IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】送信装置、送信方法、及び、受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0456 20170101AFI20220126BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
H04B7/0456 100
H04B7/06 820
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017199541
(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公開番号】P2018074573
(43)【公開日】2018-05-10
【審査請求日】2020-04-27
(31)【優先権主張番号】62/417,536
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本塚 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】坂本 剛憲
(72)【発明者】
【氏名】白方 亨宗
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-517666(JP,A)
【文献】特開2016-146635(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0298544(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02-7/12
H04L 27/26
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号とにプリコーディング処理を施して第1のプリコーデッド信号と第2のプリコーデッド信号とを生成するプリコーディング部と、
前記第1のプリコーデッド信号に第1の既知信号を付加する第1の付加部と、
前記第2のプリコーデッド信号に、前記第1の既知信号と複素共役の関係にある第2の既知信号を付加する第2の付加部と、
前記第2の既知信号が付加された前記第2のプリコーデッド信号を構成するシンボル系列の順序を反転させ、第2の反転信号を生成する順序反転部と、
前記第2の反転信号に位相変更を施した第2の位相変更信号を生成する位相変更部と、
前記第1のプリコーデッド信号と前記第2の位相変更信号とを、それぞれ、異なるアンテナから送信する送信部と、
を備える送信装置。
【請求項2】
前記順序反転部は、前記第2の既知信号を構成するシンボル系列の順序を反転させ、反転された第2の既知信号に反転された第2のプリコーデッド信号を連結して、前記第2の反転信号を生成する、
請求項に記載の送信装置。
【請求項3】
前記順序反転部は、前記第2のプリコーデッド信号に前記第2の既知信号を連結させたシンボル系列の順序を反転させ、前記第2の反転信号を生成する、
請求項に記載の送信装置。
【請求項4】
前記第2のプリコーデッド信号に第3の既知信号を付加する第3の付加部と、
前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号とが複素共役に関係にあるか否かに基づいて、前記第2の反転信号と、前記第3の既知信号が付加された前記第2のプリコーデッド信号と、の何れを前記位相変更部に入力させるかを選択する選択部と、
をさらに備える、請求項からの何れか1項に記載の送信装置。
【請求項5】
第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号とにプリコーディング処理を施して第1のプリコーデッド信号と第2のプリコーデッド信号とを生成し、
前記第1のプリコーデッド信号に第1の既知信号を付加し、
前記第2のプリコーデッド信号に、前記第1の既知信号と複素共役の関係にある第2の既知信号を付加し、
前記第2の既知信号が付加された前記第2のプリコーデッド信号を構成するシンボル系列の順序を反転させ、第2の反転信号を生成し、
前記第2の反転信号に位相変更を施した第2の位相変更信号を生成し、
前記第1のプリコーデッド信号と前記第2の位相変更信号とを、それぞれ、異なるアンテナから送信する、
送信方法。
【請求項6】
第1の受信信号及び第2の受信信号を、それぞれ、異なるアンテナで受信する受信部と、
前記第1の受信信号及び前記第2の受信信号から、第1のベースバンド信号及び第2のベースバンド信号を生成する復調部と、
を備え、
前記第1の受信信号及び前記第2の受信信号には、第1のプリコーデッド信号及び第2の位相変更信号が含まれており、
前記第1のプリコーデッド信号は、送信装置が、前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号とにプリコーディング処理を施すことにより生成したプリコーデッド信号に、第1の既知信号を付加して生成した信号であり、
前記第2の位相変更信号は、前記送信装置が、前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号とにプリコーディング処理を施して第2のプリコーデッド信号を生成し、前記第2のプリコーデッド信号に、前記第1の既知信号と複素共役の関係にある第2の既知信号を付加し、前記第2の既知信号が付加された前記第2のプリコーデッド信号を構成するシンボル系列の順序を反転させて第2の反転信号を生成し、当該生成された第2の反転信号に位相変更を施して生成した信号である、
受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチアンテナを用いた通信を行う送信装置、送信方法、及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN関連規格の1つであるIEEE802.11ad規格は、60GHz帯のミリ波を用いる無線通信に関する規格である(非特許文献1)。IEEE802.11ad規格には、シングルキャリアによる送信が規定されている。
【0003】
また、マルチアンテナを用いた通信技術の1つに、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)がある(非特許文献2)。MIMOを用いることにより、空間ダイバーシチ効果が高まり、受信品質が向上する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】IEEE802.11adTM -2012 2012年12月28日
【文献】“MIMO for DVB-NGH, the next generation mobile TV broadcasting,” IEEE Commun. Mag., vol.57, no.7, pp.130-137, July 2013.
【文献】IEEE802.11-16/0631r0 2016年5月15日
【文献】IEEE802.11-16/0632r0 2016年5月15日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シングルキャリアを用いたMIMO通信では、周波数ダイバーシチ効果が十分に得られない場合がある。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、シングルキャリアを用いたMIMO通信における、周波数タイバーシチ効果を高めた送信装置、送信方法及び受信装置の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る送信装置は、第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号とにプリコーディング処理を施して第1のプリコーデッド信号と第2のプリコーデッド信号とを生成するプリコーディング部と、前記第2のプリコーデッド信号を構成するシンボル系列の順序を反転させ、第2の反転信号を生成する順序反転部と、前記第2の反転信号に位相変更を施した第2の位相変更信号を生成する位相変更部と、前記第1のプリコーデッド信号と前記第2の位相変更信号とを、それぞれ、異なるアンテナから送信する送信部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る受信装置は、第1の受信信号及び第2の受信信号を、それぞれ、異なるアンテナで受信する受信部と、前記第1の受信信号及び前記第2の受信信号から、第1のベースバンド信号及び第2のベースバンド信号を生成する復調部と、を備え、前記第1の受信信号及び前記第2の受信信号には、第1のプリコーデッド信号及び第2の位相変更信号が含まれており、前記第1のプリコーデッド信号は、送信装置が、前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号とにプリコーディング処理を施して生成した信号であり、前記第2の位相変更信号は、前記送信装置が、前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号とにプリコーディング処理を施して第2のプリコーデッド信号を生成し、当該生成された第2のプリコーデッド信号を構成するシンボル系列の順序を反転させて第2の反転信号を生成し、当該生成された第2の反転信号に位相変更を施して生成した信号である。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、シングルキャリアを用いたMIMO通信における、周波数ダイバーシチ効果を高めることができる。
【0011】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係るMIMO通信システムの構成の一例を示す図
図2】周波数応答の振幅成分の例を示す図
図3】実施の形態1に係る送信装置の構成の一例を示す図
図4A】シンボルインデックスが奇数であるπ/2-BPSKのコンスタレーションの例を示す図
図4B】シンボルインデックスが偶数であるπ/2-BPSKのコンスタレーションの例を示す図
図4C】プリコーディング部の出力データのコンスタレーションの例を示す図
図5A】GI付加方法の一例を示す図
図5B】プリコーデッドシンボルにGIが付加されたシンボルブロックをDFTしたDFT信号の例を示す図
図5C】プリコーデッドシンボルにGIが付加されたシンボルブロックをDFTしたときのDFT信号の例を示す図
図6A】シンボル順序反転部におけるシンボル順序反転処理の一例を示す図
図6B】シンボル順序反転部におけるシンボル順序反転処理の別の一例を示す図
図6C】プリコーデッドシンボルにGIが付加されたシンボルブロックをDFTしたときのDFT信号の例を示す図
図6D】反転シンボルをDFTしたときの反転DFT信号の例を示す図
図6E】位相回転後シンボルをシンボルブロック毎にDFTしたDFT信号を示す図
図6F】位相回転後シンボルをシンボルブロック毎にDFTしたDFT信号を示す図
図7】受信装置の構成の一例を示す図
図8】DFT部において受信データをDFTブロックに分割する方法を示す図
図9】実施の形態2に係る送信装置の構成を示す図
図10A】π/2-QPSK変調のコンスタレーションの一例を示す図
図10B】16QAM変調のコンスタレーションの一例を示す図
図11A】第1の送信RFチェーン処理に係るDFT信号の例を示す図
図11B】第2の送信RFチェーン処理に係るDFT信号の例を示す図
図12】実施の形態2の変形例に係る送信装置の構成を示す図
図13】実施の形態2の変形例に係るGI付加方法の一例を示す図
図14】実施の形態2の変形例に係るGI付加方法の別の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、MIMO通信システムの構成の一例を示す図である。送信装置は、複数の送信アンテナを備える。受信装置は、複数の受信アンテナを備える。
【0015】
各送信アンテナと各受信アンテナとの間の無線伝搬路を、チャネルと呼ぶ。図1において、第1の送信アンテナと第1の受信アンテナとの間、第1の送信アンテナと第2の受信アンテナとの間、第2の送信アンテナと第1の受信アンテナとの間、及び、第2の送信アンテナと第2の受信アンテナとの間には、それぞれ、チャネルH11(k)、チャネルH12(k)、チャネルH21(k)、及び、チャネルH22(k)がある。各チャネルでは、例えば、直接波、反射波、回折波、及び/又は、散乱波が合成される。チャネルH11(k)、H12(k)、H21(k)、H22(k)の値は、各チャネルの周波数応答である。周波数応答は、周波数のインデックスkにおける複素数である。
【0016】
送信装置は、各送信アンテナから異なる送信データを同時に、つまり、D/A変換器において同じサンプリングタイミングで送信する。受信装置は、複数の受信アンテナを備える。受信装置は、各受信アンテナにて受信データを同時に、つまり、A/D変換器において同じサンプリングタイミングで受信する。ただし、各チャネルの遅延が異なるため、送信装置が同時に送信した送信データが受信装置で同時に受信されるとは限らない。
【0017】
図2は、周波数応答の振幅成分の例を示す図である。図2には、チャネル毎の周波数応答が異なり、チャネル間の相関が低い状態の一例が示されている。
【0018】
受信装置は、第1の送信アンテナからの送信データx(b,n)を受信する場合、例えば、次の処理を行う。すなわち、受信装置は、チャネルH11(k)及びチャネルH12(k)からの受信信号が強調され、チャネルH21(k)及びチャネルH22(k)からの受信信号が抑圧されるように、第1の受信アンテナの受信データと第2の受信アンテナの受信データとに複素数の重み係数を乗算し、データを加算する。重み係数は、例えば、後述するMMSE(Minimum Mean Square Error)法を用いて算出される。
【0019】
図3は、送信装置100の構成の一例を示す図である。図3において、送信装置100は、MAC部101、ストリーム生成部102、符号化部103a、103b、データ変調部104a、104b、プリコーディング部105、GI(Guard Interval)付加部106a、106b、シンボル順序反転部107、データシンボルバッファ108a、108b、位相回転部109、送信F/E回路(フィルタD/A変換RF回路)110a、110b、及び、送信アンテナ111a、111bを備える。
【0020】
送信装置100は、データ変調部104a、104bにおいてπ/2-BPSK変調を行い、送信アンテナ111a、111bから、それぞれ、異なるデータを送信する。
【0021】
MAC部101は、送信データを生成し、その生成した送信データをストリーム生成部102へ出力する。
【0022】
ストリーム生成部102は、送信データを、第1のストリームデータと第2のストリームデータの2つに分割する。例えば、ストリーム生成部102は、送信データの奇数番目のビットを第1のストリームデータに割り当て、送信データの偶数番目のビットを第2のストリームデータに割り当てる。そして、ストリーム生成部102は、第1のストリームデータを符号化部103aへ出力し、第2のストリームデータを符号化部103bへ出力する。ストリーム生成部102は、送信データのCRC(Cyclic Redundancy Check)を算出し、そのCRCを送信データの最後に付加してからストリームデータを生成しても良い。
【0023】
ストリーム生成部102から出力される第1のストリームデータに対する処理を、第1の送信ストリーム処理と呼ぶ。第1の送信ストリーム処理は、符号化部103a及びデータ変調部104aによって行われる。
【0024】
ストリーム生成部102から出力される第2のストリームデータに対する処理を、第2の送信ストリーム処理と呼ぶ。第2の送信ストリーム処理は、符号化部103b及びデータ変調部104bによって行われる。
【0025】
符号化部103a、103bは、各ストリームデータに対して誤り訂正符号化処理を行う。符号化部103a、103bは、誤り訂正符号化方式に、例えば、LDPC(Low Density Parity Check)符号を用いて良い。
【0026】
データ変調部104a、104bは、符号化部103a、103bによって誤り訂正符号化処理が行われた各ストリームデータに対して、変調処理を施す。データ変調部104a、104bは、データ変調方式に、例えば、π/2-BPSKを用いる。
【0027】
図4Aは、シンボルインデックスmが奇数である、π/2-BPSKのコンスタレーションの例を示す。図4Bは、シンボルインデックスmが偶数である、π/2-BPSKのコンスタレーションの例を示す。データ変調部104aが出力するデータ(「変調信号」とも呼ぶ)を、変調シンボルs(m)と表す。また、データ変調部104bが出力するデータを、変調シンボルs(m)と表す。ここで、mは、シンボルインデックスを表し、正の整数である。
【0028】
データ変調部104aがπ/2-BPSK変調を行う場合、変調シンボルs(m)、s(m)は、以下の値となる。
・mが奇数の場合、s(m)及びs(m)は、I軸上に配置され、+1又は-1の何れかの値となる。
・mが偶数の場合、s(m)及びs(m)は、Q軸上に配置され、+j又は-jの何れかの値となる。ここで、jは虚数単位である。
【0029】
プリコーディング部105は、式1に示すように、データ変調部104a、104bの変調シンボルs(m)、s(m)に、2行2列の行列を乗算し、プリコーデッドシンボルx(m)、x(m)を算出する。
【数1】
【0030】
式1において、s(m)、s(m)に乗算されている2行2列の行列を、プリコーディング行列(以下「G」と表す)と呼ぶ。つまり、プリコーディング行列Gは、式2で表現される。
【数2】
【0031】
ただし、式2のプリコーディング行列は一例であり、別の行列をプリコーディング行列Gに用いても良い。例えば、別のユニタリ行列をプリコーディング行列Gに用いても良い。ここで、ユニタリ行列とは、式2-1を満たす行列である。式2-1において、Gは行列Gの複素共役転置を表し、Iは単位行列を表す。
【数3】
【0032】
式2のプリコーディング行列Gは、式2-1を満たすので、ユニタリ行列の一例である。
【0033】
式2のプリコーディング行列Gを用いた場合、x(m)、x(m)は式2-2の関係を満たす。なお、記号「*」は、複素共役を表す。
【数4】
【0034】
次に、別のプリコーディング行列Gの例を、式2-3に示す。
【数5】
【0035】
式2-3のプリコーディング行列Gを用いた場合、x(m)、x(m)は、式2-4の関係を満たす。
【数6】
【0036】
次に、別のプリコーディング行列Gの例を、式2-5に示す。式2-5において、aは実数、bは複素数の定数である。また、ρは位相シフト量を表す定数である。
【数7】
【0037】
式2-5のプリコーディング行列Gを用いた場合、x(m)、x(m)は、式2-6の関係を満たす。
【数8】
【0038】
式2-5において、a,bをいずれも1とし、ρを-π/4にした場合、式2-5は、式2と等しくなる。
【0039】
図4Cは、プリコーディング部105の出力データx(m)、x(m)のコンスタレーションの一例を示す図である。図4Cは、QPSK変調のコンスタレーションと同じである。すなわち、プリコーディング部105は、式1を用いて、π/2-BPSKで変調された2つの変調シンボルs(m)、s(m)を、QPSKシンボルに相当する2つのプリコーデッドシンボルx(m)、x(m)に変換する。
【0040】
プリコーディング部105から出力されるプリコーデッドシンボルx(m)に対する処理を、第1の送信RFチェーン処理と呼ぶ。第1の送信RFチェーン処理は、GI付加部106a、データシンボルバッファ108a、送信F/E(Front End)回路110a及び送信アンテナ111aによって行われる。
【0041】
プリコーディング部105から出力されるプリコーデッドシンボルx(m)に対する処理を、第2の送信RFチェーン処理と呼ぶ。第2の送信RFチェーン処理は、複素共役GI付加部106b、シンボル順序反転部107、データシンボルバッファ108b、位相回転部109、送信F/E回路110b及び送信アンテナ111bによって行われる。
【0042】
図5Aは、GI付加部106a、複素共役GI付加部106bにおけるGI付加方法の一例を示す図である。
【0043】
GI付加部106aは、プリコーデッドシンボルx(m)を、448シンボル毎のデータブロックに分割する。例えば、x(m)の最初の448シンボルを第1データブロック(x(1,n))に、その次の448シンボルを第2データブロック(x(2,n))に、・・・、b番目の448シンボルを第bデータブロック(x(b,n))に分割する。ここで、本実施の形態の場合、nは1以上かつ448以下の整数であり、bは正の整数である。すなわち、x(b,n)は、第bデータブロック内におけるn番目のプリコーデッドシンボルを表している。なお、これらのシンボル数は一例であり、本実施の形態は、これら以外のシンボル数であってもよい。
【0044】
GI付加部106aは、各データブロックの前段に64シンボルのGIを付加する。GIは、既知の系列をπ/2-BPSK変調したシンボル系列である。さらに、GI付加部106aは、最後のデータブロックの後段に64シンボルのGIを付加する。これにより、図5Aに示すような送信シンボルu1が生成される。
【0045】
同様に、複素共役GI付加部106bも、プリコーデッドシンボルx(m)を、448シンボル毎のデータブロックに分割し、各データブロックの前段に64シンボルのGIを付加し、最後のデータブロックの後段に64シンボルのGIを付加する。ただし、複素共役GI付加部106bが付加するGIは、GI付加部106aが付加するGIの複素共役である。これにより、図5Aに示すような送信シンボルu2が生成される。
【0046】
ここで、GI付加部106aが付加するGIのp番目のシンボルを、GI(p)と表現する。また、複素共役GI付加部106bが付加するGIのp番目のシンボルを、GI(p)と表現する。pは、本実施の形態の場合、1以上64の以下の整数である。この場合、GI(p)とGI(p)は、式3に示す関係にある。なお、記号「*」は、複素共役を表す。
【数9】
【0047】
図5Bは、プリコーデッドシンボルx(b,n)にGI(p)が付加されたシンボルブロック(図5Aの送信シンボルu1を参照)をDFT(Discrete Fourier Transform、離散フーリエ変換)した後のDFT信号X(b,k)の例を示す。図5Cは、プリコーデッドシンボルx(b,n)にGI(p)が付加されたシンボルブロック(図5Aの送信シンボルu2を参照)をDFTした後のDFT信号X(b,k)の例を示す。次に、DFT信号X(b,k)を用いて、GI付加部106aから出力される信号の周波数特性を説明する。また、DFT信号X(b,k)を用いて、複素共役GI付加部106bから出力される信号の周波数特性を説明する。
【0048】
式2のプリコーディング行列Gを用いた場合、x(b,n)及びGI(p)は、x(b,n)及びGI(p)の複素共役であるから、DFT信号X(b,k)は、DFT信号X(b,k)の複素共役を周波数反転し、周波数領域で位相回転を加えた信号となる。すなわち、X(b,k)は、式3-1で表される。
【数10】
【0049】
なお、次のように、式3-1における位相回転量(exp(j×2πk/N))をWと表す。
【数11】
【0050】
プリコーディング処理によって、2つの変調シンボルs(m)、s(m)を織り交ぜて、2つの異なる送信アンテナを用いて送信することができる。これにより、空間ダイバーシチ効果が得られる。また、プリコーディング処理によって、2つの変調シンボルs(m)、s(m)を織り交ぜて、2つの異なる周波数インデックスk,-kを用いて送信することができる。これにより、周波数ダイバーシチ効果が得られる。
【0051】
なお、図5B及び図5Cにおいて、2つの異なる周波数インデックスk,-kの絶対値|k|が小さい場合、2つの周波数が近接するため、周波数ダイバーシチ効果が減少する。以下では、このように2つの周波数が近接し、周波数ダイバーシチ効果が減少することを抑制する技術について説明する。
【0052】
図6Aは、シンボル順序反転部107におけるシンボル順序反転処理の一例を示す。
【0053】
図6Aに示すように、シンボル順序反転部107は、各シンボルブロックについて、プリコーデッドシンボルx(b,n)の順序を反転させ、当該プリコーデッドシンボルx(b,n)に付加されたGI(p)の順序を反転させる。説明をわかりやすくするため、順序が反転されたプリコーデッドシンボルx (time reversal)(b,n)を、式4のように表わす。すなわち、順序が反転されたシンボル系列を、「-n」で表す。
【数12】
【0054】
また、順序が反転されたGI (time reversal)(p)を、式5のように表す。すなわち、順序が反転されたシンボル系列を、「-p」で表す。
【数13】
【0055】
図6Cは、プリコーデッドシンボルx(b,n)にGI(p)が付加されたシンボルブロック(図5Aの送信シンボルu1を参照)をDFTした後のDFT信号X(b,k)の例である。図6Cは、図5Bと同様である。また、図6Dは、反転シンボルx(-m)をDFTした後の反転DFT信号X2r(b,k)の例である。ここで、反転シンボルx(-m)は、シンボル順序反転後のプリコーデッドシンボル信号x(b,-n)と、GIの複素共役をシンボル順序反転したGI(-p)とを含む。次に、反転DFT信号X2r(b,k)を用いて、シンボル順序反転部107から出力される信号の周波数特性を説明する。
【0056】
式2のプリコーディング行列Gを用いた場合、x(b,-n)及びGI(-p)は、x(b,n)及びGI(p)の順序を反転したシンボルブロックの複素共役であるから、X2r(b,k)は、式5-2で表される。
【数14】
【0057】
反転DFT信号X2r(b,k)は、DFT信号X(b,k)の複素共役に位相回転を与えた信号である。また、式5-2において、Wに含まれるNはDFTサイズ(例えば、シンボルブロックの長さ「512」)である。
【0058】
図6C図6Dに示す例では、図5B図5Cの場合と異なり、第1の送信RFチェーン処理に係るDFT信号X(b,k)と、第2の送信RFチェーン処理に係る反転DFT信号X2r(b,k)=X (b,k)×Wとが、同じ周波数インデックスkで送信される。したがって、空間ダイバーシチ効果が得られる。
【0059】
図6Bは、シンボル順序反転部107におけるシンボル順序反転処理の別の一例を示す図である。
【0060】
図6Bに示すように、シンボル順序反転部107は、各シンボルブロックについて、シンボルブロック全体のシンボル系列の順序(シンボル系列の並び)を反転させる。このとき、シンボル順序反転部107は、シンボル順序の反転前のシンボルブロックと、シンボル順序の反転後のシンボルブロックとの間でGIの位置を等しくするために、最後のデータブロックの後段に付加されたGIを取り除き、最初のデータブロックの前にシンボル順序を反転させたGIを付加しても良い。なお、シンボルブロックは、既出のとおり、例えば、64シンボルのGIと448シンボルのデータブロックとを合わせた512シンボルのブロックである。
【0061】
シンボル順序反転部107は、複素共役GI付加部106bが出力する送信シンボルu2のうち、448シンボル分のデータシンボルを順次、データシンボルバッファ108bに保存し、当該データシンボルバッファ108bから保存時と異なる順序(逆の順序)でデータシンボルを読み出すことにより、シンボル順序の反転を実現してよい。すなわち、データシンボルバッファ108bは、LIFO(Last In, First Out)バッファに相当するものであってよい。なお、データシンボルバッファ108bは、メモリ、RAM又はレジスタ等であって良い。
【0062】
シンボル順序反転部107では、送信シンボルu2のシンボル順序を反転させる処理が行われるため、入力データに対する出力データの遅延が発生する。そこで、データシンボルバッファ108aを用いて、GI付加部106aが出力する送信シンボルu2のうち、データシンボル(例えばx(b,n))に対し、シンボル順序反転部107で発生する遅延と同じ時間の遅延を与える。これにより、GI付加部106aが出力する送信シンボルu1と複素共役GI付加部106bが出力する送信シンボルu2とが同じタイミングで送信される。なお、以下の説明において、シンボル順序反転部107が送信シンボルu2を反転させたシンボルブロックを、反転シンボルu2rと表現する場合がある。
【0063】
位相回転部109は、シンボル順序反転部107が出力した反転シンボルu2rのうち、データシンボル(例えばx(b,n))に対して、シンボル毎に異なる位相回転を与える。つまり、位相回転部109は、シンボル毎に異なる位相変更を施す。位相回転部109は、式6を用いて、データシンボル(例えばx(b,n))に位相回転を与え、式7を用いて、GI(例えばGI(p))に位相回転を与える。なお、式6、式7において、θは、位相回転量を表す。
【数15】
【0064】
送信装置100は、プリコーディング部105が出力する送信シンボルのうち、x1(b,n)には位相回転を与えず、x2(b,n)には位相回転を与える。位相回転後の送信シンボルは、式8で表される。
【数16】
【0065】
なお、図3では、第2の送信RFチェーン処理に位相回転部109を配置しているが、第1の送信RFチェーン処理と第2の送信RFチェーン処理の両方に位相回転部を配置してもよい。この配置の場合は、式9に示す位相回転の行列を用いることができる。
【数17】
【0066】
なお、式8において、nが1以上かつ448以下の場合はデータシンボルに関する式(例えば式6)とみなし、nが449以上かつ512以下の場合はGIに関する式(例えば式8のnから448を減算した値をpとした場合における式7)とみなしても良い。この場合、式8は、nが1以上かつ512以下となり、x(b,n)及びx(b,-n)は、データシンボルとGIの両方を含む。
【0067】
図6Eは、位相回転後シンボルt(b,n)をシンボルブロック毎にDFTしたDFT信号T(b,k)を示す図である。図6Fは、位相回転後シンボルt(b,n)をシンボルブロック毎にDFTしたDFT信号T(b,k)を示す図である。次に、T(b,k)、T(b,k)を用いて、位相回転後の信号の周波数特性を説明する。
【0068】
式8より、X(b,k)とT(b,k)は等しい。つまり、図6C図6Eは、記号をXからTに置き換えた点を除き、同じである。
【0069】
図6Fに示すT(b,k)は、X2r(b,k)に時間領域で位相回転を与えた信号である。式8を用いて時間領域で位相回転を与えた場合、周波数領域では、周波数インデックスが、式9-1によって算出される周波数ビンdの分、シフトする。NはDFTサイズ(例えば、シンボルブロックの長さ「512」)である。
【数18】
【0070】
したがって、X(b,k)は、式9-2により、T(b,k)、T(b,k+d)において、2つの送信アンテナ、及び、2つの周波数インデックスk、k+dを用いて送信される。すなわち、空間ダイバーシチ効果及び周波数ダイバーシチ効果が得られる。
【数19】
【0071】
送信装置100は、位相回転量θをπラジアン(180度)又は-πラジアン(-180度)に近い値に設定することにより、周波数ダイバーシチ効果を高め、データスループットを高めることができる。
【0072】
なお、送信装置100は、位相回転量θをπラジアン(180度)と異なる値に設定してもよい。これにより、送信アンテナ111aの送信信号と、送信アンテナ111bの送信信号との間の信号分離が容易になる。また、データスループットも高まる。
【0073】
OFDMにおける送信シンボルにπラジアンと異なる位相回転を与える方法は、非特許文献2において、PH(Phase Hopping)技術として開示されている。しかし、本開示の送信装置100は、非特許文献2の場合とは異なり、シングルキャリア送信を用いており、第2の送信ストリーム処理においてシンボル順序反転を行っている。これにより、2つの送信信号の間の信号分離が容易になる。また、比較的高い周波数ダイバーシチ効果が得られる。
【0074】
送信装置100は、位相回転量θに、例えば、-7π/8ラジアン(dは-224)、-15π/16ラジアン(dは240)などの値を設定してもよい。
【0075】
送信F/E回路110a、110bは、ディジタル及びアナログフィルタ、D/A変換器、及び、RF(無線)回路を含む。送信F/E回路110aは、データシンボルバッファ108aから出力された送信データv1(図8に示すGI(p)及びt1(b,n)を含む信号)を無線信号に変換し、送信アンテナ111aへ出力する。送信F/E回路110bは、位相回転部109から出力された送信データv2(図8に示すGI(-p)及びt2(b,-n)を含む信号)を無線信号に変換し、送信アンテナ111bへ出力する。
【0076】
送信アンテナ111aは、送信F/E回路110aから出力された無線信号を送信する。送信アンテナ111bは、送信F/E回路110bから出力された無線信号を送信する。すなわち、送信アンテナ111a及び111bは、それぞれ、異なる無線信号を送信する。
【0077】
このように、送信装置100は、2つの送信ストリームデータに対してプリコーディングを施した後、一方の送信ストリームデータに対して、シンボル順序反転及び位相回転を施す。これにより、空間ダイバーシチ効果と周波数ダイバーシチ効果を高めることができる。また、データ通信における誤り率を低減させ、データスループットを向上させることができる。
【0078】
図7は、受信装置200の構成を示す図である。
【0079】
受信アンテナ201a、201bは、それぞれ、無線信号を受信する。受信アンテナ201aに受信信号に対する処理を、第1の受信RFチェーン処理と呼ぶ。第1の受信RFチェーン処理は、受信F/E回路202a、時間領域同期部203a、及び、DFT部205aによって行われる。受信アンテナ201bの受信信号に対する処理を、第2の受信RFチェーン処理と呼ぶ。第2の受信RFチェーン処理は、受信F/E回路202b、時間領域同期部203b、及び、DFT部205bによって行われる。
【0080】
受信F/E回路202a、202bは、例えば、RF回路、A/D変換器、ディジタルフィルタ、アナログフィルタ、及び、ダウンサンプル処理部を含み、無線信号をディジタルベースバンド信号に変換する。
【0081】
時間領域同期部203a、203bは、受信パケットのタイミング同期を行う。なお、時間領域同期部203aと時間領域同期部203bは、相互にタイミング情報を交換し、第1の受信RFチェーン処理と第2の受信RFチェーン処理との間のタイミング同期をとってもよい。
【0082】
チャネル推定部204は、第1の受信RFチェーン処理に係る受信信号と、第2の受信RFチェーン処理に係る受信信号とを用いて、送信装置と受信装置との間の無線チャネルの周波数応答を算出する。つまり、図1のH11(k)、H12(k)、H21(k)、H22(k)を、周波数インデックスk毎に算出する。
【0083】
DFT部205a、205bは、受信データをDFTブロックに分割して、DFTを行う。DFTブロックは、例えば、512シンボルである。図8は、DFT部205a、205bにおいて受信データをDFTブロックに分割する方法を示す図である。
【0084】
第1の受信RFチェーン処理に係る受信データ(DFT部205aへの入力データ)をy(n)、第2の受信RFチェーン処理に係る受信データ(DFT部205bへの入力データ)をy(n)とする。次に、図8を用いて、y(n)に係る処理を説明する。なお、y(n)に係る処理についても同様である。
【0085】
前述の通り、送信装置100は、2つの送信アンテナ111a、111bを用いて、2つの無線信号(図8に示す送信データv1、送信データv2)を送信する。また、2つの無線信号は、それぞれ、チャネルにおいて、直接波と複数の遅延波を発生させ、受信アンテナ201a及び201bへ到達する場合がある。
【0086】
なお、受信信号は、それぞれ、直接波及び遅延波のほか、例えば、回折波及び散乱波を含んでも良い。
【0087】
DFT部205aは、送信データv1のデータブロックt(1,n)、及び、送信データv2のデータブロックt(1,n)の直接波及び遅延波が含まれるように、第1のDFTブロックの時間を決定する。第1のDFTブロックのDFT計算結果をY(1,k)と表す。kは、既出のとおり、周波数インデックスを示し、例えば、1以上かつ512以下の整数である。
【0088】
同様に、DFT部205a、205bにおける、第bのDFTブロックのDFT計算結果を、それぞれ、Y(b,k)、Y(b,k)と表す(bは1以上の整数)。
【0089】
受信装置200は、MMSEウェイト計算部206、MMSEフィルタ部207、逆位相回転部208、IDFT(逆DFT)部209a、IDFT及びシンボル順序反転部209b、及び、逆プリコーディング部210を用いて、送信された変調シンボルs(n)、s(n)の推定値を算出する。次に、送信された変調シンボルs(n)、s(n)の推定値を算出する方法について説明する。
【0090】
受信装置200のDFT部205a、205bの出力信号Y(b,k)、Y(b,k)は、チャネルの値を用いて、式10のように表される。
【数20】
【0091】
ここで、T(b,k)は、送信装置100のシンボルブロック(式8のt(b,n))をDFTした信号である。T(b,k)は、送信装置100のシンボルブロック(式8のt(b,n))をDFTした信号である。Z(b,k)は、第1のRFチェーン部におけるノイズをDFTした信号である。Z(b,k)は、第2のRFチェーン部におけるノイズをDFTした信号である。
【0092】
式10を行列で表した場合、式11になる。
【数21】
【0093】
式11において、チャネル行列H2x2(k)は、式12のように定められる。
【数22】
【0094】
MMSEウェイト計算部206は、式12-1に基づき、ウェイト行列W2x2(k)を算出する。
【数23】
【0095】
式12-1において、Hは行列Hの複素共役転置を表す。また、σはノイズZ(b,k)、Z(b,k)の分散である。また、I2×2は2行2列の単位行列である。
【0096】
MMSEフィルタ部207は、式12-2を用いて、T(b,k)、T(b,k)の推定値T (b,k)、T (b,k)を算出する。なお、推定値T (b,k)に対する処理を、第1の受信ストリーム処理といい、T (b,k)に対する処理を、第2の受信ストリーム処理という。
【数24】
【0097】
式12-2の計算を、MMSE方式という。MMSEフィルタ部207は、MMSE方式に基づいて、送信データv1に含まれるt(b,n)と、送信データv2に含まれるt(b,n)と、それぞれの直接波及び遅延波とが交じり合った受信データy1及びy2(図8参照)から、位相回転後のデータシンボルt(b,n)、t(b,n)の推定値を得る。ただし、MMSEフィルタ部207は、チャネル推定値(チャネルの周波数応答の推定値)H11(k)、H12(k)、H21(k)、H22(k)を活用し、計算を容易にするため、式12-2に示すように、周波数領域信号に対して計算を行う。
【0098】
逆位相回転部208は、図3の位相回転部109と逆の処理を行う。位相回転部109の処理は、周波数領域では、図6Fに示すように、周波数インデックスk,-kが、周波数ビンdの分、シフトする処理に相当する。ここで、dは、式9-1より算出される。そこで、逆位相回転部208は、MMSEフィルタ部207から出力される第2の受信ストリームの周波数領域信号を、-dの分、シフトする。すなわち、逆位相回転部208は、周波数領域において、式12-3の処理を行う。
【数25】
【0099】
なお、受信装置200は、IDFT部209a、IDFT及びシンボル順序反転部209bと、逆位相回転部208とを入れ替え、MMSEフィルタ部からの出力をIDFTした後、逆位相回転を与えてもよい。この場合、逆位相回転部208は、時間領域において、式12-4の処理を行う。
【数26】
【0100】
つまり、逆位相回転部208は、第2の受信ストリームデータに対して逆位相回転を与えるが、IDFT及びシンボル順序反転部209bでシンボル順序が反転されるため、式9に定める行列Pの乗算と同じ処理を行う。
【0101】
IDFT部209aは、逆位相回転部208から出力される第1の受信ストリームデータに対し、IDFTを行う。また、IDFT及びシンボル順序反転部209bは、逆位相回転部208から出力される第2の受信ストリームデータに対して、IDFTを行い、各DFTブロックについてシンボル順序を反転させる。
【0102】
逆プリコーディング部210は、図3のプリコーディング部105が用いたプリコーディング行列Gの逆行列を、第1の受信ストリームデータ及び第2の受信ストリームデータに対して乗算し、s1(b,n)、s2(b,n)の推定値を算出する。逆プリコーディング部210の処理を、式12-5に示す。
【数27】
【0103】
データ復調部211a、211bは、逆プリコーディング部210から出力されるs1(b,n)、s2(b,n)の推定値をデータ復調し、ビットデータの推定値を算出する。
【0104】
復号部212a、212bは、ビットデータの推定値に対し、LDPC符号による誤り訂正処理を行う。
【0105】
ストリーム統合部213は、第1の受信ストリームデータと第2の受信ストリームデータを統合し、受信データとしてMAC部215に通知する。
【0106】
ヘッダデータ抽出部214は、受信データからヘッダデータを抽出し、例えばMCS(Modulation and Coding Scheme)、図3の位相回転部109で用いる位相回転量θを決定する。また、ヘッダデータ抽出部214は、逆プリコーディング部210に適用するプリコーディング行列G、IDFT及びシンボル順序反転部209bにおけるシンボル反転処理の有無、及び、逆位相回転部208が用いる位相回転量θを制御しても良い。
【0107】
受信装置200では、MMSEフィルタ部207が、第2の送信ストリームデータが周波数シフトされた送信信号T(b,k)、T(b,k)を用いて推定を行うため、より高い周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。また、受信誤り率が低減し、データスループットが向上する。
【0108】
<実施の形態1の効果>
実施の形態1では、送信装置100は、第2のプリコーデッドシンボルに対して、第1のプリコーデッドシンボルに付加するGIの複素共役を付加し、シンボル順序を反転し、位相回転(位相変更)を与える。
【0109】
これにより、MIMOチャネルにおいて、高い周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。また、通信データの誤り率を下げ、データスループットを向上させることができる。
【0110】
(実施の形態2)
実施の形態1では、送信装置100が、データ変調部104a、104bにおいてπ/2-BPSK変調を行うことによって、MIMO送信を行う場合について説明した。実施の形態2では、送信装置300(図9参照)が、データ変調部104a、104bにおいて、複数のデータ変調方式(例えばπ/2-BPSK変調とπ/2-QPSK変調)を切り替えてMIMO送信を行う場合について説明する。
【0111】
図9は、実施の形態2に係る送信装置300の構成を示す図である。なお、図3と同じ構成要素には同じ番号を付与し、説明を省略する。
【0112】
データ変調部104c、104dは、符号化部103a、103bが出力する符号化データに対し、MAC部101の制御に応じたデータ変調を行う。
【0113】
次に、プリコーディング部105aが、π/2-BPSK変調とπ/2-QPSK変調とによってプリコーディング処理を切り替える例について説明する。
【0114】
図10Aは、π/2-QPSK変調のコンスタレーションの一例を示す図である。データ変調部104c、104dから出力される変調シンボルs(m)及びs(m)は、それぞれ、+1,-1,+j、-jのいずれかの値となる。なお、π/2-BPSK変調のコンスタレーションは、図4Aに示した通りである。
【0115】
プリコーディング部105aは、データ変調部104c、104dにおいて使用されるデータ変調方式に応じてプリコーディング行列を変更し、式13に示すプリコーディング処理を行う。
【数28】
【0116】
データ変調部104c、104dにおいてπ/2-BPSKが使用される場合、プリコーディング部105aは、例えば、式2、式2-3、又は式2-5に示すプリコーディング行列Gを用いる。
【0117】
データ変調部104c、104dにおいてπ/2-QPSKが使用される場合、プリコーディング部105aは、例えば、式14に示すプリコーディング行列Gを用いる。
【数29】
【0118】
プリコーディング部105aが、π/2-BSPKシンボルに対して、式2を用いてプリコーディングを行う場合、コンスタレーションは、π/2-QPSKと同様となる(図4Cを参照)。また、プリコーディング部105aが、π/2-QSPKシンボル(図10A参照)に対して、式14を用いてプリコーディングを行う場合、コンスタレーションは、16QAMと同様となる(図10Bを参照)。
【0119】
π/2-BPSKのシンボル候補点の数は2、π/2-QPSKのシンボル候補点の数は4、π/2-16QAMのシンボル候補点の数は16である。つまり、プリコーディングを行うことにより、コンスタレーションにおけるシンボル候補点の数が増加する。
【0120】
第2の送信RFチェーン処理は、変調方式及びプリコーディング行列Gの種類により異なる。データ変調部104c、104dにおいてπ/2-BPSKが使用され、プリコーディング部105aにおいて式2、式2-3又は式2-5に示すプリコーディング行列Gが使用される場合、送信装置300は、図3の送信装置100と同様に、複素共役GI付加部106b及びシンボル順序反転部107を用いて、第2の送信RFチェーン処理を行う。
【0121】
複素共役GI付加部106bは、プリコーディング部105aの出力x(m)に対し、GIの複素共役を付加する。シンボル順序反転部107は、GIの複素共役が付加された出力x(n)に対して、シンボル順序反転処理を行う。
【0122】
データ変調部104c、104dにおいてπ/2-QPSKが使用され、プリコーディング部105aにおいて式14に示すプリコーディング行列Gが使用される場合、送信装置300は、図3の送信装置100と異なり、GI付加部106cを用いて、第2の送信RFチェーン処理を行う。
【0123】
GI付加部106cは、プリコーディング部105aの出力x(m)に対し、第1のRFチェーン処理においてGI付加部106aが付加するGIと同じGIを付加する。
【0124】
なお、GI付加部106cは、GI付加部106aが付加するGI(GI1)と異なるGI(GI2)を付加してもよい。GI1とGI2に、相互に直交する系列(相互相関が0)が用いられても良い。例えば、GI1には、11ad規格(非特許文献1を参照)に規定されるGa64系列が用いられても良く、GI2には、11ad規格に規定されるGb64系列が用いられても良い。
【0125】
π/2-BPSK変調と、式2、式2-3又は式2-5のプリコーディング行列Gとの組み合わせを、第1のプリコーディング方式タイプと呼ぶ。π/2-QPSK変調と、式14のプリコーディング行列Gとの組み合わせを、第2のプリコーディング方式タイプと呼ぶ。なお、第1のプリコーディング方式タイプと第2のプリコーディング方式タイプの判別方法については、後述する。
【0126】
第1のプリコーディング方式タイプの場合、選択部112aは、データシンボルバッファ108aの出力を選択し、選択部112bは、シンボル順序反転部107の出力を選択する。
【0127】
第2のプリコーディング方式タイプの場合、選択部112aは、GI付加部106aの出力を選択し、選択部112bは、GI付加部106cの出力を選択する。
【0128】
なお、選択部112aは、GI付加部106aの後段に配置されても良い。また、選択部112bは、プリコーディング部105aの後段に配置されても良い。
【0129】
次に、送信装置300が、プリコーディング方式に応じて第2の送信RFチェーン処理を変更する理由について説明する。
【0130】
第1のプリコーディング方式タイプでは、式2-2、式2-4又は式2-6のように、x(b,n)とx(b,n)とは、複素共役の関係にあり、さらに、定数倍された関係にある。したがって、図5B及び図5Cに示したように、周波数領域において、第2の送信RFチェーン処理の信号は、第1の送信RFチェーン処理の信号の周波数を反転したものであり、第1の送信RFチェーン処理の信号と複素共役の関係にある。
【0131】
一方、第2のプリコーディング方式タイプでは、x(b,n)とx(b,n)とは、複素共役の関係に無い。したがって、図11A及び図11Bに示すように、周波数領域において、第1の送信RFチェーン処理の信号と第2の送信RFチェーン処理の信号とは、同一の周波数で送信される。例えば、X(b,k)とX(b,k)とは同一の周波数で送信され、X(b,-k)とX(b,-k)とは同一の周波数で送信される。
【0132】
式15を満たす複素数bが存在する場合は、第1のプリコーディング方式タイプに該当する。
【数30】
【0133】
以上の考察から、送信装置300は、第1のプリコーディング方式タイプでは、第2の送信RFチェーン処理において複素共役のGIを付加し、シンボル順序を反転する。つまり、選択部112bは、シンボル順序反転部107からの出力を選択する。一方、第2のプリコーディング方式タイプでは、第2のRFチェーン処理において、第1のRFチェーン処理と同じGIを付加し、シンボル順序の反転を行わない。つまり、選択部112bは、GI符号部106cからの出力を選択する。
【0134】
これにより、送信装置300は、データ変調方式及びプリコーディング行列の種類に関わらず、図6E図6Fに示すように、位相回転部109が与える位相回転θ(及び、θから式9-1を用いて換算されるd)に応じた周波数ダイバーシチ効果を実現できる。
【0135】
π/2-BPSKでは、式2のプリコーディング行列を用いることにより、プリコーディング後のコンスタレーションは、QPSKと同等となる(図4Bを参照)。この場合は、第1のプリコーディング方式タイプが該当する。また、π/2-QPSKでは、式14のプリコーディング行列を用いることにより、プリコーディング後のコンスタレーションは、16QAMと同等となる(図10Bを参照)。この場合は、第2のプリコーディング方式タイプが該当する。
【0136】
なお、選択部112a、112bは、π/2-BPSK変調では、プリコーディング方式のタイプに応じて、入力データを選択してもよい。
【0137】
また、送信装置300は、プリコーディングを行わない送信時におけるπ/2-QPSK及びπ/2-16QAMと同じ送信パラメータを用いて送信してもよい。送信パラメータは、例えば、送信F/E回路110a、110bのRFアンプのバックオフの設定値を含む。すなわち、送信装置300は、変調方式に応じて、式2又は式14のいずれかを用いてプリコーディングを行ってもよい。これにより、送信F/E回路110a、110bの構成を変更することなく送信できる。以下、その理由を説明する。
【0138】
一般的なミリ波通信では、送信F/E回路におけるRFアンプのバックオフの設定値は、送信コンスタレーション配置(図10A図10Bなど)に応じて適切に設定及び変更される。例えば、図10Bのような16QAMでは、平均電力に対するピーク電力(PAPR)が大きくなるため、RFアンプのバックオフを大きくし、RFアンプにて信号が飽和しないように設定される。また、プリコーディング処理を施すことによって送信信号のコンスタレーションの配置が変わるため、送信F/E回路の設定は変更される。
【0139】
これに対して、本実施の形態に係る送信装置300では、例えば式2及び式14を用いることで、プリコーディング処理を施すことによって、プリコーディング処理の前のコンスタレーション配置とは異なるが、既知の変調と同じコンスタレーション配置となる。すなわち、プリコーディング処理の有無にかかわらず、送信信号は、既知のコンスタレーション配置となるので、送信F/E回路の構成及び設定の変更が不要となり、制御が容易となる。
【0140】
<実施の形態2の効果>
実施の形態2では、送信装置300は、第1のプリコーデッドシンボルと第2のプリコーデッドシンボルとが複素共役の関係にある場合、第2のプリコーデッドシンボルに対して、第1のプリコーデッドシンボルに付加するGIの複素共役を付加し、シンボル順序を反転し、位相回転(位相変更)を与える。
【0141】
これにより、MIMOチャネルにおいて、複数のデータ変調方式を切り替えることができ、高い周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。また、通信データの誤り率を下げ、データスループットを向上させることができる。
【0142】
(実施の形態2の変形例)
実施の形態2では、送信装置300が、π/2-BPSK変調の場合、シンボル順序反転部107においてデータシンボル及びGIのシンボルにシンボル順序反転を行うMIMO送信について説明した。実施の形態2の変形例では、送信装置400(図12参照)が、GI付加部106d、106eにおいて、ストリーム毎に異なる系列(例えば直交する系列)を付加したMIMO送信について説明する。
【0143】
図12は、実施の形態2の変形例に係る送信装置400の構成を示す図である。なお、図9と同じ構成要素には同じ番号を付与し、説明を省略する。
【0144】
GI付加部106d、106eは、選択部112a、112b及び位相回転部109より後段に配置する。図9の送信装置300と異なり、送信装置400は、変調方式に関わらずストリーム毎に定められたGIシンボルを付加しても良い。
【0145】
図13及び図14は、送信装置400のGI付加部106d、106eの出力(v3、v4)の送信シンボルフォーマットの一例を示す図である。図13はデータシンボルの変調がπ/2-BPSK変調である場合、図14はデータシンボルの変調がπ/2-BPSK変調以外である場合を示す。
【0146】
GI付加部106dは、プリコーデッドシンボルx(m)を、448シンボル毎のデータブロックに分割し、各データブロックの前段に64シンボルのGI(GI(p))を付加する。GIは、既知の系列をπ/2-BPSK変調したシンボル系列である。さらに、GI付加部106dは、最後のデータブロックの後段に64シンボルのGIを付加する。これにより、図13及び図14に示すような送信シンボルv3が生成される。なお、これらのシンボル数は一例であり、本実施の形態は、これら以外のシンボル数であってもよい。
【0147】
同様に、GI付加部106eも、プリコーデッドシンボルx(m)を、448シンボル毎のデータブロックに分割し、各データブロックの前段に64シンボルのGI(GI(p))を付加し、最後のデータブロックの後段に64シンボルのGIを付加する。これにより、図13及び図14に示すような送信シンボルv4が生成される。GI付加部106eが付加するGIは、GI付加部106dが付加するGIと異なる系列であっても良い。
【0148】
受信装置200は、図13及び図14のフォーマットを有する送信装置400の送信信号を受信した場合、実施の形態1に示したように、式12-2を用いてMMSE等化を行い、受信処理を行ってもよい。
【0149】
受信装置200は、MMSE等化されたGIシンボル(MMSEフィルタ部207の出力のうちGIに係る部分)と、既知のGIシンボルとを比較し、チャネル推定行列の誤差を検出してチャネル推定行列の補正を行ってもよい。GI(p)とGI(p)が直交系列である場合、MMSE等化により推定されたGI(p)と、既知のGI(p)との相関を算出する。この算出では、MMSE等化の残留誤差が軽減され、例えば位相ずれの値が高精度に算出される。よって、チャネル推定行列を高精度に補正し、受信性能を改善できる。
【0150】
次に、受信装置200のMMSEフィルタ部207が図13及び図14のフォーマットを有する送信装置400の送信信号を受信する別の方法について説明する。
【0151】
受信装置200は、GI(p)及びGI(p)のレプリカ信号を、式16により生成する。ここで、レプリカ信号とは、既知パターン(例えばGI(p)及びGI(p))を送信した場合に、受信アンテナで受信される信号の推定値であり、既知パターンににチャネル行列(式12参照)を乗算することにより算出される。
【数31】
【0152】
式16において、XG1(k)及びXG2(k)は、GI時間領域信号(シンボル)GI(p)及びGI(p)をDFTした信号(GIの周波数領域信号)である。また、YG1(k)及びYG2(k)は、GI(p)及びGI(p)を受信装置200が受信した場合の周波数領域信号である。YG1(k)及びYG2(k)に記号「^」を付与することにより、推定値であることを示す。
【0153】
受信装置200は、式17により、受信信号Y(b,k)からY^G1(k)を差し引いて受信信号に含まれるデータ信号成分Y^D1(k)を推定し、Y(b,k)からY^G2(k)を差し引いてデータ信号成分Y^D2(k)を推定する。
【数32】
【0154】
受信装置200は、推定したデータ信号成分Y^D1(k)及びY^D2(k)を入力としてMMSE等化を行うことにより、送信データシンボルの推定値T^D1(k)及びT^D2(k)を算出する。
【数33】
【0155】
式18で行う計算処理は式12-2と同様であるが、式12-2の入力Y(b,k)及びY(b,k)はデータ及びGIの信号成分を含むのに対し、式18の入力Y^D1(k)及びY^D2(k)はGIの信号成分が差し引かれたデータの信号成分を含む点が異なる。
【0156】
MMSEフィルタ部207は、送信装置400の送信信号を受信する場合、ストリーム毎のGIは複素共役及び時間順序反転の関係ではないため、GIのシンボルの復調において、実施の形態1と同様の周波数ダイバーシチ効果を得ることは困難である。よって、GIのシンボルからデータシンボルへのシンボル間干渉がMMSE等化後に残留し、受信性能が低下する場合がある。
【0157】
ここで、MMSEフィルタ部207は、送信装置400の送信信号を受信する場合、式16、式17及び式18を用いてGIのシンボルレプリカを受信信号から差し引いてMMSE等化を行う。すなわち、GIの影響を軽減してデータシンボルのMMSE等化を行う。
【0158】
受信装置200は、MMSEフィルタ部207が式18を用いて生成した送信データシンボルの推定値T^D1(k)及びT^D2(k)に対して、逆位相回転及び逆プリコーディングを含む実施の形態1及び実施の形態2と同様の受信処理を行う。
【0159】
<実施の形態2の変形例の効果>
実施の形態2の変形例では、送信装置400は、第1のプリコーデッドシンボルと第2のプリコーデッドシンボルとが複素共役の関係にある場合、第2のプリコーデッドシンボルに対して、シンボル順序を反転し、位相回転(位相変更)を与える。また、第1のプリコーデッドシンボルと第2のプリコーデッドシンボルに異なるGIを挿入する。
【0160】
これにより、MIMOチャネルにおいて、複数のデータ変調方式を切り替えることができ、高い周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。また、通信データの誤り率を下げ、データスループットを向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本開示は、複数のアンテナから変調信号を送信する通信システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0162】
100、300、400 送信装置
101 MAC部
102 ストリーム生成部
103a、103b 符号化部
104a、104b、104c、104d データ変調部
105、105a プリコーディング部
106a、106c、106d、106e GI付加部
106b 複素共役GI付加部
107 シンボル順序反転部
108a、108b データシンボルバッファ
109 位相回転部
110a、110b 送信F/E回路
111a、111b 送信アンテナ
112a、112b 選択部
200 受信装置
201a、201b 受信アンテナ
202a、202b 受信F/E回路
203a、203b 時間領域同期部
204 チャネル推定部
205a、205b DFT部
206 MMSEウェイト計算部
207 MMSEフィルタ部
208 逆位相回転部
209a IDFT部
209b IDFT及びシンボル順序反転部
210 逆プリコーディング部
211a、211b データ復調部
212a、212b 復号部
213 ストリーム統合部
214 ヘッダデータ抽出部
215 MAC部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14