(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】発光ダイオードモジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20220126BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20220126BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20220126BHJP
F21K 9/232 20160101ALI20220126BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20220126BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20220126BHJP
F21Y 113/17 20160101ALN20220126BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220126BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/50
H01L33/00 L
F21K9/232 100
F21V19/00 170
F21V9/30
F21Y113:17
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019124909
(22)【出願日】2019-07-04
(62)【分割の表示】P 2014205343の分割
【原出願日】2014-10-06
【審査請求日】2019-07-04
(32)【優先日】2013-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598061302
【氏名又は名称】晶元光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Epistar Corporation
【住所又は居所原語表記】21,Li-hsin Rd.,Science-based Industrial Park,Hsinchu 300,TAIWAN
(73)【特許権者】
【識別番号】518189851
【氏名又は名称】カイスター ライトニング (シァメン)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジャー パーン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ チ,チョン
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-165811(JP,A)
【文献】国際公開第2012/060106(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0139949(US,A1)
【文献】特開2009-081196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
F21K 9/232
F21V 19/00
F21V 9/30
F21Y 113:17
F21Y 115:10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードモジュールであって、
第一上表面を含む第一基板;
前記第一上表面に形成され、且つ第一内側表面を有する第二基板;
前記第二基板と物理的に分離され、前記第一上表面に形成され、且つ第二内側表面を有する第三基板であって、前記第一内側表面と前記第二内側表面とが互いに相対する、第三基板;
前記第一上表面に設置され、且つ前記第一内側表面と前記第二内側表面との間に位置する複数の発光ダイオードチップ;
前記第二基板に形成される第一導電電極板;
前記第三基板に形成される第二導電電極板
;
前記複数の発光ダイオードチップ、前記第二基板、及び前記第三基板を覆う蛍光粉末層
;及び
前記第二基板と前記第一基板との間、及び、前記第三基板と前記第一基板との間に形成され、前記第二基板を前記第一基板に取り付け、且つ前記第三基板を前記第一基板に取り付けるために用いられ粘着層を含み、
上面図において、前記第一上表面は、短い外側辺を有し、前記第一導電電極板は、前記第二導電電極板よりも、前記短い外側辺に近く、且つ前記第一導電電極板は、前記短い外側辺を超えず、
前記複数の発光ダイオードチップは、ボンディングワイヤにより、前記第一導電電極板及び前記第二導電電極板に電気接続される、発光ダイオードモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の発光ダイオードモジュールであって、
前記複数の発光ダイオードチップのうちの少なくとも1つは、第二上表面を有し、前記第一導電電極板は、第三上表面を有し、前記第三上表面と前記第一上表面との間の垂直距離は、前記第二上表面と前記第一上表面との間の垂直距離よりも大きい、発光ダイオードモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の発光ダイオードモジュールであって、
前記蛍光粉末層は、前記ボンディングワイヤを覆う、発光ダイオードモジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の発光ダイオードモジュールであって、
前記第二基板及び前記第三基板は不導体である、発光ダイオードモジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の発光ダイオードモジュールであって、
前記蛍光粉末層は、円弧状の外表面を有する、発光ダイオードモジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の発光ダイオードモジュールであって、
前記第一内側表面及び前記第二内側表面は、前記第一上表面にほぼ垂直である、発光ダイオードモジュール。
【請求項7】
請求項1に記載の発光ダイオードモジュールであって、
前記第一基板は、長い辺及び短い辺を有し、
前記長い辺の方向に沿う断面図において、前記第一内側表面、前記第二内側表面、及び前記複数の発光ダイオードチップは、前記長い辺の前記方向に沿って互いに重なり合う、発光ダイオードモジュール。
【請求項8】
請求項1に記載の発光ダイオードモジュールであって、
前記第一基板は、前記第一上表面に相対する底表面を含み、前記底表面は、前記第一導電電極板及び前記第二導電電極板を含まない、発光ダイオードモジュール。
【請求項9】
請求項1に記載の発光ダイオードモジュールであって、
前記第一導電電極板は、長方形の形状を有する、発光ダイオードモジュール。
【請求項10】
LED電球であって、
請求項1に記載の発光ダイオードモジュール;及び
前記発光ダイオードモジュールを覆うカバーを含む、LED電球。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)モジュール(以下LEDモジュールともいう)及びその製造方法に関し、特に全方向の発光可能なLEDモジュール及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の生活において、様々なLED製品が応用されていることを発見することができる。例えば、交通信号機、車の尾灯、車の前照灯、街路灯、パソコン表示灯、懐中電灯、LEDバックライトなどである。このような製品のLEDモジュールに対して、LEDチップ製造工程を行うこと以外、最後段階に実装工程も行わなければならない。
【0003】
LED実装工程を行う主な目的は、LEDチップを電気的、光学的、熱的にサポートすることにある。LEDチップのような半導体製品を大気中に長時間露出させると、大気中の湿気又は空気中の化学物質により、それが劣化するとともに、特性が衰退する。LED実装工程において、通常エポキシ樹脂でLEDチップを実装することにより、LEDチップと空気とを有効に隔離する。また、高輝度、省エネの目標を実現するために、LED実装体は良好な放熱性能と光取り出し効率を有しなければならない。LEDチップが発光時に発生した熱が有効に放熱されない場合、LEDチップ中に蓄積された熱により部品の特性、寿命及び安定性に悪い影響を与えるおそれがある。光学的設計もLED実装工程中の重要な一環であり、光を有効に取り出すために、発光角度及び方向なども設計上重要である。
【0004】
白色光LEDの実装工程において、放熱の問題以外に、色温度(color temperature)、演色指数(Color rendering index)、蛍光粉末などの問題も考慮しなければならない。藍色光LEDチップと黄緑色蛍光粉末とを採用する現在の白色光LEDにおいて、使用者が見る白色光は、藍色光LEDチップが放射した藍色光と蛍光粉末が放射した黄緑色光とが混合されて形成されたものである。藍色光の環境に長く滞在すれば、使用者の体に悪い影響を与えるおそれがあるので、蛍光粉末と混合されない藍色光が漏れることを避けなければならない。
【0005】
本発明は、LEDの実装工程の安定化、低コスト化、高品質化などを、LEDの実装工程によって実現することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例に係る発光ダイオードモジュールは、第一透光基板と、第二透光基板と、第一蛍光粉末層と、複数個の発光ダイオードチップと、第二蛍光粉末層とを含む。前記第一蛍光粉末層は、前記第一透光基板と前記第二透光基板との間に位置する。前記第二透光基板は、少なくとも2つの溝部を具備し、かつ略平行に前記第一透光基板上に形成される。前記複数個の発光ダイオードチップは、前記第二透光基板上に固定され、かつ前記2つの溝部の間に位置する。前記第二蛍光粉末層は、前記複数個の発光ダイオードチップ上に覆われ、かつ第二蛍光粉末層の一部分は前記複数個の溝部の中に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例に係るLEDモジュールを示す斜視図である。
【
図2】本発明のLEDモジュールを示す平面図である。
【
図3A】本発明の実施例に係るLEDモジュールにおいて
図2のBB線に沿う断面を示す図である。
【
図3B】本発明の実施例に係るLEDモジュールにおいて
図2のAA線に沿う断面を示す図である。
【
図4】A~Cは本発明のLEDモジュールをフィラメントにした電球を示す斜視図である。
【
図5】本発明のLEDモジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【
図7A】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図7B】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図8A】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図8B】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図9】本発明の透光基板が透光基板に接着されることを示す図である。
【
図10A】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図10B】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図11A】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図11B】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図12A】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図12B】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図13A】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図13B】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図14A】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図14B】LEDモジュールが異なる製造段階に置かれることを示す図である。
【
図15】本発明のLEDモジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【
図16A】本発明の実施例に係るLEDモジュールを示す断面図である。
【
図16B】本発明の実施例に係るLEDモジュールを示す断面図である。
【
図17A】本発明の他の実施例に係るLEDモジュールを示す断面図である。
【
図17B】本発明の他の実施例に係るLEDモジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施例に係る発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)モジュール100を示す斜視図である。
図2は、本発明のLEDモジュール100を示す平面図である。LEDモジュール100が本発明の例示にしか過ぎないものであるため、そのサイズ及び比率などは本発明の実施例にのみ限定されるものではない。
【0009】
図1及び
図2に示すとおり、LEDモジュール100の両端には導電電極板102及び104が形成され、この導電電極板102及び104は複合基板105上に形成される。複合基板105は長方形表面を具備する。下記の内容において複合基板105の構造及び製造方法を説明する。LEDモジュール100は、導電電極板102と導電電極板104との間に大体位置する蛍光粉末層106を有する。
【0010】
図3Aは、LEDモジュール100において
図2のBB線に沿う断面を示す図であり、
図3Bは、LEDモジュール100において
図2のAA線に沿う断面を示す図である。
図3Aと
図3Bに示すとおり、複合基板105は約三層の物質で構成され、この三層の物質は、下から上の方向に配置される透光基板112、蛍光粉末層114及び透光基板116である。蛍光粉末層114は、透光基板112と透光基板116との間に挟まれる。透光基板116上には、導電電極板102及び104と、発光ダイオードチップ108(以下、LEDチップと略称)とが設けられる。蛍光粉末層106は、透光基板116上のLEDチップ108を覆うとともにLEDチップ108の周囲に設けられる。したがって、LEDチップ108は蛍光粉末層106と蛍光粉末層114に封止される。ボンディングワイヤ110を電気線路にすることにより、LEDチップ108同士の間の電気接続を実現する。LEDチップ108の個数は少なくとも二個であり、それらはボンディングワイヤ110によって導電電極板102及び104に電気的に接続される。
【0011】
この明細書において、透明とは光線が透過可能であることを意味し、完全な透明(transparent)又は半透明(translucent or semitransparent)であることができる。ほかの実施例において、透光基板112及び116の材料は非導体材料であり、かつ両者は同一又は相違する材料で構成されることができる。例えば、サファイア、炭化ケイ素又はダイヤモンドライクカーボンであることができる。
【0012】
図1、
図2、
図3A及び
図3Bにおいて、すべてのLEDチップ108は藍色光LEDチップであり、それらは透光基板116上に一列に配列される。しかし、本発明がそれに限定されるものではなく、実際の応用に応じて設けることができる。本発明の実施例において、LEDチップ108を透光基板116上にいずれかの図形に配列することができる。例えば、二列又は三列に配列することができる。他の実施例において、一部分のLEDチップ108は(主波長(dominant Wavelength)が430nm~480nmである)藍色光を放射し、一部分のLEDチップ108は(主波長が630nm~670nmである)赤色光を放射し、一部分のLEDチップ108は(主波長が500nm~530nmである)緑色光を放射することができる。
【0013】
各LEDチップ108は、一個の発光ダイオードで構成され、かつ順方向電圧が2~3Vである(以下「低電圧チップ」という)LEDチップであるか、或いは複数個の発光ダイオードが直列接続され、かつ順方向電圧が低電圧チップより大きく、例えば順方向電圧が12V、24V、48Vである(以下「高電圧チップ」という)LEDチップであることができる。高電圧チップにおいて、発光ダイオードの各々には発光層が形成される。具体的に、その高電圧チップは、ワイヤボンディング方法を使わず、半導体工程によって互いに電気的に接続される複数個の発光ダイオードユニット(すなわち、少なくとも発光層を有する発光ダイオード構造)を共用基板上に形成する。該共用基板は結晶成長型基板又は非結晶成長型基板である。
図1、
図2、
図3A及び
図3Bにおいて、LEDチップ108が一体に直列接続されることにより、電気面において1つの高電圧チップ型発光ダイオードに相当する1つの発光ダイオードが形成される。しかし、本発明はそれに限定されるものではない。他の実施例において、LEDチップ108を任意の図形に配列し、かつLEDチップ同士の間の電気接続方法として、直列、並列、直列と並列とが共存する接続方法、又はブリッジ接続方法を採用することもできる。
【0014】
透光基板116には溝部109a、109b、109c及び109dが形成されている。
図3Aにおいて、溝部109aと溝部109bが略平行になっており、
図3Bにおいて、溝部109cと溝部109dが略平行になっている。
図3Aと
図3Bに示されるとおり、溝部109a、109b、109c及び109dはLEDチップ108の周囲に形成されている。すなわち、LEDチップ108は、透光基板116において溝部109aと溝部109bとの間、及び溝部109cと溝部109dとの間に設けられる。
図3Aと
図3Bに示されるとおり、蛍光粉末層106は、溝部109a、109b、109c及び109dに充填されるとともに、これらの溝部を完全に覆う。かつ、蛍光粉末層106は、溝部109a、109b、109c及び109dにより蛍光粉末層114と接触する。
【0015】
蛍光粉末層106及び114は少なくとも一種の蛍光粉末を含む。この蛍光粉末は、LEDチップ108が放射したの藍色光(例えば、その主波長が430nm~480nmである)を励起することにより、黄色光(例えば、その主波長が570nm~590nmである)又は黄緑色光(例えば、その主波長が540nm~570nmである)を形成することができる。黄色光又は黄緑色光と励起されていない青色光とが適当に混合されるとき、肉眼で白色光に見える白色光が形成される。蛍光粉末層106及び114は、透明粘着体と該透明粘着体中に混合される蛍光粉末とを含むことができる。透明粘着体の材料は、例えばエポキシ樹脂(epoxy resin)又はシリコーン(silicone)である。蛍光粉末層106中の蛍光粉末と蛍光粉末層104中の蛍光粉末とは、同様、類似又は相違することができる。蛍光粉末層106及び104中の蛍光粉末は、例えばYAG蛍光粉末又はTAG蛍光粉末である。蛍光粉末層106及び114は、一種又は多種の蛍光粉末を含むことができる。例えば、本発明の実施例の蛍光粉末層106及び114が二種の蛍光粉末を含むことができ、そのうち一種は黄色光放射可能な蛍光粉末であり、他の一種は赤色光放射可能な蛍光粉末である。他の実施例において、緑色光放射可能な蛍光粉末を含むこともできる。
【0016】
LEDチップ108の各々は、蛍光粉末層106及び114で形成される蛍光粉末カプセル(capsule)に包囲される。LEDチップ108が上方及び周囲へ放射した光線は、蛍光粉末層106に当たり、LEDチップ108が下方へ放射した光線は、蛍光粉末層114に当たる。したがって、LEDチップ108が放射した光線は、蛍光粉末によって黄色光又は黄緑色光に変更されるか、或いは黄色光又は黄緑色光と混合されかつ肉眼で白色に見える白色光に変更される。それにより、蛍光粉末と混合されない藍色光が使用者の肉眼に影響を与えることを避けることができる。
【0017】
図4(A)は、本発明のLEDモジュール100をフィラメントにしたLED電球200aを示す斜視図である。LED電球200aは二個の接続具202を含む。接続具202はV型又はY型接続具であることができる。接続具202の各々は導電材料で構成され、かつ各接続具202の二個の先端がLEDモジュール100の両端の導電電極板102及び104に接続固定されることにより、LEDモジュール100の蛍光粉末層106の表面が上方に向く(Z方向)。LEDモジュール100は接続具202によってカバー204の内部に固定される。接続具202によってLEDモジュール100の両端の導電電極板102及び104がLED電球200aのエジソンベース203に電気的に接続されることにより、LEDモジュール100に発光用電気を供給することができる。
図4(B)と
図4(A)が類似する。
図4(B)は、LEDモジュール100をフィラメントにしたLED電球200bを示す斜視図である。LED電球200aとLED電球200bの相違点は、LED電球200b中のLEDモジュール100の蛍光粉末層106の表面がY方向に向き、LED電球200bの回転軸(Z方向)に略垂直であることにある。
図4(C)と
図4(B)が類似するが、相違点は、
図4(C)の支持物209が中実の長方形に形成され、かつ支持物209の一端にはLEDモジュール100をカバー204の内部に固定させるための凹部213が形成されることにある。支持物209の材料は金属又は導体であり、LEDモジュール100の両端の導電電極板102及び104はエジソンベース203に電気的に接続される。(本発明のLEDモジュール100が)透光基板112、116を有することにより、LED電球200a、200b及び200cが全方向の発光可能な照明装置になることができる。
【0018】
図5は、本発明のLEDモジュールの製造方法を示すフローチャートである。
図5中の各ステップについて、以下の図面を参照しながら一つ一つ説明する。
【0019】
ステップ302において、1つの透光基板116を提供する。該透光基板116は
図6に示すとおりである。
図6の透光基板116上には同様又は類似する複数のパターン(pattern)が形成され、それらのパターンが2*4のマトリックスに配置されることにより、8個のLEDモジュール100を製作することができる。本発明の実施例は
図6の透光基板116にのみ限定されるものではない。例えば、他の実施例において、一個のLEDモジュール100又は8個以上のLEDモジュール100を製作可能な透光基板116を採用することができる。
【0020】
図6のパターンは、複数個の溝部109a、109b、109c、109d、109e及び109fによって形成される。それらの溝部において、溝部109aと溝部109bが略平行になり、溝部109cと溝部109dが略平行になる。
図7Aは
図6の透光基板116のAA線に沿う断面を示す図であり、
図7Bは
図6の透光基板116のBB線に沿う断面を示す図である。溝部109a、109b、109c及び109dは、後で設けるLEDチップ108の区域の周辺に位置する。溝部109e及び109fが、LEDモジュール100が設けられる位置を大体に定義(画定)することにより、後で行われる切断工程(singulation)を容易に行うことができる。溝部109a、109b、109c、109d、109e及び109fは、例えば、ドライエッチング又はウエットエッチングで形成することができる。
【0021】
ステップ304において、
図8A及び
図8Bに示すとおり、蛍光粉末層114を透光基板112上に塗布又は接着させる。蛍光粉末層を形成する前、透光基板112上に複数個の溝部を形成することができる。透光基板116を透光基板112上に積層させるとき、透光基板112の溝部が透光基板116の溝部109e及び109fに対応するようにする。それにより、後で行われる切断工程を容易に行うことができる。
【0022】
ステップ306において、
図9に示すとおり、蛍光粉末層114又は他の透明材料を粘着層として、透光基板116を透光基板112上に積層させる。
図10A及び
図10Bは、透光基板116が透光基板112上に積層されることを示す2つの断面図である。
図10A及び
図10Bはそれぞれ、
図7A及び
図7Bに対応する。
【0023】
ステップ308において、
図11A及び
図11Bに示すとおり、導電電極板102及び104を透光基板116上に形成する。
図11A及び
図11Bはそれぞれ、
図10A及び
図10Bに対応する。例えば、別々に存在する金属片を、透光基板116上の所定の位置に接着させることにより、導電電極板102及び104を形成することができる。
【0024】
ステップ310において、
図12A及び
図12Bに示すとおり、LEDチップ108を透光基板116上に接着させる。
図12A及び
図12Bはそれぞれ、
図11A及び
図11Bに対応する。例えば、銀接着剤でLEDチップ108を透光基板116上に接着させることができる。
【0025】
ステップ312において、
図13A及び
図13Bに示すとおり、ボンディングワイヤ110を形成することにより、LEDチップ108とLEDチップ108との間、及びLEDチップ108と導電電極板102及び104との間の電気接続を実現する。
図13A及び
図13Bはそれぞれ、
図12A及び
図12Bに対応する。
【0026】
ステップ314において、
図14A及び
図14Bに示すとおり、蛍光粉末層106でボンディングワイヤ110と、LEDチップと、溝部109a、109b、109c及び109dとを覆う。
図14A及び
図14Bはそれぞれ、
図13A及び
図13Bに対応する。
図14A及び
図14Bにおいて、蛍光粉末層106は溝部109e及び109f上に形成されていない。本実施例において、蛍光粉末層106は、接着剤の点塗布方法によりLEDチップ108上に形成される。
【0027】
ステップ316において、透光基板112を切断(singulate)することにより複数個のLEDモジュール100を製作する。切断方法は、引き裂き方法、レーザー切断方法、二酸化炭素レーザー切断方法又は折り切断方法などを含む。上述したとおり、
図9の透光基板116により一回に8個のLEDモジュール100を製作することができる。ステップ316において、
図14A及び
図14Bに示される形状、すなわち溝部109e及び109fの形状に沿って透光基板を切断し、複数個のLEDモジュール100を製作することができる。切断後の断面図は
図3A及び
図3Bに示されるとおりであり、
図3A及び
図3Bはそれぞれ、
図14A及び
図14Bに対応する。
【0028】
図5に示される製造方法において、透光基板112の背面にいずれのパターンも形成しないので、透光基板112の背面をその製造方法において透光基板を取り上げるか或いは持ち上げる(holding)部位にすることができる。これにより、透光基板を容易に搬送することができ、かつ透光基板に傷をつけることを避けることができる。これにより、LEDモジュール100の良品率を向上させることができる。
【0029】
本発明の他の実施例において、蛍光粉末層106は、溝部109a、109b、109c及び109dを完全に覆わないか或いはそれら溝部に完全に充填されなくてもよい。すなわち、蛍光粉末層106で各溝部109a、109b、109c及び109dの少なくとも1つの側壁のみを覆うことができる。これにより、蛍光粉末層106で溝部109a、109b、109c及び109d内に4個の壁を形成し、LEDモジュール100が設けられる箇所を略包囲することができる。
【0030】
図3A及び
図3Bの電気線路としてボンディングワイヤ110を採用してきたが、本発明はそれに限定されるものではない。本発明の他の実施例において、LEDチップ108を透光基板116上に固定する前に、透光基板116上に印刷式電子回路を形成し、フリップチップ方法によりそのLEDチップ108を印刷式電子回路上に固定させることができる。各LEDチップ108は、印刷式電子回路によってLEDチップ同士に電気的に接続されるか、或いは印刷式電子回路又はボンディングワイヤ110によってLEDモジュール100の両端の導電電極板102及び104に電気的に接続される。
【0031】
図15は本発明のLEDモジュールの製造方法を示すフローチャートである。
図16A及び
図16Bは、
図15の製造方法で製造されるLEDモジュール600を示す2つの断面図である。
図15において、
図5の内容に類似するか或いは同様である事項は、上述した内容によって把握することができるので、ここでは再び説明しない。
図15と
図5の相違点は、
図15の製造方法がステップ307を更に含むことにある。このステップ307は、ステップ306とステップ308との間で行われる。
図15の製造方法において、
図5のステップ314の代りにステップ314aを行うことができる。
【0032】
ステップ307において、
図16A及び
図16Bに示すとおり、蛍光粉末層107を溝部109a、109b、109c及び109dに充填する。この実施例において、蛍光粉末層107の表面と透光基板116の表面は略一致するように切断され、かつその両者により1つの表面が形成される。ステップ307により、藍色光が側面から漏れないよう確保することができる。蛍光粉末層107が溝部109a、109b、109c及び109dに充分に充填されると、ステップ314aにおいて蛍光粉末層106でLEDチップ108とボンディングワイヤ110を覆う。
図16Aにおいて、蛍光粉末層107又は溝部109a及び109bが蛍光粉末層106に完全に覆われていないが、ステップ314aにおいて、蛍光粉末層106で蛍光粉末層107又は溝部109a及び109bを完全に覆うことができる。
図16Bに示すとおり、蛍光粉末層106で溝部109a及び109bを覆うことができる。本実施例において、各LEDチップ108は、蛍光粉末層106、114及び107で形成されるカプセル(capsule)に略完全に覆われる。LEDチップ108が上方及び周囲へ放射した光線は、蛍光粉末層106及び107に当たり、LEDチップ108が下方へ放射した光線は、蛍光粉末層114に当たる。したがって、LEDモジュール600は、蛍光粉末と混合されない藍色光が使用者の肉眼に影響を与えることを避けることができる。蛍光粉末層106、114及び107に含まれる蛍光粉末は、同様、類似又は相違することができる。
【0033】
図3A、
図3B、
図16A及び
図16Bの溝部109a、109b、109c及び109dが透光基板116を貫通するので、蛍光粉末層106及び114は、溝部109a、109b、109c及び109dによって蛍光粉末層114と接触することができる。しかし、本発明はそれに限定されるものではない。
図17A及び
図17Bは、LEDモジュール700を示す2つの断面図である。
図17A及び
図17Bにおいて、
図3A及び
図3Bの内容に類似するか或いは同様である事項は、上述した内容によって把握することができるので、ここでは再び説明しない。
図17A及び
図17Bにおいて、溝部109a、109b、109c及び109dは透光基板116を貫通せず、溝部の各々には底部が形成されている。底部と蛍光粉末層114の表面との距離は、0um(含まず)から150um(含む)の範囲にある。これにより、蛍光粉末層106と蛍光粉末層114とが接触しない。蛍光粉末層106と蛍光粉末層114との間の距離が150umより小さいことにより、蛍光粉末と混合されない藍色光が使用者の肉眼に影響を与えることを避けることができる。
【0034】
図17A及び
図17Bにおいて、そられのLEDチップ108は一緒に溝部109gの底部に固定されている。この溝部109gは、溝部109cと溝部109dとの間に位置する。これにより、蛍光粉末と混合されない藍色光が使用者の肉眼に影響を与えることを避けることができる。
【0035】
本発明の実施例は六面発光可能なLEDモジュールに関し、このLEDモジュールはLED電球のフィラメントにすることができる。本発明の実施例に係るLEDモジュールを製造する過程において、(LEDモジュールの)背面にいずれのパターンも形成しないので、製造方法において(LEDモジュールを)容易に取り上げるか或いは持ち上げることができる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施例を詳述してきたが、それらは本発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても当然にこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
100 LEDモジュール
102、104 導電電極板
105 複合基板
106 蛍光粉末層
108 発光ダイオードチップ
109a、109b、109c、109d、109e、109f 溝部
110 ボンディングワイヤ
112 透光基板
114 蛍光粉末層
116 透光基板
200a、200b、200c LED電球
202 接続具
203 エジソンベース
204 カバー
209 支持物
213 凹部
600、700 LEDモジュール