(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】基地局システム、無線ユニット及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/38 20150101AFI20220126BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20220126BHJP
【FI】
H04B1/38
H04W88/08
(21)【出願番号】P 2019025013
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【氏名又は名称】前田 浩次
(74)【代理人】
【識別番号】100166660
【氏名又は名称】吉田 晴人
(72)【発明者】
【氏名】塚本 優
(72)【発明者】
【氏名】難波 忍
(72)【発明者】
【氏名】平山 晴久
(72)【発明者】
【氏名】寺部 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】福田 隼斗
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-200172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0248787(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0368109(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38
H04W 88/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局システムであって、
基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有し、それぞれが1つ以上のスライスに対応している複数の第1ユニットと、
それぞれが、前記複数の第1ユニットのうちの異なる1つの第1ユニットとコアネットワークとの間に接続され、前記基地局の機能のうち、当該1つの第1ユニットが有する機能よりも上位レイヤの機能を有する複数の第2ユニットと、
前記基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有し、アンテナサイトに配置される1つの無線ユニットと、を備え、
前記無線ユニットは、前記複数の第1ユニットと接続され、前記複数の第1ユニットを介して提供される複数のスライスが、前記無線ユニットによって形成される同一のセル内で提供される
ことを特徴とする基地局システム。
【請求項2】
前記複数の第1ユニットは、それぞれ、前記アンテナサイトに配置されるか、又は、前記アンテナサイトと前記コアネットワークとの間に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局システム。
【請求項3】
前記複数の第2ユニットは、それぞれ、前記アンテナサイトと前記コアネットワークとの間の地方収容局に配置されるか、又は、前記地方収容局と前記コアネットワークとの間のデータセンタに配置される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基地局システム。
【請求項4】
前記複数の第1ユニットのそれぞれが有するスケジューラは、前記無線ユニットによって形成される前記セル内において、対応するスライスにアクセスする無線端末に対して無線リソースを割り当てるためのスケジューリングを行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項5】
前記複数の第1ユニットに対して無線リソースを配分する、RAN(無線アクセスネットワーク)コントローラを更に備え、
前記スケジューラは、前記RANコントローラから配分された無線リソースを用いて、前記対応するスライスにアクセスする無線端末に対する前記スケジューリングを行う
ことを特徴とする請求項4に記載の基地局システム。
【請求項6】
前記RANコントローラは、前記複数の第1ユニット及び前記複数の第2ユニットに対して、サービス要件に対応したスライスを設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の基地局システム。
【請求項7】
前記複数の第1ユニットのうちの特定の第1ユニットは、前記アンテナサイトと前記コアネットワークとの間の地方収容局に配置され、
前記特定の第1ユニットは、それぞれ異なるセルを形成する複数の無線ユニットと接続されており、接続された前記複数の無線ユニットの間のセル間協調のための処理を行う
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項8】
前記複数の第2ユニットのうち、前記特定の第1ユニットに関連する第2ユニットは、前記地方収容局に配置される
ことを特徴とする請求項7に記載の基地局システム。
【請求項9】
前記複数の第2ユニットのうちの特定の第2ユニットは、前記アンテナサイトと前記コアネットワークとの間の地方収容局に配置され、
前記複数の第1ユニットのうち、前記特定の第2のユニットに関連する第1ユニットは、前記アンテナサイトに配置され、
前記特定の第2ユニットは、エッジサイトに配置された、低遅延サービスを提供するためのアプリケーションを有するエッジサーバと接続される
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項10】
前記基地局システムは、前記無線ユニット、及び前記複数の第1ユニットのうちの1つ以上の第1ユニットを含む無線通信装置を備え、
前記無線通信装置は、前記無線ユニットと前記無線通信装置の外部の第1ユニットとの間で、対応するスライスに関連するデータが転送され、前記1つ以上の第1ユニットと前記無線通信装置の外部の第2ユニットとの間で、対応するスライスに関連するデータが転送されるように転送制御を行う転送制御部を備える
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項11】
前記転送制御部は、前記無線通信装置の外部の第1及び第2ユニットから送信されたダウンリンクデータを受信し、受信した各ダウンリンクデータを、前記無線ユニット及び前記1つ以上の第1ユニットにブロードキャストし、
前記無線ユニット及び前記1つ以上の第1ユニットは、それぞれ、受信したダウンリンクデータのうち、当該ユニットが有する機能に対応するフォーマットを有するダウンリンクデータに対して処理を行う
ことを特徴とする請求項10に記載の基地局システム。
【請求項12】
前記転送制御部は、前記無線ユニットから送信されるアップリンクデータを、前記1つ以上の第1ユニットと、前記無線通信装置の外部の第1及び第2ユニットへブロードキャストし、前記1つ以上の第1ユニットから送信されるアップリンクデータを、前記無線通信装置の外部の第1及び第2ユニットへブロードキャストし、
前記1つ以上の第1ユニット並びに前記無線通信装置の外部の第1及び第2ユニットは、それぞれ、受信したアップリンクデータのうち、当該ユニットが有する機能に対応するフォーマットを有するアップリンクデータに対して処理を行う
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の基地局システム。
【請求項13】
前記転送制御部は、RANコントローラから、各第1ユニット及び各第2ユニットに対応するスライスを示すスライス識別子に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記1つ以上の第1ユニットのそれぞれと前記スライス識別子とを関連付けて保存し、
前記転送制御部は、前記スライス識別子を用いてデータの転送先を判定し、判定した転送先へ当該データを転送する
ことを特徴とする請求項10に記載の基地局システム。
【請求項14】
前記転送制御部は、前記無線通信装置の外部の第1及び第2ユニットから送信されたダウンリンクデータを受信し、受信した各ダウンリンクデータの送信元アドレスから前記スライス識別子を判定し、当該ダウンリンクデータを、前記無線ユニット及び前記1つ以上の第1ユニットのうちで、前記判定したスライス識別子に対応するユニットへ転送する
ことを特徴とする請求項13に記載の基地局システム。
【請求項15】
前記転送制御部は、前記無線ユニットに無線接続してスライスにアクセスする無線端末の情報と、アクセス先のスライスの前記スライス識別子とを関連付けて保持しており、
前記転送制御部は、
前記無線ユニットから送信されるアップリンクデータに関連するスケジューリング情報に基づいて、前記スライス識別子を判定し、
前記無線ユニットから送信されるアップリンクデータを、前記判定したスライス識別子に対応する、前記1つ以上の第1ユニット及び前記無線通信装置の外部の第1ユニットのいずれかへ転送し、
前記1つ以上の第1ユニットから送信されるアップリンクデータを、前記判定したスライス識別子に対応する、前記無線通信装置の外部の第2ユニットへ転送する
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の基地局システム。
【請求項16】
前記転送制御部は、前記無線端末がいずれかのスライスにアクセスする際に前記無線端末から送信される前記スライス識別子を含む通知を、前記無線通信装置と通信可能な制御プレーンのノード装置が有する機能部から受信する
ことを特徴とする請求項15に記載の基地局システム。
【請求項17】
前記RANコントローラは、前記複数の第1ユニット及び前記複数の第2ユニットに対してスライスの設定を行う際に、各第1ユニット及び各第2ユニットと前記スライス識別子との対応情報を、前記無線通信装置に通知する
ことを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項18】
前記スライス識別子は、NSSAI(Network Slice Selection Assistance Information)である
ことを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項19】
前記無線通信装置は、前記無線通信装置の外部の第1ユニット及び第2ユニットと通信可能に接続される単一の通信ポートを更に備え、
前記転送制御部は、前記通信ポートを介して、前記無線通信装置の外部の第1ユニット及び第2ユニットのそれぞれとの間でデータの転送を行う
ことを特徴とする請求項10から18のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項20】
それぞれ異なる第1ユニットに含まれる、無線リソースを無線端末に割り当てるためのスケジューリングを行う複数のスケジューラに対して、RANコントローラから通知される配分率に従って、対応するスライスで使用される無線リソースのリソースブロックを割り当てる、前記アンテナサイトに配置されるリソース制御部を更に備え、
前記複数の第1ユニットは、前記アンテナサイトに配置されるか、又は、前記アンテナサイトと前記コアネットワークとの間に配置され、
前記リソース制御部は、各スケジューラから前記スケジューリングを示すスケジューリング情報を受信した後、当該スケジューリング情報を、所定の時間間隔ごとに到来する転送タイミングに、前記無線ユニットへ転送する
ことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項21】
前記複数のスケジューラのそれぞれは、アップリンク又はダウンリンクのスケジューリングリクエストに応じて、前記リソース制御部から割り当てられているリソースブロックを用いて前記スケジューリングを行い、前記スケジューリング情報を前記リソース制御部へ送信する
ことを特徴とする請求項20に記載の基地局システム。
【請求項22】
前記リソース制御部は、各スケジューラから前記スケジューリング情報を受信した後、前記所定の時間間隔で到来する次の転送タイミングまで、当該スケジューリング情報をバッファリングする
ことを特徴とする請求項20又は21に記載の基地局システム。
【請求項23】
前記リソース制御部は、更新間隔ごとに、当該更新間隔に対応する期間内の前記複数のスケジューラに対するリソースブロックの割り当てを行う
ことを特徴とする請求項20から22のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項24】
前記更新間隔は、前記複数の第1ユニット及び前記複数の第2ユニットに対して設定されるスライス数に応じて予め定められる
ことを特徴とする請求項23に記載の基地局システム。
【請求項25】
前記配分率は、RANコントローラによって各スライスに対して設定され、前記RANコントローラから前記リソース制御部へ通知される
ことを特徴とする請求項20から24のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項26】
前記複数の第1ユニットのそれぞれは、DU(Distributed unit)であり、
前記複数の第2ユニットのそれぞれは、CU(Central unit)である
ことを特徴とする請求項1から25のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項27】
基地局システムであって、
基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有する1つの第1ユニットと、
それぞれが1つ以上のスライスに対応している複数の第2ユニットであって、前記第1ユニットとコアネットワークとの間に接続され、前記基地局の機能のうち、前記第1ユニットが有する機能よりも上位レイヤの機能を有する、前記複数の第2ユニットと、
前記基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有し、アンテナサイトに配置される1つの無線ユニットと、を備え、
前記無線ユニットは、前記第1ユニットと接続され、前記第1ユニットを介して提供される複数のスライスであって前記複数の第2ユニットが対応している前記複数のスライスが、前記無線ユニットによって形成される同一のセル内で提供される
ことを特徴とする基地局システム。
【請求項28】
前記第1ユニットは、前記アンテナサイトに配置されるか、又は、前記アンテナサイトと前記コアネットワークとの間に配置される
ことを特徴とする請求項27に記載の基地局システム。
【請求項29】
前記複数の第2ユニットは、それぞれ、前記アンテナサイトと前記コアネットワークとの間の地方収容局に配置されるか、又は、前記地方収容局と前記コアネットワークとの間のデータセンタに配置される
ことを特徴とする請求項27又は28に記載の基地局システム。
【請求項30】
前記第1ユニットが有するスケジューラは、前記無線ユニットによって形成される前記セル内において、前記複数のスライスのそれぞれにアクセスする無線端末に対して無線リソースを割り当てるためのスケジューリングを行う
ことを特徴とする請求項27から29のいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項31】
前記複数のスライスのそれぞれに対して無線リソースを配分するRANコントローラを更に備え、
前記スケジューラは、無線端末がアクセスするスライスに対して前記RANコントローラから配分された無線リソースを用いて、当該無線端末に対する前記スケジューリングを行う
ことを特徴とする請求項30に記載の基地局システム。
【請求項32】
前記RANコントローラは、前記第1ユニット及び前記複数の第2ユニットに対して、サービス要件に対応したスライスを設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の基地局システム。
【請求項33】
基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有し、それぞれが1つ以上のスライスに対応している複数の第1ユニットと、それぞれが、前記複数の第1ユニットのうちの異なる1つの第1ユニットとコアネットワークとの間に接続され、前記基地局の機能のうち、当該1つの第1ユニットが有する機能よりも上位レイヤの機能を有する複数の第2ユニットと、を備える基地局システムの一部を構成する、アンテナサイトに配置される無線ユニットであって、
前記基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有し、
前記無線ユニットは前記複数の第1ユニットと接続され、前記複数の第1ユニットを介して提供される複数のスライスが、前記無線ユニットによって形成される同一のセル内で提供される
ことを特徴とする無線ユニット。
【請求項34】
基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有する1つの第1ユニットと、それぞれが1つ以上のスライスに対応している複数の第2ユニットであって、前記第1ユニットとコアネットワークとの間に接続され、前記基地局の機能のうち、前記第1ユニットが有する機能よりも上位レイヤの機能を有する、前記複数の第2ユニットと、を備える基地局システムの一部を構成する、アンテナサイトに配置される無線ユニットであって、
前記基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有し、
前記無線ユニットは前記第1ユニットと接続され、前記第1ユニットを介して提供される複数のスライスであって前記複数の第2ユニットが対応している前記複数のスライスが、前記無線ユニットによって形成される同一のセル内で提供される
ことを特徴とする無線ユニット。
【請求項35】
アンテナサイトに配置される無線通信装置であって、
請求項33に記載の無線ユニットと、
前記複数の第1ユニットのうちの1つ以上の第1ユニットと、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項36】
前記無線ユニットと前記無線通信装置の外部の第1ユニットとの間で、対応するスライスに関連するデータが転送され、前記1つ以上の第1ユニットと前記無線通信装置の外部の第2ユニットとの間で、対応するスライスに関連するデータが転送されるように転送制御を行う転送制御部を更に備える
ことを特徴とする請求項35に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークスライシングを適用した基地局システム、無線ユニット及び無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第5世代(5G)移動通信システムでは、サービスタイプが大容量(eMBB:enhanced Mobile BroadBand)、超低遅延(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)、及び多接続(mMTC:massive Machine Type Communications)の三つに大別されており、それぞれのサービス要求が異なる。このように要件が異なるサービスを経済的かつ柔軟に提供するために、ネットワークスライシングが検討されている。
【0003】
また、LTE(Long Term Evolution)の基地局は、通常、RRH(Remote Radio Head)とBBU(Baseband Unit)とで構成されており、RRH及びBBUにそれぞれ基地局機能が分割して配置されている。具体的には、基地局の機能(下位レイヤから順にRF,PHY,MAC,RLC,PDCP)のうち、RRHにRFが配置され、BBUにRF以外の機能が配置されている。近年、3GPPでは、RRH及びBBUに配置する基地局機能の再定義が議論されている(機能分割の再定義)。一般的には、機能分割のオプション及びBBUの配置場所に依存して、基地局間連携(セル間協調)の性能、アプリケーションに与える遅延量、及びネットワークの利用効率等が異なることが知られている。なお、3GPP Release15として初版仕様が策定された5Gでは、下位レイヤの機能が配置されたノードをDU(Distributed Unit)、その他上位レイヤの機能が配置されたノードをCU(Central Unit)と呼ぶ。
【0004】
非特許文献1及び2では、サービスに応じて適切な機能分割オプション及びBBUの配置がなされた仮想ネットワーク(スライス)を選択可能なRANスライシングアーキテクチャが提案されている。このRANスライシングアーキテクチャによれば、サービスごとに、適切な機能分割オプションが適用されたCU(BBU)を適切な場所に配置されたサーバ上に仮想マシンとして立ち上げて、各CUを対応するDU(RRH)に接続することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】(株)KDDI総合研究所,“「5G」×仮想化基地局のスライシング技術を開発”,[online], 平成30年5月21日, [平成31年2月12日検索], インターネット<URL: https://www.kddi-research.jp/newsrelease/2018/052101.html>
【文献】塚本, 難波, 西村,“5Gの多様なサービスに応じた基地局機能分割と配置を有するRANスライシングアーキテクチャ”, 信学技報, Vol. 118, No. 208, CS2018-53, pp.69-74, 2018年9月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、複数のサービスに対応して複数のスライスを生成する場合、当該スライスを提供するための複数のCUのそれぞれに対して単一のDUが接続される。これは、基地局の機能のうちRF及びPHY等の下位レイヤの機能を含む無線ユニットを、スライスごとに用意する必要があることを意味する。このように、スライスごとに無線ユニットを用意する必要があり、単一の無線ユニットにより形成されるセル内で複数のスライス(サービス)を提供することができない。したがって、サービスの追加又は変更に対して即座に対応することが難しく、また、スライス数が増加すると無線ユニットの設置に伴うコストが増加する問題がある。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、ネットワークスライシングが適用された基地局システムにおいて、単一の無線ユニットを用いて複数のスライス(サービス)を提供可能にする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の係る基地局システムは、基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有し、それぞれが1つ以上のスライスに対応している複数の第1ユニットと、それぞれが、前記複数の第1ユニットのうちの異なる1つの第1ユニットとコアネットワークとの間に配置され、前記基地局の機能のうち、当該1つの第1ユニットが有する機能よりも上位レイヤの機能を有する複数の第2ユニットと、前記基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有し、アンテナサイトに配置される1つの無線ユニットと、を備え、前記無線ユニットは、前記複数の第1ユニットと接続され、前記複数の第1ユニットを介して提供される複数のスライスが、前記無線ユニットによって形成される同一のセル内で提供されることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の一態様に係る基地局システムは、基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有する1つの第1ユニットと、それぞれが1つ以上のスライスに対応している複数の第2ユニットであって、前記第1ユニットとコアネットワークとの間に接続され、前記基地局の機能のうち、前記第1ユニットが有する機能よりも上位レイヤの機能を有する、前記複数の第2ユニットと、前記基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有し、アンテナサイトに配置される1つの無線ユニットと、を備え、前記無線ユニットは、前記第1ユニットと接続され、前記第1ユニットを介して提供される複数のスライスであって前記複数の第2ユニットが対応している前記複数のスライスが、前記無線ユニットによって形成される同一のセル内で提供されることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様の係る無線ユニットは、基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有し、それぞれが1つ以上のスライスに対応している複数の第1ユニットと、それぞれが、前記複数の第1ユニットのうちの異なる1つの第1ユニットとコアネットワークとの間に配置され、前記基地局の機能のうち、当該1つの第1ユニットが有する機能よりも上位レイヤの機能を有する複数の第2ユニットと、を備える基地局システムの一部を構成する、アンテナサイトに配置される無線ユニットであって、前記基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有し、前記無線ユニットは前記複数の第1ユニットと接続され、前記複数の第1ユニットを介して提供される複数のスライスが、前記無線ユニットによって形成される同一のセル内で提供されることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の一態様の係る無線ユニットは、基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有する1つの第1ユニットと、それぞれが1つ以上のスライスに対応している複数の第2ユニットであって、前記第1ユニットとコアネットワークとの間に接続され、前記基地局の機能のうち、前記第1ユニットが有する機能よりも上位レイヤの機能を有する、前記複数の第2ユニットと、を備える基地局システムの一部を構成する、アンテナサイトに配置される無線ユニットであって、前記基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有し、前記無線ユニットは前記第1ユニットと接続され、前記第1ユニットを介して提供される複数のスライスであって前記複数の第2ユニットが対応している前記複数のスライスが、前記無線ユニットによって形成される同一のセル内で提供されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ネットワークスライシングが適用された基地局システムにおいて、単一の無線ユニットを用いて複数のスライス(サービス)を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】基地局の機能分割のオプションの例を示す図。
【
図2】基地局システムにおけるCU、DU及びRUの機能構成例を示す図。
【
図3】基地局システムの構成例を示す図(比較例)。
【
図4】基地局システムの構成例を示す図(第1実施形態)。
【
図5】基地局システムの構成例を示す図(第2実施形態)。
【
図6】基地局システムの構成例を示す図(第3実施形態)。
【
図7】NSSAIの取得処理の例を示すシーケンス図(第3実施形態)。
【
図8】無線通信装置のハードウェア構成例を示す図。
【
図9】基地局システムの構成例を示す図(第4実施形態)。
【
図10】各スライスへの無線リソースの割り当ての例を示す図(第4実施形態)。
【
図11】アップリンク通信のシーケンス図(第4実施形態)。
【
図12】ダウンリンク通信のシーケンス図(第4実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0015】
[第1実施形態]
第1実施形態では、基地局(基地局システム)を構成する無線ユニット(RU)をスライスごとに設けずに、単一の無線ユニットにより複数のスライス(サービス)を提供可能にする基地局の構成例について説明する。
【0016】
<基地局の機能分割>
基地局(基地局システム)は、一般に、下位レイヤの機能から上位レイヤの機能まで複数の機能を有し、これらの機能はDU及びCUに分割して配置される。上述のように、DUはLTEにおけるRRHに相当し、CUはLTEにおけるBBUに相当する。
図1は、3GPPにおいて規定されている基地局機能の分割のオプションを示す図であり、基地局の各レイヤの機能(RF,...,PDCP)をDUとCUとに分割して配置する際の分割点が、オプション1~8として示されている。基地局の機能をDUとCUに分割して配置する機能分割により、基地局の上位レイヤの一部の機能がCUに配置され、残りの機能がDUに配置される。
【0017】
図2は、
図1に示される、基地局のそれぞれ異なるレイヤの複数の機能を、CU、DU及びRUに分割した構成の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態では、CU及びDUに加えて、RF及びPHY等の機能を有する無線ユニット(RU:Radio Unit)を新たに設ける。
図2の基地局(基地局システム)は、CU10、DU20、及びRU30で構成され、CU10は、コアネットワーク(5GC、EPC等)に接続され、DU20は、CU10とRU30との間に接続される。
【0018】
DU20は、基地局の機能のうちの、無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有する第1ユニットの一例である。CU10は、基地局の機能のうち、接続されたDU20(第1ユニット)が有する機能よりも上位レイヤの機能を有する第2ユニットの一例である。また、RU30は、基地局の機能のうちの、電波の送受信機能(RF)を少なくとも有する無線ユニットの一例である。
【0019】
図2の構成例では、DU20は、スケジューリング機能に相当するHigh MACの機能だけでなく、RLC及びLow MACの機能も有しており、CU10は、DU20が有する機能より上位レイヤの機能である、SDAP/RRC及びPDCPの機能を有している。また、RU30は、電波の送受信機能に相当するRFの機能だけでなく、PHYの機能も有している。なお、PHYの一部の機能のみをRU30に実装し、PHYの残りの機能をDU20に実装してもよい。
【0020】
以下では、
図2に示される機能構成を一例として用いて、本実施形態に係る基地局システムの構成及び動作について具体的に説明する。
【0021】
<比較例>
図3は、サービスタイプとしてmMTC、URLLC及びeMBBに対応するスライス1~3が生成された、基地局システムの構成例を示す図であり、後述する本実施形態の構成(
図4)に対する比較例を示している。なお、CU及びDUは、NFV/SDNベースのRANコントローラによって制御及び管理がなされ、各スライスは、RANコントローラによって生成される。
【0022】
図3の構成において、基地局システムは、スライス1~3のそれぞれに対応するCU及びDUと、各DUに接続され、かつ、アンテナサイトに配置されたRUとで構成されている。CU及びDUは、スライスごとに、配置される場所が異なっている。CU及びDUの配置に依存して、基地局間連携(セル間協調)の性能、アプリケーションに与える遅延量、及びネットワークの利用効率等が異なる。このため、
図3の構成では、スライス(サービス)ごとに適したCU及びDUの配置がなされている。
【0023】
図3のスライス1(mMTCスライス)では、アンテナサイトにDUが配置され、アンテナサイトからの距離が地方収容局(ローカルオフィス)よりも遠いデータセンタにCUが配置されている。mMTCスライスでは、データサイズが小さく、遅延制約が緩いIoTサービスを仮定した場合、CU(CU-UP)をデータセンタに配置することが適している。
図2に示されるようにDU及びCUに機能が分割された場合、DU-CU間の基地局機能の処理に関わる遅延制約が緩和されるため長距離の伝送が可能である。このため、アンテナサイトから距離のあるデータセンタにCUを配置可能である。データセンタは、コンピューティングリソースが潤沢で、かつ、多数のDUを集約することによって統計多重効果が得られるため、効率的にmMTCサービスを収容することが可能である。
【0024】
図3のスライス2(URLLCスライス)では、アンテナサイトにDUが配置され、地方収容局にCUが配置されている。URLLCスライスでは、低遅延が要求されるサービスを提供するために、基地局の多くの機能をアンテナサイト(DU及びRU)に配置することが適している。また、
図3に示されるように、CU及び5GC UPF(5G Core User Plane Function)を地方収容局に配置することで、MEC(Multi-Access Edge Computing)を導入することが可能となり、それにより低遅延化を実現できる。
【0025】
図3のスライス3(eMBBスライス)では、地方収容局にCU及びDUが配置されている。eMBBスライスでは、大容量が要求され、かつ、ユーザが移動することが想定される。この場合、基地局間連携(セル間協調)が可能になるよう、無線リソースのスケジューリング機能を有するDUを地方収容局することが適している。無線品質が劣化するセル境界においてもセル間協調によりサービス品質を維持することが期待できる。
【0026】
このような比較例の構成では、スライスごとに個別のRU(無線ユニット)をアンテナサイトに配置する必要があり、単一のRUにより形成されるセル内で複数のスライス(サービス)を提供することができない。このため、スライスの数だけRUを用意する必要があり、スライス数の増加に伴ってRUの設置に伴うコストも増加する。
【0027】
<基地局システムの構成>
本実施形態の基地局システムは、スライスごとにRUを設けずに、複数のDU及びCUを単一のRUに対して接続する(即ち、複数のDU及びCUに対してRUを共通化する)構成を有することを特徴としている。これにより、単一のRUで複数のサービス(スライス)を収容可能にする。
【0028】
図4は、本実施形態に係る基地局システムの構成例を示す図である。本実施形態では、コアネットワーク又はRAN(無線アクセスネットワーク)に、RANの機能を制御するRANコントローラ40が設けられる。RANコントローラ40は、RAN上の複数のCU10(10a,10b,10c)及び複数のDU20(20a,20b,20c)に対して、サービス要件に対応したスライスを設定(生成)する。
図4の例では、
図3の比較例と同様に、mMTC、URLLC、及びeMBBのサービス要件に対応したスライス1~3が生成されている。
【0029】
本実施形態では、一例として5Gのネットワーク構成を想定している。
図4において、5GC CPF(5G Core Control Plane Function)60は、5Gコアネットワークの制御処理機能群である。5GC UPF50(50a,50b,50c)は、5Gコアネットワークのデータ処理機能群であり、スライスごとに設けられる。5GC UPF50aはスライス1に、5GC UPF50bはスライス2に、5GC UPF50cはスライス3に対応している。
【0030】
基地局システムは、複数のCU10(10a,10b,10c)、複数のDU20(20a,20b,20c)、及び1つのRU30で構成される。CU10a及びDU20aはスライス1に、CU10b及びDU20bはスライス2に、CU10c及びDU20cはスライス3に対応している。このように、複数のCU10は、それぞれ異なるスライスに対応しており、当該複数のCU10に対応する複数のDU20も同様である。なお、複数のCU10は、それぞれ1つ以上のスライスに対応していてもよく、異なるCU10間で、対応する一部のスライスが共通していてもよい。また、複数のDU20は、それぞれ1つ以上のスライスに対応していてもよく、異なるDU20間で、対応する一部のスライスが共通していてもよい。
【0031】
DU20は、基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能(例えば、High MACの機能)を少なくとも有する。DU20は、それぞれ、アンテナサイトサイトに配置されるか、又はアンテナサイトとコアネットワークとの間(の地方収容局)に配置される。
【0032】
CU10は、それぞれが、DU20のうちの異なる1つのDUとコアネットワークとの間に配置され、基地局の機能のうち、接続された当該1つのDUが有する機能よりも上位レイヤの機能(例えば、SDAP/RRC及びPDCPの機能)を有する。
図4の例では、CU10a,10b,10cは、それぞれ、異なる1つのDU20a,20b,20cと接続される。
【0033】
単一のRU30は、基地局の機能のうちの電波の送受信機能(例えば、RFの機能)を少なくとも有する。RU30は、アンテナサイトに配置され、複数のDU20と接続される。これにより、複数のDU20を介して提供される複数のスライス1~3が、当該RUによって形成される同一のセル内で提供される。
【0034】
本実施形態では、上述の比較例で説明したように、スライス(サービス)に応じて、対応するCU10及びDU20の配置が異なっている。スライス1(mMTCスライス)については、CU10aは、地方収容局とコアネットワークとの間のデータセンタに配置され、DU20aは、アンテナサイトに配置される。これは、上述のように、統計多重効果によりデータセンタのコンピューティングリソースを効率的に利用可能にするためである。
【0035】
スライス2(URLLCスライス)については、CU10bは、地方収容局に配置され、DU20bは、アンテナサイトに配置される。これにより、MECを導入可能にし、低遅延化が実現される。本実施形態では、CU10bは、エッジサイトに配置された、低遅延サービスを提供するためのアプリケーションを有するエッジサーバであるEdge App(Edge Application Server)70と接続されている。なお、Edge App70が配置されるエッジサイトは、CU10bが配置される地方収容局であってもよい。
【0036】
スライス3(eMBBスライス)については、CU10c及びDU20cのいずれも、地方収容局に配置される。これにより、DU20cを、それぞれ異なるアンテナサイトに配置される複数のRU30と接続可能にしている。本実施形態では、DU20cは、それぞれ異なるセルを形成する複数のRU30と接続されており、接続されたRU間のセル間協調(例えば、CoMP(Coordinated Multi-Point Transmission/reception))のための処理を行う。このように、セル間協調を可能にすることで、無線通信品質を向上させることが可能である。
【0037】
本実施形態において、DU20a,20b,20cがそれぞれ有するスケジューラは、RU30によって形成されるセル内において、対応するスライスにアクセスする無線端末に対して無線リソースを割り当てるためのスケジューリングを行う。RU30が使用する無線リソースは、RANコントローラ40によって事前に各DU20のスケジューラに配分される。各DU20のスケジューラは、RANコントローラ40から配分された無線リソースを用いて、対応するスライスにアクセスする無線端末に対するスケジューリングを行う。RU30によって形成されるセル内の各無線端末は、割り当てられた無線リソースを用いて、スライス1~3のうちのアクセス対象のスライスにアクセスすることで、サービスの提供を受けることが可能である。
【0038】
<CU、DU及びRUの構成>
CU10及びDU20は、一例として、
図8に示されるようなハードウェア構成を有する。具体的には、CU10(DU20)は、CPU101、ROM102、RAM103、HDD等の外部記憶デバイス104、及び通信デバイス105を有する。
【0039】
CU10(DU20)では、例えばROM102、RAM103及び外部記憶デバイス104のいずれかに格納された、CU10(DU20)の上述の各機能を実現するプログラムがCPU101によって実行される。なお、CPU101は、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)等の1つ以上のプロセッサによって置き換えられてもよい。
【0040】
通信デバイス105は、CPU101により制御下で、コアネットワーク内のノード(5GC CPF60及び5GC UPF50)、RANコントローラ40、及び接続されたDU20(CU10)等の、外部装置との通信を行うための通信インタフェースである。CU10(DU20)は、それぞれ接続先が異なる複数の通信デバイス105を有していてもよい。
【0041】
なお、CU10(DU20)は、上述の各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。
【0042】
また、RU30も
図8に示されるようなハードウェア構成を有しうる。なお、RU30は、通信デバイス105として、各DU20との通信のための通信インタフェースの他に、無線端末との無線通信のための無線通信インタフェースも備えている。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の基地局システムは、複数のCU10、複数のDU20及び単一のRU30で構成される。複数のDU20は、基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有し、それぞれが1つ以上のスライスに対応している。複数のCU10は、それぞれが、複数のDU20のうちの異なる1つのDUとコアネットワークとの間に接続され、基地局の機能のうち、当該1つのDUが有する機能よりも上位レイヤの機能を有する。RU30は、基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有し、アンテナサイトに配置される。RU30は、複数のDU20と接続され、当該複数のDU20を介して提供される複数のスライスが、RU30によって形成される同一のセル内で提供される。
【0044】
このように、本実施形態では、単一のRU30(単一のセル)に対して複数のDU20及びCU10を接続する。これにより、同一セル内で複数のスライス(サービス)を提供することが可能になる。したがって、RANコントローラ40を用いたサービスの追加又は変更に対して迅速かつ柔軟に対応することが可能になるとともに、スライス数の増加によりRUの設置に伴うコストが増加することを避けることが可能になる。また、スライスごとに、サービス要件に適したDUを用いることが可能になる。
【0045】
<変形例>
上述の第1実施形態は種々の変更が可能である。例えば、複数のCUと単一のDU20と単一のRU30とで基地局システムを構成してもよい。その場合、DU20は、基地局の機能のうちの無線リソースのスケジューリング機能を少なくとも有するように構成される。複数のCU10は、それぞれが1つ以上のスライスに対応しており、DU20とコアネットワークとの間に接続され、基地局の機能のうち、DU20が有する機能よりも上位レイヤの機能を有するように構成される。単一のRU30は、基地局の機能のうちの電波の送受信機能を少なくとも有するように構成され、アンテナサイトに配置される。RU30はDU20と接続され、DU20を介して提供される複数のスライスであって複数のCU10が対応している複数のスライスが、RU30によって形成される同一のセル内で提供される。
【0046】
この場合、DU20が有するスケジューラは、RU30によって形成されるセル内において、複数のスライスのそれぞれにアクセスする無線端末に対して無線リソースを割り当てるためのスケジューリングを行う。RU30が使用する無線リソースは、RANコントローラ40によって事前に複数のスライスのそれぞれに対して配分される。DU20のスケジューラは、セル内の無線端末がアクセスするスライスに対してRANコントローラ40から配分された無線リソースを用いて、当該無線端末に対するスケジューリングを行う。RU30によって形成されるセル内の各無線端末は、割り当てられた無線リソースを用いて、スライス1~3のうちのアクセス対象のスライスにアクセスすることで、サービスの提供を受けることが可能である。
【0047】
このように、上述の変形例によっても、RU30によって形成される同一セル内で複数のスライス(サービス)を提供することが可能になり、上述の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0048】
[第2実施形態]
第2実施形態では、第1実施形態で説明した基地局システムにおける各スライスに関連するデータの転送制御の具体例について説明する。なお、以下では第1実施形態と共通する部分については説明を省略している。
【0049】
図5は、本実施形態に係る基地局システムの構成例を示す図である。本実施形態では、アンテナサイトに、RU30と、複数のDU20のうちの1つ以上のDUとを含む無線通信装置100が設けられる。無線通信装置100は、例えば
図8に示される構成により実現されうる。無線通信装置100は、当該装置の外部のCU10及びDU20と通信可能に接続される単一の通信ポートを備えている。当該通信ポートと外部のCU10及びDU20との間の回線(フロントホールリンク)では、CU10及びDU20の中間データが、イーサネット(登録商標)フレームにカプセリングされて伝送される。
【0050】
図5に示されるように、無線通信装置100は、CU-DU間及びDU-RU間のデータの転送制御を行う転送制御部110(110a,110b)を備える。転送制御部110は、RU30と無線通信装置100の外部のDU20(DU20c)との間で、対応するスライス(スライス3)に関連するデータが転送されるように、データの転送制御を行う。転送制御部110は、更に、無線通信装置100内の1つ以上のDU20(20a,20b)と無線通信装置100の外部のCU10(10a,10b)との間で、対応するスライス(スライス1,2)に関連するデータが転送されるように転送制御を行う。
【0051】
本実施形態では、上述のような転送制御により、各スライスに関連するデータをCU-DU間及びDU-RU間で適切に転送する。これにより、各CU10及びDU20が、対応するスライスの処理を実行することを可能にしている。
【0052】
次に、転送制御部110による具体的な転送制御の例について説明する。本実施形態では、DU20とRU30との間の基地局機能の分割点、及びCU10とDU20との間の基地局機能の分割点において、転送制御部110(110a,110b)が、上位又は下位レイヤの機能に中間データのブロードキャスト送信を行う。CU10又はDU20は、受信した中間データのうち、自らの機能により処理すべきデータのみを抽出して処理を行う。
【0053】
例えば、転送制御部110bは、無線通信装置100の外部のCU10a,10b及びDU20cから送信されたダウンリンクデータを受信し、受信した各ダウンリンクデータを、RU30及び装置内のDU20a,20bにブロードキャストする。一方、RU30及びDU20a,20bは、それぞれ、受信したダウンリンクデータのうち、当該ユニットが有する機能に対応するフォーマットを有するダウンリンクデータに対して処理を行う。
【0054】
また、転送制御部110aは、RU30から送信されるアップリンクデータを、装置内のDU20a,20bと、無線通信装置100の外部のCU10a,10b及びDU20cへブロードキャストする。また、転送制御部110bは、装置内のDU20a,20bから送信されるアップリンクデータを、無線通信装置100の外部のCU10a,10b及びDU20cへブロードキャストする。一方、装置内のDU20a,20bと外部のCU10a,10b及びDU20は、それぞれ、受信したアップリンクデータのうち、当該ユニットが有する機能に対応するフォーマットを有するアップリンクデータに対して処理を行う。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、転送制御部110が、各スライスに関連するアップリンク又はダウンリンクデータが対応するスライスのCU10又はDU20に確実に転送されるように、例えばブロードキャスト送信を用いて転送制御を行う。本実施形態によれば、第1実施形態と同様、様々なサービスを単一のRU30に収容することが可能になり、単一セル内に複数のスライスを収容することが可能になる。また、RANコントローラ40を用いたサービスの追加又は変更に対して迅速かつ柔軟に対応することが可能になる。
【0056】
[第3実施形態]
第3実施形態では、第2実施形態の変形例として、各スライスを示すスライス識別子を利用して、CU-DU間及びDU-RU間のデータの転送制御を実現する例について説明する。なお、以下では第1及び第2実施形態と共通する部分については説明を省略している。
【0057】
第2実施形態では、DU20とRU30との間の基地局機能の分割点、及びCU10とDU20との間の基地局機能の分割点において、転送制御部110(110a,110b)が、上位又は下位レイヤの機能に中間データのブロードキャスト送信を行っている。これは、転送対象のデータがいずれのスライスに対応するデータであるのかを識別することができないためである。即ち、データの転送先のユニットを判定することができないため、可能性のあるユニットに対してブロードキャスト送信を行っている。このため、ユニット間(機能間)で不要なデータ転送が生じることになりうる。
【0058】
そこで、本実施形態では、スライス識別子を利用してデータの転送先を判定して転送制御を行うことで、ユニット間(機能間)で不要なデータ転送が生じることを防止する。それにより、各ユニット(機能)において効率的なデータ処理が行われることを実現する。
【0059】
図6は、本実施形態に係る基地局システムの構成例を示す図である。本実施形態では、第2実施形態の無線通信装置100内の転送制御部110(
図5)を、分類器115(115a,115b)として構成する。分類器115は、スライス識別子を用いてデータの転送先を判定し、判定した転送先へ当該データを転送する。即ち、分類器115は、転送対象のデータをスライスごとに分類して転送制御を行う。分類器115は、各スライスを示すスライス識別子として、コアネットワークで用いられるスライス識別子として規定されているNSSAI(Network Slice Selection Assistance Information)を使用する。
【0060】
図7は、分類器115がNSSAIを取得する処理の例を示すシーケンス図である。まず、RANコントローラ40は、スライス1~3を生成する(CU10を生成し、CU10とDU20のネットワーク設定を行う)際に、CU10及びDU20とNSSAIとを関連付ける(S301)。更に、RANコントローラ40は、CU10及びDU20とNSSAIとの対応情報を、NSSAI情報として無線通信装置100(分類器115)へ通知する(S302)。
【0061】
分類器115は、RANコントローラ40からの通知に基づいて、無線通信装置100内のDU20a,20bのそれぞれとNSSAIとを関連付けて保存する(S303)。このようにして、分類器115は、RANコントローラ40から、各CU10及び各DU20に対応するスライスを示すNSSAIに関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、装置内のDU20a,20bのそれぞれとNSSAIとを関連付けて保存する。
【0062】
その後、RU30のセル内の無線端末200が、特定のアプリケーションを起動すると、NSSAIを含むNSSAIリクエストをRRCメッセージで送信する(S304)。これにより、RAN内の制御プレーンのCU(CU-CP)が有するRRC機能150により、NSSAIがコアネットワークに通知され、コアネットワークでは、通知されたNSSAIを用いてUPFの選択が行われる。RRC機能150は、NSSAI及び無線端末200の端末情報を、分類器115へ通知する(S305)。
【0063】
このようにして、分類器115は、無線端末200がいずれかのスライスにアクセスする際に当該無線端末から送信されるNSSAIを含む通知を、無線通信装置100と通信可能な制御プレーンのノード装置(CU)が有する機能部(RRC機能150)から受信する。これにより、分類器115は、RU30に無線接続してスライスにアクセスする無線端末200の情報と、アクセス先のスライスのNSSAIとを関連付けて保持する。
【0064】
分類器115は、上述のようにして取得した情報を用いて、以下のようにデータの転送制御を行う。ダウンリンクについては、分類器115bは、無線通信装置100の外部のCU10a,10b及びDU20cから送信されたダウンリンクデータを受信し、受信した各ダウンリンクデータの送信元アドレス(イーサネットフレームの送信元アドレス)からNSSAIを判定する。更に、分類器115bは、当該ダウンリンクデータを、RU30及び装置内のDU20a,20bのうちで、判定したNSSAIに対応するユニットへ転送する。
【0065】
アップリンクについては、分類器115aは、RU30から送信されるアップリンクデータに関連するスケジューリング情報(ULグラント)に基づいて、NSSAIを判定する。更に、分類器115aは、RU30から送信されるアップリンクデータを、判定したNSSAIに対応する、装置内のDU20a,20b及び又は外部のDU20cのいずれかへ転送する。また、分類器115bは、装置内のDU20a,20bから送信されるアップリンクデータを、判定したNSSAIに対応する、外部のCU10(CU10a又はCU10b)へ転送する。なお、無線通信装置100の外部へ送信されるアップリンクデータ(中間データ)は、イーサネットフレームにカプセリングされて伝送される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態では、無線通信装置100内でスライスごとに転送対象のデータを分類する(即ち、データの転送先を判定する)ための分類器115を導入する。これにより、ユニット間(機能間)で生じうる不要なデータ転送を削減することが可能になる。その結果、CU10及びDU20のコンピューティングリソース及びフロントホール回線の伝送帯域の利用効率を向上させることが可能になる。
【0067】
[第4実施形態]
ネットワークスライシングが適用された場合の無線リソースのスケジューリングでは、スライスが互いに影響し合わないようにするアイソレーションだけでなく、スケジューラが異なる場所に配置されることに対応したスケジューリングを実現する必要がある。そこで、第4実施形態では、上述の各実施形態に係るネットワークスライシングが適用された基地局システムにおいて、配置場所がそれぞれ異なる複数のDU20のスケジューリング機能によるスケジューリングを実現する例について説明する。なお、以下では第1乃至第3実施形態と共通する部分については説明を省略している。
【0068】
図9は、本実施形態に係る基地局システムの構成例を示す図である。DU20a,20b,20cは、それぞれ、無線リソースを無線端末に割り当てるためのスケジューリングを行うスケジューラ21a,21b,21cを含んでいる。
図9に示されるように、スライス1,2に対応するスケジューラ21a,21bはアンテナサイトに配置されており、スライス3に対応するスケジューラ21cは地方収容局に収容されている。このように、スケジューラ21a,21bとスケジューラ21cとで配置場所が異なっている。
【0069】
本実施形態の無線通信装置100は、DU20a,20b及びRU30に加えて、下位レイヤのRU30と上位レイヤのDU20との間に配置された無線リソースハイパーバイザ(WRH:Wireless Resource Hypervisor)120を備える。WRH120(リソース制御部)は、スライス1~3に対応する複数のスケジューラ21(21a,21b,21c)に対して、RANコントローラ40から通知される配分率に従って、対応するスライスで使用される無線リソースのリソースブロック(RB)を割り当てる機能を有する。また、後述するように、WRH120は、各スケジューラ21から受信したスケジューリング情報を、適切なタイミングに下位レイヤの機能(RU30)に送信する機能も有する。
【0070】
ここで、
図10を参照して、WRH120による各スライス(各スケジューラ21)への無線リソースの割り当ての例について説明する。各スライスへの無線リソースの配分率は、RANコントローラ40によって各スライスに対して設定され、RANコントローラ40からWRH120へ通知される。
図10の例では、スライス1~3に対する配分率として、10%、20%及び70%がそれぞれ設定されている。
【0071】
WRH120は、更新間隔iごとに、当該更新間隔に対応する期間内のRBを、通知された配分率に従って、各スライスに対してランダムに割り当てる(S1)。なお、WRH120は、何らかの特定のアルゴリズムに従って、各スライスにRBの割り当てを行ってもよい。この更新間隔iは、複数のCU10及び複数のDU20に対して設定されるスライス数に応じて予め定められうる。
【0072】
次に各スケジューラ21は、対応するスライスにアクセスする無線端末に対して、WRH120から割り当てられたRBを用いてスケジューリングを行う(S2)。即ち、各スケジューラ21は、WRH120から割り当てられているRBを、対応するスライスにアクセスする無線端末に割り当てる。
【0073】
その後、WRH120は、次の更新間隔iに対応する期間内のRBを、通知された配分率に従って、各スライスに対してランダムに割り当てる(S3)。また、各スケジューラ21は、対応するスライスにアクセスする無線端末に対して、WRH120から割り当てられたRBを用いてスケジューリングを行う(S4)。このような処理が繰り返されることで、ネットワークスライシングが適用された基地局システム内の無線リソースのスケジューリングにおけるアイソレーションが実現される。
【0074】
このように、WRH120を使用することで、無線リソースのスケジューリングにおけるアイソレーションを実現できる。その一方で、各スライスに対応するスケジューラ21の配置場所が異なることに起因して、スケジューリングを示すスケジューリング情報の、各スケジューラ21からRU30への到達に時間差が生じうる。本実施形態では、このようなスケジューリング情報の到達時間差に対処すべく、WRH120は、各スケジューラ21からスケジューリング情報を受信した後、当該スケジューリング情報を、所定の時間間隔ごとに到来する転送タイミングに、RU30へ転送する。
【0075】
図11及び
図12は、本実施形態に係る基地局システムにおける、アップリンク通信及びダウンリンク通信のシーケンスの例を示すシーケンス図である。WRH120は、アップリンク通信及びダウンリンク通信において、スケジューリング情報の転送制御として同様の転送制御を実行する。
【0076】
まず、RANコントローラ40は、スライスの設計ポリシーに基づいて、各スライスに対するRBの配分率を設定し、設定した配分率をWRH120へ通知する(S601,S701)。WRH120は、通知された配分率に従って、更新間隔iに対応する期間内のRBを、各スケジューラ21に対して割り当て、その割り当て結果を示す情報を各スケジューラ21へ通知する(S602,S702)。
【0077】
その後、RU30によって形成されるセル内の無線端末200又はコアネットワークから各スケジューラ21に対して、アップリンク又はダウンリンクのスケジューリングリクエストが同時に送信された場合を想定する。この場合に、各スケジューラ21は、所定のスケジューリングアルゴリズム(Round Robin、Proportional Fairness、Max C/I等)に基づいて、WRH120から割り当てられているRBを用いたスケジューリングを行う。各スケジューラ21は、スケジューリングの結果を示すスケジューリング情報を、WRH120へ通知する(S603,S703)。
【0078】
このとき、無線通信装置100内のスケジューラ21a,21bからのスケジューリング情報の到達時間に対して、地方収容局に配置されたスケジューラ21cからのスケジューリング情報の到達時間に遅延が生じうる。本例では、スケジューラ21a,21bからのスケジューリング情報の到達後の、ある送信時間間隔(TTI)におけるULグラント又はDLグラントの送信タイミングに、スケジューラ21cからのスケジューリング情報の到達が間に合わない。このため、WRH120は、スケジューラ21cからのスケジューリング情報については、次のTTIにおいて、スケジューラ21a,21bからその後に受信されるスケジューリング情報とともに、まとめてRU30へ転送する。即ち、WRH120は、スケジューラ21cからのスライス3のスケジューリング情報が、他のスライスについてのULグラント又はDLグラントの送信と同一のTTIに間に合わない場合には、次のTTIにおいてスライス3についてのULグラント又はDLグラントが送信されるように、スケジューリング情報の転送制御を行う。その結果、RU30は、次のTTIにおいて、スケジューラ21a,21b,21cからのスケジューリング情報に従って、スライス1~3のULグラント又はDLグラントを無線端末200へ送信する。
【0079】
このように、WRH120は、各スケジューラ21からスケジューリング情報を受信した後、当該スケジューリング情報を、所定の時間間隔(TTI)ごとに到来する転送タイミングに、RU30へ転送する。即ち、WRH120は、各スケジューラ21からスケジューリング情報を受信した後、所定の時間間隔(TTI)で到来する次の転送タイミングまで、当該スケジューリング情報をバッファリングする。
【0080】
また、例えばスライス3においてCoMP等のセル間協調が行われている場合、スケジューラ21cから、対応するスライス3で使用するRBを予約するための予約情報が、スケジューリング情報とともにWRH120へ送信される場合がある(S604,S704)。この場合、WRH120は、複数のスケジューラ21のいずれかから予約情報を受信すると、当該予約情報に従って、当該複数のスケジューラに対するRBの割り当てを行う。具体的には、WRH120は、割り当て対象のRBのうち、予約情報が示すRBを、当該予約情報の送信元のスケジューラ21cに割り当て、残りのRBを、RANコントローラ40から通知された配分率に従って複数のスケジューラ21a,21b,21cに割り当てる。WRH120は、その割り当て結果を示す情報を各スケジューラ21へ通知する(S605,S705)。
【0081】
このように、WRH120は、スライス数に応じて定められた更新間隔iごとのタイミングに、複数のスケジューラ21へのRBの割り当てを行うとともに、RBの予約が発生したタイミングにも、複数のスケジューラ21へのRBの割り当てを行う。なお、上述のRBの予約は、CoMPのために使用されるRBの予約のためだけでなく、例えば、限定されたRBを使用する無線端末(例えば、IoTデバイス)に割り当てるRBの予約のためにも行われてもよい。これにより、IoTデバイスの受信機を単純化することが可能になり、IoTデバイスの省電力化に貢献できる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態によれば、ネットワークスライシングが適用された基地局システムにおいて、無線リソースのスケジューリングにおけるスライス間のアイソレーションを実現できる。更に、スライスごとにスケジューラ21の配置場所が異なっていても、適切なタイミングに無線端末に対して無線リソースの割り当てを行うことが可能になる。
【0083】
[その他の実施形態]
上述の実施形態に係る無線通信装置は、コンピュータを無線通信装置として機能させるためのコンピュータプログラムにより実現することができる。当該コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて配布が可能なもの、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【符号の説明】
【0084】
10:CU、20:DU、30:RU、40:RANコントローラ、50:5GC UPF、60:5GC CPF、70:エッジアプリケーション、100:無線通信装置、101:CPU、102:ROM、103:RAM、104:外部記憶デバイス、105:通信デバイス、110:転送制御部、115:分類器、120:WRH、21:スケジューラ