(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】コンピュータ支援遠隔操作システムにおける補助器具制御
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20220207BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J3/00 Z
(21)【出願番号】P 2018568357
(86)(22)【出願日】2017-07-14
(86)【国際出願番号】 US2017042228
(87)【国際公開番号】W WO2018013979
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-06-30
(32)【優先日】2016-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ディオライティ,ニコラ
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-328016(JP,A)
【文献】特表2013-510671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0185098(US,A1)
【文献】特表2010-524548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00
A61B 34/35
B25J 9/16 - B25J 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作システムであって、当該遠隔操作システムは、
器具作業空間内で移動可能な器具を支持するように構成された第1のマニピュレータであって、前記器具は器具基準フレームを有する、第1のマニピュレータと、
オペレータから複数の移動コマンドを受け取るように構成されたオペレータ入力装置と、
制御システムと、を有しており、
該制御システムは、
前記器具
の先端部の長手方向軸線の向きを前記器具作業空間の視野の向きと比較して向きの比較結果を生成すること、
前記向きの比較結果が向きの基準セットを満たさない場合に、移動コマンドに応答して、前記器具基準フレームに対して第1の方向に器具を移動させること、
及び
前記向きの比較結果が前記向きの基準セットを満たす場合に、前記移動コマンドに応答して、前記器具基準フレームに対して前記第1の方向とは異なる第2の方向に器具を移動させること、により、前記複数の移動コマンドを実行するように構成される、
遠隔操作システム。
【請求項2】
前記向きの比較結果は向きの差を含み、前記向きの基準セットは、向きの差閾値を超える前記向きの差を含む、請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記向きの基準セットは、メモリに記憶された、前記第1のマニピュレータが補助プラットフォームに関連付けられることを示す指標を含む、請求項1又は2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記制御システムは、
前記向きの比較結果が前記向きの基準セットを満たさないことに応じて、前記移動コマンドに応答して、前記器具基準フレームに対して第3の方向に器具を移動させること、
前記向きの比較結果が前記向きの基準セットを満たすことに応じて、前記移動コマンドに応答して、前記器具基準フレームに対して前記第3の方向と異なる第4の方向に器具を移動させること、により前記移動コマンドを実行するようにさらに構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記視野を提供するように構成された撮像センサを支持するように構成された第2のマニピュレータをさらに含み、
前記第1のマニピュレータは第1のベースによって支持され、
前記第2のマニピュレータは第2のベースによって支持され、
前記第1及び第2のベースは、物理的に分離しており、且つ互いに対して移動可能である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記第1のベースは、医療用テーブルに取り付けるように構成される、請求項5に記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記制御システムは、前記第1のマニピュレータが補助プラットフォームマニピュレータであることを検出することにより前記移動コマンドを実行するようにさらに構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
前記制御システムは、前記移動コマンドの1つ又は複数の方向成分を変更することにより前記移動コマンドを実行するようにさらに構成される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項9】
前記移動コマンドの前記1つ又は複数の方向成分を変更することは、前記移動コマンドの前記1つ又は複数の方向成分を反転させることを含む、請求項8に記載の遠隔操作システム。
【請求項10】
前記オペレータ入力装置は、人間工学的オフセットによって前記器具基準フレーム内の前記器具の先端部と整列される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項11】
前記器具作業空間内で移動可能な前記器具は、手術部位内で移動可能な医療器具である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項12】
前記第1の方向は、前記第2の方向の反転である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項13】
前記器具の向きを前記作業空間の前記視野の向きと比較することは、
前記第1のマニピュレータの向きを前記器具の向きとして使用すること、
前記第1のマニピュレータの向きを、前記作業空間の前記視野を提供する撮像システムを支持する別のマニピュレータの向きと比較することとを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項14】
前記器具の向きを前記作業空間の前記視野の向きと比較することは、前記器具の前記向きを特徴付ける軸線と前記視野の向きを特徴付ける軸線との間の角度を決定することを含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項15】
遠隔操作システムを制御する方法であって、当該方法は、
移動可能な器具を受容するように構成されたマニピュレータアーム
の先端部の長手方向軸線の向きを作業空間の視野の向きと比較して向きの比較結果を生成するステップと、
該向きの比較結果が向きの基準セットを満たさない場合に、移動コマンドに応答して、器具基準フレームに対して第1の方向に器具を移動させるステップと、
前記向きの比較結果が前記向きの基準セットを満たす場合に、前記移動コマンドに応答して、前記器具基準フレームに対して
前記第1の方向とは異なる第2の方向に器具を移動させるステップと、を含
む、
方法。
【請求項16】
前記向きの比較結果は向きの差を含み、前記向きの基準セットは、向きの差閾値を超える前記向きの差を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して逆平行な成分を有する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
ロボットシステムであって、当該ロボットシステムは、
第1の入力装置を有するオペレータ入力システムと、
第1の
移動可能な器具を受容するように構成された第1のスレーブマニピュレータアームを有する第1のロボットプラットフォームであって、前記第1のスレーブマニピュレータアーム及び前記第1の
移動可能な器具は器具基準フレームを有する、第1のロボットプラットフォームと、
撮像システムを受容するように構成された第2のスレーブマニピュレータアームを有する第2のロボットプラットフォームであって、前記撮像システムは撮像基準フレームを提供する、第2のロボットプラットフォームと、
前記第1の入力装置を介して前記撮像基準フレームに対する第1の移動方向を示す複数の移動コマンドを受信する制御システムと、を含み、
前記制御システムは、
前記器具基準フレーム内の前記第1の
移動可能な器具
の先端部の長手方向軸線の向きを前記撮像基準フレーム内の前記撮像システムの向きと比較し、
前記受信した移動コマンドに適用するマッピングを決定して、前記第1の
移動可能な器具のための実行可能な移動コマンドを生成し、
該移動コマンドに応答して、前記器具基準フレームに対して第1の方向とは異なる第2の方向に器具を移動させることにより、前記受信した複数の移動コマンドを前記第1及び第2のロボットプラットフォームのプラットフォーム上で実行する、
ロボットシステム。
【請求項19】
前記第1のロボットプラットフォームは第1のベースを含み、前記第2のロボットプラットフォームは第2のベースを含み、前記第1のベースは前記第2のベースから分離しており、且つ該第2のベースに対して移動可能である、請求項18に記載のロボットシステム。
【請求項20】
前記ロボットシステムは、医療用ロボットシステムであり、前記第1の
移動可能な器具は、組織プローブを含む、請求項18又は19に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、2016年7月14日に出願された、”Secondary Platform Instrument Control in a Computer-Assisted
Teleoperated Surgical System”という表題の米国仮特許出願第62/362,355号について優先権及び出願日の利益を主張するものであり、この文献は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本開示は、2つ以上の遠隔操作マニピュレータを制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
低侵襲性医療技術は、医療処置中に損傷を受ける組織の量を減らし、それにより患者の回復時間、不快感、及び有害な副作用を低減させることを意図している。このような低侵襲性技術は、患者の解剖学的構造における自然オリフィスを介して、或いは1つ又は複数の外科的切開部を介して実施され得る。これらの自然オリフィス又は切開部を介して、医師又は他のスタッフは、低侵襲性医療器具(手術用、診断用、治療用、又は生検用器具を含む)を挿入して標的組織部位に到達させることができる。オペレータによる制御を容易にするために、医療器具を直観的に制御する技術が使用されてきた。しかしながら、所与の処置に多数の器具が関与している、及び/又は多数の器具が既知の構成で互いに結合されていないため、全ての器具の制御がより複雑になる。これは、複数のマニピュレータが特定の観点から制御される産業用途等の非医学的状況においても同様である。
【0004】
従って、互いに対して可変構成の複数の器具を制御可能にする制御システム及び方法を提供することが有利となろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、明細書に続く特許請求の範囲によって最もよく要約される。
【0006】
いくつかの実施形態と一致して、1つの一般的な態様は、遠隔操作システムを含む。この遠隔操作システムは、器具作業空間内で移動可能な器具を支持するように構成された第1のマニピュレータであって、器具は器具基準フレームを有する、第1のマニピュレータと、オペレータから複数の移動コマンドを受け取るように構成されたオペレータ入力装置と、複数の移動コマンドを実行するように構成された制御システムと、を含む。遠隔操作システムの制御システムは、器具の向きを器具作業空間の視野の向きと比較して向きの比較結果を生成することにより、複数の移動コマンドを実行する。向きの比較結果が向きの基準セットを満たさない場合に、制御システムは、移動コマンドに応答して、器具基準フレームに対して第1の方向に器具を移動させる。向きの比較結果が向きの基準セットを満たす場合に、制御システムは、移動コマンドに応答して、器具基準フレームに対して第2の方向に器具を移動させ、第2の方向は第1の方向とは異なる。
【0007】
他の実施形態と一致して、別の一般的な態様は、遠隔操作システムを制御する方法を含む。この方法は、器具を受容するように構成されたマニピュレータアームの向きを作業空間の視野の向きと比較して向きの比較結果を生成するステップを含む。向きの比較結果が向きの基準セットを満たさない場合に、この方法は、移動コマンドに応答して、器具基準フレームに対して第1の方向に器具を移動させるステップを含む。向きの比較結果が向きの基準セットを満たす場合に、この方法は、移動コマンドに応答して、器具基準フレームに対して第2の方向に器具を移動させるステップを含み、第2の方向は第1の方向とは異なる。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、及び1つ又は複数のコンピュータ記憶装置に記録されたコンピュータプログラムを含み、それぞれが方法の動作を実行するように構成される。
【0008】
他の実施形態と一致して、別の一般的な態様は、ロボットシステムを含む。ロボットシステムは、第1の入力装置を有するオペレータ入力システムと、第1の器具を受容するように構成された第1のスレーブマニピュレータアームを有する第1のロボットプラットフォームとを含む。第1のスレーブマニピュレータアーム及び第1の器具は、少なくとも1つの基準フレームを有する。ロボットシステムはまた、撮像システムを受容するように構成された第2のスレーブマニピュレータアームを有する第2のロボットプラットフォームであって、撮像システムは撮像基準フレームを提供する、第2のロボットプラットフォームと、第1の入力装置を介して移動コマンドを受信する制御システムとを含む。受信した移動コマンドは、撮像基準フレームに対する第1の移動方向を示す。制御システムは、器具基準フレーム内の第1の器具の向きを撮像基準フレーム内の撮像システムの向きと比較し;受信した移動コマンドに適用するためのマッピングを決定して、第1の器具のための実行可能な移動コマンドを生成し;移動コマンドに応答して、器具基準フレームに対して第1の方向とは異なる第2の方向に器具を移動させることにより、受信した移動コマンドを第1及び第2のロボットプラットフォームのうちのプラットフォーム上で実行する。
【0009】
前述した一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも、本質的に例示的且つ説明的なものであり、本開示の範囲を限定することなく本開示の理解を与えることを意図していることを理解されたい。その点で、本開示の追加の態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のいくつかの態様による、コンピュータ支援遠隔操作システムの一般的なシステム要素を示す概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの他の態様による、
図1の遠隔操作システム等のコンピュータ支援遠隔操作システムを制御するためのオペレータコンソールの正面図である。
【
図3A】本開示の実施形態による例示的な遠隔操作アセンブリの態様の正面図である。
【
図3B】本開示のいくつかの態様による医療装置の束状ユニットの先端部の簡略図である。
【
図3C】本開示のいくつかの態様による
図3Aの遠隔操作アセンブリの斜視図である。
【
図3D】本開示のいくつかの態様による、複数のマニピュレータアームを有する例示的な遠隔操作アセンブリの斜視図である。
【
図3E】本開示のいくつかの態様による、2つのプラットフォームを含むコンピュータ支援遠隔操作医療システムの斜視図である。
【
図3F】本開示のいくつかの他の態様による、2つのプラットフォームを含む別のコンピュータ支援遠隔操作医療システムの斜視図である。
【
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、システムのオペレータ側からのいくつかのシステム要素及び関連する基準フレームの概略図である。
【
図4B】本開示のいくつかの実施形態による、システムの器具側からのいくつかのシステム要素及び関連する基準フレームの概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの他の態様による、撮像システム、2つの主要プラットフォーム器具、及び補助プラットフォーム器具の配置を示す図である。
【
図6】本開示のいくつかの他の態様による、撮像システム器具の先端部分、補助プラットフォーム器具の先端部、及び2つの主要プラットフォーム器具の先端部、補助プラットフォーム器具の基準フレームの斜視図である。
【
図7A】本開示のいくつかの他の態様による、補助プラットフォーム器具の制御信号を生成する方法のフローチャートである。
【
図7B】本開示のいくつかの他の態様による、補助プラットフォーム器具の制御信号を生成するための別の方法のフローチャートである。
【
図8A】本開示のいくつかの他の態様による、2つの主要プラットフォーム器具が示され、且つ補助プラットフォーム器具の先端チップが示されている、オペレータのための表示画像のフォームの概略図である。
【
図8B】本開示のいくつかの他の態様による、2つの主要プラットフォーム器具の先端部及び補助プラットフォーム器具の先端部の概略図である。
【
図9A】本開示のいくつかの他の態様による、カメラ基準フレームと補助プラットフォーム基準フレームとの両方における補助プラットフォーム器具の動きを示す対応する図である。
【
図9B】本開示のいくつかの他の態様による、カメラ基準フレームと補助プラットフォーム基準フレームとの両方における補助プラットフォーム器具の動きを示す対応する図である。
【
図10A】本開示のいくつかの他の態様による、カメラ基準フレームと補助プラットフォーム基準フレームとの両方における補助プラットフォーム器具の動きを示す対応する図である。
【
図10B】本開示のいくつかの他の態様による、カメラ基準フレームと補助プラットフォーム基準フレームとの両方における補助プラットフォーム器具の動きを示す対応する図である。
【
図11A】本開示のいくつかの他の態様による、カメラ基準フレームと補助プラットフォーム基準フレームとの両方における補助プラットフォーム器具の動きを示す対応する図である。
【
図11B】本開示のいくつかの他の態様による、カメラ基準フレームと補助プラットフォーム基準フレームとの両方における補助プラットフォーム器具の動きを示す対応する図である。
【
図12】本開示のいくつかの他の態様による、調整モードにおける補助プラットフォーム器具の一般的な動作方法を示すフローチャートである。
【
図13】本開示のいくつかの他の態様による、再位置付けモードにおける補助プラットフォーム器具の一般的な動作方法を示すフローチャートである。
【
図14】本開示のいくつかの他の態様による、ハイブリッドカメラ制御及び補助プラットフォーム器具制御モードにおける一般的な動作方法を示すフローチャートである。
【
図15】本開示のいくつかの他の態様による、補助プラットフォーム器具の動作の衝突回避態様の一般的な動作方法を示すフローチャートである。
【
図16】本開示のいくつかの他の態様による、複数の制御コンソールで複数のオペレータによって補助プラットフォーム器具を制御する方法を示すフローチャートである。
【
図17】本開示のいくつかの他の態様による、動作の調整及び再配置モードの方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態及びその利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。1つ又は複数の図面に示される同様の要素を識別するために同様の参照符号が使用されており、その図面の中の表示は、本開示の実施形態を説明する目的のためであり、本開示の実施形態を限定する目的のためではないことを理解されたい。
【0012】
以下の説明では、本開示に一致するいくつかの実施形態を説明する特定の詳細について記載する。実施形態の完全な理解を与えるために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者には、いくつかの実施形態が、これらの特定の詳細の一部又は全てが無くても実施し得ることは明らかであろう。本明細書に開示される特定の実施形態は、例示的なものであって限定するものではない。当業者であれば、ここで具体的には説明していないが、本開示の精神及び範囲内にある他の要素を実現し得る。さらに、不必要な繰返しを避けるために、一実施形態に関連して示し説明した1つ又は複数の特徴は、特に他に断らない限り、又は1つ又は複数の特徴によって実施形態が機能しなくなる場合を除いて、他の実施形態に組み込むことができる。
【0013】
いくつかの例において、周知の方法、手順、構成要素、及び回路は、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、詳細に説明していない。
【0014】
本開示は、様々な器具及び器具の部分を、三次元空間におけるそれら器具及び器具の部分の位置、向き、及び/又は向きに関して説明する。本明細書で使用される場合に、用語「位置」は、3次元空間(例えば、デカルトX、Y、及びZ座標に沿った3つの並進自由度)における物体又は物体の部分の位置を指す。本明細書で使用される場合に、用語「向き(orientation)」は、物体又は物体の部分の回転配置(3つの回転自由度、例えば、ロール、ピッチ、及びヨー)を指す。本明細書で使用される場合に、用語「姿勢(pose)」は、物体又は物体の部分の少なくとも1つの並進自由度における位置、及び物体又は物体の部分の少なくとも1つの回転自由度における向きを指す(最大6つの自由度)。
【0015】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、主として医療処置に関して議論されるが、医療用又は手術用器具及び医療方法又は手術方法への言及は非限定的である。本明細書で説明するシステム、器具、及び方法は、動物、ヒトの死体、動物の死体、ヒト又は動物の解剖学的構造から取り除かれ、ヒト又は動物の解剖学的構造に戻されることのないヒト又は動物の組織、非外科的処置、診断、又は美容分野の改良等に使用することができる。本明細書で説明するシステム、器具、及び方法は、ヒトの又は動物の組織を含まないワークピース(work piece;作業対象物)を操作する又はそのワークピースと相互作用させるためのものを含む、産業システム及び汎用ロボット又は遠隔操作システムにも使用することができる。
【0016】
図1は、コンピュータ支援遠隔操作システム100の一般的なシステム要素を示す概略図である。示されるように、システムは、第1の器具を移動及び制御する主要(primary)スレーブマニピュレータ104と、第2の器具を移動及び制御する外部スレーブマニピュレータ106とを含む。このようなマニピュレータは、アーム又はマニピュレータアームとも呼ばれる。医療システムとして実施される場合に、システム100の器具は、医療器具と称され得る。システム100は、制御システム110と、オペレータからの入力を受け取る少なくとも1つの入力装置102(「マスターツールマニピュレータ」、「MTM」、「マスター入力装置」又は「マスター装置」と呼ばれることもある)とを含む。制御システム110は、入力を電子信号として受信し、制御システム110によってスレーブマニピュレータ104及び106並びに任意の関連する器具を移動及び制御させるために実施される対応する移動コマンドを生成する。このシステムは、医療現場における外科部位等の手術部位又は作業部位のビデオ画像を取り込む画像取込みシステム108を含む。画像取込みシステム108は、撮像システムスレーブマニピュレータと、CCD又はCMOS又は超音波又は透視撮像センサ等の撮像センサを含むカメラ器具とを含み、カメラ器具は、カメラ器具によって提供される視野を変更するために、撮像システムスレーブマニピュレータによって移動及び操作される。
【0017】
上述したように、主要及び外部スレーブマニピュレータ、及び画像取込みシステムマニピュレータ及びカメラ器具の動きは、遠隔操作制御下で、入力装置102の一部又は全部の動きに対応する。1つ又は複数の手持ちの又は手で把持された入力制御装置は、入力装置102によって、オペレータ(例えば、外科医、臨床医、又は医師)が遠隔操作スレーブマニピュレータ104及び106を制御し、いくつかの実施形態では作業部位を見ることを可能にし得る。
【0018】
入力装置102は、無線で通信する、繋がれていない遠隔操作型装置であってもよい。あるいはまた、入力装置102は、1つ又は複数のケーブルで電気的に繋がれ、1つ又は複数の機械的リンク又は他の構造を介して機械的に繋がれ、或いは電気的及び機械的の両方で繋がれる制御装置であってもよい。入力装置102は、無線で且つ自らの電力の下で動作可能であるとともに、電気ケーブル又は機械的構造に取り付けられ得る入力装置となるように、必要に応じて繋がれ得る。特定の例として、入力装置102は、オペレータのコンソールに、又はオペレータのコンソールの一部として配置することができる。入力装置102を提供することができる、1つ又は複数の関連する入力機構を含むオペレータコンソール200(オペレータコンソールが主に外科医によって使用される場合には「外科医コンソール」と呼ばれることもある)の例が、
図2に含まれる。
【0019】
図2は、カリフォルニア州サニーベール(Sunnyvale)のIntuitive Surgical. Inc.によって市販されているda Vinci(登録商標)手術システムの「外科医」コンソールと同様のオペレータコンソール200の正面図である。マスター制御コンソールにおいて、オペレータは、画像取込みシステム108によって取り込まれたビデオ画像を見る。ビデオは、表示システム202に表示することができ、表示システム202は、示されるように、操作中にオペレータの目と整列する2つの別個のビューア又はディスプレイを含む。表示システム202は、画像取込みシステム108からの立体視を提供して、オペレータが画像取込みシステム108の視野を3次元で知覚するのを可能にする。画像取込みシステム108からの3次元ビューは、例えば環境内の構造体を操作することによって、オペレータが表示システム202に示される環境とより良く対話するのを可能にする。他の実施形態では、表示システム202として他の表示システム構成を使用してもよい。
【0020】
オペレータコンソール200は、1つ又は複数の入力装置204を含む(2つが入力装置204A及び入力装置204Bとして示されている)。例示的な入力装置204は、それぞれ、オペレータの手の少なくとも2本の指によって位置付けされるように構成されたシャフトを含み得る。入力装置204は、運動学的リンク機構によってコンソール200に結合され得る。オペレータがオペレータコンソール200によって許容される動作範囲内で入力装置204を動かすと、制御システム110は、スレーブマニピュレータ104及び106を制御して対応する動きを行わせるために使用され得るコマンドとして動きを解釈する。さらに、入力装置204は、回転関節(joint)によって一緒に連結された複数のリンク部材を含み、各関節は、少なくとも1つのエンコーダを有する。同様に、シャフト206は、追加の入力手段を提供するために、入力装置204に回転可能に結合され得る。例えば、シャフト206A又は206Bの1つを回転させると、スレーブマニピュレータ104又は106の1つに配置されるか又はスレーブマニピュレータ104又は106の1つに組み込まれる器具エンドエフェクタの対応する回転運動を生じさせ得る。いくつかの実施形態では、シャフト206の回転によって、他の動作を生じ得る。いくつかの実施形態では、シャフト206は、ボタン又は他の入力手段を含んでもよい。
【0021】
入力装置204の実施形態は、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガガン、手動操作制御装置、音声認識装置、身体動作又は存在センサ等の任意数の様々な入力装置を含む、及び/又はさらに含み得る。マニピュレータ104,106を直接的に制御する強い感覚をオペレータに与えるために、入力装置には、関連するマニピュレータ104,106と同じ自由度が与えられ得る。このように、入力装置は、テレプレゼンス、すなわち入力装置(例えば入力装置204が)スレーブマニピュレータ104及び106と一体的であるという知覚をオペレータに与える。いくつかの実施形態では、入力装置204は、関連するスレーブマニピュレータ104又は106よりも多い又は少ない自由度を有してもよく、依然としてテレプレゼンスをオペレータに提供する。いくつかの実施形態では、入力装置は、オプションで、6自由度で動く手動入力装置であってもよく、(例えば、顎部を閉じて把持し、電位を電極に印加し、医薬的処置を送達する等のための)器具を作動させるための作動可能なハンドルを含んでもよい。
【0022】
入力装置204の位置並びに入力装置204及びシャフト206の向きの変化は、制御システム110によって解釈され、その変化を使用して、移動コマンドが生成され得る。制御システム110は、そのようなコマンドを実行して、入力装置204を介してオペレータが指示したようにスレーブマニピュレータ104,106を移動させることができる。オペレータコンソール200は、制御システム110の全部又は一部を含んでもよく、制御システム110は、他の場所に配置してもよい。制御システム110は、1つ又は複数の処理装置と、1つ又は複数の処理装置によって実行及び処理され得るプログラム命令及びデータを記憶するメモリとを含む。オペレータコンソール200は、オプションとして、1つ又は複数のフットペダル(
図2には7つが示されている)と、アームレスト上又は指で把持された個々のマスターマニピュレータ上のスイッチ等の他のユーザ入力機構とを含む。
【0023】
本明細書で議論されるように、本開示のいくつかの態様では、画像取込みシステム108のカメラ器具の視野は、作業部位に向けられ、補助(secondary)器具(主要プラットフォームによって制御又は補助プラットフォームによって制御され得る)は、挿入方向が画像取込みシステム108の方に向くように向き合せされる。一実施態様では、カメラ器具に向けて挿入される補助器具は、補助器具がカメラ器具の視野の中心軸線に沿った視野方向(「視線」とも呼ばれる)に対して逆平行の成分の挿入方向を有することを意味する。別の実施態様では、カメラ器具に向けて挿入される補助器具は、補助器具がカメラ器具の視野の中心軸線に沿った視線方向に対して逆平行の特定の大きさの成分(閾値の大きさより大きい)を有することを意味し、この大きさは、(1)カメラ器具の視野の中心軸線に対して逆平行の成分と、(2)カメラ器具の視野の中心軸線に対して垂直な成分との比として正規化することができる。
【0024】
いくつかの実施態様では、カメラ器具に向けて挿入される補助器具は、補助器具がカメラ器具の視線方向に対してある量の角度差を伴う挿入方向を有する。例えば、いくつかの実施態様では、角度差が90°、120°、135°等以上である場合に、補助器具は、カメラ器具に向いた挿入方向を有するものとして特定される。
【0025】
いくつかの実施形態では、カメラ器具及び補助器具のチップは、これらの器具のチップ同士の間で平面が想定できるように位置付けされ得、その平面は、カメラ器具の視野の中心軸線に対して垂直である。この平面に関して、相対的な挿入方向を考えるべきことは、カメラ器具が平面の一方の側に位置し、補助アームによって制御される補助器具が平面の反対側の操作部位に入ることである。
【0026】
図3Aは、遠隔操作アームアセンブリ300Aと呼ばれるスレーブマニピュレータ104及び/又は106のいくつかの実施形態の簡略化された側面図である(必ずしも又は完全に縮尺通りではない)。遠隔操作アームアセンブリ300Aは、医療装置の束状(bundled)ユニット301を保持するものとして示されている。次に、束状ユニット301は、切開部及びツールガイドを介して患者Pに挿入され得る。遠隔操作アセンブリ300Aは、ベースBによって機械的に支持される。リンク302A及び302B(一般に、リンク302)は、水平方向セットアップ関節304A及び304B(一般に、セットアップ関節304)を介して一緒にベースBに結合される。図示された例におけるセットアップ関節304は、そのブレーキが解除されたときにアセンブリ300Aの手動位置付けを可能にする受動関節である。他の実施形態では、それらセットアップ関節304は、オペレータの入力を介して制御され得る能動関節であってもよい。示されるように、セットアップ関節304Aによって、リンク302Aを軸線306Aの周りで手動回転させることができ、セットアップ関節304Bによって、リンク302Bを軸線306Bの周りで手動回転させることができる。この例では、2つのリンク及び2つのセットアップ関節のみが示されているが、本発明に関連して、この及び他の遠隔操作アームアセンブリにおいて、より多い又は少ないリンク及びセットアップ関節を適宜使用してもよい。
【0027】
遠隔操作アームアセンブリ300Aは、モータによって駆動される2つの能動関節及び伝達システム(複数のギヤ又はプーリ又はケーブル又はベルト又は他の伝達要素を含み得る)も含む。ヨー関節308によって、アーム部分310(複数のアームセグメントのリンク機構を含み得る)が軸線206Cの周りに回転することができ、ピッチ関節312によって、アーム部分310が軸線306Cに対して垂直で、図面の平面に対して直交する軸線の周りに回転することができる。インターフェイス314は、キャリッジ316上の嵌合部品と、器具320A及び320B(ツール320A及び320Bとも呼ばれ、一般に器具320と呼ばれる)及び画像取込みシステム322を従来の関節、ケーブル、及びプーリシステムを介して作動させるモータ駆動ギヤ等の束状ユニット301の基端部とを含む。さらに、束状ユニット301は、アーム部分230上のキャリッジ318に結合され、このキャリッジ318は、次に、束状ユニット301をその挿入軸線306Dに沿って伸縮させるための直線駆動機構に結合される。
【0028】
ヨー関節308、ピッチ関節312、及びキャリッジ318のモータ駆動ギヤの各々は、個々の関節又はギヤ制御装置によって制御され得るが、制御装置は、束状ユニット301の装置が、
図2の複数の入力装置204の一方又は両方等の関連する制御装置のオペレータ操作によって制御され得るように、共通のマスター/スレーブ制御システムによって制御され得る。
【0029】
ここで
図3Bを参照すると、束状ユニット301の先端部の斜視図が示されている。示されるように、束状ユニット301は、医療処置を行うための取外し可能な医療器具である器具320と、患者内の手術部位の処置を見るための取外し可能な画像取込みシステム322とを含む。器具320及び画像取込みシステム322のそれぞれが、束状ユニット300の内側コアに形成された別個の管腔を通って延びる。次に、医療処置を行うための準備中又は準備する際に複数の器具320の一方又は両方を取り替えることは、その管腔からもはや必要なくなったツールを取り外し、代替ツールを空いた管腔内に挿入することによって、代替ツール又は器具に置き換えることによって達成することができる。あるいはまた、使用されていない管腔が利用可能である場合に、既に配置されている他の器具を取り外すことなく、利用可能な管腔の1つを介して追加のツールを挿入することができる。
【0030】
図3Bに示されるように、画像取込みシステム322は、手術部位の3次元イメージングのための一対の立体視カメラ324A及び324B(及び/又は単一の単眼又は両眼カメラ)と、発光ダイオード(LED)又は外部光源からの光を伝達する光ファイバー束等であって、取り込まれた画像内の物体の視認性を高めるための照明装置326とを含む。手術又は診断目的のために解剖学的構造等の構造体内を「見る」ために、超音波プローブ又は別の光学式カメラ等の補助画像取込みユニットを、束状ユニット301の利用可能な管腔に設けることもできる。
【0031】
いくつかの実施形態では、オーバーチューブ328もまた、その内部コア及びそのオーバーチューブを通して挿入される医療装置(すなわち、手術ツール及び画像取込みユニット)を保護するために、束状ユニット301に含められる。オーバーチューブ328は硬質であってもよい。あるいはまた、束状ユニット301が患者の体内の手術部位にそのオーバーチューブを通して移動する際にその束状ユニット301が患者の体内管腔の形状に従うように、オーバーチューブは、可撓性材料から形成してもよく、能動的及び/又は受動的に屈曲可能な部分を含んでもよい。
【0032】
複数の器具320は、それぞれ、制御可能、伸長可能、回転可能、且つ屈曲可能なシャフトを有し、これらのシャフトに、それぞれのエンドエフェクタ330A及び330Bが手首機構332A及び332Bによってそれぞれ結合される。図示の実施形態では、器具320Bのシャフトは、先端側関節によって結合された3つのリンクを含む。3つのリンクのうちの最も基端側のリンク(「基端側の第1のリンク」)は、束状ユニット301の挿入軸線306Dに対して平行であり得る挿入軸線に沿って伸縮可能に制御され、且つ挿入軸線の周りに回転可能に制御される。一方、中間の第2のリンクは、基端側の第1のリンクに対する先端側関節によって屈曲可能に制御でき、最も先端側のリンク(「先端側の第3のリンク」)は、第1及び第2のリンクに結合され、且つ先端側関節によって屈曲可能であり、それによって、その曲げ角度が中間の第2のリンクのその角度とは反対の方向にあり、その結果、先端側の第3のリンク及び基端側の第1のリンクを平行に整列させる。
【0033】
器具320Aのシャフトは、器具320Bのシャフトと同様に構成される。手首機構332A及び332Bの一例の更なる詳細は、共同所有の米国特許第6,817,974号”Surgical Tool Having Positively Positionable Tendon-Actuated
Multi-Disk Wrist Joint”に記載されている。
【0034】
画像取込みシステム322はまた、制御可能、伸長可能、回転可能、且つ屈曲可能なシャフトを有してもよく、このシャフトは、画像取込みシステム322のその挿入軸線(束状ユニット301の挿入軸線に対して平行になり得る)に沿った少なくとも挿入/引き戻しを容易にし、且つ器具320の「上」で画像取込みシステム322の十分な高さを達成し、それにより外科的処置中にそれら器具を適切に見るようなピッチ運動を容易にする。画像取込みシステム322の追加の位置付け及び向合せ機能を容易にするために、画像取込みシステム322のその挿入軸線周りのロール角運動等の更なる自由度を与えてもよい。操縦性を高めるために、画像取込みシステムのシャフト322は、器具320の制御可能、屈曲可能、回転可能、且つ伸長可能なシャフトのように、屈曲可能であってもよい。
【0035】
図3Cは、本発明のいくつかの態様による遠隔操作システム300Cの一実施形態の斜視図である。
図3Cに示される実施形態は、本明細書に開示されるような解除機構を含み得る、交換可能な医療器具340を含むシステム300Cの例を示す。例えば、Intuitive Surgical, Inc.によって市販されているda Vinci(登録商標)手術システムを含むシステム300Cは、複数の手術用器具340を使用し、その各手術用器具は、ロボットシステム346のマニピュレータアーム344上の器具マウント342に取り付けられる。ドレープアダプタ及び器具アダプタを含む滅菌バリア(
図3Cには図示せず)が、医療用途において患者(図示せず)とロボットシステム346との間にあってもよい。器具340は、構造及び目的が様々であってもよいが、依然として交換可能であり得るので、ユーザは、特定の医療処置について必要に応じて、様々な器具340を選択してロボットシステム346の器具マウント342に取り付けることができ、且つ医療処置中に器具340を交換して所望の臨床機能を提供することができる。各器具340は、一般に、エンドエフェクタ又は先端ツールチップ、器具シャフト、及びバックエンドを含む。本明細書で説明するように、異なる器具340は、多くの異なる形状又はサイズを有してよく、いくつかの可能性を示すと、鉗子、把持器、メス、はさみ、焼灼ツール又は切除ツール、又は針ドライバーを含んでもよい。異なる先端ツールチップを有する器具340は、ロボットシステム346の異なるマニピュレータアーム344に取り付けてもよく、同じ作業部位で協働してもよい。視覚情報、特に器具340の先端チップが動作している作業部位の画像を提供するために、内視鏡カメラ、例えば立体カメラをマニピュレータアームに取り付けてもよい。ロボットシステム346の器具マウント342は、アクチュエータをインターフェイス機構を介して器具340の入力部に接続する駆動カップリングを介して器具340の機械的構造を作動させる機械的動力を与える駆動モータ等のアクチュエータを含むことができる。
【0036】
図3Dは、遠隔操作アセンブリ300Dの別の実施形態を示しており、このアセンブリ300Dは、ベースから延びるカラムによって支持された複数のマニピュレータアームを含む。アセンブリ300Dは、突き出たマニピュレータアームを支持する自動化及び電動化されたセットアップ構造を含み、且つ床に載置されるベース350と、ベースに取り付けられた伸縮式の支持カラム352と、支持カラムから伸びる伸縮式ブーム354と、向合せプラットフォーム356としての向合せ部分とを含み得る。アセンブリ300Dはまた、支持ビーム358と、
図1の画像取込みシステム108の一部を含む手術ツールを支持するいくつかのマニピュレータアーム360とを含む。
図3Cに示されるように、マニピュレータアーム360A、360B、360C、360Dは、組織を操作するために使用される医療器具等の器具を支持して移動させる器具アームである。これらのマニピュレータアーム360のうちの1つは、カメラ器具を支持し移動させるカメラアームとして指定され得る。カメラシステムは、手術部位の立体画像を取り込み、
図2の表示システム202に別個の立体画像を提供するための立体内視鏡であってもよい。撮像システムの他の実施態様について本明細書で説明する。
【0037】
知識のある人は、器具及びカメラを支持するマニピュレータアームが、天井又は壁に取り付けられたプラットフォーム(固定式又は可動式)等のベース350又は別のベースによって、又はいくつかの場合には手術室(例えば、手術台)の機器の別の部品に支持してもよいことを理解するであろう。同様に、知識のある人は、2つ以上の物理的に別個のベース(例えば、1つのベースが1つのアームを支持する)を使用してもよいことを理解するであろう。
【0038】
図3E及び3Fは、異なるプラットフォームを有するマニピュレータアセンブリの実施形態を示す。
図3Eは、患者と相互作用する2つの主要な構成要素(プラットフォーム)を含むコンピュータ支援遠隔操作医療システム370の斜視図である。システム370は、
図3Aのアセンブリ300A、
図3Cのシステム300C、又は
図3Dのアセンブリ300Dのようないくつかの医療器具及びカメラ器具を含む、遠隔操作式の主要プラットフォーム372(遠隔操作式の主要アセンブリ372とも呼ばれる)を含む。明確にするために、
図3Eは、プラットフォーム372として
図3Cのシステム300Cの描写を含み、このプラットフォーム372は単一のマニピュレータアームを含む。しかしながら、他の実施形態は、
図3Dのアセンブリ300Dのように、追加のマニピュレータアームを含んでもよい。これらのマニピュレータアームは、それぞれ、複数の入力装置204(
図2)のうちの1つ等の関連するマニピュレータによって個別に操作され、テーブルT上に位置付けされた患者Pの作業部位で医療作業を行うことができる。2006年12月20日に出願された米国特許第7,955,322号(”Wireless Communication in a Robotic Surgical System”という表題)は、遠隔操作式の主要プラットフォームのいくつかの例を示しており、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
システム370はまた、1つ又は複数の器具を含み得る遠隔操作式の補助プラットフォーム374を含み、各器具は、複数の入力装置204(
図2)のうちの1つ等の関連するマニピュレータによって個別に操作される。使用時には、遠隔操作式手術の補助プラットフォーム374は、1つ又は複数の器具を手術部位で制御する。遠隔操作式の補助プラットフォーム374は、オプションで、遠隔操作式の主要プラットフォーム372の外部にあると参照される。示されるように、主要プラットフォーム及び補助プラットフォームの各々は、ベースB1及びベースB2のような個々のベースに取り付けられる。いくつかの実施形態では、アセンブリ又はプラットフォームは、手術室又は他の作業環境内に独立して位置付けできるように、可動式カートを含むか、又は別個に可動式カートに取り付けてもよい。しかしながら、他のオプションの実施態様では、補助プラットフォームは、機械的な箇所(例えば、床、天井、又は壁)に恒久的に固定されるか、手術台に恒久的に又は取り外し可能に取り付けられるか、或いは主要プラットフォームに恒久的に又は取り外し可能に取り付けられる等の様々な方法で配置され得る。
【0040】
別の例として、
図3Fは、コンピュータ支援遠隔操作システム380の別の実施形態の斜視図である。テーブル面を有する車輪付きテーブルTがテーブルベース上に位置付けされる。テーブル面は、患者P等のワークピース又は他の用途では人間以外のワークピースを支持するために使用することができる。
図3Fに示される例では、2つのスレーブマニピュレータアーム382A及び382Bが、患者P上で動作するように位置付けされる。アーム382A及び382Bは、テーブルレール386に沿って複数の異なる位置に取り外し可能に及び再位置付け可能に取り付けられ得るアームプラットフォーム384A及び384Bによって支持される。動作中に、制御可能なアーム382A及び382Bは、ツール及び器具を位置付けするように駆動される。例えば、器具388Aは撮像システムであってもよく、器具388Bは組織を位置付けするための一対の鉗子であってもよい。いくつかの実施形態では、制御可能なアーム382A及び382Bは、遠隔操作可能であり、駆動されるとツールを再位置付け及び再向き合わせする遠隔操作可能な動力関節を含む。
【0041】
図3E及び
図3Fの両方は、1つのプラットフォーム上のマニピュレータアーム及び支持された器具(主要プラットフォーム上の主要器具)が、別のプラットフォーム上のアーム及び支持された器具(補助プラットフォーム上の補助器具)が作業部位に近づくのとは実質的に異なる側又は方向から作業部位に近づく。例えば、カメラ器具が視野を規定することができる一方で、他の器具は、視野に関連する平面の異なる側から作業部位に近づくことができる。
図2のコンソール200のような単一のコンソールを使用して異なる側からその部位に近づいているアームを制御することができるこのような構成は、オペレータに直感的な制御を与えるための問題を提起する可能性がある。
【0042】
図4A及び
図4Bは、いくつかのシステム要素及び関連するデカルト座標系の概略図である。
図4Aは、システムのオペレータ側からの部分を示す。
図4Bは、システムの器具側からの部分を示す。座標系(frames of reference)は、大抵の場合「基準フレーム(reference
frame)」と呼ばれる。また、本明細書で議論するような座標系を使用して、異なる向き、位置、回転の差又は変化、及び本明細書で議論する技術に関連する並進の差及び変化を、相対的な位置及び向き、入力、及び動作コマンドを決定するための関連するマッピングと一緒に説明する。説明する技術を実施するいくつかの実施形態は、計算において、又はシステムを動作させる際に全く同じ基準フレームを使用する必要はない。例えば、基準フレームの軸線は、本開示で詳細に説明するものとは異なるように設定してもよい。また、向きのみを使用する実施態様では、基準フレームは回転するだけで、並進しない。さらに、他のシステムは、球座標系等の代替座標系を使用することができる。
【0043】
図4Bに示されるように、撮像システム402は、視野427を有する。ワークピース430及び器具404の先端部分が、視野427内に位置付けされる。この例では、器具404は、関節405及びエンドエフェクタ406を含む。基準フレーム450は、器具404のシャフトが関節405の基端側となり、器具404の挿入が基準フレーム450の+Z方向として規定されるように示される。基準フレーム450は、器具404の並進及び回転に伴って並進及び回転する。基準フレーム451は、エンドエフェクタ406についても示されており、エンドエフェクタ406と共に動く。器具404のエンドエフェクタ406が器具404のシャフトに対して動かない場合(剛性器具がシャフトとエンドエフェクタとの間に自由度を有さない場合)に、基準フレーム450及び451を、モデリング及び/又は制御のための器具404の関連部分の位置及び向きを記述する単一の基準フレームに結合させることができる。
【0044】
視野427自体は、基準フレーム452に関連付けられ、基準フレーム452は視野427と共に並進して回転する。示されるこの例では、視野427の動きは、シャフトと撮像システム402の先端部との間の関節又は他の自由度441の動きによって可能となる。こうして、
図4Bは、撮像システム402の基端側本体と並進して回転するシャフトベースの基準フレーム453も示す。視野427が撮像システム402の基端側本体に対して動かない場合であって、例えば撮像システムが視野と基端側本体との間にコンプライアンス又は他の自由度を有さないときに、基準フレーム452及び453を、モデリング及び/又は制御のために撮像システム402の関連部分(その視野427等)の位置及び向きを記述する単一の基準フレームに結合させることができる。
【0045】
器具404及び撮像システム402の物理的寸法が分かっており、それらのリンク及び関節の構成(例えば、回転関節の関節角度、直動関節の直線位置等)が(例えば、位置又は速度エンコーダ、向き又は位置又は形状センサ、直接回転センサ、モータ位置センサ等を使用して)想定又は決定される場合に、基準フレーム450又は451と器具404内の他のリンクの基準フレームとの間の運動学的関係は、よく知られた運動学的計算を用いて決定することができる。同様に、基準フレーム152又は153と撮像システム402内の他のリンクの基準フレームとの間の運動学的関係は、よく知られた運動学的計算を用いて決定することができる。エンドエフェクタ406は視野427内で動作するので、エンドエフェクタ406の基準フレーム450と視野427の基準フレーム452との間のマッピングによって、視野427内のエンドエフェクタ406を制御することができる。
【0046】
図4Aはさらに、
図2に示されるように、表示システム202を見て、マスター入力装置204を把持するオペレータを示す。表示システム202は、撮像システム402によって取り込まれた視野427の画像を提示する。いくつかの実装態様では、表示システム202は、画像の回転、パン、ズーム、又は他の操作をすることなしに、画像を取り込んだように提示する。この場合に、表示された画像と視野427の基準フレーム452との間で直接的なアイデンティティ(identity)マッピングを行うことができる。いくつかの実施態様では、表示システム202は、画像の操作されたバージョン(例えば、180°だけ回転した、視野の特定の部分にズーム及びパンした、歪曲された画像等)を提示する。この場合に、表示された画像と視野427の基準フレーム452との間のマッピングは、画像の操作に関連する変換を考慮する。操作中に、オペレータは、表示システム202上で器具404の位置及び向きの変化を見て、基準フレーム454と456との間の関係を確立する。こうして、いくつかの実施態様では、オペレータ基準フレームは、基準フレーム456及び454をリンク付けする別個のフレームである。例えば、オペレータ基準フレームは、オペレータの目、頭、胴、他の身体部分等に基づく基準フレームであってもよい。別の例として、オペレータ基準フレームは、マスター入力装置204に取り付けられたコンソールに基づく基準フレームであってもよい。いくつかの実施態様では、オペレータ基準フレームは、基準フレーム454と同列に配置され、この基準フレーム454と同一であり、本質的に基準フレーム454である。
【0047】
図4Aに示されるように、エンドエフェクタ406の画像440が表示システム202上に示される。基準フレーム454は表示システム202に関連付けられ、基準フレーム456はマスター入力装置204に関連付けられる。マスター入力装置204が3D空間内で並進及び回転すると、その関連する基準フレーム456は、オペレータ基準フレームに対して対応して並進及び回転する。マスター入力装置204のこれらの並進及び回転は、感知される又は他の方法で決定することができ、こうして、その基準フレーム456を適宜並進及び回転させることができる。
【0048】
マスター入力装置204(及びその基準フレーム456)の並進及び回転は器具404の基準フレームにマッピング(また、「変換」)され、よく知られた運動学的関係を使用してマスター入力装置204と装置との間の制御関係を提供する。
【0049】
例えば、マスター入力装置204がエンドエフェクタ406を制御している場合に、マスター入力装置204の並進及び回転は、基準フレーム456及び450並びに基準フレーム456及び450に関連する運動学的計算を使用してエンドエフェクタ406にマッピングされる。マスター入力装置204の位置又は向きが変更されると、基準フレーム456の位置又は向きを動かし、エンドエフェクタ406の位置又は向きが対応して変化し(基準フレーム450の位置又は向きを動かし)、それによってエンドエフェクタ406の動きはマスター入力装置204の動きによって制御される。
【0050】
前述したように、基準フレームの数の規定は、基準フレームの規定が内部的に一貫しており、想定される制御システムに十分である限り、制御のために使用することができる。実施態様では、デカルト座標で規定され、下付き文字「
p」で示されるオペレータの基準フレーム、-Z
pは、オペレータに向かう動きとして規定され、+Z
pはオペレータから遠ざかる方向の動きとして規定される。いくつかの例では、Z軸は、表示システム202においてオペレータに提示される視野427の視線408に従って規定され得、表示システム202内に+Z
pとして規定される。この視線及び関連する視野は、撮像システム402(
図1の撮像システム108又は
図3A~
図3Cに示されるカメラアームに取り付けられた撮像システムとすることができる)の姿勢等の構成、システムによって実行される画像操作又は選択(例えば、画像のサブセットのみを提示すること)等によって決定される。この例では、―X
pはオペレータの左に向かう動きとして規定され、+X
pはオペレータの右に向かう動きとして規定される。そして、+Y
pは、オペレータに対して上の動きとして規定され、-Y
pは、下の動きとして規定される。これらのデカルト軸は、他の実施形態では異なって規定され得る。例えば、対+X
p/―X
p、+Y
p/-Y
p、+Z
p/-Z
pのうちの1つ又は複数を反対に規定してもよい。別の例として、軸は、本明細書に記載されるように
図4A-Bに示されているものから回転してもよい。
【0051】
図5は、撮像システム502を含む内視鏡カメラと、主要プラットフォームによって制御される2つの主要プラットフォーム器具504A及び504B(「主要プラットフォーム器具504」と総称される)と、補助プラットフォームによって制御される補助プラットフォーム器具506との配置を示し、それら全てが作業部位(「手術部位」とも呼ばれる)の周りに位置付けされる。以下の議論の多くは、主要プラットフォームとは物理的に異なる補助プラットフォームに取り付けられた補助プラットフォーム器具506に関するものであるが、主要プラットフォームに取り付けられた補助器具にも同じ技術及び方法を適用できることを理解されたい。さらに、主要及び補助プラットフォームは、互いに物理的に一体化してもよく、又は互いに物理的に分離されており、互いに対して移動可能であってもよい。
【0052】
撮像システム502は、マニピュレータによって支持されるように構成された撮像システム器具を含み得る。本開示の
図5には、2つの主要プラットフォーム器具504及び単一の補助器具506のみが示されている。本開示の実施形態は、より多い又は少ない主要器具及びより多い又は少ない補助器具を含み得ることを理解されたい。
図5では、主要プラットフォームの基準フレーム550が示されている。主要プラットフォームの基準フレーム550において、+Zcは、カメラ(撮像システム502を含むカメラ)の視野の挿入方向と同じ方向(
図5の右下に向かう方向)として規定される。-Z
cは、このカメラの視野の引き戻しと同じ方向(
図5の左上に向かう方向)として規定される。カメラの視野における右方向への動きを+X
c(
図5の左下に向かう方向)と規定し、カメラの視野における左方向への動きを-X
c(
図5の右上に向かう方向)と規定する。カメラの視野における「上」への動きを+Y
c(
図5のページの外部)として規定し、カメラの視野における「下」への動きを、-Yc(
図5のページの内部)として規定する。
【0053】
この例では、表示システム202によってオペレータに提供される視野の視線(例えば、
図4Bの視線408)は、視線508を有する撮像システム502によるものである。主要プラットフォームの基準フレームにおける器具504の動きをオペレータの基準フレームにおける入力装置204の動きにマッピングすることにより、器具504の動きは、オペレータによって
図4に示される基準フレームとより直観的に関連付けられる。一般的に、撮像システム502によって取り込まれた全画像が歪み又は変形(例えば、回転、伸張、クロッピング等)なしに表示システム202上に生成される場合に、撮像システム502と表示システム202を介してオペレータに提供されるビューとの間のマッピングを一致するもの(identity)としてモデル化することが妥当である。歪み又は変形が生じる場合に、撮像システム502の視野と表示システム202を介してオペレータに提供される視野との間のマッピングは、同一でなくてもよく、その差は適切なマッピングによって考慮され得る。例えば、主要プラットフォームの基準フレーム552における器具504の動きをオペレータの基準フレームにおける入力装置204の動きにマッピングするときに、その差を考慮することができる。こうして、オペレータは、入力装置204を並進運動及び回転運動させて、より直感的なやり方で器具504の対応する並進運動及び回転運動を命令し、視覚と手の協調によってそれら並進運動及び回転運動をより自然に関連付けることができる。
【0054】
図5は、視線508と直交する平面510も示す。平面510は、撮像システム502と補助プラットフォーム器具506との間に配置される。マニピュレータアーム及びそれら関連する器具が平面510にどの様に近づくかを説明すること等によって、システムの構成が相対的な挿入位置及び方向を理解する際に有用となり得る場合に、この平面510を想定する。示されるように、器具504のチップ、器具506のチップ、及び撮像システム502のチップは、器具504のチップ及び撮像システム502のチップが平面510の同じ側に配置されるように位置付けされる。一方で、器具506のチップは、平面510の反対側にある。こうして、この例では、器具504は平面510の一方の側にあり、器具506は平面510の反対側にある。
【0055】
図6を参照すると、撮像システム502の先端部、補助プラットフォーム器具506の先端部、及び2つの主要プラットフォーム器具504の先端部を含む作業空間の簡略図が示されている。
図6は、補助プラットフォーム器具の基準フレーム552も示す。また、説明の便宜上、
図6は平面510も示す。補助プラットフォーム器具の基準フレーム552に対して、補助プラットフォーム器具を手術部位に向けて(及び平面510に向けて)に挿入することは+Z
Iとして規定され、手術部位及び平面510から遠ざかる方向に補助プラットフォーム器具を引き戻すことは-Z
Iとして規定される。補助プラットフォーム器具を撮像システム502の視野に対して左側(
図5の右に向かう方法)に動かすことは、基準フレーム552に対して+X
I(「右」)として規定され、補助プラットフォーム器具を撮像システム502の視野に対して右側(
図5の左に向かう方向)に動かすことは、基準フレーム552に対して-X
I(「左」)として規定される。そして、補助プラットフォーム器具を撮像システム502の視野に対して上向き(ページの外部)に動かすことは、基準フレーム552に対して+Y
I(「上」)として規定され、補助プラットフォーム器具を撮像システム502の視野に対して下向き(ページの内部)に動かすことは、基準フレーム552に対して-Y
I(「下」)として規定される。制御システム110は、基準フレーム550、552を含むこれらの基準フレーム又は別の基準フレームのいずれかを使用して、器具504及び506(及び/又はそれらの支持アーム)の向きを作業部位に対して決定することができる。示されるように、長手方向軸線602A、602B、602C、及び602Dは、それぞれ、撮像システム502、主要プラットフォーム器具504B、補助プラットフォーム器具506、及び主要プラットフォーム器具504Aに関連付けられる。
図6に示されるように及び他の図において、長手方向軸線602は、X
I-Z
I平面、X
c-Z
c平面、又は器具基準フレームのこれらの順序(ordinal)平面に平行な他の平面内にあってもよい。他の実施形態では、長手方向軸線602は、X
I-Z
I平面又はX
c-Z
c平面内になく、X
I-Z
I平面又はX
c-Z
c平面に対して平行となり得る。こうして、軸線602及び軸線602に関連する器具は、同一平面上にあってもなくてもよく、平行平面にあってもなくてもよく、平行であってもなくてもよい。
【0056】
本明細書で説明するように、制御システム110は、作業部位に存在する器具同士の間の向きの差を決定することができる。例えば、制御システムは、撮像システム502の軸線506Aと主要サポート器具504Bの軸線602Bとの間の向きの角度差θ
1、軸線602Aと軸線602Cとの間の向きの角度差θ
2、軸線602Aと軸線602Dとの間の向きの角度差θ
3を計算することができる。示されるように、向きの差θ
1は約45°であり、向きの差θ
2は約180°であり、θ
3は約315°である。制御システムが
図2の複数の入力装置204のうちの1つから受信した移動コマンドを実行して複数の器具のうちの1つを移動させる前に、制御システム110は、器具に関連する向きの差を決定することができる。次に、制御システム110は、向きの差に基づいて、実施すべき適切なコマンドを決定することができる。いくつかの実施形態では、2つの軸線の間の向きの差θ
Xは、複数の軸線の内積のアークコサイン(arccosine)として決定することができる(例えば、2つのベクトルの内積として、各ベクトルは2つの軸線のうちの1つに沿った方向を表す)。他の方法を利用してもよい。
【0057】
再び
図5を参照すると、主要プラットフォーム器具504のうちのうちの1つの動作が、主要プラットフォームの基準フレームにおいて実行されることが分かり得る。
図4Aに示されるオペレータ(医師又は他のユーザの)基準フレームにおけるマスター入力装置204の動きは、プラットフォームの基準フレーム(撮像システム502の視野及びこの視野のどこかの部分によって規定される)におけるその主要プラットフォーム器具504の動きにマッピングされる。こうして、マスター入力装置204が右に移動されると、システムは、この例では504A及び504Bのいずれかの結合された主要プラットフォーム器具を、主要プラットフォームの基準フレーム550に対して右に移動させる。直感的な制御を、主要プラットフォームの基準フレーム550に現れるように補助プラットフォーム器具506のユーザに提供するために、マスター入力装置204の動きを、逆転(反転)した方法で、補助プラットフォーム基準フレーム552における補助プラットフォーム器具506の動きにマッピングすることができる。この逆転(反転)は、様々な方法で実施することができる。例えば、マッピングは、基準フレーム552の少なくとも1つの軸線における逆転(反転)動作を含むことができる。別の例として、器具506の動作が逆転するように、器具506の動作を決定する際に回転を適用することができる。更なる例として、基準フレーム552の少なくとも1つの軸線は、器具506が撮像システム502に対向して挿入されるときに、逆転され得る。
【0058】
概して、補助器具506を撮像システム502及びその視野に向けて指し示すことができるので、マスター入力装置204Bが補助プラットフォーム器具506を制御する場合に、本発明の態様によるマスター入力装置204Bのオペレータ基準フレームに対する-Z方向の「引き戻す」動作は、プラットフォーム基準フレーム550における補助プラットフォーム器具506の「引き戻す」動作と、器具基準フレーム552における補助プラットフォーム器具506の「挿入」動作とに対応する。換言すれば、本発明のいくつかの態様では、入力装置204Bをオペレータに向けて動かすマスター入力装置204B上の引き戻し動作が、システムによって、撮像システム502に向けて及び
図2の表示システム202を見ている場合にオペレータの目の方に向けて(表示システム202が撮像システム502によって取得した画像を示していると仮定する)、補助プラットフォーム器具506の動作にマッピングされる。同様に、(オペレータに対する)マスター入力装置204B上の右への動きは、(器具506に対する)補助プラットフォーム器具506の左への動きに対応し、それによって補助プラットフォーム器具506の先端部は、撮像システム502の視野内を右に移動するように見える。同様に、本発明の態様による(オペレータに対する)マスター入力装置204B上の左への動きは、(器具506に対する)補助プラットフォーム器具506の右への動きに対応し、それによって補助プラットフォーム器具506の先端部は、撮像システム502の視野内を左に移動するように見える。本発明のこれらの態様では、マスター入力装置204Bの上下の動きは、依然として、表示システム202のオペレータが見ているように補助プラットフォーム器具506の上下の動きに対応する。
【0059】
ユーザにとって、作業部位の画像を見るときの知覚は、補助プラットフォーム器具506の先端チップが入力装置204Bによって把持されて動かされ、補助器具506のシャフトが追従するかのような知覚である。この知覚は、入力装置204を把持しているユーザの手が主要プラットフォーム器具504A又は504Bのエンドエフェクタであるとユーザが想定している主要プラットフォーム器具504A又は504Bを動かすときのユーザの知覚とは対照的である。
【0060】
いくつかの実施形態では、補助器具506のシャフトは、シャフトの先端部がシャフトの基端部分と異なるように動くことができるように、1つ又は複数のコンプライアント部分を含むことができ、又は1つ又は複数の関節を有することができる。例えば、いくつかの実施態様では、補助プラットフォーム器具506のシャフトの先端部が所望の方向に移動する一方、補助プラットフォーム器具506のシャフトの基端部が静止したままであり、補助プラットフォーム器具506のシャフトの先端部が、所望の方向に平行に異なる量移動する、又は所望の方向と反対方向に移動する。他の実施形態では、補助プラットフォーム器具506の先端部及び基端部は、同じ方向に移動してもよい。
【0061】
以下の表(表1)は、種々の基準フレームにおける例示的な対応関係を示す。この表は、基準フレームがそれぞれの要素に取り付けられており、動作中にそれぞれの要素に対して再規定されていないことを前提とする。
【表1】
【0062】
補助基準フレームの正及び負の方向は、カメラ器具基準フレーム内の所望の動き方向に対応するように規定される(こうして、オペレータの視点に関して、様々な実施態様において表示システム202によって容易にされる)。オプションで、補助プラットフォーム器具の基準フレームにおける挿入-引戻し及び左右方向は、カメラ器具基準フレームの方向と同じになるように規定することができ、この場合に、符号は、表1において補助プラットフォーム基準フレーム内の挿入-引戻し及び左右方向について逆転される。
【0063】
複数の入力装置204のうちの1つによって受信した移動コマンドを実行して補助プラットフォーム器具506を制御する前に、撮像システム502に対する向きが制御システム110によって決定される。これは、補助プラットフォーム器具506に関連付けられたテーブル内への入力等の記憶されたデータを参照することにより行われる。例えば、いくつかの器具は、スレーブマニピュレータアームに、反対の構成で典型的に利用されるタイプの器具として結合されたときに識別され得る。従って、器具の同一性又はタイプのために、制御システム110は、1つ又は複数の反転(例えば、表1に示されるもの又は他の変換関係)を含む変換(「マッピング」とも呼ばれる)又は他の調整を行って、その器具の基準フレームを撮像システム502の基準フレームに適切に関連付けることを決定することができる。
【0064】
いくつかの実施態様では、変換は、ベクトル又はスカラを含む1つ又は複数の行列として実施してもよい。これらの変換は、入力装置204から受信した入力装置の動き情報に基づいて器具の動きを決定する際に、制御システム110によって適用される。実施態様に応じて、一連の行列及び他の計算を適用して、器具の動きを制御する制御信号を反転(又は、他に回転)、並進、スケーリング、及び生成することができる。任意の適切な変換メカニズムを使用してもよい。例えば、回転変換は、2つの基準フレームの向きの間の差を表す回転行列(又は、一連の回転行列)によって実施することができる。
【0065】
器具同士の間の向きの差は、任意の適切な方法によって決定することができる。例えば、いくつかの実施態様は、画像処理、向きセンサ、運動学的情報、形状感知情報、いくつかの他の技術、又は技術の組合せを使用して、器具同士の間の向き又は向きの差を決定する。全ての場合において、向きの差閾値との比較を用いて、適切な変換を選択することができる。例えば、
図6に示されるように、撮像システム502と補助プラットフォーム器具506との間の向きの差は約180°であり、この例では、制御システム110は、補助プラットフォーム器具506の動きを少なくとも1つの軸線に沿って入力装置204にマッピングするのを反転させる変換を適用する。いくつかの実施態様では、180°未満の向きの差にも、補助プラットフォーム器具506の動きを少なくとも1つの軸線に沿って入力装置204にマッピングするのを反転させる同じ変換が割り当てられ得る。いくつかの実施態様では、例えば、約135°~約225°の範囲内の向きの差には、表1に示されるような同じ変換が割り当てられ得る。別の実施形態では、約120°~約255°の範囲内の向きの差には、表1に示される変換が割り当てられ得る。いくつかの実施態様では、向きの差は、絶対的な向きの差として規定され、240°の向きの差は120°の向きの差と同じように処理され、又は90°の向きの差は270°の向きの差と同じように処理されるように、絶対的な向きの差として規定され得る。
【0066】
さらに、制御システム110のいくつかの実施形態は、向きの差に応じて異なる変換を適用することができる。例えば、表1に示される変換は、撮像システムに対して約120°~約180°の範囲の向きの差を有する任意の器具に適用することができるが、第2の変換は、撮像システムに対して約90°~約120°の範囲の向きの差を有する任意の器具に適用することができ、及び第3の変換は、撮像システムに対して約270°~約300°の範囲の向きの差を有する任意の器具に適用することができる。
【0067】
例えば、第2の変換は、撮像システムによって規定された基準フレームの+Z方向を、補助プラットフォーム器具の基準フレームの+X方向に関連付けることができる。第3の変換は、撮像システムフレームの+Z方向を、補助プラットフォーム器具の基準フレームの-X方向に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、第2及び第3の変換は、特定のタイプの器具のみに適用され、他のタイプの器具には適用されない。
【0068】
本明細書で説明するように、制御システム110は、器具が作業部位の視野に対して調整閾値を超える向きの差を有する場合に、入力装置と器具との間の向きマッピングを調整することができる。いくつかの実施態様では、制御システムは向きマッピングをさらに調整しない。いくつかの実施態様では、制御システム110は、オペレータによる移動を容易にする人間工学的オフセットを含むようにマッピングを調整することもできる。
図6に、例示的なオフセットが、補助プラットフォーム器具506の軸線602Cと、補助プラットフォーム器具506を制御するための入力装置204のシャフトの軸線を表す軸604との間の角度θ
Eとして示される。人間工学的オフセットは、補助プラットフォーム器具506のような特定の補助プラットフォーム器具を制御するように割り当てられた入力装置204の向きと、その補助プラットフォーム器具の向きとの間の角度差を与えることができる。これは、人間工学的なオフセットのないマッピングが扱いにくい場合に役立ち得る。例えば、いくつかの実施形態は、ペンシル(pencil)のような器具506のシャフトを保持する入力装置をエミュレートする人間工学的オフセットを使用し、補助プラットフォーム器具506とのペンシル状(pencil-like)の相互作用を可能にする。このように、入力装置204と補助プラットフォーム器具506との間の相互作用は、例えば、書き込むときに鉛筆と紙との間の軸ずれした相互作用に似ている。
【0069】
従って、このような人間工学的オフセットによって、オペレータは、入力装置204Bを動かして、例えば、シャフト206Bを補助プラットフォーム器具506と完全に軸線方向に整列させることなく、補助プラットフォーム器具506を動かすことができる。約0°~約50°の範囲の人間工学的な角度オフセットは、ユーザが選択可能な調整、ユーザの好み、補助プラットフォーム器具506を構成する器具のタイプ等の要因に基づいて、制御システム110によって利用され得る。いくつかの実施態様では、この人間工学的な角度オフセットは、入力装置204Bの基準フレームと器具506とをリンク付けする一連の行列に追加された回転行列として実現してもよい。いくつかの実施態様では、これは、補助プラットフォームの器具基準フレーム552の回転として実施される。
【0070】
本開示の実施形態は、動作中に手術室又は作業環境の床に載置される別個の可動ベースに接続される主要器具プラットフォーム及び補助器具プラットフォームを含むことができる。実施形態は、互いに分離して移動可能であるが、テーブルTに沿って延びるレール等の共通の構造体に取り付けられる主要及び補助器具プラットフォームをさらに含むことができる。追加の実施形態は、共通のベース又はプラットフォームに固定されるが、内視鏡器具によって提供される視線と直交する平面の対向する側の作業部位に近づく主要及び補助器具を含み、それによって補助器具を自然な感覚の方法で制御することは、受信した入力コマンドへの変換を調整する又は受信したコマンドに変換を適用することを必要とする。
【0071】
本開示の実施形態は、多くの異なる動作モードを提供する。これらの動作モードのうちの1つを
図7Aのフローチャートに示す。
図7Aは、主要及び補助プラットフォームを含むロボットシステムを制御する方法700Aを示す。いくつかの方法が、添付図面に示され、本明細書で説明される。示される方法の実施形態は、列挙された動作の前、後、その間、又は列挙された操作の一部としての追加の動作を含むことができる。さらに、例示された方法のいくつかの実施形態は、1つ又は複数の列挙された動作を省略することができる。さらに、例示された方法のいくつかの実施形態は、図示された方法による動作の組合せを含むことができる。本方法のいくつかの実施形態は、命令を有する非一時的で有形のコンピュータ可読媒体を含み、この命令は制御システム110の処理装置等のプロセッサによって実行されると、制御システムに、記載された医療システムの文脈においる対応する動作を実行させる。
【0072】
方法700Aのいくつかの実施形態は、ロボット制御システムの処理装置が器具の向きを器具作業空間の視野の向きと比較する動作702で開始することができる。例えば、制御システム110は、補助プラットフォーム器具506の向きを、作業空間の視野をオペレータに提供する撮像システム502の向きに対して比較することができる。いくつかの実施形態では、これらの向きは、軸線602Aを軸線602Cと比較することによって比較することができる。いくつかの実施形態では、向きの差は、軸線の特定の成分のみが比較されるように、撮像システム502及び補助プラットフォーム器具506に関連付けられた平面を考慮して、決定される。示されるように、向きの差は約180°である。
【0073】
動作704において、向きの比較結果が向きの基準セットを満たさない場合に、制御システムは、移動コマンドに応答して、器具基準フレームに対して第1の方向に器具を移動させる。例えば、向きの差が、125°、115°、又は95°等の向き閾値未満である場合に、器具を挿入方向に動かす移動コマンドは、器具を撮像システム502に対して規定された挿入方向に移動させることによって、制御システム110によって実施され得る。向きの差は、3D空間におけるトータルの向きの差であってもよく、又は、挿入及び視野方向が単一平面上に投影されるときの向きの差であってもよい。例えば、向きの差は、撮像システム基準フレーム又は器具基準フレームによって規定されるX-Y平面、X-Z平面、又はY-Z平面に方向が投影された場合の向きの差であってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、オペレータは、システム100を操作する前に、所望の向き閾値を選択することができる。他の向き差閾値を他の実施形態で利用してもよい。いくつかの実施形態では、向きの差閾値は、撮像システム502から遠ざかる方向に延び、その視線の中心に位置する円錐又はピラミッドによって規定してもよい。従って、いくつかの実施形態では、向きの差閾値は、撮像システム502の役割とは無関係であってもよい。向きの基準セットは、特定のタイプの器具に関連する因子も含むことができる。従って、アブレーションエンドエフェクタを有する補助プラットフォーム器具は、そのエンドエフェクタとして鉗子を有する補助プラットフォーム器具と比較して異なる閾値を有し得る。さらに、向きの基準セットは、どの器具がどのプラットフォームに関連付けられるかを区別するための情報を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、器具506が制御システム110によって補助プラットフォームとして特徴付けられるシステムに結合される点で、向きの基準セットは、器具506が補助プラットフォーム器具であるという表示を含むことができる。これらの基準の組合せは、器具を基準セットと比較する際に使用することができる。
【0075】
動作706において、向きの比較結果が向きの基準セットを満たしている場合に、制御システムは、同じ移動コマンドに応答して、器具基準フレームに対して第2の方向に器具を移動させる。第2の方向は、第1の方向とは異なる。例えば、第2の方向は、第1の方向とは反対であってもよい。異なる方向の他の例が表1に示される。
【0076】
このようにして、制御システム110は、
図5及び
図6に示される平面510のように、補助プラットフォーム器具が中間平面に対向して位置付けされていることを向きの差が示すときに、移動コマンドマッピング(「変換」とも呼ばれる)を調整又は適用することができ、それによってオペレータの視点から見れば、補助プラットフォーム器具を、補助プラットフォーム器具の基準フレームによって決定されたものと異なる方向に移動させることは、より自然なものとなる。
【0077】
別の例示的な実施形態が、
図7Bの方法700Bのフローチャートとして示されている。方法700Bは、スレーブ器具がマスターマニピュレータの動作に追従する「追従モード」動作を示す、システム100の多くの異なる動作モードのうちの1つを説明する。例えば、補助プラットフォーム器具506は、入力装置204Bの動きに「追従」することができる。補助プラットフォーム器具は、少なくともいくつかの実施形態において主要プラットフォームの外部にあるので、外部器具(EI)と呼ぶこともできる。
図7Bは、補助プラットフォーム器具(EI)のための制御信号を生成する一般的なフローを示す図である。
【0078】
方法700Bの示された実施形態は、システムが追従モードで動作していることを制御システム又は制御システムの処理装置が検出する動作710で開始することができる。動作712において、制御システムは、マスター作業空間内のマスター入力装置の動きを検出する。例えば、制御システム110は、入力装置204Bが動くことができる領域内の入力装置204Bの動きを検出することができる。
【0079】
動作714において、制御システムは、マスター入力装置の動きに応答するマスター信号を生成する。例えば、制御システム110は、入力装置204Bの動きに対応するマスター信号を生成することができる。これらのマスター信号は、移動コマンドであってもよく、移動コマンドを含んでもよく、又は移動コマンドを生じさせてもよい。動作716において、制御システムは、マスター作業空間内の動きを手術作業空間又は他の作業部位の動きにマッピングする。例えば、制御システム110は、入力装置204Bから受信した移動コマンドを、移動コマンドに基づいて動かされる器具506等の器具に関連付けられた器具基準フレームにマッピング又は変換することができる。本明細書で説明するように、制御される器具の向きが撮像システム502によって提供される視野とは実質的に異なる場合に、変換(複数可)を移動コマンドに適用して、それらを作業部位にマップして、移動コマンドを器具506によって適宜実施することができる。器具506の移動を実施することは、器具506を支持するマニピュレータアームの移動を実施することと同じであってもよい。
【0080】
方法700Bは、マスター作業空間を作業部位にマッピングするために、命令された動きの個々の成分のチェックを含むことができる。
図7Bに示されるように、動作718でX軸成分チェックが実行され、動作720でY軸成分がチェックされ、722でZ軸成分がチェックされる。動作718、720、及び722は、制御システム110によって連続的に又は並列に実行してもよい。命令された運動は、一般に、X軸、Y軸、及びX軸のうちの複数の軸に沿った成分を含むので、動作718、720、及び722は、向きの基準セット等の任意の基準で識別し得る器具に関連する全ての命令された動作を実行することができる。
【0081】
動作724、726及び728において、変換された制御信号は、制御システムによって生成され得る。示されるように、動作724において、制御システムは、動作718で実行されたチェックに基づいて、外部器具又は補助プラットフォーム器具506を補助プラットフォーム器具の基準フレーム内の反転されたX軸方向に移動させるためのスレーブ制御信号を生成する。同様に、動作726及び728において、制御システム110は、補助プラットフォーム器具を補助プラットフォーム器具506の基準フレーム内の反転されたY軸又はZ軸にそれぞれ移動させるためのスレーブ制御信号を生成することができる。動作724、及び/又は726、及び/又は728のいくつかの実施形態では、1つ又は複数の生成された制御信号は、非反転制御信号を含み得る。示されるように、動作720及び726におけるチェックによって、(動作726における)Y軸の非反転信号の生成と、(動作728における)Z軸の反転信号の生成とをもたらすことができる。動作718、720、及び722で実行されるチェックは、向き基準を含む一組の基準に依存しており、反転修正を行うべきかどうかを決定することができる。動作718、720、及び722で実行されるチェックは、1つ又は複数の制御信号の成分が反転されていないか、又は他に修正されていないかを示すことができる。このような場合に、動作724、726、及び728の1つ又は複数の動作が実行されないことがあり、それによりX軸、Y軸、及び/又はZ軸のうちの1つ又は複数が制御システムによって反転されない。いくつかの実施形態では、適用された変換は、180°未満の角度、すなわち移動コマンドを部分的にのみ反転する角度だけ動きを修正することができる。
【0082】
図8Aは、撮像システム502からのビデオを表示する、表示システム202を介したオペレータの視点から見た概略
図800Aである。
図8Aは、2つの主要プラットフォーム器具504A及び504Bと、補助プラットフォーム器具506の先端チップとを示す。この視点は、ユーザの眼の基準フレームが主要プラットフォームのカメラ器具基準フレームにマッピングされるため、主要プラットフォームのカメラ器具の視点を表す。
【0083】
図8Bは、主要プラットフォーム器具504の先端部及び補助プラットフォーム器具506の先端部の概略
図800Bである。この図は、説明のために提供されており、いくつかの実施形態では、器具は、患者Pの体内の作業部位802に又はこの作業部位802の近くに位置付けされる。
図8Bはまた、撮像システム502の図の近くの例示的なカメラ基準フレームと、器具506に近い例示的な器具フレームとを示す。この例示的な器具フレームは、補助プラットフォーム器具506に関連付けられる。
【0084】
図9A及び
図9Bは、カメラ基準フレーム(これは、いくつかの実施形態では、オペレータの基準フレームと同じであると見なすことができる)と補助プラットフォーム基準フレームとの両方において、補助プラットフォーム器具506の先端部のX軸に沿った左右方向の動きM1を示す斜視図である。いくつかの実施態様では、表示システム202は、
図2に示されるようにオペレータの真正面になくてもよいことに留意されたい。例えば、オペレータは、オペレータの頭部がオペレータの胴体、腕、及び手に対して右に回転するように、オペレータの右にずれた表示システムを見ている可能性がある。オペレータの自己受容(proprioception)は、オペレータが入力装置204をオペレータの右に移動させて、表示システム上に示された画像中で器具を右に移動させるのを可能にする。しかしながら、他の実施形態では、他の基準フレームを使用してもよい。例えば、オペレータの動きは、表示システムに関連して検出及び/又は処理され得る(こうして、オペレータの身体ベースの基準フレームの代わりに表示システムベースの基準フレームを使用する)。
【0085】
図9A及び
図9Bに示されるように、ユーザ/カメラ基準フレームにおける右への動きM1(
図9A)は、補助プラットフォーム基準フレームにおける左への動きM1(
図9B)に対応する。制御システム110は、オペレータが
図2の表示システム202においてビュー800Aを見ている間に、オペレータからコマンドを受信することによって動作M1を行う。オペレータが補助プラットフォーム器具506を制御しており、且つオペレータが器具506の先端部をオペレータの右に動かしたい場合に、オペレータは、手持ち式マニピュレータ(例えば、入力装置204Bであるが、入力装置204Aを使用することもできる)を移動させる。制御システム110は、移動コマンドを修正し、適切な移動コマンドが器具基準フレーム内で実施され得るように変換を調整又は適用する。オペレータの所望の結果を生じさせるように移動コマンドを実行するために、制御システム110によって適用される変換(又は「マッピング」)は、補助器具506の基準フレーム内で器具506を-X方向に動かすことによって、動きM1を実行させる。
【0086】
図10A及び10Bは、カメラ基準フレームと補助プラットフォーム器具の基準フレームとの両方における、補助プラットフォーム器具506の先端部のY軸又は上下方向に沿った動きM2を示す斜視図である。カメラ基準フレーム内の上への動きM2(
図10A)は、補助プラットフォーム基準フレーム内の上への動き(
図10B)に対応する。制御システム110は、オペレータが
図2の表示システム202においてビュー800Aを見ている間に、オペレータからコマンドを受信することによって動作M2を行う。オペレータが補助プラットフォーム器具506を制御しており、且つオペレータが器具506の先端部をオペレータの視界の頂部に向けて動かしたい場合に、オペレータは手持ち式マニピュレータ(例えば、入力装置204Bであるが、入力装置204Aを使用することもできる)を移動させる。制御システム110は、移動コマンドを修正し、適切な移動コマンドが器具基準フレーム内で実施され得るように変換を調整又は適用することができる。オペレータの所望の結果を生じさせるように移動コマンドを実行するために、制御システム110によって適用される変換(又は「マッピング」)は、補助器具506の基準フレーム内で器具506を+Y方向に動かすことによって、動きM2を実行させる。いくつかの実施形態では、制御システム110は、動きM2のY方向成分に変換を適用する必要がないと判断することができる。しかしながら、動きM2が専らY軸の平面内にない場合に、制御システム110は、Y軸平面にない動きM2の成分に変換を適用又は調整してもよい。
【0087】
図11A及び
図11Bは、カメラ基準フレームと補助プラットフォーム基準フレームとの両方における、補助プラットフォーム器具506のZ軸又は挿入/引き戻し方向に沿った動きM3を示す斜視図である。カメラ基準フレームにおける挿入動作(
図11A)は、補助プラットフォーム基準フレームの引き戻し動作(
図11B)に対応する。制御システム110は、オペレータが
図2の表示システム202においてビュー800Aを見ている間に、オペレータからコマンドを受信することによって動作M3を行う。オペレータが補助プラットフォーム器具506を制御しており、且つオペレータが器具506の先端部をオペレータの視界から遠ざかる方向に動かしたい場合に、オペレータは、手持ち式マニピュレータ(例えば、入力装置204Bであるが、入力装置204Aを使用することもできる)をオペレータの胴から遠ざかる方向に、すなわちカメラ基準フレームに対応するオペレータの基準フレームの+Z方向に移動させる。制御システム110は、移動コマンドを修正し、適切な移動コマンドが器具基準フレーム内で実施され得るように変換を調整又は適用する。オペレータの所望の結果を生じさせるように移動コマンドを実行するために、制御システム110によって適用される変換(又は「マッピング」)は、補助器具506の基準フレーム内で器具506を-Z方向に動かすことによって、動きM3を実行させる。
【0088】
図7A及び
図7B並びに他の図に示される様々な形式の追従モードが、オプションで、様々な主要プラットフォームで使用される。例えば、「調整モード」では、マスター入力装置204A又は204Bの動きは、撮像システム502を移動させ、それに対応するように、撮像システム502を含むカメラ器具の先端部が、カメラ基準フレーム内で作業部位802の組織に対して移動する。調整又は調節モードでは、主要器具の動きは、主要プラットフォーム器具504A及び504Bの先端部が、カメラ基準フレームに固定され、且つ作業部位の組織に対して動かなくなるように、カメラ運動に結合される。先端部が、カメラ基準フレームに固定され、且つ作業部位の組織に対して動かなくなるが、主要プラットフォーム器具504A及び504Bの基端部は、撮像システム502を含むカメラ器具の基端部の動きを補償又は調整するために、動くことができる。調整モードでは、補助プラットフォーム器具の動きも、オプションで、補助プラットフォーム器具の先端部がカメラ基準フレームに固定され、且つ作業部位の組織に対して動かなくなるように、カメラの動きに結合される。空間内の器具を組織に対して固定することは、器具の先端部が組織に対して動かず、組織を把持することができるか、誤って組織に接触するよう動かされることがないので、安全を助長する。調整モードは、カメラ位置又は向きの小さな変化のために使用され得る。
【0089】
図12は、調整モードにおける補助プラットフォーム器具の一般的な動作を示すフロー図である。
図12に示される方法1200は、調整モードに従って移動コマンドを実施すべきであることを制御システムが検出する動作1202で開始することができる。入力装置204が移動しているか又は移動したことを制御システム110が検出する(動作1204)ときに、制御システムは、その動きに応答してマスター制御信号を生成することができる。これらのマスター制御信号は、入力装置204に関連する基準フレームに表現してもよい。動作1208において、制御システムは、マスター作業空間を手術作業空間又は他の作業空間にマッピングすることができる。例えば、制御システム110は、マニピュレータの基準フレームにおいて表現されるマスター制御信号に適用することができる変換を生成又は識別することができ、それにより、それら変換を、器具506、又は器具506を支持し位置付けするアームのような選択されたスレーブマニピュレータに適切に適用することができる。
【0090】
動作1210において、制御システムは、スレーブマニピュレータのエンドエフェクタの位置、向きを変更することなく、主要スレーブマニピュレータ及び/又は補助スレーブマニピュレータ又は外部スレーブマニピュレータを手術作業空間又は他の作業空間内で動かすためのスレーブ制御信号を生成することができる。例えば、制御システム110は、器具504A、504B、及び/又は506の基端部を、これらの器具の先端部での動きを最小にする又は無くすように動かし、それによってエンドエフェクタ512が、作業部位でそれらの位置及び向きを維持することができる。これは、撮像システム502を再位置付け可能にすること、又は作業部位に存在する1つ又は複数の器具の所望の動作範囲を容易にするために行うことができる。
【0091】
ここで
図13を参照すると、マスターマニピュレータの「再配置モード」動作のための方法1300としての別の例示的な動作モードが示されている。システム100の動作中に、オペレータは、カメラ器具の先端部が、カメラ基準フレーム内で、且つ作業部位の組織に対して対応するように移動するモードで、主要プラットフォームカメラ器具を移動させることができる。再配置モードでは、他の主要器具の動きは、主要プラットフォームの器具の先端部がカメラ基準フレーム内でカメラ器具と共に移動するように、主要プラットフォームのカメラの動きに結合される。こうして、カメラ器具及び主要プラットフォーム器具の先端部は全て、手術部位又は他の作業部位の組織に対して一緒に動く。再配置モードでは、補助プラットフォーム器具の動きは、オプションで、補助プラットフォーム器具の先端部がカメラ基準フレーム内で、且つ作業部位の組織に対して移動するように、カメラの動きに結合され得る。同様に、制御システム110は、補助プラットフォーム器具に適切な変換を適用し、それにより補助プラットフォーム器具も、補助プラットフォーム器具のエンドエフェクタを主要プラットフォームカメラ動作に対して固定関係で維持するように手術部位又は他の作業部位に対して移動される。再配置モードは、カメラの位置又は向きを大きく変化させるために使用することができる。
図13は、再配置モードにおける補助プラットフォーム器具の一般的な動作のための方法1300のフロー図である。
【0092】
方法1300の実施形態は、システムが再配置モードにあることを制御システムが検出する動作1302で開始することができる。動作1304において、コンピュータシステムは、マスター作業空間内のマスター入力装置の動きを検出することができる。例えば、制御システム110は、入力装置204の動きの拘束範囲によって規定される領域内の入力装置204のうちの1つの動きを検出することができる。動作1306において、制御システムは、マスター入力装置の動きに応答して、そのマスター入力装置の動きに対応するマスター信号を生成することができる。動作1308において、制御システムは、マスター作業空間を手術作業空間又は他の作業空間にマッピングすることができる。本明細書で説明されるように、マスター作業空間内の入力装置の動きをワーク作業空間内の器具の動きにマッピングすることは、マスター制御信号への変換を適用又は調整して、その変換をオペレータの基準フレーム又はカメラ基準フレーム等のマスター作業空間から器具基準フレームに移すことを含み得る。そうすることで、動作1310において、制御システムは、撮像システム及び/又は主要器具に対する補助又は外部プラットフォーム器具の動きを拘束しながら、スレーブマニピュレータ(複数可)を手術作業空間又は他の作業空間内で動かすための対応するスレーブ制御信号を生成することができる。このようにして、オペレータが撮像システム502を動かすと、補助プラットフォーム器具506は、撮像システム502に対して静止したままであるように作業空間内で動かされ得る。マスター制御信号に適用される変換(又は「マッピング」)は、主要プラットフォーム器具とは違い、補助プラットフォーム器具506では異なる。
【0093】
補助プラットフォーム器具506の動きが主要プラットフォームカメラの動きに結合される動作モードでは、補助プラットフォーム器具506の運動の拘束(例えば、物理的な関節の制限、補助プラットフォーム器具が挿入されるカニューレに対してZ軸に沿った位置(カニューレは器具の動きを拘束し得る)等)は、オプションで、主要プラットフォームカメラの動作制限を確立するために使用され得る。そのようなカメラ器具の動作制限は、絶対的であってもよく、又はオプションで、ユーザは、マスターマニピュレータを仮想の触覚壁(バリアを通過する動きを妨げる力フィードバックによって実現される仮想的なバリア)を通過させる等により、動き制限を乗り越え得る。
【0094】
図14は、ハイブリッドカメラ制御及び補助プラットフォーム器具制御モードのための方法1400を示すフロー図である。例示的なハイブリッドモードでは、第1のマスターマニピュレータが、主要プラットフォームのカメラ器具の動きを制御し、第2のマスターマニピュレータが、補助プラットフォーム器具の動きを制御する。カメラ器具又は補助プラットフォーム器具の一方の動きは、他方の動きが発生している場合に、禁止される。このような動作モードでは、制御システム110は、オペレータ(ユーザ)基準フレーム及び撮像システム(カメラ)基準フレームにおけるマスター入力装置の動きの正しいマッピングが、カメラ器具又は補助プラットフォーム器具のいずれかに対して生じることを確実にする。
【0095】
動作1402において、制御システムは、ハイブリッド制御モードが実施されていると判定する。制御モードの判定は、制御システム110の状態情報を照会することによって得ることができる。動作1404において、制御システム110は、入力装置204A等の、マスター作業空間内の第1のマスター入力装置の動きを検出することができる。入力装置204Aの動きを検出すると、制御システムは、動作1406において、入力装置204B等の第2のマスター入力装置の検出された動きを締め出す(lock out)ことができる。動作1408において、制御システムは、第1のマスター入力装置の動きに応答してマスター信号を生成し得、次に、動作1410において、マスター信号に含まれる移動コマンドを実行するために、マスター作業空間を手術作業空間又は他の作業空間にマッピングする。動作1412において、制御システムは、カメラを手術作業空間又は他の作業空間内で動かすためのカメラ制御信号を生成することができる。例えば、制御システム110は、撮像システム502の基準フレームに従って撮像システム502を動かすことができる。動作1414において、制御システムは、マスター作業空間内の第2のマスター入力装置の動きを検出することができる。例えば、制御システム110は、入力装置204Bの動きを検出することができる。入力装置204Bによって制御される器具と、入力装置204Aによって制御される器具との間の望ましくない相互作用を防止するために、制御システム110は、動作1416において、第1のマスター入力装置(例えば、入力装置204A)のその後に検出される動きを締め出すことができる。動作1418において、制御システムは、第2のマスター入力装置の動きに応答してマスター信号を生成することができる。制御システムは、動作1420において、マスター作業空間を手術作業空間又は他の作業空間にマッピングして、動作1422において、補助プラットフォーム器具を手術作業空間又は他の作業空間内で動かすためのスレーブ制御信号を適切に生成することができる。
【0096】
図15は、補助プラットフォーム器具の動作の衝突回避態様のための方法1500のフロー図である。制御システム110が、補助プラットフォーム器具506の動きが主要プラットフォーム器具504A又は504Bのいずれかと衝突すると判断した場合に、制御システムは、オプションで、補助器具が動くときに予測される衝突が起こらないように、補助及び主要プラットフォーム器具の一方又は両方の制御を修正することができる。例えば、補助プラットフォーム器具を制御するときに、ユーザは、主要プラットフォーム器具との潜在的な衝突を「迂回して操舵する(steer around)」ために、マスターマニピュレータにおける皮膚感覚を感じ取ることができる。別の例として、ユーザは、補助プラットフォーム器具の動作中に主要プラットフォーム器具の動きを僅かばかり観察して、潜在的な衝突をオペレータに視覚的に伝達することができる。衝突回避の態様は、上述した追従、調整、再配置モード等の様々な動作モードの一部又は全部で実施することができる。
【0097】
方法1500のいくつかの実施形態は、制御システムがマスター作業空間内のマスター入力装置の第1の方向の動きを検出する動作1502で開始することができる。動作1504において、制御システム110は、
図5に示されるような入力装置204Bであり得るマスター入力装置の動きに応答してマスター信号を生成することができる。動作1506において、制御システム110は、マスター作業領域を手術作業空間又は他の作業空間にマッピングし、オペレータ基準フレーム又はカメラ基準フレームと、マスター入力装置によって制御される器具の器具基準フレームとの間の関係を特定する。動作1508において、コンピュータシステムは、外部スレーブマニピュレータ又は補助プラットフォーム器具を作業部位に移動させるための制御信号を生成する。動作1510において、制御システム110は、スレーブマニピュレータ及びそれらに関連する器具の各々に関連する運動学的又は非運動学的センサ情報を使用して、その動きによって補助プラットフォーム器具が主要プラットフォーム器具のうちの1つと衝突するかどうかを判断する。そうである場合に、制御システム110は、動作1512において、衝突を回避するために、補助プラットフォーム器具及び主要プラットフォーム器具のいずれか又は両方のスレーブ制御信号を修正する。いくつかの実施形態では、制御システム110は、衝突を回避するために、スレーブ制御信号を修正して、一方のスレーブマニピュレータを他方のスレーブマニピュレータの周りに移動させてもよい。これにより、移動しているスレーブマニピュレータを所望の位置に移動させることができるが、入力装置204Bから受信された命令された動きによって決定された経路とは異なる経路を介して移動される。追加的に又は代替的に、動作1512のいくつかの実施形態は、衝突を回避するために、又はオペレータが衝突を回避できるようにオペレータに警告するために、入力装置204Bと関連付けられていないスレーブマニピュレータを動かすことを含み得る。いくつかの実施態様では、制御システム110は、追加の混乱を回避するためにスレーブマニピュレータの状態を確認することができる。例えば、主要スレーブマニピュレータがエンドエフェクタとして鉗子を有し、鉗子が組織を把持するために閉じられる場合に、制御システム110は、鉗子又は組織を閉じ及び/又は把持することが、衝突を回避するために実行可能であり得る主要スレーブマニピュレータの応答する動きを妨げるかを判断することができる。あるいはまた、状態情報は、主要スレーブマニピュレータの動きを修正し、その動きをオペレータが見ることができるが、把持されている組織に損傷を与えない小刻みに揺れる動き(wiggle)又は他の動きに制限することができる。
【0098】
方法1500に戻って、外部スレーブマニピュレータが、動作1510の判定の際に主要マニピュレータと衝突する経路上にないと判定された場合に、制御システムは、動作1514において、オペレータが入力装置204と対話することによって生成された移動コマンドによって指示されるように、外部スレーブマニピュレータ及び/又は主要スレーブマニピュレータを手術作業空間又は他の作業空間に移動させることができる。
【0099】
図16に示されるように、本発明の態様は、コンソール200のような2つ以上のオペレータコンソールを含む手術システム又は他のシステムで実施することができ、作業部位を見る第1のオペレータ(ユーザ)が第1のマスターマニピュレータを制御し、及びその作業部位を見る第2のオペレータ(ユーザ)が第2のマスターマニピュレータを制御する。例えば、第1のオペレータは主要プラットフォーム器具を制御し、第2のオペレータは補助プラットフォーム器具を制御することができる。第1及び第2のオペレータの両方が、主要プラットフォームのカメラ器具から同じビデオ画像を見る。
【0100】
図16は、ロボットマニピュレータを制御するための方法1600を含む。そして、方法1600の示された実施形態は、システムが、追従モードで動作しており、且つ主要マスター制御装置又はコンソール、及び補助マスター制御装置又はコンソールと通信していることを制御システム又は制御システムの処理装置が検出する動作1602で開始することができる。いくつかの実施態様では、制御システムは、両方のコンソールが同じ状態又はモードを実施していることを確認することができる。動作1604において、制御システムは、第1のコンソールに加えて、第2のコンソールにカメラビューを提供する。動作1606において、制御システム110は、画像解析及び/又は運動学的情報を使用して、外部器具又は補助プラットフォーム器具がカメラの視野内に見えるかどうかを判定することができる。補助プラットフォーム器具がカメラの視野内に見えないとき、制御システムは、動作1608において追従モードを中止することができる。補助プラットフォーム器具がカメラの視野内に見えるとき、制御システムは、動作1610において、補助マスター作業空間内での補助マスター入力装置の動きを検出する。例えば、制御システム110は、
図2のコンソール200のような第2のコンソールの入力装置204の動きを検出することができる。第2のコンソールは、入力装置204の動きの制限によって規定されるマスター作業領域を含むことができる。
【0101】
動作1612において、制御システムは、補助マスター入力装置の動きに応答する補助マスター信号を生成する。例えば、制御システム110は、第2のコンソールの入力装置204Bの動きに対応するマスター信号を生成することができる。これらのマスター信号は、移動コマンドであってもよい。動作1614において、制御システムは、補助マスター作業空間を手術作業空間又は他の作業空間にマッピングする。例えば、制御システム110は、第2のコンソールの入力装置204Bから受信した移動コマンドを、(移動コマンドに基づいて移動される器具506等の)器具に関連付けられた器具基準フレームにマッピング又は変換することができる。本明細書で説明するように、制御される器具の向きが撮像システム502によって提供される視野とは実質的に異なる場合に、移動コマンドに変換(複数可)を適用して、それら移動コマンドを器具506によって適切に実施することができるように、それら移動コマンドを作業部位にマップする。器具506の移動を実施することは、器具506を支持するマニピュレータアームの移動を実施することと同じであってもよい。
【0102】
マスター作業空間を作業部位にマッピングするために、方法1600は、命令された動きの個々の要素のチェックを含むことができる。
図16に示されるように、動作1616でX軸成分のチェックが実行され、動作1618でY軸成分がチェックされ、1620でZ軸成分がチェックされる。動作1616,1618、及び1620は、制御システム110によって連続的に又は並列に実行してもよい。命令された動きは、一般に、X軸、Y軸、及びX軸のうちの2つ以上の軸に沿った成分を含むので、動作1616,1618、及び1620は、向きの基準セット等の任意の基準で識別される器具に関連する全ての命令された動作について実行され得る。
【0103】
動作1622、1624、及び1626において、変換された制御信号は、制御システムによって生成され得る。変換された制御信号は、1616、1618、及び1620において実行されたチェックに基づいてもよい。示されるように、動作1622において、制御システムは、外部器具又は補助プラットフォーム器具506を、補助プラットフォーム器具506の基準フレーム内の反転されたX軸方向に動かすためのスレーブ制御信号を生成する。示されるように、動作1618及び1626におけるチェックによって、(動作1624での)Y軸の非反転信号の生成と(動作1626での)反転信号の生成とがもたらされる。同様に、動作1624及び1626において、制御システム110は、補助プラットフォーム器具を、補助プラットフォーム器具の基準フレーム内の反転されたY軸又はZ軸にそれぞれ沿って移動させるためのスレーブ制御信号を生成することができる。動作1616,1618、及び1620で実行されるチェックは、向きの基準を含む基準セットに依存しており、反転修正を行うべきかどうかを判断することができる。例えば、動作1618で実行されるチェックは、動作1624を実行すべきでない、すなわち、器具をY軸方向に動かすスレーブ制御信号を反転すべきでない、又は他に変更すべきでないと判定し得る。いくつかの実施形態では、適用された変換は、180°未満の角度、すなわち移動コマンドを部分的のみ反転する角度だけ動きを修正することができる。
【0104】
別の実施態様では、補助プラットフォームは、2つのカメラ器具が作業部位に存在するように、補助プラットフォームカメラ器具を含むことができる。この状況では、補助プラットフォームと主要プラットフォームとの関係は、上述した主要プラットフォームと補助プラットフォームとの関係と同じである。こうして、制御システム110は、正しいカメラ基準フレームを正しいオペレータコンソールにマッピングする(つまり、主要及び補助プラットフォームのそれぞれの制御システムを一緒に協働させてマッピングする)。主要及び補助プラットフォームのマスターマニピュレータの動作に追従させるために主要及び補助プラットフォーム器具をどのように結合しているかに応じて、第1及び第2のオペレータの両方は、上述したように主要及び補助プラットフォーム器具を制御する。
【0105】
さらに別のオプションの実施態様では、追従モード又は連動(coupled motion)モードでの動作は、器具又は完全な器具クラスタがカメラの視野内に存在するという条件に制限される。こうして、第2のオペレータが見ているビデオ画像内に器具が見えない場合に、第2のオペレータは、(例えば、第2のマスターマニピュレータを操作して補助プラットフォーム器具を制御する)器具を操作することが差し止められる。別のオプションの実施態様では、第2のオペレータが見ているビデオ画像内に器具又は完全な器具クラスタが見えない場合に追従又は連動モードの操作が許容されるが、器具又は完全な器具クラスタの一部が見えないことを知らせる警告が第2のオペレータに示される。
【0106】
第2のオペレータコンソールを含む実施態様では、上述したように、動作の調整及び再配置モードを、
図7の一般的な動作フローに示されるように実施してもよい。動作1702において、制御システムは、主要マスター制御装置又はコンソールが、本明細書で説明される調整モード又は再配置モードにあることを状態情報から検出する。動作1704において、制御システムは、補助マスター制御装置又はコンソールが本明細書で説明するように追従モードにあることを検出する。動作1706において、制御システムは、補助マスター作業空間内の補助マスター入力装置の動きを検出する。例えば、制御システム110は、第2のコンソールの入力装置204の動きを検出することができる。動作1708において、制御システムは、補助マスター入力装置の動きに応答して補助マスター信号を生成する。動作1710において、制御システムは、本明細書で説明するように、補助マスター作業空間を、手術作業空間、介入部位、又は他の作業部位にマッピングする。動作1712において、制御システムは、外部スレーブマニピュレータ/補助プラットフォーム器具を作業部位に移動させるスレーブ制御信号を生成する。スレーブ制御信号は、マスター信号に変換を追加又は乗算することによって生成してもよく、それによりそれらスレーブ制御信号を補助プラットフォーム器具上で適宜実施することができる。
【0107】
本開示の実施形態は、オペレータから受信したコマンドの直接的な実行が、オペレータによって所望される動きとは反対の動きをもたらすような向きの違いを有するか、又は有する可能性のある補助プラットフォームアーム/器具の制御を容易にすることができる。本開示の実施形態は、別々のベースを有するシステム、異なるプラットフォームを有するが共通のベースを有するシステム、及び平面の実質的に反対側から作業部位に近づく器具を有するシステムに適用可能である。
【0108】
本開示の実施形態は、修正してもよく、そのような修正は、本開示の範囲内にある。例えば、動作1702及び動作1704のようないくつかの動作ステップは、特定のシーケンスで示されているが、動作1702を実行する前に動作1704を実行する等の別のシーケンスで実行してもよい。従って、そのような修正も本開示の範囲及び精神の範囲内にある。