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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】基板搬送ロボット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220126BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/10 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020539415
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2019033034
(87)【国際公開番号】W WO2020045280
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】16/119,485
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517340611
【氏名又は名称】カワサキロボティクス(ユーエスエー),インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】中原 一
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-51670(JP,A)
【文献】特開2002-224982(JP,A)
【文献】国際公開第2011/062138(WO,A1)
【文献】特開2011-134898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードポートの第1側において当該ロードポートの開口部と結合された基板のキャリアに対し、前記ロードポートを介して前記第1側と反対の第2側から前記開口部を通じて前記基板の受け渡しを行う基板搬送ロボットであって、
前記基板を保持するハンドと、
前記ハンドと連結され当該ハンドを変位させるロボットアームと、
前記ハンド又は前記ロボットアームに取り付けられた撮像装置と、
前記ロボットアーム及び前記撮像装置の動作を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記撮像装置で前記第2側から撮像した前記開口部の周縁及び当該開口部に結合された前記キャリアを含む撮像画像を取得し、前記撮像画像を画像処理することにより、前記キャリアの結合位置の所定の基準結合位置からの偏差を検出する、
基板搬送ロボット。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ロボットアームが前記キャリアに対し前記基板を受け渡す際に前記偏差を加味して前記ロボットアームの動作を調整する、
請求項1に記載の基板搬送ロボット。
【請求項3】
前記偏差は、前記開口部に規定された基準水平ラインからの前記キャリアの水平ラインの傾きを含む、
請求項1又は2に記載の基板搬送ロボット。
【請求項4】
前記偏差は、前記開口部の水平方向の端部からの前記キャリアの水平方向の端部の距離を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の基板搬送ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードポートと結合された基板のキャリアに対し基板の受け渡しを行う基板搬送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板のキャリアのクランプ、キャリアのドッキング及びアンドッキング、並びに、キャリアのドアの開閉などを行うロードポートが知られている。このようなロードポートは、例えば、キャリアと基板処理装置とのインターフェースであるEFEM(Equipment Front End Module)に設けられる。
【0003】
特許文献1では、設備のカセットステージへカセット(キャリア)を自動搬送する自動搬送システムが開示されている。この自動搬送システムは、カメラとハンドとを備えた自動搬送車と、カメラでステージの画像を取り込んで処理することによりステージ上のカセットの有無を検出する画像認識手段と、カセット及びその他の障害物が無ければハンドにカセットをステージへ移載させる制御手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-195924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のように、キャリアをロードポートのステージへ自動搬送すると、ステージ上の所定の載置基準位置と実際のキャリアの載置位置とに差異が生じることがある。このような状態でキャリアがロードポート開口部とドッキングされると、所定の基準結合位置と実際のキャリアの結合位置とに差異が生じることがある。キャリアとの基板の受け渡しは基板搬送ロボットが行う。基板搬送ロボットは、キャリアに対し正確に基板を受け渡しするために、キャリアの結合位置のズレを認識しておく必要がある。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、ロードポートに結合されたキャリアの結合位置のズレを基板搬送ロボットで検出する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る基板搬送ロボットは、
ロードポートの第1側において当該ロードポートの開口部と結合された基板のキャリアに対し、前記ロードポートを介して前記第1側と反対の第2側から前記開口部を通じて前記基板の受け渡しを行う基板搬送ロボットであって、
前記基板を保持するハンドと、
前記ハンドと連結され当該ハンドを変位させるロボットアームと、
前記ハンド又は前記ロボットアームに取り付けられた撮像装置と、
前記ロボットアーム及び前記撮像装置の動作を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記撮像装置で前記第2側から撮像した前記開口部の周縁及び当該開口部に結合された前記キャリアを含む撮像画像を取得し、前記撮像画像を画像処理することにより、前記キャリアの結合位置の所定の基準結合位置からの偏差を検出することを特徴としている。
【0008】
上記基板搬送ロボットによれば、ロボット自身に搭載された撮像装置で撮像した画像に基づいて、ロードポートに対するキャリアの結合位置のズレを検出することができる。この検出結果は、基板搬送ロボットのキャリアに対する基板の受け渡しの動作に反影させることができる。また、1台の基板搬送ロボットで、複数のロードポートに対して同様にキャリアの結合位置のズレを検出することができる。更に、ロードポートやキャリアの規格を問わず、同様にロードポートに対するキャリアの結合位置のズレを検出することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロードポートに結合されたキャリアの結合位置のズレを基板搬送ロボットで検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る基板搬送ロボットを含む基板処理設備の概略構成を示す図である。
図2図2は、図1に示すロードポートの概略構成を示す図である。
図3図3は、図1に示す基板搬送ロボットの制御系統の構成を示す図である。
図4図4は、撮像画像の例1を示す図である。
図5図5は、撮像画像の例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔基板処理設備100の概略構成〕
以下に本発明の実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る基板搬送ロボット7を含む基板処理設備100の概略構成を示す図であり、図2は、図1に示すロードポート2の概略構成を示す図である。図1に示す基板処理設備100は、ロードポート2、基板移載装置3、及び基板処理装置4を備える。
【0012】
基板移載装置3は、基板のキャリア16と基板処理装置4とのインターフェースである。キャリア16は、内部に基板6を箱状の容器15と、容器15の開口部を密閉する蓋17とを備える。キャリア16の内部壁面には、基板6を載置するための棚板18が鉛直方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。
【0013】
基板移載装置3は、内部に移載室30が形成された筐体31、及び、筐体31の天井に設置されたファンフィルタユニット5を有する。ファンフィルタユニット5から移載室30の内部に供給された清浄な空気は、移載室30内を下向きに流れ、移載室30の床面から装置外部へと排出される。このような清浄空気の供給により、移載室30内は外部雰囲気よりも高圧に維持され、高清浄雰囲気に保たれている。
【0014】
基板移載装置3の筐体31内には、キャリア16から基板6を受け取って基板処理装置4へ渡し、また、基板処理装置4から基板6を受け取ってキャリア16へ渡す、基板搬送ロボット7が設けられている。基板搬送ロボット7については後ほど詳述する。
【0015】
基板移載装置3の筐体31の側面には、基板処理装置4が接続されている。基板処理装置4は、熱処理、不純物導入処理、薄膜形成処理、リソグラフィー処理、洗浄処理、及び、平坦化処理の少なくとも1つ以上のプロセス処理を基板に施す装置であってよい。基板処理装置4は、例えば、基板6を真空空間へ導入するロードロックチャンバ41、基板6を処理するプロセスチャンバ43、及び、ロードロックチャンバ41とプロセスチャンバ43との間で基板6を受け取って搬入・搬出するトランスファチャンバ42の複数の真空チャンバを有する。基板移載装置3は、ロードロックチャンバ41に対し、基板の受け渡しを行う。但し、基板処理装置4の構成は上記に限定されない。
【0016】
基板移載装置3の筐体31の基板処理装置4の接続された側面と反対側の側面には、少なくとも1つのロードポート2が設けられている。ロードポート2は、筐体31の側面の一部分を形成している。
【0017】
図1及び図2に示すように、ロードポート2は、キャリア16が載置されるステージ21と、基板6の受渡口であるポート開口部22が設けられたプレート23と、ポート開口部22を開閉するドア24と、ステージ21をポート開口部22に対して前進・後退移動させるステージ駆動装置29と、ドア24を昇降動作させるドア駆動装置28とを備える。
【0018】
ステージ21には、キャリア16を所定の載置基準位置に位置決めする位置決めピン211が設けられている。この位置決めピン211が、キャリア16の底部に設けられた位置決め穴に嵌ることによって、キャリア16がステージ21に位置決めされる。但し、位置決め穴は長穴であって、キャリア16にステージ21に対して若干の位置ズレが生じることがある。
【0019】
ステージ21は、ステージ駆動装置29によって往復移動させられる。ステージ駆動装置29は、例えば、モータ291と、モータ291に駆動される送りネジ292とを備える。送りネジ292が正転・逆転することによって、ステージ21がポート開口部22に対して前進・後退移動する。ステージ21の前進移動に伴って、キャリア16がポート開口部22(ドア24)に向かって前進移動すると、キャリア16の蓋17とドア24とが当接する。これにより、キャリア16の開口縁に形成されたフランジ19と、ポート開口部22の周囲に設けられたフランジパネル27とが当接し、キャリア16とプレート23とが結合(ドッキング)される。
【0020】
ドア24は、蓋17に対して吸着力による一体化と位置決めを行うためのレジストレーションピン241と、ラッチキー242とを有する。ラッチキー242を蓋17に備えられたラッチキー穴(図示略)と嵌合させてロック解除方向に回転させることにより、蓋17がロック解除状態に切り替えられるとともに、蓋17とドア24とが一体化される。また、ラッチキー242を蓋17に備えられたラッチキー穴(図示略)と嵌合させてロック方向に回転させることにより、蓋17がロック状態に切り替えられるとともに、蓋17とドア24との一体化が解除される。
【0021】
ドア24と蓋17とが一体化されたのち、ドア24がキャリア16に対し離間する方向へ移動することによって、キャリア16から蓋17が分離される。ドア24は、ブラケット285を介してドア駆動装置28に取り付けられている。ドア駆動装置28は、例えば、昇降用モータ281と、昇降用モータ281に駆動される送りネジ282と、並進用モータ283と、並進用モータ283に駆動される並進用送りネジ284とを備える。昇降用送りネジ282はブラケット285に螺入しており、昇降用送りネジ282の正転・逆転により、ドア24が昇降・降下する。並進用送りネジ284は昇降用モータ281を保持しているブラケット286に螺入しており、並進用送りネジ284の正転・逆転により、ドア24がポート開口部22に対して前進・後退する。上記ドア駆動装置28では、蓋17と一体化したドア24がポート開口部22から後退してから降下することによって、蓋17及びドア24がポート開口部22から退避し、キャリア16内と移載室30とがポート開口部22を通じて連通される。
【0022】
〔基板搬送ロボット7の構成〕
次に、基板搬送ロボット7の構成について詳細に説明する。図3は、図1に示す基板搬送ロボット7の制御系統の構成を示す図である。
【0023】
図1及び図3に示すように、基板搬送ロボット7は、ロボットアーム(以下、単に「アーム71」という)と、アーム71の手首部に連結された基板保持ハンド(以下、単に「ハンド72」という)と、アーム71を支持する基台73と、アーム71又はハンド72に搭載された撮像装置9と、ロボットコントローラ8とを備える。本実施形態に係るアーム71は水平多関節型ロボットアームであるが、アーム71はこれに限定されない。
【0024】
アーム71は、基台73に支持された昇降軸70と、少なくとも1本のリンク75,76とを備える。本実施形態に係るアーム71では、昇降軸70の上端に第1リンク75の基端が第1関節J1を介して連結され、第1リンク75の先端に第2リンク76の基端が第2関節J2を介して連結されている。第2リンク76の先端には、ハンド72の基端が第1手首関節J3及び第2手首関節J4を介して連結されている。第1関節J1、第2関節J2、及び第1手首関節J3は、2つの要素を垂直な軸線回りに回動可能に連接する関節である。また、第2手首関節J4は、2つの要素を水平な軸線回りに回動可能に連接する関節である。
【0025】
ハンド72は、アーム71の先端と連結されたハンド基部51と、ハンド基部51と結合されたブレード52とを備える。ブレード52には、基板6を保持するための保持装置(図示略)が設けられている。この保持装置は、ブレード52に載置された基板6を嵌合、吸着、挟持、又は他の態様でブレード52から落脱しないようにするものであってよい。
【0026】
基台73内には、昇降軸70を昇降駆動する昇降駆動装置60が設けられている。昇降駆動装置60は、例えば、コントローラ8から与えられる信号に従って角変位するサーボモータと、減速装置を含みサーボモータの動力を直進力に変換して昇降軸70へ伝達する動力伝達機構と、サーボモータの角変位を検出する位置検出器とを含む(いずれも図示略)。第1リンク75内には、第1関節J1を駆動する第1関節駆動装置61、及び、第2関節J2を駆動する第2関節駆動装置62が設けられている。第2リンク76内には第1手首関節J3を駆動する第1手首関節駆動装置63が設けられている。ハンド基部51内には、第2手首関節J4を駆動する第2手首関節駆動装置64が設けられている。各関節J1~J4の駆動装置61~64は、コントローラ8から与えられる信号に従って角変位するサーボモータと、減速装置を含みサーボモータの動力をリンク体に伝達する動力伝達機構と、サーボモータの角変位を検出する位置検出器とを含む(いずれも図示略)。
【0027】
撮像装置9は、カメラ91と、カメラ91の撮像範囲に光を照射する照射装置92とを含む。本実施形態ではハンド基部51に撮像装置9が取り付けられているが、撮像装置9はアーム71に取り付けられていてもよい。カメラ91はハンド72と一体的に、アーム71によって移動させられる。
【0028】
コントローラ8は、基板搬送ロボット7の動作を司る。コントローラ8は、ロボット制御部81、及びキャリア位置調整部82を含む。コントローラ8は、いわゆるコンピュータであって、例えば、マイクロコントローラ、CPU、MPU、PLC、DSP、ASIC又はFPGA等のプロセッサ8aと、ROM、RAM等のメモリ8bとを有する。メモリ8bには、キャリア位置調整プログラムを含むプロセッサ8aが実行するプログラムが記憶されている。また、メモリ8bには、プロセッサ8aが行う処理に使用されるデータなどが格納されている。コントローラ8では、メモリ8bに記憶されたプログラムをプロセッサ8aが読み出して実行することにより、ロボット制御部81、キャリア位置調整部82として機能するための処理が行われる。なお、コントローラ8は単一のコンピュータによる集中制御により各処理を実行してもよいし、複数のコンピュータの協働による分散制御により各処理を実行してもよい。
【0029】
コントローラ8のロボット制御部81は、基板搬送ロボット7の動作を制御する。より詳細には、ロボット制御部81は、昇降駆動装置60、第1関節駆動装置61、第2関節駆動装置62、第1手首関節駆動装置63、及び、第2手首関節駆動装置64と電気的に接続されている。ロボット制御部81は、これらの駆動装置に含まれる位置検出器からサーボモータの回転位置を取得し、それらの回転位置と対応するハンド72のポーズ(位置及び姿勢)と記憶された教示点データとに基づいて、目標ポーズを演算する。更に、ロボット制御部81は、ハンド72が目標ポーズとなるようにサーボアンプへ制御指令を出力する。サーボアンプは、制御指令に基づいて各サーボモータに対して駆動電力を供給することにより、ハンド72が目標ポーズへ移動する。
【0030】
コントローラ8のキャリア位置調整部82は、ロードポート2と結合されたキャリア16の位置ズレを検出し、それを基板搬送ロボット7の動作に反影させる。以下、基板搬送ロボット7によって行われるキャリア位置調整処理について説明する。
【0031】
キャリア位置調整処理は、ロードポート2にキャリア16が結合され、且つ、ポート開口部22を通じてキャリア16と移載室30とが連通された状態で行われる。但し、キャリア16内の基板6の有無は問わない。
【0032】
先ず、コントローラ8はアーム71を動作させて、撮像範囲にポート開口部22の周縁及びポート開口部22に結合されたキャリア16が入るように、カメラ91を移動させる。
【0033】
次に、コントローラ8は、カメラ91にポート開口部22の周縁及び当該ポート開口部22に結合されたキャリア16を撮像させて、その撮像画像を取得する。なお、カメラ91は、ロードポート2のキャリア16が結合された第1側(基板移載装置3の外側)と当該ロードポート2を介して反対の第2側(基板移載装置3の内側)から、ポート開口部22及びキャリア16を撮像する。
【0034】
続いて、コントローラ8は、取得した撮像画像を画像処理することにより、ロードポート2に規定された所定の基準結合位置からの、キャリア16の実際の結合位置の偏差を求める。基準結合位置とは、キャリア16がポート開口部22に傾きやズレなく結合されているときのキャリア16の位置をいう。
【0035】
具体的には、コントローラ8は、撮像画像において、ポート開口部22の周縁、並びに、ポート開口部22の内側に写るキャリア16の内壁、棚板18(又は、基板6)のプロファイルを抽出する。例えば図4に示すように、コントローラ8は、撮像画像中のポート開口部22の上縁及び下縁のプロファイルから、撮像画像中のポート開口部22の水平基準ラインHDを特定することができる。また、コントローラ8は、キャリア16の内壁、棚板18(又は、基板6)のプロファイルから、撮像画像中のキャリア16の水平ラインHを特定することができる。ロードポート2と結合されたキャリア16が基準結合位置にあるとき、基準水平ラインと水平ラインとは平行となる。コントローラ8は、撮像画像中のポート開口部22の基準水平ラインからのキャリア16の水平ラインの傾きを検出し、それを結合位置の偏差(傾きの偏差)とする。
【0036】
また、例えば図5に示すように、コントローラ8は、ポート開口部22の水平方向の両端のプロファイルから、撮像画像中のポート開口部22の左縁EDL及び右縁EDRを特定することができる。コントローラ8は、キャリア16の内壁、棚板18(又は、基板6)のプロファイルから、撮像画像中のキャリア16の左縁EL及び右縁ERを特定することができる。コントローラ8は、撮像画像中のポート開口部22の左縁EDLからのキャリア16の左縁ELの距離(左縁の開き)と、撮像画像中のポート開口部22の右縁EDRからのキャリア16の右縁ERの距離(右縁の開き)との少なくとも一方を求め、それを結合位置の偏差(左右位置の偏差)とする。ロードポート2と結合されたキャリア16が基準結合位置にあるとき、左右位置の偏差は予め記憶された所定値となる。
【0037】
また、コントローラ8は、ロードポート2と結合されたキャリア16が基準結合位置にあるときの画像を基準画像として記憶しておき、この基準画像と撮像画像とを比較することにより、基準結合位置からのキャリア16の結合位置の偏差(傾きの偏差及び左右位置の偏差)を検出してもよい。
【0038】
コントローラ8は、上記のように、傾きの偏差及び左右位置の偏差のうち少なくとも一方の偏差を検出して、偏差が予め記憶された閾値よりも大きい場合には、その偏差を加味して、キャリア16に対し基板6を受け渡す際のアーム71の動作を調整する。詳細には、キャリア位置調整部82は、ロボット制御部81へ偏差を調整情報として出力する、又は、偏差を調整情報として記憶し、ロボット制御部81はこの調整情報を加味してアーム71の動作を制御する。この結果、ハンド72の目標位置が記憶された(教示された)目標位置に対して、上下又は左右に移動した位置となったり、ブレード52の主面が傾けられたりする。このように、アーム71の動作が調整されることによって、ハンド72でキャリア16に対し基板6を受け渡す際に、ハンド72は目的の基板6は棚板18に対してより正確にアクセスすることができ、ハンド72と基板6が干渉する事態を回避することができる。
【0039】
なお、本実施形態に係る基板搬送ロボット7では、アーム71が第1手首関節J3(旋回軸)に加えて第2手首関節J4(回転軸)を有することから、ブレード52の主面を水平から傾けることによってキャリア16の傾きの偏差に対し調整することができる。アーム71の手首軸が回転軸を有しない場合には、ブレード52の主面を傾けることが難しいため、コントローラ8は、傾きの偏差が予め記憶された閾値よりも大きい場合には、キャリア16をロードポート2に対して再結合するように報知するように構成されてもよい。
【0040】
以上に説明したように、本実施形態の基板搬送ロボット7は、ロードポート2の第1側において当該ロードポート2の開口部22と結合された基板6のキャリア16に対し、ロードポート2を介して第1側と反対の第2側から開口部22を通じて基板6の受け渡しを行う基板搬送ロボット7であって、基板6を保持するハンド72と、ハンド72と連結され当該ハンド72を変位させるロボットアーム71と、ハンド72又はロボットアーム71に取り付けられた撮像装置9と、ロボットアーム71及び撮像装置9の動作を制御するコントローラ8と、を備えるものである。そして、コントローラ8が、撮像装置9で第2側から撮像した開口部22の周縁及び当該開口部22に結合されたキャリア16を含む撮像画像を取得し、撮像画像を画像処理することにより、キャリア16の結合位置の所定の基準結合位置からの偏差を検出することを特徴としている。
【0041】
上記基板搬送ロボット7によれば、ロボット自身に搭載された撮像装置9で撮像した画像に基づいて、ロードポート2に対するキャリア16の結合位置のズレを検出することができる。この検出結果は、基板搬送ロボット7のキャリア16に対する基板6の受け渡しの動作に反影させることができる。また、1台の基板搬送ロボット7で、複数のロードポート2に対して同様にキャリア16の結合位置のズレを検出することができる。更に、ロードポート2やキャリア16の規格を問わず、同様にロードポート2に対するキャリア16の結合位置のズレを検出することができる。
【0042】
上記基板搬送ロボット7において、本実施形態に示すように、上記コントローラ8が、ロボットアーム71がキャリア16に対し基板を受け渡す際に偏差を加味してロボットアーム71の動作を調整するように構成されていてよい。
【0043】
これにより、検出した偏差を加味してロボットアーム71が動作するので、ハンド72は目的の基板6に対してより正確にアクセスすることができる。よって、ハンド72による基板6の受け渡し動作が安定し、ハンド72が基板6と干渉する事態を回避することができる。
【0044】
また、上記基板搬送ロボット7において、本実施形態に示すように、偏差が、開口部22に規定された基準水平ラインからのキャリア16の水平ラインの傾きを含んでいてよい。
【0045】
これにより、コントローラ8は、ロードポート2に結合されたキャリア16が基準結合位置から傾いているかどうかを知ることができる。
【0046】
また、上記基板搬送ロボット7において、本実施形態に示すように、偏差が、開口部22の水平方向の端部からのキャリア16の水平方向の端部の距離を含んでいてよい。
【0047】
これにより、コントローラ8は、ロードポート2に結合されたキャリア16が基準結合位置から水平方向(左右方向)に位置ズレしているかどうかを知ることができる。
【0048】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明の思想を逸脱しない範囲で、上記実施形態の具体的な構造及び/又は機能の詳細を変更したものも本発明に含まれ得る。
【符号の説明】
【0049】
2 :ロードポート
3 :基板移載装置
4 :基板処理装置
5 :ファンフィルタユニット
6 :基板
7 :基板搬送ロボット
8 :ロボットコントローラ
8a :プロセッサ
8b :メモリ
9 :撮像装置
15 :容器
16 :キャリア
17 :蓋
18 :棚板
19 :フランジ
21 :ステージ
22 :ポート開口部
23 :プレート
24 :ドア
27 :フランジパネル
28 :ドア駆動装置
29 :ステージ駆動装置
30 :移載室
31 :筐体
41 :ロードロックチャンバ
42 :トランスファチャンバ
43 :プロセスチャンバ
51 :ハンド基部
52 :ブレード
60~65 :駆動装置
70 :昇降軸
71 :ロボットアーム
72 :ハンド
73 :基台
75,76:リンク
81 :ロボット制御部
82 :キャリア位置調整部
91 :カメラ
92 :照射装置
100 :基板処理設備
図1
図2
図3
図4
図5