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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】液体収容容器
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/00 20060101AFI20220207BHJP
   A47G 19/14 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
A47G19/00 H
A47G19/14 L
A47G19/14 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017203968
(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公開番号】P2019076245
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】520335978
【氏名又は名称】株式会社greenbrewing
(74)【代理人】
【識別番号】230122390
【弁護士】
【氏名又は名称】石原 一樹
(72)【発明者】
【氏名】谷本 幹人
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3161435(JP,U)
【文献】実公昭47-037893(JP,Y1)
【文献】実公昭25-006478(JP,Y1)
【文献】実開昭48-009262(JP,U)
【文献】特開2015-146866(JP,A)
【文献】特開2015-020776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0120884(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0288134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/00,19/14
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出対象物から成分を抽出溶媒に抽出する抽出容器(1)であって、
前記抽出溶媒をお湯とし、
熱伝導性が悪い合成樹脂で形成され、前記抽出対象物と前記抽出溶媒を投入する開口部(10h)を有し、前記抽出対象物と前記抽出溶媒を収容する中空の本体部(10)と、
前記本体部から外側に突出するように形成され、前記抽出溶媒を外側に排出する注ぎ口部(20)と、
前記本体部(10)の開口部(10h)側の端部である開口縁部(11)の内側に形成され、前記開口部(10h)を塞ぐための蓋部(40)を載置する載置部(12)とを備え、
前記載置部(12)の内形形状は、前記本体部の底部(14)の外形形状と同一又は略同一に形成され
前記本体部(10)の底部(14)は、中心部分が上方向側に凹むように形成され、縁の部分に前記底部(14)の厚みよりも厚い縁部(15)が形成され、かつ、前記縁部(15)は、丸みを帯びるように形成され、
前記開口縁部(11)は、通気部(16)が形成され、前記通気部(16)は、前記蓋部(40)で前記開口部(10h)を塞いだ状態で、前記注ぎ口部(20)から注ぎ出すための空気の取り入れ口であり、前記通気部(16)は、前記開口縁部(11)の略中心に対して、前記注ぎ口部(20)と対称な位置に形成され、
前記蓋部(40)は、蓋本体部(41)を有し、前記蓋本体部(41)は、その表面に上側環状部(42)が形成され、前記上側環状部(42)の外径寸法は、前記開口縁部(11)の外径寸法と同一又は略同一に形成されている
ことを特徴とする抽出容器。
【請求項2】
請求項1に記載された抽出容器であって、
前記載置部に載置され、前記開口部を塞ぐための平らな蓋部(40)と、
前記蓋部の表面から内側に凹むように形成され、他の抽出容器を載置する積重部(4)とを備え、
前記積重部(4)の内形形状は、前記本体部の底部(1)の外形形状と同一又は略同一に形成されている
ことを特徴とする抽出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された抽出容器であって、
前記本体部に取り付けられ、前記抽出溶媒と前記抽出対象物を分離する網目状の濾過部(30)を備える、
ことを特徴とする抽出容器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載された抽出容器であって、
前記本体部(10)は、全部又は一部が光を透過するように透明又は半透明に形成されている
ことを特徴とする抽出容器。
【請求項5】
請求項4に記載された抽出容器であって、
前記本体部(10)は、厚み寸法が6mm~20mmである
ことを特徴とする抽出容器。
【請求項6】
請求項5に記載された抽出容器であって、
前記本体部は、ビスフェノールAを含まないコポリエステルである
ことを特徴とする抽出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出容器に関する。さらに詳しくは、抽出対象物から成分を抽出溶媒に抽出できるとともに、積み重ねが自在な抽出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抽出対象物から成分を抽出溶媒に抽出することができる抽出容器がある。例えば、茶葉(抽出対象物)から所定の成分をお湯(抽出溶媒)に抽出してお茶にする抽出容器として急須がある。お茶は、急須の中空の本体部に茶葉を入れて、湯を注ぎ入れてつくられる。おいしいお茶をつくるためには、急須の本体部内において、茶葉が開くまで、数十秒から数分程度蒸らす必要がある。
【0003】
急須は、蒸らす時間において、注いだ湯が冷めないように保温性が良い磁器や陶器で形成されているものが多い。また、急須は、蒸らす間に茶葉が開く様子がわかるように、透明な硝子製のものもある。このような、磁器、陶器及び硝子等で製造された急須は、断熱性が悪く本体部を直接持つと熱いため、取っ手等が取り付けられているものが多い。このような取っ手等は急須の本体とは別の部材を用意しなければならず、部品点数が増えてしまう。さらに、合成樹脂で製造された透明な急須は、射出成形による成形に際して、ヒケやボイドができてしまうため、2mm程度の薄いものが多い。このような急須は、断熱性が悪く本体部を直接持つと熱く、その薄さゆえに硝子製のものと比較して安っぽい印象を受けてしまう。このように、急須には様々な提案がなされているが、特許文献を基に従来の技術を説明する。
【0004】
例えば、土びん1の上に土びん2を重ね、都合によってはその逆に重ねることができるために、狭い器物棚等へ収めておく場合に場所を占めない重ね土びんの技術が知られている(特許文献1参照)。また、飲料サーバに、魔法瓶や電気保温ポットにおけるような特別な構造、機構を備えさせることなく、しかも、従来の土瓶やティーポットのようなサーバでは不十分な保湿機能を向上させた飲料サーバの技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭48-9262号公報
【文献】特開2002-17543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された重ね土びんは、陶磁器により形成されたものである。このように、重ね土びんは、比較的重く壊れやすい陶磁器で形成されているため、危険を防止するため多くの数を積重ねられないという問題点があった。また、重ね土びんは、陶磁器により形成されているため断熱性が悪く直接持つことができないため、持ち手として把手や吊手が必要であり、部品点数が多くなるという問題点があった。また、特許文献2に記載された飲料サーバは、デザインにまとまりがない上に部品点数が多く、収納に不便であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、以上のような従来の問題点を解決するために創作されたもので、次の目的を達成する。本発明の目的は、収納が容易な抽出容器に関するものである。本発明の他の目的は、まとまりが良く意匠性に優れた抽出容器に関するものである。本発明の他の目的は、断熱性に優れた抽出容器に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の抽出容器は、抽出対象物から成分を抽出溶媒に抽出する抽出容器であって、熱伝導性が悪い合成樹脂で形成され、前記抽出対象物と前記抽出溶媒を投入する開口部を有し、前記抽出対象物と前記抽出溶媒を収容する中空の本体部と、前記本体部から外側に突出するように形成され、前記抽出溶媒を外側に排出する注ぎ口部と、前記本体部の開口部側の端部である開口縁部の内側に形成され、他の抽出容器を載置する載置部とを備え、前記載置部の内形形状は、前記本体部の底部の外形形状と同一又は略同一に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明2の抽出容器は、本発明1において、前記載置部に載置され、前記開口部を塞ぐための平らな蓋部と、前記蓋部の表面から内側に凹むように形成され、他の抽出容器を載置する積重部とを備え、前記積重部の内形形状は、前記本体部の底部の外形形状と同一又は略同一に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明3の抽出容器は、本発明1又は2において、前記本体部に取り付けられ、前記抽出溶媒と前記抽出対象物を分離する網目状の濾過部とを備える、ことを特徴とする。
【0011】
本発明4の抽出容器は、本発明1~3のいずれかにおいて、前記本体部は、全部又は一部が光を透過するように透明又は半透明に形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明5の抽出容器は、本発明4において、前記本体部は、厚み寸法が6mm~20mmであることを特徴とする。
【0013】
本発明6の抽出容器は、本発明5において、前記本体部は、ビスフェノールAを含まないコポリエステルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の抽出容器は、収納が容易である。本発明の抽出容器は、まとまりが良く意匠性にすぐれている。本発明の抽出容器は、断熱性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第一実施形態を適用した抽出容器1を積重ねた状態を示す外観図である。
図2図2は、図1を切断面αで切断した状態を示す断面図である。
図3図3は、図1を切断面βで切断した状態を示す断面図である。
図4図4は、抽出容器1を分解した状態を示す外観図である。
図5図5は、抽出容器1を分解した状態を示す断面図である。
図6図6は、本発明の第二実施形態を適用した抽出容器101を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔本発明の第一実施形態〕
以下、本発明の抽出容器1について、図面に基づいて、本発明の第一実施形態として詳細に説明する。図1は、本発明の第一実施形態を適用した抽出容器1を積重ねた状態を示す外観図である。図2は、図1を切断面αで切断した状態を示す断面図である。図3は、図1を切断面βで切断した状態を示す断面図である。図4は、抽出容器1を分解した状態を示す外観図である。図5は、抽出容器1を分解した状態を示す断面図である。
【0017】
なお、図1に示すように、矢印U方向を上方向とし、その逆方向である矢印D方向を下方向として説明を行う。水平面内で上下方向と直交する一の方向である矢印L方向を左方向とし、直交する他の方向である矢印R方向を右方向として説明を行う。図1に示すように、上下方向及び左右方向と直交する上側の方向である矢印F方向を前方向とし、下側の方向である矢印B方向を後方向として説明を行う。上方向側の面、下方向側の面、前方向側の面、後方向側の面、左方向側の面及び右方向側の面をそれぞれ平面、底面、正面、背面、左側面、右側面として説明を行う。
【0018】
〔抽出容器1〕
図1に示すように、抽出容器1は、茶葉(抽出対象物)から成分をお湯(抽出溶媒)に抽出してお茶にする急須であり、本体部10、注ぎ口部20、濾過部30及び蓋部40とから構成されている。抽出容器1は、熱伝導性が悪く、耐熱温度が100℃であり断熱性に優れ、ビスフェノールAが含まれていないコポリエステルで形成されている。コポリエステルとしては、イーストマンケミカル社が製造販売している原料プラスチックであるトライタン、商品名「EASTMAN TRITAN コポリエステル」を使用している。抽出容器1は、前記本体部10及び蓋部40が、全部又は一部が光を透過するように透明又は半透明に形成されている。
【0019】
〔本体部10〕
図1乃至4に示すように、本体部10は、投入された茶葉とお湯を収容してお茶を抽出するための中空の容器であり、円形形状の底部14とその周囲に起立した略円筒形状の壁部13とから構成されている。本体部10は、コポリエステルを射出成形することにより、底部14と壁部13とが一体に形成されている。本体部10は、茶葉と湯を収容できるように、底部14に対向する側が開口した開口部10hが形成されている。本体部10は、壁部13の開口部10h側の端部である開口縁部11が略環状形状に形成されている。開口縁部11には、載置部12、通気部16及び注ぎ口部20とが形成されている。
【0020】
載置部12は、濾過部30や蓋部40を載置するための部位であり、図2に示すように階段状に形成され、図4に示すように略環状形状に形成されている。底部14は、壁部13が起立する縁の部分に厚みをもたせた縁部15が形成されている。図5に示すように、底部14は、蓋部40で開口部10hを塞いだ状態で抽出容器1を持ちやすくするために、その中心部分が上方向側に若干凹むように形成され、縁部15が丸みを帯びるように形成されている。通気部16は、蓋部40で開口部10hを塞いだ状態で、注ぎ口部20からお茶を滑らかに注ぎ出すための空気の取り入れ口である。通気部16は、略環状形状の開口縁部11の略中心に対して、注ぎ口部20と対称な位置に、開口縁部11を切り欠いて形成されている。
【0021】
図2に示すように、本体部10は、壁部13の一部の厚み寸法w1が約6mmで形成され、底部14の一部の厚み寸法w2が約6.75mmで形成され、縁部15の一部の厚み寸法w3が約20mmで形成されている。載置部12の内径寸法は、底部14の外径寸法と同一又は略同一に形成されている。図5に示すように、載置部12は、その直径d1が約91.6mmであり、底部14は、その直径d2が約86.3mmであり、開口縁部11の外形形状は、その直径d3が約97.8mmである。本体部10は、壁部13や底部14の厚みを一般的なコポリエステル製の容器の厚み(約2mm)に比べて厚くすることで、直接つかんでも火傷をすることがない。また、本体部10は、縁部15の厚みを壁部13や底部14の厚みよりも厚くすることで、合成樹脂でありながら高級感のあるどっしりとしたガラスのような質感が得られる。
【0022】
〔注ぎ口部20〕
注ぎ口部20は、本体部10で抽出されたお茶を排出するための部位であり、図1に示すように、本体部10の開口縁部11から外側に突出するように形成されている。注ぎ口部20は、略環状形状の開口縁部11の略中心に対して、通気部16と対称な位置に、開口縁部11を湾曲するように形成されている。注ぎ口部20は、開口縁部11を下方向側に湾曲するように形成されているため、載置部12に蓋部40が載置されても開口縁部11の部分に隙間ができる。このため、蓋部40で開口部10hを塞いだ状態でもお茶を排出することができる。
【0023】
〔濾過部30〕
濾過部30は、本体部10で抽出されたお茶と茶葉を分離するための部位であり、図4及び5に示すように、篩部31と鍔部32とから構成されている。篩部31は、茶葉を受け止めるための篩であり、半球殻状にされた網目状のステンレス鋼で形成されている。鍔部32は、本体部10に濾過部30を載置するための部位であり、篩部31の開口縁に沿って取り付けられている。鍔部32は、環状形状にされたステンレス鋼で形成されている。鍔部32は、その外径寸法が、載置部12の内径寸法と同一又は略同一に形成されている。図5に示すように、本例において、鍔部32は、その直径d4が約90mmであり、載置部12は、その直径d1が約91.6mmである。
【0024】
〔蓋部40〕
蓋部40は、本体部10の開口部10hを塞ぐための部位である。図4及び図5に示すように、蓋部40は、蓋本体部41、上側環状部42及び下側環状部44とから構成されている。蓋部40は、コポリエステルを射出成形することにより、蓋本体部41、上側環状部42及び下側環状部44が一体に形成されている。図2に示すように、蓋本体部41は、平らな円盤状に形成されており、その厚み寸法w4は約2.8mmで形成されている。図5に示すように、蓋本体部41は、その表面に上側環状部42が形成され、その裏面に下側環状部44が一体に形成されている。上側環状部42は、蓋本体部41の表面の縁を沿うように環状形状に形成され、その内側に積重部43が形成されている。
【0025】
図1図4及び図5に示すように、上側環状部42の外径寸法は、開口縁部11の外径寸法と同一又は略同一に形成されている。図5に示すように、本例において、上側環状部42の外形形状はその直径d5が約98.6mmであり、開口縁部11の外形形状はその直径d3が約97.8mmである。積重部43は、他の抽出容器1を載置するための円形形状の平らな部位であり、上側環状部42の表面から蓋本体部41に向かって凹むように形成されている。図3に示すように、積重部43の内径寸法は、本体部の底部14の外径寸法と同一又は略同一に形成されている。本例において、積重部43の内形形状はその直径d6が約87.1mmであり、底部14の外形形状はその直径d2が約86.3mmである。
【0026】
図4及び図5に示すように、下側環状部44は、蓋本体部41の裏面の縁を沿うように環状形状に形成されている。図3に示すように、下側環状部44の外径寸法は、載置部12の内径寸法と同一又は略同一に形成されている。図5に示すように、本例において、下側環状部44は、その直径d7が約91.7mmであり、載置部12は、その直径d1が約91.6mmである。下側環状部44は、図2及び図5に示すように、通気部16にあわせてその一部が切り欠かれた切欠部45が形成されている。蓋部40で開口部10hを塞ぐときに、切欠部45と通気部16とを合わせることで、通気部16から空気の取り入れができるため、注ぎ口部20からお茶を滑らかに注ぎ出すことができる。
【0027】
〔目盛り部50〕
目盛り部50は、本体部10に収納された抽出溶媒の量を認識するための部位である。図5に示すように、目盛り部50は、本体部10に直接凹凸をつけることにより形成されたものであり、お茶を1杯だけ抽出するために最適なお湯(抽出溶媒)の量を測るための印である。本例においては、目盛り部50は、本体部10に収容されるお湯(抽出溶媒)の量が120ccになるように、壁部13に横線で印づけられている。目盛り部50は、射出成形で成形される本体部10の金型に付けられた凹凸により形成される。
【0028】
〔急須の使用方法〕
次に、抽出容器1の使用方法について説明する。本例においては、異なる二種類の茶葉を用意して、二種類のお茶の味比べをする場合を想定して説明をする。二個の抽出容器1を用意して、それぞれの抽出容器1に濾過部30を取り付ける。載置部12に鍔部32を載置することで、抽出容器1に濾過部30は取り付けられる。取り付けられたそれぞれの濾過部30の篩部31に異なる茶葉(抽出対象物)を入れた後、それぞれの抽出容器1にお湯(注出溶媒)を目盛り部50の位置まで注いで、蓋部40で開口部10hを塞ぐ。
【0029】
蓋部40で開口部10hを塞ぐことで、それぞれの茶葉(抽出対象物)を十分蒸らして、茶葉(抽出対象物)から成分をお湯(抽出溶媒)に抽出して二種類のお茶をつくる。抽出容器1は、本体部10がビスフェノールAを含まないコポリエステルで形成されているため、お茶に有害な成分が入らない。蓋部40の上側環状部42の外径寸法は、開口縁部11の外径寸法と同一又は略同一に形成されている。このため、蓋部40につまみがなくても、蓋部40で開口部10hを塞ぐ動作と、蓋部40を本体部10から取り外す動作が容易である。抽出容器1でつくられた2種類のお茶は、注ぎ口部20からそれぞれの湯飲みに注がれる。
【0030】
抽出容器1は、耐熱温度が100℃のコポリエステルで形成され、その壁部13の一部の厚み寸法w1が約6mmで形成され、底部14の一部の厚み寸法w3が約6.75mmで形成されているため、直接つかんでも火傷をすることがない。抽出容器1は、本体部10の透明度が高いため、入れられた茶葉(抽出対象物)や抽出されたお茶がよく見える。抽出容器1は、底部14の中心部分が上方向側に若干凹むように形成され、縁部15が丸みを帯びるように形成されているため持ちやすく、蓋部40と底部14をつまんだ状態でお茶を注ぐ動作ができる。図1図2及び図3に示すように、お茶を注いだ後に蓋部40で開口部10hを塞いだ状態で二個の抽出容器1を積み重ねる。抽出容器1は、積重部43の内径寸法が、本体部の底部14の外径寸法と同一又は略同一に形成されている。このため、一の抽出容器1の積重部43に他の抽出容器1の底部がしっかりと嵌め込まれるとともに、外観においてまとまりよく積み重ねることができる。
【0031】
蓋部40の上側環状部42の外径寸法は、本体部10の開口縁部11の外径寸法と同一又は略同一に形成されている。このため、蓋部40につまみ等がついていなくても本体部10との着脱が容易である。本例において、お茶を注いだ後に二個の抽出容器1を積み重ねているが、お茶が中に入っている状態で積み重ねてもよく、何も入っていないときに積み重ねても良い。特に棚の中などに収納するときには、本体部10に出っ張った取っ手がなく、蓋部40につまみ等がついていないため、積み重ねて収納ができるため場所をとることがなく便利である。
【0032】
〔本発明の第二実施形態〕
本発明の第二実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この第二実施形態の抽出容器101は、前述した第一実施形態の抽出容器1とほぼ同様の構成である。このため、異なる構成である壁部113、底部114、注ぎ口部120及び濾過部130の詳細な説明はするが、同様の構成である蓋部140については説明は省略する。図6に示すように、底部114は、壁部113が起立する縁の部分に厚みをもたせないように形成されている。
【0033】
底部114は、その中心部分が下方向側に若干突出するように形成されている。壁部113と底部114とは、厚み寸法が約6mmで形成されている。注ぎ口部120は、図6に示すように、壁部113の一部から外側に突出するように筒状に形成されている。濾過部130は、本体部110で抽出されたお茶と茶葉を分離するための部位であり、図6に示すように、篩部131と嵌合部132とから構成されている。篩部131は、茶葉を受け止めて湯飲みに入れないための篩であり、半球殻状にされた網目状のステンレス鋼で形成されている。嵌合部132は、注ぎ口部120に嵌め込むための部位であり、篩部131の開口縁に沿って取り付けられている。
【0034】
嵌合部132は、その外径寸法が、注ぎ口部120の内径寸法と同一又は略同一に形成されている。本体部110は、壁部113と底部114との厚みが同一であり、厚みの異なる部分が少ないため、ヒケやボイドができにくい。注ぎ口部120は、筒状であるため径の小さい湯飲みにも容易に注ぐことができる。濾過部130が、注ぎ口部120を塞ぐように嵌め込まれて取り付けられているため、本体部110の容積が大きくなる。このため、本体部110に入れられた茶葉(抽出対象物)がお湯(抽出溶媒)の中で十分に開くことができる。
【0035】
本例において、二個の抽出容器1を積み重ねて使用しているが、二個以上の複数個を積み重ねても良い。本例において、本体部10は、コポリエステルで説明しているが、透明度が高く、一定の厚みも有する部材であれば、アクリル、ポリカーボネート、ポリプロピレン及びポリオレフィン等その他の合成樹脂でも良い。本例において、抽出容器1は、耐熱温度が100℃のコポリエステルで形成されているが、熱伝導性が悪く断熱性に優れた耐熱温度が100℃~150℃のコポリエステルやその他の合成樹脂でも良い。本例において、本体部10及び蓋部40は、射出成形により形成されているが、切削加工、3Dプリンターによる積層造形その他の機械加工によりコポリエステルを加工して形成しても良い。
【0036】
篩部31は、半球殻状にされた網目状のステンレス鋼で形成されているが、茶葉の大きさなどに応じて他の形状でも良い。例えば、篩部31は、半球殻状にされた透明のトライタンに複数の穴を開けて形成されたものでも良い。目盛り部50は、本体部10に形成されているが、濾過部30に形成されても良い。以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1 :抽出容器
10 :本体部
10h :開口部
11 :開口縁部
12 :載置部
13 :壁部
14 :底部
20 :注ぎ口部
30 :濾過部
31 :篩部
32 :鍔部
40 :蓋部
41 :蓋本体部
42 :積重部
50 :目盛り部
101 :抽出容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6