(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】車両用充電管理システム、車両用充電管理サーバ、車両用充電管理方法、および車両用充電管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20220126BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220126BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20220126BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20220126BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J7/00 P
B60L53/68
B60L53/30
(21)【出願番号】P 2020096899
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】520126712
【氏名又は名称】ユアスタンド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】浦 伸行
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-255353(JP,A)
【文献】特開2015-116010(JP,A)
【文献】特開2011-103721(JP,A)
【文献】特開2018-097825(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0019492(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 7/00-7/36
B60L 53/00-53/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の充電スタンドを管理する車両用充電管理システムであって、
車両情報と充電スタンド情報とを含む退去依頼情報を受け付ける退去依頼受付部と、
所有する車両の車両情報、充電スタンドの予約情報、および連絡先を含む、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部と、
前記退去依頼受付部にて受け付けた退去依頼情報に含まれる車両情報から、前記ユーザ情報記憶部に記憶されている前記ユーザ情報を特定し、当該ユーザ情報に含まれる予約情報から、予約要件を満たしているか否かを判定する利用管理部と、
前記利用管理部にて予約要件を満たしていないと判定された場合に、前記特定されたユーザ情報に含まれる連絡先に、退去通知を行う通知部と、
を備える車両用充電管理システム。
【請求項2】
前記利用管理部は、前記予約要件を、前記退去依頼受付部にて前記退去依頼情報を受け付けた時点が前記
利用管理部にて特定されたユーザ情報に含まれる予約情報の予約時間内にあるか否かとし、予約時間外である場合は、予約要件を満たしていないと判定する請求項1記載の車両用充電管理システム。
【請求項3】
前記利用管理部は、前記充電スタンドから給電情報を取得し、前記予約要件を前記給電情報に基づき充電が満了しているか否かとし、充電が満了している場合は、予約要件を満たしていないと判定する請求項1記載の車両用充電管理システム。
【請求項4】
前記退去依頼情報に含まれる車両情報は車両のナンバー情報である
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用充電管理システム。
【請求項5】
さらに、前記退去依頼の対象となる車両の画像情報を取得する情報取得部を備え、
前記通知部は、前記情報取得部により取得した前記車両の画像情報から当該車両の車両情報を抽出し、抽出した車両情報と前記特定されたユーザ情報に含まれる車両情報とが整合した場合に、前記退去通知を行う
請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用充電管理システム。
【請求項6】
さらに、充電スタンドに設けられ、前記退去依頼情報を入力可能な入力部を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用充電管理システム。
【請求項7】
前記利用管理部は、前記退去通知を自動音声通話により行う、
請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用充電管理システム。
【請求項8】
車両用の充電スタンドを管理する車両用充電管理サーバであって、
車両情報と充電スタンド情報とを含む退去依頼情報を受け付ける退去依頼受付部と、
所有する車両の車両情報、充電スタンドの予約情報、および連絡先を含む、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部と、
前記退去依頼受付部にて受け付けた退去依頼情報に含まれる車両情報から、前記ユーザ情報記憶部に記憶されている前記ユーザ情報を特定し、当該ユーザ情報に含まれる予約情報から、予約要件を満たしているか否かを判定する利用管理部と、
前記利用管理部にて予約要件を満たしていないと判定された場合に、前記特定されたユーザ情報に含まれる連絡先に、退去通知を行う通知部と、
を備える車両用充電管理サーバ。
【請求項9】
コンピュータが、車両用の充電スタンドを管理する車両用充電管理方法であって、
車両情報と充電スタンド情報とを含む退去依頼情報を受け付ける退去依頼受付工程と、
所有する車両の車両情報、充電スタンドの予約情報、および連絡先を含む、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶工程と、
前記退去依頼受付工程にて受け付けた退去依頼情報に含まれる車両情報から、ユーザ情報記憶工程で記憶された、所有する車両の車両情報、充電スタンドの予約情報、および連絡先を含む、ユーザに関するユーザ情報を特定し、当該ユーザ情報に含まれる予約情報から、予約要件を満たしているか否かを判定する利用管理工程と、
前記利用管理工程にて予約要件を満たしていないと判定された場合に、前記特定されたユーザ情報に含まれる連絡先に、退去通知を行う通知工程と、
を備える車両用充電管理方法。
【請求項10】
車両用の充電スタンドの管理をコンピュータに実行させる車両用充電管理プログラムであって、
車両情報と充電スタンド情報とを含む退去依頼情報を受け付ける退去依頼受付工程と、
所有する車両の車両情報、充電スタンドの予約情報、および連絡先を含む、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶工程と、
前記退去依頼受付工程にて受け付けた退去依頼情報に含まれる車両情報から、ユーザ情報記憶工程で記憶された、所有する車両の車両情報、充電スタンドの予約情報、および連絡先を含む、ユーザに関するユーザ情報を特定し、当該ユーザ情報に含まれる予約情報から、予約要件を満たしているか否かを判定する利用管理工程と、
前記利用管理工程にて予約要件を満たしていないと判定された場合に、前記特定されたユーザ情報に含まれる連絡先に、退去通知を行う通知工程と、
をコンピュータにより実行させる車両用充電管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用充電管理システム、車両用充電管理サーバ、車両用充電管理方法、および車両用充電管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)等の電動車両の普及に伴い、商業施設や高速道路のサービスエリア等の誰でも利用できるパブリックエリアから個人の住宅や駐車場等のプライベートエリアまで充電スタンドの設置が進んでいる。
【0003】
充電スタンドの利用者が増加するにつれて、先に充電していた車両の充電が完了する前に次の充電車両が来てしまい充電渋滞が発生するようになったことから、充電スタンドの利用について予約可能とするシステムが開発されている。
【0004】
このような充電の予約システムでは、充電が完了するとユーザに対して充電完了の通知を行い、充電スタンドからの移動を促すが、この通知や予約枠を無視して充電スタンドから移動しない傾向が強いユーザが一定数存在している。
【0005】
そこで例えば、特許文献1には、第1ユーザの第1車両についての第1予約枠の割り当て要求に対して、第1予約枠より充電時間帯が早い第2予約枠に第2車両が割り当てられているか判断し、第2予約枠に第2車両が割り当てられている場合には、第2車両が予約枠を超えて充電装置を使用した履歴情報を送信する充電装置予約システムが開示されている。これによりユーザは、第2車両の履歴情報に基づいて第2車両が予約枠内で充電装置の使用を終える可能性が高いユーザであるか否かを判断し、予約枠内で充電装置の使用を終える可能性が高い予約枠へ予約しなおすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、実際にユーザが予約時間に充電スタンドに到着した際に、前のユーザの車両が存在していた場合の解決策とはならない。
【0008】
例えば、予約した時間内に充電スタンドに到着したにも関わらず、他のユーザの車両が充電を行っていた場合、当該他のユーザに直接退去を依頼することは、ユーザ間のトラブルを生じるおそれがある。また、他のユーザが車両を充電したまま、車両から離れてしまっている場合には、退去を依頼する方法がない。
【0009】
このような予約時間外に充電を行っているユーザを適切に退去できなければ、充電スタンドのユーザに対する利便性が低下し、充電スタンドの運用効率の悪化も招くおそれがある。
【0010】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、充電スタンドのユーザに対する利便性を向上し、充電スタンドの運用を効率化することができる車両用充電管理システム、車両用充電管理サーバ、車両用充電管理方法、車両用充電管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するために、本発明に係る車両用充電管理システムは、車両用の充電スタンドを管理する車両用充電管理システムであって、車両情報と充電スタンド情報とを含む退去依頼情報を受け付ける退去依頼受付部と、所有する車両の車両情報、充電スタンドの予約情報、および連絡先を含む、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部と、前記退去依頼受付部にて受け付けた退去依頼情報に含まれる車両情報から、前記ユーザ情報記憶部に記憶されている前記ユーザ情報を特定し、当該ユーザ情報に含まれる予約情報から、予約要件を満たしているか否かを判定する利用管理部と、前記利用管理部にて予約要件を満たしていないと判定された場合に、前記特定されたユーザ情報に含まれる連絡先に、退去通知を行う通知部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
上記手段を用いる本発明によれば、充電スタンドのユーザに対する利便性を向上し、充電スタンドの運用を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態における充電スタンドの制御システムのブロック図である。
【
図2】本実施形態におけるユーザデータベースで取り扱う情報例をまとめた表である。
【
図3】本実施形態における充電スタンドの制御システムの退去通知ルーチンに関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1には本発明の一実施形態における充電管理システムのブロック図が示され、
図2には、本実施形態におけるユーザデータベースで取り扱う情報例をまとめた表が示されている。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る充電管理システム1は、車両用の充電スタンド10と充電管理サーバ20がネットワークNを介して通信可能に接続されている。説明の簡略化のため、
図1では1つの充電スタンド10と1つの充電管理サーバ20のみを示しているが、1又は複数の充電管理サーバ20がネットワークNを介して1又は複数の充電スタンド10と接続されてもよい。
【0017】
本実施形態では、充電管理システム1を、1つの集合住宅に対して適用した場合を例に説明する。当該充電管理システム1が適用される集合住宅は、特定された複数の住民のみが使用可能な駐車場(セミパブリックエリアに相当)に充電スタンド10が設置されている。なお、充電スタンド10は、駐車場に複数設置されてもよく、その場合には各充電スタンド10にID(以下、充電スタンドIDという)を付与して個別に管理可能である。
【0018】
充電管理サーバ20は、例えば集合住宅向けの充電スタンド10を管理および運用する充電管理事業者が管理している。そして、当該充電管理サーバ20は、ユーザが所有するスマートフォンやPC(パーソナルコンピュータ)等の第1ユーザ端末30および第2ユーザ端末31と、それぞれネットワークNを介して通信可能に接続されている。なお、充電管理サーバ20は、必ずしもサーバである必要はなく、ネットワークNに接続可能なPC(パーソナルコンピュータ)や、スマートフォン等の情報端末であってもよい。
【0019】
第1ユーザ端末30は後述する退去依頼を行う退去依頼者であるユーザが用いる端末であり、第2ユーザ端末31は後述する充電スタンド10で充電中の電動車両を所有するユーザが用いる端末である。なお、退去依頼者であるユーザは、必ずしも充電スタンド10で電動車両の充電を行う者に限られず、充電スタンド10を管理する管理者等であってもよい。
【0020】
充電スタンド10は、例えば、電気自動車やプラグインハイブリッド車といった電動車両に給電をおこなうための充電装置である。本実施形態の充電スタンド10は1機につき1度に1台の電動車両(電気自動車やPHV)への給電が可能なものであり、車両1台分の駐車スペースごとに設けられている。そして、充電スタンド10は、給電部11、入出力部12、カメラ13(車両情報取得部)、充電スタンド制御部14を備えている。
【0021】
給電部11は、電動車両と接続可能な給電プラグを有しており、当該給電プラグが電動車両と接続されているときに、外部電源からの電力を電動車両のバッテリに供給可能である。
【0022】
入出力部12は、例えば画像(静止画、動画を含む)を表示可能なモニタと操作部であり、充電スタンド10において、充電中の電動車両のユーザや、充電スタンド10の周囲にいる人から視認可能な位置に設けられている。また、入出力部12の操作部は、モニタと一体のいわゆるタッチスクリーンであったり、キーボードやテンキーやマウスであったりしてよい。また入出力部12は、スピーカーやマイクを備え、音声の再生機能やマイクによる音声入力機能を備えていてもよい。
【0023】
カメラ13は、充電スタンド10において充電対象である電動車両を撮像可能な位置に配置されている。カメラ13が撮像可能な画像は、静止画でも動画でもよく、少なくとも電動車両のナンバーを含む画像又は電動車両の外形全体を撮像可能な性能を有している。
【0024】
充電スタンド制御部14は、例えばCPU、メモリ、通信ポート等を含むコンピュータ回路基板と、リレーやスイッチ等の制御用電子部品とを備えている。充電スタンド制御部14は給電部11、入出力部12、カメラ13と接続されており、各部の制御が可能である。例えば充電スタンド制御部14は、給電部11に対する制御として、電動車両への給電の開始および終了が可能である。また、入出力部12に対する制御として、充電管理サーバ20からネットワークNを介して受信した広告情報等の情報を表示させることが可能である。さらに、カメラ13に対する制御として、カメラ13による撮像の開始や、カメラ13により撮像された画像を充電管理サーバ20に送信することが可能である。
【0025】
充電管理サーバ20は、プログラムに基づき処理を実行する1又は複数のサーバ(コンピュータ)からなり、各種演算部および記憶部を有している。充電管理サーバ20は、機能的には主に、ユーザデータベース21(ユーザ情報記憶部)、退去依頼受付部22、利用管理部23、通知部24を有している(以下、データベースはDBと称する)。
【0026】
ユーザDB21は、充電スタンド10が設置されている集合住宅の住民であって、電動車両を所有するユーザに関するユーザ情報が記憶されている。ユーザ情報には、ユーザ自身に関するユーザ属性情報と、当該ユーザが所有する電動車両の車両情報と、充電スタンド10の利用に関する充電情報と、充電スタンド10の予約に関する予約情報が含まれ、これらの情報がユーザごとに紐づけられている。ユーザが複数の電動車両を所有している場合は、ユーザ情報には複数の電動車両の車両情報が含まれる。また、ユーザDB21には、充電スタンド10が設置されている集合住宅に関する集合住宅情報も記憶されている。
【0027】
具体的には、
図2に示すように、ユーザ属性情報としては、ユーザID、住宅ID、氏名、住所、連絡先、性別、生年月日、年齢、支払方法、等の情報が含まれる。連絡先としては、例えば当該ユーザが所有するユーザ端末の電話番号、メールアドレス、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のアカウント情報、等が含まれる。また、車両情報としては、当該ユーザが所有する車両のナンバー 、メーカー、車名、カラー、型式、年式、グレード、形状、価格帯、販売店、および車両の画像、等の情報が含まれる。さらに、充電情報としては、利用した充電スタンドID、利用日時、充電時間を含む利用履歴、充電料金、等の情報が含まれる。予約情報としては、予約した充電スタンドID、予約開始日時から予約終了日時までの予約時間、等が含まれる。なお予約時間は、例えば1時間単位、30分単位等、予め一定時間ごとに定められた時間枠として設定されていてもよい。
【0028】
ユーザ属性情報および車両情報のうち、ユーザID、住宅IDは充電管理サーバ20側で付与し、その他の情報は例えばユーザ端末を介してユーザ自身によるユーザ登録時等に入力される。なお、ユーザ属性情報および車両情報は、上述したすべての項目が入力されている必要はないが、例えば氏名、住所、車両のナンバー情報、等は、少なくともユーザと当該ユーザが所有する車両を特定するために必須な情報として入力されているものとする。また、ユーザ自身により入力されていない情報であっても、車両情報のメーカー、車名、カラー、型式、年式、グレード、形状、価格帯、等は、ユーザDB21内に予め記憶された辞書情報等から推定して自動的に入力されてもよい。
【0029】
充電情報の充電利用履歴、充電料金は、後述する利用管理部23にて算出される。予約情報は、各ユーザのユーザ端末から入力され、利用管理部23にて管理される。集合住宅情報は、充電管理事業者により入力される。
【0030】
退去依頼受付部22は、第1ユーザ端末30や充電スタンド制御部14から、ネットワークNを介して、車両情報と充電スタンド情報とを含む退去依頼情報を受け付ける機能を有する。なお、第1ユーザ端末30には、例えば予め充電管理サーバ20と通信を行うための専用のアプリケーションがインストールされており、当該アプリケーションを使用して退去依頼情報を充電管理サーバ20に送信する。
【0031】
詳しくは、退去依頼情報は、充電スタンド10において予約時間外の充電が疑われる電動車両を発見したユーザ(退去依頼者)が第1ユーザ端末30又は充電スタンド10の入出力部12を操作して退去依頼情報を入力する。当該退去依頼情報には、車両のナンバー情報等、電動車両の所有者以外でも充電中の電動車両を特定可能な車両情報と、充電スタンドID等、当該充電中の電動車両に対して給電を行っている充電スタンド10を特定可能な充電スタンド情報が入力される。充電スタンドIDは、充電スタンド10ごとに表記されていたり、第1ユーザ端末30のアプリケーションから検索可能であったりする。
【0032】
利用管理部23は、充電スタンド10の充電スタンド制御部14や各ユーザ端末とネットワークNを介して、各種情報の送受信が可能である。例えば、利用管理部23は、充電スタンド制御部14から給電部11により電動車両に対して行った給電情報、カメラ13により撮像された車両画像情報を取得する。そして、利用管理部23は、充電スタンド10のある駐車スペースに駐車された電動車両が充電を行ってもよいユーザのものであるか否か、ユーザ認証を行う機能を有する。
【0033】
具体的には、利用管理部23は、車両画像情報から車両のナンバーを抽出する画像認識機能を有している。画像認識のアルゴリズムとしては、パターンマッチチングによる物体認識、機械学習、AIによるディープラーニング又はそれらの組み合わせを用いることが可能である。そして、利用管理部23は、カメラ13により取得された車両画像情報から車両のナンバーを抽出し、当該ナンバーからユーザDB21に記憶されているユーザ情報を特定できた場合に、充電スタンド制御部14に対して給電部11からの給電を許可する。
【0034】
また、利用管理部23は、充電スタンド制御部14から取得した給電情報から充電利用履歴を生成し、ユーザDB21に記憶する機能を有する。
【0035】
さらに、利用管理部23は、ユーザ端末からの要求に応じて予約情報を生成し、当該予約情報に基づき充電スタンド制御部14に対して給電部11による給電を許可する予約機能を有する。予約情報はユーザ情報と紐づいており、当該利用管理部23により生成された予約情報はユーザDB21の充電情報として記憶される。
【0036】
そして、利用管理部23は、退去依頼受付部22が退去依頼情報を取得した際には、当該退去依頼情報に含まれる車両情報から、ユーザDB21に記憶されているユーザ情報を特定し、当該ユーザ情報に含まれる予約情報から、予約要件を満たしているか否かを判定する機能を有する。
【0037】
本実施形態では、この予約要件を、退去依頼情報を受け付けた時点が特定されたユーザ情報の予約情報に含まれる予約時間内であるか否かとしている。利用管理部23は、予約時間外である場合は予約要件を満たしていないと判定し、予約時間内である場合は予約要件を満たしていると判定する。なお、そもそも充電スタンド10を予約していないユーザの場合は、予約情報がないことから、予約時間外と判定され、予約要件を満たさないこととなる。
【0038】
また本実施形態では、もう一つの予約要件として、退去依頼情報に含まれる充電スタンドIDから対応する充電スタンド10を特定し、当該充電スタンド10の充電スタンド制御部14から給電情報を取得して、退去依頼情報を受け付けた時点において特定された充電スタンド10に接続されている電動車両の充電が満了しているか否かを要件としている。利用管理部23は、充電が満了している場合は予約要件を満たしていないと判定し、充電が満了していない場合は予約要件を満たしていると判定する。
【0039】
通知部24は、利用管理部23にて予約要件を満たしていないと判定された場合に、特定されたユーザ情報に含まれる連絡先に基づき、第2ユーザ端末31に退去通知を行う機能を有している。当該退去通知は、例えば第2ユーザ端末31へ電話をかけ自動音声通話により車の退去を促してもよいし、第2ユーザ端末31に電動車両の退去を要請する文をメール又はSNSにより通知してもよい。
【0040】
また通知部24は、特定された充電スタンド10のカメラ13により撮像した車両画像情報から車両情報(例えば車両のナンバー)を抽出し、抽出した車両情報と利用管理部23において特定されたユーザ情報に含まれる車両情報とが整合した場合に、退去通知を行う。つまり、退去依頼者からの情報だけでなく、充電スタンド10に設けられたカメラ13から取得した車両情報に基づき、退去依頼対象が実際に充電スタンド10を利用している電動車両であるかの確認を行った上で、退去通知を行う。
【0041】
次に、
図3には本実施形態における充電管理システム1の充電管理サーバ20にて実行される退去通知制御ルーチンに関するフローチャートが示されており、以下同フローチャートに沿って説明する。
【0042】
まず、ステップS1として、退去依頼受付部22が車両情報(車両のナンバー情報)と充電スタンド情報(充電スタンドID)を含む退去依頼情報を受け付けたか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)である場合、ステップS2に進む。
【0043】
ステップS2として、利用管理部23が、ステップS1にて取得した退去依頼情報に含まれる車両情報から、ユーザDB21に記憶されているユーザ情報を特定する。
【0044】
ステップS3として、利用管理部23が、ステップS2にて特定したユーザ情報に含まれる予約情報から、ステップS1にて退去依頼情報を受け付けた時点において予約時間内であるか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)である場合、即ち退去依頼情報を受け付けた時点が予約時間内である場合は、ステップS4に進む。一方、当該判定結果が偽(No)である場合は、即ち退去依頼情報を受け付けた時点が予約時間外である場合は、予約要件を満たさないとしてステップS5に進む。
【0045】
ステップS4では、利用管理部23が、充電スタンド10の充電スタンド制御部14から給電情報を取得して、退去依頼情報を受け付けた時点において充電スタンド10を利用している電動車両の充電が満了しているか否かを判定する。当該判定結果が偽(No)である場合、即ち予約時間内であって充電が満了していない場合には、充電を継続してよく、当該ルーチンをリターンする。一方、当該判定結果が真(Yes)である場合、即ち予約時間内ではあるが充電が満了している場合は、予約要件を満たさないとしてステップS5に進む。
【0046】
ステップS5では、通知部24が、充電スタンド10のカメラ13により撮像した車両画像情報を取得して、当該車両画像情報から電動車両の車両情報(車両のナンバー情報)を抽出する。
【0047】
そして、ステップS6では、通知部24が、ステップS5にて抽出した車両情報と、ステップS2にて特定されたユーザ情報に含まれる車両情報とが整合するか否か、具体的には車両のナンバーが一致するか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)である場合、即ち車両情報が整合した場合はステップS7に進む。
【0048】
ステップS7では、通知部24が、ステップS2にて特定されたユーザ情報に含まれる連絡先に基づき第2ユーザ端末31に、退去通知を行い、当該ルーチンをリターンする。なお、退去依頼情報を受け付けていない場合(ステップS1がNo)、車両画像情報から抽出した車両情報が整合しなかった場合(ステップS6がNo)は、退去通知をすることなく当該ルーチンをリターンする。
【0049】
以上のように本実施形態の充電管理システム1では、第1ユーザ端末30又は充電スタンド10から退去依頼情報を受け付け、当該退去依頼情報に含まれる車両情報からユーザ情報を特定して、退去依頼対象の充電スタンド10の予約要件を満たしていない場合には当該ユーザの第2ユーザ端末31に退去通知を行う。つまり、充電スタンド10で充電を行っている車両のユーザではない他のユーザであっても、車両のナンバー等の車両情報と充電スタンドID等の充電スタンド情報を含めた退去依頼情報を充電管理サーバ20に送ることで、充電管理サーバ20側で予約要件を確認し、予約要件を満たさない場合には充電中車両のユーザの第2ユーザ端末31に対して退去通知が行われる。これにより、ユーザ同士で直接やり取りをすることなく、且つ充電中車両のユーザが充電スタンド10近くにいなくとも、退去依頼を行うことができる。
【0050】
特に本実施形態では、予約要件を退去依頼情報を受け付けた時点が予約時間内にあるか否かとし、予約時間外である場合は、予約要件を満たしていないと判定することで、容易に予約に違反する車両を判定することができる。
【0051】
また、本実施形態では、予約要件を給電情報に基づき充電が満了しているか否かとし、充電が満了している場合は、予約要件を満たしていないと判定することで、充電が満了した車両を早期に退去させることができる。
【0052】
また、本実施形態では退去依頼情報に含まれる車両情報は車両のナンバー情報とすることで、充電中の車両を所有するユーザ以外であっても、その場にいるユーザであれば容易に車両情報を取得することができることになる。
【0053】
さらに、本実施形態は、充電スタンド10のカメラ13により退去依頼の対象となる車両を撮像し、通知部24において当該撮像された画像情報から車両情報(車両のナンバー情報)を抽出して、この抽出した車両情報と利用管理部において特定されたユーザ情報に含まれる車両情報とが整合した場合に、退去通知を行っている。これにより、実際に充電スタンド10にて充電中の車両であることを確認した上で退去通知を行うことができ、いたずらや誤った退去依頼に基づく退去通知を防ぐことができる。
【0054】
また、本実施形態では、充電スタンド10に、退去依頼情報を入力可能な入出力部12が設けられていることで、第1ユーザ端末30がなくとも退去依頼情報を送ることができる。さらに、退去通知を自動音声通話とすることで、第2ユーザ端末31を所有するユーザに対して、文字による通知よりも確実に車両の退去を促すことができる。
【0055】
以上のことから、本実施形態に係る充電管理システム1は、充電スタンド10のユーザに対する利便性を向上し、充電スタンド10の運用を効率化することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0057】
例えば上記実施形態では、充電管理システムを集合住宅の充電スタンドに適用しているが、本発明の充電管理システムは、オフィス、工場、等の職場のように特定された複数のユーザのみが利用可能な充電スタンドが設置されるその他の施設に適用してもよい。また、本発明の充電管理システムは、不特定多数のユーザが利用可能なパブリックエリアの充電スタンドに適用することも可能である。
【0058】
また、上記実施形態では、車両情報取得部としてカメラを用いているが、車両情報取得部は給電される電動車両の車両情報を取得できるものであればよい。例えば、車両情報取得部は、給電プラグを介して接続された電動車両の車両情報を取得可能な給電部や、無線通信により電動車両やユーザ端末と通信を行い車両情報を取得可能な通信装置、等であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 充電管理システム
10 充電スタンド
11 給電部
12 入出力部
13 カメラ(車両情報取得部)
14 充電スタンド制御部
20 充電管理サーバ
21 ユーザデータベース(ユーザ情報記憶部)
22 退去依頼受付部
23 利用管理部
24 通知部
30 第1ユーザ端末
31 第2ユーザ端末