(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】ガラス手摺
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
E04F11/18
(21)【出願番号】P 2020019724
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000133629
【氏名又は名称】株式会社ツヅキ
(74)【代理人】
【識別番号】100171354
【氏名又は名称】畠山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100071663
【氏名又は名称】福田 保夫
(72)【発明者】
【氏名】尾有 信雄
(72)【発明者】
【氏名】東 太志
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-131281(JP,A)
【文献】特開2003-239486(JP,A)
【文献】米国特許第05967498(US,A)
【文献】特開2016-075049(JP,A)
【文献】特開2007-327286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で支柱を立設し支柱の外側に持ち出した持ち出し部にガラスを装着して笠木を取り付けたガラス手摺であって、持ち出し部は支柱に結合されることなく、下端部を支柱の外側に取り付けた下枠に固着し上端部を支柱の上端部より外側で上枠に固着した複数の立子と立子間に嵌着されたガラスからなり、ガラスを嵌着する立子の配置を支柱の位置とは無関係に変えられるようにした
ものにおいて、前記立子は分割可能な2つの形材からなり、一方の形材にガラスの嵌合片を有する他方の形材をガラスの嵌合片が外側に突出するよう組み付けて形成された中空状のもので、前記上枠と下枠に一方の形材を固着し
他方の形材にガラスを嵌め込んで、他方の形材を嵌め込んだガラスが立子間に嵌着されるよう一方の形材に組み付けるよう構成したことを
特徴とするガラス手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にマンションなど集合住宅のバルコニーなどに用いられるガラス手摺、詳しくは、支柱の外側に持ち出した部分にガラスを装着した持ち出しガラス手摺の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、持ち出しガラス手摺においては、
図9、
図10に示すように、ガラス4を装着するための部材15を支柱2の前面にビスVで取り付けていたため、支柱2間の広いスパンにのみガラスを装着するという単純なデザインのものしか得られず、意匠上の観点からガラスの配置を改変できる新しいデザインのガラス手摺が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の単純化されたデザインの持ち出しガラス手摺の構造を改善して上記の要求にこたえることができるガラス手摺を得るためになされたものであり、その目的は、支柱の外側に持ち出した持ち出し部を支柱と結合することなく、持ち出し部にガラスを嵌着するための複数の立子を配置することにより立子の配置を支柱の位置とは無関係に変えられるようして、ガラスの配置を自由に改変することを可能とする新規なガラス手摺を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明によるガラス手摺は、所定の間隔で支柱を立設し支柱の外側に持ち出した持ち出し部にガラスを装着して笠木を取り付けたガラス手摺であって、持ち出し部は支柱に結合されることなく、下端部を支柱の外側に取り付けた下枠に固着し上端部を支柱の上端部より外側で上枠に固着した複数の立子と立子間に嵌着されたガラスからなり、ガラスを嵌着する立子の配置を支柱の位置とは無関係に変えられるようにしたものにおいて、前記立子は分割可能な2つの形材からなり、一方の形材にガラスの嵌合片を有する他方の形材をガラスの嵌合片が外側に突出するよう組み付けて形成された中空状のもので、前記上枠と下枠に一方の形材を固着し他方の形材にガラスを嵌め込んで、他方の形材を嵌め込んだガラスが立子間に嵌着されるよう一方の形材に組み付けるよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、持ち出しガラス手摺において、外側に持ち出した持ち出し部が支柱と結合することなく、持ち出し部に支柱とは独立してガラスを嵌着するための複数の立子を配置することにより立子の配置を支柱の位置とは無関係に変えることができ、従ってガラスの配置を自由に改変することが可能となり、ガラスの配置を変えた種々のデザインのガラス手摺を得ることができるから、マンションのバルコニーなどの手摺として意匠的にきわめて優れたガラス手摺を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るガラス手摺(持ち出しガラス手摺)を示す正面図である。
【
図3】
図1の要部平断面図で、平断面から見たガラス手摺の支柱、支柱の外側に取り付けられた立子を固着するための下枠、下枠に固着して立設する立子、立子に嵌着するガラスの配置形態を示すものである。
【
図4】
図3において、立子にガラスを嵌着する手順の準備段階を示す図である。
【
図5】
図3において、立子にガラスを嵌着する手順の途中段階を示す図である。
【
図6】
図3において、立子にガラスを嵌着する手順の完了段階を示す図である。
【
図7】手摺の端部に位置する端部立子にガラスを装着する手順の準備段階と途中段階を示す要部平断面図である。
【
図8】
図7において、端部立子にガラスを装着する手順の完了段階を示す図である。
【
図9】従来の持ち出しガラス手摺を示す正面図である。
【
図10】
図9の要部平断面図で、平断面から見たガラス手摺の支柱、支柱に取り付けられたガラスを装着するための部材、この部材に嵌着するガラスの配置形態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面(
図1~
図8)により本発明に係るガラス手摺(持ち出しガラス手摺)の構造について説明する。なお、本発明を構成する材料はアルミニウム合金で形成するのが好ましい。図面において、従来と同じ部材には同一の符号を付した。
【0010】
本発明に係るガラス手摺1は、
図1の正面図に示されるように、マンションなど集合住宅のバルコニーなどの手摺として用いられるもので、複数の立子3を所望のデザインに応じた位置に配置して、立子2の間にガラス4を嵌着してなるものであり、立子3は支柱2の位置とは無関係に任意の位置に配置できるよう構成されている。
図1において、6は立子2を固着、立設するための下枠、14は笠木であり、Bはガラス手摺1を立設するためのコンクリートスラブなどのベースである。
【0011】
そのために、本発明に係るガラス手摺1は、
図2に示すように、支柱2の外側に持ち出した持ち出し部にガラス4を装着する構成とし、持ち出し部は支柱2に結合されることなく、下端部を支柱2の外側に取り付けた下枠6に固着し上端部を支柱2の上端部より外側で上枠5(
図2においては笠木14の下部に取り付けられたカバー部材5が上枠を構成する)に固着した複数の立子3と立子3間に嵌着されたガラス4からなり、ガラス4を嵌着する立子3の配置を支柱2の位置とは無関係に変えられるようになっている。Vは部材を取り付け、固着するためのビスまたはねじを示す。
【0012】
支柱2、支柱2の外側に取り付けられた立子3を固着するための下枠6、下枠6に固着して立設する立子3、立子3に嵌着するガラス4の配置形態は、
図3の平断面図に示すように、支柱2の外側に立子3を固着するための下枠6がねじVで取り付けられ、立子3の下端が下枠6に固着(図示されていないが立子3の上端は上枠5に固着)され、立子3の間にガラス4が嵌着される。
【0013】
図3に示すように、立子3は分割可能な2つの形材7、8からなり、一方の形材7にガラス4の嵌合片9を有する他方の形材8をガラスの嵌合片9が外側に突出するようねじVで組み付けて形成された中空状のものである。
【0014】
立子3へのガラス4の取り付け、嵌着手順について説明すると、まず、
図4に示すように、立子3を構成する2つの形材7、8のうち、ガラス4の嵌合片9を有する他方の形材8を取り外す。
【0015】
ついで、
図5に示すように、ガラス4を嵌め込み、
図5、
図6に示すように、ガラス4の嵌合片9を有する他方の形材8を一方の形材7にねじVで組み付け(
図5の矢印の方向参照)、シール剤Sを充填して隙間が無いようにする。なお、13は、立子3に対してガラス4を隙間が無いように嵌着するために、予め立子3を構成する形材8のガラス4の嵌合片9に取り付けられる先付け部材である。
【0016】
本発明に係るガラス手摺1の端部におけるガラスの取り付けについて説明すると、ガラス手摺1の端部に端部立子10(
図1参照)を配設する。
図7に示すように、端部立子10は外枠11と内枠12の2つの形材で構成され、外枠11は内枠12に対して回転できるようになっており、ガラス4を嵌め込んだのち、外枠11を元に戻してねじV止めし(
図7の矢印の方向参照)、
図8に示すように、シール剤Sを充填して端部立子10にガラス4を嵌着する。
【符号の説明】
【0017】
1 本発明に係るガラス手摺(持ち出しガラス手摺)
2 支柱
3 立子
4 ガラス
5 立子の上端を固着するための上枠(笠木のカバー部材)
6 立子の下端を固着するための下枠
7 立子を構成する一方の形材
8 立子を構成する他方の形材
9 他方の形材8に設けたガラス4の嵌合片
10 端部立子
11 端部立子を構成する外枠
12 端部立子を構成する内枠
13 先付け部材
14 笠木
15 ガラス4を装着するための従来の部材
16 支柱の下端を固着するための下枠
B 手摺構造を立設するためのコンクリートスラブなどのベース
V ビス、ねじ
S シール剤