(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】多室溶融金属ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 7/06 20060101AFI20220126BHJP
B22D 35/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
F04D7/06 B
B22D35/00 B
(21)【出願番号】P 2018564775
(86)(22)【出願日】2017-06-21
(86)【国際出願番号】 US2017038427
(87)【国際公開番号】W WO2017223136
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-11
(32)【優先日】2016-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515257689
【氏名又は名称】パイロテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】テトコスキー ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン リチャード エス
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06187096(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0314548(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 7/06
B22D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い室を画成する本体を含む溶融金属ポンプであって、前記
細長い室は、シャフト及びインペラ
ーを受け入れるように構成され、前記本体は、耐火材で構成され、前記
細長い室は、シャフトが通る開口上部及び底部流入口を含み、
前記底部流入口は、前記インペラーを受け入れる軸受け面を含み、前記インペラーは、前記
底部流入口内に又はそれに隣接して配置され、前記本体は、
前記細長い室に隣接した細長い通路を含み、開口が前記細長い通路と前記細長い室との間の流体連通を提供し、
前記開口は、前記細長い室との交差点が前記インペラーの流出口よりも鉛直方向上方に位置するように配置され、前記細長い通路は、溶融金属を
前記細長い室の細長い軸線と少なくとも実質的に垂直に差し向けるように構成された排出溝と流体連通し
、前記インペラーは、溶融金属を前記細長い室及び前記細長い通路内で前記開口よりも上方の高さまで上昇させるように回転する、溶融金属ポンプ。
【請求項2】
前記
細長い通路は、前記
細長い室と少なくとも実質的に平行である、請求項1の溶融金属ポンプ。
【請求項3】
前記
細長い通路の最も大きい横断面は、前記
細長い室の最も大きい横断面より小さい、請求項1の溶融金属ポンプ。
【請求項4】
前記
細長い室及び前記
細長い通路の各々は少なくとも実質的に円筒形であり、前記細長い通路の直径は、前記細長い室の直径よりも小さい、請求項1の溶融金属ポンプ。
【請求項5】
前記開口は、前記開口上
部よりも前記底部流入口により近くに配置される、請求項1の溶融金属ポンプ。
【請求項6】
前記開口の最も大きい横断面は、前記
細長い通路の最も小さい横断面よりも小さい、請求項5の溶融金属ポンプ。
【請求項7】
容器から溶融金属を移送する方法であって、溶融金属ポンプを溶融金属の浴の中に配置し、前記
溶融金属ポンプは、細長い室を画成する耐火材本体を含み、前記
細長い室は、開口上部からシャフト及びインペラ
ーを受け入
れ、かつ前記インペラーを配置
するように構成され、前記インペラーは、
前記細長い室への流入口内に又はそれに隣接して配置され、前記
耐火材本体は、
前記細長い室に隣接した細長い通路を含み、
前記インペラーよりも上方の開口は、前記細長い通路と前記細長い室との間の流体連通を提供し、前記細長い通路は、溶融金属を
前記細長い室の細長い軸線と少なくとも
垂直に差し向けるように構成された排出溝と流体連通しており、溶融金属が前記
溶融金属ポンプから前記排出溝を経て選択的に排出されるように、
前記インペラーの回転で、溶融金属を前記細長い室及び前記細長い通路内で
前記開口よりも上方の高さまで上昇させる、溶融金属を移送する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
本例示態様は、溶融金属ポンプに関する。本例示態様は、容器から溶融金属を上昇させることと関連して特別な適用を発見し、そしてそれを参照して記載する。しかしながら、本例示態様は、また他のどうような適用にも修正できることが認められる。
【0003】
反射炉は、金属を溶解しそして金属が溶融状態にある間溶融金属を保持するのに使用される。ここで使用される用語「溶融金属」は、どんな金属又はアルミニウム,銅,鉄,亜鉛,マグネシウム及びその合金のような、液体形態の金属の組み合わせを意味する。反射炉は、通常は、ときとしてポンプますと称される、溶融金属ポンプを収容する室を含む。ポンプは、炉内の溶融金属浴の循環を含む多くの目的のために、塩素ガスなどの金属処理剤の導入のために、及び炉から溶融金属の取り出しのために利用される。
【0004】
溶融金属を圧送するためのポンプは、典型的には、基部を含む。このようなポンプは、また、ポンプ基部に、溶融金属をポンプ室に流入させる1つ以上の流入口を含む。ポンプ室にはインペラーが設けられ、インペラーは駆動シャフトに連結される。駆動シャフトは、典型的には、モータに結合される。モータがシャフを回すと、シャフトは、インペラーを回し、インペラーは溶融金属をポンプ室から押し出す。
【0005】
溶融金属ポンプケーシング及びインペラーは、通常は、セラミックリングを含む軸受け装置を使用し、インペラーに設けられた1つ以上のリングがポンプ基部に設けられた1つ以上のリングと整合する。軸受け装置の目的は、構成部品、具体的には、ポンプの稼働中、ロータ及びポンプ室壁の損傷を減らすことにある。
【0006】
溶融金属浴に接触する溶融金属ポンプ構成部品を形成する材料は、浴の中で比較的安定でなければならない。溶融金属からの腐食作用による崩壊に抵抗する黒鉛又はセラミックなどの耐火材構造体が使用される。
【0007】
溶融金属移送ポンプは、とりわけ、溶融アルミニウムを炉井から取りべ又は樋に移送するのに使用され、取りべ又は樋からの溶融アルミニウムは、鋳型で鋳造されてインゴットのような固形ピースになる。取りべは、大きな容器であり、溶融金属が炉から取りべに注がれる。余裕金属が取りべに入れられた後、取りべは炉領域から工場の他の部分へ輸送され、そこで、取りべ内の溶融金属は、鋳型に注がれる。樋は、本質的には、反射炉の外側の樋、溝又は導管である。
【0008】
現在、多くの金属ダイカスト工場は、多量の溶融金属を収容する主炉床を使用する。金属固形棒が主炉床で周期的に溶かされる。移送ポンプが、主炉床に隣接する別の炉井の中に置かれる。移送ポンプは、溶融金属を、それが入っているますから出し、そして溶融金属を取りべ又は樋の中へ移送し、そこから、金属物品を形成するダイキャスターに移送する。本開示は、ダイキャスト機,インゴット鋳型,DCキャスターなどへの輸送のため溶融金属を炉から上昇させることによって溶融金属を移送するのに使用されるポンプに関する。
【0009】
あるタイプの移送ポンプは、米国公開出願2008/0314548に記載されており、その開示をここに援用する。システムは、少なくとも(1)溶融金属をいれるための容器,(2)高さH1を有しかつ容器を少なくとも第1室及び第2室に分割する、容器内の分割壁又は(溢れ壁),及び(3)容器内の、好ましくは第1室内の溶融金属ポンプを含む。第2室は、高さH1よりも低い高さH2の壁又は開口を有する。第2室は、容器から溶融金属を移送することが望まれる取りべ又は樋などの並置された他の構造物である。ポンプ(移送ポンプ,循環ポンプ,又はガス噴射ポンプのいずれか)は、第1ポンプ室の中に沈められ、そして溶融金属を第1室から分割壁を通り越して第2室へ圧送し、第2室内の溶融金属のレベルを上昇させる。第2室内の溶融金属のレベルが高さH2を超えると、溶融金属は、第2室から流出して他の構造物の中へ入る。
【0010】
別の移送式ポンプは、米国公開出願2013/0101424に開示されており、その開示をここに援用する。ポンプは、基端と開口上端を有する細長いポンプ室管を含む。シャフトは、管の中へ延び、そして基端近くでインペラーを回転させる。ポンプ室管は、好ましくは、インペラーの高さの少なくとも3倍の高さを有する。基端は、流入口を含み、上端は、接線流出口を含む。インペラーの回転で溶融金属をポンプ室に吸い込み、ポンプ室の壁を昇る平衡回転渦を生じさせる。上端に隣接した回転渦は、接線流出口から装置を出る。
【0011】
[概略説明]
本開示の種々の詳細を、基本的な理解を提供するために以下に要約する。この概要は、開示の広範囲の全体像ではなく、開示のある要素を特定するものでもなく開示の範囲を線引きするものでもない。むしろ、この要約の主たる目的は、以下に提示されるもっと詳細な説明に先立って、簡単な形態で開示のある概念を提示することにある。
【0012】
本例示態様の1つの観点によれば、細長い室を画成する耐火材本体を含む溶融金属ポンプを提供する。室は、シャフト及びインペラーアセンブリーを受け入れるように構成される。室は、シャフトが通る開口上部を含む。室は更に、底部流入口を含む。インペラーは、流入口内に又はそれに隣接して配置される。本体は、更に、室に隣接した細長い通路を画成する。開口が細長い通路と細長い室との間に流体連通を提供する。細長い通路は、その上端で排出溝と流体連通しており、排出溝は、溶融金属を細長い室の細長い軸線と少なくとも垂直に差し向けるように構成される。
【0013】
第2の実施形態によれば、容器から溶融金属を移送するための方法を提供する。この方法は、細長い室を有する溶融金属ポンプを溶融金属の浴の中に配置することを含む。室は、開口上部からシャフト及びインペラーアセンブリーを受け入れるように構成される。インペラーは、室への流入口内に又はそれに隣接して配置される。本体は更に、室に隣接した細長い通路を含む。開口は、細長い通路と細長い室との間の流体連通を提供する。細長い通路は、溶融金属を細長い室の細長い軸線と少なくとも垂直に差し向けるように構成された排出溝と流体連通している。溶融金属がポンプから排出溝を経て選択的に排出されるように、インペラーの回転で、溶融金属を細長い室及び細長い通路内で上昇させる。
【0014】
更なる実施形態によれば、細長い室を画成する、耐火材で構成された本体を含み、本体は、シャフト及びインペラーアセンブリーを受け入れるように構成されている溶融金属ポンプを提供する。室は、シャフトが通る開口上部及び底部流入口を含む。インペラーは、流入口内に又はそれに隣接して配置される。室は、本体の上端に配置され、かつ溶融金属を細長い室の細長い軸線と少なくとも垂直に差し向けるように構成された排出溝と流体連通している。本体はまた、本体に配置された第1のアンカー端及びポンプ支持アセンブリーに固着された第2の取付け端を有する複数本のロッドを含む。ロッドはまた、本体に圧縮力を確立するために構成された圧縮可能な要素を受け入れる。張力供給ロッドにより、有利には、ポンプ室を形成させ、かつ金属合わせ板を使用することなくポンプ支持アセンブリーに取り付けられる。金属合わせ板の除去により、本体の全長を溶融金属浴の中に沈めることができる。加えて、張力供給ロッドの使用により、ポンプ本体を比較的小さい設置面積で選択的に建設しうる。したがって、炉の空間建設領域での設置は、価値ある選択である。
【0015】
次の説明及び図面は、開示のある例示的実現を詳細に記述する。しかしながら、図示した例は開示の多くの可能な実施形態の網羅的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は炉のポンプます内に配置された本開示のポンプを含む溶融金属移送システムの斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1乃至4のポンプ内の溶融金属の流れの概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の溶融金属ポンプの変形取付け構造の断面図である。
【0017】
[詳細な説明]
以下の説明及び図面は、開示のある図示手段を詳細に述べる。しかしながら、図示した例は、開示の多くの可能な実施形態のすべてではない。本発明の他の利点及び代替的特徴は、図面に関して考慮されるとき、当業者に明らかであろう。
【0018】
今
図1を参照すると、溶融金属反射炉100が示してある。ポンプます102が反射炉から延び、そして本開示の移送ポンプ104を受け入れる。ポンプ104は2本のビーム106を含む上部構造物によって懸架される。ポンプ104はポンプます102の空洞108の中へぶら下がる。空洞108は、溶融金属を反射炉100の主部分から通路を経て受け入れる。
【0019】
ビーム106は、モータ112(空気又は電気)を支持するモータ取付台110を受ける。ポンプ104は、入口端(
図2-5を参照)が空洞108内に収容された溶融金属内に配置され、排出溝114がポンプます102の壁に形成された切欠き116に隣接して又はその僅か上に位置決めされるように懸架される。当業者が認識するように、管又は他の樋アセンブリーが排出溝114に取り付けられ、そして切欠き116の中を延びて、所望ならば、送出のために反射炉から溶融金属の輸送を容易にする。勿論、樋アセンブリーは、排出溝114が切欠き116の中を延び、そしてポンプ壁の外部で樋システムと合うように配置されるのがよい。有利には、このシステムは、ポンプますの外壁の高さより上に溶融金属の上昇を要求する。
【0020】
今
図2-4に戻ると、ポンプ200は、例えば、セラミック又は黒鉛で構成された耐火材本体201を含む。耐火材本体201は、シャフト204及びインペラー206を受け入れる第1ポンプ室202を画成する。インペラー206は、ポンプ耐火材本体201の下部に形成された流入口208に(又はそれに隣接して)配置されるのがよい。
【0021】
流入口208は、インペラー206を受け入れる(軸受けリングのような)軸受け面を含むのがよい。インペラー206はそれに対応する軸受けリングを含むのがよい。軸受け面は、流入口の内面であるのがよく、インペラー軸受け面は、例えばインペラー筒口の半径方向外面であるのがよい。インペラーは、底部流入口,側部流出口タイプであるのがよい。
【0022】
インペラーはまた上板を含むのがよい。その上、上板は、ポンプ室内で溶融金属のより滑らかな上向流を提供するのがよいと考えられる。この滑らかな上向流は、比較的最小限の(或いは実質的にゼロの)渦(
図5の線306を参照)がポンプ室に形成されることによって証明することができる。
【0023】
インペラーは、有利には、インペラーがRPM当たり移送する溶融金属の量に関して制御可能である。これに関して、インペラーは、比較的ゆっくりであるが、ポンプ室内の溶融金属を上昇させるのに必要なヘッドを提供するRPM当たりの流量を有するのがよい。例えば、インペラーは、RPMの単位増加について毎分約1乃至2ポンドの溶融金属処理量の増加を提供することができる。
【0024】
シャフト204及びインペラー206は、開口上部209からポンプ室202の中に挿入することができる。シャフト/インペラーアセンブリーはポンプ室内の中心に配置されるものとして示されているが、心ずれ配置も適切に機能することが考えられる。
【0025】
ポンプ室202の側壁212に開口210が形成される。開口210は、ポンプ室202に隣接してこれと平行に延びる細長い通路216と流体連通している。細長い通路216の最大横断面は、ポンプ室202の最大横断面よりも小さい。ポンプ室202及び細長い通路216は各々少なくとも実質的に円筒形であり、細長い通路216の直径は、ポンプ室202の直径よりも小さい。
【0026】
細長い通路216は、流れている溶融金属をポンプ室202の細長い軸線から垂直方向に差し向けるように向けられた排出溝220と流体連通している。
【0027】
開口210が細長い通路216の第1端に配置され、排出溝220は、細長い通路216の反対側の端に配置される。開口210は、通路216内の乱流を減らすために横断面(及び又は直径)が通路216,ポンプ室202のいずれよりも比較的小さい。開口は、開口上部によりも底部流入口により近くに配置されるのがよい。開口の中心は、インペラーの流出口よりも上に配置されるのがよい。開口210は、理論的には、インペラー206に水平方向に隣接した位置に配置されるのがよいけれども、開口210をインペラー206よりも垂直方向上に配置することは、通路216内の乱流を有利に減らすものと考えられる。開口210は、ポンプ室の長さに沿う任意の高さに配置されてもよい。しかしながら、開口をインペラーから上に離しすぎることは望ましくなく、何故ならば、開口210と排出溝220との間の通路216をポンプ室202の長さの少なくとも50%の長さにすることは有益な請求帯域を提供するからである。開口210は、流入口208の最も下の部分からポンプ室の長さのほぼ10乃至50%又は15乃至30%であるのがよい。
【0028】
今
図5に戻ると、稼働しているポンプの溶融金属流が示されている。図示したように、シャフト204及びインペラー206の回転時、溶融金属は流入口208に侵入するインペラー筒口300に吸い込まれる。溶融金属は、インペラーに入り、インペラー流出口302から半径方向に排出される。ポンプ室202内の溶融金属の上方流れ又は上昇が達成される(矢印304参照)。インペラーの設計及び回転速度に応じて、このような流れは、平衡渦形式のもの(溶融金属は回転しかつシャフトに隣接してよりもポンプ室の壁に隣接して少なくとも僅かに高く上昇する、線306を参照)、又は渦がなく、溶融金属が制限された回転で上昇する。
【0029】
シャフト204及びインペラー208の回転及びポンプ室内の溶融金属の上昇は、通路216内の溶融金属の同時上昇を生じさせ、溶融金属は、開口210を通して通路216に流入する。通路216内の溶融金属の高さは、典型的には、ポンプ室202内の溶融金属のレベルと実質的に等しい又はその僅か下である。
【0030】
溶融金属が通路216内で排出溝220の床310に達する高さまで上昇するとき、溶融金属は、ポンプから、取りべ,鋳造機械,又は他の所望な場所への供給のためにポンプから関連した樋又は他の移送機構に外方に流れる。有利には、モータの下のポンプアセンブリー全体は溶融金属の中に沈められるのがよい。
【0031】
今、
図6に戻ると、溶融金属ポンプ本体400がロッド406を介して上部構造物402又はモータ取付台404に固着される。ロッド406は、取付けアンカー408を含む第1の端を含み、取付けアンカーは、ポンプ本体に鋳込まれ、又は側切欠きを介して又は回転でロック係合する長手方向の挿入物などを介してポンプ本体に固着されるのがよい。各ロッドの第2の端409は、ナット410を受け入れるねじ外面を含み、ナットは、中間ばねアセンブリー412の介在物を介してポンプ本体に圧縮力を付与することを容易にする。
【0032】
アンカーアセンブリー408がポンプ本体400の上面の比較的近くに示されているが、圧縮力をポンプ本体のより大きな表面積に与えるためにアンカーを、より低く(例えば、金属レベルMLで)ポンプ本体に配置するのが望ましいかもしれない。
【0033】
選択的に、溶融金属を移送するための樋又は他の構造物は、排出溝に固着される。樋は、開放又は閉鎖溝,樋,又は導管のいずれでもよく、そして、任意適当な寸法、即ち長さ4フィート,又は長さ100フィートほど若しくはもっと長いなどの長さのものでもよい。樋は、1つ以上のタップ(図示せず)、即ち取り外し可能なプラグによって塞がれる小さな開口を有するのがよい。
【0034】
ポンプモータは、好ましくは、可変速度モータである。システムは、例えば、取りべ内の浮き、取りべと取りべ内の溶融金属の合計重量を測定するスケール、又は樋又は作業の他の場所内の溶融金属の表面レベルを測定するレーザーを利用することによって自動化することができる。システムのある部分内の溶融金属の量が比較的少ないように決定されるときには、ポンプは、溶融金属をポンプからもっと急速に流出させて、最後には、満たされるべき構造物に流入させるために比較的早い速度で作動するように自動的に調整することができる。構造物(取りべなど)内の溶融金属の量が所望レベルに達するとき、ポンプを、自動的に遅くさせ及び又は停止させることができる。
【0035】
ポンプの速度を、細長い通路内に静的に位置した溶融金属のレベルを、高い高さに、しかし、溶融金属が排出溝に達する高さ以下に保つ比較的低速度に減少させことができる。有利には、これは、ポンプ本体の温度を高いレベルに維持し、ポンプのフル稼働が再開されるとき、構成部品に加えられる熱衝撃を減少させる。
【0036】
単一のポンプが、溶融金属を多くの(即ち複数の)構造物に同時に供給してもよいし、或いは、変形例として1つ以上の構造物への溶融金属の流れを止める1つ以上のダムの位置に応じて複数の構造物のうちの1つに溶融金属を供給するように構成されてもよい。
【0037】
制御システムを設けるのがよい。制御システムは、溶融金属ポンプの速度が構造物によって要求される溶融金属の量に比例するように比例制御を提供するのがよい。制御システムは、最小の乱流で及び溢れる機会がなく、1つ以上の取りべまたはインゴット鋳型などの1つ以上の構造物に溶融金属の円滑で一様な流れを提供するように特別に注文されてもよい。
【0038】
制御スクリーンをシステムで使用してもよい。制御スクリーンは、例えば、「オン」ボタン,遠隔装置によって測定されるように、オペレータに溶融金属の深さを決定させる「金属深指示器」,オペレータが溶融金属ポンプを停止することができる「緊急オン/オフ」ボタン,RPM指示器及び又は溶融金属ポンプのモータへの電流を決定するAMPS指示器を含むのがよい。
【0039】
例示形態を好ましい実施形態を参照して記載した。明らかに、以上の詳細な説明を読みそして理解するとき、修正及び変更が第三者に思い浮かぶであろう。例示形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲に属する限り、化かの修正及び変更のすべてを含むものと解釈すべきである。