(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】静電型トランスデューサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H04R 19/02 20060101AFI20220126BHJP
H04R 31/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
H04R19/02
H04R31/00 C
(21)【出願番号】P 2021522560
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2019033736
(87)【国際公開番号】W WO2021038761
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-04-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】田原 新也
(72)【発明者】
【氏名】中野 克彦
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102913(JP,A)
【文献】特開平04-303415(JP,A)
【文献】特開2018-137168(JP,A)
【文献】特開2003-031278(JP,A)
【文献】実開平07-025556(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 19/00-19/10
H04R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な電極シートと、
芯線が露出しており前記電極シート上に配置され前記電極シートと導通させた導通部、芯線を第一絶縁材により被覆し前記電極シート上に配置された第一被覆部、および、前記第一被覆部とは異なる位置に位置し芯線を第二絶縁材により被覆し且つ前記電極シート上に配置された第二被覆部を有するリード線と、
熱可塑性材料により形成され、自身の融着により前記電極シートと前記第一被覆部とを接合させる第一接合部と、
熱可塑性材料により形成され、自身の融着により前記電極シートと前記第二被覆部とを接合させる第二接合部と、
を備え、
前記第一被覆部は、前記リード線において前記電極シート上に配置されている範囲のうち前記リード線が外部へ延びる側である基端に位置し、
前記第二被覆部は、前記リード線の先端に位置し、
前記導通部は、前記第一被覆部と前記第二被覆部との間に位置する、静電型トランスデューサ。
【請求項2】
前記電極シートは、熱可塑性エラストマー
を母材とし、導電性材料を含有して形成され、
前記導通部は、前記電極シート自身の融着により前記電極シートと接合されている、請求項
1に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項3】
前記第一接合部は、前記電極シートの前記熱可塑性エラストマーの一部により構成される、請求項2に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項4】
前記第二絶縁材は、熱可塑性材料により形成され、
前記第二接合部は、前記第二絶縁材の一部により構成される、請求項
1~3の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項5】
前記第二接合部は、前記電極シートの前記熱可塑性エラストマーの一部により構成される、請求項
2または3に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項6】
前記静電型トランスデューサは、さらに、
熱可塑性材料により形成され、前記電極シートに対向配置され、且つ、少なくとも前記導通部を前記電極シートとの間に挟む樹脂製の補強シートと、
前記補強シートの一部により構成され、自身の融着により前記電極シートと前記補強シートとを接合させる第三接合部と、
を備える、請求項1~
5の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項7】
前記静電型トランスデューサは、さらに、
少なくとも表面を金属材料により形成され、前記電極シートに対向配置され、少なくとも前記導通部を前記電極シートとの間に挟む金属製の補強シートと、
前記電極シートと前記補強シートとを接合させる第四接合部と、
を備える、請求項1~
6の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項8】
前記第四接合部は、前記電極シートと前記補強シートとを接合させると共に、前記導通部の前記芯線と前記補強シートとを接合させる、請求項
7に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項9】
前記補強シートは、導電性布である、請求項
7または8に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項10】
請求項
1~9の何れか1項に記載の静電型トランスデューサの製造方法であって、
前記電極シートの上に前記導通部、前記第一被覆部および前記第二被覆部を配置し、
前記電極シートと前記導通部の前記芯線とを超音波接合により接合し、前記電極シートと前記第一被覆部とを超音波接合により接合すると共に、前記電極シートと前記第二被覆部とを超音波接合により接合する、静電型トランスデューサの製造方法。
【請求項11】
前記電極シートと前記導通部の前記芯線との超音波接合による接合、前記電極シートと前記第一被覆部との超音波接合による接合、および、前記電極シートと前記第二被覆部との超音波接合による接合は、同時に行う、請求項
10に記載の静電型トランスデューサの製造方法。
【請求項12】
請求項
6~9の何れか1項に記載の静電型トランスデューサの製造方法であって、
前記電極シートの上に前記導通部および前記第一被覆部を配置し、
前記電極シートと前記導通部の前記芯線とを超音波接合により接合すると共に、前記電極シートと前記第一被覆部とを超音波接合により接合し、
前記電極シートと前記導通部の前記芯線とが接合され、かつ、前記電極シートと前記第一被覆部とが接合された状態において、前記補強シートを前記電極シートの上に配置し、
前記電極シートと前記補強シートとを超音波接合により接合する、静電型トランスデューサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電型トランスデューサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第6511271号公報には、リード線(導線と同意である)の芯線を露出させ、芯線を基板上の電極パッドに超音波接合により接続すると共に、リード線を固着樹脂により基板に固着することが記載されている。特許第6464321号公報には、露出させた芯線を、金属管を介して接続ランドに超音波接合により接続することが記載されている。
【0003】
特許第4844848号公報には、リード線の端末の絶縁被覆を剥離することなく、リード線の芯線と端子電極とを超音波接合により接合することが記載されている。特開2009-21549号公報には、熱可塑性フィルムの面に、渦巻き状の平形コイルが形成されている。平形コイルは、熱可塑性樹脂によって被覆されたリード線(導線)を、フィルムの面に融着することによって、略同一方向に渦巻き、かつ、略同一形状となるように形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リード線の先端を電極シートに取り付けた状態において、リード線が電極シートからリード線の軸方向に引き抜かれることおよび剥がれることを防止することが、接続状態の信頼性の観点において重要である。特に、電極シートが柔軟である場合には、リード線の引き抜きや剥がれが生じやすくなる。さらに、容易に、且つ、低コストで、電極シートとリード線とを接続することが求められる。
【0005】
本発明は、柔軟な電極シートにリード線を、確実に、容易に且つ低コストで接続することができる静電型トランスデューサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1.静電型トランスデューサ)
本発明に係る静電型トランスデューサは、柔軟な電極シートと、芯線が露出しており前記電極シート上に配置され前記電極シートと導通させた導通部、芯線を第一絶縁材により被覆し前記電極シート上に配置された第一被覆部、および、前記第一被覆部とは異なる位置に位置し芯線を第二絶縁材により被覆し且つ前記電極シート上に配置された第二被覆部を有するリード線と、熱可塑性材料により形成され、自身の融着により前記電極シートと前記第一被覆部とを接合させる第一接合部と、熱可塑性材料により形成され、自身の融着により前記電極シートと前記第二被覆部とを接合させる第二接合部と、を備え、前記第一被覆部は、前記リード線において前記電極シート上に配置されている範囲のうち前記リード線が外部へ延びる側である基端に位置し、前記第二被覆部は、前記リード線の先端に位置する。
【0007】
本発明に係る静電型トランスデューサによれば、第一接合部自身の融着により、電極シートと第一被覆部とが接合されている。電極シートが柔軟であったとしても、第一接合部の融着によって、リード線を電極シートに、確実に、容易に且つ低コストで接続することができる。この結果、リード線が電極シートからリード線の軸方向に引き抜かれることおよび剥がれることを防止することができる。
【0008】
(2.静電型トランスデューサの製造方法)
また、本発明に係る静電型トランスデューサの製造方法は、上述した静電型トランスデューサを対象としており、電極シートと導通部の芯線とを超音波接合により接合し、電極シートと第一被覆部とを超音波接合により接合すると共に、電極シートと第二被覆部とを超音波接合により接合する。これにより、接合のための別体部材を要することなく、電極シートと導通部の芯線、電極シートと第一被覆部、および、電極シートと第二被覆部を、容易に且つ確実に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】トランスデューサの基本構成の断面図である。
【
図4】第二例、第三例のトランスデューサの断面図である。
【
図5】第二例、第三例のトランスデューサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.適用対象)
静電型トランスデューサ(以下、「トランスデューサ」と称する)は、例えば、基材と、基材の取付面に取り付けられた静電シートとを備える。基材は、任意の部材であって、金属、樹脂、その他の材料により形成される。
【0011】
また、基材の取付面は、曲面、複合平面(複数の平面により形成された形状)、平面と曲面の複合形状等の三次元形状に形成してもよいし、基材の表面が単一平面形状に形成してもよい。基材が可撓性を有する材料により形成されている場合に、当該基材の取付面に当該静電シートを取り付けることもできる。また、トランスデューサは、基材を備えることなく、当該静電シート単体として利用することもできる。
【0012】
静電シートは、基材の取付面(表面)に配置されている。静電シートは、全体として、柔軟である。柔軟とは、可撓性を有し、且つ、面方向に伸張可能であることを意味する。従って、基材の取付面が三次元形状であったとしても、静電シートは、基材の取付面に沿って取り付けることができる。特に、静電シートを面方向に伸張させながら基材の取付面に取り付けることで、静電シートにしわが発生することを抑制することができる。
【0013】
静電シートは、一対の電極の間の静電容量の変化を利用して、アクチュエータまたはセンサとして機能させることができる。静電シートは、一対の電極のうち少なくとも1つを備えればよく、一対の電極を備える構成に限定されるものではない。もちろん、静電シートは、一対の電極を備えるようにしてもよい。
【0014】
静電シートは、電極間の静電容量の変化を利用して、振動や音等を発生させるアクチュエータとして機能させることができる。また、静電シートは、電極間の静電容量の変化を利用して、外部からの押込力等を検出するセンサ、電位を有する導電体の接触または接近を検出するセンサとして機能させることができる。
【0015】
静電シートがアクチュエータとして機能する場合には、電極に電圧が印加されることにより、電極間の電位に応じて絶縁体が変形し、絶縁体の変形に伴って振動が発生する。静電シートが押込力を検出するセンサとして機能する場合には、外部からの押込力、振動、および、音等(以下、外部からの押込力等)の入力に起因して絶縁体が変形することにより電極間の静電容量が変化し、電極間の静電容量に応じた電圧を検出することで、外部からの押込力等を検出する。また、静電シートが接触または接近を検出するセンサとして機能する場合には、電位を有する導電体の接触または接近により、電極間の静電容量が変化し、変化した電極との間の静電容量に応じた電圧を検出することで、当該導電体の接触または接近を検出する。
【0016】
トランスデューサは、例えば、ポインティングデバイスであるマウスやジョイスティックの表面、車両部品の表面等に適用できる。車両部品としては、アームレスト、ドアノブ、シフトレバー、ステアリングホイール、ドアトリム、センタートリム、センターコンソール、天井等が含まれる。多くの場合、基材は、金属や硬質樹脂等の可撓性を有しない材料により形成されている。そして、トランスデューサは、対象者の状態の検出や対象者への振動等の付与を行うことができる。
【0017】
また、トランスデューサは、シート座面の表層側または背もたれ面の表層側に配置されるようにしてもよい。この場合、トランスデューサは、樹脂フィルム等の可撓性を有する材料により形成された基材に、静電シートを取り付けるように構成してもよい。また、トランスデューサは、基材を備えずに、静電シート単体により構成されるようにしてもよい。
【0018】
また、トランスデューサの静電シートは、ヒータ機能を有する構成とすることもできる。この場合、トランスデューサは、対象者の状態の検出や対象者への振動等の付与に加えて、対象者への熱の付与を行うことができる。
【0019】
(2.トランスデューサ1の基本構成)
トランスデューサ1の基本構成の一例について、
図1を参照して説明する。トランスデューサ1は、少なくとも、静電シート10と、リード線30とを備える。ただし、
図1においては、トランスデューサ1は、基材20を備える場合を例に挙げるが、基材20を備えない構成とすることもできる。
【0020】
基材20は、上述したように任意の形状とすることができる。基材20は、金属や樹脂等の任意の材料により形成される。また、基材20は、可撓性を有するようにしてもよいし、可撓性を有しないようにしてもよい。
【0021】
静電シート10は、少なくとも、絶縁体シート11と、表電極シート12(本発明の電極シートに相当する)とを備える。
図1においては、静電シート10は、さらに、裏電極シート13を備える場合を例に挙げる。ただし、静電シート10は、裏電極シート13を備えない構成とすることもできる。例えば、基材20が電極を構成する場合には、裏電極シート13は不要とすることもできる。
【0022】
絶縁体シート11は、例えばエラストマーにより形成されている。従って、絶縁体シート11は、柔軟である。つまり、絶縁体シート11は、可撓性を有し、且つ、面方向に伸張可能である。絶縁体シート11は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成されている。絶縁体シート11は、熱可塑性エラストマー自身により形成されるようにしてもよいし、熱可塑性エラストマーを素材として加熱することによって架橋されたエラストマーにより形成されるようにしてもよい。
【0023】
ここで、絶縁体シート11は、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系等のエラストマーから、1種以上を選択可能である。例えば、スチレン系エラストマーとしては、SBS、SEBS、SEPS等が挙げられる。オレフィン系エラストマーとしては、EEA、EMA、EMMA等の他、エチレンとαオレフィンとの共重合体(エチレン-オクテン共重合体)等が挙げられる。
【0024】
絶縁体シート11は、熱可塑性エラストマー以外のゴム、樹脂を含んでいてもよい。例えば、エチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)等のゴムを含む場合には、絶縁体シート11の柔軟性が向上する。絶縁体シート11の柔軟性を向上させるという観点から、絶縁体シート11に可塑剤等の柔軟性付与成分を含有させてもよい。
【0025】
表電極シート12(本発明の電極シートに相当する)は、絶縁体シート11の表面(
図1の上面)側に積層されている。また、表電極シート12は、導電性を有する。さらに、表電極シート12は、柔軟である。つまり、表電極シート12は、可撓性を有し、且つ、面方向への伸張可能である。表電極シート12は、例えば、導電性エラストマー、導電性布、金属箔等により形成されている。
【0026】
表電極シート12が導電性エラストマーにより形成される場合について詳細に説明する。この場合、表電極シート12は、導電性フィラーを含むエラストマーにより形成されている。つまり、表電極シート12は、エラストマーを母材として、導電性フィラーを含有させることにより形成される。表電極シート12に用いられるエラストマーは、絶縁体シート11と主成分を同種とする材料により形成されるようにするとよい。特に、表電極シート12は、熱可塑性エラストマーにより形成されるようにするとよい。
【0027】
すなわち、表電極シート12は、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系等のエラストマーから、1種以上を選択可能である。例えば、スチレン系エラストマーとしては、SBS、SEBS、SEPS等が挙げられる。オレフィン系エラストマーとしては、EEA、EMA、EMMA等の他、エチレンとαオレフィンとの共重合体(エチレン-オクテン共重合体)等が挙げられる。
【0028】
ただし、表電極シート12は、絶縁体シート11よりも高い軟化点を有するようにされている。これは、絶縁体シート11自身の融着(熱融着)により絶縁体シート11に表電極シート12を固着する際に、絶縁体シート11が表電極シート12より先に軟化することができるようにするためである。
【0029】
ここで、表電極シート12は、絶縁体シート11自身の融着(熱融着)により絶縁体シート11に固着されている。さらには、表電極シート12がエラストマーにより形成されている場合には、表電極シート12自身の融着(熱融着)により、表電極シート12と絶縁体シート11とが固着されている。つまり、表電極シート12と絶縁体シート11とは、相互の融着によって固着されている。なお、表電極シート12と絶縁体シート11とは、何れか一方のみの融着によって固着されるようにしてもよい。
【0030】
また、表電極シート12が導電性布により形成される場合について詳細に説明する。導電性布とは、導電性繊維により形成された織物または不織布である。ここで、導電性繊維は、柔軟性を有する繊維の表面を導電性材料により被覆することにより形成される。導電性繊維は、例えば、ポリエチレン等の樹脂繊維の表面に、銅やニッケル等をメッキすることにより形成される。
【0031】
この場合、表電極シート12は、絶縁体シート11自身の融着(熱融着)により絶縁体シート11に固着されている。表電極シート12は、布であるため、複数の貫通孔を有する。従って、絶縁体シート11の一部分が、表電極シート12の貫通孔に入り込む。つまり、表電極シート12の少なくとも一部は、絶縁体シート11に埋設された状態となる。
【0032】
表電極シート12が金属箔により形成される場合について詳細に説明する。金属箔は、導電性布と同様に、複数の貫通孔を有する。従って、表電極シート12は、可撓性を有し、貫通孔の変形に伴い面方向への伸張を可能とする。金属箔は、導通可能な金属材料であればよく、例えば、銅箔、アルミニウム箔等を適用できる。さらに、表電極シート12は、導電性布である場合と同様に、絶縁体シート11自身の融着(熱融着)により絶縁体シート11に固着されている。
【0033】
裏電極シート13(反対面電極シート)は、絶縁体シート11の裏面(
図1の下面)側、すなわち絶縁体シート11における表電極シート12とは反対面に積層されている。つまり、裏電極シート13は、絶縁体シート11と基材20との間に配置されている。裏電極シート13は、表電極シート12と同様に形成されている。つまり、裏電極シート13は、柔軟であり、導電性エラストマー、導電性布、金属箔等により形成されている。
【0034】
トランスデューサ1は、リード線30を備える。トランスデューサ1は、リード線30として、表電極シート12に導通するための表リード線31、裏電極シート13に導通するための裏リード線32を備える。ただし、トランスデューサ1が裏電極シート13を備えない構成においては、トランスデューサ1は、裏リード線32を備えない構成となる。
【0035】
表リード線31は、芯線(311a,312a等)と、芯線(311a,312a等)の外周面を絶縁被覆する被覆材(312b等)により構成されている。表リード線31の一部が、表電極シート12の上に配置されている。表リード線31は、表リード線31において表電極シート12の上に配置されている範囲において、導通部311および第一被覆部312を備える。
【0036】
導通部311は、芯線311aが露出しており、表電極シート12と導通させた部分である。つまり、導通部311における芯線311aが、表電極シート12に接触されている。
【0037】
第一被覆部312は、芯線312aと、芯線312aの外周面を被覆する第一絶縁材312bとを備える。第一被覆部312は、表電極シート12の上に配置されている。特に、第一被覆部312は、表リード線31において表電極シート12の上に配置されている範囲のうち基端に位置する。当該基端とは、表リード線31において表電極シート12の上に配置されている範囲のうち、表リード線31が外部へ延びる側である。さらに、第一絶縁材312bは、表電極シート12に接合されている。
【0038】
詳細には、トランスデューサ1は、表電極シート12と第一被覆部312とを接合する接合部41a(第一接合部に相当する)を備える。接合部41aは、熱可塑性材料により形成され、自身の融着(熱融着)により表電極シート12と第一被覆部312とを接合させる。接合部41aは、第一被覆部312の第一絶縁材312bの一部により構成されるようにしてもよい。また、接合部41aは、表電極シート12が熱可塑性エラストマーを母材として形成される場合には、表電極シート12の熱可塑性エラストマーの一部により構成されるようにしてもよい。また、接合部41aは、表電極シート12および第一被覆部312とは別体材料により構成されるようにしてもよい。
【0039】
裏リード線32は、表リード線31と同様に構成される。裏リード線32の導通部321は、芯線321aが露出しており、当該芯線321aが裏電極シート13に接触されている。
【0040】
裏リード線32の第一被覆部322は、芯線322aと、芯線322aの外周面を被覆する第一絶縁材322bとを備える。第一被覆部322は、裏電極シート13の上に配置されている。特に、第一被覆部322は、裏リード線32において裏電極シート13の上に配置されている範囲のうち基端に位置する。さらに、第一絶縁材322bは、裏電極シート13に接合されている。
【0041】
詳細には、トランスデューサ1は、裏電極シート13と第一被覆部322とを接合する接合部41b(第一接合部に相当する)を備える。接合部41bは、表と裏とが相違するが、実質的に同様に構成されるため、詳細な説明を省略する。
【0042】
(3.トランスデューサ1の基本構成による効果)
接合部41a自身の融着により、表電極シート12と表リード線31の第一被覆部312とが接合されている。ここで、接合部41aは、第一被覆部312の一部を構成してもよいし、表電極シート12の一部を構成してもよいし、第一被覆部312および表電極シート12とは別体部材を構成してもよい。接合部41aの融着によって、表電極シート12が柔軟であったとしても、表リード線31を表電極シート12に、確実に、容易に且つ低コストで接続することができる。この結果、表リード線31が表電極シート12から表リード線31の軸方向に引き抜かれることおよび剥がれることを防止することができる。
【0043】
また、接合部41b自身の融着により、裏電極シート13と裏リード線32の第一被覆部322とが接合されている。裏面においては、上記の表面と同様に、裏リード線32が裏電極シート13から裏リード線32の軸方向に引き抜かれることおよび剥がれることを防止することができる。
【0044】
(4.トランスデューサ1の例)
上述したトランスデューサ1の基本構成を有しつつ、他の要素を備えるトランスデューサ1について、複数例をあげて説明する。以下において、表電極シート12と表リード線31との接合部分について説明する。なお、裏電極シート13と裏リード線32との接合については、表側と同様に構成することができるため、説明を省略する。
【0045】
(4-1.第一例のトランスデューサ1a)
(4-1a.第一例のトランスデューサ1aの構成)
第一例のトランスデューサ1aの構成について、
図2および
図3を参照して説明する。トランスデューサ1aは、少なくとも、静電シート10と、リード線30aとを備える。
図2および
図3においては、トランスデューサ1aは、少なくとも、静電シート10の一部としての表電極シート12、および、リード線30aの一部としての表リード線31aを備える。表電極シート12は、熱可塑性エラストマーを母材として形成されており、導電性フィラーを含有する。
【0046】
表リード線31aは、導通部311、第一被覆部312、第二被覆部313を備える。導通部311は、芯線311aが露出している。導通部311の芯線311aと表電極シート12とは、接合されている。つまり、第一例のトランスデューサ1aは、導通部311の芯線311aと表電極シート12とを接合させる接合部42aを備える。
【0047】
接合部42aは、表電極シート12の一部により構成されており、表電極シート12自身の融着により表電極シート12と導通部311の芯線311aとを接合させる部位となる。接合部42aは、例えば、超音波接合により、接合対象を接合させる。さらに、表電極シート12は熱可塑性エラストマーにより形成されているため、導通部311の芯線311aの一部が、表電極シート12に埋設される状態となる。
【0048】
第一被覆部312は、芯線312aと、芯線312aの外周面を被覆する第一絶縁材312bとを備える。第一被覆部312の第一絶縁材312bと表電極シート12とは、接合されている。つまり、第一例のトランスデューサ1aは、第一絶縁材312bと表電極シート12とを接合させる接合部41a(第一接合部に相当する)を備える。第一絶縁材312bは、熱可塑性材料(例えば、熱可塑性樹脂)により形成されている。
【0049】
接合部41aの一部は、第一絶縁材312bの一部により構成されており、第一絶縁材312b自身の融着により表電極シート12と第一絶縁材312bとを接合させる部位となる。接合部41aは、例えば、超音波接合により、第一絶縁材312b自身の融着により接合対象を接合させる。
【0050】
さらに、接合部41aの他の一部は、表電極シート12の一部により構成されており、表電極シート12自身の融着により表電極シート12と第一絶縁材312bとを接合させる部位となる。接合部41aは、例えば、超音波接合により、表電極シート12自身の融着により接合対象を接合させる。
【0051】
第二被覆部313は、芯線313aと、芯線313aの外周面を被覆する第二絶縁材313bとを備える。第二被覆部313は、第一被覆部312とは異なる位置に位置し、表電極シート12の上に配置されている。特に、第二被覆部313は、表リード線31aにおいて表電極シート12の上に配置されている範囲のうち先端に位置する。つまり、第一被覆部312と第二被覆部313との間に、導通部311が位置する。
【0052】
さらに、第二絶縁材313bと表電極シート12とは、接合されている。つまり、第一例のトランスデューサ1aは、第二絶縁材313bと表電極シート12とを接合させる接合部43a(第二接合部に相当する)を備える。第二絶縁材313bは、熱可塑性材料(例えば、熱可塑性樹脂)により形成されている。
【0053】
接合部43aの一部は、第二絶縁材313bの一部により構成されており、第二絶縁材313b自身の融着により表電極シート12と第二絶縁材313bとを接合させる部位となる。接合部43aは、例えば、超音波接合により、第二絶縁材313b自身の融着により接合対象を接合させる。
【0054】
さらに、接合部43aの他の一部は、表電極シート12の一部により構成されており、表電極シート12自身の融着により表電極シート12と第二絶縁材313bとを接合させる部位となる。接合部43aは、例えば、超音波接合により、表電極シート12自身の融着により接合対象を接合させる。
【0055】
(4-1b.第一例のトランスデューサ1aの製造方法)
第一例のトランスデューサ1aの製造方法について説明する。ただし、以下において、表電極シート12と表リード線31aとの接合に関する部分の製造方法について説明する。
【0056】
まず、表リード線31aを準備する(S1)。表リード線31aは、先端の絶縁材を剥がし、軸方向に移動させる。ただし、剥がした絶縁材の一部を残した状態で、絶縁材の余分な部分を切断する。このようにして、表リード線31aが、導通部311、第一被覆部312および第二被覆部313を有する状態となる。
【0057】
続いて、表電極シート12の上に、表リード線31aの導通部311、第一被覆部312および第二被覆部313を配置する(S2)。続いて、
図3の範囲51に超音波を付与することにより、導通部311の芯線311aと表電極シート12とが超音波接合により接合される(S3)。同時に、第一被覆部312の第一絶縁材312bと表電極シート12とが超音波接合により接合される(S3)。さらに同時に、第二被覆部313の第二絶縁材313bと表電極シート12とが超音波接合により接合される(S3)。
【0058】
(4-1c.第一例のトランスデューサ1aの効果)
第一例のトランスデューサ1aにおいて、表リード線31aの第一被覆部312および第二被覆部313が、表電極シート12に接合されている。従って、表リード線31aに表電極シート12から軸方向に引き抜かれる力が作用したとしても、表リード線31aが引き抜かれることを防止できる。また、表電極シート12は柔軟であるため、湾曲する状態となる。特に、基材20の取付面が三次元形状である場合には、静電シート10を基材20に取り付ける際に、表電極シート12が曲げられる可能性がある。このとき、表リード線31aの基端が表電極シート12に接合されている状態が維持されるとしても、表リード線31aの先端が、表電極シート12から剥がれる可能性がある。
【0059】
しかし、表リード線31aは、表電極シート12の上に配置されている範囲において、基端の第一被覆部312が表電極シート12に接合され、先端の第二被覆部313が表電極シート12に接合されている。従って、表リード線31aの先端が表電極シート12から剥がれることを防止することができる。
【0060】
さらに、接合部41a,43aは、熱可塑性材料により形成されており、自身の融着により接合対象を接合している。従って、容易に、且つ、確実に、接合対象を接合することができる。特に、第一被覆部312の第一絶縁材312bおよび表電極シート12が、共に、熱可塑性材料により形成されることで、接合対象が強固に接合される。さらに、第二被覆部313の第二絶縁材313bおよび表電極シート12が、共に、熱可塑性材料により形成されることで、接合対象が強固に接合される。
【0061】
さらに、表電極シート12が熱可塑性エラストマーを母材として形成されることで、導通部311の芯線311aの一部が表電極シート12に埋設される。これにより、導通部311の芯線311aは、強固に表電極シート12に固定される。
【0062】
(4-2.第二例のトランスデューサ1b)
(4-2a.第二例のトランスデューサ1bの構成)
第二例のトランスデューサ1bの構成について、
図4および
図5を参照して説明する。トランスデューサ1bは、少なくとも、静電シート10と、リード線30bとを備える。
図4および
図5においては、トランスデューサ1bは、少なくとも、静電シート10の一部としての表電極シート12、および、リード線30bの一部としての表リード線31bを備える。表電極シート12は、熱可塑性エラストマーを母材として形成されており、導電性フィラーを含有する。
【0063】
表リード線31bは、導通部311、第一被覆部312を備える。つまり、表リード線31bは、上述したトランスデューサ1の基本構成における表リード線31と同様の構成からなる。
【0064】
導通部311は、芯線311aが露出しており、芯線311aと表電極シート12とは、接合されている。つまり、第二例のトランスデューサ1bは、導通部311の芯線311aと表電極シート12とを接合させる接合部42aを備える。接合部42aは、第一例のトランスデューサ1aにおける接合部42aと同様の構成からなる。
【0065】
第一被覆部312は、芯線312aと、芯線312aの外周面を被覆する第一絶縁材312bとを備える。第一被覆部312の第一絶縁材312bと表電極シート12とは、接合されている。つまり、第一例のトランスデューサ1aは、第一絶縁材312bと表電極シート12とを接合させる接合部41a(第一接合部に相当する)を備える。接合部41aは、第一例のトランスデューサ1aにおける接合部41aと同様の構成からなる。
【0066】
第二例のトランスデューサ1bは、さらに、樹脂製の補強シート314を備える。樹脂製の補強シート314は、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されている。補強シート314は、例えば、絶縁体シート11と同種の材料により形成されるとよい。
【0067】
補強シート314は、少なくとも、表リード線31bの導通部311の先端を覆うことができる大きさに形成されている。補強シート314は、表電極シート12に対向配置され、且つ、少なくとも導通部311を表電極シート12との間に挟んでいる。補強シート314は、第一被覆部312を被覆していない。ただし、補強シート314は、第一被覆部312を被覆するようにしてもよいが、トランスデューサ1bの厚みを薄くする観点、および、製造における容易性の観点から、第一被覆部312を被覆しない方がよい。
【0068】
さらに、補強シート314と表電極シート12とは、接合されている。つまり、第二例のトランスデューサ1bは、補強シート314と表電極シート12とを接合させる接合部44a(第三接合部に相当する)を備える。
【0069】
接合部44aの一部は、補強シート314の一部により構成されており、補強シート314自身の融着により表電極シート12と補強シート314とを接合させる部位となる。接合部44aは、例えば、超音波接合により、補強シート314自身の融着により接合対象を接合させる。
【0070】
さらに、接合部44aの他の一部は、表電極シート12の一部により構成されており、表電極シート12自身の融着により表電極シート12と補強シート314とを接合さえる部位となる。接合部44aは、例えば、超音波接合により、表電極シート12自身の融着により接合対象を接合させる。
【0071】
また、補強シート314と導通部311の芯線311aとが、接合されている。つまり、第二例のトランスデューサ1bは、補強シート314と導通部311の芯線311aとを接合させる接合部45aを備える。
【0072】
接合部45aは、補強シート314の一部により構成されており、補強シート314自身の融着により導通部311の芯線311aと補強シート314とを接合させる。接合部45aは、例えば、超音波接合により、補強シート314自身の融着により接合対象を接合させる。そして、導通部311の芯線311aの一部が、補強シート314に埋設されている。これにより、導通部311の芯線311aは、強固に補強シート314に固定される。
【0073】
(4-2b.第二例のトランスデューサ1bの製造方法)
第二例のトランスデューサ1bの製造方法について説明する。ただし、以下において、表電極シート12と表リード線31bとの接合に関する部分の製造方法について説明する。
【0074】
まず、表リード線31bを準備する(S11)。表リード線31bは、先端の絶縁材を剥がす。このようにして、表リード線31bが、導通部311および第一被覆部312を有する状態となる。続いて、表電極シート12の上に、表リード線31bの導通部311および第一被覆部312を配置する(S12)。続いて、
図5の範囲52に超音波を付与することにより、導通部311の芯線311aと表電極シート12とが超音波接合により接合される(S13)。同時に、第一被覆部312の第一絶縁材312bと表電極シート12とが超音波接合により接合される(S13)。
【0075】
続いて、補強シート314を、導通部311を表電極シート12との間に挟むように、表電極シート12の上に対向配置する(S14)。続いて、
図5の範囲53に超音波を付与することにより、補強シート314と表電極シート12とが超音波接合により接合される(S15)。同時に、補強シート314と導通部311の芯線311aとが超音波接合により接合される(S15)。
【0076】
(4-2c.第二例のトランスデューサ1bの効果)
第二例のトランスデューサ1bは、表リード線31bの第一被覆部312が表電極シート12に接合していることによる効果を奏する。さらに、トランスデューサ1bは、補強シート314を備える。補強シート314が、表リード線31bの導通部311の芯線311aを挟んで表電極シート12に接合される。これにより、表リード線31bが、表電極シート12から軸方向に引き抜かれることを防止でき、さらには、表リード線31bの先端が表電極シート12から剥がれることを防止できる。さらに、補強シート314は、導通部311の芯線311aに接合されている。これにより、表リード線31bが引き抜かれることを防止でき、且つ、剥がれることを防止できる。
【0077】
また、補強シート314が、熱可塑性材料により形成されており、自身の融着により接合対象を接合している。従って、容易に、且つ、確実に、接合対象を接合することができる。特に、補強シート314および表電極シート12が、共に、熱可塑性材料により形成されることで、接合対象が強固に接合される。
【0078】
さらに、表電極シート12が熱可塑性エラストマーを母材として形成され、且つ、補強シート314が熱可塑性エラストマーにより形成されている。これにより、導通部311の芯線311aの一部が、表電極シート12および補強シート314のそれぞれに埋設される。これにより、導通部311の芯線311aが、強固に、表電極シート12および補強シート314に固定される。
【0079】
さらに、補強シート314が熱可塑性エラストマーにより形成されることにより、表リード線31bの接合部位の柔軟性を維持することができる。従って、トランスデューサ1bの取り扱い性が良好となる。
【0080】
さらに、補強シート314は、導通部311の芯線311aを表電極シート12側へ押し付ける。従って、補強シート314による押付力によって、導通部311の芯線311aと表電極シート12との導通状態を確実に確保できる。
【0081】
(4-3.第三例のトランスデューサ1b)
(4-3a.第三例のトランスデューサ1bの構成)
第三例のトランスデューサ1bの構成について、
図4および
図5を参照して説明する。第三例のトランスデューサ1bは、第二例のトランスデューサ1bに対して、表電極シート12および補強シート314の材質が異なり、他の構成は同様である。
【0082】
表電極シート12が、金属シートにより形成されている。例えば、表電極シート12は、導電性布により形成されている。また、第三例のトランスデューサ1bは、樹脂製の補強シート314に代えて、金属製の補強シート314を備える。金属製の補強シート314は、少なくとも表面を金属材料により形成されている。例えば、補強シート314は、導電性布、貫通孔を有する金属箔等により形成されている。
【0083】
補強シート314は、少なくとも、表リード線31bの導通部311の先端を覆うことができる大きさに形成されている。補強シート314は、表電極シート12に対向配置され、且つ、導通部311を表電極シート12との間に挟んでいる。ここで、補強シート314は、トランスデューサ1bの厚みを薄くする観点、および、製造における容易性の観点から、第一被覆部312を被覆していない。さらに、金属と樹脂との接合力は金属同士の接合力に比べて低いため、補強シート314は、第一被覆部312を被覆していない。
【0084】
さらに、補強シート314と表電極シート12とは、超音波接合により、金属同士で接合されている。つまり、第三例のトランスデューサ1bは、補強シート314と表電極シート12とを金属接合させる接合部44a(第四接合部に相当する)を備える。つまり、接合部44aは、金属接合部位を構成する。
【0085】
さらに、補強シート314と導通部311の芯線311aとは、超音波接合により、金属同士で接合されている。つまり、第三例のトランスデューサ1bは、補強シート314と導通部311の芯線311aとを金属接合させる接合部45aを備える。つまり、接合部45aは、金属接合部位を構成する。
【0086】
(4-3b.第三例のトランスデューサ1bの製造方法)
第三例のトランスデューサ1bの製造方法について説明する。ただし、以下において、表電極シート12と表リード線31bとの接合に関する部分の製造方法について説明する。
【0087】
まず、表リード線31bを準備する(S21)。続いて、表電極シート12の上に、表リード線31bの導通部311および第一被覆部312を配置する(S22)。続いて、
図5の範囲52に超音波を付与することにより、導通部311の芯線311aと表電極シート12とが超音波接合により接合される(S23)。同時に、第一被覆部312の第一絶縁材312bと表電極シート12とが超音波接合により接合される(S23)。
【0088】
続いて、補強シート314を、導通部311を表電極シート12との間に挟むように、表電極シート12の上に対向配置する(S14)。続いて、
図5の範囲53に超音波を付与することにより、補強シート314と表電極シート12とが超音波接合により金属接合される(S25)。同時に、補強シート314と導通部311の芯線311aとが超音波接合により金属接合される(S25)。
【0089】
(4-3c.第三例のトランスデューサ1bの効果)
第三例のトランスデューサ1bは、表電極シート12と補強シート314とが金属接合により、強固に接合対象が接合される。さらに、補強シート314と導通部311の芯線311aとが金属接合により、強固に接合対象が接合される。これにより、表リード線31bが軸方向に引き抜かれることを防止でき、且つ、剥がれることを防止できる。
【0090】
さらに、補強シート314は、表電極シート12に金属接合すると共に、導通部311の芯線311aに金属接合する。従って、導通部311の芯線311aと表電極シート12との導通は、芯線311aと表電極シート12とによる直接の導通に加えて、補強シート314を介した導通によって行われる。従って、導通部311の芯線311aと表電極シート12との導通状態を確実に確保できる。
【0091】
(4-4.その他)
トランスデューサ1は、第一例と第二例とを複合させた構成としてもよい。また、トランスデューサ1は、第一例と第三例とを複合させた構成としてもよい。これらの場合、表リード線31が、第一例における第二被覆部313を備え、トランスデューサ1が、第二例における補強シート314を備える。
【符号の説明】
【0092】
1,1a,1b:静電型トランスデューサ、10:静電シート、11:絶縁体シート、12:表電極シート、13:裏電極シート、20:基材、30,30a,30b:リード線、31,31a,31b:表リード線、311:導通部、311a:芯線、312:第一被覆部、312a:芯線、312b:第一絶縁材、313:第二被覆部、313a:芯線、313b:第二絶縁材、314:補強シート、32:裏リード線、321:導通部、321a:芯線、322:第一被覆部、322a:芯線、322b:第一絶縁材、41a:接合部(第一接合部)、41b:接合部、42a:接合部、43a:接合部(第二接合部)、44a:接合部(第三接合部、第四接合部)、45a:接合部、51,52,53:超音波付与範囲