三者への開示をいかなる形態においても許容しないレベル(レベル1)と、設置効果情報の第三者への開示を個人を特定可能な情報を除くことを条件に許容するレベル(レベル2)と、設置効果情報の第三者への開示を個人を特定可能な情報を含めて許容するレベル(レベル3)とを含み、
前記情報加工装置は、
レベル1の顧客の情報は前記効果情報開示サーバへ引き渡す情報からは除外し、
レベル2の顧客の情報は個人を特定可能な情報を捨象したうえで、前記効果情報開示サーバへ引き渡す情報とし、
レベル3の顧客の情報は個人を特定可能な情報を含めて、前記効果情報開示サーバへ引き渡す情報とする
ことを特徴とするものとすることができる。
これにより、顧客の開示許容の類型にしたがって、設置効果情報を第三者に対して開示できるように加工できる。
【0018】
また、液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記定期レポート発信装置が発信するメールには、情報開示許容レベルをゆるめることとにより当該顧客が得られる特典(経済的利益)についての案内をすることを特徴とするものとすることができる。
これにより、顧客の情報開示許容レベルを高めやすく(ゆるめやすく)なり、十分な効果情報を収集可能となる。
【0019】
また、液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記特典は、当該液化促進装置をレンタル機器として設置している場合の月々のレンタル料金の値引きであることを特徴とするものとすることができる。
これにより、顧客は直接的に利益が得られるので、情報開示を許容しやすくなり、ひいては、十分な効果情報を収集可能となる。
【0020】
また、液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記特典は、当該液化促進装置のメンテナンス料金の値引きであることを特徴とするものとすることができる。
これにより、顧客が安心を得やすくなるので、情報開示を許容しやすくなり、ひいては、十分な効果情報を収集可能となる。
【0021】
また、液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記特典は、金銭的価値と交換可能なポイント付与であることを特徴とするものとすることができる。
これにより、顧客はより自由度の高い価値を得られるので、情報開示を許容しやすくなり、ひいては、十分な効果情報を収集可能となる。
【0022】
さらに、前述の液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記効果情報開示サーバは、
前記ウェブページ作成装置が作成したウェブページへのアクセス情報を収集、分析して、管理者の端末装置にレポートするアクセス情報収集分析レポート装置を
さらに有することを特徴とするものとすることができる。
これにより、この液化促進装置に関心をもつ潜在的顧客の存在を知ることができる。
【0023】
また、液化促進装置設置効果確認システムであって、
前記アクセス情報収集分析レポート装置がレポートを送る先は、管理者のみならず、当該管理者が指定する営業マンの端末装置をも含むことを特徴とするものとすることができる。
これにより、営業活動に役立てることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る液化促進装置は、冷媒と冷凍機油とを含む流体を撹拌、混合し、液化を促進して、ヒートポンプの運転効率を向上する。したがって、これをヒートポンプサイクルの配管経路上に設置することにより、ヒートポンプの運転効率の向上、ひいてはエネルギーの削減効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る液化促進装置をヒートポンプシステムに用いた例を示す図である。図1(a)は、冷房時の流体の流れ、熱の動きを説明する。図1(b)は、暖房時の流体の流れ、熱の動きを説明する。
図2】本発明の液化促進装置の円筒状筐体部の断面図である(実施形態)。
図3】本発明の液化促進装置の円筒状筐体部の外観を説明する図である。
図4】大径の螺旋バネの形状を説明する図である。
図5】本発明の液化促進装置の円筒状筐体部の断面図である(実施例1)。
図6】本発明の液化促進装置の円筒状筐体部の断面図である(実施例2)。
図7】上部管体、下部管体のバリエーションを示す断面図である。
図8】バネのピッチについての実施例を示す図である。
図9】バネの径の変化についての実施例を示す図である。
図10】3つの径の異なるバネを同心円状に設けた例を示す図である。
図11】4つの径の異なるバネを同心円状に設けた例を示す図である。
図12】5つのバネを並べて設けた例を示す図である。
図13】5つのバネを並べて設けた他の例を示す図である。
図14】5つのバネを並べ、さらに大径のバネを設けた例を示す図である。
図15】3つのバネを同心円状に設けたセットを、5セット設けた例を示す図である。
図16】3つのバネを同心円状に設けたセットを、5セット設け、さらに全体を囲む大径のバネを設けた例を示す図である。
図17】制御部の構成を示すブロック図である。
図18】制御部の処理のうち、設置時効果確認処理を示すフローチャートである。
図19】制御部の処理のうち、非常時退避処理を示すフローチャートである。
図20】制御部の処理のうち、部品交換処理を示すフローチャートである。
図21】クラウドコンピューティングの実施例を示すブロック図である。
図22】効果情報収集サーバ及び効果情報開示サーバを有するシステムを示すブロック図である。
図23】効果情報収集サーバの内部構成を示すブロック図である。
図24】効果情報開示サーバの内部構成を示すブロック図である。
図25】効果情報収集サーバの情報収集処理、顧客への定期レポート送付処理及び情報開示許容レベル変更処理を示すフローチャートである。
図26】効果情報収集サーバの情報加工処理及び情報開示サーバへの引き渡し処理を示すフローチャートである。
図27】効果情報開示サーバの情報受け取り処理、情報加工処理、ウェブページ作成処理を示すフローチャートである。
図28】効果情報開示サーバのアクセス情報収集処理、アクセス情報分析処理、アクセス情報レポート処理を示すフローチャートである。
図29】効果情報収集サーバ及び効果情報開示サーバを有するシステム全体の作用を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。図中の符号が同一のものは、同様の構成、機能を有する。
【0027】
<実施形態>
<構成>
図1はデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1をヒートポンプシステムに用いた例を示す図である。ヒートポンプシステムには、空調機、冷凍機、冷蔵機、給湯機、冷凍倉庫、チラー等、多様な形態が含まれる。電力を消費するものに限らず、ガスヒーポンなどの他のエネルギーを用いるものにも適用可能である。また、新たにヒートポンプシステムを設計する場合のみならず、既存のヒートポンプシステムにあとから追加で設置することも可能である。
【0028】
ヒートポンプシステムは、低温の物体から熱を奪い、高温の物体に与える装置である。低温の物体をさらに冷やす、高温の物体をさらにあたためる目的で用いられる。切換により冷房と暖房との双方を行う装置もヒートポンプである。
本明細書にいう流体は、ヒートポンプサイクルにおいて、コンプレッサー内、配管内、熱交換器内などを循環する流体である。冷媒と冷凍機油とを含む。流体は、ヒートポンプサイクル内のどの工程であるかによって、気体状態、液体状態、気液混合状態のいずれかの状態をとる。冷媒は、現在では地球環境保護の観点からフロンが使われなくなっており、代替フロンと呼ばれるものが用いられている。
【0029】
図1では、一般的な空調機を例にとって、ヒートポンプサイクルを模式的に示し、本発明に係る装置をその内部がわかるように断面図にて示している。図1(a)は、冷房時の流体の流れの向きが反時計回りであることを示す。図1(b)は、暖房時の流体の流れの向きが時計回りであることを示す。
【0030】
ヒートポンプサイクルは、冷房時でいえば、圧縮部83、凝縮部(室外機84)、膨張部81及び蒸発部(室内機82)の4つの構成要素を備えている。これらの構成要素同士を接続する密閉された配管内を流体が循環する。図1(a)及び図1(b)での矢印は流体の流れの向きを示す。白抜き矢印は、熱交換器である凝縮部(冷房時は室外機84、暖房時は室内機82)及び蒸発部(冷房時は室内機82、暖房時は室外機84)における熱の移動を示している。破線矢印は、室内と室外にまたがる熱の移動を示している。LTは低温、HTは高温である。
【0031】
図1では、室外機84と膨張部81との間を結ぶ配管上に、データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1を設置している。データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1を設置する場所は、ヒートポンプサイクルの配管上のいずれの位置でも構わない。図1における設置位置は、例示である。
【0032】
図1(a)及び図1(b)において、ヒートポンプサイクルの配管上に上部三方弁42及び下部三方弁43を設けて、それらはそれぞれ上部電磁バルブ又は上部電動バルブ44、下部電磁バルブ又は下部電動バルブ45により、切替がなされる。当該二つのバルブの切替は制御装置58によりなされ、その結果として、配管内の流体が、バイパス管40を通過するか、上部管体60、円筒状筐体内部、下部管体70を通過するかを択一的に選ぶことが可能になっている。
三方弁は、3方向に流体の出入口を有する弁である。三方バルブとも呼ばれる。
電磁バルブは、電磁石(ソレノイド)の磁力を用いてプランジャと呼ばれる鉄片を動かすことで弁(バルブ)を開閉する仕組みを持つものである。ソレノイド弁、ソレノイドバルブとも呼ばれる。
電動バルブは、電動モーターによりバルブを開閉させるものである。
【0033】
上部三方弁42の近くの配管(枝分かれする前の本管)上には、上部温度センサ52、上部流量センサ54又は/及び上部圧力センサ56が設けられる。また、下部三方弁43の近くの配管(枝分かれする前の本管)上には、下部温度センサ53、下部流量センサ55又は/及び下部圧力センサ57が設けられる。
上部温度センサ52、下部温度センサ53は、配管内部の流体の温度を計測してその計測信号を制御装置58に送る。
上部流量センサ54、下部流量センサ55は、配管内部の流体の流量を計測してその計測信号を制御装置58に送る。
上部圧力センサ56、下部圧力センサ57は、配管内部の流体の圧力を計測してその計測信号を制御装置58に送る。
室外機84と圧縮部83との間の配管上には、室外機・圧縮部間温度センサ152、室外機・圧縮部間流量センサ154又は/及び室外機・圧縮部間圧力センサ156が設けられる。また、室内機82と圧縮部83との間の配管上には、室内機・圧縮部間温度センサ153、室内機・圧縮部間流量センサ155又は/及び室内機・圧縮部間圧力センサ157が設けられる。
室外機・圧縮部間温度センサ152、室内機・圧縮部間温度センサ153は、配管内部の流体の温度を計測してその計測信号を制御装置58に送る。
室外機・圧縮部間流量センサ154、室内機・圧縮部間流量センサ155は、配管内部の流体の流量を計測してその計測信号を制御装置58に送る。
室外機・圧縮部間圧力センサ156、室内機・圧縮部間圧力センサ157は、配管内部の流体の圧力を計測してその計測信号を制御装置58に送る。
ここで「又は/及び」と書いたのは、それらのいずれか又は、それらのいずれかから複数選んだものの組み合わせを用いることができることを意味する。
【0034】
さらに、ヒートポンプサイクルを構成する圧縮部83は、その動力源としてモータ83aを有しており、当該モータ83aに供給される電力線には電力計83bが設置される。電力計83bの出力信号が、制御装置58に送られる。
制御装置58は、上述の上部温度センサ52、下部温度センサ53、上部流量センサ54、下部流量センサ55、上部圧力センサ56、下部圧力センサ57、室外機・圧縮部間温度センサ152、室内機・圧縮部間温度センサ153、室外機・圧縮部間流量センサ154、室内機・圧縮部間流量センサ155、室外機・圧縮部間圧力センサ156、室内機・圧縮部間圧力センサ157、電力計83bのいずれかからの計測信号、またはそれらの組み合わせに基づいて、上下の二つのバルブ(上部電磁バルブ又は上部電動バルブ44、下部電磁バルブ又は下部電動バルブ45)を同時に制御して配管内の流体の流れを切り替える。
【0035】
これにより、配管内の流体は、図1(a)に示す冷房時にあっては、上部三方弁42から上部管体60、円筒状筐体内部、下部管体70を通り、下部三方弁43に至る経路を通るか、または上部三方弁42からバイパス管40を通り下部三方弁43に至る経路を通るかを択一的に選択する切替が実現される。
図1(b)に示す暖房時にあっては、下部三方弁43から下部管体70、円筒状筐体内部、上部管体60を通り、上部三方弁に至る経路を通るか、または下部三方弁43からバイパス管40を通り上部三方弁42に至る経路を通るかを択一的に選択する切替が実現される。
【0036】
制御装置58により、上部電磁バルブ又は上部電動バルブ44、下部電磁バルブ又は下部電動バルブ45を同時に制御する制御方法としては、上述のように、温度センサ、流量センサ、圧力センサ、電力計の計測信号を監視してその変化に基づいて、制御するという制御方法以外に、計画的な制御をすることも可能である。
たとえば、このデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1を最初に設置する際において、所定期間(一日、一週間、一ヶ月など)、バイパス管40を通す。その後、次の所定期間(同様に、一日、一週間、一ヶ月など)、上部管体60、下部管体70を通す。そして、それらの運転の際に、電力計83bの計測信号を解析して、二つの場合でどれだけ電力消費が異なるかを比較することが可能である。
【0037】
なお、ヒートポンプシステムがガスヒーポン(コンプレッサーの動力をガスエンジンとするもの)である場合には、電力計83bの代わりに、ガスエンジンに供給する燃料ガスの流量計を設置することで、同様のエネルギー消費の計測が可能である。
【0038】
≪室内冷房時のサイクル≫
図1(a)の室内冷房時のサイクルにおいて、圧縮部83は、低圧の気体冷媒を圧縮するためのコンプレッサを密閉容器内に備えている。コンプレッサを収容した密閉容器内には、通常、冷凍機油(コンプレッサーオイル)を貯留するための油溜まり(図で底の部分)が設けられている。気体冷媒は、圧縮されて高圧かつさらに高温の気体となる。この気体冷媒は冷凍機油と混合された後、圧縮部83から凝縮部(室外機84)へ吐出される。凝縮部はコンデンサを備える。冷房時は、室外機84が凝縮部として熱交換を行う。凝縮部に流入した高温高圧の気体流体は、熱を外部に放出することにより凝縮して低温の液体流体となる。この液体流体は、理想的には、冷凍機油を溶解した(又は均一混合した)液体冷媒である。
【0039】
しかしながら、凝縮部(室外機84)において冷媒が気体から液体となるとき、冷凍機油の一部が冷媒に溶解(均一混合)せずに分離する場合がある。また、融合した冷凍機油の油相が液体冷媒を閉じこめる場合がある。さらに、凝縮部(室外機84)をほぼ素通りした冷媒が、高温気体のまま残存する場合がある。このような現象により、凝縮部(室外機84)から流出する液体流体は、分離した冷凍機油、冷凍機油の油相に捕捉された液体冷媒及び/又は気体冷媒を含む可能性がある。
【0040】
分離した冷凍機油は、凝縮部(室外機84)における熱交換の際に、熱交換器のさまざまな箇所に滞留するために、熱交換の効率を下げるといわれている。本発明にかかるデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1を用いて、上部三方弁42と下部三方弁43との間を上部管体60、円筒状筐体内部、下部管体70を通過するように制御する際には、流体が円筒状筐体を通ることにより、後述するようにせん断効果によって、冷凍機油及び冷媒が微細化された状態で混合されるので、その流体が、繰り返しヒートポンプ内を循環することにより、熱交換器内に冷凍機油が滞留することがなく、熱交換の効率を上げる効果が期待される。
【0041】
図1(a)に示す室内冷房時には、本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1は、凝縮部(室外機84)と膨張部81の間に挿入されている。データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1の上部管体60は、室外機84である凝縮部の出口側に接続され、液化促進装置1の下部管体70は膨張部81の入口側に接続されている。凝縮部84から流出した流体は、上部三方弁42で上部管体60に導かれると、円筒状筐体内部で十分にせん断効果が与えられ、混合される。これにより、分離した冷凍機油は液体冷媒に均一混合した状態となり、冷凍機油の油相に捕捉された液体溶媒は解放され、残存する気体冷媒は温度降下して液体冷媒となる。その後、液化促進装置1から流出した流体は、膨張部81に送られる。
【0042】
膨張部81はエキスパンションバルブ又はキャピラリーチューブ等を備える。低温高圧の液体流体は、細い孔や管に通されることにより、低圧かつさらに低温の液体となる。その後、この流体は、蒸発部(室内機82)へ送られる。蒸発部はエバポレータを備える。図1(a)に示す室内冷房時は、室内機82が蒸発部として熱交換を行う。蒸発部に流入した低温低圧の液体流体は、熱を外部から吸収することにより蒸発して高温の気体流体となる。これにより、室内の空気が冷やされる。その後、気体流体は圧縮部83へ戻される。
【0043】
この室内機82(蒸発部)で熱交換を行う際にあっても、上述のようにせん断効果によって冷凍機油及び冷媒が微細化された状態で混合されているので、熱交換の効率を上げることが期待される。
【0044】
≪室内暖房時のサイクル≫
図1(b)の室内暖房時のサイクルにおいては、図1(a)の冷房時とは流体の循環方向が逆となる。ヒートポンプシステムにおいて流体の循環方向の切り替えを行うために周知のバルブ(たとえば四方バルブ)を用いる(図示及び説明を省略)。暖房時は、圧縮部83から吐出された高温高圧の気体流体は、凝縮部として熱交換を行う室内機82に送られる。凝縮部(室内機82)に流入した高温高圧の気体流体は、熱を外部に放出することにより凝縮して低温の液体流体となる。これにより、室内の空気が暖められる。
【0045】
ここで、凝縮部(室内機82)において冷媒が気体から液体となるとき、図1(a)の冷房時のサイクルと同様に、凝縮部から流出する液体流体は、分離した冷凍機油、冷凍機油の油相に捕捉された液体冷媒及び/又は気体冷媒を含む可能性がある。暖房時には、凝縮部(室内機82)から流出する液体流体は、さらに膨張部81に送られ、低圧かつさらに低温の液体となる。膨張部81の通過後にも、分離した冷凍機油、捕捉された液体冷媒及び/又は気体冷媒が残存している可能性がある。
上述のようにせん断効果によって冷凍機油及び冷媒が微細化された状態で混合されていると、熱交換の効率を上げることが期待される。
【0046】
図1(b)に示す室内暖房時には、本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1は膨張部81と蒸発部(室外機84)の間に設置されている。液化促進装置1の下部管体70は、膨張部81の出口側に接続され、液化促進装置1の上部管体60は、室外機84である蒸発部の入口側に接続されている。膨張部81から流出した流体は、液化促進装置1内で十分に均一混合される。分離した冷凍機油は液体冷媒に均一混合された状態となり、冷凍機油の油相に捕捉された液体溶媒は解放され、残存する気体冷媒は温度降下して液体冷媒となる。その後、データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1から流出した流体は、蒸発部(室外機84)に送られる。
【0047】
図1(b)に示す室内暖房時は、室外機84が蒸発部として熱交換を行う。蒸発部に流入した低温低圧の液体流体は、熱を外部から吸収することにより蒸発して高温の気体流体となる。その後、気体流体は圧縮部83へ戻される。上述のようにせん断効果によって冷凍機油及び冷媒が微細化された状態で混合されていると、暖房時の室外機における熱交換においても、熱交換の効率を上げることが期待される。
【0048】
図1(a)及び図1(b)に示した通り、本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1は、ヒートポンプシステムを構成する配管の経路上に挿入されるものである。実際の配管は、複数の管部材を接続して形成されているから、例えば1つの管部材を取り外して本発明の液化促進装置1と交換し接続することにより、液化促進装置1を容易に取り付けることができる。図1(a)及び図1(b)に示した通り、例えば、室外機近傍の屋外配管に設置することができる。このとき、配管内の流体がスムーズに動けるように、適切な大きさのなめらかなカーブを描くように配管がなされる。
【0049】
上述した図1(a)及び図1(b)では、ヒートポンプシステムの基本形態に対して本発明の液化促進装置1を適用した例を示した。実際のヒートポンプシステムには、多くの応用形態が存在する。本発明の液化促進装置1は、基本形態に種々の構成要素が付加されたヒートポンプシステムに対しても適用可能である。例えば、気液二相状態の冷媒を分離する気液分離器を備えたシステムにおいても、本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1を併用することができる。また、例えば、膨張部に替えてエジェクターと気液分離器を設けたシステムにおいても、本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1を併用することができる。
【0050】
図2は、本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置の円筒状筐体部の断面図である。また、図3は、本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置の円筒状筐体部の外観を説明する図である。データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1の円筒状筐体部は、筐体10を有する。筐体10は、上下方向の中心軸をもつ円筒形状の胴体部11と、胴体部の上端側を閉鎖する半球形状の上部鏡板12と、胴体部の下端側を閉塞する半球形状の下部鏡板13を具備する。ここで本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置は、冷媒と冷凍機油とを含む流体を0.2メガパスカルから10メガパスカルほどの圧力で通すものであるので、それだけの圧力に耐え得る構造であることを要する。本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置における流体は、圧縮機から所定の圧力で吐出された圧力流体であるので、筐体10も圧力容器であるといえる。圧力容器における「鏡板」は、一般的に円筒状圧力容器の上下端を閉鎖する半球状の蓋部材を意味する。図3に示される上部鏡板12及び下部鏡板13の断面は、中心角180度の半円であり、その半径は円筒形状の胴体部11の半径と等しい。
【0051】
筐体10に対する流体の流入又は流出のために、2つの管体、上部管体60、下部管体70が設けられている。図3(d)では、液化促進装置1を側面からみた外観を示している。上部管体60が上部鏡板12を貫いて設けられており、下部管体70が下部鏡板13を貫いて設けられているようすを示している。データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1をヒートポンプシステムの配管経路上に挿入する場合、挿入箇所において上部管体60、下部管体70の二つの管体のうち、一方の管体を一方の配管端部に接続し、他方の管体を他方の配管端部に接続する。上述した図1(a)及び図1(b)を参照しつつ説明した通り、冷房時と暖房時とでは流体の循環の向きが逆である。従って、データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1の冷房時の流入口は、暖房時には流出口となり、冷房時の流出口は、暖房時には流入口となる。循環方向が逆となる暖房時にもデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置の効果は実証された。従って、空調機の冷房と暖房を切り替えても、本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置の取り付け状態を変更する必要はない。
【0052】
上部管体60は、冷房時には流入口となり、暖房時には流出口となる。図3では上部管体60の上方部分の図示を省略しているが、ヒートポンプシステムの適切な配管に接続可能である。なお、冷房時と暖房時で液化促進装置1の取付状態を変更することはないが、流体の循環方向が逆となるので、上部管体60は、図1に示した冷房時には凝縮部(室外機)の出口側に接続され、図2に示した暖房時には蒸発部(室外機)の入口側に接続されることになる。
【0053】
上部管体60は、中心軸から離れた位置において上部鏡板12を上下方向に貫通している。上部管体60は、筐体10内で胴体部11の上端近傍まで下方に延在し、その下端60aは下方に開口している。図2に示すように、上部管体60の下端60aの開口の縁は、中心軸側が低く周縁側が高くなるように傾斜していることが好適である。この傾斜は、冷凍機油と冷媒とを含む流体の良好な流れを形成し、大径の螺旋バネ20及び小径の螺旋バネ30、すなわち大小二つのバネの揺動及び振動を起こして、せん断効果により流体の混合、ひいては液化促進を行うためのものである。
【0054】
下部管体70は、冷房時には流出口となり、暖房時には流入口となる。図2図3では、下部管体70の下方部分の図示を省略しているが、ヒートポンプシステムの適切な配管に接続可能である。下部管体70は、中心軸上において下部鏡板13を上下方向に貫通している。下部管体70は、筐体10内で中心軸に沿って胴体部11の上端近傍まで上方に延在し、その上端70aは上方に開口している。
【0055】
さらに、胴体部11の内壁から、1ミリメートルから10ミリメートル離れた内壁近傍には、大径の螺旋バネ20が設置されている。大径の螺旋バネ20の中心軸は、胴体部11の中心軸と一致するように設けられる。大径の螺旋バネ20は、バネ取付部21,22,23,24の4ヶ所、すなわち、大径の螺旋バネ20の上端部と下端部のみにおいて、胴体部11の内壁に(たとえば溶接により)固定されており、固定されていない中間部は、揺動及び振動(上下動)が可能である。ここで揺動は、バネの伸び縮みの方向とは垂直の方向に動くことである。上端部、下端部の取付個所は、2箇所ずつ、3箇所ずつ、4箇所ずつとする実施例も可能である。
図4を参照しつつ詳しく説明するが、大径の螺旋バネ20は、バネ取付部に近い部分のピッチは狭く、固定されていない中間部のピッチを広くする不等ピッチの螺旋バネとすること、すなわち図8(a)に示すように、広い→狭い→広い、または図8(b)に示すように、狭い→広い→狭い、とすることが好適である。
【0056】
本発明の液化促進装置の各構成要素、すなわち筐体10、上部管体60、下部管体70、大径の螺旋バネ20、小径の螺旋バネ30の材料は、ヒートポンプシステムの配管に使用可能材料であればよく、特に限定されないが、圧力容器に適切な材料を用いることができる。例えば、鋼製とする。
小径の螺旋バネ30は、取り付け部31、32、33,34の4ヶ所、すなわち、小径の螺旋バネ30の上端部と下端部のみにおいて、下部管体70の外壁に(たとえば溶接により)固定されており、固定されていない中間部は、揺動及び振動(上下動)が可能である。上端部、下端部の取付個所は、2箇所ずつ、3箇所ずつ、4箇所ずつとする実施例も可能である。小径の螺旋バネ30は、バネ取付部に近い部分のピッチは狭く、固定されていない中間部のピッチを広くする不等ピッチの螺旋バネとすることが好適である。
【0057】
図4(a)は、図2に示した大径の螺旋バネ20の平面図であり、図4(b)は図4(a)のD-D断面図である。大径の螺旋バネ20は、不等ピッチ螺旋バネである。端部から中間部へ向かってピッチが漸次長くなっている。今、大径の螺旋バネの伸縮方向の長さ方向について、p1、p2、p3、…、p9の9つの領域に分けて説明する。ピッチは、大径の螺旋バネを構成する巻線とその隣の巻線との間にできる隙間の長さと考える。p1とp9とは、ピッチが0.8ミリメートル、p2とp8とは、ピッチが1.2ミリメートル。p3とp7とは、ピッチが1.6ミリメートル、p4とp6とは、ピッチが2.0ミリメートル、p5は、ピッチが2.5ミリメートル、とすることができる。ピッチの大きさについてみると、上下対称である。すなわち、p1のピッチをp1、p2のピッチをp2、…、p9のピッチをp9と表記すると、p1<p2<p3<p4<p5>p6>p7>p8>p9、であって、p1=p9、p2=p8、p3=p7、p4=p6である。
【0058】
複数の領域(p1、p2、p3、…)の各々におけるピッチは一定であって各領域のピッチがp1<p2<p3<…の関係となるのみならず、それぞれの領域の内部についてみても、一つ一つの螺旋バネの巻線の隣り合う間隔が漸次変化するようになっていてもよい。
【0059】
液化促進装置1の内部に冷凍機油と冷媒とを含む流体が流入することにより、大径の螺旋バネ20が、揺動及び振動し、流体に対する剪断効果を奏する。また、螺旋バネの表面がさまざまな面を有して、凹凸をもつこと自体によっても流体に対する剪断効果を奏する。この結果、流体が微細化、均一化され、液化を促進する。大径の螺旋バネ20は、筐体10の胴体部11の内壁からは1ミリメートルから10ミリメートル離れて設けられる。そして、その上端及び下端において、筐体10に固定されるのみであり、他の部分は、自由に揺動及び振動が可能である。
【0060】
図2に示した小径の螺旋バネ30についても、不等ピッチ螺旋バネとすることが望ましい。大径の螺旋バネ20と同様に、ピッチが上から、広い→狭い→広い、又は狭い→広い→狭い、というようにすることができる。
小径の螺旋バネ30は、その上端部が下部管体70の上端に固定されて、小径の螺旋バネ30の下端部は、下部管体70の外壁に固定される。固定の方法は、たとえば、溶接によってなされる。
小径の螺旋バネ30は、下部管体70を取り巻くように位置する。そのため、下部管体70の周囲1ミリメートルから30ミリメートルの領域で揺動及び振動が可能である。下部管体70の上端70aは、たとえば鍔(つば、フランジ)を設けた形状とすることができる。そして、このフランジ形状の部分をバネ取付部31、32とすることができる。固定の手段としては、複数個所、たとえば4箇所の溶接を用いることができる。フランジ形状の部分に小径のバネ30を取り付けることにより、下部管体70の外壁よりも1ミリメートルから30ミリメートル離れた領域において、小径のバネ30が揺動及び振動するようにすることができる。
【0061】
<上部管体60から流体が流入する場合の動作>
筐体10の中心軸から離れた位置に開口する上部管体60を通して上方から流体が流入した場合は、次のような流体の流れを生じる。流入した流体は下方に向かって直進した後、下部鏡板13により上方へ方向転換(Uターン)させられる。これは、下部鏡板13の形状が、半球形状であることによって実現される。方向転換した流体は、上方に直進した後、上部鏡板12により下方へ方向転換(Uターン)させられる。これは、上部鏡板12の形状が、半球形状であることによって実現される。これにより、縦方向の強い流れが形成され、この結果、流体は筐体10の内部空間全体に亘って大きく撹拌される。また、筐体10の中心軸から離れて位置する上部管体60の開口の縁が、中心軸側が低くかつ周縁側が高くなるように傾斜していることにより、下方に直進する流れを形成し易くなる。この結果、縦方向の流れを円滑に生じさせる。この上下の流体の流れは、大径の螺旋バネ20及び小径の螺旋バネ30の揺動及び振動を引き起こす。そして、流体が大径の螺旋バネ20及び小径の螺旋バネの巻線に衝突することと二つの螺旋バネの揺動及び振動の相乗効果により、効果的な流体の撹拌が実現される。流体は、十分撹拌された後、下部管体70を通して下方に流出して行く。
【0062】
<下部管体70から流体が流入する場合の動作>
筐体10の中心軸上に位置する下部管体70を通して下方から流体が流入した場合は、次のような流体の流れを生じる。下部管体70の上端70aの開口から出た流体は、上方に直進した後、上部鏡板12により下方へ方向転換(Uターン)させられる。これは、上部鏡板12の形状が、半球形状であることによって実現される。さらに、下方に直進した流体は、下部鏡板13により上方へ方向転換(Uターン)させられる。これは、下部鏡板13の形状が、半球形状であることによって実現される。これにより、縦方向の強い流体の流れが形成される。この結果、流体は筐体10の内部空間全体に亘って大きく撹拌される。さらに、縦方向の流体の流れは、筐体10の上部において方向転換する際に中心軸から離れた位置にある上部管体60及び中心軸上に位置する下部管体70に衝突することにより、2つに分岐してそれぞれ流れを生じる。複数の流れが上部管体60及び下部管体70の周囲に次々に形成される。さらに、胴体部11の内面上に設けた大径の螺旋バネ20との摩擦、衝突及び、小径の螺旋バネとの摩擦、衝突により、揺動及び振動可能な巻線をもつ大径の螺旋バネ20、小径の螺旋バネ30がそれぞれ摩擦や衝突を受けた局所において、揺動及び振動を生じる。揺動及び振動に加えて、大径の螺旋バネ20及び小径の螺旋バネのそれぞれが有する多数の凹凸形状によっても流体に対して剪断力を及ぼす。この結果、流体が微細化され均一化される。本発明の液化促進装置1により、効果的な流体の撹拌が実現される。流体は、十分撹拌された後、上部管体60を通して上方に流出して行く。
【0063】
<作用・機序>
音の倍音共鳴(スケーリング共鳴)で作用・機序を説明できると考えられる。
本発明に係る液化促進装置の中に、数メガパスカルの流体が流入すると、バネに衝撃が加わる。そして、その衝撃により、バネが振動及び揺動する。その振動及び揺動が伝わっていくことで、音(可聴域のものに限らず、それよりも低い音、あるいはそれよりも高い音の可能性を含む)が生じる。流体の流入が連続的であるため、この音も持続的に生じ続ける。
一方、冷媒と冷凍機油との混じり合うときに分子のクラスタ同士がぶつかる際にも、音が生じる。これらの二つの音は、倍音(高調波)の関係になり得る。バネの振動、揺動により発生する音の倍音(高調波)が、冷媒、冷凍機油の分子のクラスタのぶつかり合いに倍音共鳴(スケーリング共鳴)がなされる。それにより流体の混合撹拌、ひいては液化促進がなされる。
ここで、スケーリング共鳴は、数十オクターブ上の高調波(倍音)において、共鳴をする現象である。「タンパク質の音楽」(深川洋一著 ちくまプリマーブックス)に用いられている概念である。
共振と共鳴とは、似た概念であるが、本明細書においては、切り分けて考えることにする。たとえば、同じ木の枠(固体)に固定された二つの弦が、片方を振動させたときに、他方も振動する。この場合は、振動が木の枠という固体を通じて伝わるので、共振である。他方で、水や空気など(流体)をつたって音がつたわってその結果振動するのは、共鳴である。
本発明に係る液化促進装置の場合、バネから冷媒分子、冷凍機油の分子に振動がつたわるのは、流体を介してなされる。したがって、共鳴というべきである。そこで、音の倍音共鳴又はスケーリング共鳴が機能していると考えられる。
本発明に係る液化促進装置において、流体のマクロの挙動に着目すると、流体は、その高い圧力によって、バネに衝撃を与えて、バネを振動・揺動させる働きをする。一方、流体のミクロの挙動に着目すると、流体に含まれる冷媒、冷凍機油のクラスタ(分子がいくつかくっついたかたまり)が、倍音共鳴又はスケーリング共鳴により、そのクラスタの大きさを小さくするように力を受ける。これによりせん断効果を受けて、冷媒、冷凍機油がそのクラスタを小さくして、均一混合をする。
【0064】
<効果>
0.2メガパスカルから10メガパスカルの圧力にて、冷媒と冷凍機油を含む流体を本発明に係る液化促進装置に通す。それにより、本発明に係る液化促進装置が有するバネは、衝撃を受けて、振動及び揺動を起こす。この振動及び揺動は、さまざまな周波数の波を引き起こす。多くの高調波を豊富に含む波が発生する。この波を音波と捉えると、多くの高調波は、多くの倍音と捉えることができる。これらの高調波(倍音)は、分子レベルで、冷媒、冷凍機油のクラスタに作用し、かたまりの大きさを小さくするせん断効果をもたらす。このとき、高調波による共振、または倍音による共鳴の現象が起こると考えられる。すなわち、バネにおいて、振動及び揺動が起こるのに対応して、分子レベルでの高調波による共振または倍音による共鳴もまた、継続的に起こる。それにより、せん断効果がまんべんなく、冷媒と冷凍機油全体に行き渡る。
このようにして、冷媒と冷凍機油との均一混合がなされる。
液化促進装置のせん断効果により、冷媒と冷凍機油とが均一混合する。そして、代替フロンの熱交換効率を改善することができる。本発明の液化促進装置は、ヒートポンプサイクルに使用されている冷媒及び冷凍機油の種類に関わらず効果を奏することができる。特に、特定フロンに比べて冷凍機油との相溶性に劣る代替フロンに適用することにより、代替フロンの熱交換効率を大幅に改善することができる。
【0065】
<電力削減、エネルギー削減>
本発明の装置は、電気をエネルギーとして用いるヒートポンプ、ガスをエネルギーとしてもちいるヒートポンプ(図1でモータの代わりにガスを燃料とするエンジンを用いたもの)など、熱交換をするヒートポンプであって、冷媒と冷凍機油とを循環させるヒートポンプにおいて広く利用することができ、エネルギー削減効果をもたらすものである。
【0066】
≪実施例1≫
図5は、液化促進装置2(実施例1)の断面図を示している。
図5における液化促進装置2は、大径のバネ20のみを設けて、小径のバネ30は省略した実施例を示す。図5における大径のバネ20は、上が小径、中が大径、下が小径という形状を有している。また、バネのピッチは、上から、狭い→広い→狭い、というピッチとすることができる。また、バネのピッチを、狭い→広い、とすることもできる。そのほかは、図2に示す実施形態と同様である。バネの上端及び下端において、胴体部11の内壁とバネとを溶接することも同様である。
【0067】
≪実施例2≫
図6は、液化促進装置3(実施例2)の断面図を示している。
図6における液化促進装置3は、大径のバネ20と、小径のバネ30とを同心円状に設けてある。これらの二つのバネは、いずれもそれぞれの径が、上から、小径→大径→小径となっている。二つのバネが接触せずに振動及び揺動が可能なように、上部及び下部が容器に対して、固定(溶接)される。
【0068】
≪上部管体及び下部管体のバリエーション≫
図7は、上部管体60及び下部管体70のバリエーションを示す図である。
図7に示した例では、上部管体60、下部管体70、いずれも上部鏡板12を貫いて設けるものとしている。図7に示すように、曲がり具合、延び具合が、さまざまなバリエーションがあり得る。図7においては、バネ及びそれを固定するための部材(バネ取付部)を描くのを省略している。
【0069】
≪バネのピッチのバリエーション≫
図8は、バネのピッチについての実施例を示す図である。図8(a)は、バネのピッチが上から、広い→狭い→広いと変化する例である。図8(b)は、バネのピッチが上から、狭い→広い→狭いと変化する例である。図8から図16までにおいては、筐体、上部管体、下部管体を描くのを省略している。
【0070】
≪バネの径の変化のバリエーション≫
図9は、バネの径の変化についての実施例を示す図である。図9(a)は、上から、大きい→小さい→大きいと変化する例である。図9(b)は、上から、小さい→大きい→小さいと変化する例である。
【0071】
≪三つのバネを同心円状に設ける≫
図10は、3つの径の異なるバネを同心円状に設けた例を示す図である。それぞれのバネが互いに接触せずに、振動、揺動ができるように配慮される。
【0072】
≪四つのバネを同心円状に設ける≫
図11は、4つの径の異なるバネを同心円状に設けた例を示す図である。それぞれのバネが互いに接触せずに、振動、揺動ができるように配慮される。
【0073】
≪5つのバネを並べる≫
図12は、5つのバネを並べて設けた例を示す図である。
【0074】
≪5つのバネを並べる他の例≫
図13は、5つのバネを並べて設けた他の例を示す図である。
【0075】
≪5つのバネ+大径のバネ≫
図14は、5つのバネを並べ、さらに大径のバネを設けた例を示す図である。
【0076】
≪3つのバネを同心円状に設けたセットを5セット≫
図15は、3つのバネを同心円状に設けたセットを、5セット設けた例を示す図である。
【0077】
図16は、3つのバネを同心円状に設けたセットを、5セット設け、さらに全体を囲む大径のバネを設けた例を示す図である。
【0078】
図10から図16までに示すように、多くのバネを設ける実施例は、馬力の大きなコンプレッサー向けに、大きな液化促進装置を設計する際に、有利な構成である。その場合には、液化促進装置の筐体の大きさも大きなものとなる。図10から図16までに示すバネは、それぞれ、バネのピッチを不等ピッチにするバリエーション、バネの径の変化をもたせるバリエーションをそれぞれ施すことができるものであり、それらを多様に組み合わせることができる。
【0079】
≪制御部58のハードウェア構成≫
図17は、図1に示す制御部58のハードウェア構成を示すブロック図である。制御部58は、マイクロプロセッサー58aのバス上に、温度センサ52,53、152、153、流量センサ54、55、154、155、圧力センサ56,57、156、157、電力計83b、外気温センサ51、電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a、45a、記憶回路58b、通信回路58cが接続されたものである。
ここで、マイクロプロセッサーは、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッシングユニット、CPUなどとも呼ばれることのあるものであり、コンピュータプログラムにしたがって、処理、計算などを実行する集積回路である。
【0080】
温度センサ52、53、152、153は、図1に示す上部温度センサ52、下部温度センサ53、室外機・圧縮部間温度センサ152、室内機・圧縮部間温度センサ153である。
流量センサ54,55、154、155は、図1に示す上部流量センサ54、下部流量センサ55、室外機・圧縮部間温度センサ152、室内機・圧縮部間温度センサ153である。
圧力センサ56,57、156、157は、図1に示す上部圧力センサ56、下部圧力センサ57、室外機・圧縮部間圧力センサ156、室内機・圧縮部間圧力センサ153である。
外気温センサ51は、図1には示していないが、本発明にかかるデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1の外部に接する位置に温度センサを設置して、その出力信号をマイクロプロセッサー58aに引き渡すように構成可能である。
電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a、45aは、マイクロプロセッサー58aの命令に基づいて、上部電磁バルブ又は電動バルブ42、下部電磁バルブ又は電動バルブ43を駆動するための駆動信号を生成し、当該バルブにその電気信号を送ることによりそれらを駆動する回路である。
【0081】
記憶回路58bは、メモリとも呼ばれるものであって、マイクロプロセッサー58aが読み込んで実行するプログラム、及びマイクロプロセッサー58aが読み込んだり、書き込んだりするデータなどを記憶する記憶回路である。
通信回路58cは、外部との通信をつかさどる回路である。たとえば、PHS(Personal Handy-phone System)のチップなどを有するものとして構成され得る。この通信回路58cの働きにより、外部からの入力信号を受け付けて、マイクロプロセッサー58aに渡す。また、マイクロプロセッサー58aから外部機器(たとえば、ヒートポンプシステムの管理者の端末機器)に通信をする機能を果たす。
【0082】
≪設置時効果確認処理≫
図18にそのフローチャートを示す設置時効果確認処理は、本発明にかかるデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置を設置する際にビフォーアフターで、その効果を確認する処理のことである。この処理を実行するのは、マイクロプロセッサー58aである。
本発明に係るデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置を既存のヒートポンプシステムに設置する際には、一旦、当該ヒートポンプシステムの運転を停止して、配管内部にある冷媒及び冷凍機油を抜く。そして、本発明に係るデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置を当該ヒートポンプシステムの配管途上(たとえば、室外機の近く)に設置する。そして、冷媒及び冷凍機油を充填する。こうして、ヒートポンプシステムの運転再開の準備ができたところで、図18に示す設置時効果確認処理のプログラムを実行する。このプログラムは、あらかじめ記憶回路58bに記憶されたプログラムファイルをマイクロプロセッサー58aが読み込んで実行することによって開始する。
【0083】
このプログラム開始の際は、たとえば、マイクロプロセッサー58aがメニュー表示を図示しない液晶表示装置に表示して、操作する者がメニュー操作により、当該プログラムをスタートするように構成することができる。
また、外部機器(たとえばヒートポンプシステムの運用者の端末機器)から、通信(無線通信や、PHS通信、インターネット通信など)により、マイクロプロセッサー58aにアクセスして、当該プログラムを選択して、実行するようにしてもよい。
【0084】
図18に示す設置時効果確認処理がスタートすると、まず、バイパス管40が有効になっているか、すなわち、上部電磁バルブ又は電動バルブ42、下部電磁バルブ又は電動バルブ43の働きにより、ヒートポンプシステムの配管内を循環する冷媒と冷凍機油の混合した流体がバイパス40を通る状態にあるか否かを判断する(ステップ1801)。
実際には、電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a、45aは、それぞれ上部電磁バルブ又は電動バルブ42、下部電磁バルブ又は電動バルブ43の状態を記述する情報を持っていて、その情報に対してマイクロプロセッサー58aがアクセスすることにより、ステップ1801の判断がなされ得る。
【0085】
バイパス40が機能している状態である場合には、ステップ1801でYESと判断されてステップ1803に進む。バイパス40が機能していない状態である場合には、バイパス管に切換える処理がなされて(ステップ1802)、その後、ステップ1803に進む。
ここで、バイパス管に切換える処理は、マイクロプロセッサー58aが命令を送るのを受けて、電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a、45aが駆動信号を生成して、上部電磁バルブ又は電動バルブ42、下部電磁バルブ又は電動バルブ43に送ることに基づき、それぞれのバルブが動作することによって実現される。
【0086】
ステップ1803において、当該ヒートポンプシステムが運転可能となったことを示す「運転可信号」をマイクロプロセッサー58aは、外部に出力する。この外部への出力は、通信回路58cにより、外部機器、すなわちヒートポンプシステムの運用者の端末機器に送られる。この信号を受けたヒートポンプシステムの運用者は、当該ヒートポンプシステムの運転を再開する。この状態では、ヒートポンプシステム内を循環する冷媒と冷凍機油とが混合した流体は、バイパス管40を通るので、円筒状筐体内を通過しない。したがって、まだ混合、せん断、などがなされない状態で冷媒と冷凍機油とが循環する状態である。
【0087】
この状態において、各センサ(温度センサ、流量センサ、圧力センサ、電力計)の出力を、マイクロプロセッサー58aが記録、そして解析し、その結果を記憶回路58bに保存する(ステップ1804)。たとえば、6秒ごとにデータを計測し、保存するようにすることができる。蓄積された計測信号のデータが記憶回路58bの記憶容量を超えないように、ある程度たまった時点で、外部機器に出力するようにしてもよい。
あらかじめ定めた所定の時間の経過、たとえば、一日、一週間、一ヶ月などの時間が経過するまでは、ステップ1804、ステップ1805を繰り返し実行して、計測信号の記録、解析を繰り返す。
【0088】
あらかじめ定めた時間が経過した際に(ステップ1805でYES)、バルブを切換えて上部管体、下部管体への流れに切換える(ステップ1806)。このバルブの切り替えは、マイクロプロセッサ58aが電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a、45aに送る命令によって、当該駆動回路が駆動信号を生成して、それぞれの電磁バルブ又は電動バルブに信号を送ることによってなされる。これにより、ヒートポンプ配管内を循環する冷媒及び冷凍機油の混合流体は、上部管体60、円筒状筐体内部、下部管体70を繰り返し通過するようになり、混合、せん断されて、ヒートポンプシステム内の熱交換器における熱交換効率を上げるなどの効果をもたらす。
【0089】
ステップ1807、ステップ1808により、あらかじめ定めた所定の時間(一日、一週間、一ヶ月など)が過ぎるまでの間、各センサ(温度センサ、流量センサ、圧力センサ、電力計)の出力を、マイクロプロセッサー58aが記録、そして解析し、その結果を記憶回路58bに保存する(ステップ1807)。たとえば、6秒ごとにデータを保存するようにすることができる。蓄積された計測信号のデータが記憶回路58bの記憶容量を超えないように、ある程度たまった時点で、外部機器に出力するようにしてもよい。
【0090】
あらかじめ定めた所定の時間が過ぎると(ステップ1808で、YES)、記録・解析結果を外部機器に出力する(ステップ1809)。たとえば、ヒートポンプシステムの運営者の端末機器において、その記録・解析結果を受け取ると、当該運営者は、外気温や、時刻の似通った条件の電力使用量を比較するなどして、本発明のデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置を設置した効果を確認することが可能となる。
【0091】
≪非常時退避処理≫
図19にそのフローチャートを示す非常時退避処理は、各センサの出力を監視して、それにより、バイパス管40に切換えるものである。万一にも起こるかもしれない非常時に備えてこの処理を通常の処理として実行することは、データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置として、ふさわしい。データセンターは、顧客の重要なデータを大量に扱うところであり、万一重要なデータが失われるようなことがあると、大きな損害が発生するからである。
【0092】
この非常時退避処理は、ヒートポンプシステムが、上部管体60、円筒状筐体内部、下部管体70を用いて混合流体をせん断、混合している際に、この処理にはいるものである。
まず、バルブ位置を確認する(ステップ1901)。この処理は、マイクロプロセッサー58aが電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a、45aにバルブの状況を問い合わせることによってなされ得る。
正常、すなわち混合流体が上部管体、円筒状筐体内部、下部管体を流れる状態ならば、ステップ1904に進む。正常でない場合は、バルブ位置を修正し(ステップ1903)、ステップ1904に進む。バルブ位置の修正は、マイクロプロセッサー58aが電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a、45aに命令を発するのを受けて、当該駆動回路が駆動信号を生成して、各バルブに当該信号を送ることによってなされる。
【0093】
ステップ1904にて、各センサ(温度センサ、流量センサ、圧力センサ、電力計)の出力を、たとえば6秒ごとに計測し、マイクロプロセッサー58aが記録、そして解析し、その結果を記憶回路58bに保存する(ステップ1904)。マイクロプロセッサー58aは、その計測データを解析し、異常の発生を監視する。たとえば、円筒状筐体内部のバネや、上部管体、下部管体が破損した場合に起こり得る流量の変化、圧力の変化を想定し、そのような事態が起こることに備えて監視を続けることが考えられる。
異常が認められないうちは、ステップ1905でNOと判断されて、ステップ1904とステップ1905とを繰り返し実行する。
【0094】
万一、異常が生じたとの疑いが生じた際には(ステップ1905でYES)、バイパス管に切換える(ステップ1906)。この切換えは、マイクロプロセッサ58aが電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a、45aに命令を発することによってなされる。
バルブ切換え後、レポートを出力し(ステップ1907)、この処理を終える。このレポートの出力は、ヒートポンプシステムの運用者の端末機器にそのことを知らせて、ヒートポンプシステムの運転が、流体のせん断、混合がなされていない状態での運転に切り替わったことを運用者が認識するためである。
なお、この切換え後であっても、ヒートポンプシステムは、停止することなく、運転をし続けることができる。
【0095】
≪部品交換処理≫
図20に示す部品交換処理は、円筒状筐体の部分を交換する必要が生じた際に行う処理である。この部品交換は、部品が壊れたことが想定される場合のみならず、あらかじめ定めたたとえば3年という製品寿命が訪れた際、または円筒状筐体の部分について、あらたな技術が開発された際に交換するケースなどが考えられる。
まず現在、パイパスを用いている状態であるか否かを判断する(ステップ2001)。バイパスを用いている状態であると、ステップ2003に進む。バイパスを用いていない状態である場合には、マイクロプロセッサー58aは、パイパス管に切換えて(ステップ2002)、ステップ2003に進む。
【0096】
ステップ2003において、マイクロプロセッサー58aは、外部機器に対して、交換可の信号を出力する。これにより、ヒートポンプシステム運用者(メンテナンス業者)は、円筒状筐体の部分を交換する作業を実施する。そして、その作業が終了した際に、ヒートポンプシステム運用者(メンテナンス業者)は、その旨を外部機器を用いて、マイクロプロセッサー58aに知らせる。マイクロプロセッサー58aは、ステップ2003で交換可の信号を出力した後は、外部機器から「交換終了」の旨の知らせが来るのを待ち続ける(ステップ2004でNO)。
外部機器から「交換終了」の通知が来ると、バルブ切換えを実行する(ステップ2005)。これにより、交換後の部品(円筒状筐体)を用いて、ヒートポンプシステム内の混合流体のせん断、混合がなされる状態におけるヒートポンプシステムの運転が再開される。交換の間、ヒートポンプシステム自体の運転を停止することはない。
新部品を用いた運転が再開されると、各センサの出力を記録・解析する処理(ステップ2006)、レポートを外部機器に出力する処理(ステップ2007)がなされて部品交換処理を終了する。
【0097】
≪非常時退避の変形実施例≫
上述の非常時退避処理においては、異常時にバイパス管に切換えることを、マイクロプロセッサー58aがあらかじめ組まれたプログラムにしたがって実行することとした。しかし、あらかじめ組まれたプログラムでは、判断が困難な場合もあり得る。そこで、異常時と思われる場合に、外部機器へレポートを出力し、その際に、メンテナンス業者などの専門家がその前後の計測データを詳細に検討したうえで、判定し、通信回路を用いてマイクロプロセッサー58aに命令することにより、バルブ切替を実行するようにしてもよい。
いわば遠隔操作を可能にするものである。また、外部機器側から、必要なときに、計測データを要求し、それに答えて、マイクロプロセッサー58aが計測データを出力するようにしてもよい。
【0098】
≪一つの筐体にどこまでを含むか≫
図1又は図17に示した上部管体60、円筒状筐体10、下部管体70、バイパス管40、上部三方弁42、下部三方弁43、上部電磁バルブ又は上部電動バルブ44、上部電磁バルブ又は上部電動バルブ44a、下部電磁バルブ又は下部電動バルブ45、下部電磁バルブ又は下部電動バルブ駆動回路45a、外気温センサ51、上部温度センサ52、下部温度センサ53、上部流量センサ54、下部流量センサ55、上部圧力センサ56、下部圧力センサ57、制御装置58、マイクロプロセッサ58a、記憶回路58b、通信回路58c、電力計83bは、一つの筐体に収めてヒートポンプシステムの配管上に配置することが可能である。特に、電力計83bについては、モータ83aに供給する電力線を制御部58の近くに通すことで可能となる。
電力計83bを制御部58から離して設置する場合には、電力計83bと制御部58との間で、無線通信などを実施することで、計測信号を制御部58が取得するようにできる。
【0099】
≪クラウドコンピューティングを用いた実施例≫
図21は、クラウドコンピューティングを用いた実施例を示すブロック図である。図21の中央に描いた横に伸びる楕円は、インターネット網を示す。サーバコンピュータ100、管理者端末110、管理者携帯電話111、管理者スマホ112、通信回路58cがインターネット網を介して接続されている。液化促進装置は多数あることを前提とし、それらの一つ一つに通信回路58cが設けられている。したがって、多数の液化促進装置がインターネットにつながることで、サーバコンピュータ100につながる。
通信回路58cは、図17に示したように、マイクロプロセッサー58aに接続された通信回路である。前述したように、マイクロプロセッサー58aは、この液化促進装置を設置することによる効果を記録・解析して結果を出力する機能をもつ(図18のステップ1809)。また、非常時に退避処理をしてそのレポートを出力する機能を持つ(図19のステップ1907)。さらに、部品交換処理をした際のレポートを出力する機能を持つ(図20のステップ2007)。したがって、サーバコンピュータ100は、インターネット接続によりつながる多数の液化促進装置からそれらの効果確認記録解析結果、退避処理レポート、部品交換レポートなどを集めてビッグデータとして統計処理をして、管理者またはユーザに視覚化して表示することが可能である。
また、図17に示すように、電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a(45a)は、マイクロプロセッサー58aにより制御され得る。したがって、管理者端末110(又は管理者携帯電話111、管理者スマホ112)とサーバーコンピュータ100とが協働することにより、通信回路58cを介して、マイクロプロセッサー58aに指示を送ることにより、マイクロプロセッサー58aが電磁バルブ又は電動バルブ駆動回路44a(45a)を制御してバルブ操作を行うように仕向けることができる。
このようにクラウドコンピューティング、IoTの実施例が可能である。
【0100】
≪効果情報収集サーバと、効果情報開示サーバとを有するシステム≫
図22は、効果情報収集サーバ200及び効果情報開示サーバ300を有するシステムを示すブロック図である。図22では、図21に描いたサーバ100を描くのを省略している。サーバ100は、主に液化促進装置が、電力計測処理、運転処理、バルブ切替処理、温度計測処理、圧力測定処理などを実行するのを命令し、制御することを目的とするサーバであるのに対し、効果情報収集サーバ200は、液化促進装置を設置したことの効果を示す情報を収集することを目的とするサーバであり、効果情報開示サーバ300は、液化促進装置を設置したことの効果を第三者に対して開示することを目的とするサーバである。
効果情報収集サーバ200と、効果情報開示サーバ300とを別々のサーバとして立てたのは、セキュリティ上の問題をクリアするためである。効果情報収集サーバ200は、すでに液化促進装置を用いている顧客から情報を集めるものであるので、集めた情報を世の中一般に対して開示することは、顧客一人一人の承諾を得て取り扱うべきものである。それに対して、効果情報開示サーバ300が扱う情報は、見込み客に対して開示する必要があるものであり、営業マンが秘匿性を気にせずに扱えることが望ましい。
セキュリティの問題をクリアできるなら、効果情報収集サーバ200と、効果情報開示サーバ300とを一つのサーバコンピュータで構成することとする他の実施例も可能である。そのことは、前述したサーバ100についても同様に言える。
【0101】
図22に示す管理者端末110は、システムの管理者が管理のためにもちいる端末コンピュータである。営業マン端末120は、データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1を見込み客に導入してもらう活動をする営業マンのパソコン(デスクトップパソコンに限らず、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、そして時にはスマートフォン)である。見込み客端末130は、液化促進装置1の導入を検討する見込み客が用いる端末コンピュータであり、液化促進装置1の導入事例や、導入効果を知るために用いるものである。顧客端末140は、本発明に係るデータセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置1を導入した顧客が用いる端末コンピュータであり、自らが導入した液化促進装置の効果についての情報を入手したり、効果情報の開示許容レベルを変更する意図を管理者に伝達するために用いるものである。
なお、図22では、個々の液化促進装置がどれだけの電力削減効果をもたらしているかについての情報を通信回路58cからインターネットを介して効果情報収集サーバ200が収集するように描いてある。図22には描くのを省略したが、サーバ100が当該情報を収集し、効果情報収集サーバ200に引き渡すこととしてもよい。
【0102】
図23は、効果情報収集サーバ200の内部構成を示すブロック図である。
セキュリティ管理装置250は、サーバ200内のデータや、プログラムが外部からの攻撃を受けて破壊されたり、外部に漏洩したりすることを防止する装置である。
ログイン認証装置251は、システム管理者や、顧客が、情報開示レベルを変更する申請をしたり、照会手続きをするためにサーバ200にアクセスする際に、ID、パスワードなどにより本人認証をしたうえで、ログインをさせる装置である。
メニュー表示装置252は、ログインをした管理者または顧客に対して、あらかじめ用意されたメニュー(効果情報の照会、開示許容レベルの変更など)を表示して、処理する内容を選択させるものである。
情報収集装置253は、液化促進装置1から稼働履歴、電力削減効果、などについての情報を収集する装置であり、通信回路58cから直接的に収集するか、サーバ100を介して収集する。
レポート発信装置254は、サーバ200が収集した効果情報(電力削減効果など)に基づいて、それぞれの顧客に対して定期的(例えば一か月ごと)に報告すべきレポートを作成して発信する装置である。
レベル変更受付装置255は、顧客が自身の導入した液化促進装置の効果情報などを他者に開示することを許容するレベル(開示許容レベル)を変更することを、サーバ200が受け付けるための装置である。顧客は、レポート発信装置254が発した定期的なレポートを参考にするなどして、自身の装置の情報を開示することを許容するレベルを変更する。開示レベルは、たとえば、一切他人(第三者)に開示しないレベル(レベル1)、個人を特定可能な情報を除外することを条件にして開示するレベル(レベル2)、個人を特定可能な情報を含めて導入事例などとして開示する(レベル3)の三種類とすることができる。顧客は、情報開示の許容レベルをゆるめることによって何らかの特典(例えば、レンタル料金の値引き、メンテナンス料金の値引きなど)を得られるようにするようにしておくことで、顧客が情報開示の許容レベルをゆるめやすくすることが望ましい。
レベル変更登録装置256は、顧客の意思によりレベル変更が受け付けられた際に、それに基づいて変更後の許容レベルを対応するデータベース装置に登録する装置である。
【0103】
情報加工装置257は、情報収集装置253が収集した情報を加工してレポートに使えるように加工し、またサーバ300に引き渡せるように加工する装置である。必要に応じて、後述する個人情報捨象装置258や統計処理装置259との連携をして協働する。
個人情報捨象装置258は、開示の許容レベルがレベル2である情報について、サーバ300に引き渡せるように個人情報を捨ててしまって、個人を特定できないものにしてしまう装置である。
統計処理装置259は、効果情報に対して、統計処理を加える装置である。
情報引渡し装置260は、サーバ300に対して、効果情報などを引き渡す装置である。
管理者の照会対応処理装置261は、管理者がサーバ200に対して照会手続きをすることに対して対応処理を実行する装置である。ID、パスワード認証などによりログイン認証装置が本人認証を行った後に必要な処理を行う。
顧客の照会対応処理装置262は、顧客がサーバ200に対して照会手続きをすることに対して対応処理を実行する装置である。ID、パスワード認証などによりログイン認証装置が本人認証を行った後に必要な処理、たとえば開示許可レベル変更処理を行う。
【0104】
管理者情報データベース装置271は、管理者についての情報を記憶するデータベース装置である。管理者がログインするときに本人認証をするために必要な情報を記憶する。
顧客データベース装置272は、顧客を特定するために必要な情報、メールアドレス、連絡先、当該顧客の開示許容レベル、などを記憶するデータベース装置である。
メニューデータベース装置273は、管理者または顧客がこのサーバ200にアクセスしてログインした際に、表示するメニューの内容を記憶するデータベース装置である。
生情報データベース装置274は、液化促進装置から(またはサーバ100から)入手したままの生(なま)の情報を記憶するデータベース装置である。
レベル1情報データベース装置275は、開示許容レベルがレベル1の情報を記憶するデータベース装置である。
レベル2情報データベース装置276は、開示許容レベルがレベル2の情報を記憶するデータベース装置である。
レベル3情報データベース装置277は、開示許容レベルがレベル3の情報を記憶するデータベース装置である。
【0105】
特典情報データベース装置278は、顧客がそれぞれの開示許容レベル(レベル1、レベル2、レベル3)において得られる特典(経済的利益)が何であるかを記憶するデータベース装置である。
ポイント情報データベース装置279は、顧客が得られる経済的利益の一つであるポイント情報を記憶するデータベース装置である。
情報収集履歴データベース装置280は、サーバ200が液化促進装置から情報収集した履歴の情報を記憶するデータベース装置である。
レポート発信履歴データベース装置281は、サーバ200が顧客に対してレポートを発信した履歴を記憶するデータベース装置である。
レベル変更履歴データベース装置282は、顧客の要望に応じて情報開示の許容レベルを変更した履歴を記憶するデータベース装置である。
情報加工履歴データベース装置283は、情報加工装置257、個人情報捨象装置258、統計処理装置259などが効果情報を加工した履歴を記憶するデータベース装置である。
情報引渡し履歴データベース装置284は、情報引渡し装置260がサーバ300に対して情報を引き渡した履歴を記憶するデータベース装置である。
【0106】
図24は、効果情報開示サーバ300の内部構成を示すブロック図である。
セキュリティ管理装置350は、サーバ300内のデータやプログラムが第三者から攻撃されて破壊されたり、情報漏洩するのを防止する装置である。
ログイン認証装置351は、管理者または管理者の指定する営業マンがサーバ300にログインする際に、ID、パスワードなどにより、本人であることを認証して、ログインを認める装置である。
メニュー表示装置352は、ログインした管理者または営業マンに対して、メニューを表示する装置である。たとえば、照会対応処理のメニューである。
情報受け取り装置353は、サーバ200から効果情報を受け取る装置である。
ウェブページ作成装置354は、サーバ200から受け取った効果情報に基づいて、それを一般に開示するためのウェブページを作成する装置である。
アクセス情報収集装置355は、一般に開示されたウェブページにアクセスする情報を収集する装置である。
アクセス情報分析装置356は、アクセス情報を分析して、営業マンに役立つものにするための装置である。
【0107】
営業支援レポート装置357は、営業に役立つ情報をレポートとして営業マン及び管理者に送る装置である。
見込客取り込み装置358は、ウェブページにアクセス可能なすべての人々の中から、見込み客を抽出するための処理を実行する装置である。
統計処理装置359は、アクセス情報を統計処理して、営業マンに役立つ情報にする装置である。
見込み客の照会対応装置360は、見込み客がサーバ300にアクセスして照会ボタンを押すなどした際に、それに対応する装置である。
管理者の照会対応装置361は、管理者がサーバ300に照会手続きを取った際に、それに対応する処理を実行する装置である。
営業マン照会対応装置362は、営業マンがサーバ300に照会手続きを取った際に、それに対応する処理を実行する装置である。
【0108】
管理者情報データベース装置371は、管理者がサーバ300にアクセスした際に、本人認証を可能とすべく、管理者に関する情報を記憶するデータベース装置である。
営業マンデータベース装置372は、営業マンがサーバ300にアクセスした際に、本人認証を可能とすべく、営業マンに関する情報を記憶するデータベース装置である。
メニューデータベース装置373は、管理者または営業マンがこのサーバ300にアクセスしてログインした際に、表示するメニューの内容を記憶するデータベース装置である。
受取情報データベース装置374は、サーバ300がサーバ200から受け取った情報を記憶するデータベース装置である。
統計処理履歴データベース装置375は、統計処理装置359が統計処理を実行した履歴を記憶するデータベース装置である。
ウェブ変更履歴データベース装置376は、ウェブページ作成装置354が作成して公開した履歴を記憶するデータベース装置である。
アクセス履歴データベース装置377は、一般の潜在的な見込み客がサーバ300の作成したウェブページにアクセスした履歴を記憶するデータベース装置である。
【0109】
見込客照会履歴データベース装置378は、見込み客がサーバ300に照会手続きを取った履歴を記憶するデータベース装置である。
管理者照会履歴データベース装置379は、管理者がサーバ300に照会手続きを取った履歴を記憶するデータベース装置である。
情報受取履歴データベース装置380は、サーバ300がサーバ200から情報を受け取った履歴を記憶するデータベース装置である。
レポート発信履歴データベース装置381は、サーバ300が営業マン及び管理者に対してレポートを発信した履歴を記憶するデータベース装置である。
営業マン照会履歴データベース装置382は、営業マンがサーバ300に対して照会手続きを取った履歴を記憶するデータベース装置である。
情報加工履歴データベース装置383は、サーバ300が情報を加工した履歴を記憶するデータベース装置である。
見込客データベース装置384は、見込み客に関する情報を記憶するデータベース装置である。
【0110】
図25は、効果情報収集サーバ200の情報収集処理、顧客への定期レポート送付処理及び情報開示許容レベル変更処理を示すフローチャートである。
サーバ200は、効果情報を一つ一つの液化促進装置から(サーバ100を通して)収集し、取得する(ステップ2501)。
そしてそれに基づいて、顧客に対する定期レポートを作成する(ステップ2503)。この定期レポートは、あらかじめフォームを決めておいたものに、収集した効果情報を挿入し、差し込む形で作成される。また、このレポートには、顧客が情報開示許容レベルを変更できるように、レベル変更の申請の案内も付属している。
顧客情報データベース装置にアクセスして、顧客のメールアドレスを取得して、定期レポートを顧客に送付する(ステップ2505)。
定期レポートには、レベル変更の案内(特典の案内を含む)がついているので、顧客は、それを見て、情報開示許容レベルの変更を申し出る可能性がある。たとえば、レポート内に表示されたクリッカブルな表示を押すことでレベル変更の受付がなされる(ステップ2507)。
顧客の変更意思に基づいて、レベル変更の登録を顧客データベース装置に行う(ステップ2507)。
【0111】
図26は、効果情報収集サーバ200の情報加工処理及び情報開示サーバへの引き渡し処理を示すフローチャートである。
レベル1の顧客の効果情報は、引き渡す情報からは除く(ステップ2601)。レベル2の顧客の効果情報から個人を特定可能な情報を除外する(ステップ2603)。レベル3の顧客の効果情報は、取得したままの状態で扱う(ステップ2605)。効果情報を効果情報開示サーバ300に引き渡す(ステップ2607)。
【0112】
図27は、効果情報開示サーバ300の情報受け取り処理、情報加工処理、ウェブページ作成処理を示すフローチャートである。
サーバ200から効果情報を受け取る(ステップ2701)。受け取った情報を加工する(ステップ2703)。ウェブページを作成する(ステップ2705)。このウェブページを公開することでインターネットにつながる一般の人に対して効果情報が公開される。
【0113】
図28は、効果情報開示サーバ300のアクセス情報収集処理、アクセス情報分析処理、アクセス情報レポート処理を示すフローチャートである。
不特定多数の一般人にウェブページが公開された結果、アクセスされたアクセス情報を収集する(ステップ2801)。
見込客(たとえば、これまでに照会が一度でもあった人)の照会情報を取得する(ステップ2803)。
収集し、取得した情報を分析する(ステップ2805)。
営業マンに役立つレポートを作成する(ステップ2807)。
データベース装置にアクセスして、管理者と営業マンのメールアドレスを取得して、営業マンと管理者にレポートを送る(ステップ2809)。
見込客への情報発信(たとえばメールマガジン)を送る(ステップ2811)。
【0114】
図29は、効果情報収集サーバ200及び効果情報開示サーバ300を有するシステム全体の作用を示すシーケンス図である。
このシーケンスは、たとえば1か月においてなされるものであり、毎月繰り返される手続きである。
液化促進装置の効果情報は、サーバ100を介してサーバ200に届く。サーバ200では定期レポートを作成し顧客端末に送る。顧客は、開示レベル変更をサーバ200に対して申請する場合がある。その申請があると開示レベルの変更が行われる。サーバ200は、顧客の開示レベルに応じて効果情報を加工し、サーバ300に効果情報を引き渡す。サーバ300は、ウェブページを作成し、公開することで一般にみられるよう効果情報を開示する。見込み客端末を含むパソコンからのアクセス情報及び見込み客の照会情報は、サーバ300が収集分析し、営業支援レポートとして管理者および営業マンに送る。サーバ300は、メールマガジンなど、あらかじめ準備された情報を見込み客端末に発信する。
【0115】
顧客が開示レベルをゆるめることには、特典をもうけることで、少しずつ効果情報を開示する顧客が増えていく。すると、世の中一般に効果情報が徐々に拡散されて、本発明に係る装置が広まっていくと期待できる。
【符号の説明】
【0116】
1 データセンターのヒートポンプシステムに適した液化促進装置
10 筐体
11 胴体部
12 上部鏡板
13 下部鏡板
20 大径の螺旋バネ
21,22,23,24 バネ取付部
30 小径の螺旋バネ
31,32,33,34 バネ取付部
40 バイパス管
42 上部三方弁
43 下部三方弁
44 上部電磁バルブ又は上部電動バルブ
44a 上部電磁バルブ又は上部電動バルブ駆動回路
45 下部電磁バルブ又は下部電動バルブ
45a 下部電磁バルブ又は下部電動バルブ駆動回路
51 外気温センサ
52 上部温度センサ
53 下部温度センサ
54 上部流量センサ
55 下部流量センサえき
56 上部圧力センサ
57 下部圧力センサ
58 制御装置
58a マイクロプロセッサ
58b 記憶回路
58c 通信回路
60 上部管体(冷房時の流入口、暖房時の流出口)
60a 上部管体の下端
70 下部管体(冷房時の流出口、暖房時の流入口)
70a 下部管体の上端
81 膨張部
82 室内機(冷房時においては蒸発部、暖房時においては凝縮部)
83 圧縮部
83a モータ
83b 電力計
84 室外機(冷房時においては凝縮部、暖房時においては蒸発部)
100 サーバ
110 管理者端末
111 管理者携帯電話
112 管理者スマホ
120 営業マン端末
130 見込み客端末
140 顧客端末
152 室外機・圧縮部間温度センサ
153 室内機・圧縮部間温度センサ
154 室外機・圧縮部間流量センサ
155 室内機・圧縮部間流量センサ
156 室外機・圧縮部間圧力センサ
157 室内機・圧縮部間圧力センサ
200 効果情報収集サーバ
250 セキュリティ管理装置
251 ログイン認証装置
252 メニュー表示装置
253 情報収集装置
254 レポート発信装置
255 レベル変更受付装置
256 レベル変更登録装置
257 情報加工装置
258 個人情報捨象装置
259 統計処理装置
260 情報引渡し装置
261 管理者の照会対応処理装置
262 顧客の照会対応処理装置
271 管理者情報データベース装置
272 顧客データベース装置
273 メニューデータベース装置
274 生情報データベース装置
275 レベル1情報データベース装置
276 レベル2情報データベース装置
277 レベル3情報データベース装置
278 特典情報データベース装置
279 ポイント情報データベース装置
280 情報収集履歴データベース装置
281 レポート発信履歴データベース装置
282 レベル変更履歴データベース装置
283 情報加工履歴データベース装置
284 情報引渡し履歴データベース装置
300 効果情報開示サーバ
350 セキュリティ管理装置
351 ログイン認証装置
352 メニュー表示装置
353 情報受け取り装置
354 ウェブページ作成装置
355 アクセス情報収集装置
356 アクセス情報分析装置
357 営業支援レポート装置
358 見込客取り込み装置
359 統計処理装置
360 見込み客の照会対応装置
361 管理者の照会対応装置
362 営業マン照会対応装置
371 管理者情報データベース装置
372 営業マンデータベース装置
373 メニューデータベース装置
374 受取情報データベース装置
375 統計処理履歴データベース装置
376 ウェブ変更履歴データベース装置
377 アクセス履歴データベース装置
378 見込客照会履歴データベース装置
379 管理者照会履歴データベース装置
380 情報受取履歴データベース装置
381 レポート発信履歴データベース装置
382 営業マン照会履歴データベース装置
383 情報加工履歴データベース装置
384 見込客データベース装置
図1
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図3
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図5
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図29