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特許7015335ベース励振によるマイクロ-カンチレバー作動のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】ベース励振によるマイクロ-カンチレバー作動のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B81B 3/00 20060101AFI20220126BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20220126BHJP
   H02N 10/00 20060101ALI20220126BHJP
   H02N 2/00 20060101ALI20220126BHJP
   B81B 7/02 20060101ALI20220126BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20220126BHJP
   H01L 41/04 20060101ALI20220126BHJP
   H01L 41/053 20060101ALI20220126BHJP
   H01L 41/193 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
B81B3/00
B06B1/06
H02N10/00
H02N2/00
B06B1/06 A
B81B7/02
H01L41/09
H01L41/04
H01L41/053
H01L41/193
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020035950
(22)【出願日】2020-03-03
(62)【分割の表示】P 2018521452の分割
【原出願日】2016-07-13
(65)【公開番号】P2020114619
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】62/191,593
(32)【優先日】2015-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/259,162
(32)【優先日】2015-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518013888
【氏名又は名称】イントレピッド ヴィジョンズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】INTREPID VISIONS INC.
【住所又は居所原語表記】2263 Cape Horn Ave. Coquitlam, British Columbia V3K 1J6 CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】メノン, カルロ
(72)【発明者】
【氏名】コメイリ, モヒタバ
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-041385(JP,A)
【文献】特表2008-504574(JP,A)
【文献】特開平09-096552(JP,A)
【文献】特開平05-173088(JP,A)
【文献】特開平07-266428(JP,A)
【文献】国際公開第2003/045838(WO,A1)
【文献】特開2010-173327(JP,A)
【文献】橋口 原ほか,マイクロマシーニング技術による熱膨張アクチュエータ一体型ナノグリッパーの開発,電気学会論文誌E,日本,一般社団法人電気学会,2003年04月,Vol. 123, No. 1,1-8ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00-7/04
B81C 1/00-99/00
B06B 1/06
H02N 10/00
H02N 2/00
H01L 41/09
H01L 41/04
H01L 41/053
H01L 41/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ-カンチレバーシステムに振動を誘導する方法であって、前記方法は、
ベース励振を1以上のアクチュエータの配列を有するマイクロ-カンチレバーの固定端に適用することを備え、前記アクチュエータの配列は前記マイクロ-カンチレバーと機械的に連絡しており、前記アクチュエータの配列の熱起動のためのエネルギは、電熱加熱、隣接媒体からの熱伝導、近くの媒体からの放射、またはそれらの組み合わせによって提供され
前記1以上のアクチュエータの配列は前記マイクロ-カンチレバーの下にブリッジを備える、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
周波数で前記アクチュエータの配列に少なくとも1つの作動電流を適用することをさらに備え、前記周波数は前記マイクロ-カンチレバーシステムの固有周波数の少なくとも1つと一致する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アクチュエータ励振の方向および前記アクチュエータの配列の配置に基づく、前記マイクロ-カンチレバーシステムの複数の固有周波数の同時作動をさらに含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ-カンチレバーの作動は、板ベースの全体を振動させることによって達成される前記基板ベースのベース励振によってさらに励振される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記マイクロ-カンチレバーは光ファイバを備える、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記マイクロ-カンチレバーは円形状断面を備える、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記マイクロ-カンチレバーは矩形状断面を備える、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記1以上のアクチュエータの配列は圧電材料を備える、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記1以上のアクチュエータの配列は電気活性ポリマを備える、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記1以上のアクチュエータの配列はカーボン系材料を備える、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記1以上のアクチュエータの配列は電流を伝える曲がったマイクロ-ワイヤを備える、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記1以上のアクチュエータの配列はブリッジによって連結された2つの圧電柱を備える、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記1以上のアクチュエータの配列は前記マイクロ-カンチレバーの周りに間隔をおいて配置され、1以上の任意の方向における振動を促進する、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記1以上のアクチュエータは接着剤で前記マイクロ-カンチレバーに留められている、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記マイクロ-カンチレバーは、画像化、感知、または画像と感知の組み合わせため、光、電気シグナル、またはそれらの組み合わせを伝える、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記1以上のアクチュエータの配列は、導電性高分子、圧電ポリマ、電気活性ポリマ、カーボン系材料、またはそれらの組み合わせを備え、異なる方向、周波数、または両方において振動を促進する、ことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
マイクロ-カンチレバーシステムに振動を誘導する方法であって、前記方法は、
ベース励振を1以上のアクチュエータの配列を有するマイクロ-カンチレバーの固定端に適用することを備え、前記アクチュエータの配列は前記マイクロ-カンチレバーと機械的に連絡しており、前記アクチュエータの配列の熱起動のためのエネルギは、電熱加熱、隣接媒体からの熱伝導、近くの媒体からの放射、またはそれらの組み合わせによって提供され、
前記1以上のアクチュエータの配列はカーボン系材料を備える、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
マイクロ-カンチレバーシステムに振動を誘導する方法であって、前記方法は、
ベース励振を1以上のアクチュエータの配列を有するマイクロ-カンチレバーの固定端に適用することを備え、前記アクチュエータの配列は前記マイクロ-カンチレバーと機械的に連絡しており、前記アクチュエータの配列の熱起動のためのエネルギは、電熱加熱、隣接媒体からの熱伝導、近くの媒体からの放射、またはそれらの組み合わせによって提供され、
前記1以上のアクチュエータの配列はブリッジによって連結された2つの圧電柱を備える、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年7月13日に出願された「ベース励振されたマイクロ-カンチレバー」と題する米国仮特許出願第62/191,593号、および2015年11月24日に出願された「共鳴振動するベース-駆動されたマイクロ-カンチレバーのロバスト設計」と題する米国仮特許出願第62/259,162号の優先権を主張し、これらの出願は、あらゆる目的のために参照によって本願にそれらの全体が組み込まれるものとする。
【0002】
[技術分野]
本開示は、マイクロ-エレクトロ-メカニカルシステム(MEMS)構造、および作動方法の技術分野に一般に関連し、特に、マイクロ-カンチレバー構造および作動方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ-カンチレバーは、マイクロ-エレクトロメカニカルシステム(MEMS)において、最も広く使用される構造の一つであり、および種々の目的のためのアクチュエータとして使用される。一般に、マイクロ-カンチレバーの共鳴励振は、産業において一般的なことであり、および高周波数で振動するようにMEMSデバイスを作動させる種々の技術がある。代表的な作動方法は、熱、静電気、電磁気、および圧電の起動を含んでいる。
【0004】
加熱の間の構成要素の熱膨張に基づく熱起動は、相対的に単純な実行および相対的に大きい力の利点、およびマイクロ-カンチレバーに適用される変位量を提供し、および数百MHzの高振動周波数を可能にし得る。熱起動方法は、層状のバイモルフマイクロ-カンチレバー構造を代表的に採用し、カンチレバーに直接曲がることをもたらす。しかしながら、マイクロ-カンチレバーのベース付近に取り付けられたアクチュエータの周期的な変形または動きがカンチレバーの先端の振動を生じる、ベース励振の技術は、カンチレバーの実用的な共鳴励振のため、改善された作動効率の可能性を提供するが、この技術は、非熱的に起動される作動方法だけで代表的に使用される。
【0005】
したがって、熱作動およびベース励振技術の両方の効率的および実用的な特徴を兼ね備え、高周波数のマイクロ-カンチレバー振動を可能にする、マイクロ-カンチレバーアクチュエータシステムを備える方法およびシステムが望ましい。そのようなマイクロ-カンチレバーシステムのため出願は、たとえば、ウエハプローブ、バイオ-センサ、および撮像プローブを含んでいる。
【発明の概要】
【0006】
本願明細書には、ベース励振におけるマイクロ-カンチレバー作動のためのシステムおよび方法の変形例が記載される。1以上の変形例は、1以上のアクチュエータの配列に、そのベース付近で連結されたマイクロ-カンチレバーを備えるマイクロ-エレクトロ-メカニカルシステムを対象とする。1以上の変形例において、マイクロ-カンチレバーは、アクチュエータ配列の周期的な起動によって生じるベース励振による高周波数振動に誘導され得る、自由端部、または先端を備える。アクチュエータ配列の膨張および収縮周期は、システムの固有周波数での共鳴のため、短期間にわたって蓄積され得、および高振幅振動を生じ得る、マイクロ-カンチレバーシステムに小さい摂動を与える。この技術を使用する変形例は、マイクロ-カンチレバーの先端の変位量に対するアクチュエータでの入力変位量の比における高倍率を提供し得る。システムの固有周波数の制御は、設計および/または幾何的なパラメータによって促進され、および用途のニーズに従い設計され得る。
【0007】
1つの変形例において、アクチュエータの配列は、マイクロ-カンチレバー棒、またはファイバの周りに位置および配置され得、または連結され得、任意の方向において振動作動を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
特徴は、添付の図面と関連して、代表的な実施形態を詳細に記載することによって当業者に明白になるだろう。
図1図1は実施形態に係るベース励振マクロ-カンチレバーを示す。
図2図2はいくつかのシミュレーションされた実施形態に係るアクチュエータへの入力電力とマイクロ-カンチレバーの先端変位量の間の予想関係を示す。
図3図3は実施形態に係るベース励振マイクロ-カンチレバーを示し、マイクロ-カンチレバーは、ベース基板に連結され(例えば、クランプされ)、およびアクチュエータはカンチレバークランプポイントから少し離れてカンチレバーの下に取り付けられている。
図4図4は実施形態に係るベース励振マイクロ-カンチレバーを示し、2つのアクチュエータが使用され、2つの方向にマイクロ-カンチレバーを振動させる。
図5図5は実施形態に係るベース励振マイクロ-カンチレバーを示し、アクチュエータはカンチレバーの下に取り付けられたブリッジを備える。
図6図6は実施形態に係るベース励振マイクロ-カンチレバーを示し、アクチュエータは曲がったマイクロ-ワイヤを備える。
図7図7は実施形態に係るベース励振マイクロ-カンチレバーを示し、マイクロ-カンチレバーは太い光学ファイバに取り付けられた光学ファイバを備える。
図8図8は実施形態に係るベース励振マイクロ-カンチレバーを示し、アクチュエータに電力を供給するために使用される導電材料が、また、マイクロ-カンチレバーのための構造支持として働いている。
図9図9は実施形態に係るベース励振マイクロ-カンチレバーを示し、アクチュエータ配列はメインカンチレバー棒の周りに配置された2対の曲がったマイクロ-ワイヤを備え、2つの方向に独立に棒を振動させる。
図10図10は実施形態に係るベース励振カンチレバーの概略図を示す。
図11図11は異なる環境に曝される間のベース励振マイクロ-カンチレバーの実施形態の調和的な動的応答を示す。
図12図12は空気圧力の関数としてのベース励振マイクロ-カンチレバーシステムの実施形態の予想品質係数を示す。
図13図13はユニットステップ入力に対するマイクロ-カンチレバーアクチュエータの実施形態の熱応答を示す。
図14図14はアクチュエータ長さの範囲を含む実施形態に係るマイクロ-カンチレバーアクチュエータの温度および変位量を示す。
図15図15は実施形態に係るベース励振マイクロ-カンチレバー構造の概略図を示し、アクチュエータは薄肉構造を備える。
図16図16はアクチュエータ位置の関数としてのベース励振マイクロ-カンチレバーの実施形態の予想応答を示す。
図17A図17Aは実施形態に係るベース励振マイクロ-カンチレバーシステムの可変寸法を示す。
図17B図17Bはベース励振マイクロ-カンチレバーシステムの実施形態に係るシステム寸法における製造変動上の感度解析の結果を示す。
図18図18はベース励振マイクロ-カンチレバーシステムのロバスト設計のためのアルゴリズムを示す。
図19図19はベース励振マイクロ-カンチレバーの実施形態の設計ロバスト性における改善を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
参照は、ここで、添付の図面に示される具体例である、種々の態様および発明の変形例の実施および実施形態に対して詳細になされるだろう。
【0010】
本願明細書において、「品質係数」は、エネルギ損失およびシステムの効率の量を定めるために使用される基準を示し、および、2*pi*U_s/U_dとして一般に定義され得、U_sは損失の無い中で蓄積され得る最大エネルギであり、およびU_dは1つの振動周期のエネルギ損失である。
【0011】
図1に示されるように、マイクロ-カンチレバー作動のためのシステム1Aの例は、例えば、コネクタ14(例えば、ワイヤ/ライン)を接続することにより電力源(示されていない)に連結され得る、アクチュエータ16の頂部に配置されたマイクロ-カンチレバー10を含み得る。システム1Aは、基板材料12の頂部に配置される。アクチュエータ16は、ワイヤ14により伝達されるシグナルによって励振され得る。例えば、2つの異なるアプローチは、(1)熱作動、(2)圧電効果を作動のため選択され得る。後の方の実施は、設計の特定の場合、および熱、シグナル、干渉等の限定に依存する。作動のメイン機構として発熱を使用する場合、導電ワイヤ14が、アクチュエータ16の材料の加熱/冷却周期の高周波数を相対的に促進するためのヒートシンクとして作用する。MEMSデバイスにおける加熱および冷却周期の周波数は、数十または数百MHzにおよび得ることが証明される。いくつかの変形例において、この設計は、ベース作動技術を使用するだけでなく、アクチュエータ材料とアクチュエータに接続された棒の層との間の中間層の力の影響が、いくつかのバイモルフ効果においてもたらされる。バイモルフ効果から、棒の長さに沿って、この張力は、この曲がることに相当の影響を有し得る。
【0012】
図2は、図1に記載されたシステム1Aの数字で表したモデル化によって計算された実例性能曲線を示す。アクチュエータ16の加熱がこの解析において作動の源であり、および寸法が約8kHzの振動で最適化された。商用の有限要素パッケージであるANSYSが使用され、モデルを作製し、出力を取り出した。グラフは、入力電力の異なる大きさのための先端変位量の大きさを示す。入力電力は、半正弦の時間依存性(つまり、正弦関数の正の部分だけが使用され、かつ負の部分はゼロで置き換えられた)を有するアクチュエータ層上のジュール発熱効果として印可される。アクチュエータの厚さおよび長さの効果は、このグラフで調査される。この図の凡例は、アクチュエータの厚さ(T)、および定数幅値のためのマイクロ-カンチレバーに沿うその長さ(L)を示す。このグラフは、発明および方法の理論上の実行可能性を証明し、それを最適にした。
【0013】
図3は、代表的なシステム1Bを示し、作動方法が異なる変形例に適用される。アクチュエータ16の頂部上に直接載置された図1のシステム1Aのマイクロ-カンチレバー10と比較して、図3のシステム1Bにおいては、アクチュエータ20が基板18に対してマイクロ-カンチレバー22のクランプポイント26から少し離れて配置されている。作動のためのシグナルおよび必要なエネルギは、接続経路24を介して提供され得る。システム1Bにおいて、アクチュエータ20は、ジュール効果を介する熱作動のための電気抵抗体、または圧電作動のための圧電材料を備える。メインカンチレバー22の構成は、変更され得、および矩形断面および円台形等のような一般的な形状に限定されない。さらに、断面の連続的な変更は、スパンに沿って示されたポイントに低い剛性を提供する目的のため考慮され、曲げを促進/妨害する。上述したバイモルフ効果は、この実施形態にさらに存在し、およびアクチュエータ20に接続される位置で棒の曲げを助け得る。
【0014】
図4は、別の変形例である、マイクロ-カンチレバー作動のためのシステム1Cをさらに示し、カンチレバー22aは2つの方向に起動される(例えば、水平および垂直)。ベースアタッチメントおよびクランプポイントは、図3の相当する構成要素と同様であり得る。2つの独立した電流がアクチュエータ32の2つの側面上の複数のコネクタ(例えば、ラインまたはワイヤを接続する)によって、およびアクチュエータ28のための第3のコネクタ34(例えば、ワイヤ)によって、それぞれ供給され得る。両者の電流は、それらのシグナル供給回路の部品として同じコネクタ34(例えば、ワイヤ)を共有する。この変形例において、電流は、加熱および/または圧電効果を提供するように、アクチュエータ32を直接通り、一方、アクチュエータ28は電気回路に直接でない。しかしながら、ボトルネック断面36で発生した熱は、伝導現象によってアクチュエータ28を加熱している。したがって、アクチュエータ28は、熱効果をだけ使用し得、一方、アクチュエータ32は、熱または圧電のどちらかであり得る。一般に、1つのアクチュエータより多くが実装され得る図4のような実施形態において、設計基準に基づく、異なる作動技術および周波数が同時にシステム中に存在し得る。棒および適用される励振周波数の大きさは、独立作動を可能とし得、異なる振動周波数および応答パターンを有する。
【0015】
さらに別の変形例において、図5は、熱作動方法において、エネルギ効率を最大化するためのシステム1Dを示す。マイクロ-カンチレバー22bの下の材料のブロックとしてアクチュエータ38を使用することの代わりに、この構成において、アクチュエータ38が電流の狭路およびマイクロ-カンチレバー22bの下にブリッジ状構造を形成している。電気伝導のための減少した断面が抵抗および加熱を増加させ、ブリッジ38の両サイドの長い脚40が熱膨張/熱収縮の大きさ、およびその結果、棒における全体の変位量を増加させる。脚40は圧電材料であるように設計され得、接続ブリッジ38は通常の導電材料であり、回路を完成させる。
【0016】
図6に示される別の変形例において、システム1Eでは、アクチュエータ44がマイクロ-カンチレバー42の下に配置された曲がったワイヤから形成される。そのような構造は材料堆積のためクリーンルームの使用を除き得、および製造コストを減少させ得る。マイクロ-カンチレバー42は、別々に製造され得、および保持支持50の頂部に配置され得る。接着剤は、それを固定するためのアクチュエータ42のベース46に加えてアクチュエータ42の下に適用され得る。基板材料およびMEMS堆積を使用することは、この実施形態において選択肢であるが、プリント回路板(PCB)48は、クリーンルームのコストを抑え、および試作品および少量の振動カンチレバーの製造効率を改善し得る、それの上にシステムを組み立てるように製造され得る。
【0017】
図7に示される変形例において、システム1Fが光学ファイバ52の振動のため使用され得る。光学ファイバは、円形断面を有する長い連続したファイバであり得る。この実施形態において、ファイバは、太いファイバ54の中に振動または継ぐように作動されない端部上に比較的長くあり得る。接着剤は、ファイバ52とアクチュエータ44aの間に適用され得、マイクロ-カンチレバーファイバ52の中に振動を含むため適切な接触を作る。
【0018】
図8は、システム1Gを示し、導電材料が構造目的も有する。この変形例において、例えば、2つの曲げられたワイヤ56が使用され、その作動のために必要なエネルギの提供に加えて、マイクロ-カンチレバー52のための構造支持を提供する。アクチュエータは、例えば、マイクロ-溶接、半田等により58でこれらの導電体に取り付けられる。代替的に、全システム1Gは、例えば、マイクロ-製造技術を使用する1片として製造され得る。
【0019】
図9は、マイクロ-カンチレバー60の両側振動のために使用される作動方法を示す。図9は、マイクロ-カンチレバー60に加えて、アクチュエータ66および68だけを示すように部品が取り外されており、および、接続ワイヤおよび基板のような全ての他の繰り返される詳細が記載されておらず、それらは物理的システムに存在する。この実施形態は互いに反対に置かれるアクチュエータ66および68の2組を使用する。熱作動において、シグナル(加熱)の正の部分だけ適用することが可能であり、およびシグナルの欠如は冷却(シグナルを受信することは冷却を含まない)として取られ、反対側上の半正弦シグナルを有する2つの作動を適用することは、振動および効率の対称を改善し得る。pi相シフトは一方側中のシグナルとその反対のシグナル62および64、それぞれの間に適用される。さらに、これは1軸に沿う作動に制限されない。図8に記載されるように、1つより多い作動対は、この特定の設計において共存する。多作動は、種々の方向の振動、およびデバイスの動きに高い柔軟性を有するように重ねられた動きを使用することを助ける。アクチュエータ寸法および棒の大きさは、設計要件を達成するように特定の設計に基づいて最適化され得る。当業者は、半正弦シグナルが例示であり、かつ開示された方法およびシステムに制限されないことを理解するだろう。インパルスに制限されないが、矩形波形を含む周期的なサイクルの任意のタイプは開示された方法およびシステムに適用できる。
【0020】
全ての性能を高めるため、高熱膨張係数を有する材料(例えば、アルミニウム、チタン等)または高熱収縮係数を有する材料は、種々の変形例中のアクチュエータのため使用され得る。
【0021】
熱作動は、形状記憶合金(例えば、NiTi、FeMnSi、CuZnAl等)のような相変化を受ける材料の使用を含んでいる。
【0022】
熱膨張/熱収縮および圧電効果に加えて、他の現象または技術が使われ得る。これは、電気活性ポリマ、ゲルアクチュエータ、高分子型人工筋肉(例えば、ナイロンアクチュエータ)、ナノ-カーボン-チューブ、グラファン(graphane)、グラフェン、カーボン系アクチュエータ、またはそれらの組み合わせを含んでいる。
【0023】
実施形態によれば、熱励振の場合のため、アクチュエータ内側の温度上昇は、電熱加熱(ジュール効果)、隣接媒体からの伝導、放射(例えば、レーザ棒加熱)を含む任意の1以上の種々の方法によって提供され得る。
【0024】
作動方法論は、直線状の横または縦(前後)運動に制限されない。マイクロ-カンチレバーを励振し得る、アクチュエータでの任意の回転および/または湾曲運動がベース励振として含まれ得る。実施形態によれば、アクチュエータ配列は、アクチュエータ構造の任意の組み合わせを含み得、マイクロ-カンチレバーにおいて任意の運動励振を提供する。
【0025】
1つの変形例において、アクチュエータの配列は、任意の方向に振動作動を可能にするために、マイクロ-カンチレバー棒またはファイバの周りに位置し得、および取り付けられ得る。
【0026】
非慣性フレームまたはケース中のシステムを有することは(例えば、全システムを振動させることは)、また、マイクロ-カンチレバー上のダランベール効果を考慮したベース励振として作用し得る。実施形態によれば、そのような全システム振動は、単独で使用され得、またはマイクロ-カンチレバーのベース励振のための任意の上記方法と組み合わせで使用され得る。
【0027】
ロバスト設計方法
【0028】
図10は、種々の開示された方法およびシステムと関連するマイクロ-カンチレバーの概略図を示す。マイクロ-カンチレバーの部分を振動させるメインスパン/長さは、図10に「100」として示されている。「140」および「160」としてそれぞれ示される長さおよび高さを有する、アクチュエータ120は、弾性のベース/接続として作用する。弾性アクチュエータは、また、棒に対する接続ポイントで、回転堅さ180を有する。120の熱サイクルによって生成される垂直変位量は、システム中に作動源である垂直変位量を提供する。そのような概要に基づく数学的定式化は、異なる条件に対するマイクロ-カンチレバーシステムの挙動および応答をシミュレーションおよび予測するために使用され得る。代替的に、システムの有限要素モデルは、コンピュータソフトウエアで実行され得、マイクロ-カンチレバーシステムの挙動および応答をシミュレーションおよび予測する。
【0029】
図11は、種々の環境に曝されたときの図1に示すマイクロ-カンチレバーの調和応答(先端変位量)を示す。得られた数学的定式化は応答を予測するために使用された。
【0030】
図12は異なる圧力での空気によって取り囲まれたベース励振マイク-カンチレバーシステムの実施形態の品質係数を示す。観測された傾向によれば、いくつかの変形例において、加圧している空気は、品質係数を増加させるために使用され得、したがってシステム効率を増加させる。しかしながら、これは、図11に示されたように全先端変位量を減少させ得る。1つの実施形態において、ベース励振マイクロ-カンチレバーシステムは、加圧されたガス環境中に置かれ得、システム効率を増加させる。
【0031】
図13は、ユニットステップの入力電力に対するアクチュエータ層の熱応答を示す。
アクチュエータ(0-1)の規格化長さに沿う温度は種々の実施形態に記載されたマイクロ-レベルアクチュエータの反応時間を示す。
【0032】
図14は、220中に温度変化上のアクチュエータの長さの増加の効果、および240中に安定状態での作動大きさ上のアクチュエータの長さの増加の効果を示す。一般の経時入力下での必要な熱モデルがこの発明の一部として数式化された。
【0033】
図15は、本発明のシステムの選択された変形例を示す。280に接続された細い構造(ワイヤのような)に沿うマイクロ-カンチレバー260は、クランプポイント300に固定されている。280の膨張/収縮が変位量320および傾斜340を生じる。システムの固有周波数と調和する280結果での周期的な励振は、共鳴振動を誘導する。
【0034】
図16は、図6中の28の配置の検討および先端変位量のその効果を示す。数式は、システム中の性能を最適化して発明者および補佐者によって得られた。
【0035】
図17は、マイクロ-カンチレバーの構造上の感度解析を示す。製造プロセスにおける公差のための変形例は、ここで検討される。感度検討は、固有周波数および先端変位量の両方で処理され得る。
【0036】
図18は、マイクロ-カンチレバーのロバスト設計のためのアルゴリズムの例を示す。この汎用アルゴリズムは最終製品における変形例を減少させるために役に立ち得る。この方法によれば、感度解析(図8)の結果として示される感度パラメータは、それらの逆の効果を減少させるために少ない公差を可能とする。
【0037】
図19は、上記ロバスト設計アルゴリズムを実行することと、ベース励振マイクロ-カンチレバーの実施形態の寸法設計に対する変更の適用することとのモデル前(オリジナル)およびモデル後(変更)における、固有周波数(f)の割合の変更例と、マイクロ-カンチレバー先端変位量(u)との間の比較を示す。約+/-0.5マイクロメータの仮の製造公差を有する14マイクロメータのマイクロ-カンチレバー棒直径、および約+/-2マイクロメータの仮の公差を有する約20マイクロメータのアクチュエータオフセット距離に基づく、オリジナル設計構造において、固有周波数は、約+/-5%の変更例を示し、および先端変位量は、約+/-9%の変更例を示す。例えば、次のような、棒直径のための約+/-0.2マイクロメータの厳しい公差を要求し、かつ、オフセット距離(つまり、約+2/-0公差を要求する)における負の変更を除くための設計変更において、固有周波数の変更例は、約+/-3%に減少し、および先端変位量の変更例は、約+/-5%に減少する。
【0038】
マイクロ-カンチレバーの適度に高振動のベース励振のためのシステムおよび方法の種々の実施形態が開示される。これらの実施形態において、マイクロ-カンチレバーはアクチュエータのベースまたは固定された(例えば、クランプされた)端部に隣接または接してアクチュエータに取り付けられる。そのベースで、マイクロ-カンチレバーはベース基板に、または代わってアクチュエータだけに、直接、取り付けられ、または固定され得る。アクチュエータは、電熱加熱の効果ため、または圧電効果のため、電流の印可によって拡張および収縮する、バルク材料、ブリッジ、または形成ワイヤを備え得る。単一のアクチュエータまたはアクチュエータの配列は、マイクロ-カンチレバーの周りに置かれ得、それを振動し、かつ作動パルスを印可する。アクチュエータの種々の構造は、棒の異なる周波数をシミュレーションして、および異なる方向および振幅において変位量を誘導して、実行される。さらに、熱ベース励振作動を有するマイクロ-カンチレバーのロバスト設計のための枠組みは、基準寸法設計の設計書、製造公差の検出または推定、固有周波数および先端変位量のような結果における変化性を予測する実験シミュレーションの設計、および満足な結果が達成されるまでの変化性の予測の公差および設計の反復の変更を含み得る。
【0039】
本開示は、詳細に示され、かつ記載された種々の実施形態に関連して示され、かつ記載されており、種々の変更および構造の変化が本開示の範囲から逸脱することなくなされ得るので、本開示は示された詳細に制限されないことが意図される。形態、構成要素の配置、ステップ、詳細、示された実施形態の操作のオーダに加え、開示の他の実施形態の種々の変更は、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得、およびこの記載への参照において当業者にとって明らかになるだろう。したがって、添付の請求項は、それらが開示の適正な範囲内になるように、そのような変更および実施形態をカバーするだろうと考えられる。明確性の目的および簡潔な記述のため、特徴が、同じ、または別個の実施形態の部分として本願明細書に記載されているが、開示の範囲が全てまたはいくつかの開示された特徴の組み合わせを有する実施形態を含むことは理解されるだろう。「例えば」および「のような」の用語、およびそれらの文法上の同等の物である「および限定されず」のフレーズは、特に明白に指示のない限り、従うことは理解される。本願明細書で使用される、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段、明確に要求しない限り、複数の指示物を含んでいる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19