(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】用紙後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 5/36 20060101AFI20220126BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20220126BHJP
B65H 33/00 20060101ALI20220126BHJP
B65H 31/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
B65H5/36
B65H37/06
B65H33/00
B65H31/00 A
(21)【出願番号】P 2018035114
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】飯野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】小沢 誠
(72)【発明者】
【氏名】丹沢 渉
(72)【発明者】
【氏名】堀内 友徳
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-261220(JP,A)
【文献】特開平09-052424(JP,A)
【文献】特開2013-039997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
B65H 29/54-29/70
B65H 31/00-31/40
B65H 33/00-33/18
B65H 37/00-37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送するための用紙搬送路と、
用紙を前記用紙搬送路に沿って搬送するための搬送機構と、
前記搬送機構によって前記用紙搬送路を所定の搬送方向に搬送される用紙の先端の少なくとも一方の角部を、該用紙の一方の面側に角折りするための角折り処理機構と、
前記角折り処理機構より前記搬送方向の下流側に搬送された先行の用紙を、前記用紙搬送路から退避させる待機位置に一時的に退避させ、前記用紙搬送路から一時的に退避させた前記先行の用紙を、前記待機位置から前記用紙搬送路に戻すための用紙待機機構と、
前記搬送機構、前記角折り処理機構及び前記用紙待機機構の動作を制御するための制御部と
、を備え、
前記制御部は、前記角折り処理機構によって角折りされた前記先行の用紙を前記待機位置から前記用紙搬送路に戻すとき、該先行の用紙をその角折りされた前記一方の面側で、前記先行の用紙に続いて前記搬送機構によって搬送される後続の角折りされていない用紙と前記用紙搬送路で重なるように、前記用紙待機機構を動作させることを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記先行の用紙が前記角折り処理機構によって角折りされ、前記用紙搬送路から用紙載置面に前記一方の面を対向させて排出されるとき、事前に前記用紙載置面に他の用紙が無いことを検出すると、前記先行の用紙を前記待機位置に退避させて前記後続の用紙と重ね合わせることなく、前記用紙搬送路から排出するように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、角折りされる前記用紙の一方の面側が、前記待機位置が設けられた前記用紙の片面側の反対側であるとき、前記先行の用紙を角折りするように前記角折り処理機構を制御し、角折りされた前記先行の用紙を前記待機位置に退避させ、角折りされていない前記後続の用紙と前記用紙搬送路で重なるように前記用紙待機機構を制御することを特徴とする請求項1又は
2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記用紙搬送路で重ならせた前記先行の用紙と前記後続の用紙とを、同時に前記用紙搬送路から排出させるように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の用紙後処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、角折りされた前記先行の用紙又は前記後続の用紙を、その先端が、角折りされていない前記後続の用紙又は前記先行の用紙の先端に先行しないように、前記先行の用紙を前記待機位置から前記用紙搬送路に戻すように前記用紙待機機構を制御することを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記角折り処理機構は、前記搬送機構により前記用紙搬送路を搬送される用紙の先端の少なくとも一方の角部を、前記搬送方向に対して外側に反り返させる用紙角部誘導部と、前記用紙を前記搬送方向に前記搬送機構により搬送させながら、反り返らせた前記用紙の角部を圧接して角折りする用紙角折り処理部とからなることを特徴とする
請求項1乃至
5のいずれかに記載の用紙後処理装置。
【請求項7】
前記用紙待機機構は、前記待機位置が、前記用紙搬送路を搬送される用紙の片面側に前記用紙搬送路から分岐させて設けられていることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれかに記載の用紙後処理装置。
【請求項8】
用紙に画像形成する画像形成ユニットと、
前記画像形成ユニットから送られた用紙に角折り処理を行う用紙後処理装置と
、を備え、
前記用紙後処理装置は請求項1乃至
7のいずれかに記載の用紙後処理装置であることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される用紙に目印を付与することができる用紙後処理装置及び、該用紙後処理装置を備えた画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置から排出される記録済み用紙に対して、整合処理、綴じ処理、折り処理、パンチ穿孔処理、スタンプ捺印処理などの後処理を施す用紙後処理装置が広く使用されている。一般に、用紙後処理装置は画像形成装置の用紙排出口に連結され、所望の後処理を施した用紙又は用紙の束を下流側に配置された排出トレイに積載する。
【0003】
画像形成装置から排出される多数の用紙を、用紙後処理装置において、例えば複数枚のセット毎や文書毎に仕分けして排出トレイに積載したい場合がある。そこで、仕分けしたい文書(用紙束)の表紙ページの角部に切り込みを入れ、切り込みを入れた角部先端が用紙の外側にはみ出るように曲げてしおりを作成するしおり作成装置が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【0004】
特許文献1のしおり作成装置は、パルスモータを用いてカムを回転させ、このカムで用紙に切り込みを入れるためのカッタを上下させる機構を備えており、搬送されている用紙を一旦止め、パルスモータを動作させて用紙に切り込みを入れる。その後、再度パルスモータを動作させてカッタを退避させ、用紙搬送を再開して、下流に配置されている搬送ローラを用いて切り込み部を外側に折るように構成されている。
【0005】
更に特許文献1のしおり作成装置は、複数の受信文書について文書毎の仕分けをより容易にするために、しおりを作成する位置を文書毎に変えるように構成されている。そのために、制御部が、何回目の表紙ページ出力であるかを管理し、記録紙の搬送ローラを駆動する搬送モータを制御して、カッタを上下させる加工装置での記録紙の停止位置を変えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
用紙後処理装置において、搬送される用紙に目印を付与する場合も、排出トレイには、排出される用紙が縦横に整列した状態で積載されることが好ましい。しかしながら、特許文献1に記載の従来装置のように、搬送される用紙の一部を折り曲げて目印を付与する場合、折り曲げられた用紙の部分が、排出トレイにおいて先に積載されている他の用紙や後から排出される他の用紙の縁に引っ掛かる虞がある。
【0008】
その結果、排出トレイには、多数の用紙が縦横にばらばらになって積載されるという問題が生じる。しかしながら、特許文献1及び他の従来技術を見ても、用紙の一部を折り曲げて目印を付与した用紙と他の用紙とを排出トレイに、縦横にばらばらにさせずに整列した状態で積載するための具体的な技術は、開示も提案もされていない。
【0009】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、搬送される用紙に目印を付与する用紙後処理装置において、目印を付与した用紙と他の用紙とを縦横に整列させて所定の排出位置に積載することにある。
【0010】
更に本発明の目的は、上述した本発明の用紙後処理装置を備え、画像形成装置から排出される用紙に目印を付与し、他の用紙とともに縦横に整列させて所定の排出位置に積載し得る画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の要旨後処理装置は、上記課題を解決するべく、用紙を搬送するための用紙搬送路と、用紙を前記用紙搬送路に沿って搬送するための搬送機構と、前記搬送機構によって前記用紙搬送路を所定の搬送方向に搬送される用紙の先端の少なくとも一方の角部を、該用紙の一方の面側に角折りするための角折り処理機構と、前記角折り処理機構より前記搬送方向の下流側に搬送された先行の用紙を、前記用紙搬送路から退避させる待機位置に一時的に退避させ、前記用紙搬送路から一時的に退避させた前記先行の用紙を、前記待機位置から前記用紙搬送路に戻すための用紙待機機構と、前記搬送機構、前記角折り処理機構及び前記用紙待機機構の動作を制御するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記角折り処理機構によって角折りされた前記先行の用紙を前記待機位置から前記用紙搬送路に戻すとき、該先行の用紙をその角折りされた前記一方の面側で、前記先行の用紙に続いて前記搬送機構によって搬送される後続の角折りされていない用紙と前記用紙搬送路で重なるように、前記用紙待機機構を動作させることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記制御部は、前記先行の用紙が前記角折り処理機構によって角折りされ、前記用紙搬送路から用紙載置面に前記一方の面を対向させて排出されるとき、事前に前記用紙載置面に他の用紙が無いことを検出すると、前記先行の用紙を前記待機位置に退避させて前記後続の用紙と重ね合わせることなく、前記用紙搬送路から排出するように前記搬送機構を制御し、または、角折りされる前記用紙の一方の面側が、前記待機位置が設けられた前記用紙の片面側の反対側であるとき、前記先行の用紙を角折りするように前記角折り処理機構を制御し、角折りされた前記先行の用紙を前記待機位置に退避させ、角折りされていない前記後続の用紙と前記用紙搬送路で重なるように前記用紙待機機構を制御する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の別の側面において、本発明の画像形成システムは、用紙に画像形成する画像形成ユニットと、画像形成ユニットから送られた用紙に角折り処理を行う用紙後処理装置とを備え、用紙後処理装置は上述した本発明の用紙後処理装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の用紙後処理装置によれば、先行の用紙又は後続の用紙のいずれが用紙角折り機構によって角折りされた場合でも、その角折りされた用紙の一方の面側で、角折りされた部分と他方の用紙とが重なるように、用紙待機機構の動作が制御部により制御される。これにより、角折りされた用紙の角部は、その折られた部分が他方の用紙で覆われるから、排出位置に先に積載されている用紙や後から排出される用紙に引っ掛かる虞が無くなるので、角折りされた用紙と他の用紙とを縦横に整列させて排出位置に積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】画像形成システムの全体構成を概略的に示す図。
【
図2】
図1のシステムにおける用紙後処理装置の要部の構成を示す側面図。
【
図3】本発明による用紙後処理装置の用紙角折り機構の構成を示す概略斜視図。
【
図6】
図3の用紙角折り機構による角折り動作を順に示す断面図。
【
図7】
図3の用紙角折り機構による角折り動作を順に示す上面図。
【
図8】待機位置の用紙と後続の用紙を重ね合わせる動作を説明するための断面図。
【
図10】用紙後処理装置の制御構成を示すブロック図。
【
図11】ユーザ操作部における角折り指示の設定を説明するフローチャート。
【
図12】角折り処理を含む一連の用紙搬送の過程を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
[画像形成システム]
図1に本発明に係わる画像形成システムの全体構成を示す。同図の画像形成システムは画像形成装置Aと用紙後処理装置Bで構成され、画像形成装置Aで画像形成した用紙を用紙後処理装置Bで一時的に部揃え収納してステイプル綴じ等の後処理をした後に排出トレイに収納する。用紙後処理装置Bは、画像形成装置Aにおいて画像形成条件と共に設定された後処理(仕上げ処理)モードに応じて仕上げ処理した後に、用紙を排出トレイに収納するよう構成されている。以下、画像形成装置A及び用紙後処理装置Bについて説明する。
【0018】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、用紙上に静電印刷機構で画像を形成する場合を示し、給紙部2と画像形成部3と排紙部4とで構成されている。画像形成装置Aの装置ハウジング1には、画像形成する用紙を収納した給紙部2が内蔵され、この給紙部2は、装置ハウジング1に着脱自在な給紙カセット2a、2b、2cによって構成されており、給紙カセット2a、2b、2cはそれぞれ異なる用紙サイズに対応している。
【0019】
画像形成部3は、給紙部2から搬送されてくる用紙へデータ処理部9から転送された画像データに従って画像形成する。図示の画像形成部3は静電印刷機構を示し、感光ドラム8に静電潜像を形成するビーム投光器と、静電潜像にトナーインクを付着する現像器10と、転写チャージャ11とクリーナとで構成されている。これらの具体的な構成と動作については広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0020】
給紙部2からレジストローラ対7に搬送された用紙に、感光ドラム8に形成した画像インクを転写チャージャ11で転写する。転写チャージャ11の下流側には定着ローラ対12が配置され、転写された画像を加熱定着して用紙を排紙部4に搬送する。排紙部4は、装置ハウジング1に配置された画像形成装置排紙口13と、排紙ローラ対15とで構成される。
【0021】
データ処理部9は、画像読取ユニット5が読み取った画像データ、或いは外部のネットワーク、コンピュータ入力装置などから送られた画像データを設定された画像形成条件に応じて、前述のビーム投光器に電気信号として送信する。
【0022】
図示の画像形成装置Aは、それと一体な画像読取ユニット5と、このユニットに原稿用紙を給送する原稿用紙自動給送装置19とを備えている。画像読取ユニット5は、原稿用紙を載置するプラテン16と、このプラテン16に沿って移動する読取キャリッジ17とで構成され、プラテン16上の原稿用紙を読取キャリッジ17でスキャニングして画像データに変換するスキャナ装置で構成されている。また、原稿用紙自動給送装置19は、給紙トレイ20にセットした原稿用紙をプラテン16に自動的に給送するユニットとして画像読取ユニット5に一体に取り付けられている。
【0023】
デュープレックスパス14は、画像形成部3から画像形成される用紙を表裏反転してレジストローラ対7に循環搬送し、用紙の裏面側に画像形成部3で画像形成し、排紙部4から画像形成装置排紙口13に搬出する。
【0024】
画像形成装置Aは、上記静電印刷機構以外にも、インクジェット画像形成方式、オフセット印刷方式、シルク印刷方式などの種々の画像形成機構が採用可能である。
【0025】
「用紙後処理装置」
本発明の用紙後処理装置Bは、
図1に示すように画像形成装置Aから画像形成済みの用紙が搬入されると、該用紙を処理トレイ29に部揃えして収納した後、仕上げの後処理(ステイプル綴じ処理、折り処理等)を施し、処理した用紙(又は用紙束)を排出トレイ32に収納する。
【0026】
図2は、用紙後処理装置Bの構成を詳細に示している。用紙後処理装置Bは、装置ハウジング21を備え、装置ハウジング21内には、用紙を搬送する搬送経路22と、搬送される用紙の先端角部を角折り処理する用紙角折り機構50と、搬送される用紙を搬送経路22から一時的に退避して待機させる用紙待機経路27と、搬送経路22から搬送された用紙を一時的に収納する処理トレイ29と、後処理された用紙を積載収納する排出トレイ32とで構成されている。
【0027】
以下、本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置Bについて詳細に説明する。
【0028】
[搬送経路]
搬送経路22(用紙搬送路)は、装置ハウジング21を略水平方向に直線状に横断するように形成されている。搬送経路22の入口側には、画像形成装置排紙口13に連結する搬入口101が設けられ、画像形成装置Aから搬送されてくる用紙を、下流側の処理トレイ29に向けて案内するように構成されている。
【0029】
搬送経路22には、用紙搬送手段を構成する搬入ローラ対24と排出ローラ対25とが用紙搬送方向に沿って上流側と下流側に順に配置されている。搬入ローラ対24及び排出ローラ対25は、それぞれ図示しない搬送ローラ駆動モータに連結されており、該搬送ローラ駆動モータに駆動されて用紙を搬入口101から排紙口103に向けて搬送する。
【0030】
また、搬送経路22には、搬入センサ23が、搬入ローラ対24の搬入口101側に配置されている。搬入センサ23は、搬入口101から搬送される用紙の先端及び後端をそれぞれ検出すると、後述する用紙後処理装置Bの制御部200に組み込まれた制御CPU203に検出信号を送信する。
【0031】
「用紙角折り機構」
用紙角折り機構50は、搬送経路22上の搬入ローラ対24と排出ローラ対25の間に位置し、搬送経路22を搬送される用紙33に後述する角折り処理を行う。
図3は、用紙角折り機構50の斜視図を、
図4はその断面図を、
図5はその上面図をそれぞれ示している。
【0032】
用紙角折り機構50は、上下フラッパ51、52と、上側及び下側用紙ガイド53,54と、折りローラ対55とから構成される。
図4に示すように、上下フラッパ51、52と上側及び下側用紙ガイド53,54は、それぞれ搬送経路22に関して上下対称に設けられている。
【0033】
図3及び
図4に示すように、搬送経路22は、上側及び下側用紙ガイド53,54の部分を除いて、折りローラ対55よりも用紙搬送方向の上流側が上下方向に狭い隙間で制限されている。この隙間によって、搬送経路22内を搬送されている用紙33の先端が、該搬送経路の外側へ変向しないように、即ち用紙33の面に関して垂直方向(上向き又は下向き)に変向しないように構成されている。
【0034】
搬送経路22の前記隙間には、上側及び下側用紙ガイド53,54を設けた部分がそれぞれ切り欠かれ、用紙搬送方向に平行な第1辺と、該第1辺の用紙搬送方向上流端から用紙幅方向に平行に搬送経路22の側辺部まで外側に延びる第2辺と、前記第1辺の用紙搬送方向下流端と前記第2辺の用紙幅方向外端とを斜め直線状に結ぶ第3辺とからなる三角形の開口部が形成されている。上側及び下側用紙ガイド53,54は、それぞれ搬送経路22の前記三角形開口部を塞ぐように該三角形開口部から外向きに突設されている。
【0035】
図3~
図5に示すように、上側用紙ガイド53は、前記三角形開口部の前記第1辺及び第2辺からそれぞれ搬送経路22の外側に、前記三角形の内側にやや傾斜させて立設された平坦で略扇形の第1,第2壁部と、前記第3辺から搬送経路22の外側に、前記三角形の内側に湾曲させた略三角形の第3壁部とを有する。前記第1,第2壁部は、前記第1辺と第2辺と交点から延出する直線状の側辺で一体に結合され、前記第3壁部は、両側辺が前記第1,第2壁部の前記略扇形の湾曲した側辺に一体に結合している。
【0036】
これにより、上側用紙ガイド53の内部には、後述するように用紙の角部を搬送経路22の外側に屈曲させるための密閉された空間が画定される。上側用紙ガイド53の前記第3壁部を形成する前記三角形の第3辺によって、用紙33の角部に形成される角折り部の傾斜角度が決定される。下側用紙ガイド54は、上側用紙ガイド53と上下対称に設けられているので、説明を省略する。
【0037】
上フラッパ51及び下フラッパ52は、それぞれ同一寸法形状の矩形平板部材で形成され、搬送経路22の上下の前記三角形開口部の第2辺から、該開口部内に収まるように突設されている。上下フラッパ51、52は、それぞれ搬送経路22の上下の前記三角形開口部の第2辺又はその付近に、用紙幅方向を中心として搬送経路22に対して外向きに、即ち垂直方向上向き及び下向きに、上側及び下側用紙ガイド53,54により画定される前記空間内で揺動するように支持されている。
【0038】
上下フラッパ51、52は、該上下フラッパと重なる位置で搬送される用紙33の角部を搬送方向の外側(垂直方向上向き又は下向き)に変向させる、即ち反らせるための用紙角部誘導手段(第1の誘導手段)としての機能を有する。上側及び下側用紙ガイド53,54は、上下フラッパ51、52によって搬送方向の外側に変向された用紙33の角部を内側へ即ち用紙側に反り返らせ、巻き込んで屈曲させるための用紙角部誘導手段(第2の誘導手段)としての機能を有する。後述するように、前記上下フラッパと上側及び下側用紙ガイドとの組合せによって、角折り処理する用紙33の角部が、
図4及び
図5に示すように屈曲される。
【0039】
このように屈曲された用紙33の角部を折り込むための角折り手段として、折りローラ対55が、搬送経路22の上側及び下側用紙ガイド53,54の用紙搬送方向下流端に隣接して設けられている。折りローラ対55は、
図5に示すように、その長さ即ち用紙幅方向の寸法が、搬送される用紙33に施される角折り部の幅より大きく、それにより上下の折りローラ間で角折り部全体を圧接するように配置されている。
【0040】
折りローラ対55は、用紙幅方向に、角折り処理しようとする用紙の角部に対応する位置にのみ設けられている。そのため、折りローラ対55が、上下の折りローラ間で搬入ローラ対24又は排出ローラ対25と同様の用紙搬送力を発揮し得るように設定されていると、搬送されている用紙33にスキューを発生させる虞がある。そのため、折りローラ対55は、用紙搬送力が搬入ローラ対24及び排出ローラ対25よりも小さくなるように設定されている。
【0041】
本実施形態の折りローラ対55は、搬入ローラ対24と同じ駆動源(駆動モータ)で駆動されているが、排出ローラ対25と同じ駆動源(駆動モータ)で駆動されるように構成することもできる。また、本実施形態では、前記角折り手段として、搬入ローラ対24又は排出ローラ対25と同様の上下ローラ対からなる折りローラ対55を採用したが、これ以外の角折り手段も可能である。例えば、屈曲された用紙の角部を圧接しないが、角折り部を形成し得る程度に狭い隙間を有する従動コロ対や、狭い隙間を有する湾曲ガイド対のような構成としても良い。これらの場合、角折り手段は元より用紙搬送力を持たないように設定することができる。
【0042】
次に、用紙角折り機構50による角折り動作について説明する。
図6は、搬送経路22を搬送されている用紙33の角部を用紙角折り機構50で上折り処理する、即ち上向きの角折り部を形成する過程を順に断面方向から見た図であり、
図7は、それらの過程を上方から見た図である。
【0043】
用紙後処理装置Bに搬入された用紙33は、搬送経路22上を搬入ローラ対24によって用紙角折り機構50に向けて搬送される。そのとき、用紙33の搬送位置は、該用紙の先端及び後端を搬入センサ23が検出することによって確認される。
【0044】
用紙33を角折り処理しない場合、上フラッパ51及び下フラッパ52は、
図6_a)及び
図7_a)に示すように、搬送経路22と同じ高さに、即ち本実施形態では水平に維持される。従って、用紙33は、角部が搬送経路22の外側に反り返されたり屈曲されることなく、通常の用紙搬送と同様に、そのまま折りローラ対55を通過する。用紙33を角折り処理するしないは、後述するように画像形成装置Aに設けられた本体制御部202からの指示の有無によって決定される。
【0045】
本体制御部202から角部の上折り処理の指示があった場合、上フラッパ51及び下フラッパ52を、
図6_b)及び
図7_b)に示すように、上向きに所定の角度位置まで揺動させる。これにより、搬送されている用紙33の角折りしようとする角部は、
図6_b)及び
図7_b)に示すように、搬送されながら上向きに反るように変向され、上側用紙ガイド53の内側に案内される。このとき、上フラッパ51及び下フラッパ52は、用紙33の角部を上側用紙ガイド53内により導き易くするように、搬送経路22の経路幅を維持したまま揺動動作させる。
【0046】
上向きに変向されて上側用紙ガイド53内に導かれた用紙33の角部は、
図6_c)及び
図7_c)に示すように、用紙33が用紙搬送方向に搬送され続けていることによって、上側用紙ガイド53の前記第3壁部の湾曲面に沿って内側に即ち用紙側に反り返されて巻き込まれ、屈曲する。上下フラッパ51、52は、用紙33の角部が上側用紙ガイド53内に到達した後、該用紙の先端が折りローラ対55のニップ位置に到達する前に、元の水平位置に戻される。
【0047】
用紙33は、上述したように角部が屈曲された状態のまま、搬送経路22上をそのまま折りローラ対55に向けて搬送される。これにより、用紙33の屈曲された角部は、折りローラ対55の折りローラ間に挟み込まれ、上下から押圧されて圧接された状態で搬送される。これにより、用紙33の角部には、
図6_d)及び
図7_d)に示すように、上折り処理が行われ、上向きの角折り部が形成される。
【0048】
本体制御部202から角部の下折り処理の指示があった場合、上フラッパ51及び下フラッパ52は、下向きに所定の角度位置まで揺動させられる。これにより、用紙33の角部は、下向きに変向されて下側用紙ガイド54内に導かれ、下向きに屈曲される。下向きに屈曲された用紙33の角部は、上述した角部の上折り処理と同様に処理され、折りローラ対55で圧接されて、下向きの角折り部が形成される。
【0049】
角折り処理された用紙33は、排出ローラ対25に受け渡されて搬送され、排出トレイ32に排出される。このとき、用紙33の角折りされた角部が排出ローラ対25にニップされて搬送されるように構成されていると、角折り部を排出ローラ対25の圧接力で増し折りすることができ、より確実に角折り部を形成できるので、好都合である。これは、例えば、搬送経路22の用紙幅方向に用紙角折り機構50側に配置される排出ローラ対25の長さを通常よりも長くしたり、追加の排出ローラ対25を配置して、該用紙角折り機構により角折り処理された用紙33の角部が、排出ローラ対25にニップされる用紙幅方向位置を通って搬送されるように構成することによって達成される。
【0050】
本実施形態では、用紙の角部を搬送経路22の外側に変向させる用紙角部誘導手段(第1の誘導手段)として、上フラッパ51及び下フラッパ52を用いたが、本発明は、これに限定するものではない。搬送されている用紙33の角部を搬送経路22から上向き又は下向きに反らせることが可能なものであれば、上下フラッパ51、52と異なる様々な構成が考えられる。
【0051】
例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる柔軟で高耐久性の樹脂シート部材を、上向き又は下向きの少なくともいずれか一方に或る角度で傾斜した状態で、上側又は下側用紙ガイド53又は54の前記三角形開口部の第2辺に、その傾斜角度を一定に固定して設けたり、搬送経路22の途中に用紙の端部を変向させる形状の固定突起物等を設けることもできる。これらの固定された変向手段を用いる場合、該変向手段の位置を通過する用紙の角部は常に角折り処理されることになるから、角折り処理しない用紙は、前記変向手段の位置を通過しないように、その搬送位置を用紙幅方向にシフトさせることが好ましい。
【0052】
本実施形態では、用紙の一方の角部のみを角折り処理するように、搬送経路22に1つの用紙角折り機構50を設けている。別の実施形態では、搬送経路22の幅方向に2つの用紙角折り機構50を設けることができる。この場合、両用紙角折り機構50は、用紙の搬送方向に関して左右対称に構成され、それぞれの上側及び下側用紙ガイド53,54の前記第3壁部が、互いに湾曲面を搬送経路22の幅方向に対向させるように配置する。これにより、用紙の先端側の両方の角部を又はいずれか一方の角部を選択的に角折り処理することができる。
【0053】
「用紙待機経路」
用紙待機経路27は、用紙角折り機構50を越えて搬送経路22を用紙搬送方向の下流側へ搬送される用紙33を一時的に退避させるために、
図2及び
図8に示すように、用紙角折り機構50の下流側で搬送経路22から図中下方に分岐して設けられている。用紙待機経路27には、搬送経路22との接続部22aから少し入った位置に待機ローラ対26が設けられている。待機ローラ対26は、後述する待機ローラ駆動モータ114により駆動されて、用紙33を搬送経路22から用紙待機経路27内に移動させ、また該搬送経路に戻すのに使用される。
【0054】
用紙待機経路27と搬送経路22との接続部22aには、経路切替フラッパ113が配置されている。経路切替フラッパ113は、搬送方向上流側の基端部を支点として、下流側の先端部を図中上下に揺動可能に枢支されている。経路切替フラッパ113は、後述する経路切替フラッパ駆動モータ115により駆動されて、搬送経路22を用紙33が上流側から下流側に搬送されるのを可能にする排出搬送位置と、搬送経路22を経路切替フラッパ113の下流側から用紙待機経路27に向けて用紙33の搬送を可能にする待機搬送位置との間で揺動する。通常、経路切替フラッパ113は、搬入口101から搬入された用紙33が、搬送経路22を搬入ローラ対24及び排出ローラ対25により排紙口103まで搬送されるように、排出搬送位置に配置されている。
【0055】
用紙待機経路27に退避させる用紙33は、その後端を排紙センサ102が検出するまで、搬送経路22を排紙口103に向けて搬送される。用紙33の後端を排紙センサ102が検出すると、該用紙をニップした状態で排出ローラ対25を停止させかつ逆転させて、搬送経路22を逆方向に用紙33を搬送する。このとき、経路切替フラッパ113は、排出ローラ対25が逆転し始める前に、排出搬送位置から待機搬送位置に移動させる。経路切替フラッパ113の前記待機搬送位置では、該経路切替フラッパの先端部113aを揺動させて、搬送経路22と用紙待機経路27との接続部22aに重なるか、少なくとも用紙待機経路27の内側にかかる位置となるように配置する。これにより、用紙待機経路27に退避する用紙33の角折り部が接続部22aに引っ掛かる虞は無い。
【0056】
これにより、用紙33は搬送経路22をスイッチバック搬送され、その上流端(搬送方向後端)が経路切替フラッパ113に案内されて用紙待機経路27内に搬送される。用紙待機経路27内で、用紙33は待機ローラ対26により更に奥へ搬送される。待機ローラ対26は、
図8に示すように、用紙33の搬送方向下流端付近をニップした状態で停止させる。この待機ローラ対26の停止は、搬送経路22をスイッチバック搬送される用紙33の搬送方向下流端を排紙センサ102が検出するタイミングに基づいて制御される。
【0057】
「用紙の同時排出動作」
用紙待機経路27に待機させた用紙は、搬送経路22を搬入口101から排紙口103へと搬送される後続の用紙と重ね合わせて排紙口103から同時に排出されるように、搬送経路22に戻される。搬入口101から搬入されるどの用紙を用紙待機経路27に待機させるかは、用紙角折り機構50で施される角折り処理の設定に基づいて、本体制御部202からの指示によって決定される。
【0058】
角部の上折り処理が設定されている場合、
図8に示すように、用紙角折り機構50で角折り処理した先行の用紙33を、上述したように用紙待機経路27にスイッチバック搬送させて待機させる。用紙待機経路27内で用紙33は、搬送方向先端側の角折り部が、搬送経路22との接続部22aと待機ローラ対26との間に位置するように、該待機ローラ対にニップされて保持される。
【0059】
次に、
図8に示すように、角折り処理されていない後続の用紙34が搬送経路22を搬送されてくると、待機ローラ対26を駆動して、用紙33を用紙待機経路27から搬送経路22に送り出す。用紙33は、その搬送方向先端が後続用紙34の先端に先行しないように、搬送経路22で該後続用紙と重ね合わされる。用紙33と用紙34とは、重ね合わされた状態で排出ローラ対25により搬送経路22を搬送方向に搬送され、排紙口103から同時に排出される。
【0060】
排紙口103から排出された用紙33と用紙34とは、仕上げの後処理をしない場合、正転する反転ローラ対28を介して排出トレイ32の紙載台32a上に排出され積載される。用紙33及び用紙34に仕上げの後処理をする場合、後述するように反転ローラ対28を反転させることによって、両用紙33,34は処理トレイ29の紙載台29a上に積載される。
【0061】
用紙33の用紙待機経路27からの送り出しは、後続用紙34の先端が、用紙待機経路27と搬送経路22との接続部22aに到達するタイミングに合わせて行われる。このタイミングは、例えば搬入センサ23が後続用紙34の先端を検出したタイミング、搬入ローラ対24の用紙搬送速度等に基づいて決定される。
【0062】
用紙33が用紙待機経路27から送り出されるとき、これと同時に後続用紙34が搬送経路22と用紙待機経路27との接続部22aを通過する。このため、経路切替フラッパ113は、搬送経路22の上流側及び用紙待機経路27の双方から用紙が同時に通過し得る位置に配置される。これは、予め前記排出搬送位置をこのように設定することによって実現される。別の実施形態では、前記排出搬送位置を、用紙待機経路27が完全に遮断されて搬送経路22が解放されるように設定し、用紙33を用紙待機経路27から送り出す際には、経路切替フラッパ113を前記排出搬送位置と待機搬送位置との中間位置に配置して、用紙の同時通過を可能にすることもできる。
【0063】
上述したように角折り処理していない後続の用紙34を先行の用紙33の上面側に重ね合わせることによって、用紙33先端の上向きの角折り部は後続用紙34で覆われる。この状態で排紙口103から排出されるので、その後に排紙口103から排出される用紙が用紙33の上向き角折り部に引っ掛かる虞は無い。従って、用紙33と後続の用紙とを縦横に整列させて、排出トレイ32又は処理トレイ29の前記紙載面に積載することができる。
【0064】
画像形成装置Aから用紙後処理装置Bに連続して搬入されて最終的に排出トレイ32に排出される一連の用紙の最後の用紙に角部の上向き処理が行われる場合、該最後の用紙に重ね合わせるべき後続の用紙が存在しない。前記最後の用紙が排出トレイ32(又は処理トレイ29)に排出された後、次に画像形成装置Aから用紙後処理装置Bに用紙を搬入する動作が開始する前に、排出トレイ32(又は処理トレイ29)上から前記一連の用紙が取り除かれていれば、排出トレイ32(又は処理トレイ29)上で前記最後の用紙の上に排出される用紙は無いので、上述した用紙の整列性の問題は生じない。
【0065】
しかしながら、排出トレイ32(又は処理トレイ29)に先に積載された前記一連の用紙を取り除く前に、画像形成装置Aから用紙後処理装置Bに用紙を搬入する次の動作が開始する場合がある。その場合、排出トレイ32(又は処理トレイ29)上で前記最後の用紙の上に他の用紙が排出されて、用紙の整列性が損なわれるという問題を生じる。この問題は、例えば、前記最後の用紙を用紙角折り機構50で角折り処理した後に、用紙待機経路27に一旦退避させ、画像形成装置Aから画像形成していない追加用紙を搬入し、前記最後の用紙と上述したように重ね合わせて排紙口103から同時に排出することによって解消される。前記追加用紙の搬入は、上述した角折り処理の設定に基づいて、本体制御部202からの指示によって行うことができる。
【0066】
角部の下折り処理が設定されている場合、角折り処理する用紙33の直前に搬送経路22を搬送される先行の用紙を、排紙口103から排出させずに、
図8に関連して上述したようにスイッチバック搬送させ、搬送方向先端部付近を待機ローラ対26によりニップされた状態で用紙待機経路27内に待機させる。次に、用紙角折り機構50で角部を下折り処理された用紙33が搬送経路22を搬送されてくると、待機ローラ対26を駆動して、前記先行用紙を用紙待機経路27から搬送経路22に送り出す。用紙33は、その搬送方向先端が前記先行用紙の先端に先行しないように、搬送経路22で該先行用紙と重ね合わされる。
【0067】
排紙口103から排出された用紙33と前記先行用紙とは、仕上げの後処理をしない場合、正転する反転ローラ対28を介して排出トレイ32の紙載台32a上に排出され積載される。用紙33及び前記先行用紙に仕上げの後処理をする場合、後述するように反転ローラ対28を反転させることによって、前記両用紙は処理トレイ29の紙載台29a上に積載される。
【0068】
前記先行用紙の用紙待機経路27からの送り出しは、用紙33の先端が、用紙待機経路27と搬送経路22との接続部22aに到達するタイミングに合わせて行われる。このタイミングは、例えば搬入センサ23が用紙33の先端を検出したタイミング、搬入ローラ対24の用紙搬送速度等に基づいて決定される。
【0069】
上述したように角折り処理していない直前の先行用紙を用紙33の下面側に重ね合わせることによって、用紙33先端の下向きの角折り部は前記先行用紙で覆われる。この状態で排紙口103から排出されるので、用紙33の下向き角折り部が、先に排紙口103から排出されている用紙に引っ掛かる虞は無い。従って、排出トレイ32又は処理トレイ29に先に積載されている用紙と用紙33とを縦横に整列させて積載することができる。
【0070】
画像形成装置Aから用紙後処理装置Bに連続して搬入されて最終的に排出トレイ32に排出される一連の用紙の最初の用紙に角部の下向き処理が行われる場合、該最初の用紙に重ね合わせるべき先行用紙が存在しない。前記最初の用紙が排出トレイ32(又は処理トレイ29)に排出される際に、先に排出トレイ32(又は処理トレイ29)に積載されている他の用紙が無ければ、上述した用紙の整列性の問題は生じない。しかしながら、排出トレイ32(又は処理トレイ29)に他の用紙が残っている場合、その上に前記最初の用紙を排出すると、該最初の用紙の下向き角折り部が前記他の用紙に引っ掛かって、用紙の整列性が損なわれるという問題を生じる。
【0071】
この問題は、例えば排出トレイ32(又は処理トレイ29)に後述する既積載紙有無センサ116を設けて、事前に排出トレイ32(又は処理トレイ29)に積載されている用紙の有無を検出することによって解消される。即ち、排出トレイ32(又は処理トレイ29)に用紙が検出されない場合、角部の下折り処理をした前記最初の用紙は、そのまま搬送経路22の排紙口103から排出する。排出トレイ32(又は処理トレイ29)に用紙が検出された場合、前記最初の用紙が、角部の下折り処理をした用紙とならないようにする。
【0072】
そのために、或る実施形態では、前記最初の用紙に角部の下折り処理ではなく、上折り処理を行う。これに対応して、画像形成装置Aでは、前記最初の用紙及びそれと一連に出力される後続の用紙に対して、それらの用紙面を表裏反転させて画像形成を行うと共に、用紙後処理装置Bに出力する順序を逆にする。これにより、前記最初の用紙を含む一連の用紙は、上述した角部の上折り処理を設定した場合と同様に処理され排出される。この動作は、本体制御部202からの指示によって行うことができる。
【0073】
別の実施形態では、排出トレイ32(又は処理トレイ29)に積載されている用紙がある場合、前記最初の用紙の直前に、画像形成していない先行用紙を画像形成装置Aから用紙後処理装置Bに排出するように設定する。用紙後処理装置Bに搬入された前記先行用紙は、上述したように排紙口103から排出させずに用紙待機経路27内に待機させ、その後に搬入された前記最初の用紙が用紙角折り機構50で角部を下折り処理されて搬送経路22を搬送されてくるタイミングに合わせて、搬送経路22に戻して前記最初の用紙と重ね合わせ、同時に排紙口103から排出することができる。
【0074】
また、角折り処理した2枚の用紙を上述したように重ね合わせて、同時に排紙口103から排出することは好ましくない。例えば、2枚の用紙が同じ上向き若しくは下向きに、又は対向する向きに角折り処理されている場合、用紙同士を重ね合わせる際に生じる用紙先端の位置ずれによって、先行する一方の用紙の角折り部が他方の用紙に引っ掛かる虞がある。2枚の用紙が互いに外向きに角折り処理されている場合、用紙同士が引っ掛かる可能性は無いが、両用紙の角折り部がそれぞれ、排出トレイ32又は処理トレイ29に先に積載されている他の用紙、及び後から排出される他の用紙と引っ掛かることになる。従って、角折り処理した用紙と同時に排出される後続又は先行の用紙は、上述したように角折り処理しない用紙に限定することが好ましい。
【0075】
「処理トレイ」
排紙口103の下流側には処理トレイ29が配置されている。処理トレイ29は、用紙の排出方向(
図2では右から左の方向)での後端部を支持する処理トレイ紙載台29aを備えている。処理トレイ紙載台29aは、排出トレイ32との間で排紙口103から搬送された用紙を略水平方向にブリッジ支持するように配置されている。
【0076】
処理トレイ29には、用紙の排出方向での後端部を位置規制する規制ストッパ105とステイプルユニット31とが配置されている。よって、搬送経路22から排出される用紙は、排出方向とは反対の方向(
図2では右方向)に反転搬送されて、排紙口103の下方に配置されている処理トレイ29に収納される。ステイプルユニット31は、従来から採用されている周知のものであり、反転搬送により処理トレイ紙載台29a上に積載され部揃えされた用紙束をステイプル針で綴じ処理する。
【0077】
「整合機構」
処理トレイ29には、
図2で示すように、排紙口103から搬送されてくる用紙の用紙幅方向に該用紙の搬送方向と直交する向きに進退して位置決めする整合手段である整合機構30が配置されている。整合機構30は、
図9の上面図に示すように、排紙口103から処理トレイ29に搬入された用紙33のセンターを基準に位置合わせを行うために、処理トレイ29上の用紙の左側縁と係合する左整合板30Lと、用紙の右側縁と係合する右整合板30Rとを備える。
【0078】
この左右の整合板30L及び30Rはそれぞれ処理トレイ29の処理トレイ紙載台29aに形成されているガイド溝(図示せず)に嵌合支持され、用紙の搬送方向と直交する向き(以下、「用紙幅方向」という)にスライドして移動可能となっている。そして、処理トレイ29の底部には前記ガイド溝に沿って一組のプーリ対111を配置して、それぞれのプーリ対111にはベルト112が架け渡されている。そして、各ベルト112には、左右の整合板30L及び30Rがそれぞれ固定されている。また、各プーリ対111の一方のプーリにはシフトモータMZ1及びMZ2が連結されている。
【0079】
このような構成で左右一対形成されている左整合板30Lと右整合板30Rとは、それぞれの整合板LシフトモータMZ1及び整合板RシフトモータMZ2の駆動で用紙幅方向に往復移動する。このとき、整合板LシフトモータMZ1及び整合板RシフトモータMZ2を同期させて反対方向に同一量回転駆動させることで、処理トレイ29上に搬入された用紙をセンター基準で整合することが可能となる。
【0080】
「用紙搬出機構」
上述の処理トレイ29には、排紙口103から用紙を処理トレイ紙載台29a上に搬送する反転ローラ対28と、処理トレイ紙載台29a上の用紙を規制ストッパ105に送る掻込みローラ104が配置されている。反転ローラ対28は、排紙口103から送られた用紙を、一旦排出方向に搬送した後に排出方向とは異なる規制ストッパ105に向かう反転搬送方向に送る正逆転ローラで構成されている。図示の反転ローラ対28は、処理トレイ29の上方に位置する反転上部ローラ28aと下方に位置する反転下部ローラ28bで構成され、両ローラは圧接離間するローラ対で構成されている。
【0081】
反転下部ローラ28bは、処理トレイ紙載台29aに埋設された固定ローラ構造であるのに対し、反転上部ローラ28aは、後処理装置ハウジング21に昇降可能に構成されている。反転上部ローラ28aは、後処理装置ハウジング21に揺動可能に軸支持された昇降アームに取り付けられている。前記昇降アームには、該昇降アームを昇降させるためにソレノイド、モータ等のアクチュエータが連結されている。反転上部ローラ28aには、これを排出方向及び反転搬送方向に回転させるために、正逆転可能な反転ローラ駆動モータ108(図示せず)が連結されている。
【0082】
後述する制御CPU203は、排紙センサ102から用紙先端の検出信号を受信してから、該用紙先端が反転ローラ対28のローラニップ位置に到達するまで、反転上部ローラ28aを離間した上昇位置に位置させ、用紙先端がローラニップ位置に到達した後は、反転上部ローラ28aを反転下部ローラ28bに圧接する作動位置まで下降させる。反転上部ローラ28aは、用紙後端が排紙口103から搬出されるまで排出方向に回転させ、一旦停止した後に反転搬送方向に回転させる。これによって、排紙経路22から排出される用紙は、最初排出方向に送られ、用紙後端が排紙口103から処理トレイ29上に進入した後、反転搬送方向に進む。
【0083】
つまり後述する制御CPU203は、排紙センサ102で用紙先端を検出した後、用紙先端が反転ローラ対28のローラニップ位置に到達するタイミングで、上方に待機している反転上部ローラ28aを下方のニップ位置に降下させ、反転下部ローラ28bと圧接した状態で排出方向に所定量回転後に一旦停止させ、その後に反転搬送方向に回転させる。この制御は、排紙センサ102で用紙先端を検出した信号と用紙後端を検出した信号を基準に遅延回路が構成されている。
【0084】
掻込みローラ104は、排紙口103の排出ローラ対25と一体に回転するベルト部材(図示せず)で構成され、排出ローラ対25から処理トレイ紙載台29a上の最上用紙の上に垂れ下がるように配置されている。掻込みローラ104は、排出ローラ対25と同一方向に回転して、処理トレイ紙載台29aの用紙に規制ストッパ105に向かう搬送力を付与する。掻込みローラ104として、前記回転するベルト部材に限らず、上下に揺動するローラ構造、パドル構造など種々の機構が採用可能である。
【0085】
「排出トレイ」
排出トレイ32は、用紙を積載収納する排出トレイ紙載面32aと、排出トレイ紙載面32aに積載された用紙端部を突き当てさせて規制する用紙端規制面32bとを有する収納構造で構成されている(
図2参照)。排出トレイ32には、排出トレイ32上の既積載紙有無を検出するために、上述した既積載紙有無センサ116(図示せず)が設けられている。排出トレイ紙載面32aには、排紙口103からの段差が固定された高さの固定トレイ構造と、用紙の積載量に応じて上下動する昇降トレイ構造のいずれかのスタック構造が採用される。
【0086】
排出トレイ紙載面32aは昇降トレイ構造で構成されている。このため後処理装置ハウジング21に昇降可能なトレイ載台32cがガイドレール106に支持され、このトレイ載台32cに排出トレイ紙載面32aを有する排出トレイ32が固定されている。トレイ載台32cは図示しないが、例えば後処理装置ハウジング21に昇降可能にガイドレール106を配置し、このレールに嵌合支持したトレイ載台32cを上下一対のプーリに巻廻したベルト、ワイヤーなどの牽引部材で支持する。そして巻き上げプーリを昇降モータで回転して排出トレイ32を所定の高さ位置に昇降する。
【0087】
上記排出トレイ紙載面32aは、
図2に示すように排出方向下流側が高く上流側は低くなるように傾斜した傾斜紙載面で構成されている。そしてこの排出トレイ紙載面32aの傾斜角度は積載する用紙種類によって異なるがほぼ40度以上(用紙によっては35度以上)に形成されている。この傾斜角度を大きく設定すると排出トレイ紙載面32a上に搬入された用紙は高速で滑り落ちて用紙端規制面32bに突き当て規制され、この傾斜角度を小さく設定すると排出トレイ紙載面32a上に搬入された用紙は緩やかに滑り落ちて用紙端規制面32bに突き当たる。従って傾斜角度を大きく設定すると用紙を迅速で確実に用紙端規制面32bに沿って積載することが可能であり、装置の水平方向の寸法(大きさ)を小型化することが可能となる。
【0088】
[制御構成]
本実施形態の用紙後処理装置Bの制御構成を、
図10のブロック図に従って説明する。用紙後処理装置Bの制御部200は、画像形成装置Aの本体制御部202に接続され、本体制御部202は、同じく画像形成装置Aに設けられたユーザ操作部201に接続されている。
【0089】
制御部200は、制御CPU203によってコンピュータ制御され、ROM204に記憶された制御プログラムデータをRAM205にコピーし、それに従って後処理動作を制御する。この後処理動作では、用紙後処理装置Bに搬入されて搬送される用紙33に対して、上述した用紙角折り機構50による角折り処理だけでなく、処理トレイ29に部揃えして収納した用紙束にステイプル綴じ等の後処理を施したり、後処理した用紙束を排出トレイ32に排出する動作を実行する。
【0090】
制御CPU203には、画像形成装置Aの本体制御部202から用紙情報(搬送方向サイズ、用紙幅方向のサイズ、坪量等)やジョブ開始信号、ジョブ終了信号が入力される。これらの情報や信号を受信すると、制御CPU203は、RAM205にコピーされた制御プログラムデータに基づき、用紙後処理装置Bの動作を制御する。
【0091】
制御CPU203は、画像形成装置Aから搬出された用紙を搬送経路22に受け入れて搬送する搬送制御部203aと、用紙整合制御部203bと、後処理制御部203cと、用紙束排出制御部203dと、用紙角折り機構50を制御する角折り制御部203eとを備えている。上述した角折り処理においても、制御CPU203は、RAM205にコピーされた制御プログラムデータに従って、用紙後処理装置Bの角折り処理を制御する。
【0092】
搬送制御部203aは、搬入口101から搬入された用紙を、搬送経路22を通して搬送し、排紙口103から排出するために、搬入センサ23の検出信号に基づいて搬送ローラ駆動モータ109を制御して、搬入ローラ対24及び排出ローラ対25を回転させると共に、用紙の先端が経路切替フラッパ113に到達する前に、経路切替フラッパ駆動モータ115を制御して、経路切替フラッパ113を前記排出搬送位置に配置する。更に、搬入ローラ対24と排出ローラ対25間に位置する角折りローラ対55も、同様に搬送ローラ駆動モータ109を制御することによって、用紙角部の角折り処理可能に回転させる。
【0093】
搬送制御部203aは、本体制御部202から入力される情報から、搬送経路22を排紙口103に向けて搬送される用紙33が用紙待機経路27に待機させるべき用紙であると判断した場合、排紙センサ102からの用紙後端検出信号に基づいて、搬送ローラ駆動モータ109を制御し、排出ローラ対25を一旦停止させる。その後、経路切替フラッパ駆動モータ115を制御して、経路切替フラッパ113を前記待機搬送位置に配置する。更に搬送ローラ駆動モータ109を制御して、排出ローラ対25を逆転させ、用紙33を搬送経路22から用紙待機経路27に向けてスイッチバック搬送させる。経路切替フラッパ113を前記待機搬送位置に切り替えるタイミングは、このように排出ローラ対25を一旦停止させた後に限定されるものでなく、搬送制御部203aは、用紙33の搬送方向後端が経路切替フラッパ113に到達する前に、経路切替フラッパ駆動モータ115を制御して、経路切替フラッパ113を前記待機搬送位置に配置し、用紙33を用紙待機経路27に案内してもよい。
【0094】
更に、搬送制御部203aは、待機ローラ駆動モータ114を制御し、待機ローラ対26を回転させて用紙33を用紙待機経路27の奥へ送り込み、該待機ローラ対の回転を停止させて、用紙33をニップした状態で用紙待機経路27に待機させる。待機させた用紙33を後続の用紙34と重ね合わせて同時に排紙口103から排出するために、搬送制御部203aは、搬送ローラ駆動モータ109を制御して、後続の用紙34を搬送方向に搬送しつつ、搬入センサ23からの後続用紙34先端の検出信号に基づいて、待機ローラ駆動モータ114を制御し、待機ローラ対26を回転させて用紙33を用紙待機経路27から搬送経路22に送り出す。
【0095】
搬送経路22を搬送されてきた用紙33を処理トレイ29に積載する際には、反転上部ローラ28aを、反転下部ローラ28bから離間した上昇位置に待機させ、搬送される用紙33の先端が反転ローラ対28のニップ位置を通過した後に、反転上部ローラ28aを下降させて反転下部ローラ28bに圧接させるように、昇降モータ110を制御する。更に、反転ローラ対28は、搬送される用紙33の後端が排紙センサ102を通過するまでは、用紙を排出方向に搬送するよう回転し、排紙センサ102が用紙後端を検出すると、一旦回転を停止した後に逆回転することで、用紙を規制ストッパ105に向けて(排出反対方向に)搬送する。反転ローラ対28の回転は、反転ローラ駆動モータ108を制御することで実施される。
【0096】
反転ローラ対28により規制ストッパ105に向けて搬送される用紙33は、掻込みローラ104により規制ストッパ105まで搬送されて、処理トレイ29に積載される。掻込みローラ104は、排出ローラ対25と同様に、搬送ローラ駆動モータ109によって駆動される。
【0097】
用紙33を、排紙口103から排出した後に処理トレイ29に収納せずに、排出トレイ32に直接排出する場合には、反転上部ローラ28aを前記上昇位置に待機させ、搬送経路22を搬送される用紙33の先端が排紙口103から出て反転上部ローラ28aのニップ位置に到達するタイミングで、反転上部ローラ28aを下降させて反転下部ローラ28bに圧接するように、昇降モータ110を制御する。その後、反転ローラ対28を一旦停止させたり逆回転させることなく、排出方向に回転させて、用紙を排紙口103から排紙トレイ32に積載する。
【0098】
用紙整合制御部203bは、整合板LシフトモータMZ1及び整合板RシフトモータMZ2の駆動を制御することで、整合板30R及び30Lを動作させる。この整合動作は、排紙センサ102による搬送される用紙33の後端検出信号に基づき行われる。また、用紙整合制御部203bは、搬送制御部203aにより搬送される用紙33が直接排出トレイ32に排出される場合は、前記整合動作を行わない。
【0099】
後処理制御部203cは、用紙束をステイプル綴じする場合に、ステイプルユニット31を制御する。本体制御部202からジョブ終了信号を受信すると、後処理制御部203cは、最後の用紙が処理トレイ29に収納され、用紙束が用紙幅方向に整合された後、ステイプルユニット31のドライブモータに起動信号を送信する。この起動信号を受けてステイプルユニット31は綴じ動作を実行し、綴じ動作終了後に後処理制御部203cにエンド信号を送る。後処理制御部203cは、エンド信号を受信することで、綴じ動作が完了したことを認識し、用紙束排出制御部203dに通知する。
【0100】
用紙束排出制御部203dは、後処理制御部203cからの綴じ動作の完了通知を受けて、反転ローラ対28で処理トレイ29上の用紙束を圧接し、排出トレイ32の方向に用紙束を搬送するため、反転ローラ駆動モータ108を駆動する。この動作により処理トレイ29上の用紙束は下流側の排出トレイ32に搬送され、積載される。
【0101】
角折り制御部203eは、ユーザ操作部201でユーザが入力した角折り処理(上折り処理、下折り処理、処理無し)の指示を、本体制御部202から受信すると、該指示に応じて用紙角折り機構50を制御する。搬送される用紙33に角折り処理を実施する場合、角折り制御部203eは、搬入センサ23による用紙先端の検出信号に基づいて、角折りフラッパモータ206を制御し、上フラッパ51及び下フラッパ52を前記水平位置から揺動動作させる。角折り処理を実施しない場合、角折り制御部203eは、用紙角折り機構50の制御を行わない。従って、上フラッパ51及び下フラッパ52は、前記水平位置に維持される。
【0102】
また、本体制御部202は、画像形成装置Aにおける画像形成だけでなく、用紙後処理装置Bによる用紙の角折り処理に関連して、ユーザ操作部201から入力される角折り処理の指示と、制御CPU203を介して入力される既積載紙有無センサ116からの検出信号に基づいて、用紙への画像形成及び用紙後処理装置Bへの用紙の出力を制御する。具体的には、用紙の同時排出動作に関連して上述したように、最初の用紙に角部の下折り処理が設定された場合に、用紙面を表裏反転させて用紙に画像形成しかつ用紙の出力順序を変更する処理、2枚の用紙を連続して角折りしない処理、角部を上折り処理する最後の用紙と同時排出するために、画像形成しない追加用紙を搬出する処理を制御する。
【0103】
以下に、上述した本実施形態の制御構成において、用紙角折り機構50により実行される用紙の角折り処理の指示をユーザ操作部201で設定する過程を、
図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0104】
最初に、ステップS101において、角折り処理の指示を受け付ける。
【0105】
次にステップS102において、ステップS101で角折り処理を指示された用紙の直前及び直後に搬送される2枚の用紙には、角折り処理の指示を禁止する。これは、上述したように、角折り処理した用紙とそうでない用紙とを搬送経路22から同時排出するために、2枚の用紙が連続して角折り処理されることを防止する設定である。
【0106】
ステップS103では、追加の角折り指示があるか否かを判断する。この判断は、ユーザによるユーザ操作部201からの入力情報に基づいて行われる。追加の角折り処理の指示があれば、ステップS101に戻り、無ければステップS104に移行する。
【0107】
ステップS104において、ユーザ操作部201で入力された角折り処理の指示に、用紙後処理装置Bに搬出される最初の用紙への下折り処理があるか否かを判断する。最初の用紙への下折り処理が指示されていれば、ステップS105に移行し、無ければステップS107に移行する。
【0108】
ステップS105では、用紙後処理装置Bの排出トレイ32に積載されている用紙があるか否かを判断する。この判断は、制御CPU203を介して入力される既積載紙有無センサ116の検出信号に基づいて行われる。排出トレイ32に積載されている用紙があれば、ステップS106に移行し、無ければステップS107に移行する。
【0109】
ステップS106では、画像形成装置Aにおいて画像形成される用紙の用紙面の表裏反転、及び画像形成後に用紙後処理装置Bに出力される用紙の順序の変更を行う。このステップは、用紙後処理装置Bに搬出される最初の用紙が下折り処理されることを防止するために行われる。
【0110】
次にステップS107において、ユーザ操作部201で入力された角折り処理の指示に、用紙後処理装置Bに搬出される最後の用紙への上折り処理があるか否かを判断する。最後の用紙への上折り処理の指示があれば、ステップS108に移行し、無ければ角折り処理の設定を終了する。
【0111】
ステップS108では、画像形成装置Aから用紙後処理装置Bに、最後の用紙の後に画像形成しない用紙を搬出するように設定する。このステップの後、角折り処理の設定を終了する。
【0112】
更に、本実施形態の用紙後処理装置Bにおいて、ユーザ操作部201で入力された角折り処理の設定に基づいて用紙の角折り処理及び搬送を行う過程を、
図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0113】
ステップS201において、画像形成装置Aから用紙後処理装置Bに用紙を搬入する。画像形成装置Aの排紙口13から排出された用紙は、用紙後処理装置Bの搬入口101から搬入され、その先端を搬入センサ23で検出され、搬送経路22を搬入ローラ対24により用紙搬送方向下流へと搬送される。
【0114】
次のステップS202において、搬送経路22を搬送される用紙33に角折り処理を実施する。用紙33は、ユーザ操作部201で入力された角折り処理の指示に基づいて、搬入ローラ対24により搬送されながら、用紙角折り機構50で角折り処理される。
【0115】
ステップS203では、搬送される用紙33に上向きの角折り部があるか否かを判断する。上向きの角折り部があれば、ステップS204に移行し、無ければステップS205に移行する。
【0116】
ステップS204において、搬送される用紙33を用紙待機経路27に待機させる。搬送制御部CPU203aは、搬送ローラ駆動モータ109、待機ローラ駆動モータ114、及び経路切替フラッパ駆動モータ115を制御し、用紙33を搬送経路22から用紙待機経路27にスイッチバック搬送して待機させる。
【0117】
ステップS205では、搬送される用紙33に下向きの角折り部があるか否かを判断する。用紙33に下向きの角折り部があれば、ステップS207に移行し、無ければステップS206に移行する。
【0118】
ステップS206では、次に搬送経路22を搬送される用紙に下折り処理の指示があるか否かを判断する。下折り処理の指示があれば、ステップS204に移行し、無ければステップS209に移行する。
【0119】
ステップS207では、搬送経路22を搬送される用紙33が前記最初の用紙か、2枚目以降の用紙かを判断する。用紙33が前記最初の用紙であれば、ステップS210に移行し、2枚目以降の用紙であれば、ステップS208に移行する。
【0120】
ステップS208において、角部を下折り処理した用紙33と用紙待機経路27に待機中の角折りしていない先行の用紙とを、搬送経路22の排紙口13から同時に排出する。このとき、用紙33は、その角部を下折り処理した先端が、用紙待機経路27から送り出される前記先行の用紙の先端に先行しないように、搬送経路22で該先行の用紙に重ね合わされる。
【0121】
ステップS209では、角部を上折り処理した用紙が用紙待機経路27に待機しているか否かを判断する。上折り処理した用紙が用紙待機経路27に待機していれば、ステップS211に移行し、待機していなければ、ステップS210に移行する。
【0122】
ステップS210では、用紙が用紙待機経路27に無いので、次に搬送経路22を搬送される用紙をそのまま搬送経路22の排紙口13から排出する。
【0123】
次にステップS211において、用紙待機経路27に待機中の上折り処理した用紙33と、次に搬送経路22を搬送される後続の用紙とを、同時に搬送経路22の排紙口13から排出する。このとき、用紙33は、その角部を上折り処理した先端が、搬送経路22を搬送される前記後続の用紙の先端に先行しないように、用紙待機経路27から送り出して、搬送経路22で該後続の用紙に重ね合わされる。
【0124】
次のステップS212において、次に用紙後処理装置Bに搬入される用紙があるか否かを判断する。次に搬入される用紙がある場合、ステップS201に移行し、無い場合は用紙搬送を終了する。次に搬入される用紙の有無は、本体制御部202から受信するジョブ終了信号に基づいて、制御CPU203が判断する。
【0125】
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0126】
A 画像形成装置
B 用紙後処理装置
21 装置ハウジング
22 搬送経路
23 用紙搬入センサ
24 搬入ローラ対
25 排出ローラ対
26 待機ローラ対
27 用紙待機経路
28 反転ローラ対
29 処理トレイ
32 排出トレイ
33 用紙
34 後続用紙
50 用紙角折り機構
51 上フラッパ
52 下フラッパ
53 上側用紙ガイド
54 下側用紙ガイド
55 折りローラ対
101 搬入口
103 排紙口
113 経路切替フラッパ
201 ユーザ操作部
202 本体制御部
203 制御CPU
203a 搬送制御部
203b 用紙整合制御部
203c 後処理制御部
203d 用紙束排出制御部
203e 角折り制御部