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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】真空バルブ
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20220127BHJP
   G05D 16/20 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
F04D19/04 H
G05D16/20 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018006506
(22)【出願日】2018-01-18
(65)【公開番号】P2019124194
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】小亀 正人
(72)【発明者】
【氏名】平田 伸幸
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-153737(JP,A)
【文献】特開2014-052062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
G05D 16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空装置と真空ポンプとの間に接続される真空バルブであって、
バルブ開口と、
前記バルブ開口を開閉する開閉弁と、
前記開閉弁を開閉制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記真空装置内の圧力が第1圧力以上か否かを判断し、
前記真空装置内の圧力が前記第1圧力以上であると判断した場合には、前記開閉弁を全
閉に制御するか、または、前記開閉弁の最大開閉速度を第1速度に設定し、
前記真空装置内の圧力が前記第1圧力よりも低いと判断した場合には、前記開閉弁の最大開閉速度を前記第1速度より速い第2速度に設定し、
前記第1圧力が、前記開閉弁の最大開閉速度を前記第2速度とした場合に、前記真空ポンプのターボ翼が破損する圧力であり、
前記第1速度が、前記真空装置内の圧力が前記第1圧力以上であっても、前記真空ポンプのターボ翼が破損しない速度である、真空バルブ。
【請求項2】
請求項1に記載の真空バルブであって
前記第2速度が、前記開閉弁を駆動するモータの構造上から実現できる最大開閉速度、
又は、前記開閉弁を駆動するモータの構造上から実現できる最大開閉速度に所定の安全係
数を乗算した速度である、真空バルブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の真空バルブであって、
前記第1圧力が、100~1000Paの範囲内のいずれかである真空バルブ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の真空バルブであって、
前記第1速度は、前記第2速度の5%から25%の速度である真空バルブ。
【請求項5】
請求項1に記載の真空バルブであって、
前記制御装置は、
前記真空装置内の圧力が前記第1圧力より低い第2圧力よりもさらに低い場合には、前
記開閉弁の最大開閉速度を前記第2速度より速い第3速度とする真空バルブ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の真空バルブであって、
前記真空装置内の圧力計測値が入力される入力装置をさらに備え、
前記真空装置内の圧力が、前記入力装置に入力される圧力計測値である、真空バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
真空処理装置の真空チャンバにターボ分子ポンプなどの真空ポンプを装着する場合には、一般的に真空バルブを介在させる。特許文献1には、真空処理装置の真空チャンバとターボ分子ポンプの間に、開閉弁を有する真空バルブを介在させ、開閉弁を開閉することで真空チャンバ内のプロセスガスの圧力を制御する真空制御システムの例が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-248916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ターボ分子ポンプのような高真空用のポンプは、高真空領域での使用を前提に設計されている。従って、大気開放後の真空チャンバを吸引する場合等で、チャンバ内の圧力が1000pa程度以上になった状態でターボ分子ポンプを動作させると、多量のガス分子が高速で作動するターボ翼に衝突することによりターボ分子ポンプが破損する恐れがある。しかし、特許文献1に記載の発明では、上記の状況においてターボ分子ポンプを保護する手段は示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の真空バルブは、真空装置と真空ポンプとの間に接続される真空バルブであって、バルブ開口と、前記バルブ開口を開閉する開閉弁と、前記開閉弁を開閉制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記真空装置内の圧力が第1圧力以上か否かを判断し、前記真空装置内の圧力が前記第1圧力以上であると判断した場合には、前記開閉弁を全閉に制御するか、または、前記開閉弁の最大開閉速度を第1速度に設定し、前記真空装置内の圧力が前記第1圧力よりも低いと判断した場合には、前記開閉弁の最大開閉速度を前記第1速度より速い第2速度に設定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、接続される真空装置内が比較的高圧であっても真空ポンプの破損を防止する真空バルブを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態による真空バルブの斜視図。
図2】本発明の実施形態による真空バルブの上面図。
図3】本発明の実施形態による真空バルブを組み込んだ真空装置の側面概略図。
図4】開閉弁の最大開閉速度の設定フローの第1実施形態を示すフローチャート。
図5】開閉弁の最大開閉速度の設定フローの変形例を示すフローチャート。
図6】開閉弁の最大開閉速度の設定フローの第2実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
図1は、本発明の一実施形態による真空バルブ1の外観を示す斜視図である。
真空バルブ1は、バルブ本体11と駆動部12とを備えている。バルブ本体11には、開口部15が形成されていると共に、フランジ18と、開閉弁の一形態としてのスライド駆動されるバルブプレート16とを備えている。図示は省略するが、バルブ本体11のフランジ18とは反対側の図中下方側に、別のフランジを備えている。同じく図示は省略するが、駆動部12には、バルブプレート16を駆動するモータが設けられ、モータは制御装置13から伝達される制御信号により駆動される。バルブプレート16は、バルブプレート16の面と平行な方向にバルブ本体11内の回転中心17を中心として回転移動するように構成されている。
【0009】
図1中の破線円16eは、図中で最も右側に移動した状態のバルブプレート16を表しており、この状態では開口部15はバルブプレート16に遮蔽されず、全開状態となる。バルブプレート16の回転位置を変更することにより、開口部15の開口面積を変更することができる。
制御装置13は、モータの駆動を通してバルブプレート16の位置を制御し、すなわち、開口部15の開口面積を制御する。
【0010】
図2は、真空バルブ1の外観を示す上面図である。上述のとおり、バルブプレート16は、回転中心17を中心として回転移動するように構成されている。図2では、図1と同様に、バルブプレート16は開口部15の一部を遮蔽する位置に配置されている。以下では、開口部15のうちバルブプレート16に遮蔽されない部分を有効開口部19とし、有効開口部19の面積を開口面積とする。
また、開口部15を完全に遮蔽する際のバルブプレート16の中心位置16aを回転中心17と接続した直線と、開口部15から退避するバルブプレート16の中心位置16cを回転中心17と接続した直線との開き角、すなわち、バルブプレート16の回転角度を、角度位置θとする。
【0011】
図3は、真空バルブ1を真空装置100に組み込んだ一例を示す図である。真空バルブ1のフランジ18は、半導体製造装置等の真空チャンバ2のバルブ取り付け部3に固定されている。一方、バルブ本体11に対してフランジ18の反対側にある上述の別のフランジは、ターボ分子ポンプ4の真空側取り付け部4aに取り付けられている。
【0012】
真空装置100においては、真空バルブ1のバルブプレート16の位置を変化させ有効開口部19の開口面積を変化させることで、真空チャンバ2からターボ分子ポンプ4に流れる気体の流量、すなわち、ターボ分子ポンプ4の排気能力が調整される。
真空チャンバ2には、真空チャンバ2を粗排気するための配管6も接続され、配管6はバルブ9を介して配管7に接続され、配管7は、粗排気用のバックポンプ8に接続されている。
【0013】
ターボ分子ポンプ4の排気口には配管5が接続されており、配管5は配管7と合流してバックポンプ8に接続されている。
真空チャンバ2には圧力計10が設けられており、真空チャンバ2内の気体の圧力を計測する。圧力計10による圧力の計測値は電気信号Spに変換され、真空バルブ1の入力装置14に入力される。
【0014】
次に、真空装置100において、メンテナンス等のために大気開放した真空チャンバ2を真空に復帰させる工程の一例を説明する。
なお、真空チャンバ2をメンテナンス等のために大気開放する際には、メンテナンス担当者は、事前にバルブ9を閉じ、真空バルブ1のバルブプレート16を有効開口部19が最小または全閉(開口面積が0)としておくことが好ましい。このように設定することで、メンテナンス後の真空への復帰時間を短縮できる。
【0015】
大気圧状態にある真空チャンバ2を真空に復帰する際には、メンテナンス担当者はバルブ9を開き、バックポンプ8の吸引力により真空チャンバ2を粗排気する。そして、メンテナンス担当者は、真空バルブ1の制御装置13に対し、バルブプレート16の開閉制御の許可を入力する。
【0016】
(制御フローの第1実施形態)
従来の真空バルブと同様に、本例の真空バルブ1も、バルブプレート16を駆動(開閉)して有効開口部19の開口面積を可変とすることで、真空チャンバ2内の圧力を制御する。半導体製造装置としての生産性を挙げるためには、プロセスガスの導入時やプロセスガスの排気時に真空チャンバ2内の圧力を高速に変化させる必要があるため、一般にバルブプレート16は高速で開閉動作することが好ましい。
ただし、本例の真空バルブ1は、接続されるターボ分子ポンプ4を保護するために、真空チャンバ2内の圧力が高い場合には、制御装置13がバルブプレート16の最大開閉速度を抑制する。
【0017】
図4は、制御装置13による開閉弁(バルブプレート16)の最大開閉速度の設定フローの第1実施形態を示したフローチャートを表す。
バルブプレート16の開閉制御が許可されると、設定フローはステップS11に進み、制御装置13は、入力装置14に入力された真空チャンバ2内の圧力の計測値を読み込む。
真空チャンバ2内の圧力計測値が所定の第1圧力以上の場合には、真空チャンバ2内の圧力がまだ高く、有効開口部19の開口面積が急激に増大するとターボ分子ポンプ4を破損する恐れがある。そこで、ステップS12に進み、バルブプレート16の開閉動作の最大開閉速度を比較的低速な第1速度に制限する。その後、設定フローはステップS11に戻り、ステップ12とステップ11の間のループを繰り返す。
【0018】
真空チャンバ2内の圧力は、バックポンプ8による粗排気と一部ではあるがターボ分子ポンプ4による排気とにより、時間と共に低下していく。真空チャンバ2内の圧力が所定の第1圧力より低くなりターボ分子ポンプ4を破損する恐れが解消した際には、制御装置13による設定フローはステップ11からステップ13に進む。そして、制御装置13はバルブプレート16の開閉動作の最大開閉速度を上述の第1速度より速い第2速度に設定する。
その結果、バルブプレート16の開閉動作は高速化され有効開口部19の開口面積が比較的短時間で増大し、真空チャンバ2はターボ分子ポンプ4の高い排気能力により排気される。その後、メンテナンス担当者がバルブ9を閉じ粗排気系(配管6およびバルブ9)を閉鎖することで、真空チャンバ2内が高真空化される。
【0019】
上記の例において、バルブプレート16の開閉速度とは、有効開口部19の開口面積の単位時間あたりの変化量をいう。
第2速度は、例えば、バルブプレート16やモータの構造上から実現できる機械的な最大開閉速度とするが、機械的な最大開閉速度に対してある程度の安全係数(0.5以上、かつ1以下)を掛けた速度としても良い。
なお、現在市販されている真空バルブにおいては、開閉弁の全閉から全開に要する時間は1秒程度のものが一般的であるので、本例においても第2速度は、有効開口部19が全閉から全開するまでの所要時間が1秒程度となる速度に定めてもよい。
【0020】
第1速度は、第2速度の例えば5%程度から25%程度の速度とする。第1速度が第2速度の5%より小さいと、ステップS12による低速制御時にはターボ分子ポンプ4による排気が実質的に機能しなくなり、排気速度が低下する。一方25%より大きいと、真空チャンバ2内の圧力が比較的高くてもバルブプレート16が急激に開くことになり、ターボ分子ポンプ4が破損する恐れがある。
【0021】
なお、ステップS12およびステップS13のいずれにおいても、バルブプレート16は開閉の最大開閉速度がそれぞれ第1速度および第2速度に制限されているだけであって、それぞれの最大開閉速度よりも遅い開閉速度での開閉も可能であることは言うまでもない。
【0022】
ステップS11での判断の基準となる第1圧力は、使用するプロセスガスの分子量や使用するターボ分子ポンプ4によっても異なるが、100~1000Pa程度の圧力とすることが望ましい。第1圧力がこれより高いとターボ分子ポンプ4を破損する恐れがあり、これより低いと真空チャンバ2の真空引きに要する時間が長くなり処理能力が低下する。
【0023】
(制御フローの変形例)
図5は、制御装置13による開閉弁(バルブプレート16)の最大開閉速度の設定フローの変形例を示したフローチャートを表す。
本変形例においても、バルブプレート16の開閉制御が許可されると、設定フローはステップS21に進み、制御装置13は、入力装置14に入力された真空チャンバ2内の圧力の計測値を読み込む。本変形例においては、真空チャンバ2内の圧力が所定の第1圧力以上の場合には、設定フローはステップS22に進み、バルブプレート16を全閉(開口面積=0)に制御してターボ分子ポンプ4を保護する点が、上述の第1実施形態と異なっている。
【0024】
真空チャンバ2内の圧力は、バックポンプ8による粗排気により、時間と共に低下していく。そして、真空チャンバ2内の圧力が所定の第1圧力より低くなりターボ分子ポンプを破損する恐れが無くなった際には、設定フローはステップ21からステップ23に進み、制御装置13はバルブプレート16の開閉動作の最大開閉速度を上述の第2速度に設定する。
【0025】
以上の実施形態(制御フローの第1実施形態および変形例を含む)においては、真空バルブ1中の開閉弁を回転式のバルブプレート16としたが、これに代えて1方向に直線的にスライドするプレートを使用しても良い。また、バタフライ弁等の他の方式の開閉弁を使用しても良い。
また、バルブプレート16の開閉速度として、上述の有効開口部19の開口面積の単位時間あたりの変化量のみでなく、回転中心17に対するバルブプレート16の角度位置θの単位時間あたりの変化量を使用しても良い。
また、真空ポンプもターボ分子ポンプ4に限らず、他の高真空用のポンプであってもよい。
【0026】
(実施形態の効果)
以上の実施形態(制御フローの第1実施形態および変形例を含む)の真空バルブ1は、開閉弁(バルブプレート)16を開閉制御する制御装置13とを備える。制御装置13は真空装置内の圧力が第1圧力以上か否かを判断し、真空装置内の圧力が第1圧力以上であると判断した場合には、開閉弁を全閉に制御するか、または、開閉弁の最大開閉速度を第1速度に設定し、真空装置内の圧力が第1圧力よりも低いと判断した場合には、開閉弁の最大開閉速度を第1速度より速い第2速度に設定する。
このような構成としたので、接続される真空チャンバ2内が比較的高圧であっても真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)4の破損を防止することができる。
また、真空チャンバ2の高真空化を短時間で実現すると共に、従来は必要であった開閉弁16の開閉に関するメンテナンス担当者の作業を最小限に留めることができ、真空装置100を低コストで運転することができる。
【0027】
(制御フローの第2実施形態)
図6は、制御装置13による開閉弁(バルブプレート16)の最大開閉速度の設定フローの第2実施形態を示したフローチャートを表す。
設定フローの本第2実施形態においても、真空バルブ1自体は図1から図3に示した実施形態の真空バルブ1と同様である。ただし、開閉弁(バルブプレート16)の最大開閉速度が3段階に設定される点が、上述の設定フローの第1実施形態とは異なっている。
【0028】
バルブプレート16の開閉制御が許可されると、設定フローはステップS31に進み、制御装置13は、入力装置14に入力された真空チャンバ2内の圧力の計測値を読み込む。
制御装置13は、真空チャンバ2内の圧力が所定の第1圧力以上の場合には、第1のステップS32に進み、上述の制御フローの第1実施形態と同様に、バルブプレート16の開閉動作の最大開閉速度を比較的低速な第1速度に制限する。そして、ステップS31に戻る。
【0029】
ステップ31とステップ32のループを繰り返し、真空チャンバ2内の圧力が所定の第1圧力より低くなった場合には、設定フローはステップ31からステップ33に進む。制御装置13は、ステップ33において、真空チャンバ2内の圧力と所定の第2圧力とを比較する。第2圧力は、上述の第1圧力よりも低い圧力である。制御装置13は、真空チャンバ2内の圧力が第2圧力以上の場合には、ステップS34に進みバルブプレート16の開閉動作の最大開閉速度を上述の第1速度よりも高速な第2速度に設定する。
【0030】
そして、設定フローはステップS33に戻り、ステップ33とステップ34の間のループを繰り返し、真空チャンバ2内の圧力が所定の第2圧力より低くなった場合には、ステップ35に進み、制御装置13は、バルブプレート16の開閉動作の最大開閉速度を上述の第2速度より速い第3速度に設定する。これにより、バルブプレート16は高速での動作が可能となり、真空チャンバ2はターボ分子ポンプ4の高い排気能力により排気される。
その後、メンテナンス担当者がバルブ9を閉じ粗排気系を閉鎖することで、真空チャンバ2内が高真空化される。
【0031】
本制御フローの第2実施形態においては、第3速度が、例えばバルブプレート16やモータの構造上から実現できる機械的な最大開閉速度となる。もちろん、第3速度は、機械的な最大開閉速度に対してある程度の安全係数(0.5以上、かつ1以下)を掛けた速度としても良い。
【0032】
第2速度は、第3速度の例えば10%程度から20%程度の速度とし、第1速度は、第3速度の例えば5%程度から15%程度であって第2速度より遅い速度とする。第1速度が第3速度の5%より小さいと、ステップS12による低速制御時にはターボ分子ポンプ4による排気が実質的に機能しなくなる。一方、真空チャンバ2の真空引きに要する時間を短縮するためには、第1速度を第3速度の15%より大きく設定するよりも、上述の第2速度を第3速度の10%程度から20%程度に設定して、ステップ34における排気速度を向上させた方が、効果的である。
【0033】
ステップS31の判断の基準となる第1圧力は、使用するプロセスガスの分子量や使用するターボ分子ポンプ4によっても異なるが、100~300Pa程度の圧力に設定することが望ましい。
ステップS33の判断の基準となる第2圧力は、使用するプロセスガスの分子量や使用するターボ分子ポンプ4によっても異なるが、300~1000Pa程度の圧力に設定することが望ましい。
第1圧力および第2圧力がこれより高いとターボ分子ポンプ4を破損する恐れがあり、これより低いと真空チャンバ2の真空引きに要する時間が長時間化し処理能力が低下する。
【0034】
なお、本制御フローの第2実施形態においては、ステップS32において開閉速度の最大開閉速度を第1速度としてバルブプレート16を制御するものとしたが、上述の図5に示した変形例と同様に、ステップS32においてはバルブプレート16を全閉とすることもできる。そして、この場合には、第2速度は、第3速度の5%から25%程度に設定することが好ましい。その理由は、上述の制御フローの第1実施形態における第1速度の範囲の理由と同様である。
【0035】
(制御フローの第2実施形態の効果)
以上の制御フローの第2実施形態では、制御装置13は、上述の制御フローの第1実施形態および変形例に比べ、さらに、入力装置14から入力された圧力計測値が第1圧力より低い第2圧力よりもさらに低い場合には、開閉弁(バルブプレート16)の最大開閉速度を第2速度より速い第3速度とする。
このような構成としたので、接続される真空チャンバ2内が比較的高圧であっても真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)4の破損を防止することができる。
また、真空チャンバ2の高真空化を、上述の実施形態に比べてさらに短時間で実現することができる。
【0036】
本発明は以上の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1:真空バルブ、2:真空チャンバ、4:ターボ分子ポンプ、8:バックポンプ、10:圧力計、11:バルブ本体、12:駆動部、13:制御装置、14:入力装置、15:開口部、16:開閉弁(バルブプレート)、18:有効開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6