(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】歯科処理装置
(51)【国際特許分類】
A61C 13/00 20060101AFI20220126BHJP
F27B 17/00 20060101ALN20220126BHJP
F27D 1/18 20060101ALN20220126BHJP
【FI】
A61C13/00 K
F27B17/00 C
F27D1/18 E
(21)【出願番号】P 2019555782
(86)(22)【出願日】2018-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2018059163
(87)【国際公開番号】W WO2018189181
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2019-12-10
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】ユッゼル,ルドルフ
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202011003179(DE,U1)
【文献】実開平02-028090(JP,U)
【文献】特表2016-504080(JP,A)
【文献】特表2016-507286(JP,A)
【文献】特表2015-531048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/00 - 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科補綴物(18)を処理するための作用空間(30)内あるいは上に少なくとも部分的に配置されるエネルギー源と、歯科処理装置の他の部位に対して可動式のスタンプ(22)と歯科補綴物の収容プレート(16)とを有してなる歯科処理装置であり、作用空間(30)の上方に貫通口(26)を備えていてその中に前記収容プレート(16)が少なくとも部分的に貫入可能であり、前記スタンプを少なくとも1つの作業位置から少なくとも1つの呈示位置に移動ならびに回帰させるための駆動装置を設け、蓋部材(32)を歯科処理装置上に支承および/またはヒンジ付けし、その蓋部材によって前記貫通口(26)および/または作用空間(30)を閉鎖可能にし、蓋部材(32)はスタンプ(22)と結合され、収容プレート(16)の作業位置への下降に際して貫通口(26)および/または作用空間(30)を閉鎖することを特徴とする歯科処理装置。
【請求項2】
スタンプ(22)を収容プレート(16)と共に作用空間(30)を介して下から上に持ち上げるように構成され、さらに前記作用空間を越えて上昇し、また前記作用空間を貫通して下降するように構成されることを特徴とする請求項1記載の歯科処理装置。
【請求項3】
スタンプ(22)が貫通口(26)を貫通して上方の呈示位置まで移動可能であり、その位置において歯科補綴物(18)が直接あるいは追加的な支持体を介し、また制御装置によって制御された機械駆動、すなわちモータ駆動を通じて自動的に、または手動式に収容プレート(16)上に載置可能および/またはそこから取り出し可能であることを特徴とする請求項1または2記載の歯科処理装置。
【請求項4】
呈示位置においてスタンプ(22)が、必要に応じて側方の動作遊びのための間隙を残しながら、貫通口(26)を閉鎖し、および/または、スタンプ(22)および/または収容プレート(16)および/または貫通口(26)が円形、正方形、楕円形、長方形、あるいはより多角形でかつ必要に応じて丸み付けられた角を有するように形成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項5】
蓋部材(32)が蓋駆動装置(46)を備え、それを介して蓋部材が貫通口(26)から持ち上げ可能であるとともにその後実質的に水平、垂直、あるいは斜め上方に離れるように旋回可能あるいは移動可能であり、および/または前記蓋駆動装置を介し、貫通口(26)から蓋部材(32)への実距離を設定することによって、歯科処理装置の冷却勾配を制御可能にすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項6】
呈示位置において収容プレート(16)が作用空間の上壁の上面(20)と実質的に同一平面にあるかあるいはそれを超えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項7】
作用空間(30)が収容プレート(16)とエネルギー源との間に少なくとも部分的に延在するシリンダ要素(42)を備え、および/または歯科処理装置を焼結窯、プレス窯、あるいは燃焼窯とし、エネルギー源を発熱体、ならびに作用空間を燃焼室(30)あるいはプレス空間として形成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項8】
作用空間(30)を囲繞するかあるいは作用空間の外周上に配置される、場合によって円環形でまた場合によって多層構造の、リング要素(44)がエネルギー源要素として機能し、前記エネルギー源要素が、二ケイ化モリブデンあるいは炭化ケイ素を有する電気抵抗加熱器、(必要に応じてサセプタを有する)電磁発熱体、赤外線発熱体、マイクロ波加熱式のエネルギー源、あるいはその他の任意のエネルギー源として形成されるか、または前記エネルギー源要素が照明ユニットとしてあるいは照明ユニットと発熱体との複合体として形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項9】
エネルギー源要素(44)の少なくとも一部が歯科補綴物(18)を下から加熱および/または光照射するために収容プレート(16)上に配置され、および/または歯科補綴物(18)を上から加熱および/または光照射するために作用空間(30)の上壁上に配置されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項10】
作用空間(30)が実質的にシリンダ形状で42mmないし120mmの直径と22mmないし100mmの高さ、あるいは50mmないし70mmの直径と30mmないし50mmの高さに形成することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項11】
作業位置において作用空間(30)を、燃焼室として形成される場合に、それの寸法、すなわち高さに関して、加工される歯科補綴物の高さに従った必要性に合わせて変更可能であり、スタンプ(22)と収容プレート(16)の垂直動作によって変更可能であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項12】
作用空間(30)を外側に対して密封し、作用空間(30)用の圧力源を設けてそれによって作用空間に加圧あるいは減圧を付与可能にし、その際スタンプが導管を備え、その導管が前記圧力源と結合されていて作用空間(30)の排気および吸気のために適用されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項13】
収容プレート(16)が回転テーブルおよび/または窪み部を備え、および/または呈示位置が貫通口(26)の上方にあり、収容プレートの直径分ないし直径の5倍に相当する分上方にあることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の歯科処理装置。
【請求項14】
収容プレート(16)内に計量器を配置してその上に歯科補綴物(18)を載置可能にし、前記計量器によって測定された重量を歯科処理装置(10)に伝送した後、そこで表示することを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の歯科処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
この発明は、請求項1もしくは請求項16前文に記載の歯科治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用窯、焼成窯、重合装置、ならびに歯科用プレス窯等が含まれる歯科処理装置は、異なった開放機構を備えて具現される。
【0003】
一般的に歯科処理装置のヘッドは下方からアクセス可能な中空部を備え、それが燃焼室あるいは場合によってプレス空間を形成する。燃焼室底床が歯科補綴物の収容プレートを形成する。
【0004】
燃焼室は、エネルギー源として環状(場合によって多角形)の発熱装置によって囲繞される。環状の発熱装置は、シリンダ形および/または床設置式および/または天井設置式および/または照射ユニットの形式で形成することができ、さらに螺旋形に延在する発熱コイルを有するか、または例えば電磁加熱装置、必要に応じてサセプタを用いるマイクロ波加熱装置、あるいはLED発光装置等とすることもできる。
【0005】
窯ヘッドとの組み合わせによって多様な開放機構が形成されている。第1に、燃焼室底床を垂直移動可能に配置することが可能である。その場合燃焼室の開放は、燃焼室底床が一種の昇降機の方式で下方に垂直移動する方式で実行され、それによって歯科補綴物が自由にアクセス可能になる。閉鎖に際して燃焼室底床が上方に移動する。
【0006】
それに代えて、燃焼室底床を基礎部材として固定式かつ安定的に設置し、窯ヘッド部を可動式に形成することも可能である。そのため、窯ヘッドの垂直動作を可能にするか、または窯ヘッド部を旋回可能に設置することも可能である。
【0007】
この解決方式によれば窯ヘッドを部分的に旋回させることによって冷却相を適宜に設定することもできる。
【0008】
この種の解決方式は古くから知られている。上記の両方の解決方式の組み合わせによる改善がドイツ国特許第19542984号(C1)明細書によって開示されている。その解決方式によれば、持ち上げ機構と旋回機構が組み合わされ、両方の解決手段の利点を統合することが可能になる。
【0009】
しかしながら周知の解決方式は、燃焼室底床に対する窯ヘッドの相対位置に従って対象物、周囲環境、あるいは使用者にも作業空間のエネルギーが作用するという問題点を有する。さらに、装填あるいは取り出しのためのアクセス可能性ならびに歯科補綴物の視認性も常に充分なものではない。従って、加工する歯科補綴物に対する良好な視認性を確保するために、使用者がかがむか場合によってはうずくまる必要がある。
【0010】
また、窯ヘッドはしばしば極めて高温であり、そのため取り扱いは必ずしも容易でない。
【0011】
ここで歯科処理装置として主に歯科プレス窯と歯科焼成窯について言及するが、歯科処理装置としては窯以外の適宜な歯科処理装置も重要であることが理解される。それには例えば適宜な光フードと光ヘッドを備えた光硬化装置が含まれる。また、適宜なエネルギー源を有するヘッドを備えた予加熱窯も歯科処理装置としてみなすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って本発明の目的は、改善された歯科補綴物の取り扱いを可能にする請求項1あるいは請求項16前文に記載の歯科処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の課題は、本発明に従って請求項1あるいは16によって解決される。好適な追加構成が従属請求項によって定義される。
【0014】
本発明によれば、歯科補綴物が呈示位置において(一種の呈示装置のように)自由にアクセス可能になり、すなわち上方に位置する窯ヘッドによってアクセス可能性が妨害されない。そのため、スタンプを有する収容プレート上に歯科補綴物を載置する。そのスタンプは、歯科処理装置全体を介して下から上に移動し、上方で呈示位置に到達する。
【0015】
この場合「上方」とは燃焼室の上側を意味する。本発明によれば、窯ヘッドが上部に貫通口として形成することができる開口を備える。前記貫通口は特に窯ヘッドの上壁を介して延在する。
【0016】
その貫通口の直径および形状は必要に応じて広範囲に調節することができる。同じことが燃焼室およびプレス室に対する相対的な形状にも該当する。その形状は相互に合同とすることができ、すなわちそれらを完全に一致させることができるが、燃焼室の形状が貫通口の内側に延在するようにするか、またはその逆にすることもできる。
【0017】
本発明によれば、本発明に係る歯科処理装置の使用者が作業手順書に従って耐熱手袋を着用して作業することを強制されない点が有利である。従来は、高温かつ開放された窯ヘッドの近傍において適宜な措置を取り決めることが求められていた。
【0018】
そのため本発明によれば、歯科補綴物を自由にアクセス可能にする。加えて、本発明に係る歯科補綴物の収容プレートが窯ヘッドを閉鎖させる。歯科補綴物の取り出しに際して燃焼室が歯科補綴物から熱的に分離される。
【0019】
歯科処理装置の壁部は周知の方式でエネルギー源、好適には発熱体を備える。
【0020】
本発明に係る歯科処理装置の蓋部材は通常発熱体を備えず、従って電気的な接触防護は必要としない。加えて、蓋部材は窯ヘッドから持ち上げ可能である。さらに、蓋部材を側方に旋回させることもでき、それによって歯科補綴物の上方に天井が存在するようにする。
【0021】
好適には、スタンプがその上端において収容プレート上で終端になる。スタンプは収容プレートよりも小さな直径を有するか、最大でも同じ直径を有することができる。収容プレートは貫通口内に進入可能であり、好適にはその貫通口を介して貫通し、特に5mm未満、最も好適には0.5mmないし2mmの遊びをもって貫通する。
【0022】
スタンプが収容プレートより大きな直径を有することも可能である。このことは、開放された位置においてより良好な接続を達成するか、または収容プレートがスタンプ内に嵌め込まれて横ずれならびに滑りに対して固定されるよう機能する。
【0023】
この種の構成によって、貫通口と収容プレートの間の間隙内に歯科補綴物が落下しないように保持される。
【0024】
収容プレートは平坦にすることができるが、例えば先細りの円形を有する窪み部を設けることもできる。その種の形状は特にマッフルおよび/または焼成物支持体を載置するために適する。
【0025】
呈示位置において収容プレートの上縁部が窯ヘッドと同一平面になる場合、比較的大きな操作面が存在する。その場合例えば、焼成完了した歯科補綴物を側方に摺動させ、未だ焼成されていない歯科補綴物を収容プレート上の適宜な位置に配置することが可能になる。
【0026】
ここでは燃焼室あるいはプレス室、ならびに窯ヘッドとそれに対応する概念に関して記述しているが、歯科処理装置の実施に際しては窯以外の形式のものも同様な概念で理解することができ、例えば「窯ヘッド」に代えて歯科処理装置の「ヘッド」、あるいは「燃焼室」の代わりに「作用室」と理解することができる。
【0027】
本発明によれば、スタンプが収容プレートと共に歯科処理装置のその他の部分に対して可動となるように支承される。スタンプは制御して動作を実行するための駆動装置を備える。駆動装置は例えばギアを備えたステップモータあるいはリニアモータ等による電気式駆動装置とするか、気圧式あるいは液圧式等の駆動装置とすることができるが、スタンプと収容プレートを異なった位置に移動させることができるレバー等の手動式駆動装置とすることもできる。
【0028】
前記異なった位置には作業位置および呈示位置が含まれる。作業位置は、(相互に相関する)収容プレートあるいはスタンプを作業位置に配置した際に歯科補綴物の加工を所要の方式で実施し得るように選択される。そのことは、例えば歯科処理装置が光硬化装置として構成される場合に歯科補綴物の光硬化に該当し、歯科焼成窯あるいは焼結窯として実施される場合は焼成、結晶化あるいは焼結に該当する。
【0029】
本発明によれば、スタンプ上の窪み部内に収容プレートを嵌め込むことが好適である。それによって、動作中の滑り、あるいは例えば加工する歯科対象物を保持する支持体の装着に際しての滑りが防止される。結果として収容プレートが、スタンプの動作中のジャムに対しても予防される。
【0030】
本発明によれば、作業位置において収容プレートがソケットあるいは燃焼室底床内/上に接触することが好適である。そのソケットあるいは燃焼室底床が下方動作に対するストッパを形成し、すなわち基準点を形成する。その点をスタンプの動作の調節に際してゼロ位置として使用することができる。
【0031】
本発明によれば、呈示位置が作業位置の上方に存在する。従って作業位置から呈示位置に移行するためにスタンプと収容プレートを駆動装置によって上方に移動させる。スタンプの動作ならびに指向性が必ずしも正確に垂直である必要はないことが理解される。変更された構成形態によれば、斜め上方、すなわちその方向に従って傾斜した軌道が設けられる。
【0032】
また、変更された構成形態によればスタンプを収容プレートと共に燃焼室の底床までさらに下方に動作させることもできる。従ってこの構成形態によれば、収容プレートあるいは少なくともスタンプが貫通する貫通口が設けられる。
【0033】
また、スタンプのみをさらに下方に移動させ、従ってスタンプを燃焼室から下方に退出させ、一方収容プレートは燃焼室内に滞留させることも可能である。この構成形態は、駆動装置ならびにスタンプと収容プレートの各部を洗浄および点検することができるため、保守の目的において極めて有用である。それに代えて、保守のためにスタンプを極めて大きく上方に移動させ、それによって上方からの保守を実行可能にすることもできる。
【0034】
収容プレートはスタンプ上に固定的に取り付けることができる。それに代えて、収容プレートをある程度可動式に取り付けることもでき、例えば5mmの復元性を有する弾力性をもって取り付けることができる。その弾力性の取り付けによって、歯科処理装置に対して駆動装置が傾斜する状態を補正することもできる。収容プレートは自由な状態でスタンプ上に接合させることもできる。
【0035】
別の極めて好適な構成形態によれば、呈示位置においてスタンプが収容プレートと共にそれの上壁部で燃焼室をいわば分割する。燃焼室の上部では自由な空気供給によって歯科補綴物の急速な冷却が保証される。
【0036】
他方、スタンプは収容プレートと共に貫通口を介した垂直な空気循環を防止する。窯ヘッド内、特に発熱体近辺の冷却速度は低く抑制され、そのことが熱ストレスを低減することによって発熱体の寿命を改善させる。また、熱エネルギーを蓄積し、後続の処理工程、例えば歯科補綴物の予備乾燥のために利用することもできる。
【0037】
この状態において発熱体とスタンプを必要に応じて有効に予加熱することができる。
【0038】
本発明によればさらに、歯科処理装置上に直接あるいは間接的に取り付けられる蓋部材を設けることが好適である。蓋部材は、スタンプが収容プレートと共に作業位置内に降下した際に窯ヘッドを閉鎖する。好適には、蓋部材は上方から貫通口に進入してその貫通口を特に嵌合式に閉鎖する。蓋部材の動作はスタンプの動作と同期して実行させることができ、従ってスタンプが収容プレートを作業位置から持ち上げると同時に蓋部材が持ち上げられる。
【0039】
また、連動を解除することもでき、それによって例えば収容プレート上の歯科補綴物が蓋部材の直ぐ下に存在する際に初めて蓋を持ち上げるようにする。蓋部材が歯科補綴物と接触し得ないような方式で駆動を実行することが好適である。
【0040】
比較的簡便な構成形態によれば、蓋部材が貫通口内に突出して貫通する3本あるいはそれ以上の脚部を備える。それらの脚部が収容プレートの外周上に支承され、従って収容プレートが蓋部材に接近するといわば自動的に蓋部材が持ち上げられる。
【0041】
下降に際して蓋部材を自動的に貫通口内あるいは貫通口上に心合せさせることが好適である。
【0042】
蓋部材が貫通口上に座部を有することが好適である。例えば蓋部材の一部が貫通口内に進入し、周回状のフランジが貫通口の周囲縁部に接合することができる。
【0043】
本発明の範囲を逸脱することなくその他の多くの蓋部材の構成形態を達成することもできる。
【0044】
例えば、駆動装置によって蓋部材を上から持ち上げることもできる。また、蓋部材を斜め上方あるいは側方に旋回させることもできる。
【0045】
別の変更された構成形態によれば、蓋部材を側方に旋回させ、それによって使用者の操作範囲から離脱させる。
【0046】
呈示位置において蓋部材が歯科処理装置の操作を妨害しないようにすることが好適である。蓋部材が極めて軽い重量を有し、例えば窯ヘッドの1/10未満の重量を有することが好適である。蓋部材は閉鎖状態において断熱および/または遮光および/または密封効果を提供する。
【0047】
本発明に係る歯科処理装置は、シリンダ形状の作用空間に限定されるものではない。作用空間の直径および高さは小型にすることが好適であり、例えば40mmないし100mmの直径と20mmないし120mmの高さとすることが好適である。
【0048】
平面図において非円形の構成にすることも有効であり、例えば正方形の構成、長方形の構成、または楕円形の構成とすることができる。その種の構成形態によって、比較的小さな燃焼室でかつ高効率に作業し得るような方式で、非円対称形、特に長形の歯科補綴物を加工することも可能になる。
【0049】
そのことによって、本発明に係る燃焼室を使用して急速かつエネルギー効率が高い加熱と高速な焼成サイクルを達成することが可能になる。加えて、適宜な燃焼室によって構造寸法を抑制し、場合によってアルゴン等のプロセスガスの必要容積を抑制することもできる。
【0050】
別の好適な構成形態によれば、自動的な供給および設置が実施可能になるまで収容プレートを持ち上げる。そのため、歯科補綴物あるいは支持体上に載置された歯科補綴物を把持することができるフォーク等を側方動作させることができる。その側方動作のため、フォークとスタンプの連動によって歯科補綴物を収容プレート上の位置に搬送することができ、また例えば持ち上げることによってそこから搬出することもできる。
【0051】
また、必要に応じて直線的な動作に代えて複数次元の動作を達成し得ることが理解される。
【0052】
本発明の好適な構成形態によれば、収容プレートおよび/またはスタンプの領域内にエネルギー源の一部として加熱器を設ける。その解決方式によって、作用空間内の温度格差を低減し、場合によってゼロまで低減することが可能になる。その種の加熱器を、任意の方式による温度格差の調節を可能にするために、前述したような環状に設置された発熱体と組み合わせることもできることが理解される。
【0053】
環状に設置された発熱体を分割することもできる。従って、例えば小さな高さの歯科補綴物に合わせて燃焼室を縮小する場合に上側の部分のみを点入することが可能になる。その場合スタンプあるいは収容プレートが発熱体の下側部分を遮閉し、従って下側部分の点入が不要になる。
【0054】
歯科補綴物を収容するために収容プレート上にサポート部材を設け、焼成テーブルとして形成することも可能である。その種の焼成テーブルは装填装置のフォークを差し込むことができ、従って自動的な装填が可能になる。
【0055】
その種の焼成テーブルは二階層式に形成することもでき、第1の下側の階層内に環状の支承面が形成され、二階層式の焼成テーブルの脚部がその面を貫通して延在し、上面には環状、例えば円環形状の面が形成され、その上に別の歯科補綴物を収容することができるような方式で構成することができる。
【0056】
本発明によれば、従来の技術に比べて全プロセス時間を大幅に短縮することが可能になる。小型の燃焼室のため急速な加熱と、さらに必要に応じて急速な冷却が可能になる。焼成のために歯科補綴物を準備する際に既にエネルギー源としての発熱体を点入することができる。その状態においてスタンプと収容プレートが窯ヘッドの貫通口を遮閉する。
【0057】
窯ヘッド上に被覆を設置することができる。その被覆は迅速な予加熱のために操作中に開放することができ、例えば押し戻すか、持ち上げるか、あるいは旋回させて除去することができる。従って、既に燃焼室の予加熱が実行されている間に歯科補綴物を収容プレート上に設置することが可能になる。スタンプを介して収容プレートの緩い加熱が実行され、それによって歯科補綴物が既に幾らか予加熱され、例えば室温より幾らか上まで予加熱される。
【0058】
平坦かつ極めて大きな操作面が存在する。すなわち、収容プレートが窯ヘッドの上面と同一平面に延在する。従って歯科補綴物を収容プレートの側方で準備して単純に収容プレートの方に摺動させることができる。
【0059】
歯科補綴物の緩やかな予加熱を可能にするために、呈示位置の下方に中間位置を選定することもできる。上側の窯壁部内に温度格差が存在し、燃焼室とそれに隣接する領域が高温でまた窯ヘッドの上端は低温あるいは少なくとも実質的に室温になる。中間位置の高さの選択によって、必要に応じて収容プレートと歯科補綴物が所要の予加熱温度になるように広範囲に調節することができる。
【0060】
予加熱の間にエネルギー損失を防止するため窯ヘッドの被覆が適宜に閉鎖されることが理解される。焼成工程が終了した後同様な方式で、例えば下方に設定された作業位置と上方に設定された呈示位置の間に中間位置を設定することによって、制御して冷却を実施することができる。ここでも、所要の温度を有する高さにスタンプを移動させることによって、存在する温度格差を有効に利用することができる。
【0061】
別の好適な構成形態によればサーモグラフカメラを設け、そのカメラを例えば被覆上あるいは蓋部材上に取り付け、その際適宜に形成された窓を介して燃焼室内を指向させてそこに存在する歯科補綴物の温度を直接検出し得るような方式で蓋部材の上側に取り付ける。
【0062】
本発明に係る開放および閉鎖機構は比較的低コストに実施可能であり、例えば唯1個のモータのみを有するように実施することができる。適宜な伝達装置によって蓋部材ならびにスタンプ上に設置された収容プレートの両方の制御された動作を可能にする。
【0063】
本発明によればさらに、モータならびにエネルギー源の統合制御機構を下方に設置し得ることが好適である。そのことは、比較的低い位置に配置することができる電源電子回路の冷却器にも該当し、それによって冷却効率を高めるとともに本発明に係る歯科処理装置の重心を下方に移動させる。
【0064】
別の極めて好適な構成形態によれば作用空間に減圧を付与することができるが、その際適宜なシーリングを蓋部材上あるいはスタンプ上に設ける必要があることが理解される。さらに、例えば燃焼室として形成することができる作用空間内に制御された気流を形成することもできる。それによって燃焼に際して発生する歯科補綴物の蒸気を吸引することができる。
【0065】
本発明によればさらに、直接的かつ迅速に作用する窯温度の制御が可能になることが好適である。温度センサを蓋部材中に設けるか、あるいは必要に応じて収容プレートに隣接して設けることができる。いずれの場合も歯科補綴物の温度を連続的かつ正確に測定することができる。
【0066】
必要に応じてさらに窯ヘッドの側壁中に別の温度センサを追加的に設けることもでき、それによって収容プレートが呈示位置に配置されている際にも燃焼室の温度測定が可能になる。
【0067】
本発明の別の実施形態によれば、壁駆動機構を設ける。その場合スタンプは固定式になり、作用空間を囲繞する壁が垂直に移動可能になる。
【0068】
壁は中空シリンダを形成し、全体的に移動可能であることが好適である。
【0069】
作業位置おいて壁が上昇して作用空間を囲繞する。呈示位置においては壁が下降して歯科補綴物が少なくとも側方から自由にアクセス可能になる。
【0070】
作用空間を上方から閉鎖する蓋部材も必要に応じて除去、例えば側方に旋回させて除去することができる。
【0071】
本発明のその他の詳細、特徴、ならびに利点は、添付図面を参照しながら以下に記述する実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】歯科焼成窯の形式で構成された本発明に係る歯科処理装置の一実施形態を2つの状態において示した概略説明図である。
【
図2】
図1の歯科焼成窯を別の3つの状態において示した説明図である。
【
図3】本発明に係る歯科焼成窯を第1の状態において示した断面図である。
【
図4】
図3と同じ実施形態を別の状態で示した断面図である。
【
図5】
図3および
図4と同じ実施形態をさらに別の状態で示した断面図である。
【
図6】本発明に係る歯科焼成窯の別の実施形態を示した断面図である。
【
図7a】本発明に係る歯科焼成窯の別の実施形態を示した水平断面図である。
【
図7b】本発明に係る歯科焼成窯のさらに別の実施形態を示した水平断面図である。
【
図7c】本発明に係る歯科焼成窯のさらに別の実施形態を示した水平断面図である。
【
図8a】本発明に係る歯科処理装置の別の実施形態の詳細部を示した概略説明図である。
【
図8b】
図8aの歯科処理装置の詳細部を別の状態において示した概略説明図である。
【
図9】本発明に係る歯科処理装置の別の実施形態を2つの状態において示した説明図である。
【
図10】本発明に係る歯科処理装置の別の実施形態を運動学的な動作の変化と共に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本発明に係る歯科処理装置10としての歯科焼成窯は、窯ヘッド12とその窯ヘッド12に対して可動式の被覆14を備える。
【0074】
窯ヘッド12は周知の方式によって作用空間上に形成され、その作用空間は歯科処理装置あるいは熱処理装置の例示的な構成において燃焼室である。
【0075】
図1において左側に示された状態は歯科処理装置の準備工程に相当する。被覆14は開放されていて、すなわち窯ヘッド12に対して横方向に移動しており、この実施例の場合は後退している。
【0076】
収容プレート16が自由にアクセス可能であり、
図1左側に示されるように歯科補綴物18を収容する。
【0077】
この実施形態において収容プレート16は略窯ヘッド12の上壁の上面20の高さに配置される。
【0078】
図1の左下において収容プレート16は略上壁20の向かい側に位置する。しかしながら同一平面の配置を選択することも勿論可能である。
【0079】
収容プレート16はスタンプ22上に接合し、そのスタンプは歯科処理装置の下から上に向かって延在し、図示された位置において燃焼室を貫通して窯ヘッドの上面20の幾らか下まで延在する。
【0080】
歯科処理装置の脚部領域24内にスタンプ22の適宜な駆動装置が設けられる。
【0081】
図示された実施例においてスタンプ22は中実に形成され、収容プレート16の直径に略相当する直径を有する。それに代えて、スタンプ22に対してより小さな直径を選択することも勿論可能であることが理解される。また、シャフトおよびスタンプが作用空間のプロセスガスを排気あるいは通流させるための孔部あるいは導管を備えることも可能である。
【0082】
窯ヘッド12は上部に貫通口26を備える。その貫通口は、スタンプ22と収容プレート16の両方が貫通口26に進入し得るように寸法設定される。図示された実施例においてスタンプ22によって貫通口26が填塞される。それによってスタンプは、下方に位置する燃焼室30(
図2参照)から貫通口26を介して上方への熱放出を遮断する。
【0083】
図示された実施例において、収容プレートも下方、すなわち燃焼室から、ならびに上方、すなわち
図1の左側に図示された位置から移動して貫通口内に進入することができる。
【0084】
この実施形態において収容プレート16は貫通口26を介して貫通可能である。
【0085】
図1の左側に示された位置は、歯科処理装置10の上方における歯科補綴物18への自由なアクセス可能性を提供する。従ってこの位置が呈示位置を提供する。
【0086】
呈示位置の下方に作業位置を設ける。その作業位置において、収容プレート16が燃焼室底床の近傍に位置して歯科補綴物18が燃焼室30内で焼成可能になるまでスタンプ22が降下する。
【0087】
図1の左側には、どのような方式でスタンプ22を収容プレート16と共に降下させ得るかが示されている。
図1に示された位置においてスタンプ22は部分的に貫通口26内に進入している。蓋部材32が上方から貫通口26に接近する。この位置においては蓋部材32と貫通口26の間になお間隙34が存在する。しかしながら、収容プレート16は既に暖められた窯ヘッド12によって囲繞され、従ってその中に存在する歯科補綴物が予加熱あるいは例えば乾燥する。
【0088】
図示された実施例において、蓋部材32はフランジ38とタップ40とからなる。タップ40は貫通口26内に挿入可能であり、一方フランジ38は窯ヘッド12の上面20上に接合可能である。この位置は
図2において左側に示される。タップ40は断熱性の材料から形成され、窯ヘッド12を上方で閉鎖する。
【0089】
一方、
図2の左側には作業位置が示されている。その位置において、収容プレート16が蓋部材32から歯科補綴物の最大高に相当する高さ間隔をおいて延在する。燃焼室32は意図的に小さく保持される。
【0090】
本発明の好適な構成形態によれば、必要に応じて燃焼室の高さを調節する。そのため、歯科補綴物の高さに合わせて燃焼室30の高さが選択されるように収容プレート16を移動させる。例えば、燃焼室30の高さは歯科補綴物の高さの1.5倍から3倍とすることができる。
【0091】
図1および
図2の実施形態において、燃焼室30はシリンダ要素42によって囲繞される。そのシリンダ要素は発熱体44と燃焼室30の間に延在し、熱放射を均等化すると同時に発熱体44を損傷から保護するように機能する。
【0092】
また
図1と
図2を参照すると、蓋部材32が垂直移動可能であることも理解される。このことは被覆14内に収容して遮閉された蓋駆動装置46によって実行される。
【0093】
図示された実施例において、燃焼室の高さを調節できるようにするために、蓋駆動装置46がスタンプ22の駆動装置から分離される。しかしながら、燃焼室の高さを一定にして作業し、蓋駆動装置とスタンプ駆動装置を電気的に、またはギア、変速機、あるいはスピンドルを介して機械的に連結することもできる。この蓋駆動装置とスタンプの連結においても、例えばモータを有する適宜な設計によって、相互に異なっているが互いに相関する2つの動作速度をスタンプと蓋部材に対して提供することもできる。
【0094】
図2の左側に示された位置、すなわち作業位置において、発熱体44を点入することによって歯科補綴物の焼成が実施される。この位置において、蓋部材32が窯ヘッド12の上面20上に接合し、シーリング50によって密封される。同様なシーリングが下方のスタンプ22上にも設けられる。従って燃焼室30を作業位置に保持して例えば減圧に曝すことが可能になる。例えば、その後に燃焼室30に酸素、窒素、アルゴン、あるいはその他のプロセスガスを噴射するか、またはプロセスガスを交換するか、または減圧が付与されたプロセスガスを用いて作業することが可能になる。
【0095】
図2の中央に示された位置において、蓋部材32は貫通口26から持ち上げられ、収容プレート16が上方の位置に移動する。この位置においてスタンプ22が貫通口26を上方に向かって密封する。歯科補綴物18は被覆14の内部空間でそこに存在する空気によって囲繞され、既に幾らか冷却される。
【0096】
冷却相が終了すると、
図2の右側に示された状態のように被覆14の引き戻しが実行される。この状態において、蓋部材32が被覆14と共に側方に移動し、従って歯科補綴物が呈示位置において自由にアクセス可能で、取り出し可能になる。
【0097】
この位置においてもスタンプ22が高温の窯ヘッド12を密封し、その位置において窯ヘッドが冷却されないようにする。
【0098】
本発明に係る歯科処理装置10の別の構成形態が
図3ないし
図6に示される。
【0099】
図3に示された作業位置において、蓋部材32が窯ヘッド12の上面20上に接合する。そこでフランジ38は貫通口26を囲繞して接合し、タップ40が貫通口26内に挿入される。
【0100】
この実施形態において温度センサ50が設けられ、その温度センサは蓋部材32を貫通して燃焼室30内に突出する。
【0101】
さらにこの実施形態によれば、収容プレート16が一種のシリンダの形式で形成され、直径の約2倍に相当する高さを有する。このように比較的高さがある構成も収容プレート16の概念に含まれるものとする。
【0102】
スタンプ22が収容プレート16を支承および案内し、その際スタンプは収容プレート16内に下から嵌合する。スタンプはスタンプガイド52上で窯ヘッド12を貫通し、その下方の脚部領域24内に図示されていないスタンプ駆動装置が設けられる。
【0103】
図示された実施例において、保護要素としてのシリンダ要素42がサセプタとして設けられ、それが供給された熱エネルギーを均等化するように機能する。電磁加熱用の誘導コイルがサセプタあるいはシリンダ要素42の周りで環状に延在する。しかしながら、シリンダ要素42は直接的に電気発熱する抵抗器とすることもできる。収容プレート16の上面上に歯科補綴物18が収容されて載置される。この位置において、窯ヘッド12の側壁の断熱性に略匹敵する良好な断熱性が存在するように、蓋部材32の実効的な高さが選定される。これは、例えば適宜に成形した耐火粘土あるいは断熱成形部材等を使用して周知の方式によって形成することができる。
【0104】
図示された実施例において、燃焼室がシリンダ形状であるとともに、シリンダ要素42の内径に対応して60mmの直径を有する。ここで設定された高さは32mmであるが、収容プレート16の垂直移動可能性によって調節することもできる。
【0105】
そのため、シリンダ要素42と発熱体44を必要に応じて下方に移動させることもできる。
【0106】
発熱体44を分割して点入可能に構成することも可能である。この実施形態において、
図3の上部に示された部分のみが継続的に点入され、歯科補綴物18の高さが大きくそれに応じて収容プレート16が下降することから必要である場合にのみ図示されていない下方の部分も点入される。
【0107】
図4には、
図3に示された作業位置と
図5に示された呈示位置の間の中間位置が示されている。この中間位置において発熱体44が既に歯科補綴物18を囲繞しているため予加熱が可能であり、また焼成サイクルの終了後の遅速な冷却も可能である。この位置において蓋部材32が持ち上げられ、従って窯ヘッド12と蓋部材32の間に間隙56が存在する。
【0108】
また、蓋部材を先に持ち上げてその後スタンプを上方に移動させることも可能である。
【0109】
図5には呈示位置が示されている。収容プレート16はその上面が窯ヘッド12の上面20と同一平面に延在し、蓋部材32が顕著に大きく持ち上げられている。
【0110】
また、アクセス可能性をさらに改善するために蓋部材32を追加的に側方に移動させることも可能である。
【0111】
図6により、さらに上昇した呈示位置がどのように実施され得るかが示されている。この位置は例えば自動的な供給および取り出しが必要である場合に極めて好適である。その種の可能性が
図8aおよび
図8bに概略的に示されている。装填フォークとスタンプ駆動装置との連動により、歯科補綴物を収容プレート16上に載置し、またそこから取り出すこともできる。
【0112】
図7aにより、収容プレート16と燃焼室30の構成例が示されている。この実施形態においてそれらが円形である。
【0113】
一方
図7bの実施形態において燃焼室30と収容プレート16とシリンダ要素42が正方形の断面を有しており、また
図7cにおいては長方形の断面を有する。
【0114】
それらは単に例示的なものであり、その他の任意の形式の燃焼室30ならびに関連する他の部品の形状も本発明の範囲を逸脱することなく可能であることが理解される。
【0115】
図1の窯ヘッド16の外形は少なくとも部分的に円形で、
図7aないし
図7cのものは円形であることが好適である。しかしながら、四角形に形成された燃焼室によれば、同様に外形を四角形に形成することによって構成部品の複雑性を削減するとともに例えば平板材料による燃焼室の断熱を達成することが可能になる。
【0116】
図8aにより、どのような方式によって本発明に係る歯科処理装置の自動装填ならびに取り出しが可能になるかが示されている。スタンプ22は収容プレート16と共に上方の位置、すなわち呈示位置に存在する。歯科補綴物18が装填装置のフォーク60によって把持される。ここで歯科補綴物はフォーク60上に支持されるが、さらに追加的に収容プレート16上に接合していてフォークの歯の間隔よりも小さな直径を有する支持体62上に支持される。
【0117】
一方
図8bにおいて、スタンプ22が収容プレート16と共に下方に移動している。支持体62は収容プレート16上に滞留するが歯科補綴物18とは全く接触せず、その歯科補綴物は既にフォーク60のみと接触していて側方に移動させることが可能である。フォーク60は側方に移動可能である。
【0118】
本発明によれば、この実施形態において装填および取り出しが自動的に行われることが好適である。
【0119】
図示されていない別の実施形態によれば、蓋部材32が支持脚部を介して収容プレート16上に支承される。この単純化された構成によって独立した蓋駆動が不要になるが、支持脚部の長さの変更、例えば交換によってのみ燃焼室の高さの変更が可能になるという難点も有する。
【0120】
別の構成形態によれば、収容プレートが平坦でなく、むしろ形状要件を有して形成される。そのことは例えば
図8aおよび
図8bの支持体によって達成するか、あるいは適宜な隆起部によって達成することもできる。それに代えて窪み部を設けることもでき、それによって必要に応じて特殊な焼成テーブル上に載置された歯科補綴物を収容することができる。
【0121】
さらに、収容プレートが回転テーブルを備えることも可能である。その種の回転テーブルは加熱の均一化の観点において有利である。このことは例えばマイクロ波加熱器を使用する際に有効であり得るが、例えば(IR)カメラによって全ての対象物を捕捉すべき場合にも有効である。その際回転によって対象物を、例えば蓋部材32の外側に設けられた不動式の覗き窓上に取り付けられたカメラの近くを通過させることができる。
【0122】
スタンプ22の駆動装置は任意の適宜な方式で構成することができ、例えば電気式とするか、または手動操作する持ち上げレバー、気圧式あるいは液圧式等の機械式とすることができる。蓋駆動装置46から切り離すことが好適である。
【0123】
被覆14は手動で後方あるいは前方に摺動させ得ることが好適であるが、モータによる駆動も達成可能である。
【0124】
本発明に係る歯科焼成窯の別の実施形態が
図9に概略的に示されている。それによれば本発明に係る歯科焼成窯の側面が半透視図によって示されている。蓋部材32はフランジ38とタップ40から形成され、そのタップは窯ヘッド12の貫通口26内に挿入し得るように設定される。
【0125】
この実施形態においては特殊に形成される蓋駆動装置46が設けられる。蓋駆動装置46は、垂直軸受72を追加的に有する回転アーム70を備える。垂直軸受72は回転アーム70を上方および下方に移動させることを可能にし、特に斜め、すなわち回転アーム70と平行な方向に移動させることが好適である。加えて、支点74周りで回転アーム70を回転させることができる。
【0126】
回転アーム70は上端に蓋部材32のための回転軸受78を備える。
図9において蓋部材32は開放位置にあり、すなわち窯ヘッドの貫通口26を露出させる。
【0127】
貫通口26を閉鎖するために、回転アーム70を支点74周りで回転させて蓋部材32を貫通口26の上方に垂下させ、また回転アーム全体を垂直軸受72上で下降させることによってタップ40を貫通口内に降下させることができる。
【0128】
図9に示された蓋部材32が開放された位置において、被覆14は右側に図示された開放位置と左側に図示された閉鎖位置のいずれにも移動させることができる。図面右側、すなわち被覆が後退した状態において、図示されていない収容プレート16が歯科補綴物と共に上方の呈示位置に移動することができる。
【0129】
呈示位置において、歯科補綴物を容易に収容プレート16から取り出すとともに新しい歯科補綴物を収容プレート16上に載置することができるような方式で、少なくとも歯科補綴物が窯ヘッド12から突出する。
【0130】
図10によって本発明に係る歯科処理装置10の別の実施形態が示されている。この解決方式においてはスタンプ22が固定式に形成され、側方の窯壁部28が垂直に移動可能である。
【0131】
前述した実施例と同様に、窯壁部28が発熱体44と共に燃焼室30を囲繞する。燃焼室30内の中央で歯科補綴物18が収容プレート16上に配置され、この実施例においては収容プレートがスタンプ22に統合される。
【0132】
蓋部材32が窯壁部28上に接合して燃焼室30を上方で閉鎖する。
【0133】
窯壁部28は垂直駆動装置80を備える。窯壁部が下降すると、スタンプ22の収容プレート16の領域が窯壁部28の上面の高さに到達する。必要に応じて窯壁部28をさらに下降させることもでき、それによってスタンプ22の上部が窯壁部28から突出する。
【0134】
蓋部材32は必要に応じて回転して離間させるか、または持ち上げることができる。また、蓋部材32を移動させなくても、歯科補綴物18を取り出して新たに焼成する歯科補綴物を装填するために側方から燃焼室30にアクセスすることもできる。
【0135】
歯科補綴物18の取り出しは矢印82によって示されている。
【0136】
この実施形態は、燃焼室壁、すなわち窯壁部28が下降する間に、歯科補綴物18が振動せずに所定の位置に保持されるという利点を有する。窯壁部が下降した位置は呈示位置に相当し、窯壁部28が上方の位置にある際、すなわち燃焼室30と歯科補綴物18を囲繞する際は作業位置に相当する。
【0137】
この解決方式の別の利点は、窯壁部28が降下している際に発熱体44を備えた窯壁部28の高温の内面がスタンプの横近傍に延在することである。
【0138】
それによって接触が完全に防止される。
【0139】
加えて、スタンプ22が発熱体44の残留熱を容易に吸収することができるため、歯科補綴物18の迅速な冷却が保証される。
【0140】
この実施形態においても設置されるシリンダ要素42は例えば石英管から形成され、発熱体44および窯壁部28と共に降下させることができる。