(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】ディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システム
(51)【国際特許分類】
G05B 13/02 20060101AFI20220127BHJP
F02D 19/02 20060101ALI20220127BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
G05B13/02 M
F02D19/02 A
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2019571592
(86)(22)【出願日】2018-06-15
(86)【国際出願番号】 KR2018006805
(87)【国際公開番号】W WO2019146848
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2019-12-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0008859
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519450455
【氏名又は名称】ハナ ティーイーシー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANA TEC CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】37,Namdongdong-ro 124beon-gil Namdong-gu Incheon 21691,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】519450466
【氏名又は名称】ニューゼン エレクトリックス
【氏名又は名称原語表記】NEWJEN ELECTRICS
【住所又は居所原語表記】116,Suruni-gil,Heungeop-myeon Wonju-si Gangwon-do 26356,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】514159726
【氏名又は名称】コリア オートモーティブ テクノロジー インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ボム ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドク ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ、スン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ウ、サン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ムン グ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、スン ヒョン
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-152851(JP,A)
【文献】米国特許第06334737(US,B1)
【文献】特開2013-204031(JP,A)
【文献】特開2012-252436(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1761686(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0103777(KR,A)
【文献】特開2014-151815(JP,A)
【文献】特開2008-021170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋立地の環境条件、埋立地ガスの組成成分及び埋立地ガスの発生量情報、発電運営情報が含まれたデータベースを生成する情報生成部であって、
前記埋立地の環境条件のデータベースは、埋立地環境センサを介して取り集められる埋立地の温度、湿度、風速、風向、気候情報が含まれた環境情報を含み、
前記埋立地ガスの組成成分及び埋立地ガスの発生量情報のデータベースは、埋立地ガス(LFG;Landfill Gas)濃度センサを介して取り集められ、
前記発電運営情報のデータベースは、
発電部において発生する発電量、出力及びエンジン運営情報を含む、情報生成部と、
前記情報生成部から前記データベースの転送を受けて埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量を予測し、このとき、前記情報生成部のデータベースに基づいて、時系列データ処理のためのリカレントニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Network)技術を用いて、埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量を予測する情報予測部と、
前記情報予測部から埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量の予測情報の転送を受けて最適な発電量を導き出す発電量制御部と、
前記発電量制御部において導き出された最適な
発電量情報の転送を受けてエンジン発電出力を制御する制御信号を発生するエンジン制御部と、
前記エンジン制御部により発生された前記制御信号の転送を受けて発電される
前記発電部とを備える構成において、
前記発電量制御部には、
前記情報予測部において予測された埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量から、前記発電部の発電量及びエンジン発電効率を計算する発電効率計算モジュールと、
前記発電効率計算モジュールにおいて計算された値を制御信号に変換する発電効率変換モジュールと、
前記発電効率変換モジュールから制御信号の転送を受けて前記エンジン制御部に制御信号を送出可能な制御信号送出モジュールとを備え、
前記情報予測部は、埋立地ガスの濃度や発生量が設定基準以下である場合、前記エンジン制御部に制御信号を転送して前記エンジン制御部において警報を鳴らせ、管理者端末に連絡がいくように制御すると共に、
前記情報予測部が、以前の前記エンジン制御部における障害発生警報動作の際に管理者が対応していた状況と同じ状況が存在したか否かを判断可能な障害発生警報判断モジュールと、
前記障害発生警報判断モジュールが同じ状況があったと判断した場合、過去の障害発生警報の設定または条件を反映して、障害発生警報を変更する障害発生警報変更モジュールと、さらに備える
ことを特徴とする、ディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システム。
【請求項2】
前記情報生成部は、埋立場及びバイオガス設備運用データベースと連携して埋立地内に搬入される廃棄物の種類及び搬入量情報が含まれた運営情報を連動し、他の埋立地発電管理システムと連動することを特徴とする、請求項1に記載のディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システム。
【請求項3】
前記エンジン制御部は、
前記発電量制御部に埋め込まれている制御信号送出モジュールから転送された制御信号を受信可能な制御信号受信モジュールと、
前記制御信号受信モジュールが受信した制御信号をエンジン制御信号に変換する制御信号変換モジュールと、
前記制御信号変換モジュールから制御信号の転送を受けて空燃比制御、ノッキング制御及び点火時期制御をはじめとするエンジン制御を行うことで、前記発電部の発電量を調節可能な発電量調節モジュールと、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載のディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システム。
【請求項4】
前記発電部は、発生された発電量及びエンジン効率を測定する発電量及びエンジン効率センサを備え、前記センサを介して測定された前記発電部の発電量及びエンジン効率情報を前記情報生成部に転送することを特徴とする、請求項1に記載のディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋立地ガス及びバイオガス発電所の制御システムに関し、さらに詳しくは、埋立地ガス及びバイオガス発電設備の最適な発電効率の達成及び安定性の確保を図るために、ガスの発生量及び組成を予測し、それを活用して、発電電力量及びエンジンの安全性を制御するためのディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
埋立地ガス及びバイオガスは、メタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)を主成分とする混合ガスであって、廃棄物及びバイオマスのメタン(CH4)の発酵過程により発生する。発酵過程中に、廃棄物及びバイオマスの成分、温度、湿度、気圧などの影響によってメタン(CH4)及び二酸化炭素(CO2)の濃度と発生量が変化するという特性を有している。
【0003】
また、埋立地ガス及びバイオガスを活用する発電設備に用いられる内燃機関は、負荷の特性及び燃料の組成に応じてエンジンの熱効率が変化するという特性を有しており、一般に、高負荷領域において効率が高くなるという特性を有している。
【0004】
したがって、ガスの発生量及び濃度を予測し、それらに合わせて発電量及びエンジンの制御を行うシステム観点からの発電システムの制御を行うことにより発電所の効率を向上させることが必要である。
【0005】
従来の埋立場及びバイオガス発電施設の運用は、発電施設の管理者が安定的に運用される発電量を経験的に把握して発電量を設定し、エンジンの作動状態をモニターリングし続ける方法により行われていた。
【0006】
例えば、一般に、CDM(Clean Development Mechanism)事業のための根拠を確保するために、発電施設に供給されるガスの流量及び組成を1分おきにモニターリングしてから保存するが、発電システムの作動を制御するための目的に活用されることはなかった。
【0007】
従来の埋立場及びバイオガス発電施設の発電量を管理者が設定して運用するため、埋立地ガスやバイオガス発生量の変動に合わせて安定したガスエンジンの運用を可能にするために、ガスエンジンの最大の性能よりも大幅に下げて(約60%以下)駆動されるように発電システムを運用することが一般的である。
【0008】
しかしながら、このような従来技術によれば、埋立地ガス及びバイオガスの発生可能量に比べて少ない消耗量で運用されるのでCDMの収益性が低くなるという不都合がある。
【0009】
さらに、埋立地ガス及びバイオガスの発生可能量が顕著に少ないため、埋立地ガス及びバイオガスが微量しかガスエンジンに供給されない場合、ガスエンジンに供給された空気に含まれている酸素(O2)と微量の埋立地ガス及びバイオガスが燃焼され、空気に含まれている残りの酸素(O2)と窒素(N2)が結合してNOxが生じるという不都合がある。
【0010】
そして、少ないガスの消耗量により、発電用のエンジンが効率の低い領域において運用され、それにより、発電効率が下がって収益性が低くなるという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】大韓民国登録特許第10-0920604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記のような不都合を解消するために、本発明は、埋立地ガス及びバイオガス発電設備の最適な発電効率の達成及び安定性の確保を図るために、ガスの発生量及び組成を予測し、これらを活用して発電電力量及びエンジンの安全性を制御するためのディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システムを提供することを目的とする。
【0013】
そして、本発明は、埋立地ガスの発生量及び組成成分の予測正確性を高めるために、埋め立てごみ及び発生源の種類、搬入量、埋め立て位置などの様々な管理情報と連動し、他の埋立場及びバイオガス施設のデータベースに連動してビッグデータを構成し、このビッグデータを埋立地ガスの発生量及び組成成分の予測に活用することを目的とする。
【0014】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の技術的課題に限定されるものではなく、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明は、埋立地の環境条件、埋立地ガスの組成成分及び埋立地ガスの発生量情報、発電運営情報が含まれたデータベースを生成する情報生成部と、前記情報生成部から前記データベースの転送を受けて埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量を予測する情報予測部と、前記情報予測部から埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量の予測情報の転送を受けて最適な発電量を導き出す発電量制御部と、前記発電量制御部において導き出された最適な発生量情報の転送を受けてエンジン発電出力を制御する制御信号を発生するエンジン制御部と、前記エンジン制御部により発生された前記制御信号の転送を受けて発電される発電部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の実施形態において、前記埋立地の環境条件データベースは、埋立地環境センサを介して取り集められる埋立地の温度、湿度、風速、風向、気候情報が含まれた環境情報を含み、前記埋立地ガスの組成成分及び埋立地ガスの発生量情報データベースは、埋立地ガス(LFG;Land fill Gas)濃度センサを介して取り集められてもよい。
【0017】
本発明の実施形態において、前記発電運営情報データベースは、前記発電部において発生する発電量、出力及びエンジン運営情報を含んでいてもよい。
【0018】
本発明の実施形態において、前記情報生成部は、埋立場及びバイオガス設備運用データベースと連携して埋立地内に搬入される廃棄物の種類及び搬入量情報が含まれた運営情報を連動し、他の埋立地発電管理システムと連動してもよい。
【0019】
本発明の実施形態において、前記情報予測部は、前記情報生成部のデータベースに基づいて、時系列データ処理のためのリカレントニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Network)技術を用いて、埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量を予測してもよい。
【0020】
本発明の実施形態において、前記情報予測部は、埋立地ガスの濃度や発生量が設定基準以下である場合、前記エンジン制御部に制御信号を転送して前記エンジン制御部において警報を鳴らせ、管理者端末に連絡がいくように制御してもよい。
【0021】
本発明の実施形態において、前記情報予測部は、以前の前記エンジン制御部における障害発生警報動作の際に管理者が対応していた状況と同じ状況が存在したか否かを判断可能な障害発生警報判断モジュールと、前記障害発生警報判断モジュールが同じ状況があったと判断した場合、過去の障害発生警報の設定または条件を反映して、障害発生警報を変更する障害発生警報変更モジュールと、を備えていてもよい。
【0022】
本発明の実施形態において、前記発電量制御部は、前記情報予測部において予測された埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量から前記情報生成部の発電運営情報に基づき前記発電部の発電量及びエンジン発電効率を計算する発電効率計算モジュールと、前記発電効率計算モジュールにおいて計算された値を制御信号に変換する発電効率変換モジュールと、前記発電効率変換モジュールから制御信号の転送を受けて前記エンジン制御部に制御信号を送出可能な制御信号送出モジュールと、を備えていてもよい。
【0023】
本発明の実施形態において、前記エンジン制御部は、前記発電量制御部に埋め込まれている制御信号送出モジュールから転送された制御信号を受信可能な制御信号受信モジュールと、前記制御信号受信モジュールが受信した制御信号をエンジン制御信号に変換する制御信号変換モジュールと、前記制御信号変換モジュールから制御信号の転送を受けて空燃比制御、ノッキング制御及び点火時期制御をはじめとするエンジン制御を行うことで、前記発電部の発電量を調節可能な発電量調節モジュールと、を備えていてもよい。
【0024】
本発明の実施形態において、前記発電部は、発生された発電量及びエンジン効率を測定する発電量及びエンジン効率センサを備え、前記センサを介して測定された前記発電部の発電量及びエンジン効率情報を前記情報生成部に転送してもよい。
【発明の効果】
【0025】
前記構成によれば、本発明は、埋立地ガス及びバイオガス発電システムにおいて運用管理者の経験に依存していた従来の発電システムの制御方法と比較して、ガスの発生量及び組成の予測を行うことで、リアルタイムにてCDM収益と発電収益を考慮した最適なシステム制御を行うことにより、発電システムの効率を最適化させることが可能であるという効果を有する。
【0026】
そして、本発明は、リアルタイムにてガス組成に基づくエンジン制御アルゴリズムを導入することで、ガスエンジンの耐久性の向上と長期にわたってのシステム整備コストの低減を図ることにより、効率を向上させることが可能であるという効果を有する。
【0027】
本発明の効果は、前記効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載されている発明の構成から推論可能なあらゆる効果が含まれるものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係るディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システムの全体構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る埋立地別の埋立地ガスの年平均濃度の変化例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る埋立地ガスの日中濃度の変化例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、埋立地の環境条件、埋立地ガスの組成成分及び埋立地ガスの発生量情報、発電運営情報が含まれたデータベースを生成する情報生成部と、前記情報生成部から前記データベースの転送を受けて埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量を予測する情報予測部と、前記情報予測部から埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量の予測情報の転送を受けて最適な発電量を導き出す発電量制御部と、前記発電量制御部において導き出された最適な発生量情報の転送を受けてエンジン発電出力を制御する制御信号を発生するエンジン制御部と、前記エンジン制御部により発生された前記制御信号の転送を受けて発電される発電部と、を備えることを特徴とする。
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明について説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現され得るので、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面において、本発明を明確に説明するために説明に関係のない部分は省略し、明細書全体を通して類似の部分には類似の符号を付した。
【0031】
明細書全体を通して、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているという場合、それには「直接的に連結」されているものだけでなく、その間にさらに他の部材を介して「間接的に連結」されているものも含まれる。また、ある一部分がある構成要素を「含む」という場合、それは特に断らない限り他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えてもよいことを意味する。
【0032】
本発明に用いられる用語は、単に特定の実施形態について説明するために用いられるものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現には、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。本明細書における「含む」、「有する」などの用語は、明細書に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせが存在することを示すためのものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせの存在または付加可能性を予め排除するものではないことを理解すべきである。
【0033】
以下、添付図面面を参照し、本発明について詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係るディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システムの全体構成図である。
【0035】
図1に示すように、本発明のディープラーニング技術を活用した埋立地ガス及びバイオガス発電所の最適な制御システムは、埋立地の環境条件、埋立地ガスの組成成分及び埋立地ガスの発生量情報、発電運営情報が含まれたデータベースを生成する情報生成部100と、情報生成部100からデータベースの転送を受けて埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量を予測する情報予測部200と、情報予測部200から埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量の予測情報の転送を受けて最適な発電量を導き出す発電量制御部300と、発電量制御部300において導き出された最適な発生量情報の転送を受けてエンジン発電出力を制御する制御信号を発生するエンジン制御部400と、エンジン制御部400により発生された制御信号の転送を受けて発電される発電部500と、を備えていてもよい。
【0036】
情報生成部100の埋立地の環境条件データベースは、埋立地環境センサを介して取り集められる埋立地の温度、湿度、風速、風向、気候情報が含まれた環境情報を含んでいてもよい。
【0037】
情報生成部100の埋立地ガスの組成成分及び埋立地ガスの発生量情報データベースは、埋立地ガス(LFG;Land fill Gas)濃度センサを介して取り集められてもよい。
【0038】
情報生成部100の発電運営情報データベースは、前記発電部において発生する発電量、出力及びエンジン運営情報を含んでいてもよい。
【0039】
情報生成部100は、埋立場及びバイオガス設備運用データベースと連携して埋立地内に搬入される廃棄物の種類及び搬入量情報が含まれた運営情報を連動し、他の埋立地発電管理システムと連動してもよい。
【0040】
情報生成部100は、埋立地ガス(LFG;Land fill Gas)濃度センサを介して取り集められる埋立地ガスの組成成分及び発生量情報、埋立地環境センサを介して取り集められる埋立地の温度、湿度、風速、風向、気候情報が含まれた環境情報、発電部500において発生する発電量、出力及びエンジン運営情報、埋立場及びバイオガス設備運用データベースと連携して埋立地内に搬入される廃棄物の種類及び搬入量情報が含まれた運営情報、及び他の埋立地発電管理システムデータベースと連動して埋立地ガスの発生に関するビッグデータ・データベースとして構築してもよい。
【0041】
情報生成部100のデータベースに環境情報、発電量、出力及びエンジン運営情報、廃棄物の種類及び搬入量情報が含まれた運営情報、他の埋立地発電管理システムデータベースなどの数多くの情報が時系列的に連続して取り集められると、情報生成部100のデータベースに過負荷がかかる虞がある。
【0042】
これを防止するために、情報生成部100のデータベースは、ネットワーク通信が行えるコンピューティング装置またはそのグループであって、大容量のデータを分散及び並列処理することのできるハドゥープクラスターグループとして形成されてもよい。すなわち、複数のNoSQLデータベースと、マスターノード及び複数のスレーブノードから構成されたハドゥープ(Hadoop)形式のクラスターから構成されてもよい。
【0043】
このように、ハドゥープ形式のクラスターからビッグデータ・データベースを構成する理由は、大容量の情報を精度よく且つ速やかに解析または計算するのに有用であるためである。
【0044】
連続して稼働するガスエンジンを制御するために、比較的に短い時間の間に情報が処理され、制御信号を発電部500に転送せねばならないという点で、ハドゥープ形式のクラスターから構成されたビッグデータ・データベース解析システムまたは方式を採択して情報生成部100のデータベース情報処理を行ってもよい。
【0045】
このように、埋立地ガスに関わる数多くの情報が情報生成部100のデータベースに取り集められると、情報生成部100のビッグデータ・データベース・システムが同時に複数の作業ノード(コンピュータ)において並列処理の前処理手順を行い、この手順が終了すれば、処理済みの情報を情報予測部200に転送してもよい。
【0046】
情報予測部200は、前記情報生成部100において処理されて転送された情報に基づいて、時系列データ処理のためのリカレントニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Network)技術を用いて、埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量を予測することができる。
【0047】
情報予測部200は、情報生成部100において処理されて転送された埋立地ガスの発生に関する情報を活用して、時系列データ処理のためのリカレントニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Network)技術を用いて、情報生成部100から転送された埋立地ガスの発生に関する情報をパターン化し、パターン化された情報のうち、主な関心領域を設定することができる。
【0048】
情報予測部200は、アルゴリズムを用いて、関心領域に設定された情報を予測モデルとして生成し、予測モデルにおいて導き出された情報を発電量制御部300に転送してもよい。
【0049】
また、情報予測部200は、埋立地ガスの濃度や発生量が設定基準以下である場合、前記エンジン制御部400に制御信号を転送してエンジン制御部において警報を鳴らしてもよい。
【0050】
最初の警報対象者である管理者が留守中であるか、あるいは、所定の時間内に措置が取られていない場合、次の連絡順番となる管理者端末に順番に連絡がいくように制御してもよい。
【0051】
管理者端末のグレードを分けて、グレードの低い順または高い順に連絡がいくように制御してもよい。
【0052】
前記警報が鳴った回数が所定の値以上である場合、警報を中止するように制御してもよい。
【0053】
前記管理者のスケジュール(日程)を反映して、前記管理者端末に警報の最大回数を一定に調整し、特定の管理者が休みである場合、警報回数をゼロにし、勤務時間が過ぎた場合、警報回数を所定の値以下に調整してもよい。
【0054】
情報予測部200は、埋立地ガスの濃度や発生量が設定基準以下である場合に備えて、障害発生警報の通報条件の設定機能を備えていてもよい。
【0055】
警報グレードは、正常、要確認、緊急(3つのグレード)から構成されてもよい。
【0056】
管理者端末受信グループの設定機能で、システム運用者、管理者、システム運用補修担当、システムメンテナンス業者担当などを設定してもよい。
【0057】
繰り返し伝送周期の設定機能で、10秒、30秒、60秒、5分、10分、30分、1時間などを選択することができ、伝送回数の設定機能で、1回、3回、5回などを設定することができ、管理者端末番号の設定機能で、最大で10台以上を保存することができる。
【0058】
情報予測部200は、障害発生警報データの変更ステップを含んでいてもよい。既に入力されている障害発生警報データの変更が必要であると判断した場合、警報データの設定、条件を変更し、前記障害発生警報データの変更ステップにおいて変更された障害発生情報に応じて、障害発生警報データを変更してもよい。
【0059】
情報予測部200は、以前のエンジン制御部400における障害発生警報動作の際に管理者が対応していた状況と同じ状況が存在したか否かを判断可能な障害発生警報判断モジュールと、障害発生警報判断モジュールが同じ状況があったと判断した場合、過去の障害発生警報の設定または条件を反映して、障害発生警報を変更する障害発生警報変更モジュールと、を備えていてもよい。
【0060】
情報予測部200の障害発生警報データの変更は、警報データの駆動中止、すなわち、警報データが出力されないようにする手順を含んでいてもよい。
【0061】
情報予測部200は、予め設定された基準設定値の入力を受け、発電部500の性能の低下、エラー及び故障の内容が基準設定値を超える場合、設定条件に応じた基本警報データを伝送し、所定の値以上に警報データを伝送した場合は中止するように制御してもよい。
【0062】
埋立地ガス及びバイオガス発電の収益は、発生したガスの消耗により得られるCDM収益と、発電された電力の取引による収益と、から構成される。
【0063】
収益を増大するためには、ガスの消耗量と発電効率を同時に考慮して収益を最適化する発電システムの最適な制御が必ず求められる。
【0064】
従来の埋立場及びバイオガス施設の運用は、発電システム管理者が安定的に運用される発電量を経験的に把握して発電量を設定し、エンジンの作動状態をモニターリングし続ける方法により行われていた。
【0065】
一般に、CDM事業のための根拠を確保するために、発電施設に供給されるガスの流量及び組成を1分おきにモニターリングしてから保存するが、発電システムの作動を制御するための目的に活用されることはなかった。
【0066】
従来の埋立場及びバイオガス発電システムの発電量を管理者が設定して運用するため、エンジンの安定的な運用を可能にするために、発電量に高いマージンをもって運用されるように発電システムを運用することが一般的である。
【0067】
埋立地ガス及びバイオガスの発生可能量に比べて少ない消耗量で運用されるのでCDMの収益性が低くなり、発生可能量に比べて格段に少ない発生量を用いる場合、大気中に埋立地ガス及びバイオガスが放出されてしまう可能性もある。
【0068】
少ないガスの消耗量により、発電用のエンジンが効率の低い領域において運用され、それにより、発電効率が下がって収益性が低くなる。
【0069】
本発明は、環境変数、発電情報、他の埋立地ガス及びバイオ設備の発電及び管理データベースなどの様々な情報を寄せ集めてデータベースを構成し、今後進化を見せる人工知能のうち、特に、リカレントニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Networks)アルゴリズムを活用して、ガスの組成及び発生量をリアルタイムにて予測し、それらに基づいて、発電システムの発電量及びエンジンの安定性の制御を行って、発電システムの最適な制御による収益の極大化を図るためのものである。
【0070】
発電量制御部300は、情報予測部200において予測された埋立地ガスの今後の組成成分及び発生量から発電部500の発電量及びエンジン発電効率を計算する発電効率計算モジュールと、前記発電効率計算モジュールにおいて計算された値を制御信号に変換する発電効率変換モジュールと、発電効率変換モジュールから制御信号の転送を受けてエンジン制御部400に制御信号を送出可能な制御信号送出モジュールと、を備えていてもよい。
【0071】
エンジン制御部400は、発電量制御部300に埋め込まれている制御信号送出モジュールから転送された制御信号を受信可能な制御信号受信モジュールと、制御信号受信モジュールが受信した制御信号をエンジン制御信号に変換する制御信号変換モジュールと、制御信号変換モジュールから制御信号の転送を受けて空燃比制御、ノッキング制御及び点火時期制御をはじめとするエンジン制御を行うことで、前記発電部の発電量を調節可能な発電量調節モジュールと、を備えていてもよい。
【0072】
エンジン制御部400は、発電量制御部300から転送された制御信号を受信して、埋立地ガスの濃度が濃く、かつ、酸素が足りない場合、酸素量を増量させ、埋立地ガスの濃度が薄く、かつ、酸素が多すぎる場合、酸素量を減量させてもよい。
【0073】
エンジン制御部400は、酸素センサを備え、酸素センサは、ガスエンジンの燃料噴射装置と排出ガスの有害物質の制御を可能にする装置であって、空気と燃料との比率を好適に制御する役割を果たす。
【0074】
エンジン制御部400は、発電量制御部300から転送された制御信号を酸素センサに転送して、空気と埋立地ガスとの比率を好適に混合する役割を果たす。
【0075】
エンジン制御部400の酸素センサは、二つの酸素センサから構成されてもよい。
【0076】
エンジン制御部400の前端に位置する前方酸素センサと、エンジン制御部400の後端に位置する後方酸素センサと、に分けられる。前方酸素センサは、発電量制御部300から転送された制御信号に基づいて高精度で埋立地ガスと酸素を混合するための制御を行い、後方酸素センサは、付加的な制御性能のモニターリングのために設けられる。
【0077】
エンジン制御部400は、発電量制御部300から転送された制御信号を受信して発電部500にガスエンジンを駆動させて発電する間に発生し得るノッキング現象を制御することができる。
【0078】
ノッキングとは、発電部500のガスエンジンのシリンダ内部の異常燃焼や早期の点火現象のことをいうが、ピストンや弁が破損される虞があるリスキーな症状である。
【0079】
これを防止するために、エンジン制御部400は、ノッキングセンサを備えていてもよい。
【0080】
ノッキングセンサは、エンジンの固有振動数とは異なる振動を検出し、シリンダ燃焼の際に生じるノッキングを検出する役割を果たす。
【0081】
エンジン制御部400は、ノッキングセンサから転送される出力信号を受信した後、ノッキングが生じたと判断すれば、判断したところで、エンジンの点火時期を遅らせてノッキングを防止する制御を行う。
【0082】
発電部500は、発生された発電量及びエンジン効率を測定する発電量及びエンジン効率測定センサを備え、測定センサを介して測定された発電部500の発電量及びエンジン効率に関する情報を前記情報生成部100に転送してもよい。
【0083】
図2は、本発明の一実施形態に係る埋立地別の埋立地ガスの年平均濃度の変化例を示す図である。
【0084】
図2に示すように、情報生成部100を介して取り集められた情報を活用して、埋立地ガスの年平均濃度の変化をグラフで表すことができ、それを活用して、今後の発電所における発電量の予測を行い、かつ、発電所の運営方案を立てることができる。
【0085】
本発明に係る一実施形態によれば、
図2に示すように、首都圏の第1の埋立地と首都圏の第2の埋立地の年平均濃度の変化の推移を踏まえて、他の埋立地において発生する埋立地ガスの濃度を予想することができ、それを活用して、今後の埋立地ガス及びバイオガス発電所の運営計画を立てることができる。
【0086】
図2に示すように、酸素(O
2)の場合、埋立地ガスにほとんど含まれていないため、発電部500においてガスエンジンを燃焼させるときに必要とされる酸素(O
2)をどのように供給するかについての計画を立てて、発電所の運営に反映してもよい。
【0087】
図2に示すように、二酸化炭素(CO
2)の発生量は、毎年一定な傾向を示している。
【0088】
二酸化炭素(CO2)は、温室ガスであって、環境規制を受けるため、徹底した管理が必要である。このようなデータに基づいて、二酸化炭素(CO2)の発生量を予測し、発生した二酸化炭素(CO2)を処理する方法について方案を立てることができる。
【0089】
図2に示すように、首都圏の第1の埋立地において発生するメタン(CH
4)の年平均濃度の変化は、一定した推移を示していない。
【0090】
これに対し、首都圏の第2の埋立地において発生するメタン(CH4)の年平均濃度の変化は、毎年減るという一定した推移を示している。
【0091】
首都圏の第1の埋立地と首都圏の第2の埋立地に埋蔵されている廃棄物の種類に応じて、発生するメタン(CH4)の年平均濃度が異なる場合がある。
【0092】
このような情報に基づいて、他の埋立地に廃棄物を埋め立てる場合、埋立地ガス及びバイオガスの発電所の運営目標に応じて、埋め立てられる廃棄物の種類を分類して廃棄することにより、埋立地ガスの発生濃度を調節して活用することができる。
【0093】
図3は、本発明の一実施形態に係る埋立地ガスの日中濃度の変化例を示す図である。
【0094】
図3に示すように、情報生成部100を介して取り集められた情報を活用して、埋立地ガスの一日中濃度の変化をグラフで表すことができ、それを活用して、今後の発電所における発電量を予測し、かつ、発電所の運営方案を立てることができる。
【0095】
本発明に対する一実施形態によれば、
図3に示すように、午前7時に酸素(O
2)の濃度が上がり、かつ、メタン(CH
4)の濃度が下がることに伴い、発電量が減量されることが分かる。
【0096】
また、午前11時には酸素(O2)の濃度とメタン(CH4)の濃度が急に上がることが分かる。
【0097】
このような日中濃度の変化データに基づいて、午前7時と午前11時に酸素(O2)とメタン(CH4)の急激な濃度の変化に対応するために、補助発電装置を稼働するか、あるいは緊急な濃度の制御による対策を講じることができる。
【0098】
他の例によれば、
図3に示すように、午前3時から7時までに酸素(O
2)の濃度の変化が増えることが分かる。これを活用して、午前3時から7時までに酸素(O
2)を捕集し得る別途の貯留装置を設けて、酸素(O
2)を捕集し、それをエンジン制御部400の空燃比の制御の際に供給してもよい。
【0099】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形できることを理解するであろう。よって、前述の実施形態はあくまで例示的なものであり、限定的なものではないことを理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素を分散して実施してもよく、同様に分散したものと説明されている構成要素を結合された形態に実施してもよい。
【0100】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態も本発明に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0101】
100 情報生成部
200 情報予測部
300 発電量制御部
400 エンジン制御部
500 発電部