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特許7015138着色感光性樹脂組成物、これを利用して製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】着色感光性樹脂組成物、これを利用して製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20220126BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20220126BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220126BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220126BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20220126BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20220126BHJP
   G03F 7/038 20060101ALN20220126BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/031
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
C08F2/50
C08F2/44 A
G03F7/038 503
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017200796
(22)【出願日】2017-10-17
(65)【公開番号】P2018066992
(43)【公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-04-10
(31)【優先権主張番号】10-2016-0137519
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンボ・リ
(72)【発明者】
【氏名】フンシク・キム
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-237570(JP,A)
【文献】特開平09-124972(JP,A)
【文献】特開2004-317897(JP,A)
【文献】特開2016-143062(JP,A)
【文献】特開2009-069822(JP,A)
【文献】特開2014-146018(JP,A)
【文献】国際公開第2010/038978(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G02B 5/20
G02F 1/1335
C08F 2/50
C08F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤を含む着色感光性樹脂組成物であって、
前記着色剤は、ブルー顔料、ブラウン顔料、及びバイオレット顔料を含み、
前記ブルー顔料は、前記着色剤全体重量を基準として5~70重量%含まれ、
前記ブラウン顔料は、前記着色剤全体重量を基準として30~95重量%含まれることを特徴とする着色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ブルー顔料は、C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、16、21、28、60、64および76からなる群から選択される1以上を含むものである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ブラウン顔料は、C.I.ピグメントブラウン26、28、83および93からなる群から選択される1以上を含むものである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記バイオレット顔料は、C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37および38からなる群から選択される1以上を含むものである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記着色剤は、前記着色感光性樹脂組成物全体重量を基準として3~50重量%で含まれるものである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、溶剤および添加剤からなる群から選択される1種以上をさらに含むものである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記光重合開始剤は、オキシム系化合物を含むものである、請求項6に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載された着色感光性樹脂組成物の硬化物を含む、カラーフィルター。
【請求項9】
前記カラーフィルターは、パターン層、ブラックマトリックスおよびカラムスペーサーを含むものの、
前記ブラックマトリックスおよびカラムスペーサーのうち選択される一つ以上は前記着色感光性樹脂組成物の硬化物である、請求項8に記載のカラーフィルター。
【請求項10】
前記ブラックマトリックスおよびカラムスペーサーは一体型である、請求項9に記載のカラーフィルター。
【請求項11】
請求項8に記載されたカラーフィルターを含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着色感光性樹脂組成物、これを利用して製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは、撮像素子、液晶表示装置(LCD)などの各種表示装置に広く利用されるもので、その応用範囲が急速に拡大されている。前記カラーフィルターは、レッド(Red)、グリーン(Green)およびブルー(Blue)の三つのカラー着色パターンを含むか、イエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)およびシアン(Cyan)の三つのカラー着色パターンを含み、各着色パターンの間に位置してピクセルの間の光漏れを防止するブラックマトリックス、各画素間の段差を補正して平坦度を向上させるオーバーコート(OC;over coat)、二つの基板の間のセルギャップ(Cell-gap)を維持するカラムスペーサー(CS;column spacer)を含んで構成され得る。
【0003】
前記表示装置に広く利用されるカラーフィルターは、通常ブラックマトリックスパターンが形成された基板上にそれぞれのパターンの色に相当する顔料分散組成物を含有する着色感光性樹脂組成物をスピンあるいはスリットコーティングによって均一に塗布した後、加熱乾燥して形成された塗膜を露光および現像し、必要に応じて追加の加熱硬化操作を色ごとに繰り返すことによって、各色の画素を形成して製造しており、また、前記のコーティング方式ではない、インクジェット法および印刷法などの現像工程が不要な工程においても、前記顔料分散組成物を着色材料として使用した着色感光性樹脂組成物を利用してカラーフィルターを製造している。
【0004】
ブラックマトリックスまたはカラムスペーサーの場合には、通常カーボンブラックを着色剤として含有する着色感光性樹脂組成物が利用されていたが、カーボンブラックは電気抵抗が小さい短所がある。そこで、カーボンの表面処理を通じて高抵抗材料として応用しているとはいるものの、カーボンブラックの場合、着色感光性樹脂組成物で製造した時、カーボン材料の特性のため、誘電率が向上することを制御するのが困難であり、とりわけ、近赤外線(Near-IR)の透過率特性が非常に悪い。
【0005】
着色感光性樹脂組成物を利用したカラーフィルターは、高輝度、高コントラストなどの物性が要求されており、特に、最近では着色感光性樹脂組成物を利用したカラーフィルターが各種画像表示装置をはじめとする多様な分野で使用されるにつれ高信頼性が要求されている。
【0006】
大韓民国登録特許第0,860,432号は黒色感光性組成物に関するもので、光重合性化合物、光重合開始剤を含み、形状安定剤として含まれる有機顔料と黒色顔料を特定質量比で含むことを特徴とする。
【0007】
しかし、前記文献の場合、近赤外線(Near-IR)透過率特性が悪く、何よりも、信頼性を高めるためには残膜率が高くなければならないという点を認識できていない。
【0008】
したがって、近赤外線透過率または光学密度が向上するか、残膜率が優秀なカラーフィルターの製造が可能な着色感光性樹脂組成物の開発が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】大韓民国登録特許第0,860,432号(2008.09.19.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、残膜率が高くて信頼性の優秀なカラーフィルターの製造が可能な着色感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は近赤外線透過率または光学密度が優秀なカラーフィルターが製造できる着色感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は前述した着色感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、着色剤を含む着色感光性樹脂組成物であって、前記着色剤は前記着色剤全体重量を基準として、ブルー顔料5~70重量%;およびブラウン顔料30~95重量%;を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は前述した着色感光性樹脂組成物の硬化物を含むカラーフィルターおよびこれを含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、ブルー顔料とブラウン顔料を特定含量で含む着色剤を含むことによって、高い残膜率、近赤外線透過率特性または光学密度が優秀なカラーフィルターの製造が可能な利点がある。
【0016】
また、本発明の着色感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターおよびこれを含む画像表示装置は、近赤外線透過率、光学密度または残膜率が優秀な利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0019】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
<着色感光性樹脂組成物>
本発明の一態様は、着色剤を含む着色感光性樹脂組成物であって、前記着色剤は前記着色剤全体重量を基準として、ブルー顔料5~70重量%;およびブラウン顔料30~95重量%;を含む着色感光性樹脂組成物に関するものである。
【0021】
着色剤
本発明に係る着色剤は着色剤全体重量を基準として、ブルー顔料5~70重量%;およびブラウン顔料30~95重量%を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、着色剤全体固形分100重量%を基準として前記範囲内で含まれるブルー顔料およびブラウン顔料を含むので近赤外線透過度を向上させることができ、したがって、光学密度が優秀なカラーフィルターの製造が可能な利点がある。また、残膜率が優秀であるため高い信頼性を有するカラーフィルターの製造が可能である。
【0023】
前記残膜率とは、後熱処理後の膜厚を後熱処理前の膜厚で割ってから100をかけた値であり、残膜率が高いということは膜厚の変化率が小さいことを意味し、したがって、信頼性が優秀であることを意味する。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記ブルー顔料は、C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、16、21、28、60、64および76からなる群から選択される1以上を含むことができる。
【0025】
前記ブルー顔料は、前記着色剤全体固形分重量を基準として5~70重量%、具体的には8~65重量%、さらに具体的には10~60重量%で含まれ得る。
【0026】
前記ブルー顔料が前記範囲内で含まれる場合、残膜率が優秀であるか近赤外線透過度および光学密度が優秀なカラーフィルターの製造が可能な利点がある。前記ブルー顔料が前記範囲未満で含まれる場合、近赤外線透過度が多少低下され得、前記範囲を超過する場合、光学密度が多少低下され、残膜率が多少低下され得るため前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0027】
前記ブラウン顔料は例えば、C.I.ピグメントブラウン26、28、83および93からなる群から選択される1以上を含むことができる。前記ブラウン顔料は、前記着色剤全体固形分100重量%に対して30~95重量%、具体的には32~93重量%、さらに具体的には35~90重量%で含まれ得る。
【0028】
前記ブラウン顔料が前記範囲内で含まれる場合、残膜率、近赤外線透過度または光学密度が優秀なカラーフィルターを製造できる着色感光性樹脂組成物を得ることができる。前記ブラウン顔料が前記範囲未満で含まれる場合、近赤外線透過度、光学密度が多少低下され得、前記範囲を超過する場合、光学密度または残膜率が多少低下され得る問題が発生する可能性があるため前記範囲内で含むことが好ましい。
【0029】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、前記ブルー顔料および前記ブラウン顔料を前記範囲内で一緒に含むことによって、近赤外線透過度および光学密度の向上が可能な利点がある。特に、残膜率の向上を最大化させることによって信頼性の優秀なカラーフィルターの製造が可能な利点がある。
【0030】
本発明のさらに他の実施形態において、前記着色剤はバイオレット顔料をさらに含むことができる。
【0031】
本発明のさらに他の実施形態において、前記バイオレット顔料はC.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37および38からなる群から選択される1以上を含むことができる。
【0032】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物が前記バイオレット顔料をさらに含む場合、低い色変化率、高い残膜率または優秀な光学密度を示すことができてので好ましい。
【0033】
前記バイオレット顔料は、前記着色剤固形分全体100重量%に対して1~15重量%、具体的には3~9重量%、さらに具体的には4~8重量%で含まれ得るがこれに限定されない。
【0034】
本発明のさらに他の実施形態において、前記着色剤は前記着色感光性樹脂組成物全体重量を基準として3~50重量%、具体的には5~20重量%、さらに具体的には6~10重量%で含まれ得る。
【0035】
前記着色剤が前記範囲未満で含まれる場合、着色力が多少低下され得、前記範囲を超過して含まれる場合、耐溶剤性または密着力が低下される恐れがあり、工程的な側面で好ましくないため、前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0036】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物がブラックマトリックスとして使われる場合、前記着色剤は遮光性を付与するためにブラックマトリックスの光漏れを防止する役割を遂行することができ、本発明に係る着色感光性樹脂組成物がカラムスペーサーとして使われる場合、一定の弾性率を維持しながら、セルギャップを維持させ得る役割を遂行することができる。
【0037】
前記ブラックマトリックスおよびカラムスペーサーは一体型であり得る。要するに、本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、ブラックマトリックス一体型カラムスペーサーの製造に使うことができる。前記ブラックマトリックス一体型スペーサーは、ブラックマトリックスとカラムスペーサーをそれぞれ形成するのではなく、一つのパターンでブラックマトリックスとカラムスペーサーの役割をすべて遂行できるものであって、本発明に係る着色感光性樹脂組成物を使うことができる。
【0038】
前記着色剤は、前記ブラウン顔料およびブルー顔料、前記バイオレット顔料以外にもさらに他の顔料を含むことができる。
【0039】
前記顔料は、当該分野で一般的に使われる有機顔料または無機顔料を使うことができる。
【0040】
また、前記顔料は、必要に応じて、レジン処理、酸性基または塩基性基が導入された顔料誘導体などを利用した表面処理、高分子化合物などによる顔料表面のグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水などによる洗浄処理またはイオン交換法などによるイオン性不純物の除去処理などを実施することもできる。
【0041】
前記有機顔料は、印刷インク、インクジェットインクなどに使われる各種顔料を使うことができ、具体的には水溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアントラキノニル顔料、アントラピリミジン顔料、アンタントロン顔料、インダントロン顔料、フラバントロン顔料、ピラントロン顔料、ジケトピロロピロール顔料などが挙げられる。
【0042】
また、前記無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩などの金属化合物を使用することができ、具体的には鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン、カーボンブラック、有機ブラック顔料、チタニウムブラックおよび赤色、緑色および青色を混合して黒色を帯びる顔料などの金属の酸化物または複合金属酸化物などが挙げられる。
【0043】
前記顔料は、その粒径が均一に分散した顔料分散液を使うことが好ましい。前記顔料の粒径を均一に分散させるための方法の一例として、顔料分散剤を含有させて分散処理する方法などが挙げられ、この方法によれば、顔料が溶液中に均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができるので好ましい。
【0044】
前記顔料分散剤は、例えば陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、陽性、ポリエステル系、ポリアミン系などの界面活性剤などが挙げられ、これらはそれぞれ単独または2種以上を組み合わせて使うことができるが、これに限定されない。
【0045】
前記顔料分散剤は、顔料の脱凝集および安定性維持のために添加されるものであって、当該分野で一般に使われるものを制限なく使うことができる。
【0046】
前記顔料分散剤は、例えばLubrisol社の商品名:ソルスパース5000を使うことができるが、これに限定されず、この他にもBMA(ブチルメタアクリレート)またはDMAEMA(N,N-ジメチルアミノエチルメタアクリレート)を含むアクリレート系分散剤を含有することもできる。この時、前記アクリレート系分散剤は、韓国公開特許2004-0014311号に開示されている通り、リビング制御方法によって製造されたものを適用することが好ましいが、前記リビング制御方法を通じて製造されたアクリレート系分散剤の市販品としては、DISPER BYK-2000、DISPER BYK-2001、DISPER BYK-2070、DISPER BYK-2150などが挙げられる。
【0047】
前記例示されたアクリル分散剤は、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使うことができる。
【0048】
前記顔料分散剤は、前記したアクリル分散剤の他に他の樹脂タイプの顔料分散剤を使うこともできる。前記他の樹脂タイプの顔料分散剤としては、公知された樹脂タイプの顔料分散剤、特にポリウレタン、ポリアクリレートで代表されるポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の(部分的)アミン塩、ポリカルボン酸のアンモニウム塩、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアミドホスフェート塩、ヒドロキシ基-含有ポリカルボン酸のエステルおよびこれらの改質生成物、またはフリー(free)カルボキシ基を有するポリエステルとポリ(低級アルキレンイミン)の反応によって形成されたアミドまたはこれらの塩のような乳質の分散剤;(メタ)アクリル酸-スチレンコポリマー、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリレートエステルコポリマー、スチレン-マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンのような水溶性樹脂または水溶性ポリマー化合物;ポリエステル;改質ポリアクリレート;エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドの付加生成物およびホスフェートエステルなどが挙げられる。
【0049】
前記した樹脂型分散剤の市販品として、陽イオン系樹脂分散剤としては、例えば、BYK(ビックケミー社)の商品名:DISPER BYK-160、DISPER BYK-161、DISPER BYK-162、DISPER BYK-163、DISPER BYK-164、DISPER BYK-166、DISPER BYK-171、DISPER BYK-182、DISPER BYK-184;BASF社の商品名:EFKA-44、EFKA-46、EFKA-47、EFKA-48、EFKA-4010、EFKA-4050、EFKA-4055、EFKA-4020、EFKA-4015、EFKA-4060、EFKA-4300、EFKA-4330、EFKA-4400、EFKA-4406、EFKA-4510、EFKA-4800;Lubirzol社の商品名:SOLSPERS-24000、SOLSPERS-32550、NBZ-4204/10;川研ファインケミカル社の商品名:ヒノアクト(HINOACT)T-6000、ヒノアクトT-7000、ヒノアクトT-8000;味の素社の商品名:アジスパー(AJISPUR)PB-821、アジスパーPB-822、アジスパーPB-823;共栄社化学社の商品名:フローレン(FLORENE)DOPA-17HF、フローレンDOPA-15BHF、フローレンDOPA-33、フローレンDOPA-44;などが挙げられる。前記したアクリル分散剤の他に他の樹脂タイプの顔料分散剤は、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使うことができ、アクリル分散剤と併用して使うこともできる。
【0050】
前記分散剤の含量は、前記顔料の固形分を基準として5~70重量%、さらに好ましくは15~68重量%で含まれ得るが、これに限定されない。ただし、前記分散剤の含量が前記基準で含まれる場合、分散後ゲル化のような現象を防止することができるので好ましい。前記分散剤の含量が5重量%未満である場合、顔料の微粒化が多少困難となり得、または分散後にゲル化現象が発生し得、前記分散剤の含量が70重量%を超過する場合、粘度が多少高くなる問題が発生し得る。
【0051】
本発明のさらに他の実施形態において、前記着色感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、溶剤および添加剤からなる群から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0052】
アルカリ可溶性樹脂
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含むことができる。
【0053】
前記アルカリ可溶性樹脂は、光または熱の作用による反応性およびアルカリ溶解性を有し、着色剤をはじめとする固形分の分散媒として作用し、結着樹脂の機能を遂行することができる。
【0054】
本発明に係るアルカリ可溶性樹脂は、50~200(KOH mg/g)の酸価を有するものを選定して使う。酸価は、アクリル系重合体1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)で測定される値であって、溶解性に関与する。前記アルカリ可溶性樹脂の酸価が前記範囲未満であると十分な現像速度の確保が難しく、逆に前記範囲を超過すると基板との密着性が減少してパターンの短絡が容易に発生し、全体組成物の貯蔵安定性が低下して粘度が上昇する問題が発生する。
【0055】
また、前記アルカリ可溶性樹脂は、カラーフィルターとして使うための表面硬度向上のために分子量および分子量分布度(Mw/Mn)の限定を考慮することができる。好ましくは、重量平均分子量が3,000~30,000、より好ましくは5,000~20,000になるようにし、分子量分布度は1.5~6.0、好ましくは1.8~4.0の範囲を有するように直接重合するか購入して使う。前記範囲の分子量および分子量分布度を有するアルカリ可溶性樹脂は、すでに言及した硬度が向上し、高い残膜率を有するだけでなく、現像液中の非露出部の溶解性が優秀で解像度を向上させることができる。
【0056】
前記アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシ基含有不飽和単量体の重合体、またはこれと共重合可能な不飽和結合を有する単量体との共重合体およびこれらの組合わせからなる群から選択された1種以上を含む。
【0057】
このとき、カルボキシ基含有不飽和単量体は不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などが可能である。具体的には、不飽和モノカルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、ケイ皮酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は酸無水物であり得、具体的にはマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2-メタクリロイルオキシアルキル)エステルであり得、例えば琥珀酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、琥珀酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであり得、例えばω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。これらカルボキシ基含有単量体はそれぞれ単独または2種以上を混合して使うことができる。
【0058】
また、カルボキシ基含有不飽和単量体と共重合が可能な単量体は、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物、不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物、カルボン酸ビニルエステル化合物、不飽和エーテル類化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和イミド類化合物、脂肪族共役ジエン類化合物、分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有する巨大単量体、バルキー性単量体およびこれらの組合わせからなる群から選択された1種が可能である。
【0059】
より具体的には、前記共重合可能な単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレ-ト、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエチルメタクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロール モノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、ペンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド化合物;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;およびポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレ-ト、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有する巨大単量体類;比誘電定数値を下げることができるノルボルニル骨格を有する単量体、アダマンタン骨格を有する単量体、ロジン骨格を有する単量体などのバルキー性単量体が使用可能である。
【0060】
前記アルカリ可溶性樹脂は、着色感光性樹脂組成物の固形分全体重量を基準として10~80重量%、具体的には10~70重量%、さらに具体的には30~45重量%で含まれ得る。
【0061】
前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲内で含まれる場合、現像液での溶解性が充分であるのでパターンの形成が容易となり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止されて非画素部分の漏れ性が良好となるので好ましい。
【0062】
前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲未満で含まれる場合、非画素部分が多少漏れる可能性があり、前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲を超過して含まれる場合、現像液での溶解性が多少低下してパターンの形成が多少難しくなり得る。
【0063】
光重合性化合物
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物は、光および後述する光重合開始剤の作用で重合できる化合物であって、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0064】
前記単官能単量体の種類は特に限定されず、例えばノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0065】
前記2官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0066】
前記多官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレイテットトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレイテットトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシレイテットジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシレイテットジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0067】
前記光重合性化合物の市販品の例としては、味元商社のMiramer M600などがあるが、これに限定されない。
【0068】
前記光重合性化合物は、前記着色感光性樹脂組成物全体重量を基準として1~20重量%、好ましくは1~15重量%、さらに好ましくは2~10重量%で含まれ得、前記範囲内で含まれる場合、画素部の強度や平滑性の側面で好ましい利点がある。
【0069】
前記光重合性化合物が前記範囲未満で含まれる場合、画素部の強度が多少低下され得、前記光重合性化合物が前記範囲を超過して含まれる場合、平滑性が多少低下され得るため前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0070】
光重合開始剤
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含むことができる.前記光重合開始剤は、オキシム系化合物を含む。前記オキシム系化合物は例えば、0-エトキシカルボニル-α-オキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)(Irgacure OXE-02、Ciba)などが挙げられるがこれに限定されない。
【0071】
本発明に係る光重合開始剤がオキシム系化合物を含む場合、オキシム系化合物の構造的な特徴によって他の構造の化合物を含む開始剤と比べてパターンの形成が容易であり、パターンの維持が優秀な利点がある。
【0072】
前記光重合開始剤は、前記着色感光性樹脂組成物全体重量を基準として0.1~5重量%、具体的には0.3~3重量%、さらに具体的には0.4~1重量%で含まれ得、この場合、前記着色感光性樹脂組成物が高感度化されて露光時間が短縮されるので生産性が向上し、高い解像度を維持することができるので好ましい。また、前記着色感光性樹脂組成物を使って形成した画素部の強度と前記画素部の表面での平滑性が良好となる利点がある。
【0073】
溶剤
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる溶剤は特に制限されず、着色感光性樹脂組成物の分野で使われている各種有機溶剤を使うことができる。
【0074】
前記溶剤は、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、などのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルコキシアルキルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類;γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0075】
前記の溶剤は、塗布性および乾燥性の面で、好ましくは前記溶剤の中で沸点が100℃~200℃である有機溶剤が挙げられ、より好ましくはアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、さらに好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。これらの溶剤はそれぞれ単独でまたは二種類以上混合して使うことができる。
【0076】
本発明の着色感光性樹脂組成物中の溶剤の含量は、それを含む着色感光性樹脂組成物全体重量を基準として20~85重量%で含まれ得、25~85重量%で含まれることが好ましく、30~80重量%で含まれることがより好ましい。
【0077】
前記溶剤の含量が前記範囲以内で含まれる場合には、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好となり得るため好ましい。前記溶剤の含量が前記範囲未満で含まれる場合、塗布性が多少低下することによって工程が多少難しくなり得、前記範囲を超過する場合、前記着色感光性樹脂組成物で形成されたカラーフィルターの性能が多少低下され得る問題が発生し得る。
【0078】
添加剤
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、コーティング性または密着性を増進させるために密着促進剤、界面活性剤のような添加剤をさらに含むことができる。
【0079】
前記密着促進剤は、基板との密着性を高めるために添加され得るものであって、カルボキシ基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基およびこれらの組合わせからなる群から選択される反応性置換基を有するシランカップリング剤を含むことができるがこれに限定されるものではない。例えば、前記シランカップリング剤はトリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これは単独および二種以上を組み合わせて使うことができる。
【0080】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物が前記界面活性剤を含む場合、コーティング性が向上され得る利点がある。例えば、前記界面活性剤は、BM-1000、BM-1100(BM Chemie社)、FLUORAD FC-135/FC-170C/FC-430(住友スリーエム(株))、SH-28PA/-190/SZ-6032(東レシリコーン(株))などのフッ素系界面活性剤を使うことができるが、これに限定されない。
【0081】
この他にも本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤のような添加剤をさらに含むこともでき、前記添加剤も本発明の効果を阻害しない範囲で当業者が適切に追加して使用可能である。例えば、前記添加剤は前記着色感光性樹脂組成物全体重量を基準として0.05~10重量%、具体的には0.1~10重量%、さらに具体的には0.1~5重量%で使うことができるがこれに限定されるものではない。
【0082】
<カラーフィルター>
本発明のさらに他の様態は、前述した着色感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターに関するものである。
【0083】
本発明のさらに他の実施形態において、前記カラーフィルターはパターン層、ブラックマトリックスおよびカラムスペーサーを含むものの、前記ブラックマトリックスおよびカラムスペーサーのうち選択される一つ以上は前記着色感光性樹脂組成物の硬化物であり得る。
【0084】
本発明のさらに他の実施形態において、前記ブラックマトリックスおよびカラムスペーサーは一体型であり得る。
【0085】
前記パターン層は当業界で使う通常の方法によって製造され得、本発明では前記製造方法を限定しない。
【0086】
前記基板は、前記カラーフィルター自体が基板であり得、またはディスプレイ装置などにカラーフィルターが位置する部位であり得るもので、特に制限されない。前記基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)または高分子基板であり得、前記高分子基板はポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などであり得る。
【0087】
具体的には、前記ブラックマトリックス、カラムスペーサーは本発明の着色感光性樹脂組成物を含む層であり得、前記着色感光性樹脂組成物を塗布し所定のパターンで露光、現像および熱硬化して形成された層であり得る。前記パターン層、ブラックマトリックス、カラムスペーサーまたはブラックマトリックス一体型カラムスペーサーを含むカラーフィルターの製造方法は、当業界で通常的に知られている方法を遂行することによって形成することができる。
【0088】
<画像表示装置>
また、本発明の他の様態は前述したカラーフィルターを含む画像表示装置に関するものである。
【0089】
本発明のカラーフィルターは、通常の液晶表示装置だけでなく、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などの各種画像表示装置に適用可能である。
【0090】
本発明に係る画像表示装置は、ブルー顔料5~70重量%;およびブラウン顔料30~95重量%;を含む着色剤を含むため近赤外線透過度が優秀であり、したがって、光学密度が優秀な利点があり、また、残膜率が優秀であるため高い信頼性を有する利点がある。
【実施例
【0091】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は、多様な他の形態に変形され得、本明細書の範囲は以下で説明される実施例に限定されない。本明細書の実施例は、当業界で平均的な知識を有した者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。また、以下で含量を表わす「%」および「部」は、特に言及しない限り重量基準である。
【0092】
合成例:アルカリ可溶性樹脂
撹半機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を具備したフラスコを準備した。モノマー滴下ロートとして、3,4-エポキシトリシクロデカン-8-イル(メタ)アクリレートと3,4-エポキシトリシクロデカン-9-イル(メタ)アクリレートをモル比50:50で混合した混合物40重量部、メチルメタクリレ-ト50重量部、アクリル酸40重量部、ビニルトルエン70重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40重量部を添加して撹はんを準備した。連鎖移動剤滴下槽として、n-トデカンチオール6重量部、PGMEA 24重量部を添加して撹はんを準備した。その後、フラスコにPGMEA 395重量部を添加してフラスコ内の雰囲気を空気から窒素に交換した後、撹はんしてフラスコの温度を90℃まで昇温させた。その後、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しながらそれぞれ2時間の間進行し、1時間後に110℃まで昇温して5時間の間維持して固形分の酸価が100mgKOH/gである樹脂を得た。
【0093】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定はGPC法で下記の条件で測定した。
【0094】
HLC-8120GPC(東ソー(株)製造)装置を使った。TSK-GELG4000HXLとTSK-GELG2000HXLカラムを直列連結して使用し、カラムの温度は40℃にした。テトラヒドロフランを移動床の溶媒として使用し、1.0mL/分の流速で流しながら測定した。測定試料の濃度は、0.6重量%であり、注入量は50μlであり、RI検出器を使って分析した。較正用標準物質としては、TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-1、A-2500、A-500(東ソー(株)製造)を使用し、前記条件で得られたアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量と数平均分子量を測定した。
【0095】
GPCによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は17,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0096】
着色感光性樹脂組成物の製造
下記の表1に記載されている組成にしたがって実施例および比較例に係る着色感光性樹脂組成物を製造した。
【0097】
【表1】
【0098】
着色基板(Glass基板)製造例
5cm×5cmのガラス基板(コーニング社)を中性洗剤および水で洗浄後乾燥した。その後、ガラス基板上に実施例および比較例により製造された着色感光性樹脂組成物をそれぞれ最終膜厚が3.0μmとなるようにスピンコーティングをし、120℃で前焼成して2分間乾燥して溶剤を除去した。
【0099】
その後、露光量100mJ/cmで露光してパターンを形成し、アルカリ水溶液を使って非露光部を除去した。引き続き、250℃で30分間後焼成をして着色基板を製造した。
【0100】
残膜率の測定
実施例および比較例により製造された着色基板を後焼成工程をさらに2時間遂行した後、膜厚測定機(Dektak 6M(Veec社))を利用して2時間前と後の差を比較して下記の表2に表わした。判断基準は下記の通りである。
◎(優秀):残膜率が90%以上
○(良好):残膜率が80%以上90%未満
△(不良):残膜率が80%未満
【0101】
近赤外線(Near-IR)透過特性測定
実施例および比較例により製造された着色基板を、UV-2550装備(Shimadzu社)を利用して900nm波長の近赤外線(Near-IR)での透過特性を測定し、下記の基準により評価した後、下記の表2に表わした。近赤外線(Near-IR)の測定波長範囲は900nmであり、このとき、透過率は20%以上でなければならない。
◎(優秀):近赤外線透過率が25%以上
○(良好):近赤外線透過率が20%以上25%未満
△(不良):近赤外線透過率が20%未満
【0102】
光学密度(O.D.)測定
実施例および比較例により製造された着色基板をX-rite 361T(X-rite社)を利用して光学密度を測定し、下記の基準により評価した後、下記の表2に表わした。本発明での光学密度は1.2/μm基準である。
◎(優秀):光学密度が1.20/μm以上
○(良好):光学密度が1.16/μm以上1.20/μm未満
△(不良):光学密度が1.16/μm未満
【0103】
【表2】
【0104】
前記表2を見ると分かるように、本発明に係る着色感光性樹脂組成物を利用して製造された着色基板は近赤外線透過特性、光学密度がすべて優秀であるが、比較例に従って製造された着色基板は近赤外線透過特性および光学密度がすべて優秀でないことがわかる。
【0105】
また、光重合開始剤としてオキシム系化合物を使用した実施例1~5に係る着色感光性樹脂組成物を利用して製造された着色基板は、膜厚の変化率が顕著に小さいこと(残膜率が高い)が分かる。