(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】仮設用乗車位置シール
(51)【国際特許分類】
G09F 19/22 20060101AFI20220126BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
G09F19/22 H
G09F3/00 S
(21)【出願番号】P 2018120513
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591153145
【氏名又は名称】ユニオン建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】特許業務法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】穴井 一寿
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英和
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬一
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3024464(JP,U)
【文献】特開2003-261021(JP,A)
【文献】特開2005-292267(JP,A)
【文献】特開平06-282682(JP,A)
【文献】特開2003-108005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00- 3/20
G09F 19/00-27/00
G09D 1/00
E01F 1/00
E01F 13/00-15/14
B61B 1/00- 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本設用の乗車位置シールを貼付するまでの間、一時的にホームに貼付するための仮設用乗車位置シールであって、
号車番号以外の部分が印刷され、号車番号を追記するようにされていることを特徴とする仮設用乗車位置シール。
【請求項2】
編成車両数も追記するようにされていることを特徴とする請求項1に記載の仮設用乗車位置シール。
【請求項3】
連続する帯状とされ、境界にミシン目が入れられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の仮設用乗車位置シール。
【請求項4】
前記本設用の乗車位置シールよりも小さなサイズとされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の仮設用乗車位置シール。
【請求項5】
数字を追記すべき部分に数字を記入するためのガイドが印刷されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の仮設用乗車位置シール。
【請求項6】
前記仮設用乗車位置シールの裏面に該仮設用乗車位置シールをホームに貼付するためのアクリル
共重合体系の粘着剤が塗布されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の仮設用乗車位置シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設用乗車位置シールに係り、特に、本設用の乗車位置シールを貼付するまでの間、一時的にホームに貼付して、乗車位置を迅速且つ容易に表示することができる、汎用性の高い仮設用乗車位置シールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗客の整列乗車を容易とするため、駅のプラットホームの車両ドアに対応する位置に乗車位置を表示する技術が幾つか提案されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
又、簡単な技術としては、号車番号や編成車両数等を印刷した乗車位置シールをホームに貼付することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-172319号公報
【文献】特開2007-171629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ホーム端部に貼られている点字警告ブロックなどのサイズや位置の変更などがあると、既に設置されている本設用の乗車位置シール(単に本設シールとも称する)を貼り替える必要がある。そこで、工事期間中は仮設用乗車位置シール(単に仮設シールとも称する)を貼っておき、全体が完成後に本設シールを貼るようにしている。
【0006】
その際、従来は、
図1に乗車位置表示仮設手順の一例を示すように、まずステップ100で既設の本設用乗車位置シールを撤去し、次いでステップ110でプライマーを塗布し、次いでステップ120で白ガムテープを貼り、次いでステップ130で白ガムテープ上に例えば黒マジックインキにより「×号車乗車口」等の文字を全て手書きで記入していた。
【0007】
従って作業に時間がかかるだけでなく、綺麗な表示ができないという問題点を有していた。なお、乗車位置シールの交換作業は、最終電車が走り終わった後、始発電車が走り始める前までの深夜から早朝にかけて短時間で行う必要があり、非常に時間的な制限が厳しい中で迅速に行う必要がある。
【0008】
更に、本設用乗車位置シールは、号車番号を予め印刷してあるので、ほぼ特注品と同程度となり転用ができないという問題点も有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の問題点を改良するべくなされたもので、本設用の乗車位置シールを貼付するまでの間、一時的にホームに貼付して、乗車位置を迅速且つ容易に表示することができる、汎用性の高い仮設用乗車位置シールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、本設用の乗車位置シールを貼付するまでの間、一時的にホームに貼付するための仮設用乗車位置シールであって、号車番号以外の部分が印刷され、号車番号を追記するようにされていることを特徴とする仮設用乗車位置シールにより、前記課題を解決したものである。
【0011】
ここで、前記仮設用乗車位置シールに編成車両数も追記するようにすることができる。
【0012】
又、前記仮設用乗車位置シールを連続する帯状とし、境界にミシン目を入れることができる。
【0013】
又、前記仮設用乗車位置シールを前記本設用の乗車位置シールよりも小さなサイズとすることができる。
【0014】
又、前記仮設用乗車位置シールの数字を追記すべき部分に数字を記入するためのガイドを印刷することができる。
【0015】
又、前記仮設用乗車位置シールの裏面に該仮設用乗車位置シールをホームに貼付するためのアクリル共重合体系の粘着剤を塗布することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、仮設用乗車位置シールに号車番号や編成車両数以外の部分が印刷されているので、手書き等による追記部分が少なく、追記作業を短時間で終了することができる。又、仮設用乗車位置シールを連続する帯状とし、境界にミシン目を入れた場合には、仮設用乗車位置シールの運搬及び切り離しが容易である。更に、仮設用乗車位置シールを本設用の乗車位置シールよりも小さなサイズとした場合には、資源を節約できるだけでなく、運搬も容易である。又、仮設用乗車位置シールの数字を追記すべき部分に数字を記入するためのガイドを印刷した場合には、数字を容易に追記できる。又、仮設用乗車位置シールの裏面に、該仮設用乗車位置シールをホームに貼付するためのアクリル共重合体系の粘着剤を塗布した場合には、ホームのアスファルト面に跡が残り易く、本設シールの復旧目安とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】従来の乗車位置表示仮設手順の例を示す流れ図
【
図2】本発明に係る仮設用乗車位置シールの第1実施形態を示す平面図
【
図4】施工中に既設の本設用乗車位置シールを撤去した状態を示す平面図
【
図5】同じく実施形態の仮設用乗車位置シールを仮設した状態を示す平面図
【
図6】同じく本設用乗車位置シールを本設した状態を示す平面図
【
図7】仮設用乗車位置シールの第2実施形態を示す平面図
【
図10】手書きを容易とするためのガイド及び記入例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0019】
本発明に係る仮設用乗車位置シールの第1実施形態を
図2に示す。
【0020】
本実施形態の仮設用乗車位置シール10においては、図中に○印で示す号車番号以外の部分が印刷され、○印の号車番号を例えば手書きで追記するようにされている。
【0021】
この仮設用乗車位置シール10は、例えば幅Bが8cmの帯状体で形成され、例えば長さAが1m毎にミシン目12が入れられ、例えば1巻10m程度でロール状に巻かれている。
【0022】
この仮設用乗車位置シール10は、本設用の乗車位置シールよりも小さなサイズとされ、運搬や設置が容易とされている。なお、必要に応じて、本設用の乗車位置シールと同じサイズ又は本設用の乗車位置シールよりも大きなサイズとすることもできる。
【0023】
又、この仮設用乗車位置シール10は、本設用の乗車位置シールのように、表面がラミネート加工されておらず、安価である。
【0024】
更に、本設用乗車位置シールは、号車番号を予め印刷してあるので、ほぼ特注品と同程度となり転用ができないが、本発明の仮設用乗車位置シール10は、号車番号さえ手書きすればどこにでも転用できるので、汎用性が高く、且つ極めて安価である。
【0025】
前記仮設用乗車位置シール10の裏面には、ガムテープの成分に近いアクリル共重合体系を粘着剤として塗布して、本設シールの復旧目安とすることができる。
【0026】
例えば、既設の300mm×300mmの点字警告ブロック20を、300mm×400mmの内方線付点字警告ブロック30に取り替える際の本実施形態における施工手順を
図3に示す。
【0027】
まず、ステップ200で従来と同様に既設乗車位置シール8を撤去する。
【0028】
具体的には
図4に示す如く、ホーム端部6に貼られている例えば300mm×300mmの大きさの既設の点字警告ブロック(旧点字ブロックと称する)20を
図5に示す300mm×400mmの大きさの内方線付点字警告ブロック(新点字ブロックと称する)30に取り替えるため、
図4中の切断ラインCの位置で切断を行う。これにより、既設乗車位置シール8は撤去される。
【0029】
次いでステップ210で、仮設用乗車位置シール10のミシン目12に沿ってロールから切り取る。
【0030】
次いでステップ220でプライマーを塗布し、ステップ230で仮設用乗車位置シール10をホーム端部6に貼り付け、ステップ240で数字のみ手書きして仮設を完了する。
【0031】
具体的には、
図5に示す如く、施工に支障が無い位置に、仮設用乗車位置シール10を貼る。ここで仮設とするのは、施工期間中にモルタルや足跡などで、設置した乗車位置シールを汚す可能性があるためである。従って、施工期間中の舗装切断から据付完了までの数日間から1か月位は仮設シールで対応する。
【0032】
内方線工事施工完了後、仮設用乗車位置シール10を撤去し、
図6に例示する如く、本設用乗車位置シール40の貼付を行う。
【0033】
仮設用乗車位置シール10の粘着剤としてアクリル共重合体系を用いた場合には、ホームのアスファルト面に跡が残り易く、本設シールの復旧目安とすることができる。
【0034】
仮設用乗車位置シール10を用いる例としては、実施例で示した点字ブロックの取り替えの他、ホームドア工事、舗装打ち替えなどの乗降場の修繕工事、駅員の応急対策用として用いることもできる。
【0035】
従来は、下地清掃、プライマー塗布、テープ及びシール貼付、手書きによる記入、ゴムハンマーでの圧着に220秒程度かかっていたのが、本発明の実施形態では90秒程度に大幅に短縮することができる。
【0036】
なお、仮設用乗車位置シールの種類は、第1実施形態に限定されず、
図7に示す第2実施形態のように号車番号だけのものや、
図8に示す第3実施形態のように編成車両数と号車番号を含むものや、
図9に示す第4実施形態のように線名と編成車両数及び号車番号を含むものとして、例えば編成車両数と号車番号の2箇所を手書きとするものであってもよい。
【0037】
又、号車番号や編成車両数の数字は手書きを容易とするため、例えば
図10に例示するような細い点線の8の字状のガイドを印刷しておいてもよい。あるいは、別に製作した号車番号や編成車両数だけのシールを仮設用乗車位置シール10上に上乗せして貼付してもよい。
【符号の説明】
【0038】
6…ホーム端部
8…既設乗車位置シール
10…仮設用乗車位置シール
12…ミシン目
20…点字警告ブロック(旧点字ブロック)
30…内方線付点字警告ブロック(新点字ブロック)
40…本設用乗車位置シール