IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エア・ウォーター・マッハ株式会社の特許一覧

特許7015418含フッ素エラストマー組成物、およびシール材
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】含フッ素エラストマー組成物、およびシール材
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/12 20060101AFI20220126BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20220126BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
C08L27/12
C08K3/34
F16J15/10 G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021560244
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2020015300
(87)【国際公開番号】W WO2021152872
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2020011327
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598124249
【氏名又は名称】エア・ウォーター・マッハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】倉田 愛
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-339396(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105419187(CN,A)
【文献】特開2002-371158(JP,A)
【文献】特開2014-196779(JP,A)
【文献】国際公開第2019/078238(WO,A1)
【文献】特表2018-507945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
F16J 15/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素エラストマーと、
粒径が10nm以上かつ100nm以下のフィラーと、を含み、
前記フィラーは、珪素粒子、および酸化膜を備える珪素粒子であることを特徴とする含フッ素エラストマー組成物。
【請求項2】
前記含フッ素エラストマーは、パーフルオロエラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素エラストマー組成物。
【請求項3】
前記パーフルオロエラストマー100重量部に対して、1重量部以上かつ20重量部以下の前記フィラーを含むことを特徴とする請求項2に記載の含フッ素エラストマー組成物。
【請求項4】
前記パーフルオロエラストマー100重量部に対して、5重量部以上かつ20重量部以下の前記フィラーを含むことを特徴とする請求項2に記載の含フッ素エラストマー組成物。
【請求項5】
前記パーフルオロエラストマー100重量部に対して、10重量部以上かつ20重量部以下の前記フィラーを含むことを特徴とする請求項2に記載の含フッ素エラストマー組成物。
【請求項6】
前記含フッ素エラストマーは、フッ素ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素エラストマー組成物。
【請求項7】
前記フッ素ゴム100重量部に対して、1重量部以上かつ20重量部以下の前記フィラーを含むことを特徴とする請求項6に記載の含フッ素エラストマー組成物。
【請求項8】
前記フッ素ゴム100重量部に対して、10重量部以上かつ20重量部以下の前記フィラーを含むことを特徴とする請求項6に記載の含フッ素エラストマー組成物。
【請求項9】
前記含フッ素エラストマー100重量部に対して、10重量部以上かつ20重量部以下の前記フィラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の含フッ素エラストマー組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の含フッ素エラストマー組成物を含むシール材。
【請求項11】
含フッ素エラストマーと、
粒径が10nm以上かつ100nm以下のフィラーと、を含み、
前記フィラーは、珪素粒子であることを特徴とする含フッ素エラストマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フィラーを配合した含フッ素エラストマー組成物に関する。また、含フッ素エラストマー組成物を含むシール材に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、シリコンウエハーへのエッチング処理などにおいて酸素あるいはフッ化炭素系ガスの雰囲気下でプラズマ照射がなされる。従って、エッチング装置などの半導体製造用の装置に用いられるシール材には、耐プラズマ性が要求されている。耐プラズマ性としては、具体的に、プラズマ照射による表面劣化に起因して発生するパーティクルを抑制できること、および、プラズマ照射による組成物質のベーパー化と破損に起因する重量減少を抑制できること、が求められている。
【0003】
プラズマ照射環境下での質量減少を抑制できるシール材としては、含フッ素エラストマーにシリカ粒子を配合した含フッ素エラストマー組成物が知られている。このようなシール材は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-371158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、シリカ粒子を配合した含フッ素エラストマー組成物では、プラズマ照射により表面が劣化してくると、シリカ粒子が凝集して組織物質が欠落しパーティクルが発生するという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、プラズマ照射環境下での質量減少を抑制しながら、パーティクルの発生を限りなくゼロに近づけることができる含フッ素エラストマー組成物、およびシール材提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーと、粒径が10nm以上かつ100nm以下のフィラーと、を含み、前記フィラーは、珪素粒子であることを特徴とする。
【0008】
ここで、フィラーとして配合される珪素粒子は酸素と結合しやすい。従って、含フッ素エラストマー組成物を製造するために珪素粒子を取り扱うと、珪素粒子の表面が酸化する場合がある。すなわち、フィラーとして用いる珪素粒子の表面に、酸化膜が形成される場合がある。このような場合に、本発明の含フッ素エラストマー組成物は、フィラーとして、表面が酸化されていない珪素粒子と、酸化膜を備える珪素粒子と、を含む。言い換えれば、本発明の別の形態の含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーと、粒径が10nm以上かつ100nm以下のフィラーと、を含み、前記フィラーは、珪素粒子、および酸化膜を備える珪素粒子であることを特徴とする。
【0009】
次に、本発明は、上記の含フッ素エラストマー組成物を含むシール材とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態である含フッ素エラストマー組成物、およびシール材を説明する。
【0011】
(含フッ素エラストマー組成物)
本例の含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーと、フィラーと、を含む。
【0012】
含フッ素エラストマーとしては、フッ素ゴムを用いることができる。フッ素ゴムは、例えば、フッ化ビニリデン系ゴムである。また、含フッ素エラストマーとしては、含フッ素シリコーン系ラストマーや、パーフルオロエラストマーを用いることができる。
【0013】
フィラーは、粒径が10nm以上100nm以下である。フィラーは、珪素粒子、および酸化膜を備える珪素粒子である。酸化膜を備える珪素粒子は、珪素粒子の表面に酸化珪素の膜が形成されているものということができる。ここで、含フッ素エラストマー組成物には、フィラーとして、これら以外のフィラーは含まない。すなわち、含フッ素エラストマー組成物には、シリカ粒子、炭化珪素粒子、アルミナ粒子などは含まれない。なお、珪素粒子と酸化膜を備える珪素粒子との配合の割合は特に規定されるものではないが、珪素粒子の重量部数に対して、酸化膜を備える珪素粒子の重量部数が小さいことが好ましい。
【0014】
本例では、含フッ素エラストマー100重量部に対して、1~20重量部のフィラーが配合される。ここで、フィラーが20重量部よりも大きい場合には、含フッ素エラストマー組成物のゴム特性が低下する場合がある。例えば、含フッ素エラストマーに対するフィラーの配合量を増加させると、含フッ素エラストマー組成物は、弾性が低下して、硬くなる。従って、フィラーが20重量部よりも大きい場合には、含フッ素エラストマーと比較して、含フッ素エラストマー組成物が硬くなり過ぎる場合がある。ここで、含フッ素エラストマー組成物が硬くなり過ぎると、含フッ素エラストマー組成物をシール材と用いた場合などに、シール材が硬くなり過ぎて、そのシール性能が低下してしまう。
【0015】
なお、含フッ素エラストマー組成物には、更に、添加物が配合されていてもよい。添加物は、架橋用添加剤、酸化防止剤、或いは、加工助剤である。
【0016】
(シール材)
シール材は、パッキン、ガスケット、Oリングなどである。シール材は、上記の含フッ素エラストマー組成物を所定の形状に成形してなる。なお、シール材を所望の形状に成形する際に、含フッ素エラストマー組成物に、架橋用添加剤が、更に、配合される場合がある。
【0017】
(含フッ素エラストマー組成物の製造方法)
含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマー、フィラーおよび添加剤を混錬した混錬物を加硫して得られる。
【0018】
具体的には、含フッ素エラストマーをオープンロール機に投入して、ロールに巻き付ける。次に、フィラーおよび添加剤をオープンロール機に投入して、これらが含フッ素エラストマーに分散するまで混錬する。その後、含フッ素エラストマー、フィラーおよび添加材を混錬した混錬物をオープンロール機から取り出して、所定の重量になるように裁断する。
【0019】
次に、裁断した混錬物を一次加硫する。一次加硫では、裁断した混錬物を予熱した金型に配置して、加熱しながらプレス成型する。しかる後に、二次加硫を行う。二次加硫では、一次加硫後の成形物をオーブンに投入して、一次加硫よりも高い温度で、かつ、一次加硫よりも長い時間、加熱する。これにより、含フッ素エラストマー組成物が得られる。
【0020】
(実施例および比較例の説明)
以下に、本発明を適用した実施例1、2の含フッ素エラストマー組成物を説明する。また、比較例1から4の含フッ素エラストマー組成物を説明する。
【0021】
(実施例1)
実施例1の含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーとして、パーフルオロエラストマーを用いる。フィラーは、珪素粒子、および酸化膜を備える珪素粒子である。フィラーの粒径は、10nm以上、100nm以下である。本例では、フィラーの平均粒径は、40~50nmである。フィラーは、パーフルオロエラストマー100重量部に対して、10重量部である。
【0022】
添加剤は、架橋剤である。架橋剤は、過酸化物架橋剤および共架橋剤を用いる。過酸化物架橋剤は、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油株式会社製のパーヘキサ25B)である。共架橋剤は、トリアリルイソシアヌレート(三菱ケミカル株式会社製のTAIC)である。架橋剤は、パーフルオロエラストマー100重量部に対して、0.76重量部である。より詳細には、過酸化物架橋剤は、パーフルオロエラストマー100重量部に対して、0.33重量部である。共架橋剤は、パーフルオロエラストマー100重量部に対して、0.43重量部である。一次加硫の温度は、150°Cであり、加硫時間は20分である。二次加硫の温度は、230°Cであり、加硫温度は4時間である。
【0023】
(実施例2)
実施例2の含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーとして、フッ化ビニリデン系ゴムを用いる。フィラーは、珪素粒子、および酸化膜を備える珪素粒子である。フィラーおよび添加剤は、実施例1と同様である。すなわち、フィラーの粒径は、10nm以上、100nm以下である。本例では、フィラーの平均粒径は、40~50nmである。フィラーは、フッ化ビニリデン系ゴム100重量部に対して、10重量部である。添加剤は、架橋剤であり、過酸化物架橋剤および共架橋剤を用いる。架橋剤は、フッ化ビニリデン系ゴム100重量部に対して、4.4重量部である。詳細には、過酸化物架橋剤は、パーフルオロエラストマー100重量部に対して、1.4重量部である。共架橋剤は、パーフルオロエラストマー100重量部に対して、3重量部である。一時加硫の温度は、160°Cであり、加硫時間は10分である。二次加硫の温度は、200°Cであり、加硫温度は4時間である。
【0024】
(比較例1、2)
比較例1の含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーとしてパーフルオロエラストマーを用い、フィラーとしてシリカ粒子を用いる。比較例2の含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーとしてフッ化ビニリデン系ゴムを用い、フィラーとしてシリカ粒子を用いる。比較例1、2において、フィラーとして用いるシリカ粒子の平均粒径は5μm程度である。実施例1と比較例1とは、フィラーが相違するが、他の配合および加硫条件は同一である。実施例2と比較例2とは、フィラーが相違するが、他の配合および加硫条件は同一である。
【0025】
(比較例3、4)
比較例3の含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーとしてパーフルオロエラストマーを用い、フィラーを添加してないものである。比較例4の含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーとしてフッ化ビニリデン系ゴムを用い、フィラーを添加していないものである。実施例1と比較例3とは、フィラーが配合されているか、否かを除き、他の配合および加硫条件は同一である。実施例2と比較例4とは、フィラーが配合されているか、否かを除き、他の配合および加硫条件は同一である。
【0026】
以下の表1は、実施例1、実施例2の各含フッ素エラストマー組成物の常態物性を示す。各含フッ素エラストマー組成物の常態物性は、各含フッ素エラストマー組成物からJIS規格(JIS K6251)で規定されたダンベル状3号形を作成して、測定した。硬さは、JIS規格(JIS K6253)に準じて測定した。引張強さ、切断時伸び、および所定伸び引張応力は、JIS規格(JIS K6251)に準じて測定した。なお、所定伸び引張応力は、100%モジュラスと表現される場合もある。
【0027】
【表1】
【0028】
以下の表2は、実施例1から4の各含フッ素エラストマー組成物の常態物性を示す。
【0029】
【表2】
【0030】
(耐プラズマ性)
次に、実施例1の含フッ素エラストマー組成物の耐プラズマ性を説明する。耐プラズマ性は、サンプルを用いたプラズマ照射試験によって評価する。また、耐プラズマ性として、プラズマ照射環境下におけるサンプルの重量減少を抑制できること、およびプラズマ照射によるパーティクルの発生を抑制できること、を評価する。
【0031】
プラズマ照射試験に用いたサンプルは、実施例1、実施例2、比較例1から4の各含フッ素エラストマー組成物からなるOリング(シール材)である。従って、含フッ素エラストマー組成物の耐プラズマ性は、シール材の耐プラズマ性である。Oリングのサイズは、JIS規格(JIS B2401)で規定されているP-25である。
【0032】
プラズマ照射試験は、ドライエッチング装置を用いて行う。プラズマ照射試験では、プラズマ照射前にサンプルの重量を電子天秤により測定する。次に、ドライエッチング装置内にサンプルを入れ、プラズマ照射を行う。プラズマ照射は、2種類のガス雰囲気下で行う。第1のガス雰囲気下で用いるガス種は、CF/O混合ガスである。混合ガスにおいてCFとOとの割合は1:10である。第2のガス雰囲気下で用いるガス種はO単体ガスである。いずれのガス雰囲気下においても、ガス流量は50cc/minである。RF電力は200Wである。真空度は、0.1Torrである。また、プラズマ照射時間は90分である。
【0033】
プラズマ照射後は、ドライエッチング装置からサンプルを取り出して、第1の重量測定を行う。次に、蒸留水で湿らせたタオルでサンプルの表面を拭き、第2の重量測定を行う。すなわち、第1の重量測定後に、サンプルの表面に付着したパーティクルを除去して、第2の重量測定を行う。
【0034】
プラズマ照射前のサンプルの重量と第1の重量測定により得られた第1測定値との差分はガス化重量である。すなわち、プラズマ照射環境下においてフィラーなどがガス化した分の重量である。プラズマ照射前のサンプルの重量と第2の重量測定により得られた第2測定値との差分は、プラズマ試験によって変動したサンプルの重量の変動値である。第1測定値と第2測定値との差分は、発生したパーティクルの重量である。
【0035】
プラズマ照射試験の結果を以下の表3、表4に示す。表3は、CF/O混合ガス環境下でプラズマ照射を行った場合の結果である。表3は、O単体ガス環境下でプラズマ照射を行った場合の結果である。表3、表4において、重量変化率は、プラズマ照射前のサンプルの重量を100としたときのサンプルの重量の変動値の割合である。プラズマ照射の後にサンプルの重量は減少するので、重量変化率はマイナスで示す。ガス化重量の割合は、合計重量を100としたときの、ガス化重量の割合である。パーティクルの発生重量の割合は、合計重量を100としたときのパーティクルの重量の割合である。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
まず、表3、表4から分かるように、フィラーを配合していない比較例3、4の含フッ素エラストマー組成物では、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射およびO単体ガス雰囲気下のプラズマ照射のいずれにおいても、重量変化率が大きい。すなわち、プラズマ照射環境下における重量減少の抑制が不十分である。よって、フィラーを配合していない比較例3、4の含フッ素エラストマー組成物の耐プラズマ性は低い。
【0039】
これに対して、表3、表4から分かるように、フィラーを配合した実施例1、2、および比較例1、2は、プラズマ照射環境下における重量減少が十分に抑制されている。
【0040】
また、表3に示すように、CF/O混合ガス雰囲気のプラズマ照射環境下において、実施例1の重量減少は、比較例1よりも抑制されている。また、CF/O混合ガス雰囲気のプラズマ照射環境下において、実施例2の重量減少は、比較例2と同等である。従って、含フッ素エラストマーとして同一のポリマー成分を含む含フッ素エラストマー組成物では、フィラーとして珪素粒子、および酸化膜を備える珪素粒子が配合されていれば、フィラーとしてシリカ粒子が配合されている場合と比較して、同等、或いはそれ以上に重量減少を抑制できる。
【0041】
さらに、表4に示すように、O単体ガス雰囲気のプラズマ照射環境下においては、フィラーとして珪素粒子、および酸化膜を備える珪素粒子が配合されている本発明の実施例1、2の方が、フィラーとしてシリカ粒子が配合されている比較例1、2よりも重量減少を抑制できる。
【0042】
これに加えて、表3、表4に示すとおり、実施例1、実施例2の含フッ素エラストマー組成物は、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射およびO単体ガス雰囲気下のプラズマ照射のいずれにおいても、プラズマ照射後にパーティクルの発生がなかったか、或いは、パーティクルの発生を検出できなかった。これに対して、含フッ素エラストマーにシリカ粒子を配合した比較例1、2では、パーティクルが発生していることが認められる。
【0043】
ここで、フィラーの粒径は、一次粒径である。なお、本発明において、フィラーの粒径とは、含フッ素エラストマーに配合されるフィラーの平均粒径をいう。フィラーの平均粒径は、自動比表面積・細孔分布測定装置(日本ベル株式会社製のBELSORP(登録商標) mini II)を用いて比表面積を算出することにより、取得できる。
【0044】
(実施例3~5)
次に、本発明を適用した実施例3~5の含フッ素エラストマー組成物を説明する。実施例3~5の含フッ素エラストマー組成物は、実施例1と同様に、含フッ素エラストマーとして、パーフルオロエラストマーを用いる。フィラーは、珪素粒子、および酸化膜を備える珪素粒子である。フィラーの粒径は、10nm以上、100nm以下である。フィラーの平均粒径は、40~50nmである。実施例3~5は、フィラーの配合割合のみが実施例1と相違する。実施例3では、フィラーは、パーフルオロエラストマー100重量部に対して、1重量部である。実施例4では、フィラーは、パーフルオロエラストマー100重量部に対して、5重量部である。実施例5では、フィラーは、パーフルオロエラストマー100重量部に対して、20重量部である。
【0045】
以下の表5は、実施例3~5の各含フッ素エラストマー組成物の常態物性を示す。
【0046】
【表5】
【0047】
次に、実施例3~5の各含フッ素エラストマー組成物からなるOリングを用いたプラズマ照射試験の結果を以下の表6、表7に示す。表6は、CF/O混合ガス環境下でプラズマ照射を行った場合の結果である。表7は、O単体ガス環境下でプラズマ照射を行った場合の結果である。なお、表6、表7では、実施例3~5の各含フッ素エラストマーと同一のポリマー成分を含む比較例1、3のプラズマ照射試験の結果を、併せて、示す。
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
表6に記載の実施例3~5の試験結果、および上記の表3に記載の実施例1の試験結果から分かるように、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射では、実施例1、3~5の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率は、フィラーを配合していない比較例3の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率よりも小さい。また、実施例1、3~5の含フッ素エラストマー組成物では、パーティクルの発生は、ゼロである。従って、パーフルオロエラストマー100重量部に対して本例のフィラーを1重量部以上配合すれば、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射に対して、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を抑制できる。
【0051】
また、表6に記載の実施例5の試験結果および表3に記載の実施例1の試験結果から分かるように、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射において、実施例1、5の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率は、フィラーとしてシリカ粒子を配合した比較例1の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率よりも小さい。従って、パーフルオロエラストマー100重量部に対して本例のフィラーを10重量部以上、かつ、20重量部以下で配合すれば、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射に対して、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を十分に抑制できる。
【0052】
次に、表7に記載の実施例3~5の試験結果、および上記の表4に記載の実施例1の試験結果から分かるように、Oガス雰囲気下のプラズマ照射では、実施例1、3~5の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率は、フィラーを配合していない比較例3の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率よりも小さい。また、実施例1、3~5の含フッ素エラストマー組成物では、パーティクルの発生は、ゼロである。従って、パーフルオロエラストマー100重量部に対して本例のフィラーを1重量部以上配合すれば、Oガス雰囲気下のプラズマ照射に対して、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を抑制できる。
【0053】
また、実施例4、5の試験結果および実施例1の試験結果から分かるように、Oガス雰囲気下のプラズマ照射において、実施例1、4、5の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率は、フィラーとしてシリカ粒子を配合した比較例1の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率、およびフィラーを配合していない比較例3の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率よりも小さい。従って、パーフルオロエラストマー100重量部に対して本例のフィラーを5重量部以上かつ20重量部以下の範囲で配合すれば、Oガス雰囲気下のプラズマ照射に対して、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を十分に抑制できる。
【0054】
(実施例6~8)
次に、本発明を適用した実施例6~8の含フッ素エラストマー組成物を説明する。実施例6~8の含フッ素エラストマー組成物は、実施例2と同様に、含フッ素エラストマーとして、フッ素ゴムを用いる。フッ素ゴムは、フッ化ビニリデン系ゴムである。フィラーは、珪素粒子、および酸化膜を備える珪素粒子である。フィラーの粒径は、10nm以上、100nm以下である。フィラーの平均粒径は、40~50nmである。実施例6~8は、フィラーの配合割合のみが実施例2と相違する。実施例6では、フィラーは、フッ化ビニリデン系ゴム100重量部に対して、1部である。実施例7では、フィラーは、フッ化ビニリデン系ゴム100重量部に対して、5重量部である。実施例8では、フィラーは、フッ化ビニリデン系ゴム100重量部に対して、20重量部である。
【0055】
以下の表8は、実施例6~8の各含フッ素エラストマー組成物の常態物性を示す。
【0056】
【表8】
【0057】
次に、実施例6~8の各含フッ素エラストマー組成物からなるOリングを用いたプラズマ照射試験の結果を以下の表9、表10に示す。表9は、CF/O混合ガス環境下でプラズマ照射を行った場合の結果である。表10は、O単体ガス環境下でプラズマ照射を行った場合の結果である。なお、表9、表10では、実施例6~8の各含フッ素エラストマーと同一のポリマー成分を含む比較例2、4のプラズマ照射試験の結果を、併せて、示す。
【0058】
【表9】
【0059】
【表10】
【0060】
表9から分かるように、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射では、実施例6~8の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率は、フィラーを配合していない比較例4の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率よりも小さい。また、実施例6~8の含フッ素エラストマー組成物では、パーティクルの発生は、ゼロである。従って、フッ化ビニリデン系ゴム100重量部に対して本例のフィラーを1部以上配合すれば、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射に対して、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を抑制できる。
【0061】
また、表9に記載の実施例8の試験結果、および上記の表4に記載の実施例2の試験結果から明らかなように、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射において、実施例2、8の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率は、フィラーとしてシリカ粒子を配合した比較例2の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率と、同等である。従って、フッ化ビニリデン系ゴム100重量部に対して本例のフィラーを10重量部以上、かつ、20重量部以下で配合すれば、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射に対して、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を十分に抑制できる。
【0062】
次に、表10から分かるように、Oガス雰囲気下のプラズマ照射では、実施例6~8の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率は、フィラーを配合していない比較例4の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率よりも小さい。また、実施例6~8の含フッ素エラストマー組成物では、パーティクルの発生は、ゼロである。従って、フッ化ビニリデン系ゴム100重量部に対して本例のフィラーを1部以上配合すれば、Oガス雰囲気下のプラズマ照射に対して、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を抑制できる。
【0063】
また、表10に記載の実施例8の試験結果、および表4に記載の実施例2の試験結果から分かるように、Oガス雰囲気下のプラズマ照射において、実施例2、8の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率は、フィラーとしてシリカ粒子を配合した比較例2の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率およびフィラーを配合していない比較例4の含フッ素エラストマー組成物の重量変化率よりも小さい。従って、フッ化ビニリデン系ゴム100重量部に対して、本例のフィラーを10重量部以上かつ20重量部以下の範囲で配合すれば、Oガス雰囲気下のプラズマ照射に対して、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を十分に抑制できる。
【0064】
(作用効果)
ここで、実施例1~8の含フッ素エラストマー組成物が、プラズマ照射環境下において重量減少を抑制でき、かつ、フィラーの発生をゼロ、或いは限りなくゼロに近づけることができる理由は、以下のように考えられる。
【0065】
すなわち、実施例1~8の含フッ素エラストマー組成物では、含フッ素エラストマーに配合されたフィラーは粒径が10nm以上100nm以下である。従って、フィラーを含フッ素エラストマーに隙間なく分散させることが容易である。よって、フィラーにより、含フッ素エラストマーの表面をプラズマから保護しやすい。
【0066】
また、フィラーとして配合された珪素粒子は、プラズマ照射がなされると、含フッ素エラストマーのフッ素と反応して四フッ化珪素ガスとなる。すなわち、珪素粒子は、プラズマ照射環境下でガス化する。従って、珪素粒子に起因して、パーティクルが発生することがない。
【0067】
さらに、フィラーは、粒径が極めて小さい。従って、珪素粒子がガス化した場合でも、含フッ素エラストマー組成物の重量が減少することを抑制できる。
【0068】
ここで、フィラーには、酸化膜を備える珪素粒子が配合されている。しかし、酸化膜を備える珪素粒子にプラズマ照射がなされると、酸化膜は剥がれて、珪素が露出する。また、露出した珪素は含フッ素エラストマーのフッ素と反応して四フッ化珪素ガスとなる。すなわち、露出した珪素は、プラズマ照射環境下でガス化する。さらに、フィラーの粒径は極めて小さいので、プラズマ照射によって剥がれた酸化膜(シリカ)は、パーティクルとしては無視できる程度に微細である。また、剥がれた酸化膜は、珪素粒子の粒径よりも微細なので、プラズマ照射によりガス化して消滅する。この結果、プラズマ照射後におけるパーティクルの発生は限りなくゼロに近づく。
【0069】
また、フィラーの粒径は100nm以下である。従って、プラズマ照射環境下での重量減少を抑制する効果を得やすい。すなわち、フィラーの粒径が100nmよりも大きくなると、ガス化する珪素粒子が大きくなるので、重量減少を抑制する効果が小さくなる。
【0070】
なお、本例では、フィラーの粒径は10nm以上である。従って、フィラーの取り扱いが容易である。すなわち、フィラーの粒径が10nmよりも小さい場合には、フィラーが浮遊しやすいので、フィラーの計量などが容易ではなくなる。よって、含フッ素エラストマー組成物の製造が容易となる。
【0071】
また、本例では、フィラーは、珪素粒子と、酸化膜を備える珪素粒子と、を含む。従って、含フッ素エラストマー組成物の製造途中に、珪素粒子の酸化を許容できる。これにより珪素粒子の扱いが容易となるので、含フッ素エラストマー組成物の製造は、より、容易となる。
【0072】
ここで、実施例1、3~5では、含フッ素エラストマー組成物がパーフルオロエラストマーを含む。パーフルオロエラストマーは、耐薬品性、耐溶剤性および耐熱性に優れるので、実施例1の含フッ素エラストマー組成物は、耐薬品性、耐溶剤性および耐熱性が求められる用途のシール材に適する。
【0073】
また、実施例1、3~5に示すように、含フッ素エラストマーがパーフルオロエラストマーであるときに、パーフルオロエラストマー100重量部に対して本例のフィラーを1重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した場合には、同一のポリマー成分を含みフィラーを配合していない含フッ素エラストマー組成物と比較して、重量減少を抑制できる。また、この場合には、重量減少を抑制する効果を、パーティクルの発生をゼロとする効果とともに得ることができる。さらに、この場合には、重量減少を抑制し、かつ、パーティクルの発生をゼロとする効果を、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射、およびOガス雰囲気下のプラズマ照射のいずれにおいても、得ることができる。
【0074】
また、実施例1、4、5に示すように、パーフルオロエラストマー100重量部に対して本例のフィラーを5重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した場合には、Oガス雰囲気下のプラズマ照射において、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を十分に抑制できる。よって、パーフルオロエラストマー100重量部に対して本例のフィラーを5重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した含フッ素エラストマー組成物からなるOリング(シール材)は、Oガス雰囲気下でプラズマ照射が行われる環境に設置される装置に組み込まれるシール材として、好ましい。
【0075】
また、実施例1、5に示すように、パーフルオロエラストマー100重量部に対して本例のフィラーを10重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した場合には、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射、およびOガス雰囲気下のプラズマ照射のいずれにおいても、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を十分に抑制できる。よって、パーフルオロエラストマー100重量部に対して本例のフィラーを10重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した含フッ素エラストマー組成物からなるOリング(シール材)は、CF/O混合ガス雰囲気下でプラズマ照射行われる環境下に設置される装置のシール材としても、Oガス雰囲気下でプラズマ照射が行われる環境に設置される装置に組み込まれるシール材としても、好ましい。
【0076】
一方、実施例2、6~8では、含フッ素エラストマー組成物がフッ素ゴム(フッ化ビニリデン系ゴム)を含む。フッ化ビニリデン系ゴムは、パーフルオロエラストマーと比較して、廉価である。従って、実施例2、6~8では、実施例1、3~5と比較して、含フッ素エラストマー組成物の製造コストを抑制できる。
【0077】
ここで、実施例2、6~8に示すように、含フッ素エラストマーがフッ素ゴムであるときに、フッ素ゴム100重量部に対して本例のフィラーを1重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した場合には、同一のポリマー成分を含みフィラーを配合していない含フッ素エラストマー組成物と比較して、重量減少を抑制できる。また、この場合には、重量減少を抑制する効果を、パーティクルの発生をゼロとする効果とともに得ることができる。さらに、この場合には、重量減少を抑制し、かつ、パーティクルの発生をゼロとする効果を、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射、およびOガス雰囲気下のプラズマ照射のいずれでも、得ることができる。
【0078】
また、実施例2、8に示すように、フッ素ゴム100重量部に対して、本例のフィラーを10重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した場合には、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射、およびOガス雰囲気下のプラズマ照射のいずれにおいても、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を十分に抑制できる。よって、フッ素ゴム100重量部に対して本例のフィラーを10重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した含フッ素エラストマー組成物からなるOリング(シール材)は、CF/O混合ガス雰囲気下でプラズマ照射行われる環境下に設置される装置に組み込まれるシール材としても、Oガス雰囲気下でプラズマ照射が行われる環境に設置される装置に組み込まれるシール材としても、好ましい。
【0079】
ここで、実施例1、2、5、8に示すように、含フッ素エラストマーのポリマー成分に拘わらず、含フッ素エラストマー100重量部に対して、本例のフィラーを10重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した場合には、CF/O混合ガス雰囲気下のプラズマ照射、およびOガス雰囲気下のプラズマ照射のいずれにおいても、パーティクルの発生をゼロとしながら、重量減少を十分に抑制できる。よって、含フッ素エラストマー100重量部に対して、本例のフィラーを10重量部以上かつ20重量部以下の割合で配合した含フッ素エラストマー組成物からなるOリング(シール材)は、含フッ素エラストマーのポリマー成分に拘わらず、CF/O混合ガス雰囲気下でプラズマ照射行われる環境下に設置される装置に組み込まれるシール材としても、Oガス雰囲気下でプラズマ照射が行われる環境に設置される装置に組み込まれるシール材としても、好ましい。
【0080】
なお、CF/O混合ガス雰囲気下でプラズマ照射行われる環境下に設置される装置、および、Oガス雰囲気下でプラズマ照射が行われる環境に設置される装置としては、半導体製造工程に用いられる装置がある。より具体的には、シリコンウェハー等の基板の表面にエッチングを行うエッチング装置や、基板の表面に薄膜を形成する成膜装置、などを挙げることができる。
【0081】
(変形例)
ここで、含フッ素エラストマー組成物に配合するフィラーは、粒径が10nm以上かつ100nm以下の珪素粒子としてもよい。すなわち、フィラーとして、酸化膜を備える珪素粒子を含んでいなくてもよい。
【0082】
珪素粒子は、プラズマ照射がなされると、含フッ素エラストマーのフッ素と反応して四フッ化珪素ガスとなる。すなわち、珪素粒子は、プラズマ照射環境下でガス化する。従って、フィラーを珪素粒子とすれば、プラズマ照射環境下でパーティクルが発生することがない。また、フィラーは、粒径が10nm以上かつ100nm以下である。従って、フィラーを含フッ素エラストマーに隙間なく分散させることが容易である。よって、フィラーにより、含フッ素エラストマーの表面をプラズマから保護しやすい。さらに、フィラーの粒径が極めて小さいので、珪素粒子がガス化した場合でも、含フッ素エラストマー組成物の重量減少を抑制できる。