(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】係留システム
(51)【国際特許分類】
B63B 21/00 20060101AFI20220126BHJP
B63B 22/04 20060101ALI20220126BHJP
B63B 39/06 20060101ALI20220126BHJP
B63B 35/44 20060101ALN20220126BHJP
【FI】
B63B21/00 Z
B63B22/04 Z
B63B39/06 C
B63B35/44 G
(21)【出願番号】P 2018215235
(22)【出願日】2018-11-16
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】宮本 卓次郎
(72)【発明者】
【氏名】コ マティアス アドリアン コサシ
(72)【発明者】
【氏名】新里 英幸
(72)【発明者】
【氏名】正木 洋二
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-22194(JP,U)
【文献】特開昭62-23890(JP,A)
【文献】特開昭54-118799(JP,A)
【文献】特開平7-69273(JP,A)
【文献】米国特許第5902163(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0245286(US,A1)
【文献】特開2008-224556(JP,A)
【文献】寺尾裕,“波漂流力を受けない浮体の基礎的研究―波浪推進の海洋構造物への応用例―”,日本造船学会講演会論文集,日本,日本造船学会,2005年06月,第5号,p.147-148,DOI:10.14856/zosenconf.5.0_147,ISSN 2433-0981(online)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 39/06,35/44,21/00,22/04,35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体を係留する係留システムであって、
水面に浮かぶ浮体と、
水底に固定された係留基体と、
前記浮体と前記係留基体とを接続する係留ラインと、
を備え、
前記浮体は、
浮体本体と、
前記浮体本体の波上側の端部である前端部と波下側の端部である後端部との間において前記浮体本体の左右両側に取り付けられる一対の可動フラップ機構と、
を備え、
前記一対の可動フラップ機構のそれぞれは、
前記浮体本体に取り付けられる回転軸と、
前記回転軸に接続されて波浪により前記回転軸を中心として波上側および波下側に回転する板状のフラップと、
前記フラップの波上側への移動を制限するストッパと、
を備え
、
前記浮体本体は、左右方向に垂直な対称面について面対称形状を有し、
前記浮体本体の左右方向の幅は、前記前端部から最大幅部に至るまで漸次増大し、前記最大幅部から前記後端部に至るまで漸次減少し、
前記前端部と前記最大幅部との間の前後方向の距離は、前記最大幅部と前記後端部との間の前後方向の距離よりも短く、
前記一対の可動フラップ機構は、前記浮体本体の前記最大幅部に取り付けられることを特徴とする係留システム。
【請求項2】
請求項1に記載の係留システムであって、
前記回転軸は、前記浮体本体から左右方向に延び、
前記フラップは、前記回転軸よりも下側に位置することを特徴とする係留システム。
【請求項3】
浮体を係留する係留システムであって、
水面に浮かぶ浮体と、
水底に固定された係留基体と、
前記浮体と前記係留基体とを接続する係留ラインと、
を備え、
前記浮体は、
浮体本体と、
前記浮体本体の波上側の端部である前端部と波下側の端部である後端部との間において前記浮体本体の左右両側に取り付けられる一対の可動フラップ機構と、
を備え、
前記一対の可動フラップ機構のそれぞれは、
前記浮体本体に取り付けられる回転軸と、
前記回転軸に接続されて波浪により前記回転軸を中心として波上側および波下側に回転する板状のフラップと、
前記フラップの波上側への移動を制限するストッパと、
を備え、
前記回転軸は、前記浮体本体から左右方向に延び、
前記フラップは、前記回転軸よりも下側に位置することを特徴とする係留システム。
【請求項4】
請求項
3に記載の係留システムであって、
前記浮体本体は、上下方向を向く中心軸を中心とする軸対称形状を有し、前記中心軸から径方向外側に離間した係留点にて係留ラインに接続されて1点係留にて係留され、
前記係留点は前記前端部と前記中心軸とを通る直線上に位置することを特徴とする係留システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の係留システムであって、
前記回転軸は、前記水面よりも上側に位置することを特徴とする係留システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の係留システムであって、
前記ストッパは、前記水面よりも上側に位置することを特徴とする係留システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体を係留する係留システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浮魚礁等の海面に浮遊する浮体を係留する係留システムでは、浮体と海底に設けられた係留基体とがチェーン等の係留ラインにより連結されている。浮体は、波浪、潮流および風等の外力により漂流し、係留ラインに対して係留張力が作用する。
【0003】
特許文献1では、水面ブイの底面等に水中翼を設け、当該水中翼の前縁を潮流の上流側へと向けることにより、水中翼の上下動に伴って前進力を生じさせる技術が提案されている。当該水中翼から生じる前進力により、潮流によって水面ブイが流される力を減衰し、係留索に加わる張力が低減される。
【0004】
一方、特許文献2には、船舶の横揺れを低減するための翼型のフィンスタビライザーが開示されている。当該フィンスタビライザーは、船舶の船底近傍から斜め下方に向かって突出しており、船体に設けられた開口内に格納可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-69273号公報
【文献】特表2016-516635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、潮流によって水面ブイが流される力の低減は図られているが、波によって水面ブイが流される力(すなわち、波漂流力)については検討されていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、浮体に作用する波漂流力を低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、浮体を係留する係留システムであって、水面に浮かぶ浮体と、水底に固定された係留基体と、前記浮体と前記係留基体とを接続する係留ラインとを備え、前記浮体は、浮体本体と、前記浮体本体の波上側の端部である前端部と波下側の端部である後端部との間において前記浮体本体の左右両側に取り付けられる一対の可動フラップ機構とを備え、前記一対の可動フラップ機構のそれぞれは、前記浮体本体に取り付けられる回転軸と、前記回転軸に接続されて波浪により前記回転軸を中心として波上側および波下側に回転する板状のフラップと、前記フラップの波上側への移動を制限するストッパとを備え、前記浮体本体は、左右方向に垂直な対称面について面対称形状を有し、前記浮体本体の左右方向の幅は、前記前端部から最大幅部に至るまで漸次増大し、前記最大幅部から前記後端部に至るまで漸次減少し、前記前端部と前記最大幅部との間の前後方向の距離は、前記最大幅部と前記後端部との間の前後方向の距離よりも短く、前記一対の可動フラップ機構は、前記浮体本体の前記最大幅部に取り付けられる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の係留システムであって、前記回転軸は、前記浮体本体から左右方向に延び、前記フラップは、前記回転軸よりも下側に位置する。
請求項3に記載の発明は、浮体を係留する係留システムであって、水面に浮かぶ浮体と、水底に固定された係留基体と、前記浮体と前記係留基体とを接続する係留ラインとを備え、前記浮体は、浮体本体と、前記浮体本体の波上側の端部である前端部と波下側の端部である後端部との間において前記浮体本体の左右両側に取り付けられる一対の可動フラップ機構とを備え、前記一対の可動フラップ機構のそれぞれは、前記浮体本体に取り付けられる回転軸と、前記回転軸に接続されて波浪により前記回転軸を中心として波上側および波下側に回転する板状のフラップと、前記フラップの波上側への移動を制限するストッパとを備え、前記回転軸は、前記浮体本体から左右方向に延び、前記フラップは、前記回転軸よりも下側に位置する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の係留システムであって、前記浮体本体は、上下方向を向く中心軸を中心とする軸対称形状を有し、前記中心軸から径方向外側に離間した係留点にて係留ラインに接続されて1点係留にて係留され、前記係留点は前記前端部と前記中心軸とを通る直線上に位置する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の係留システムであって、前記回転軸は、前記水面よりも上側に位置する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の係留システムであって、前記ストッパは、前記水面よりも上側に位置する。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、浮体に作用する波漂流力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施の形態に係る係留システムの側面図である。
【
図4】波浪中における浮体の様子を示す側面図である。
【
図5】波浪中における浮体の様子を示す側面図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る係留システムの浮体の斜視図である。
【
図10】他の可動フラップ機構を示す側面図である。
【
図11】他の可動フラップ機構を示す側面図である。
【
図12】他の可動フラップ機構を示す側面図である。
【
図13】他の可動フラップ機構を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る係留システム1の構成を示す側面図である。
図2は、係留システム1を示す平面図である。係留システム1は、浮体2と、係留基体3と、係留ライン4とを備える。係留システム1は、水面91に浮かぶ浮体2を水底92に係留するシステムである。浮体2が海上に設置される場合、当該水面91および水底92はそれぞれ、海面および海底である。
【0018】
浮体2は、水底92から上方に離間した状態で水面91に浮かぶ構造物である。浮体2は、例えば、集魚のために設置された表層浮魚礁である。浮体2は、浮体本体21と、一対の可動フラップ機構22とを備える。
図1および
図2に示す例では、浮体本体21は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする軸対称形状を有する。浮体本体21は、例えば、平面視において略円形の略円柱状または略円筒状の構造物である。一対の可動フラップ機構22は、浮体本体21の外側面に取り付けられる。
【0019】
係留基体3は、水底92に固定された物体である。係留基体3は、例えば、水底92に沈められたシンカー(すなわち、錘)またはアンカー(すなわち、把駐力を有する錨)である。あるいは、係留基体3は、水底92に予め設置されている固定構造物であってもよい。係留基体3は、必ずしも水底92に直接的に固定される必要はなく、例えば、水底92に固定された他の構造物を介して、水中において間接的に水底92に固定される物体であってもよい。
【0020】
係留ライン4は、浮体2と係留基体3とを接続する略線状の部材である。
図1に示す例では、浮体2の浮体本体21は、1本の係留ライン4により、係留基体3に1点係留されている。1点係留とは、1つの浮体2を、水底92に設けられた1つの係留基体3のみに接続して係留する係留方法である。なお、1点係留と異なる係留方法である多点係留では、1つの浮体が、水底92に設けられた2つ以上の係留基体に接続されて係留される。係留ライン4は、例えば、金属製のチェーンである。あるいは、係留ライン4は、係留ロープであってもよく、チェーンと係留ロープとが接続されたものであってもよい。係留ロープは、例えば、合成繊維製または金属製のロープである。
図1および
図2では、図示の都合上、係留ライン4を線にて示す。他の図においても同様である。
【0021】
係留ライン4の上端部は、浮体本体21に設けられた係留点23にて浮体2に接続される。
図1に示す例では、係留点23は水中(すなわち、水面91よりも下方)に位置する。なお、係留点23は、水面91と上下方向の略同じ位置、あるいは、水面91よりも上方(すなわち、空気中)に位置していてもよい。係留点23は、浮体2の重心から側方に離間した位置に配置される。
図1および
図2に示す例では、浮体2の重心は、中心軸J1上に位置する。したがって、係留点23は、浮体本体21の中心軸J1から、中心軸J1を中心とする径方向(以下、単に「径方向」とも呼ぶ。)の外側に離間した位置に位置する。好ましくは、係留点23は、浮体本体21の径方向外端部(すなわち、平面視における浮体本体21の外縁近傍)に位置する。
【0022】
係留システム1では、浮体2に波浪、潮流および風等の外力が作用すると、浮体2は、係留基体3(または、係留ライン4のうち水底92に接している部位の係留基体3とは反対側の端部)を中心として振れ回り、外力が作用する方向(以下、「外力方向」とも呼ぶ。)の最も下流側に位置する。係留ライン4は、係留基体3から当該外力方向に沿って延びる。
【0023】
係留システム1では、係留ライン4が接続される係留点23は、浮体2の重心から側方に離間しているため、外力方向の下流側に位置する浮体2に作用する外力が変動する場合、浮体2は、当該変動に対応して係留点23を中心として比較的小さく振れ回り、外力に対して最も抵抗が少ない向きを向く。これにより、係留ライン4に作用する係留張力が低減される。
【0024】
浮体本体21に関する以下の説明では、外力方向の上流側に位置する浮体本体21の端部を「前端部24」と呼び、外力方向の下流側に位置する浮体本体21の端部を「後端部25」と呼ぶ。前端部24は、浮体本体21の波上側の端部であり、後端部25は、浮体本体21の波下側の端部である。
【0025】
図1および
図2に示す例では、浮体本体21の前端部24は、浮体本体21の径方向外端部において係留点23が設けられる部位である。また、浮体本体21の後端部25は、浮体本体21の径方向外端部のうち、中心軸J1を挟んで係留点23と反対側の部位である。換言すれば、浮体本体21の後端部25は、浮体本体21の径方向外端部において、前端部24から周方向に180°離れた位置である。
【0026】
係留システム1では、係留点23は、浮体本体21の径方向外端部よりも径方向内側に位置してもよい。この場合、浮体本体21の前端部24は、平面視において中心軸J1から係留点23に向かって延びる仮想的な直線の延長線と、浮体本体21の径方向外端部とが交わる部位である。換言すれば、係留点23は、浮体本体21の前端部24と中心軸J1とを通る直線上に位置する。詳細には、係留点23は、浮体本体21の前端部24と中心軸J1とを通る直線上において、前端部24上に、または、前端部24と中心軸J1との間に位置する。
【0027】
図3は、浮体2を拡大して示す斜視図である。
図3では、浮体2の喫水線(すなわち、水面91の位置)を二点鎖線にて示す(
図7および
図9においても同様)。一対の可動フラップ機構22は、浮体本体21の前端部24と後端部25との間において、浮体本体21の左右方向(すなわち、前端部24および後端部25を通る前後方向に垂直な水平方向)の両側に取り付けられる。
図3に示す例では、一対の可動フラップ機構22は、浮体本体21の前端部24と後端部25との中央に取り付けられる。換言すれば、各可動フラップ機構22は、浮体本体21の前端部24から周方向に約90°離れた位置にて、浮体本体21に取り付けられる。さらに換言すれば、一対の可動フラップ機構22は、浮体本体21において左右方向の幅が最大である最大幅部26に取り付けられる。
【0028】
各可動フラップ機構22は、回転軸221と、フラップ222と、ストッパ223とを備える。回転軸221は、浮体本体21に取り付けられ、浮体本体21から前後方向に略垂直な方向へと延びる棒状の部材である。
図3に示す例では、回転軸221は、浮体本体21に固定され、浮体本体21から左右方向に略平行に延びる略円柱状の部材である。回転軸221は、水面91よりも上側に位置する。
【0029】
フラップ222は、回転軸221に回転可能に接続される板状の部材である。
図3に示す例では、フラップ222の上端部が回転軸221に接続されており、フラップ222は、回転軸221よりも下側に位置する。したがって、フラップ222の上端部は、水面91よりも上側に位置し、フラップ222の上端部を除く部位は水中に位置する。フラップ222は、例えば、正面視において略矩形の略平板状の部材である。フラップ222は、側面視において、回転軸221を中心とする径方向に略直線状に延びる。フラップ222は、波浪により、回転軸221よりも下側において回転軸221を中心として波上側および波下側に回転する。
【0030】
ストッパ223は、浮体本体21から左右方向に略平行に延びる棒状(例えば、略円柱状)の部材である。
図3に示す例では、ストッパ223は、フラップ222よりも前側(すなわち、波上側)において、回転軸221の略鉛直下方に位置する。ストッパ223は、水面91よりも上側に位置する。ストッパ223は、フラップ222の前面(すなわち、前側の主面)に接触することにより、フラップ222の波上側への移動を制限する。
図3に示す例では、ストッパ223により、フラップ222の回転軸221よりも波上側への移動が制限される。
【0031】
図4および
図5は、波浪中における浮体2の様子を示す側面図である。
図4では、浮体2が波の山に位置する状態を示す。
図5では、浮体2が波の谷に位置する状態を示す。
図4および
図5では、波浪の進行方向を、図中の左側から右側へと向かう矢印D1にて示す。また、波浪中における水粒子の運動(すなわち、オービタルモーション)の軌跡を矢印T1にて示す。なお、
図4および
図5では、波高を実際よりも大きく描いている。
【0032】
図4に示すように、波の山に位置する浮体2では、水粒子が、波浪の進行方向D1の上流側から下流側に向かって(すなわち、波上側から波下側に向かって)フラップ222の前面に入射する。フラップ222は、当該水粒子により波下側に向かって押されるため、回転軸221を中心として波下側へと回転し、ストッパ223から波下側に離間する。このように、フラップ222が鉛直方向よりも波下側に傾斜すると(すなわち、フラップ222が回転軸221よりも波下側に位置すると)、フラップ222の正面視における面積が、ストッパ223とフラップ222とが接触している状態に比べて小さくなる。上述のフラップ222の正面視における面積とは、波浪の進行方向に略垂直な面に対するフラップ222の投影面積である。
【0033】
図5に示すように、波の谷に位置する浮体2では、水粒子が、波浪の進行方向D1の下流側から上流側に向かって(すなわち、波下側から波上側に向かって)フラップ222の後面に入射する。フラップ222は、当該水粒子により波上側に向かって押され、ストッパ223に対して押圧される。このように、フラップ222が回転軸221から略鉛直方向に延びる状態では、フラップ222の正面視における面積が、
図4に示すようにフラップ222が波下側に傾斜している状態に比べて大きくなる。
【0034】
図6は、波浪により浮体2に作用する力である波強制力および波漂流力を示す図である。
図6中の横軸は時間を示し、縦軸は波により浮体2に作用する力を示す。
図6中の縦軸における正の力は、波上側から波下側へと向かう力であり、縦軸における負の力は、波下側から波上側へと向かう力である。
図6中の実線81は、一対の可動フラップ機構22が設けられた浮体2に作用する波強制力を示し、実線82は浮体2に作用する波漂流力を示す。また、
図6中の破線83は、一対の可動フラップ機構22が設けられない比較例の浮体に作用する波強制力を示し、破線84は、当該比較例の浮体に作用する波漂流力を示す。比較例の浮体は、一対の可動フラップ機構22が省略されている点を除き、上述の浮体2と同様の構造を有する。比較例の浮体に作用する波漂流力は、波上側から波下側へと向かう力であり、正の値をとる。
【0035】
上述の波強制力とは、フルード・クリロフ力とディフラクション力との和である。フルード・クリロフ力は、波浪中に浮体2が存在しないと仮定した場合の入射波中の圧力変動に基づく力である。ディフラクション力は、入射波が浮体2により散乱させられるために生じる散乱波中の圧力変動に基づく力である。波漂流力とは、浮体2に作用する波強制力を時間平均した定常成分である。
【0036】
上述のように、浮体2が波の谷に位置する状態では、フラップ222の正面視における面積は、フラップ222の実際の面積と略同じ(すなわち、最大)である。このため、オービタルモーションによりフラップ222および浮体本体21に作用する波下側から波上側に向かう波強制力81は、比較例の浮体に比べて大きくなり、比較例の浮体に作用する波強制力83からマイナス側に大きく離れる。一方、浮体2が波の山に位置する状態では、フラップ222の正面視における面積は、浮体2が波の谷に位置する状態に比べて小さくなる。このため、オービタルモーションによりフラップ222および浮体本体21に作用する波上側から波下側に向かう波強制力81は、比較例の浮体に比べて大きくはなるが、比較例の浮体に作用する波強制力83との差は、浮体2が波の谷に位置する状態に比べて小さくなる。したがって、浮体2に作用する波漂流力82は、比較例の浮体に作用する波漂流力84よりも小さくなり、
図6中においてマイナス側にシフトする。
【0037】
以上に説明したように、係留システム1は、水面91に浮かぶ浮体2と、水底92に固定された係留基体3と、係留ライン4とを備える。係留ライン4は、浮体2と係留基体3とを接続する。浮体2は、浮体本体21と、一対の可動フラップ機構22とを備える。一対の可動フラップ機構22は、浮体本体21の波上側の端部である前端部24と、波下側の端部である後端部25との間において、浮体本体21の左右両側に取り付けられる。一対の可動フラップ機構22のそれぞれは、回転軸221と、板状のフラップ222と、ストッパ223とを備える。回転軸221は、浮体本体21に取り付けられる。フラップ222は、回転軸221に接続されて、波浪により回転軸221を中心として波上側および波下側に回転する。ストッパ223は、フラップ222の波上側への移動を制限する。
【0038】
これにより、浮体2により反射される反射波の波高が低減され、
図6に示すように、浮体2に作用する波上側から波下側に向かう波漂流力を低減することができる。その結果、係留ライン4に作用する係留張力を低減することができる。したがって、係留ライン4の大径化を抑制することができ、係留システム1における係留コストの増大を抑制することができる。
【0039】
上述のように、ストッパ223は、フラップ222の回転軸221よりも波上側への移動を制限することが好ましい。これにより、浮体2が波の谷に位置する状態(すなわち、フラップ222がストッパ223に接触している状態)において、フラップ222の正面視における面積を略最大とすることができる。このとき、波上側から波下側に向かう波強制力は大幅に小さくなり、浮体2に作用する波上側から波下側に向かう波漂流力をさらに低減することができる。その結果、係留ライン4に作用する係留張力を低減することができる。
【0040】
浮体本体21は、好ましくは、上下方向を向く中心軸J1を中心とする軸対称形状を有し、中心軸J1から径方向外側に離間した係留点23にて係留ライン4に接続されて1点係留にて係留される。係留点23は、浮体本体21の前端部24と中心軸J1とを通る直線上に位置する。これにより、浮体本体21が軸対称形状を有する場合であっても、浮体2に作用する波漂流力を低減することができる。
【0041】
上述のように、回転軸221は、水面91よりも上側に位置することが好ましい。これにより、回転軸221とフラップ222との接続部分に対する水生生物の付着等を抑制することができる。その結果、水生生物の付着等によりフラップ222の回転が阻害されることを抑制することができる。また、回転軸221が水中に設けられる場合と異なり、回転軸221による波漂流力の増大を防止することができる。
【0042】
上述のように、ストッパ223は、水面91よりも上側に位置することが好ましい。これにより、ストッパ223が水中に設けられる場合と異なり、ストッパ223による波漂流力の増大を防止することができる。
【0043】
好ましくは、回転軸221は、浮体本体21から左右方向に延び、フラップ222は、回転軸221よりも下側に位置する。これにより、フラップ222がストッパ223から離れている状態において、ストッパ223との接触位置へのフラップ222の移動が重力により促進される。その結果、波の谷近傍において、フラップ222がストッパ223との接触位置へと迅速に戻り、水粒子による波下側から波上側へと向かう力を、フラップ222により効率良く受けることができる。したがって、浮体2に作用する波上側から波下側に向かう波漂流力をさらに低減することができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る係留システム1aについて説明する。
図7は、係留システム1aの浮体2aを示す斜視図である。係留システム1aでは、
図3に示す浮体本体21とは形状が異なる浮体本体21aを備える浮体2aが設けられる。係留システム1aのその他の構成は、
図1ないし
図3に示す係留システム1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0045】
図7に示す係留システム1aでは、上述の係留システム1と同様に、浮体本体21aの前端部24と後端部25との間において浮体本体21aの左右両側に取り付けられる一対の可動フラップ機構22を備える。これにより、上記と同様に、浮体2aに作用する波漂流力を低減することができる。なお、各可動フラップ機構22の構造は、上記と同様である。また、
図7に示す例では、浮体本体21aの上下方向に垂直な断面の形状(すなわち、形および大きさ)は、上下方向の全長において略同じである。
【0046】
浮体2aでは、浮体本体21aが、左右方向に垂直な対称面について面対称形状を有する。浮体本体21aの左右方向の幅は、波上側の前端部24から、当該幅が最大である最大幅部26に至るまで、漸次増大する。また、浮体本体21aの左右方向の幅は、最大幅部26から波下側の後端部25に至るまで漸次減少する。前端部24と最大幅部26との間の前後方向の距離は、最大幅部26と後端部25との間の前後方向の距離よりも短い。
【0047】
このように、浮体本体21aが平面視においていわゆるティアドロップ形状を有することにより、浮体2aが波の谷に位置する状態において、水面91近傍において波下側から波上側に移動する水粒子が、浮体本体21aの後端部25から波上側に延びる外側面に沿って整流された状態で、フラップ222の後面に入射する。これにより、水粒子による波下側から波上側へと向かう力を、フラップ222により効率良く受けることができる。したがって、浮体2に作用する波上側から波下側に向かう波漂流力をさらに低減することができる。
【0048】
一対の可動フラップ機構22は、好ましくは、浮体本体21aの最大幅部26に取り付けられる。これにより、浮体2aが波の谷に位置する状態において、水面91近傍において波下側から波上側に移動する水粒子の整流距離(すなわち、フラップ222の後面に入射するまでに浮体本体21aの外側面に沿って整流される距離)が長くなる。これにより、水粒子による波下側から波上側へと向かう力を、フラップ222によりさらに効率良く受けることができる。したがって、浮体2に作用する波上側から波下側に向かう波漂流力を、より一層低減することができる。なお、可動フラップ機構22は、浮体本体21aの最大幅部26よりも前側または後側に取り付けられてもよい。
【0049】
図7に示す例では、前端部24および後端部25における浮体本体21aの左右方向の幅はそれぞれ、0である。これにより、浮体本体21aに作用する波強制力を低減することができる。また、係留ライン4は、浮体2aの前端部24に設けられた係留点23にて、浮体2aに接続される。なお、係留点23の位置は浮体本体21aにおいて様々に変更されてよい。
【0050】
図7に示す例では、浮体本体21aの外側面の平面視における形状は、前端部24から最大幅部26に至る範囲の略全体において、波上側または左右方向の外側に向かって凸状である。また、浮体本体21aの外側面の平面視における形状は、最大幅部26から後端部25に至る範囲の略全体において、波下側または左右方向の外側に向かって凸状、または、略直線状である。これにより、浮体本体21aに作用する波強制力を低減することができる。
【0051】
図8は、
図7に示す浮体2aの模型試験の結果を示す図である。模型試験は、浮体2aの模型を、前後方向に延びる弦巻バネを介して実験水槽中に取り付け、規則波を模型に入射させることにより行った。
図8中の横軸は、浮体2aに入射する規則波の波周期(秒)を示し、縦軸は、浮体2aの漂流距離を示す。なお、横軸の波周期は、浮体2aの模型の大きさが実際の大きさに等しいと仮定して、実験水槽における波周期を換算したものである。縦軸の漂流距離は、実験開始時をゼロとして、実験開始から所定時間経過後の浮体2aの位置を、波下側を正として示したものである。
【0052】
図8中の実線85は、浮体2aの漂流距離を示し、破線86は、一対の可動フラップ機構22が設けられない比較例の浮体の漂流距離を示す。
図8中の漂流距離がプラス側に大きい場合、波上側から波下側に向かう波漂流力が大きく、当該漂流距離がマイナス側に大きい場合、波下側から波上側に向かう波漂流力が大きい。比較例の浮体は、一対の可動フラップ機構22が省略されている点を除き、上述の浮体2aと同様の構造を有する。
【0053】
図8に示すように、
図7に例示する浮体2aでは、波周期が約5.5秒以上の範囲において、浮体2aに作用する波漂流力が、比較例の浮体に作用する波漂流力よりも小さく、かつ、波下側から波上側に向かう方向に作用する。これにより、係留ライン4に作用する係留張力を低減することができる。
【0054】
上述の係留システム1,1aでは、様々な変更が可能である。
【0055】
例えば、浮体2,2aでは、前後方向に配列される2対以上の可動フラップ機構22が、浮体本体21,21aに設けられてもよい。例えば、
図7に示す浮体2aにおいて、最大幅部26に設けられた一対の可動フラップ機構22に加えて、最大幅部26よりも波下側に他の一対の可動フラップ機構22が設けられてもよい。この場合、波下側の一対の可動フラップ機構22では、ストッパ223に接触している状態のフラップ222の後面が、平面視における浮体本体21aの外側面の接線方向に略垂直となるように、回転軸221、フラップ222およびストッパ223が配置されてもよい。当該回転軸221は、例えば、平面視における浮体本体21aの外側面の接線方向に略垂直に、かつ、水平方向に延びる。当該フラップ222は、水粒子による波下側から波上側へと向かう力を効率良く受けることができるため、浮体2aに作用する波上側から波下側に向かう波漂流力を効率良く低減することができる。
【0056】
また、可動フラップ機構22の構造は、上述の構造には限定されず、様々に変更されてよい。例えば、ストッパ223は、水面91と略同じ位置、または、水面91よりも下方に配置されてもよい。回転軸221が水面91よりも上方に配置され、ストッパ223が水面91よりも下方に配置される場合、回転軸221とストッパ223との間の距離が大きくなる。このため、ストッパ223に作用するフラップ222からの荷重が小さくなり、ストッパ223等を小型化することができる。また、ストッパ223等が故障するリスクを低減することができる。なお、回転軸221も、水面91と略同じ位置、または、水面91よりも下方に配置されてもよい。
【0057】
図9に示す浮体2bでは、可動フラップ機構22bは、回転軸221bと、板状のフラップ222bと、ストッパ223bとを備える。回転軸221bは、浮体本体21から略上下方向(すなわち、前後方向に略垂直な方向)へと延びる。フラップ222bは、回転軸221bに接続されて、波浪により回転軸221bを中心として波上側および波下側に回転する。ストッパ223bは、フラップ222bの波上側への移動を制限する。詳細には、ストッパ223bは、フラップ222bの回転軸221bよりも波上側への移動を制限する。
【0058】
浮体2bが波の山に位置する状態では、フラップ222bは、水粒子により波上側から波下側に向かって押され、回転軸221bを中心として波下側へと回転する。これにより、フラップ222bは、ストッパ223bから波下側に離間し、図中において二点鎖線にて示すように、浮体本体21に近接した位置に位置する。その結果、フラップ222bの正面視における面積は、ストッパ223bとフラップ222bとが接触している状態に比べて小さくなる。
【0059】
一方、浮体2bが波の谷に位置する状態では、フラップ222bは、水粒子により波下側から波上側に向かって押され、図中において実線にて示す位置にてストッパ223bに対して押圧される。これにより、フラップ222bの正面視における面積は、フラップ222bが波下側に傾斜している状態(すなわち、二点鎖線にて示す状態)に比べて大きくなる。その結果、上記と同様に、浮体2bに作用する波上側から波下側に向かう波漂流力を低減することができる。可動フラップ機構22bは、浮体本体21aに取り付けられてもよい。
【0060】
上述の例では、回転軸221,221bの延びる方向は、左右方向に略平行な方向、平面視において浮体本体21,21aの外側面の接線方向に略垂直な方向、または、上下方向に略平行な方向であるが、必ずしもこれらの方向には限定されず、様々に変更されてよい。また、回転軸221は、浮体本体21に回転可能に取り付けられてもよい。例えば、回転軸221とフラップ222とが一繋がりの部材として形成され、当該一繋がりの部材のうち回転軸221に相当する部位が、浮体本体21に回転可能に取り付けられてもよい。回転軸221bについても同様である。
【0061】
ストッパ223は、必ずしも回転軸221の略鉛直下方に位置する必要はなく、
図10に示すように、回転軸221の下方において、回転軸221の鉛直下方から波上側に離間した位置に配置されてもよい。この場合、フラップ222は、ストッパ223に接触することにより、回転軸221の鉛直下方よりも少し波上側に傾斜した状態で波上側への移動が制限される。フラップ222の波上側への傾斜角度は、例えば30°以下であり、好ましくは15°以下である。このように、ストッパ223は、フラップ222の波上側への移動を制限する位置に設けられていればよい。また、ストッパ223は、浮体本体21の内部に設けられてもよい。ストッパ223bについても同様である。
【0062】
ストッパ223の形状は、必ずしも左右方向に延びる棒状には限定されず、様々に変更されてよい。例えば、ストッパ223は、浮体本体21から左右方向に延びる棒状部材と、当該棒状部材から浮体本体21まで斜めに延びる補強部材(いわゆる、方杖)とを備えていてもよい。ストッパ223bについても同様である。また、
図11に示すように、上下方向に延びる回転軸221bに沿って浮体本体21に固定された上下方向に延びる柱状部材が、ストッパ223cとして設けられてもよい。
図11に示す例では、ストッパ223cは、前後方向に略垂直な側面を波下側の端面(すなわち、フラップ222bに接触する面)として有する略三角柱状である。ストッパ223cの当該端面の左右方向の幅は、フラップ222bの左右方向の幅よりも小さく、例えば、フラップ222bの左右方向の幅の10%~20%である。ストッパ223cの上下方向に垂直な断面形状は、三角形には限定されず、例えば略扇形であってもよい。
【0063】
ストッパ223は、フラップ222の波上側への移動を制限するものであれば、上述の棒状部材や補強部材には限定されず、いかなる規制手段であってもストッパ223として採用することができる。例えば、ストッパ223として、ダンパー等の緩衝器を用いることもできる。ストッパ223b等についても同様である。
【0064】
フラップ222,222bの形状は、必ずしも略平板状には限定されず、例えば、側面視において略L型に折れ曲がった板状であってもよい。あるいは、
図12に示すように、側面視において略クランク状(すなわち、略Z型)に折れ曲がった板状のフラップ222dを有する可動フラップ機構22dが、浮体2に設けられてもよい。フラップ222dがストッパ223dに接触して波上側への移動が制限された状態において、フラップ222dの一部(すなわち、上下方向の中央よりも下側の部位)は、ストッパ223dおよび回転軸221dよりも波上側に位置している。
【0065】
また、
図13に示すように、側面視において波上側に凸となるように湾曲した板状のフラップ222eを有する可動フラップ機構22eが、浮体2に設けられてもよい。可動フラップ機構22eでは、波上側から波下側に向かう水粒子は、凸面であるフラップ222eの前面に入射するため、水粒子によりフラップ222eに作用する力を小さくすることができる。その結果、浮体2に作用する波上側から波下側に向かう波漂流力をさらに低減することができる。フラップ222eでは、例えば、左右方向の両端部から後方へと突出する側壁部が設けられてもよい。換言すれば、スラップ222eは、前方に向かって凸であるスコップ状であってもよい。これにより、波下側から波上側に向かう水粒子が、凹面であるフラップ222eの後面に入射した後、左右方向に移動することが抑制される。その結果、波下側から波上側に向かう水粒子によりフラップ222eに作用する力を大きくすることができる。したがって、浮体2に作用する波上側から波下側に向かう波漂流力を、より一層低減することができる。
【0066】
浮体2の形状は、略円柱状または略円筒状には限定されず、他の軸対称形状(例えば、略円錐台状)であってもよい。浮体2aの形状は、上述のティアドロップ形状には限定されず、他の面対称形状(例えば、略楕円柱状)であってもよい。また、浮体2,2aの形状は、軸対称形状および面対称形状には限定されず、様々に変更されてよい。
【0067】
浮体2,2aは、浮魚礁以外の構造物であってもよい。浮体2,2aは、例えば、ブイ、あるいは、洋上風力発電用の風車が立設される土台等であってもよい。浮体2,2aは、必ずしも海面に設置される必要はなく、湖沼等の水面に設置されてもよい。
【0068】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0069】
1,1a 係留システム
2,2a,2b 浮体
3 係留基体
4 係留ライン
21,21a 浮体本体
22,22b,22d,22e 可動フラップ機構
23 係留点
24 (浮体の)前端部
25 (浮体の)後端部
26 (浮体の)最大幅部
91 水面
92 水底
221,221b,221d 回転軸
222,222b,222d フラップ
223,223b,223c,223d,223e ストッパ