(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】衣料、及び、衣料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A44B 19/40 20060101AFI20220126BHJP
A41H 37/06 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
A44B19/40
A41H37/06
(21)【出願番号】P 2020117096
(22)【出願日】2020-07-07
【審査請求日】2020-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】517170052
【氏名又は名称】デサントジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西崎 啓
(72)【発明者】
【氏名】新田 浩二
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/142548(WO,A1)
【文献】実開昭60-020815(JP,U)
【文献】特公昭36-022082(JP,B1)
【文献】実開昭59-179606(JP,U)
【文献】国際公開第2019/073919(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 19/00-19/64
A41H 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面と端縁とを含む生地
を少なくとも2枚有し、
複数のエレメントを含むファスナー部材と、
前記生地と前記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有し、
前記生地の端縁の外側に熱融着性接着剤が配置されており、
前記生地と生地との間には、熱融着性接着剤が配置されており、
前記熱融着性接着剤のさらに外側に前記エレメントが配置されて
おり、
前記熱融着性接着剤は前記エレメントに当接していることを特徴とする
衣料。
【請求項2】
前記生地を少なくとも2枚有し、
生地と生地との間には、少なくとも一部が前記生地の端縁の外側にはみ出るように熱融
着性接着剤が配置されている請求項1に記載の衣料。
【請求項3】
前記エレメントと前記生地の端縁が前記熱融着性接着剤によって接着されている請求項
1または2に記載の衣料。
【請求項4】
前記ファスナー部材は、複数のエレメント同士をつなぐ第2の接続部材をさらに有して
いる請求項1~3のいずれか一項に記載の衣料。
【請求項5】
隣り合う2つのエレメント同士の間には間隙が存在しており、
一の前記間隙に存在する前記第2の接続部材に対して、前記第1の接続部材が複数回巻
き付けられている請求項4に記載の衣料。
【請求項6】
前記第1の接続部材が前記第2の接続部材を貫通している請求項4または5に記載の衣
料。
【請求項7】
隣り合う2つのエレメント、及び、前記隣り合う2つのエレメントの間に存在する第2
の接続部材には熱融着性接着剤が塗布されている請求項4~6のいずれか一項に記載の衣
料。
【請求項8】
前記生地と前記ファスナー部材は熱融着性を有する第3の接続部材によってつなぎ合わ
せられている請求項1~7のいずれか一項に記載の衣料。
【請求項9】
主面と端縁とを含む少なくとも2枚の生地と、
複数のエレメントを含むファスナー部材と、
前記生地と前記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製
造方法であって、
前記生地と生地の間から熱融着性接着剤の少なくとも一部がはみ出るように配置するス
テップS1と、
前記ファスナー部材を前記生地の端縁に配置して、前記ファスナー部材と前記生地を第
1の接続部材でつなぎ合わせるステップS2と、を有
し、少なくとも2枚の前記生地の間にある前記熱融着性接着剤が前記エレメントに当接していることを特徴とする衣料の製造方法。
【請求項10】
主面と端縁とを含む少なくとも2枚の生地と、
複数のエレメントを含むファスナー部材と、
前記生地と前記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製
造方法であって、
少なくとも2枚の前記生地の間に熱融着性接着剤が配置されるステップT1と、
前記熱融着性接着剤が配置された前記生地を加熱し、前記熱融着性接着剤の少なくとも
一部を前記生地の端縁の外側にはみ出させるステップT2と、
前記ファスナー部材を前記生地の端縁に配置して、前記ファスナー部材と前記生地を第
1の接続部材でつなぎ合わせるステップT3と、を有
し、少なくとも2枚の前記生地の間にある前記熱融着性接着剤が前記エレメントに当接していることを特徴とする衣料の製造方法。
【請求項11】
主面と端縁とを含む
少なくとも2枚の生地と、
複数のエレメントを含むファスナー部材と、
前記生地と前記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製
造方法であって、
前記ファスナー部材のエレメントに熱融着性接着剤を取付け
かつ当接させるステップU1と、
前記熱融着性接着剤を取り付けた前記ファスナー部材を前記生地の端縁に配置して、前
記ファスナー部材と前記生地を第1の接続部材でつなぎ合わせるステップU2と、を有
し、少なくとも2枚の前記生地の間にある熱融着性接着剤を有していることを特徴とする衣料の製造方法。
【請求項12】
主面と端縁とを含む少なくとも2枚の生地と、
複数のエレメントを含むファスナー部材と、
前記生地と前記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製
造方法であって、
前記生地と生地との間に熱融着性接着剤を配置するステップV1と、
前記2枚の生地の端部を切除することにより前記熱融着性接着剤の端部に露出面を形成
するステップV2と、
前記露出面に前記ファスナー部材を配置するステップV3と、
前記ファスナー部材と前記生地を第1の接続部材でつなぎ合わせるステップV4と、
を有し、少なくとも2枚の前記生地の間にある熱融着性接着剤がファスナー部材の前記エレメントに当接していることを特徴とする衣料の製造方法。
【請求項13】
主面と端縁とを含む少なくとも2枚の生地と、
複数のエレメントを含むファスナー部材と、
前記生地と前記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製
造方法であって、
少なくとも2枚の前記生地の間に熱融着性接着剤が配置されるステップW1と、
前記ファスナー部材を前記生地の端縁に配置して、前記ファスナー部材と前記生地を第
1の接続部材でつなぎ合わせるステップW2と、
前記熱融着性接着剤が配置された前記生地を加熱し、前記熱融着性接着剤の少なくとも
一部を前記生地の端縁の外側にはみ出させるステップW3と、
を有
し、少なくとも2枚の前記生地の間にある熱融着性接着剤がファスナー部材の前記エレメントに当接していることを特徴とする衣料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料、及び、衣料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衣料は用途に応じて、質の改善や機能の付加が行われてきた。生地の軽量化や、通気性、肌触り、着脱のしやすさなど、これまで改善されてきたものは様々である。
【0003】
衣料に取り付けられている従来のスライドファスナーは、構成部品として、エレメント、スライダー、エレメントを固定するための生地が必要不可欠であった。このため、従来のスライドファスナーが取付けられたスライドファスナー付きの衣料の場合には、特にスライドファスナーの取り付け部分の軽量化が困難であった。また、エレメントを固定するための生地が、ミシンによる縫製加工等によって衣料に取り付けられるため、スライドファスナーを取付けた部分の柔軟性を低下させる場合もあった。
【0004】
上記事情に鑑みて、複数の独立するエレメントが連結部材に等間隔で取着される一対のエレメント部材と、上翼板及び下翼板間にエレメント案内路が形成されるスライダーと、互いに対向する位置に一対のエレメント取付縁部を備えるファスナー被着部材とを有し、前記エレメント部材は、前記エレメント取付縁部に対して前記エレメント部材の幅方向の外側に並ぶ位置に配され、且つ、前記エレメント取付縁部に固定用縫製部により直接固定され、前記固定用縫製部は、前記エレメント取付縁部を刺通し、且つ、前記固定用縫製部を形成する糸が前記連結部材を保持し、前記固定用縫製部が前記エレメント取付縁部を刺通する位置は、前記エレメント部材の幅方向において、前記エレメント部材の前記エレメントから前記エレメント取付縁部の内側に離間してなる、ことを特徴とするスライドファスナー付き製品が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されているスライドファスナー付き製品においては、スライドファスナーの開閉がしにくくなることがあり、未だ改善の余地があった。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ファスナーの開閉がしやすい衣料、及び、衣料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決できた本発明の衣料とは、主面と端縁とを含む生地と、複数のエレメントを含むファスナー部材と、上記生地と上記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有し、上記生地の端縁の外側に熱融着性接着剤が配置されており、上記熱融着性接着剤のさらに外側に上記エレメントが配置されていることを特徴とするものである。このように、生地の端縁の外側に熱融着性接着剤が配置されており、熱融着性接着剤のさらに外側にエレメントが配置されていることで、エレメントと生地とが熱融着性接着剤によって接着されること、又は、エレメントと生地との間に存在する熱融着性接着剤が摩擦を生じさせることによって、エレメントが生地の端縁からずれることを抑制することができる。
【0009】
上記衣料は、上記生地を少なくとも2枚有し、生地と生地との間には、少なくとも一部が前記生地の端縁の外側にはみ出るように熱融着性接着剤が配置されていることが好ましい。
【0010】
上記衣料は、上記エレメントと上記生地の端縁が上記熱融着性接着剤によって接着されていることが好ましい。
【0011】
上記ファスナー部材は、複数のエレメント同士をつなぐ第2の接続部材をさらに有する構成とすることができる。
【0012】
上記衣料の隣り合う2つのエレメント同士の間には間隙が存在しており、一の間隙に存在する上記第2の接続部材に対して、上記第1の接続部材が複数回巻き付けられていることが好ましい。
【0013】
上記衣料において、第1の接続部材が第2の接続部材を貫通していることが好ましい。
【0014】
上記衣料の隣り合う2つのエレメント、及び、隣り合う2つのエレメントの間に存在する第2の接続部材には熱融着性接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0015】
上記衣料における上記生地と上記ファスナー部材は熱融着性を有する第3の接続部材によってつなぎ合わせられていることが好ましい。
【0016】
上記課題を解決できた本発明の衣料の製造方法とは、主面と端縁とを含む少なくとも2枚の生地と、複数のエレメントを含むファスナー部材と、上記生地と上記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製造方法であって、生地と生地の間から熱融着性接着剤の少なくとも一部がはみ出るように配置するステップS1と、上記ファスナー部材を上記生地の端縁に配置して、上記ファスナー部材と上記生地を第1の接続部材でつなぎ合わせるステップS2と、を有することを特徴とする。生地と生地の間から熱融着性接着剤の少なくとも一部がはみ出るように配置され、ファスナー部材が上記生地の端縁に配置されることで、ファスナー部材と生地とが熱融着性接着剤によって接着されること、又は、ファスナー部材と生地からはみ出ている熱融着性接着剤との間で摩擦を生じさせることによって、ファスナー部材が生地の端縁からずれることを抑制することができる。
【0017】
上記課題を解決できた本発明の衣料の製造方法とは、主面と端縁とを含む少なくとも2枚の生地と、複数のエレメントを含むファスナー部材と、上記生地と上記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製造方法であって、少なくとも2枚の生地の間に熱融着性接着剤が配置されるステップT1と、熱融着性接着剤が配置された生地を加熱し、熱融着性接着剤の少なくとも一部を上記生地の端縁の外側にはみ出させるステップT2と、ファスナー部材を上記生地の端縁に配置して、ファスナー部材と生地を第1の接続部材でつなぎ合わせるステップT3と、を有することを特徴とする。熱融着性接着剤の少なくとも一部を生地の端縁の外側にはみ出させたうえでファスナー部材を生地の端縁に配置することで、ファスナー部材と生地とが熱融着性接着剤によって接着されること、又は、ファスナー部材と生地からはみ出ている熱融着性接着剤との間で摩擦を生じさせることによって、ファスナー部材が生地の端縁からずれることを抑制することができる。
【0018】
上記課題を解決できた本発明の衣料の製造方法とは、主面と端縁とを含む生地と、複数のエレメントを含むファスナー部材と、上記生地と上記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製造方法であって、上記ファスナー部材のエレメントに熱融着性接着剤を取付けるステップU1と、熱融着性接着剤を取り付けたファスナー部材を上記生地の端縁に配置して、ファスナー部材と生地を第1の接続部材でつなぎ合わせるステップU2と、を有することを特徴とする。エレメントに熱融着性接着剤を取付け、熱融着性接着剤を取り付けたエレメントを有するファスナー部材を生地の端縁に配置することで、エレメントと生地とが熱融着性接着剤によって接着されること、又は、エレメントに取り付けた熱融着性接着剤と生地の端縁との間で摩擦を生じさせることによって、エレメントが生地の端縁からずれることを抑制することができる。
【0019】
上記課題を解決できた本発明の衣料の製造方法とは、主面と端縁とを含む少なくとも2枚の生地と、複数のエレメントを含むファスナー部材と、生地とファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製造方法であって、生地と生地との間に熱融着性接着剤を配置するステップV1と、2枚の生地の端部を切除することにより熱融着性接着剤の端部に露出面を形成するステップV2と、露出面にファスナー部材を配置するステップV3と、ファスナー部材と生地を第1の接続部材でつなぎ合わせるステップV4と、熱融着性接着剤を加熱することにより、熱融着性接着剤の少なくとも一部を生地の端縁の外側にはみ出させるステップV5と、を有することを特徴とする。上記露出面にファスナー部材を配置した状態で熱融着性接着剤を加熱し、熱融着性接着剤の少なくとも一部を生地の端縁の外側にはみ出させることによって、ファスナー部材と生地とが熱融着性接着剤によって接着されること、又は、ファスナー部材と生地からはみ出ている熱融着性接着剤との間で摩擦を生じさせることによって、ファスナー部材が生地の端縁からずれることを抑制することができる。
【0020】
上記課題を解決できた本発明の衣料の製造方法とは、主面と端縁とを含む少なくとも2枚の生地と、複数のエレメントを含むファスナー部材と、上記生地と上記ファスナー部材をつなぎ合わせる第1の接続部材と、を有する衣料の製造方法であって、少なくとも2枚の生地の間に熱融着性接着剤が配置されるステップW1と、ファスナー部材を上記生地の端縁に配置して、ファスナー部材と生地を第1の接続部材でつなぎ合わせるステップW2と、熱融着性接着剤が配置された生地を加熱し、熱融着性接着剤の少なくとも一部を上記生地の端縁の外側にはみ出させるステップW3と、を有することを特徴とする。ファスナー部材を生地の端縁に配置した状態でファスナー部材と生地とを第1の接続部材でつなぎ合わせた後に、熱融着性接着剤が配置された生地を加熱して熱融着性接着剤の少なくとも一部を生地の端縁の外側にはみ出させることで、ファスナー部材と生地とが熱融着性接着剤によって接着されること、又は、ファスナー部材と生地からはみ出ている熱融着性接着剤との間で摩擦を生じさせることによって、ファスナー部材が生地の端縁からずれることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の衣料、及び、衣料の製造方法は、ファスナー部材と生地とが接着されること、又は、ファスナー部材と生地との間で摩擦を生じさせることによって、ファスナー部材が生地の端縁からずれることを抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分を示す上面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る衣料のファスナー部材を示す上面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の変形例を示す上面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分を示す上面図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る衣料のファスナー部材を示す上面図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の変形例を示す上面図である。
図4は、本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
図5は、本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
図6は、
図1のVI-VI線における断面図である。
図7は、本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
図8は、本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
図9は、本発明の実施の形態に係る衣料のうち、ファスナー部材を取り付けた部分の他の変形例を示す上面図である。
【0025】
本発明の衣料は、
図1に示すように、主面11と端縁12とを含む生地10と、複数のエレメント21を含むファスナー部材20と、上記生地10と上記ファスナー部材20をつなぎ合わせる第1の接続部材30と、を有し、上記生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置されており、上記熱融着性接着剤40のさらに外側に上記エレメント21が配置されていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明において衣料は身に着けるものであり、パーカー・トレーナー・コート・ジャケット・ジャンパー等の上衣、ズボン・スカート等の下衣、ワンピース・つなぎ等の上衣と下衣が一体化したつなぎ服を含む。他にも、本発明の衣料には、水着、下着なども含まれる。
【0027】
上記衣料は、主面11と端縁12とを含む生地10を有する。端縁12は、生地10のうち、生地10の端部を指す。生地を構成する材料は、衣料に一般に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、布地(織布、編布、不織布等)、樹脂が積層されている布地、樹脂フィルム、これらを組み合わせた材料等を用いることができる。布地を構成する繊維としては、例えば、綿・絹等の天然繊維、ポリエステル・ポリエチレン・ナイロン等の合成繊維が挙げられる。生地同士は、縫合、接着剤による接着、熱融着、超音波融着等により接合することができる。
【0028】
上記生地10は1枚の布地又はフィルムで構成されていてもよいし、複数枚の布地やフィルムが重ねられた多層構造であってもよい。
【0029】
上記衣料は、複数のエレメント21を含むファスナー部材20を有する。エレメント21は、
図2に示すように、他のエレメント21と係合する噛合部22と、噛合部22以外の胴部23と、を有することが好ましい。
【0030】
上記エレメント21を構成する素材は特に限定されないが、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を含む素材で構成されることができる。なお、上記エレメント21は、その他の合成樹脂や、金属を含む素材で構成されていてもよい。
【0031】
上記衣料は、生地10とファスナー部材20をつなぎ合わせる第1の接続部材30を有する。第1の接続部材30は、衣料を縫製する際に一般に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、糸や紐などを用いることができる。第1の接続部材30は、長繊維糸であってもよいし、短繊維糸であってもよいが、生地10とファスナー部材20が固定されやすいよう、比較的滑りにくい短繊維であることが好ましい。第1の接続部材30を構成する繊維としては、例えば、綿・絹等の天然繊維、ポリエステル・ポリエチレン・ナイロン等の合成繊維が挙げられる。また、第1の接続部材30としては、長い繊維をそのままの長さの状態で糸にしたフィラメント糸、短繊維を平行に引きそろえながら細くし撚りをかけて糸にしたスパン糸を使用することができる。第1の接続部材30としては、比較的滑りにくい短繊維のスパン糸であることがより好ましい。
【0032】
上記衣料の第1の接続部材30が生地10とファスナー部材20とをつなぎ合わせる際には、第1の接続部材30として糸を使用することが好ましく、生地10とファスナー部材20とをつなぎ合わせる際の糸調子を強くすることが好ましい。このようにすることで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制する。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。なお、第1の接続部材30として、ポリエステル糸とメルター糸の交撚したメルター引揃え糸を使用することもできる。
【0033】
図示しないが、上記衣料は、ファスナー部材20のうちのエレメント21と生地10とが第1の接続部材30によってつなぎ合わせられる構成としても構わない。この場合は、例えば、エレメント21の胴部23に、第1の接続部材30が通る程度の穴をあけ、生地10とエレメント21を第1の接続部材30によってつなぎ合わせる構成とすることができる。
【0034】
上記衣料は、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置されており、熱融着性接着剤40のさらに外側に上記エレメント21が配置されている。熱融着性接着剤40は、生地10の端縁12の外側であって、生地10の主面11に対して垂直な方向に配置されることが好ましい。生地10の端縁12の外側に配置された熱融着性接着剤40のさらに外側にはエレメント21が配置される。エレメント21は、熱融着性接着剤40のさらに外側であって、生地10の主面11に対して垂直な方向に配置されることが好ましい。
【0035】
熱融着性接着剤40としては、公知のものを使用すればよく、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、合成ゴム、アクリルなどを主成分とする熱融着性接着剤の中から、接着する被着材の材質に合わせて適宜選択して使用すればよい。熱融着性接着剤40はホットメルトであることが好ましい。
【0036】
また、上記熱融着性接着剤40として、予めフィルム状に成形されたものを使用してもよい。
【0037】
上記衣料は、上記生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置されており、上記熱融着性接着剤40のさらに外側に上記エレメント21が配置されていることを特徴とするものである。生地10の端縁12の外側に配置される熱融着性接着剤40は、生地10に接着されていてもよいし、生地10に接着されていなくてもよい。また、熱融着性接着剤40の外側に配置されるエレメント21は、熱融着性接着剤40に接着されていてもよいし、熱融着性接着剤40に接着されていなくてもよい。例えば、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置され、熱融着性接着剤40の外側に上記エレメント21が配置されており、生地10の端縁12と熱融着性接着剤40は接着されているが、当該熱融着性接着剤40とエレメント21は接着されていない構成とすることができる。また、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置され、熱融着性接着剤40の外側に上記エレメント21が配置されており、生地10の端縁12と熱融着性接着剤40は接着されていないが、当該熱融着性接着剤40とエレメント21は接着されている構成とすることができる。さらに、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置され、熱融着性接着剤40の外側に上記エレメント21が配置されており、生地10の端縁12と熱融着性接着剤40は接着されておらず、当該熱融着性接着剤40とエレメント21も接着されていない構成とすることもできる。このように、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置されており、熱融着性接着剤40の外側に上記エレメント21が配置されていることで、生地10の端縁12とエレメント21との間に存在する熱融着性接着剤40がブレーキのような役割をはたすことができる。これによって、エレメント21が生地10の所定位置からずれようとした場合に、生地10とエレメント21との間で摩擦を生じさせることによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。
【0038】
上記衣料は、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置されており、熱融着性接着剤40の外側に上記エレメント21が配置されているものであって、エレメント21と生地10の端縁12が熱融着性接着剤40によって接着されていることが好ましく、エレメント21の胴部23と生地10の端縁12が熱融着性接着剤40によって接着されていることがより好ましい。例えば、上記エレメント21の胴部23の少なくとも一部と上記生地10の端縁12の少なくとも一部が上記熱融着性接着剤40によって接着されている構成とすることができる。エレメント21と生地10の端縁12を熱融着性接着剤40によって接着させることによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0039】
上記衣料は、
図6に示すように、上記生地10を少なくとも2枚有し、生地10と生地10との間には、少なくとも一部が生地10の端縁12の外側にはみ出るように熱融着性接着剤40が配置されていることが好ましい。より詳細には、一の生地10の主面11の上に熱融着性接着剤40が配置され、当該熱融着性接着剤40の上に他の生地10の主面11がくるように配置されることが好ましい。熱融着性接着剤40の少なくとも一部は、生地10の端縁12の外側にはみ出るように配置される。また、生地10の端縁12からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にエレメント21が配置されることが好ましく、生地10の端縁12からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にエレメント21の胴部23が配置されることがより好ましい。
【0040】
上記一の生地10と他の生地10は、間に配置される熱融着性接着剤40によって接着されていることが好ましい。当該接着は、単に加熱することによって行われてもよいし、加熱するとともに圧着することによって行われてもよい。
【0041】
上記少なくとも2枚の生地10は、一の生地10が布地、他の生地10がフィルムであってもよい。少なくとも2枚の生地10は一の生地10、他の生地10ともに布地であってもよいし、一の生地10、他の生地10ともにフィルムであってもよい。
【0042】
上記生地10の枚数は、2枚以上であることが好ましく、3枚、4枚、5枚、それ以上の枚数であっても構わない。
【0043】
生地10の枚数が増えた場合であっても、それぞれの生地10と生地10の間に熱融着性接着剤40が配置されていることが好ましい。例えば、上記衣料が第1の生地10、第2の生地10、第3の生地10の、3枚の生地10を有していて、この順に配置されている場合、第1の生地10と第2の生地10の間に熱融着性接着剤40が配置され、第2の生地10と第3の生地10の間に熱融着性接着剤40が配置されていることが好ましい。第1の生地10と第2の生地10は熱融着性接着剤40によって接着されていることがより好ましい。第2の生地10と第3の生地10が熱融着性接着剤40によって接着されていることも好ましい。
【0044】
他にも、上記衣料が第1の生地10、第2の生地10、第3の生地10、第4の生地10の、4枚の生地10を有していて、この順に配置されている場合、第1の生地10と第2の生地10の間に熱融着性接着剤40が配置され、第2の生地10と第3の生地10の間に熱融着性接着剤40が配置され、第3の生地10と第4の生地10の間に熱融着性接着剤40が配置されていることが好ましい。第1の生地10と第2の生地10は熱融着性接着剤40によって接着されていることがより好ましい。第2の生地10と第3の生地10が熱融着性接着剤40によって接着されていることも好ましい。第3の生地10と第4の生地10が熱融着性接着剤40によって接着されていることも好ましい。5枚、6枚、それ以上と、さらに生地10の枚数を増やす場合も、それぞれの生地10と生地10の間に熱融着性接着剤40が配置されていることが好ましく、それぞれの生地10と生地10の間に配置された熱融着性接着剤40によって生地10同士が接着されていることがより好ましい。
【0045】
上記少なくとも2枚の生地10は、同じ大きさ、同じ形であることが好ましく、間に熱融着性接着剤40が配置される一の生地10及び他の生地10は、同じ大きさ、同じ形であることがより好ましい。
【0046】
本発明の実施の形態に係る衣料においては、生地10の端縁12の外側にはみ出ている熱融着性接着剤40のさらに外側にエレメント21が配置されていることが好ましい。生地10の端縁12の外側にはみ出るように配置されている熱融着性接着剤40は、外側に配置されるエレメント21と接着していてもよいし、接着していなくてもよい。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着している場合は、エレメント21と生地10の端縁12を熱融着性接着剤40によって接着させることで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、エレメント21を含むファスナー部材20が生地から外れることも抑制することができる。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着していない場合は、生地10と生地10との間からはみ出ている熱融着性接着剤40と熱融着性接着剤40の外側に存在するエレメント21との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。
【0047】
上記衣料において、生地10と生地10との間には、少なくとも一部が生地10の端縁12の外側にはみ出るように熱融着性接着剤40が配置される。上記熱融着性接着剤40は、その一部が一の生地10と他の生地10の間に存在し、残りの部分が生地10の端縁12の外側にはみ出るように配置されることが好ましい。熱融着性接着剤40を生地10の端縁12の外側にはみ出させる方法として、例えば、予め熱融着性接着剤40の一部が一の生地10と他の生地10の間に存在し、残りの部分が生地10の端縁12の外側にはみ出るように配置してもよい。また、予め熱融着性接着剤40の一部が一の生地10と他の生地10の間に存在し、残りの部分が一の生地10と他の生地10の間からはみ出るように配置した後に熱融着性接着剤40を加熱又は加熱するとともに圧着してもよい。加熱又は加熱するとともに圧着することによって、熱融着性接着剤40を生地10の端縁12の外側にはみ出させやすくすることができる。他の実施形態として、まず熱融着性接着剤40を一の生地10と他の生地10の間からはみ出ないように配置したのち、加熱又は加熱するとともに圧着することによって、熱融着性接着剤40を一の生地10と他の生地10の間からはみ出させることもできる。加熱の工程を有する場合はその後に、冷却する工程を付してもよい。生地10と生地10との間から少なくとも一部が生地10の端縁12の外側にはみ出るように熱融着性接着剤40を配置する方法として、2枚の生地10の間に熱融着性接着剤40を配置し、生地10の端部を切除することにより熱融着性接着剤40の端部に露出面を形成し、その後に熱融着性接着剤40を加熱又は加熱するとともに圧着することによって生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40をはみ出させることもできる。生地10の端部を切除する際には、熱融着性接着剤40が一の生地10と他の生地10とともに切断されることが好ましい。2枚の生地10の間に熱融着性接着剤40を配置した後、加熱又は加熱するとともに圧着することで2枚の生地を熱融着性接着剤40で接着させてから生地10の端部を切除してもよい。
【0048】
図1に示すように、上記ファスナー部材20は、複数のエレメント21同士をつなぐ第2の接続部材31をさらに有する構成とすることができる。
【0049】
上記ファスナー部材20が第2の接続部材31を有する場合、第1の接続部材30は生地10を貫通し、ファスナー部材20のうちの第2の接続部材31の外表面の一部と接するように配置されることが好ましい。
【0050】
第2の接続部材31は特に限定されないが、例えば、糸や紐などを用いることができる。第2の接続部材31を構成する繊維としては、例えば、綿・絹等の天然繊維、ポリエステル・ポリエチレン・ナイロン等の合成繊維、その他、炭素繊維等の無機繊維が挙げられる。
【0051】
ファスナー部材20が第2の接続部材31を有している場合、例えば、各エレメント21の胴部23に第2の接続部材31が通る程度の穴を開け、その穴に第2の接続部材31を貫通させることで、複数のエレメント21同士をつなぐことができる。生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置されておらず、生地10の端縁12の外側にエレメント21が配置されているのみの場合は、ファスナー部材20のエレメント21が第2の接続部材31を軸にして回転し、エレメント21の噛合部22の向きが不揃いになるため、ファスナー部材20の開閉をしにくくなることがあった。しかし、本発明の実施の形態に係る衣料は、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置されており、熱融着性接着剤40の外側にエレメント21が配置されているものである。このため、エレメント21と生地10とが熱融着性接着剤40によって接着されること、又は、エレメント21と生地10との間で熱融着性接着剤40が摩擦を生じさせることによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることや、エレメント21が第2の接続部材31を軸に回転して、ファスナー部材20の開閉がしにくくなることを抑制することができる。
【0052】
なお、
図1、
図3~
図5、
図7~
図9では、第1の接続部材30の配置の方法の例を示しているが、第1の接続部材30の配置の方法は図示した態様に限定されるものではなく、生地10とファスナー部材20をつなぎ合わせることができる態様であればよい。
【0053】
図3に示すように、上記衣料の隣り合う2つのエレメント21同士の間には間隙が存在しており、一の間隙に存在する第2の接続部材31に対して、上記第1の接続部材30が複数回巻き付けられていることが好ましい。この場合は、例えば、各エレメント21の胴部23に第2の接続部材31が通る程度の穴を開け、その穴に第2の接続部材31を貫通させることが好ましい。このときに、隣り合う2つのエレメント21同士の間に間隙を持たせた状態で複数のエレメント21同士を繋ぐことが好ましい。また、第1の接続部材30でファスナー部材20と生地10とをつなぎ合わせる際には、一の間隙に存在する第2の接続部材31に対して第1の接続部材30を複数回巻き付けることが好ましい。上記のように構成することで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることや、エレメント21が第2の接続部材31を軸に回転して、ファスナー部材20の開閉がしにくくなることを抑制する。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0054】
図7に示すように、上記衣料の隣り合う2つのエレメント21同士の間には間隙が存在しており、一の間隙に存在する第2の接続部材31と生地10との間を第1の接続部材30が3往復以上していることが好ましい。この場合は、例えば、各エレメント21の胴部23に第2の接続部材31が通る程度の穴を開け、その穴に第2の接続部材31を貫通させることが好ましい。このときに、隣り合う2つのエレメント21同士の間に間隙を持たせた状態で複数のエレメント21同士を繋ぐことが好ましい。また、第1の接続部材30でファスナー部材20と生地10とをつなぎ合わせる際には、一の間隙に存在する第2の接続部材31と生地10との間を第1の接続部材30が3往復以上していることが好ましい。上記のように構成することで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることや、エレメント21が第2の接続部材31を軸に回転して、ファスナー部材20の開閉がしにくくなることを抑制することができる。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0055】
一の間隙に存在する第2の接続部材31と生地10との間における第1の接続部材30の往復回数は、3回以上であることが好ましく、4回以上、5回以上とすることも可能である。上記往復回数を増やすことにより、エレメント21が生地10の端縁12からずれることや、エレメント21が第2の接続部材31を軸に回転して、ファスナー部材20の開閉がしにくくなることを抑制することができる。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。第2の接続部材31と生地10との間における第1の接続部材30の往復回数の上限としては、例えば10回以下、8回以下などにすることができる。
【0056】
図4、
図8、
図9に示すように、上記衣料において、第1の接続部材30が第2の接続部材31を貫通していることが好ましい。第1の接続部材30でファスナー部材20と生地10とをつなぎ合わせる際には、第2の接続部材31に対して第1の接続部材30を貫通させることで、ファスナー部材20のうちのエレメント21が生地10の端縁12からずれることや、エレメント21が第2の接続部材31を軸に回転して、ファスナー部材20の開閉がしにくくなることを抑制する。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0057】
上記衣料の隣り合う2つのエレメント21、及び、隣り合う2つのエレメント21の間に存在する第2の接続部材31には熱融着性接着剤40が塗布されていることが好ましい。隣り合う2つのエレメント21と、当該隣り合う2つのエレメント21の間に存在する第2の接続部材31に熱融着性接着剤40が塗布されることによって、エレメント21が第2の接続部材31を軸に回転することを抑制することができる。
【0058】
また、隣り合う2つのエレメント21、及び、隣り合う2つのエレメント21の間に存在する第2の接続部材31に塗布されている熱融着性接着剤40が、当該エレメント21と第2の接続部材31とを接着していることがより好ましい。隣り合う2つのエレメント21と当該隣り合う2つのエレメント21の間に存在する第2の接続部材31が熱融着性接着剤40によって接着されることによって、エレメント21が第2の接続部材31を軸に回転することを抑制することができる。これにより、エレメント21が生地10の端縁12からずれることや、エレメント21が第2の接続部材31を軸に回転して、ファスナー部材20の開閉がしにくくなることを抑制する。
【0059】
なお、生地10の端縁12の外側に配置される熱融着性接着剤40と、隣り合う2つのエレメント21及び隣り合う2つのエレメント21の間に存在する第2の接続部材31に塗布される熱融着性接着剤40とは、同じ成分で構成されたものであってもよいし、違う成分で構成されたものであってもよい。
【0060】
図5に示すように、上記衣料における上記生地10と上記ファスナー部材20は熱融着性を有する第3の接続部材32によってつなぎ合わせられていることが好ましい。また、第3の接続部材32は、生地10を貫通し、ファスナー部材20のうちの第2の接続部材31の外表面の一部と接するように配置されることがより好ましい。これにより、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制する。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。なお、第3の接続部材32が第2の接続部材31を貫通している構成としても構わない。
【0061】
第3の接続部材32を構成する素材には、熱で溶けて接着する性質を有する素材が含まれる。第3の接続部材32全体が熱で溶けて接着する性質を有する素材で構成されていることが好ましく、その形状は糸状や紐状であることが好ましい。第3の接続部材32としては、例えば、ナイロンで構成された糸であることが好ましい。第3の接続部材32としては、メルター糸、又は、メルター引揃え糸を使用することもできる。
【0062】
なお、
図5では、第3の接続部材32の配置の方法の一例を示しているが、第3の接続部材32の配置の方法は図示したものに限定されるものではない。図示しないが、例えば、隣り合う2つのエレメント21同士の間には間隙が存在しており、一の間隙に存在する第2の接続部材31に対して、上記第3の接続部材32が複数回巻き付けられている構成とすることもできる。この場合は、各エレメント21の胴部23に第2の接続部材31が通る程度の穴を開け、その穴に第2の接続部材31を貫通させる。このときに、隣り合う2つのエレメント21同士の間に間隙を持たせた状態で複数のエレメント21同士がつながれる。ここで、第3の接続部材32を、一の間隙に存在する第2の接続部材31に対して複数回巻き付けることで実施することができる。上記のように構成することで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることや、エレメント21が第2の接続部材31を軸に回転して、ファスナー部材20の開閉がしにくくなることを抑制することができる。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0063】
このように、本発明の実施の形態に係る衣料は、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40が配置されており、熱融着性接着剤40の外側にエレメント21が配置されていることで、エレメント21と生地10とが熱融着性接着剤40によって接着されること、又は、エレメント21と生地10との間で熱融着性接着剤40が摩擦を生じさせることによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。
【0064】
ここまで、本発明の実施の形態に係る衣料について説明した。以下では本発明の実施の形態に係る衣料の製造方法について説明する。ここでは、上記で説明した構成については説明を省略する。
【0065】
本発明の第1の実施の形態に係る衣料の製造方法とは、主面11と端縁12とを含む少なくとも2枚の生地10と、複数のエレメント21を含むファスナー部材20と、上記生地10と上記ファスナー部材21をつなぎ合わせる第1の接続部材30と、を有する衣料の製造方法であって、生地10と生地10の間から熱融着性接着剤40の少なくとも一部がはみ出るように配置するステップS1と、上記ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置して、上記ファスナー部材20と上記生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせるステップS2と、を有することを特徴とする。
【0066】
ステップS1では、少なくとも2枚の生地10と生地10との間から、少なくとも一部が生地10の間からはみ出るように熱融着性接着剤40を配置する。熱融着性接着剤40を生地10と生地10の間からはみ出させる方法として、例えば、予め熱融着性接着剤40の一部が一の生地10と他の生地10の間に存在し、残りの部分が一の生地10と他の生地10の間からはみ出るように配置してもよい。
【0067】
ステップS1では、少なくとも2枚の生地10と生地10との間から、少なくとも一部が生地10の間からはみ出るように熱融着性接着剤40を配置するが、このときに、生地10の端縁12の外側にはみ出るように熱融着性接着剤40を配置することが好ましい。熱融着性接着剤40を生地10の端縁12の外側にはみ出させる方法として、例えば、予め熱融着性接着剤40の一部が一の生地10と他の生地10の間に存在し、残りの部分が一の生地10と他の生地10の間からはみ出るように配置した後に加熱又は加熱するとともに圧着してもよい。加熱又は加熱するとともに圧着をすることによって、熱融着性接着剤40を生地10の端縁12の外側にはみ出させやすくすることができる。他の実施形態として、まず熱融着性接着剤40が一の生地10と他の生地10の間からはみ出ないように重ねたのち、加熱又は加熱するとともに圧着することによって、熱融着性接着剤40を一の生地10と他の生地10の間からはみ出させることもできる。このようにすることで、熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させやすくすることができる。熱融着性接着剤40を加熱する工程を有する場合はその後に、さらに熱融着性接着剤40を冷却するステップを付してもよい。生地10と生地10との間から少なくとも一部が生地10の端縁12の外側にはみ出るように熱融着性接着剤40を配置する方法として、2枚の生地10の間に熱融着性接着剤40を配置し、生地10の端部を切除することにより熱融着性接着剤40の端部に露出面を形成し、その後に熱融着性接着剤40を加熱又は加熱するとともに圧着することによって生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40をはみ出させることもできる。生地10の端部を切除する際には、熱融着性接着剤40が一の生地10と他の生地10とともに切断されることが好ましい。2枚の生地10の間に熱融着性接着剤40を配置した後に、加熱又は加熱するとともに圧着することで2枚の生地10を熱融着性接着剤40で接着させてから生地10の端部を切除してもよい。
【0068】
ステップS2では、ファスナー部材20を生地10の端縁12に配置して、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせる。このとき、一の生地10と他の生地10の間からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にファスナー部材20を配置し、ファスナー部材20と生地10とを第1の接続部材30でつなぎ合わせることが好ましい。
【0069】
上記第1の実施形態に係る衣料の製造方法においては、熱融着性接着剤40の少なくとも一部が生地10の端縁12の外側にはみ出した状態で、ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置する。このとき、一の生地10と他の生地10の間からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にファスナー部材20を配置することが好ましい。生地10の間からはみ出るように配置されている熱融着性接着剤40は、外側に配置されるファスナー部材20と接着していてもよいし、接着していなくてもよい。ファスナー部材20と熱融着性接着剤40とが接着している場合は、ファスナー部材20と生地10の端縁12を熱融着性接着剤40によって接着させることによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。ファスナー部材20と熱融着性接着剤40とが接着していない場合は、一の生地10と他の生地10との間から熱融着性接着剤40がはみ出ていることで、熱融着性接着剤40の外側に存在するファスナー部材20と、当該熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。なお、ファスナー部材20と生地10とを熱融着性接着剤40によって接着させる場合は、熱融着性接着剤40を加熱するだけでも接着させることができるが、熱融着性接着剤40を加熱すると共に、ファスナー部材20を生地10の端縁12に圧着させることが好ましい。このようにすることで、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができ、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0070】
また、ステップS2では、一の生地10と他の生地10の間からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にファスナー部材20のうちのエレメント21が配置され、ファスナー部材20と生地10とを第1の接続部材30を用いてつなぎ合わせることがより好ましい。このとき、一の生地10と他の生地10の間からはみ出ている熱融着性接着剤40とエレメント21の胴部23とが対向していることがさらに好ましい。
【0071】
上記第1の実施形態に係る衣料の製造方法においては、熱融着性接着剤40の少なくとも一部が生地10の端縁12の外側にはみ出した状態で、ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置する。このとき、一の生地10と他の生地10の間からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にファスナー部材20を配置することが好ましい。生地10の間からはみ出るように配置されている熱融着性接着剤40は、外側に配置されるファスナー部材20のうちのエレメント21と接着していてもよいし、接着していなくてもよい。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着している場合は、エレメント21と生地10の端縁12を熱融着性接着剤40によって接着させることによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着していない場合は、生地10と生地10との間から熱融着性接着剤40がはみ出ていることで、熱融着性接着剤40の外側に存在するエレメント21と、当該熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。なお、エレメント21と生地10とを熱融着性接着剤40によって接着させる場合は、熱融着性接着剤40を加熱するだけでも接着させることができるが、熱融着性接着剤40を加熱すると共に、エレメント21を生地10の端縁12に圧着させることが好ましい。このようにすることで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができ、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0072】
上記のように、本発明の第1の実施の形態に係る衣料の製造方法は、一の生地10と他の生地10の間から熱融着性接着剤40の少なくとも一部がはみ出るように配置され、そこにファスナー部材20が上記生地10の端縁12に配置されることで、ファスナー部材20と生地10とが接着されること、又は、ファスナー部材20と生地10との間で摩擦を生じさせることによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。
【0073】
本発明の第2の実施の形態に係る衣料の製造方法とは、主面11と端縁12とを含む少なくとも2枚の生地10と、複数のエレメント21を含むファスナー部材20と、上記生地10と上記ファスナー部材20をつなぎ合わせる第1の接続部材30と、を有する衣料の製造方法であって、少なくとも2枚の生地10の間に熱融着性接着剤40が配置されるステップT1と、熱融着性接着剤40が配置された生地10を加熱し、熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させるステップT2と、ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置して、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせるステップT3と、を有することを特徴とする。
【0074】
ステップT1では、少なくとも2枚の生地10と生地10との間に熱融着性接着剤40を配置する。熱融着性接着剤40は、その全体が一の生地10と他の生地10の間に存在するように配置することで実施することができる。
【0075】
ステップT2では、熱融着性接着剤40が配置された生地10を加熱し、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40の少なくとも一部をはみ出させる。ステップT2では、熱融着性接着剤40が配置された生地10を加熱するとともに圧着し、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40の少なくとも一部をはみ出させることもできる。加熱するとともに圧着させることで生地10の端縁12に熱融着性接着剤40の少なくとも一部をはみ出させやすくすることができる。
【0076】
ステップT2の後であってステップT3の前に、加熱又は加熱するとともに圧着された熱融着性接着剤40を冷却するステップを付してもよい。加熱又は加熱するとともに圧着した後に、冷却するステップを付すことで、一の生地10と他の生地10の熱融着性接着剤40による接着をより強くすることができる。
【0077】
ステップT3では、ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置して、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせる。このとき、上記生地10の端縁12からはみ出している熱融着性接着剤40の外側にファスナー部材20を配置することが好ましい。
【0078】
上記第2の実施形態に係る衣料の製造方法においては、熱融着性接着剤40の少なくとも一部が生地10の端縁12の外側にはみ出した状態で、ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置する。このとき、一の生地10と他の生地10の間からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にファスナー部材20を配置することが好ましい。生地10の間からはみ出るように配置されている熱融着性接着剤40は、外側に配置されるファスナー部材20と接着していてもよいし、接着していなくてもよい。ファスナー部材20と熱融着性接着剤40とが接着している場合は、ファスナー部材20と生地10の端縁12が熱融着性接着剤40によって接着されることによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。ファスナー部材20と熱融着性接着剤40とが接着していない場合は、一の生地10と他の生地10との間から熱融着性接着剤40がはみ出ていることで、はみ出ている熱融着性接着剤40の外側に存在するファスナー部材20と、当該熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。なお、ファスナー部材20と生地10とを熱融着性接着剤40によって接着させる場合は、熱融着性接着剤40を加熱するだけでも接着させることができるが、熱融着性接着剤40を加熱すると共に、ファスナー部材20を生地10の端縁12に圧着させることが好ましい。このようにすることで、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができ、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0079】
また、ステップT3では、一の生地10と他の生地10の間からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にファスナー部材20のうちのエレメント21が配置され、ファスナー部材20と生地10とを第1の接続部材30を用いてつなぎ合わせることがより好ましい。
【0080】
熱融着性接着剤40の少なくとも一部が生地10の端縁12の外側にはみ出した状態で、ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置する。このとき、一の生地10と他の生地10の間からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にファスナー部材20を配置することが好ましい。ステップT2で生地10の端縁12の外側にはみ出された熱融着性接着剤40は、外側に配置されるファスナー部材20のうちのエレメント21と接着していてもよいし、接着していなくてもよい。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着している場合は、エレメント21と生地10の端縁12が熱融着性接着剤40によって接着されることによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着していない場合は、生地10と生地10との間から熱融着性接着剤40がはみ出ていることで、はみ出ている熱融着性接着剤40の外側に存在するエレメント21と、当該熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。なお、エレメント21と生地10とを熱融着性接着剤40によって接着させる場合は、熱融着性接着剤40を加熱するだけでも接着させることができるが、熱融着性接着剤40を加熱すると共に、エレメント21を生地10の端縁12に圧着させることが好ましい。このようにすることで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができ、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0081】
上記のように、本発明の第2の実施の形態に係る衣料の製造方法は、生地10の端縁12から熱融着性接着剤40の少なくとも一部をはみ出させたうえでファスナー部材20を生地10の端縁12に配置することで、ファスナー部材20と生地10とが熱融着性接着剤40によって接着されること、又は、ファスナー部材20と生地10との間で熱融着性接着剤40が摩擦を生じさせることによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。
【0082】
本発明の第3の実施の形態に係る衣料の製造方法とは、主面11と端縁12とを含む生地10と、複数のエレメント21を含むファスナー部材20と、上記生地10と上記ファスナー部材20をつなぎ合わせる第1の接続部材30と、を有する衣料の製造方法であって、上記ファスナー部材20のエレメント21に熱融着性接着剤40を取付けるステップU1と、熱融着性接着剤40を取り付けたファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置して、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせるステップU2と、を有することを特徴とする。
【0083】
ステップU1では、ファスナー部材20のエレメント21に熱融着性接着剤40を取付ける。このとき、ファスナー部材20のエレメント21のうち、胴部23の少なくとも一部に熱融着性接着剤40を取付けることが好ましい。
【0084】
ステップU2では、熱融着性接着剤40を取り付けたエレメント21を有するファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置して、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせる。このとき、熱融着性接着剤40を取り付けたエレメント21のうち、熱融着性接着剤40が取り付けられている部分が生地10の端縁12と対向するように生地10の端縁12の外側に配置され、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせることが好ましい。
【0085】
上記ステップU2において、エレメント21のうち熱融着性接着剤40が取り付けられている部分が生地10の端縁12と対向するように生地10の端縁12の外側に配置される。このとき、ステップU1でエレメント21に取り付けられた熱融着性接着剤40は、生地10の端縁12と接着させてもよいし、接着させなくてもよい。熱融着性接着剤40と、生地10の端縁12とが接着される場合は、エレメント21と生地10の端縁12とが熱融着性接着剤40によって接着されるため、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。生地10の端縁12と熱融着性接着剤40とが接着されない場合は、エレメント21に取り付けられている熱融着性接着剤40と生地10の端縁12との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。なお、エレメント21と生地10とを熱融着性接着剤40によって接着させる場合は、熱融着性接着剤40を加熱するだけでも接着させることができるが、熱融着性接着剤40を加熱すると共に、エレメント21を生地10の端縁12に圧着させることが好ましい。このようにすることで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができ、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0086】
上記のように、本発明の第3の実施の形態に係る衣料の製造方法は、エレメント21に熱融着性接着剤40を取付け、熱融着性接着剤40を取り付けたファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置することで、エレメント21と生地10とが熱融着性接着剤40によって接着されること、又は、エレメント21と生地10との間で摩擦を生じさせることによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。
【0087】
本発明の第4の実施の形態に係る衣料の製造方法とは、主面11と端縁12とを含む少なくとも2枚の生地10と、複数のエレメント21を含むファスナー部材20と、生地10とファスナー部材20をつなぎ合わせる第1の接続部材30と、を有する衣料の製造方法であって、生地10と生地10との間に熱融着性接着剤40を配置するステップV1と、2枚の生地10の端部を切除することにより熱融着性接着剤40の端部に露出面を形成するステップV2と、露出面にファスナー部材20を配置するステップV3と、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせるステップV4と、熱融着性接着剤40を加熱することにより、熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させるステップV5と、を有することを特徴とする。
【0088】
ステップV1では、生地10と生地10との間に熱融着性接着剤40を配置する。熱融着性接着剤40は、その一部が一の生地10と他の生地10の間に存在し、残りの部分が一の生地10と他の生地10の間からはみ出るように配置してもよいし、熱融着性接着剤40は一の生地10と他の生地10の間からはみ出ないように配置してもよい。ステップV1では、生地10と生地10との間に熱融着性接着剤40を配置した後で、生地10と生地10とを熱融着性接着剤40で仮接着させることが好ましい。ここでいう仮接着は、間に熱融着性接着剤40を配置した生地10にアイロンを当てるなどして生地10と生地10とを熱融着性接着剤40で接着させることを言う。上記仮接着の代わりに、間に熱融着性接着剤40を配置した生地10をしつけ糸を用いて仮縫いする構成としてもよい。
【0089】
ステップV2では2枚の生地10の端部を切除することにより熱融着性接着剤40の端部に露出面を形成する。このとき、熱融着性接着剤40が2枚の生地10とともに切断されることが好ましい。このようにすることで生地10の端縁12と熱融着性接着剤40の端部をそろえることができる。
【0090】
ステップV3では、熱融着性接着剤40の露出面にファスナー部材20を配置する。このとき、熱融着性接着剤40の露出面にファスナー部材20のうちのエレメント21が配置されることが好ましい。このとき、熱融着性接着剤40の露出面とエレメント21の胴部23とが対向していることがより好ましい。
【0091】
ステップV4では、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせる。
【0092】
ステップV5では、熱融着性接着剤40を加熱することにより、熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させる。熱融着性接着剤40を加熱する温度は、熱融着性接着剤40が軟化する温度であればよい。ステップV5では、一の生地10と他の生地10の間に配置されている熱融着性接着剤40を加熱すると共に圧着することが好ましい。加熱するとともに圧着することによって、熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させやすくすることができる。
【0093】
上記第4の実施形態に係る衣料の製造方法においては、ステップV5で生地10の端縁12の外側にはみ出した熱融着性接着剤40が、ステップV3で熱融着性接着剤40の露出面に配置されたファスナー部材20と接着させてもよいし、接着させなくてもよい。ファスナー部材20と熱融着性接着剤40とを接着させる場合は、ファスナー部材20と生地10の端縁12が熱融着性接着剤40によって接着されることによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。ファスナー部材20と熱融着性接着剤40とを接着させない場合は、一の生地10と他の生地10との間から熱融着性接着剤40がはみ出ていることで、はみ出ている熱融着性接着剤40の外側に存在するファスナー部材20と、当該熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。なお、ファスナー部材20と生地10とを熱融着性接着剤40によって接着させる場合は、熱融着性接着剤40を加熱するだけでも接着させることができるが、熱融着性接着剤40を加熱すると共に、ファスナー部材20を熱融着性接着剤40の露出面に圧着させることが好ましい。このようにすることで、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができ、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0094】
また、上記第4の実施形態に係る衣料の製造方法においては、ステップV5で生地10の端縁12の外側にはみ出した熱融着性接着剤40が、ステップV3で熱融着性接着剤40の露出面に配置されたファスナー部材20のうちのエレメント21と接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着されている場合は、エレメント21と生地10の端縁12を熱融着性接着剤40によって接着させることによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着されていない場合は、生地10と生地10との間から熱融着性接着剤40がはみ出ていることで、熱融着性接着剤40の外側に存在するエレメント21と、当該熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。なお、エレメント21と生地10とを熱融着性接着剤40によって接着させる場合は、熱融着性接着剤40を加熱するだけでも接着させることができるが、熱融着性接着剤40を加熱すると共に、エレメント21を熱融着性接着剤40の露出面に圧着させることが好ましい。このようにすることで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができ、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0095】
上記のように、本発明の第4の実施の形態に係る衣料の製造方法は、露出面にファスナー部材20を配置した状態で熱融着性接着剤40を加熱し、熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させることによって、ファスナー部材20と生地10とが熱融着性接着剤40によって接着されること、又は、ファスナー部材20と生地10からはみ出ている熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。
【0096】
本発明の第5の実施の形態に係る衣料の製造方法とは、主面11と端縁12とを含む少なくとも2枚の生地10と、複数のエレメント21を含むファスナー部材20と、上記生地10と上記ファスナー部材20をつなぎ合わせる第1の接続部材30と、を有する衣料の製造方法であって、少なくとも2枚の生地10の間に熱融着性接着剤40が配置されるステップW1と、ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置して、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせるステップW2と、熱融着性接着剤40が配置された生地10を加熱し、熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させるステップW3と、を有することを特徴とする。
【0097】
ステップW1では、少なくとも2枚の生地10と生地10との間に熱融着性接着剤を配置する。熱融着性接着剤40は、その全体が一の生地10と他の生地10の間に存在するように配置してもよいし、熱融着性接着剤40は、その一部が一の生地10と他の生地10の間に存在し、残りの部分が一の生地10と他の生地10の間からはみ出るように配置してもよい。
【0098】
ステップW2では、ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置して、ファスナー部材20と生地10を第1の接続部材30でつなぎ合わせる。
【0099】
ステップW3では、熱融着性接着剤40が配置された生地10を加熱し、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40の少なくとも一部をはみ出させる。ステップW3では、熱融着性接着剤40が配置された生地10を加熱するとともに圧着することで、熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させることもできる。加熱するとともに圧着させることで熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12にはみ出させやすくすることができる。
【0100】
ステップW3の後に、加熱又は加熱するとともに圧着された熱融着性接着剤40を冷却するステップを付してもよい。加熱又は加熱するとともに圧着した後に、冷却するステップを付すことで、一の生地10と他の生地10の熱融着性接着剤40による接着をより強くすることができる。
【0101】
上記第5の実施形態に係る衣料の製造方法においては、ファスナー部材20を上記生地10の端縁12に配置した状態でファスナー部材20と生地10とを第1の接続部材30でつなぎ合わせた後に、熱融着性接着剤40が配置された生地10を加熱して熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させる。このとき、生地10の端縁12の外側にはみ出される熱融着性接着剤40のさらに外側にファスナー部材20が存在していることが好ましい。生地10の端縁12の外側にはみ出される熱融着性接着剤40は、外側に存在するファスナー部材20と接着されてもよいし、接着されなくてもよい。ファスナー部材20と熱融着性接着剤40とが接着される場合は、ファスナー部材20と生地10の端縁12が熱融着性接着剤40によって接着されることによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。ファスナー部材20と熱融着性接着剤40とが接着されない場合は、生地10の端縁12の外側に熱融着性接着剤40がはみ出ていることで、はみ出ている熱融着性接着剤40の外側に存在するファスナー部材20と、当該熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。なお、ファスナー部材20と生地10とを熱融着性接着剤40によって接着させる場合は、熱融着性接着剤40を加熱するだけでも接着させることができるが、熱融着性接着剤40を加熱すると共に、ファスナー部材20を生地10の端縁12に圧着させることが好ましい。このようにすることで、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができ、ファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0102】
また、ステップW3では、一の生地10と他の生地10の間からはみ出ている熱融着性接着剤40の外側にファスナー部材20のうちのエレメント21が配置され、この状態でファスナー部材20と生地10とを第1の接続部材30を用いてつなぎ合わせることがより好ましい。
【0103】
上記第5の実施形態に係る衣料の製造方法においては、ファスナー部材20を生地10の端縁12に配置した状態でファスナー部材20と生地10とを第1の接続部材30でつなぎ合わせた後に、熱融着性接着剤40が配置された生地10を加熱して熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させる。このとき、生地10の端縁12の外側にはみ出される熱融着性接着剤40のさらに外側にファスナー部材20が存在していることが好ましい。ステップW3で生地10の端縁12の外側にはみ出された熱融着性接着剤40は、外側に存在するファスナー部材20のうちのエレメント21と接着されてもよいし、接着されなくてもよい。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着される場合は、エレメント21と生地10の端縁12が熱融着性接着剤40によって接着されることによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。さらに、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。エレメント21と熱融着性接着剤40とが接着されていない場合は、生地10と生地10との間から熱融着性接着剤40がはみ出ていることで、はみ出ている熱融着性接着剤40の外側に存在するエレメント21と、当該熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることができる。これによって、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。なお、エレメント21と生地10とを熱融着性接着剤40によって接着させる場合は、熱融着性接着剤40を加熱するだけでも接着させることができるが、熱融着性接着剤40を加熱すると共に、エレメント21を生地10の端縁12に圧着させることが好ましい。このようにすることで、エレメント21が生地10の端縁12からずれることを抑制することができ、エレメント21を含むファスナー部材20が生地10から外れることも抑制することができる。
【0104】
上記のように、本発明の第5の実施の形態に係る衣料の製造方法は、ファスナー部材20を生地10の端縁12に配置した状態でファスナー部材20と生地10とを第1の接続部材30でつなぎ合わせた後に、熱融着性接着剤40が配置された生地10を加熱して熱融着性接着剤40の少なくとも一部を生地10の端縁12の外側にはみ出させることで、ファスナー部材20と生地10とが熱融着性接着剤40によって接着されること、又は、ファスナー部材20と生地10からはみ出ている熱融着性接着剤40との間で摩擦を生じさせることによって、ファスナー部材20が生地10の端縁12からずれることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0105】
10: 生地
11: 主面
12: 端縁
20: ファスナー部材
21: エレメント
22: 噛合部
23: 胴部
30: 第1の接続部材
31: 第2の接続部材
32: 第3の接続部材
40: 熱融着性接着剤