(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】圃場への給水自動遮断装置、および圃場からの排水自動遮断装置
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20220126BHJP
F16K 17/36 20060101ALI20220126BHJP
F16K 31/24 20060101ALI20220126BHJP
E02B 13/02 20060101ALI20220126BHJP
E02B 11/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
A01G25/00 501B
F16K17/36 Z
F16K31/24 B
E02B13/02 C
E02B11/00 302
(21)【出願番号】P 2018057239
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】加納 一啓
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-195856(JP,A)
【文献】特開2002-335781(JP,A)
【文献】実開平03-005732(JP,U)
【文献】登録実用新案第3035994(JP,U)
【文献】米国特許第05174499(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
F16K 17/36
F16K 31/24
E02B 13/02
E02B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場への給水路を自動で遮断する給水自動遮断装置であって、
前記圃場に取外し可能に設置されてその圃場内の水位の所定水位までの上昇を検知する水位計ユニットと、前記給水路に設置される弁体ユニットとを備え、
前記弁体ユニットは、前記給水路を開閉する弁体と、その弁体を、前記給水路を開放する開位置から閉鎖する閉位置へと移動させる閉位置移動手段とを備え、また、
前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとの間には、前記水位計ユニットによる所定水位の検知を伝達する伝達体と、その伝達体から伝達される所定水位の検知に基づいて前記閉位置移動手段を作動させる作動指示体とが設けられ、
前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとは、前記水位計ユニットと前記伝達体との間、前記伝達体の途中箇所、前記伝達体と前記作動指示体との間、または前記作動指示体と前記弁体ユニットとの間で、分離可能に連結され
ており、その連結を外すことで、前記水位計ユニットを、前記弁体ユニットから分離し、その水位計ユニットを、前記圃場から取外し可能である、圃場への給水自動遮断装置。
【請求項2】
前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとは、前記作動指示体と前記弁体ユニットとの間で、分離可能に連結され、
前記弁体ユニットは、その弁体ユニットから前記作動指示体が分離した状態で、前記弁体を開位置に保持する開位置保持手段を備える、請求項1に記載の圃場への給水自動遮断装置。
【請求項3】
前記開位置保持手段は、覆い部を有し、その覆い部は、前記開位置保持手段によって前記弁体を開位置に保持したとき、前記弁体ユニットにおける、前記作動指示体が連結される被連結部を、その作動指示体が連結不能となるよう覆う、請求項2に記載の圃場への給水自動遮断装置。
【請求項4】
前記伝達体は、アウターチューブ内に配されたインナーワイヤーを備え、そのインナーワイヤーは、前記水位計ユニットによる所定水位の検知によりその水位計ユニット側に引き込まれるように作動し、
前記閉位置移動手段は、前記弁体が前記開位置から前記閉位置へと移動するよう付勢する付勢部材と、前記弁体と連動する作用部材とを備えて、その連動により前記作用部材が第1位置に位置するときに前記弁体が開位置に位置するとともに、その作用部材が第2位置に位置するときに前記弁体が閉位置に位置し、
前記作動指示体は、指示体本体と、その指示体本体をスライド可能に収容するとともに前記弁体ユニットに着脱可能に取り付けられる指示体ケースとを備えて、その指示体ケースの、前記弁体ユニットへの取り付けにより、前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとは、前記作動指示体と前記弁体ユニットとの間で、分離可能に連結され、
前記指示体本体は、前記スライドにより、先端に備わる係止部が前記指示体ケースから突出して前記作用部材に当接する前進位置と、前記係止部が前記作用部材から控える後退位置とに移動可能であって、前記作用部材が前記第1位置に位置して前記指示体本体が前記前進位置に位置するとき、前記係止部が前記作用部材に設けられた被係止部に係合して、その作用部材を前記第1位置に保持するとともにその作用部材に連動する前記弁体を開位置に保持し、また、
前記指示体本体は、後端側に前記インナーワイヤーが接続されるワイヤー接続部を有して、前記インナーワイヤーが前記水位計ユニット側に引き込まれることで、前記指示体本体が前記前進位置から前記後退位置に移動して、前記被係止部への前記係止部の係合が外れて、前記付勢部材の付勢により、前記作用部材が第1位置から第2位置に移動するとともにその作用部材に連動する前記弁体が開位置から閉位置に移動する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の圃場への給水自動遮断装置。
【請求項5】
前記指示体本体は、前記係止部を有する係止部材と、前記ワイヤー接続部を有する接続部材と、第1の付勢手段とを備え、
前記係止部材は、前記接続部材に対し、前記指示体本体のスライド方向と同一方向にスライド可能であり、前記第1の付勢手段は、前記接続部材に対し、前記係止部材を前記作用部材側へと付勢し、
前記接続部材に対して前記作用部材側へと移動した前記係止部材の、前記接続部材からの抜け出を阻止するよう、前記係止部材には、被対向面が設けられ、前記接続部材には、前記被対向面に当接する対向面が設けられる、請求項4に記載の圃場への給水自動遮断装置。
【請求項6】
前記作動指示体は、前記指示体ケースに対し前記指示体本体を前記作用部材側へと付勢する第2の付勢手段を備える、請求項5に記載の圃場への給水自動遮断装置。
【請求項7】
前記第1の付勢手段の付勢力が、前記第2の付勢手段の付勢力よりも大である、請求項6に記載の圃場への給水自動遮断装置。
【請求項8】
圃場からの排水路を自動で遮断する排水自動遮断装置であって、
前記圃場に取外し可能に設置されてその圃場内の水位の所定水位までの下降を検知する水位計ユニットと、前記排水路に設置される弁体ユニットとを備え、
前記弁体ユニットは、前記排水路を開閉する弁体と、その弁体を、前記排水路を開放する開位置から閉鎖する閉位置へと移動させる閉位置移動手段とを備え、また、
前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとの間には、前記水位計ユニットによる所定水位の検知を伝達する伝達体と、その伝達体から伝達される所定水位の検知に基づいて前記閉位置移動手段を作動させる作動指示体とが設けられ、
前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとは、前記水位計ユニットと前記伝達体との間、前記伝達体の途中箇所、前記伝達体と前記作動指示体との間、または前記作動指示体と前記弁体ユニットとの間で、分離可能に連結され
ており、その連結を外すことで、前記水位計ユニットを、前記弁体ユニットから分離し、その水位計ユニットを、前記圃場から取外し可能である、圃場からの排水自動遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場への給水路を自動で遮断する給水自動遮断装置、および圃場からの排水路を自動で遮断する排水自動遮断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、管水路から水田への給水に際し、その止水を自動化した管水路用自動止水器があった(例えば、特許文献1参照)。
図14に示すように、この管水路用自動止水器31は、弁口32aが設けられた取水パイプ32と、その取水パイプ32からの水を水田30へ導く吐出パイプ33と、取水パイプ32内に設けられた弁34と、その弁34に固定された弁棒35と、その弁棒35を介して弁34を弁口32a側へと付勢するスプリング36と、弁口32aが開いた状態で弁棒35に設けられた調節溝35aに係合する係止ピン37とを備えていた。また、この管水路用自動止水器31は、水田30の水位を検知する水位計を備え、その水位計は、水田30に浮くフロート38と、そのフロート38から上方に延びるネジロッド39と、そのネジロッド39に螺合する調節ナット40と、水田30の畔30aに立設される支持体41と、その支持体41に軸支されて揺動するレバー42とを備えていた。ここで、レバー42の一端と係止ピン37とがワイヤー43で繋がれ、レバー42の他端が調節ナット40によって支持された。そこで、水田30内に給水することで水位が上昇すると、フロート38が上昇し、レバー42が、調節ナット40に押し上げられて回動し、そのレバー42が、ワイヤー43を引っ張り、係止ピン37が調節溝35aから外されて、弁口32aが閉じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の管水路用自動止水器31にあっては、水田30への水供給を行わない期間であっても、水位計を水田30に放置していることから、次回の使用時に水位計が正常に作動しない虞があったり、それを防ぐためにメンテナンスが必要であったりと面倒であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、メンテナンスの手間を軽減ことができる、圃場への給水自動遮断装置、および圃場からの排水自動遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る圃場への給水自動遮断装置、および圃場からの排水自動遮断装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る圃場への給水自動遮断装置は、圃場への給水路を自動で遮断する給水自動遮断装置であって、前記圃場に取外し可能に設置されてその圃場内の水位の所定水位までの上昇を検知する水位計ユニットと、前記給水路に設置される弁体ユニットとを備える。ここで、前記弁体ユニットは、前記給水路を開閉する弁体と、その弁体を、前記給水路を開放する開位置から閉鎖する閉位置へと移動させる閉位置移動手段とを備える。そして、前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとの間には、前記水位計ユニットによる所定水位の検知を伝達する伝達体と、その伝達体から伝達される所定水位の検知に基づいて前記閉位置移動手段を作動させる作動指示体とが設けられる。そこで、前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとは、前記水位計ユニットと前記伝達体との間、前記伝達体の途中箇所、前記伝達体と前記作動指示体との間、または前記作動指示体と前記弁体ユニットとの間で、分離可能に連結されており、その連結を外すことで、前記水位計ユニットを、前記弁体ユニットから分離し、その水位計ユニットを、前記圃場から取外し可能である。
【0007】
この圃場への給水自動遮断装置によると、水位計ユニットが、圃場に設置され、弁体ユニットが、圃場への給水路に設置される。ここで、弁体ユニットにおける弁体が開位置に位置することで、給水路が開放され、その給水路を通って圃場へ水が流入する。そして、圃場内の水位が所定水位まで上昇すると、その上昇を水位計ユニットが検知し、その検知を、伝達体が作動指示体に伝達する。作動指示体は、その検知に基づいて閉位置移動手段を作動させ、弁体は、開位置から閉位置へと移動する。給水路が弁体によって遮断されることで、圃場への水の流入が止まり、圃場内の水位は、所定水位に留まる。ここにおいて、給水自動遮断装置は、水位計ユニットと伝達体との間、伝達体の途中箇所、伝達体と作動指示体との間、または作動指示体と弁体ユニットとの間で、分離可能に連結される。そこで、その連結を外すことで、水位計ユニットを、弁体ユニットから分離し、その水位計ユニットを、圃場から取り外すことができる。このため、この水位計ユニットを、他の圃場へ持って行って使用したり、圃場への給水を行わない時期には、水位計ユニットを保管場所に置いておくことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る圃場への給水自動遮断装置は、請求項1に記載の給水自動遮断装置において、前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとは、前記作動指示体と前記弁体ユニットとの間で、分離可能に連結される。そして、前記弁体ユニットは、その弁体ユニットから前記作動指示体が分離した状態で、前記弁体を開位置に保持する開位置保持手段を備える。これにより、作動指示体と弁体ユニットとの間の連結を外すことで、水位計ユニットとともに伝達体および作動指示体を、弁体ユニットから分離し、それらを、圃場から取り外すことができる。そして、このように、水位計ユニットとともに伝達体および作動指示体を、圃場から取り外した場合であっても、弁体ユニットが開位置保持手段を備えることから、その開位置保持手段によって、弁体を開位置に保持して、給水路から圃場へ給水することができ、また、開位置保持手段を解除することで、弁体を閉位置に移動させて、圃場への給水を止めることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る圃場への給水自動遮断装置は、請求項2に記載の給水自動遮断装置において、前記開位置保持手段は、覆い部を有し、その覆い部は、前記開位置保持手段によって前記弁体を開位置に保持したとき、前記弁体ユニットにおける、前記作動指示体が連結される被連結部を、その作動指示体が連結不能となるよう覆う。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る圃場への給水自動遮断装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の給水自動遮断装置において、前記伝達体は、アウターチューブ内に配されたインナーワイヤーを備え、そのインナーワイヤーは、前記水位計ユニットによる所定水位の検知によりその水位計ユニット側に引き込まれるように作動する。前記閉位置移動手段は、前記弁体が前記開位置から前記閉位置へと移動するよう付勢する付勢部材と、前記弁体と連動する作用部材とを備えて、その連動により前記作用部材が第1位置に位置するときに前記弁体が開位置に位置するとともに、その作用部材が第2位置に位置するときに前記弁体が閉位置に位置する。前記作動指示体は、指示体本体と、その指示体本体をスライド可能に収容するとともに前記弁体ユニットに着脱可能に取り付けられる指示体ケースとを備えて、その指示体ケースの、前記弁体ユニットへの取り付けにより、前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとは、前記作動指示体と前記弁体ユニットとの間で、分離可能に連結される。そして、前記指示体本体は、前記スライドにより、先端に備わる係止部が前記指示体ケースから突出して前記作用部材に当接する前進位置と、前記係止部が前記作用部材から控える後退位置とに移動可能であって、前記作用部材が前記第1位置に位置して前記指示体本体が前記前進位置に位置するとき、前記係止部が前記作用部材に設けられた被係止部に係合して、その作用部材を前記第1位置に保持するとともにその作用部材に連動する前記弁体を開位置に保持する。さらに、前記指示体本体は、後端側に前記インナーワイヤーが接続されるワイヤー接続部を有して、前記インナーワイヤーが前記水位計ユニット側に引き込まれることで、前記指示体本体が前記前進位置から前記後退位置に移動して、前記被係止部への前記係止部の係合が外れて、前記付勢部材の付勢により、前記作用部材が第1位置から第2位置に移動するとともにその作用部材に連動する前記弁体が開位置から閉位置に移動する。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る圃場への給水自動遮断装置は、請求項4に記載の給水自動遮断装置において、前記指示体本体は、前記係止部を有する係止部材と、前記ワイヤー接続部を有する接続部材と、第1の付勢手段とを備える。ここで、前記係止部材は、前記接続部材に対し、前記指示体本体のスライド方向と同一方向にスライド可能である。前記第1の付勢手段は、前記接続部材に対し、前記係止部材を前記作用部材側へと付勢する。そして、前記接続部材に対して前記作用部材側へと移動した前記係止部材の、前記接続部材からの抜け出を阻止するよう、前記係止部材には、被対向面が設けられ、前記接続部材には、前記被対向面に当接する対向面が設けられる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る圃場への給水自動遮断装置は、請求項5に記載の給水自動遮断装置において、前記作動指示体は、前記指示体ケースに対し前記指示体本体を前記作用部材側へと付勢する第2の付勢手段を備える。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る圃場への給水自動遮断装置は、請求項6に記載の給水自動遮断装置において、前記第1の付勢手段の付勢力が、前記第2の付勢手段の付勢力よりも大となっている。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る圃場からの排水自動遮断装置は、圃場からの排水路を自動で遮断する排水自動遮断装置であって、前記圃場に取外し可能に設置されてその圃場内の水位の所定水位までの下降を検知する水位計ユニットと、前記排水路に設置される弁体ユニットとを備える。ここで、前記弁体ユニットは、前記排水路を開閉する弁体と、その弁体を、前記排水路を開放する開位置から閉鎖する閉位置へと移動させる閉位置移動手段とを備える。そして、前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとの間には、前記水位計ユニットによる所定水位の検知を伝達する伝達体と、その伝達体から伝達される所定水位の検知に基づいて前記閉位置移動手段を作動させる作動指示体とが設けられる。そこで、前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとは、前記水位計ユニットと前記伝達体との間、前記伝達体の途中箇所、前記伝達体と前記作動指示体との間、または前記作動指示体と前記弁体ユニットとの間で、分離可能に連結されており、その連結を外すことで、前記水位計ユニットを、前記弁体ユニットから分離し、その水位計ユニットを、前記圃場から取外し可能である。
【0015】
この圃場からの排水自動遮断装置によると、水位計ユニットが、圃場に設置され、弁体ユニットが、圃場からの排水路に設置される。ここで、弁体ユニットにおける弁体が開位置に位置することで、排水路が開放され、その排水路を通って圃場から水が流出する。そして、圃場内の水位が所定水位まで下降すると、その下降を水位計ユニットが検知し、その検知を、伝達体が作動指示体に伝達する。作動指示体は、その検知に基づいて閉位置移動手段を作動させ、弁体は、開位置から閉位置へと移動する。排水路が弁体によって遮断されることで、圃場からの水の流出が止まり、圃場内の水位は、所定水位に留まる。ここにおいて、排水自動遮断装置は、水位計ユニットと伝達体との間、伝達体の途中箇所、伝達体と作動指示体との間、または作動指示体と弁体ユニットとの間で、分離可能に連結される。そこで、その連結を外すことで、水位計ユニットを、弁体ユニットから分離し、その水位計ユニットを、圃場から取り外すことができる。このため、この水位計ユニットを、他の圃場へ持って行って使用したり、圃場からの排水を行わない時期には、水位計ユニットを保管場所に置いておくことができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る圃場への給水自動遮断装置、および圃場からの排水自動遮断装置によれば、圃場への給水あるいは圃場からの排水を行わない時期には、水位計ユニットを、弁体ユニットから分離し、その水位計ユニットを、圃場から取り外して保管しておくことができ、これによって、水位計ユニットの損傷を防いで、この水位計ユニットを含めた給水自動遮断装置とか排水自動遮断装置のメンテナンスの手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の一実施の形態の、給水自動遮断装置の斜視図である。
【
図2】同じく、水位計ユニットの上からの斜視図である。
【
図3】同じく、水位計ユニットの下からの斜視図である。
【
図4】同じく、水位計ユニットの、フロートが上昇する前の断面図である。
【
図5】同じく、水位計ユニットの、フロートが上昇したときの断面図である。
【
図10】同じく、弁体ユニットに作動指示体が連結されて、弁体が開位置にある断面図である。
【
図11】同じく、弁体ユニットに作動指示体が連結されて、弁体が閉位置にある断面図である。
【
図12】同じく、弁体ユニットにおける、開位置保持手段により弁体が開位置にある断面図である。
【
図14】従来の管水路用自動止水器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る圃場への給水自動遮断装置、および圃場からの排水自動遮断装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1~
図13は、本発明に係る圃場への給水自動遮断装置の一実施の形態を示す。図中符号1は、水田等の圃場を示す。2は、前記圃場1への給水路を示す。3は、前記給水路2を自動で遮断する給水自動遮断装置を示す。
【0020】
給水自動遮断装置3は、圃場1に設置(詳しくは、取外し可能に設置)される水位計ユニット4と、給水路2に設置される弁体ユニット5とを備える。
【0021】
ここで、水位計ユニット4は、圃場1内の水位の所定水位までの上昇を検知するものである。詳細には、水位計ユニット4は、水位計本体6と、圃場1内の水面に浮くフロート7と、圃場1内の土壌面1aからの水位計本体6の高さを位置決めする(詳しくは、水位計本体6の高さを調節可能に位置決めする)位置決め部8とを備えて、その位置決め部8により位置決めされた水位計本体6は、圃場1内の水位の上昇によるフロート7の上昇を受けて、圃場1内の水位の所定水位までの上昇を検知する(
図4は、フロート7が上昇する前の水位計ユニット4を示し、
図5は、フロート7が上昇したときの水位計ユニット4を示す)。さらに、水位計ユニット4は、一部が圃場1の打込み面1bから突出した状態でその打込み面1bに打ち込まれて固定される固定杭9と、位置決めされた水位計本体6を固定杭9に固定する固定手段10とを備える。
【0022】
弁体ユニット5は、給水路2を開閉する弁体11を備え、その弁体11は、水位計ユニット4による所定水位の検知に基づいて、給水路2を開放する開位置(
図10参照)から閉鎖する閉位置(
図11参照)へと移動する。詳細には、弁体ユニット5は給水路2を開閉する弁体11と、その弁体11を、給水路2を開放する開位置から閉鎖する閉位置へと移動させる閉位置移動手段12とを備える。そして、水位計ユニット4と弁体ユニット5との間には、水位計ユニット4による所定水位の検知を伝達する伝達体13と、その伝達体13から伝達される所定水位の検知に基づいて閉位置移動手段12を作動させる作動指示体14とが設けられる。
【0023】
そこで、水位計ユニット4と弁体ユニット5とは、水位計ユニット4と伝達体13との間、伝達体13の途中箇所、伝達体13と作動指示体14との間、または作動指示体14と弁体ユニット5との間で、分離可能に連結される。図示実施の形態においては、水位計ユニット4と弁体ユニット5とは、作動指示体14と弁体ユニット5との間で、分離可能に連結される。
【0024】
また、弁体ユニット5は、その弁体ユニット5から作動指示体14が分離した状態で、弁体11を開位置に保持する開位置保持手段15を備える。そして、開位置保持手段15は、覆い部15aを有し、その覆い部15aは、開位置保持手段15によって弁体11を開位置に保持したとき、弁体ユニット5における、作動指示体14が連結される被連結部5aを、その作動指示体14が連結不能となるよう覆う。
【0025】
具体的には、水位計ユニット4にあっては、水位計本体6は、水位計ケース61と、その水位計ケース61に収容された検知部材62とを備える。この検知部材62は、水位計ケース61内において横方向(
図4および
図5において、左右方向)にスライド可能に支持される。そして、
図7に示すように、検知部材62には、長孔からなってその長手方向が傾斜する案内孔62aがあけられている。また、この検知部材62は、水位計ケース61内に引き入れられた後述のインナーワイヤー13bが接続されるワイヤー接続部62bを有する。なお、後述のアウターチューブ13aは、水位計ケース61に支持される。
【0026】
フロート7は、発泡体7aと、その発泡体7aを覆うカバー7bとを備えており、水位計本体6の下側に配置される。このフロート7は、上方に突出する一対の支持腕7c、7cを備え(
図6参照)、それら支持腕7c、7cは、水位計ケース61の底壁61aにあけられた孔を貫通して水位計ケース61内に進入する。そして、一対の支持腕7c、7cは、検知部材62を挟むように位置し、一対の支持腕7c、7c間に、案内ピン7dが、案内孔62aを通って架け渡される。そこで、水位計本体6に対してフロート7が上下動すると、案内ピン7dと案内孔62aとの係合(カム機構あるいはリンク機構)により、検知部材62は、横方向(
図4および
図5において、左右方向)にスライドする。
【0027】
また、フロート7には、中央位置に、上下に貫通する貫通孔7eがあけられている。この貫通孔7eは、上側の径大孔7fと下側の径小孔7gとを備える段付き孔であって、径大孔7fの底面7hから前記支持腕7cが突出形成される。
【0028】
位置決め部8は、水位計本体6から下方に延びる軸部81と、その軸部81の下端側に設けられて圃場1の土壌面1aに当接する板状部82とを備える。詳細には、板状部82は、軸部81に対し、その軸方向に沿う高さ位置を調節可能であって、その板状部82の高さ位置を調節することで、土壌面1aからの水位計本体6の高さが調節される。そして、軸部81の下端は、土壌面1aに容易に突き刺さるよう尖って形成される。
【0029】
より詳細には、軸部81には、その軸部81の軸方向(上下方向)中間位置から軸方向に並ぶ複数の被係合部81a、81aと、それら被係合部81a、81aの並びの反対側に平行位置して、軸部81の軸方向中間位置からその軸部81の下端部に至るように延びる縦溝81bと、その縦溝81bの上端から被係合部81aの並びに通ずる横溝81cとが形成されている。そして、板状部82は、略円板状であって、一部に切欠き82aを有している。また、板状部82には、中央に、前記軸部81が挿入される筒部82bが設けられ、その筒部82bには、前記被係合部81aに係合する係合部82cが形成されている。図示実施の形態においては、被係合部81a、81aは、軸部81の周面から窪んだ底面から突出するように形成され、係合部82cは、筒部82bの内側に突出するように形成されている。そして、係合部82cは、筒部82bの一部となる弾性片82dに設けられており、この弾性片82dが撓むことで、係合部82cは、複数の被係合部81a、81aのうちの任意の被係合部81aと係合することができる。また、被係合部81aと係合部82cとは、軸部81に対して板状部82が下方へは移動するが、上方へは移動しないように、斜面と起立面とを有している。そこで、軸部81と板状部82との組み付けにおいては、軸部81の下から、縦溝81bに係合部82cを合わせるようにして、板状部82に設けられた筒部82bを軸部81に嵌めて、板状部82を上に移動させる。そして、係合部82cが横溝81cを通るように、板状部82を軸部81の軸回りに回して、係合部82cを、被係合部81aが並ぶ側にもってくる。そして、軸部81に対して板状部82を適宜、下に移動させることで、係合部82cが任意の位置の被係合部81aと係合する。
【0030】
また、板状部82に設けられた筒部82bには、取付孔82eがあけられている。そこで、この取付孔82eにビス等の固着具をねじ込んで、その固着具で軸部81を押圧することで、板状部82を軸部81の任意の高さ位置に固定することもできる。この場合には、軸部81に被係合部81aを形成する必要はなく、また、筒部82bに係合部82cを形成する必要もない。また、軸部81は、水位計本体6(詳しくは、水位計ケース61)に着脱可能に取り付けられる。このため、軸部81を、他の軸部(例えば、長さの異なる軸部)と交換して使用することができる。
【0031】
固定手段10は、水位計本体6(詳しくは、水位計ケース61)に設けられる。この固定手段10は、水位計ケース61にあけられて前記固定杭9が挿入される固定孔10aと、その固定孔10aの内周面から外面に通ずるねじ孔10b(図示実施の形態においては、ナットの雌ねじ孔)と、そのねじ孔10bにねじ込まれて固定杭9を押圧する固定ねじ10cとを備える。そこで、位置決め部8によりその高さが位置決めされた水位計本体6と、圃場1の打込み面1bに打ち込まれて固定された固定杭9において、固定杭9が固定孔10aを通るようにして、その固定杭9を固定ねじ10cで押圧することで、水位計本体6は、その高さが位置決めされた位置で固定杭9に固定され、ひいては圃場1に固定される。なお、図示実施の形態においては、固定杭9は、フロート7に設けられた通孔7iを通り、板状部82の切欠き82aを通って打込み面1bに打ち込まれる。
【0032】
弁体ユニット5は、前述した、弁体11、閉位置移動手段12および開位置保持手段15の他に、筒状の弁体ケース16を備える。この弁体ケース16は、筒の中間が膨出して形成されており、その膨出部16aの部分で分割された、第1弁体ケース16bと第2弁体ケース16cとからなって、それら第1および第2弁体ケース16b、16cが、接着により一体化されている。そして、弁体ケース16は、その膨出部16aの内面の第1弁体ケース16b側が、弁体11が当接する弁座16dとなる。また、弁体ケース16(詳しくは、第1弁体ケース16b)の内部には、弁体ケース16の軸方向に延びる第1筒部16eが設けられ、さらに、弁体ケース16の周壁と第1筒部16eとを繋ぐ第2筒部16fが設けられている。この第2筒部16fは、弁体ケース16の周壁側が、外部に開口し、第2筒部16f内は、前記作動指示体14が連結される前記被連結部5aとなる。そして、第2筒部16fの内周面には、雌ねじ16hが設けられ、第1筒部16eには、その第1筒部16e内と第2筒部16f内とを連通するように孔16iがあけられている。また、弁体ケース16(詳しくは、第1弁体ケース16b)には、その周壁と第1筒部16eとを繋いで、第1筒部16eを支持する支持腕部16j、16jが設けられる。
【0033】
ところで、弁体ケース16は、その第2弁体ケース16c側が、給水路2を形成する給水パイプ201に接続される。そこで、給水パイプ201を通って第2弁体ケース16c側の開口から弁体ケース16に流入した水は、支持腕部16j、16j間とか、支持腕部16jと第2筒部16fとの間を通って、第1弁体ケース16b側の開口から流出する。
【0034】
弁体11は、円板状に形成され、弁体ケース16における膨出部16aに収容される。この弁体11は、その周縁側が、第2弁体ケース16c側に斜めに折れ曲がって形成され、その折れ曲がった部分が、弁座16dに当接する(
図9、
図11参照)。
【0035】
閉位置移動手段12は、弁体11が開位置から閉位置へと移動するよう付勢する付勢部材17と、弁体11と連動する作用部材18とを備えて、その連動により作用部材18が第1位置に位置するときに弁体11が開位置に位置するとともに(
図10、
図12参照)、その作用部材18が第2位置に位置するときに弁体11が閉位置に位置する(
図9、
図11参照)。
【0036】
作用部材18は、図示実施の形態においては、弁体11と一体となっている。詳細には、作用部材18は、弁体11の中心部分から、柱状に延出して形成される軸体18aと、その軸体18aの先端に固定される(詳しくは、ビス18bを用いて固定される)ノブ18cとからなる。この作用部材18は、軸体18aが弁体ケース16の第1筒部16eに挿入されて、その第1筒部16eに沿う第1位置(
図10、
図12参照)と第2位置(
図9、
図11参照)とにスライド可能となっている。また、軸体18aは、弁体11側が径大であって、ノブ18c側が径小となって、その境界部分の段部が、後述する被係止部18dとなる。
【0037】
付勢部材17は、コイルスプリングからなり、作用部材18の軸体18a(詳しくは、軸体18aの径小側)に嵌められるようにして、弁体ケース16の第1筒部16eに挿入される。この付勢部材17は、第1筒部16e内において、その第1筒部16eの内面から突出する受け部16k(
図9参照)と、ノブ18cとの間にあって、ノブ18c、つまりは作用部材18が第1位置から第2位置へと移動するよう付勢するとともに、その作用部材18と連動する(図示実施の形態においては、一体化した)弁体11が開位置から閉位置へと移動するよう付勢する。
【0038】
開位置保持手段15は、前記作用部材18と、弁体ケース16(詳しくは、第1弁体ケース16b)の外周部に設けられた係合凸部16mとを備える。ここで、作用部材18を構成するノブ18cは、軸体18aに固定されるノブ本体18eと、そのノブ本体18eから側方に延出し、さらに弁体ケース16(詳しくは、第1弁体ケース16b)の外周面に対向するように折れ曲がって延びるレバー部18fとを備える(
図1参照)。そして、レバー部18fの内側面には、係合凹部18gが設けられる。そこで、作用部材18が第2位置(
図8、
図9参照)から第1位置に移動するように、ノブ本体18eを押し込み、次いで、そのノブ本体18eを第1筒部16eの軸回りに回すことで、係合凹部18gを係合凸部16mに係合させて、作用部材18を第1位置に保持、つまり、弁体11を開位置に保持することができる(
図12参照)。そして、レバー部18fの先端側は、前記覆い部15aとなって、前述したように、開位置保持手段15によって弁体11を開位置に保持したとき、覆い部15aが、被連結部5aを、作動指示体14が連結不能となるよう覆う。
【0039】
伝達体13は、アウターチューブ13a内に配されたインナーワイヤー13bを備え、そのインナーワイヤー13bは、水位計ユニット4による所定水位の検知(図示実施の形態においては、検知部材62のスライド)によりその水位計ユニット4側に引き込まれるように作動する。
【0040】
作動指示体14は、指示体本体19と、その指示体本体19をスライド可能に収容するとともに弁体ユニット5に着脱可能に取り付けられる指示体ケース20とを備えて、その指示体ケース20の、弁体ユニット5への取り付けにより、水位計ユニット4と弁体ユニット5とは、作動指示体14と弁体ユニット5との間で、分離可能に連結される。詳細には、指示体ケース20は、その外周面に雄ねじ20aが設けられており、その雄ねじ20aを第2筒部16f内(つまり、被連結部5a)の雌ねじ16hにねじ込むことで、作動指示体14が、弁体ユニット5に取り付けられる。
【0041】
指示体本体19は、前記スライドにより、先端に備わる係止部19aが、指示体ケース20(詳しくは、指示体ケース20の前壁20bにあけられた孔20c)から突出して(
図4参照)、第1筒部16eに設けられた孔16iを通して作用部材18(詳しくは、軸体18a)に当接する前進位置と、係止部19aが作用部材18(詳しくは、軸体18a)から控える後退位置とに移動可能であって、作用部材18が第1位置に位置して指示体本体19が前進位置に位置するとき、係止部19aが作用部材18(詳しくは、軸体18a)に設けられた被係止部18dに係合して、その作用部材18を第1位置に保持するとともにその作用部材18に連動する弁体11を開位置に保持する(
図10参照)。
【0042】
また、指示体本体19は、後端側に前記インナーワイヤー13bが接続されるワイヤー接続部19bを有して、インナーワイヤー13bが水位計ユニット4側に引き込まれることで、指示体本体19が前進位置から後退位置に移動して、被係止部18dへの係止部19aの係合が外れて、付勢部材17の付勢により、作用部材18が第1位置から第2位置に移動するとともにその作用部材18に連動する弁体11が開位置から閉位置に移動する(
図11参照)。なお、図示実施の形態においては、指示体本体19が、指示体ケース20に収容されることから、インナーワイヤー13bは、指示体ケース20の後壁20dにあけられた孔20eを通って指示体ケース20内に引き入れられて、指示体本体19のワイヤー接続部19bに接続される。そして、アウターチューブ13aは、指示体ケース20に支持される。
【0043】
詳細には、指示体本体19は、
図13に示すように、前記係止部19aを有する係止部材と、ワイヤー接続部19bを有する接続部材19dと、第1の付勢手段としての第1のコイルスプリング19eとを備える。そこで、係止部材19cは、接続部材19dに対し、指示体本体19のスライド方向と同一方向にスライド可能であり、第1のコイルスプリング19eは、接続部材19dに対し、係止部材19cを作用部材18(詳しくは、軸体18a)側へと(つまり、前方に向かって)付勢する。そして、接続部材19dに対して作用部材18(詳しくは、軸体18a)側へと移動した係止部材19cの、接続部材19dからの抜け出を阻止するよう、係止部材19cには、被対向面19fが設けられ、接続部材19dには、被対向面19fに当接する対向面19gが設けられる。
【0044】
より詳細には、係止部材19cは、柱状に形成された前記係止部19aと、その係止部19aの後方に形成された鍔部19hとを備えて、その鍔部19hの前面が、前記被対向面19fとなる。接続部材19dは、柱状に形成された前記ワイヤー接続部19bと、そのワイヤー接続部19bの前方に形成された鍔部19iと、その鍔部19iよりも前方に離れて位置するリング部19jと、鍔部19iとリング部19jとを繋ぐ帯状の連結片19k、19kとを備える。そこで、リング部19jの後面が、前記対向面19gとなる。すなわち、係止部材19cは、その係止部19aが、リング部19jに後方から前方に向かって挿入されて、係止部材19cの鍔部19hにおける被対向面19fと接続部材19dのリング部19jにおける対向面19gとが対向する。そして、第1のコイルスプリング19eは、係止部材19cの鍔部19hと接続部材19dの鍔部19iとの間に嵌められ、それらを離間するように付勢(詳しくは、弾性付勢)する。
【0045】
また、作動指示体14は、指示体ケース20に対し、指示体本体19を作用部材18(詳しくは、軸体18a)側へと付勢する第2の付勢手段としての第2のコイルスプリング21を備える。つまり、この第2のコイルスプリング21は、インナーワイヤー13bを作用部材18(詳しくは、軸体18a)側へと付勢するものであって、この付勢により、アウターチューブ13a内に配されたインナーワイヤー13bの遊びを取り除くことができる。この第2のコイルスプリング21は、指示体ケース20における、後壁20dと接続部材19dにおける鍔部19iとの間に収容されて、それらを離間するように付勢(詳しくは、弾性付勢)する。そして、前記第1のコイルスプリング19eの付勢力が、この第2のコイルスプリング21の付勢力よりも大となるように、両者の付勢力が設定されている。
【0046】
次に、以上の構成からなる給水自動遮断装置3の作用効果について説明する。この給水自動遮断装置3によると、水位計ユニット4が、圃場1に設置され、弁体ユニット5が、圃場1への給水路2に設置される。ここで、弁体ユニット5における弁体11が開位置に位置することで、給水路2が開放され、その給水路2を通って圃場1へ水が流入する。
【0047】
そして、圃場1内の水位が所定水位まで上昇すると、その上昇(つまり、所定水位)を水位計ユニット4が検知し、その検知を、伝達体13が作動指示体14に伝達する。作動指示体14は、その検知に基づいて閉位置移動手段12を作動させ、弁体11は、開位置から閉位置へと移動する。詳細には、水位計ユニット4による所定水位の検知(図示実施の形態においては、検知部材62のスライド)により、伝達体13を構成するインナーワイヤー13bが、水位計ユニット4側に引き込まれるように作動する。こうして、インナーワイヤー13bが水位計ユニット4側に引き込まれることで、作動指示体14における指示体本体19が前進位置から後退位置に移動して、被係止部18d(作用部材18)への係止部19a(指示体本体19)の係合が外れて、付勢部材17(閉位置移動手段12)の付勢により、作用部材18(閉位置移動手段12)が第1位置から第2位置に移動するとともにその作用部材18に連動する弁体11が開位置から閉位置に移動する。簡単に言えば、圃場1内の水位が所定水位まで上昇すると、その上昇を水位計ユニット4が検知し、その検知に基づいて、弁体11は、開位置から閉位置へと移動する。給水路2が弁体11によって遮断されることで、圃場1への水の流入が止まり、圃場1内の水位は、所定水位に留まる。
【0048】
ここにおいて、給水自動遮断装置3は、水位計ユニット4と弁体ユニット5とが、水位計ユニット4と伝達体13との間、伝達体13の途中箇所、伝達体13と作動指示体14との間、または作動指示体14と弁体ユニット5との間で(図示実施の形態においては、作動指示体14と弁体ユニット5との間で)、分離可能に連結される。そこで、その連結を外すことで、水位計ユニット4を、弁体ユニット5から分離し、その水位計ユニット4を、圃場1から取り外すことができる。このため、この水位計ユニット4を、他の圃場1へ持って行って使用したり、圃場1への給水を行わない時期には、水位計ユニット4を保管場所に置いておくことができる。すなわち、この給水自動遮断装置3によれば、圃場1への給水を行わない時期には、水位計ユニット4を、弁体ユニット5から分離し、その水位計ユニット4を、圃場1から取り外して保管しておくことができ、これによって、水位計ユニット4の損傷を防いで、この水位計ユニット4を含めた給水自動遮断装置3のメンテナンスの手間を削減することができる。
【0049】
しかも、水位計ユニット4と弁体ユニット5とは、作動指示体14と弁体ユニット5との間で、分離可能に連結される。このため、その連結を外したとき、伝達体13と作動指示体14は、水位計ユニット4とともに、弁体ユニット5から分離し、それら水位計ユニット4および伝達体13および作動指示体14をまとめて、圃場1から取り外すことができる。こうして、水位計ユニット4とともに伝達体13および作動指示体14を、圃場1から取り外して保管することができ、これによって、水位計ユニット4だけでなく、伝達体13および作動指示体14の損傷を防いで、給水自動遮断装置3のメンテナンスの手間を一層削減することができる。また、このように、水位計ユニット4とともに伝達体13および作動指示体14を、圃場1から取り外した場合であっても、弁体ユニット5が開位置保持手段15を備えることから、その開位置保持手段15によって、弁体11を開位置に保持して、給水路2から圃場1へ給水することができ、また、開位置保持手段15を解除することで、弁体11を閉位置に移動させて、圃場1への給水を止めることができる。
【0050】
また、水位計ユニット4は、水位計本体6と、フロート7と、位置決め部8を備えている。そこで、水位計本体6は、位置決め部8によって、圃場1内の土壌面1aからの高さが位置決めされる。さらに、水位計ユニット4は、圃場1の打込み面1bに打ち込まれる固定杭9と、固定手段10とを備えており、位置決めされた水位計本体6は、その固定手段10により固定杭9に固定される。そして、水位計本体6は、圃場1内の水位の上昇によるフロート7の上昇を受けて、圃場1内の水位の所定水位までの上昇を検知する。すなわち、この給水自動遮断装置3によれば、水位計ユニット4に、圃場1内の土壌面1aからの水位計本体6の高さを位置決めする位置決め部8を設けることで、圃場1内の水面の所定の高さを容易に得ることができる。
【0051】
また、このとき、打込み面1bへの固定杭9の打込み量は、任意に設定できることから、打込み面1bの状態に応じて必要なだけ固定杭9を打ち込むことができ、この固定杭9と固定手段10とで、水位計本体6を打込み面1bにしっかりと固定することができる。
【0052】
また、位置決め部8は、土壌面1aからの前記水位計本体6の高さを調節可能に位置決めする。こうして、この位置決め部8によって、土壌面1aからの水位計本体6の高さを調節することで、圃場1内の水位を調節することができる。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、給水自動遮断装置3は、水位計ユニット4と弁体ユニット5とが、作動指示体14と弁体ユニット5との間で、分離可能に連結されるが、他に、水位計ユニット4と伝達体13との間とか、伝達体13の途中箇所とか、あるいは、伝達体13と作動指示体14との間で、分離可能に連結されてもよい。
【0054】
また、弁体ユニット5は、開位置保持手段15を備えるが、この開位置保持手段15は、なくてもよい。
【0055】
また、水位計ユニット4における位置決め部8は、土壌面1aからの水位計本体6の高さを調節可能に位置決めするものでなくても、その位置決めする高さが一定値に固定されていてもよい。
【0056】
また、圃場1における固定杭9を打ち込む打込み面1bは、圃場1内の土壌面1aに限るものではなく、圃場1の畦等であってもよい。
【0057】
また、作動指示体14における指示体本体19は、係止部材19cと接続部材19dと第1のコイルスプリング19eとを備えるが、このコイルスプリング19eを設けることなく、係止部材19cと接続部材19dとが一体に形成されていてもよい。
【0058】
また、以上に示す給水自動遮断装置3は、圃場1への給水路2を自動で遮断するものであるが、この装置を、圃場1からの排水路を自動で遮断する排水自動遮断装置に応用することができる。すなわち、弁体ユニット5を排水路に設置する。そして、圃場1に設置(詳しくは、取外し可能に設置)される水位計ユニット4においては、例えば検知部材62の案内孔62aの傾斜の向きを左右逆にすることで、この水位計ユニット4を、圃場1内の水位の所定水位までの下降を検知するものとすることができる。詳細には、水位計ユニット4は、水位計本体6と、圃場1内の水面に浮くフロート7と、圃場1内の土壌1a面からの水位計本体6の高さを位置決めする(詳しくは、水位計本体6の高さを調節可能に位置決めする)位置決め部8とを備えて、その位置決め部8により位置決めされた水位計本体6は、圃場1内の水位の下降によるフロート7の下降を受けて、圃場1内の水位の所定水位までの下降を検知する。そして、弁体ユニット5は、排水路を開閉する弁体11を備え、その弁体11は、水位計ユニット4による所定水位の検知に基づいて、排水路を開放する開位置から閉鎖する閉位置へと移動する。詳細には、弁体ユニット5は排水路を開閉する弁体11と、その弁体11を、排水路を開放する開位置から閉鎖する閉位置へと移動させる閉位置移動手段12とを備える。
【0059】
そして、水位計ユニット4と弁体ユニット5との間には、水位計ユニット4による所定水位の検知を伝達する伝達体13と、その伝達体13から伝達される所定水位の検知に基づいて閉位置移動手段12を作動させる作動指示体14とが設けられる。
【0060】
この排水自動遮断装置によると、水位計ユニット4が、圃場1に設置(詳しくは、取外し可能に設置)され、弁体ユニット5が、圃場1からの排水路に設置される。ここで、弁体ユニット5における弁体11が開位置に位置することで、排水路が開放され、その排水路を通って圃場1から水が流出する。
【0061】
そして、圃場1内の水位が所定水位まで下降すると、その下降(つまり、所定水位)を水位計ユニット4が検知し、その検知を、伝達体13が作動指示体14に伝達する。作動指示体14は、その検知に基づいて閉位置移動手段12を作動させ、弁体11は、開位置から閉位置へと移動する。簡単に言えば、圃場1内の水位が所定水位まで下降すると、その下降を水位計ユニット4が検知し、その検知に基づいて、弁体11は、開位置から閉位置へと移動する。こうして、排水路が弁体11によって遮断されることで、圃場1からの水の流出が止まり、圃場1内の水位は、所定水位に留まる。
【0062】
ここにおいて、排水自動遮断装置は、水位計ユニット4と弁体ユニット5とが、水位計ユニット4と伝達体13との間、伝達体13の途中箇所、伝達体13と作動指示体14との間、または作動指示体14と弁体ユニット5との間で(図示実施の形態においては、作動指示体14と弁体ユニット5との間で)、分離可能に連結される。そこで、その連結を外すことで、水位計ユニット4を、弁体ユニット5から分離し、その水位計ユニット4を、圃場1から取り外すことができる。このため、この水位計ユニット4を、他の圃場1へ持って行って使用したり、圃場1からの排水を行わない時期には、水位計ユニット4を保管場所に置いておくことができる。すなわち、この排水自動遮断装置によれば、圃場1からの排水を行わない時期には、水位計ユニット4を、弁体ユニット5から分離し、その水位計ユニット4を、圃場1から取り外して保管しておくことができ、これによって、水位計ユニット4の損傷を防いで、この水位計ユニット4を含めた排水自動遮断装置のメンテナンスの手間を削減することができる。
【0063】
また、弁体ユニット5が開位置保持手段15を備えることから、水位計ユニット4とともに伝達体13および作動指示体14を、圃場1から取り外した場合であっても、その開位置保持手段15によって、弁体11を開位置に保持して、圃場1から排水することができ、また、開位置保持手段15を解除することで、弁体11を閉位置に移動させて、圃場1からの排水を止めることができる。
【0064】
また、水位計ユニット4は、水位計本体6と、フロート7と、位置決め部8を備えている。そこで、水位計本体6は、位置決め部8によって、圃場1内の土壌面1aからの高さが位置決めされる。さらに、水位計ユニット4は、圃場1の打込み面1bに打ち込まれる固定杭9と、固定手段10とを備えており、位置決めされた水位計本体6は、その固定手段10により固定杭9に固定される。そして、水位計本体6は、圃場1内の水位の下降によるフロート7の下降を受けて、圃場1内の水位の所定水位までの下降を検知する。すなわち、この排水自動遮断装置によれば、水位計ユニット4に、圃場1内の土壌面1aからの水位計本体6の高さを位置決めする位置決め部8を設けることで、圃場1内の水面の所定の高さを容易に得ることができる。
【0065】
また、位置決め部8は、土壌面1aからの前記水位計本体6の高さを調節可能に位置決めする。この位置決め部8によって、土壌面1aからの水位計本体6の高さを調節することで、圃場1内の水位を調節することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 圃場
2 給水路
3 給水自動遮断装置
4 水位計ユニット
5 弁体ユニット
5a 被連結部
11 弁体
12 閉位置移動手段
13 伝達体
13a アウターチューブ
13b インナーワイヤー
14 作動指示体
15 開位置保持手段
15a 覆い部
17 付勢部材
18 作用部材
18d 被係止部
19 指示体本体
19a 係止部
19b ワイヤー接続部
19c 係止部材
19d 接続部材
19e 第1のコイルスプリング(第1の付勢手段)
19f 被対向面
19g 対向面
20 指示体ケース
21 第2のコイルスプリング(第2の付勢手段)